| 【発明の名称】 |
AMPK活性化剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】村瀬 孝利 【住所又は居所】栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会社研究所内
|
| 【要約】 |
【課題】食経験が豊富で安全性が高く、入手が容易で加工性にも優れ、現実的にヒトへの利用が可能な天然物素材に含まれる成分を有効成分とする、AMPK活性化剤の提供。
【解決手段】レスベラトロールを有効成分とするAMPK活性化剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 レスベラトロールを有効成分とするAMPK活性化剤。 【請求項2】 レスベラトロールを有効成分とする脂質代謝活性化剤。 【請求項3】 レスベラトロールを有効成分とする肥満抑制剤。 【請求項4】 レスベラトロールを有効成分とする糖尿病予防改善剤。 【請求項5】 レスベラトロールを有効成分とする肝臓肥大抑制剤。 【請求項6】 レスベラトロールを有効成分とする脂肪肝抑制剤。 【請求項7】 レスベラトロールを含有し、肥満及び/又は体脂肪蓄積及び/又は糖尿病及び/又は脂肪肝及び/又は生活習慣病の予防・改善作用を有することを特徴とし、そのために用いるものである旨の表示を付した飲食品。 【請求項8】 レスベラトロールを含有し、脂質代謝促進作用を有することを特徴とし、その旨の表示を付した飲食品。 【請求項9】 レスベラトロールを有効成分とする運動代替剤。 【請求項10】 レスベラトロールを含有し、運動代替機能を有することを特徴とし、その旨の表示を付した飲食品。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、AMPK(AMP−activated protein kinase)活性化剤に関する。 【背景技術】 【0002】 肥満は、摂取エネルギー量が消費エネルギー量を上回ることにより生じる。従って、肥満の予防・改善のためには摂取エネルギー量を減らす、すなわち食事量を減らすか、運動等を行うことにより消費エネルギー量を増やすことが基本となる。しかし、現代社会においては、食生活の欧米化により脂質摂取量が増えると同時に、自動車の普及等により運動量が減少しエネルギー消費量が低下している。その結果として肥満人口が増大し、それに伴って糖尿病等のいわゆる生活習慣病の増加が大きな社会問題となっている。運動はエネルギー代謝を促進することにより、肥満や糖尿病をはじめとする各種の生活習慣病の予防・改善に有効であることは広く認識されているが、実生活において日常的に運動を行うことは、なかなか容易なことではない。もし、運動以外の何らかの手段により、運動によりもたらされるのと同様な作用をもたらすことが出来れば、運動しなくとも運動したのと類似の効果を期待できる“運動代替手段”が可能になると考えられる。また、限られた運動であっても、その作用をより有効に引き出すことが可能になるとも考えられる。 これまで、肥満や糖尿病を予防・改善するために様々な取り組みがなされている。肥満に有効なものとして大豆エキス(特許文献1)、シアニジン 3−グルコシド(特許文献2)、サトウキビポリフェノール(特許文献3)、D−システノール酸(特許文献4)、共役トリエン酸系油脂(特許文献5)等多くの化合物やエキス類が開示されている。しかしながら、これらは食経験に乏しく、作用機構、安全性の面からもその有用性は十分明確にはされていないのが実情である。また、運動の機能を代替できるような方法や食品素材、運動の作用をより高めるような方法・食品素材は、我々の知る限り殆ど知られていない。 【0003】 一方、エネルギー代謝や肥満、糖尿病発症機構に関する研究が進み、AMPKがきわめて重要な働きをしていることが明らかになってきた(非特許文献1)。AMPKは細胞内ATPレベルが低下するような状況下において活性が上昇し、代謝を促進してATP合成を促す“metabolic sensor”として機能している。運動時には筋肉が多くのエネルギーを必要とするが、運動時のエネルギー産生には、筋肉におけるAMPKの活性化が大きな役割を果たしていることが知られている。また、最近の研究によって、AMPKはレプチン(非特許文献2)、アディポネクチンのような脂肪細胞由来ホルモン( 非特許文献3)、糖尿病治療薬であるメトフォルミン(非特許文献4)等によっても活性化され、それらによって惹起される脂肪酸酸化やグルコース利用促進作用の細胞内メディエーターであると考えられるようになってきた。例えば、AMPKはアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)への活性制御を通して、ミトコンドリアでの脂肪酸酸化に影響を及ぼすことが知られている。長鎖脂肪酸をミトコンドリア内に取り込むカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT−1)は、ミトコンドリアにおける脂肪酸酸化の律速酵素であるとともに、ACCの産生物であるマロニルCoAにより強い阻害を受ける。そのため、AMPKはACCをリン酸化(Ser79)することによってACCの活性を抑制し、マロニルCoA量を低下させる結果、CPT−1の活性が亢進して脂肪酸酸化を促進すると考えられている。 【0004】 このように、AMPKは細胞内のエネルギー不足下において活性化するだけでなく、生体のエネルギー代謝又は栄養代謝に重要な作用を営んでいると考えられる。すなわち、AMPKの活性化はエネルギー消費の促進、肥満や糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症の予防・改善に寄与すると考えられる。また、AMPKの活性化剤は、運動と類似の有効性が期待できることから、“運動代替剤”として有効であると考えられる。 【0005】 これまでにAMPKを活性化する化合物として、上記のレプチンやアディポネクチン、メトフォルミンの他、AICAR(5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミド)が知られているが、食経験が豊富で安全性が高く、入手が容易で加工性にも優れ、現実的にヒトへの利用が可能な素材については現時点においては殆ど知られていない。 【特許文献1】特開2003−286180号公報 【特許文献2】特開2003−25に766号公報 【特許文献3】特開2003−137803号公報 【特許文献4】特開2003−104879号公報 【特許文献5】特開2002−186424号公報 【非特許文献1】Molecular Medicine,Vol.39,No.4,pp398−407、2002 【非特許文献2】Nature,Vol.415,pp339−343,2002 【非特許文献3】Nature,Vol.423,PP762−769,2003 【非特許文献4】J.Clin.Invest.,Vol.108,pp1167−1174,2001 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明の目的は、食経験が豊富で安全性が高く、入手が容易で加工性にも優れ、現実的にヒトへの利用が可能な天然物素材に含まれる成分を有効成分とするAMPK活性化剤を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明者らは、食経験が豊富な天然物素材の中から、AMPKの活性化に有効な成分の探索を行い、葡萄やその加工品であるワイン等の摂取を通して長い食経験を有するレスベラトロールが、エネルギー代謝及び脂質代謝を促進して、肥満、糖尿病、高血糖、肝臓肥大、脂肪肝、高コレステロール血症、インスリン抵抗性、高脂血症の予防・改善に有効なAMPK活性化作用を有することを見出した。 【0008】 すなわち、本発明は、レスベラトロールを有効成分とするAMPK活性化剤を提供するものである。 【発明の効果】 【0009】 本発明のAMPK活性化剤は、食経験が豊富であって安全性に優れ、肝細胞及び筋細胞におけるAMPKの活性化に優れ、脂質代謝や糖代謝等のエネルギー代謝の活性化を誘導し、肥満、糖尿病、高血糖、インスリン抵抗性、高コレステロール血症、肝臓肥大、脂肪肝の予防・改善に有効である。また、本発明のAMPK活性化剤を用いれば、食品による運動代替効果が期待できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 本発明でレスベラトロールとは、trans−レスベラトロール、cis−レスベラトロール及びそれらの混合物の総称である。 レスベラトロールは葡萄の葉や果皮等に存在するポリフェノールの一種で、これまでにLDL酸化抑制作用、血小板凝集抑制作用、抗炎症作用、抗癌作用等が報告されている(「老化予防食品の開発」、シーエムシー、p.156−168、1999)。また、レスベラトロールは、血栓予防剤(特開昭61−171427号公報)、循環器系障害進展抑制用医薬品(特開2003−300904号公報)、高脂血症予防治療剤(特開2001−72583号公報)、骨疾患予防治療剤(特開2000−281567号公報)等として有用であることが知られている。 【0011】 レスベラトロールは、有機化学的又は微生物を用いて合成した高純度品の他、レスベラトロールを含有する天然物から抽出して用いることができ、その場合、抽出物を用いてもよく、又はその抽出物から単離したレスベラトロールを用いてもよい。天然物としては、レスベラトロールを含有するものであればよく、例えば、葡萄、落花生、ピーナッツ、及びイタドリやツルドクダミ等のタデ科植物が挙げられる。 【0012】 天然物としては葡萄が特に好ましい。葡萄の種類は、特に限定されるものではないが、デラウエア、巨峰、甲州、ピオーネ、マスカット、シュナンブラン、グレナッシュ、マタロ、ミュラーテュルガウ、トレッビアーノ、ベリーA、カベルネソービニオン、メルロー、ピノノアール、カベルネフラン、シラー、シャルドネ、ソービニヨンブラン、セミヨン、シラー、ガメイ、リースリング、アリゴテ等が好ましい。葡萄抽出物とは、葡萄果実、葡萄葉又は葡萄に由来する物からの抽出物を指す。葡萄に由来する物としては、ブドウジュース、ワイン、ワイン製造時の残渣、ワイン濃縮物等をいう。抽出は、例えば、レスベラトロールは葡萄の果皮や葉に多く含まれているので、それらから水や熱水、アルコール水、有機溶剤等を用いた一般的な抽出方法で行う。また、ワイン、ワインの濃縮物又は濃縮乾固した固形物中にも含まれているので、それらを用いることもできる。また、ワイン製造時に発生する葡萄の残渣をそのまま用いるか、それから有機溶剤/水等により抽出することもできる。有機溶剤としてはエタノール等のアルコールが好ましく、特にエタノールが好ましい。 【0013】 本発明のAMPK活性化剤は、医薬品としてヒト及び動物に投与することができる他、各種飲食品、ペットフード等に配合して摂取させることができる。飲食品とする場合には、一般の飲食品の他、肥満、体脂肪蓄積、糖尿病、脂肪肝、生活習慣病、脂質代謝促進、高血糖、インスリン抵抗性、高コレステロール血症の予防・改善等の生理機能をコンセプトとし、その旨表示した機能性飲食品、疾病者用食品、特定保健用食品に応用できる。また、本発明のAMPK活性化剤は、AMPKを活性化し、かつ前記の運動不足が原因の一つとなっている種々の症状を改善することから、運動と類似の効果をもたらす運動代替剤として有用である。医薬品としては、例えば、錠剤、顆粒剤等の経口用固形製剤や、内服液剤、シロップ剤等の経口用液体製剤とすることができる。また医薬品としては、脂質代謝活性化剤、肥満抑制剤、糖尿病予防改善剤、肝臓肥大抑制剤、脂肪肝抑制剤、生活習慣病予防改善剤等として有用である。 【0014】 これらのものに対するレスベラトロールの配合量は、その使用形態により異なるが、飲食品やペットフード等とする場合は、通常0.0001〜5質量%、更に0.001〜5質量%、特に0.01〜1質量%とするのが好ましい。上記以外の医薬品、例えば錠剤、顆粒剤、カプセル剤等の経口用固形製剤、内服液剤、シロップ剤等の経口用液体製剤等の場合は、通常0.01〜95質量%、更に5〜95質量%、特に20〜90質量%とするのが好ましい。 【0015】 本発明のAMPK活性化剤の投与量(有効摂取量)は、一日当り5〜2000mg/60kg体重とするのが好ましく、特に10〜1000mg/60kg体重、更に50〜500mg/60kg体重とするのが好ましい。 【実施例】 【0016】 実施例1 レスベラトロールのAMPK活性化作用は、マウス肝細胞株(Hepa 1−6)を用い、AMPKα及びβのリン酸化を指標として、次法により評価した。 【0017】 マウス肝細胞株(Hepa 1−6)を25cm2フラスコにまき、DMEM(+10%FBS、+抗菌剤)中37℃で1〜2日培養した。サブコンフルエントになった時点で培養液を除去し、PBS(−)で洗浄後、DMEM(−FBS)に置き換え更に1日培養した。培養液を除去後、所定濃度のレスベラトロールを含むDMEM(−FBS)を加え、60分間培養した。その後、培養液を除去、PBS(−)で洗浄後、細胞溶解液(10mmol/L Tris(pH7.4)、50mmol/L塩化ナトリウム、30mmol/Lピロリン酸ナトリウム、0.5質量%Triton X−100、proteaseinhibitor cocktail(SIGMA P2714)、phosphatase inhibitor cocktail−2(SIGMA P5726))を200μL添加し、セルスクレイパーで細胞溶解液を回収した。回収した細胞溶解液は、23Gの針付シリンジを3回通すことにより良くホモジナイズし、その後30分間氷上に放置した。15000r/minで15分間、4℃で遠心した後、その上清蛋白を以下の測定に用いた。 【0018】 上清蛋白質の濃度を測定後、サンプル間の蛋白濃度を一定に調整した。その四分の一量のSDSバッファー(250mmol/L Tris、12.5質量%SDS、20質量%グリセリン)を加えた後、更に2−メルカプトエタノール及びブロモフェノールブルーを加え、95℃で熱変性、4℃で急冷し、電気泳動用のサンプルを調製した。 【0019】 上記泳動用サンプルを、一定量(約20〜40μg)をSDS−PAGE(12%ゲル)に供し、膜へ転写後、anti−phospho−AMPKα(Thr72)抗体(Cell Signaling社製)又はanti−phospho−AMPKβ(Ser108)抗体(Cell Signaling社製)を一次抗体、anti−rabbit−HRP抗体(アマシャム社製)を二次抗体、phototope−HRP Western Detection System (Cell Signaling社製)を検出試薬として用いて、phospho−AMPKを検出した。AMPK活性化の度合いは、検出されたバンドの強度を画像解析(EDAS 290画像解析システム:KODAK)により数値(ピクセル)化し、コントロール(サンプル無添加群)を100とし、それに対する相対値として示した。なお、レスベラトロール(3,4’,5−トリヒドロキシ−trans−スチルベン)はSIGMA社製のものを用いた。 【0020】 【表1】
【0021】 表1からレスベラトロールは、強いAMPK活性化作用を有することがわかる。 【0022】 実施例2 レスベラトロールのAMPK活性化作用を、マウス筋細胞株(C2C12)を用い、AMPKα及びβのリン酸化を指標として、次法により評価した。 【0023】 マウス筋細胞株(C2C12)を25cm2フラスコにまき、DMEM(+10%FBS、+抗菌剤)中37℃で1〜2日培養した。コンフルエントになった時点で培養液を除去し、PBS(−)で洗浄後、DMEM(2質量%Horse serum)に置き換え、2〜3日毎に培養液を交換しながら更に7〜8日培養した。その後培養液を除去し、PBS(−)で洗浄後、DMEM(−FBS)に置き換え、更に1日培養した。培養液を除去後、所定濃度のレスベラトロールを含むDMEM(−FBS)を加え、60分間培養した。次いで培養液を除去、PBS(−)で洗浄後、細胞溶解液(10mmol/L Tris(pH7.4)、50mmol/L塩化ナトリウム、30mmol/Lピロリン酸ナトリウム、0.5質量%Triton X−100、protease inhibitor cocktail(SIGMA P2714)、phosphatase inhibitor cocktail−1(SIGMA P2850)、phosphatase inhibitor cocktail−2(SIGMA P5726))を200μL添加し、セルスクレイパーで細胞溶解液を回収した。回収した細胞溶解液は、23Gの針付シリンジを3回通すことにより良くホモジナイズし、その後30分間氷上に放置した。15000r/minで15分間、4℃で遠心した後、その上清蛋白を以下の測定に用いた。 【0024】 上清蛋白質の濃度を測定後、サンプル間の蛋白濃度を一定に調整した。その四分の一量のSDSバッファー(250mmol/L Tris、12.5質量%SDS、20質量%グリセリン)を加えた後、更に2−メルカプトエタノール及びブロモフェノールブルーを加え、95℃で熱変性、4℃で急冷し、電気泳動用のサンプルを調製した。 【0025】 上記泳動用サンプルを、一定量(約20〜40μg)をSDS−PAGE(12%ゲル)に供し、膜へ転写後、anti−phospho−AMPKα(Thr72)抗体(Cell Signaling社製)又はanti−phospho−AMPKβ(Ser108)抗体(Cell Signaling社製)を一次抗体、anti−rabbit−HRP抗体(アマシャム社製)を二次抗体、phototope−HRP Western Detection System(Cell Signaling社製)を検出試薬として用いて、phospho−AMPKを検出した。AMPK活性化の度合いは、検出されたバンドの強度を画像解析(EDAS290画像解析システム:KODAK)により数値(ピクセル)化し、コントロール(サンプル無添加群)を100とし、それに対する相対値として示した。尚、レスベラトロールはSIGMA社製の物を用いた。 【0026】 【表2】
【0027】 表2からレスベラトロールは、筋細胞において強いAMPK活性化作用を有することがわかる。 【0028】 実施例3 レスベラトロールの有効性は以下のように評価した。 7週齢のC57BL/6系雄性マウス(日本クレア)を各群10〜15匹ずつ3群に分け、表3記載の組成の各食餌で飼育した。試験開始24週後に体重を測定するとともに麻酔下、非絶食条件下で採血を行い、血漿グルコース、コレステロール、インスリン、レプチン値を測定した。また、内臓脂肪重量(副睾丸脂肪、後腹膜脂肪及び腎周囲脂肪)、肝臓重量を測定した。尚、レスベラトロールはCayman社製のものを用いた。 【0029】 【表3】
【0030】 結果を表4に示す。第2群では第1群に比較し、有意な体重の増加(P<0.001)が認められたのに対して、第3群においては第1群に対して体重の増加は少なく、また第2群に対して体重は有意に低値(P<0.001)を示した。内臓脂肪量も、第2群では第1群に比較し有意に多く(P<0.001)、また第2群に対して第3群においては内臓脂肪重量は有意に低値(P<0.01)を示した。これらの結果より、本発明のレスベラトロールは優れた抗肥満効果、体脂肪蓄積抑制効果を有することが明らかとなった。 肝臓重量に関しては、第2群では第1群に比較し有意(P<0.01)な増加が認められたのに対して、第3群においては第1群に対して重量の増加は少なく、また第2群に対して重量は有意に低値(P<0.05)を示した。本結果より、本発明のレスベラトロールは優れた肝臓肥大抑制効果を有することが明らかとなった。また、レスベラトロールは高脂肪食摂取による肝臓肥大を抑制したことから、肥満に伴う脂肪肝の抑制に有効であると考えられた。 【0031】 【表4】
【0032】 表5に血液分析の結果を示す。第2群では第1群に比較し、有意(P<0.001)な血糖値(グルコース)の上昇が認められた。また、第3群においては第2群に対して血糖値は低値を示した(P<0.1)。本発明のレスベラトロールは、血糖値上昇抑制効果に優れ、更に糖尿病に有効であると考えられた。 総コレステロールは、第1群に比較し第2群では有意(P<0.05)に高値を示した。一方、第3群ではコレステロール値の上昇は認められず、第2群と比較し、有意(P<0.05)に低値を示した。従って、レスベラトロールは優れたコレステロール抑制作用を有することが明らかとなった。 第2群では第1群に比較し、血中インスリンは高値を示したのに対して、第3群においては第1群に対してのインスリン値の上昇は少なく、また第2群に対してインスリン値は低値を示した。本発明のレスベラトロールは、血中インスリン値上昇抑制に優れ、更にインスリン抵抗性の抑制に有効であると考えられた。 第2群では第1群に比較し、血中レプチンは有意に高値を示した(P<0.01)のに対して、第3群においては第1群に対してのレプチン値の上昇は少なく、また第2群に対してレプチン値は有意に低値を示した(P<0.01)。本発明のレスベラトロールは、血中レプチン値上昇抑制に優れ、更にレプチン抵抗性の抑制に有効であると考えられた。 【0033】 【表5】
【0034】 実施例4:脂質代謝活性化効果 7週齢のBalb/c系雄性マウスを2群に分け、生理食塩水(コントロール)又は200mg/kg体重となるようレスベラトロールを10日間、連続して経口投与した。その後、肝臓及び骨格筋(腓腹筋+ひらめ筋)を採取した。肝臓及び骨格筋はそれぞれ緩衝液(250 mM sucrose, 1 mM EDTA in10 mM HEPES (pH 7.2))中でホモジナイズし、不溶性の組織残渣を遠心分離し上清を得た。得られた上清について蛋白量の測定を行い、各サンプル間の蛋白量を一定に合わせ、脂質代謝活性(β酸化活性)の測定に用いた。100μgの上清タンパク質を、終容量200μlの緩衝液(50 mM Tris-HCl (pH 8.0), 40 mM NaCl, 2 mM KCl, 2 mM MgCl2, 1 mM DTT, 5 mM ATP, 0.2 mM L-carnitine, 0.2 mM NAD, 0.06 mM FAD, 0.12 mM CoA, 3 mM α−cyclodextrin)中、0.1 μCi [14C]−パルミチン酸と37℃で20分間反応させた。200μlの0.6 N perchloric acidで反応を停止後、1mLのヘキサンで3回、未反応の[14C]−パルミチン酸を除去し、水層の放射活性を測定することにより、脂質分解活性を評価した。 測定結果を表6に示す。コントロールの脂質分解活性を100とし、その相対値で表示した。レスベラトロールを摂取することにより、肝臓及び骨格筋の脂質分解活性(β酸化活性)が顕著に増加した(肝臓:p<0.001、筋肉:p<0.001)。従って、レスベラトロールは脂質代謝の活性化に有効であることが明らかとなった。 以上の結果から、本発明のレスベラトロールはAMPK活性化作用を有し、脂質代謝等のエネルギー代謝の活性化を誘導し、肥満、糖尿病、高血糖、インスリン抵抗性、高コレステロール血症、肝臓肥大、脂肪肝の予防・改善に有効である。また、AMPK活性化作用を介して前記運動不足が原因の一つとなっている種々の症状を改善することから、運動と類似の効果をもたらす運動代替剤として有用であることが明らかとなった。 【0035】 【表6】
【0036】 下記に本発明の代表的実施例を示すが、本発明はこれらに限られるものではない。 【0037】 実施例5 生活習慣病予防・改善用カプセル剤 カプセル化剤中に下記組成物(300mg)を封入した。 レスベラトロール 68質量% コーンスターチ 10 セルロース 10 トコフェロール 2 乳糖 10 【0038】 実施例6 生活習慣病予防・改善用錠剤 下記組成物(1錠=250mg)を打錠し、錠剤を製造した。 葡萄抽出物 50質量% コーンスターチ 10 セルロース 10 ビタミンC 20 乳糖 10 【0039】 実施例7 生活習慣病予防・改善用錠剤 下記組成物(1錠=250mg)を打錠し、錠剤を製造した。 レスベラトロール 50質量% コーンスターチ 10 セルロース 10 ビタミンC 20 乳糖 10 【0040】 実施例8 生活習慣病予防・改善用顆粒剤 下記組成物(1袋=500mg)を混合し顆粒剤を製造した。 レスベラトロール 25質量% 葡萄乾燥粉末 20 果糖 20 ブドウ糖 20 脱脂粉乳 10 カフェイン 5 【0041】 実施例9 肥満・生活習慣病予防・改善用飲料 下記組成物を混合し、果汁飲料を製造した。 レスベラトロール 100mg 葡萄果汁 500mL 【0042】 実施例10 生活習慣病予防・改善用飲料 下記組成物を混合し、果汁飲料を製造した。 レスベラトロール 50mg ビタミンC 300mg オレンジ果汁 300mL 水 200mL 香料 若干量 異性化糖 5g 【0043】 実施例11 肥満・生活習慣病予防・改善用飲料 下記組成物を混合し、果汁飲料を製造した。 葡萄葉乾燥粉末 300mg レスベラトロール 15mg ビタミンC 300mg 葡萄果汁 300mL 水 200mL 香料 若干量 ブドウ糖 2g 【0044】 実施例12 肥満・生活習慣病予防・改善用飲料 下記組成物を混合し、茶飲料を製造した。 レスベラトロール 20mg 茶カテキン 200mg ビタミンC 200mg 緑茶 500mL 【0045】 実施例13 肥満・生活習慣病予防・改善用飲料 下記組成物を混合し、果汁飲料を製造した。 赤ワイン濃縮乾燥粉末 2000mg 葡萄果汁 250mL 水 250mL 香料 若干量 【0046】 実施例14 生活習慣病予防・改善用飲料 下記組成物を混合し、果汁飲料を製造した。 レスベラトロール 10mg ビタミンC 500mg グレープフルーツ果汁 25mL 水 470mL 香料 若干量 異性化糖 5g 【0047】 実施例15 運動代替機能性飲料 下記組成の炭酸飲料を製造した。 レスベラトロール 15mg ビタミンC 500mg 炭酸水 495mL レモン果汁 5mL 香料 若干量 アスパルテーム 5g 【0048】 実施例16 運動代替機能性飲料 下記組成の炭酸飲料を製造した。 レスベラトロール 100mg ビタミンC 500mg 炭酸水 500mL レモン果汁 5mL 香料 若干量 アスパルテーム 5g 【0049】 実施例17 運動代替機能性食品 下記組成物(1錠=1000mg)を打錠し、チュアブルタイプのタブレット食品を製造した。 レスベラトロール 2.5質量% 麦芽糖 11 乳糖 30 ブドウ糖 15 ビタミンC 20 ビタミンE 1 セルロース 10 キシリトール 10 香料 0.5
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000918 【氏名又は名称】花王株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
|
| 【出願日】 |
平成17年6月20日(2005.6.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】110000084 【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
【識別番号】100068700 【弁理士】 【氏名又は名称】有賀 三幸
【識別番号】100077562 【弁理士】 【氏名又は名称】高野 登志雄
【識別番号】100096736 【弁理士】 【氏名又は名称】中嶋 俊夫
【識別番号】100117156 【弁理士】 【氏名又は名称】村田 正樹
【識別番号】100111028 【弁理士】 【氏名又は名称】山本 博人
【識別番号】100101317 【弁理士】 【氏名又は名称】的場 ひろみ
|
| 【公開番号】 |
特開2006−273834(P2006−273834A) |
| 【公開日】 |
平成18年10月12日(2006.10.12) |
| 【出願番号】 |
特願2005−178874(P2005−178874) |
|