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【発明の名称】 コエンザイムQ10含有水性組成物
【発明者】 【氏名】辻 恵子
【住所又は居所】大阪府大阪市福島区海老江1丁目11番17号 株式会社ナリス化粧品内

【要約】 【課題】コエンザイムQ10が難水溶性で、かつ高結晶性のため水中への分散性が困難である点を改善し、容易にコエンザイムQ10を高濃度に分離、沈降、結晶化などを生ずることなく水中に安定に分散できるコエンザイムQ10含有水性組成物の提供。

【解決手段】コエンザイムQ10、アルキルグルコース誘導体および可溶化剤を含有する水性液とすることにより、可溶化後の結晶析出を防止することができ、高濃度にコエンザイムQ10を含有する水性組成物が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コエンザイムQ10、アルキルグルコース誘導体および可溶化剤を含有する水性組成物。
【請求項2】
アルキルグルコース誘導体がエチレンオキサイド付加モル数が10〜20であることを特徴とする請求項1記載の水性組成物。
【請求項3】
可溶化剤のHLBが11以上であることを特徴とする請求項1〜請求項2記載の水性組成物。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はコエンザイムQ10含有組成物に関する。より詳細には、本発明は、水難溶性で且つ高結晶性であるために水中に可溶化するのが困難なコエンザイムQ10を、分離、沈降、凝集、結晶化などを生ずることなく水中に安定に可溶化させることができるコエンザイムQ10含有水性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コエンザイムQ10は、ユビキノン類に属し、2,3−ジメトキシ−5−メチル−ポリプレニル−1,4−ベンゾキノンの側鎖であるイソプレンの繰り返し単位数が10である化合物であり、融点が約48℃の脂溶性物質である。コエンザイムQ10は、一般名ユビデカレノンとして日本薬局方に記載されており、技術情報がJPTI2001に収載されている。コエンザイムQ10は、生体内に存在する安全性の高い化合物であり、高い生体活性を有し、生体の免疫機能を向上させることが知られている。そのため、コエンザイムQ10は、前記したような特性を活かして、近年医薬部外品・化粧品などの用途に用いられている。
【0003】
しかしながら、コエンザイムQ10は、水難溶性であり、しかも高結晶性であるために、可溶化または乳化した組成物を調製しにくいという欠点がある。何らかのかたちで水中に分散させた場合は、短期間内にコエンザイムQ10の結晶化が生じて、組成物からの分離、凝集などが生じ易い。また製剤としての効果を確保するためにはコエンザイムQ10の濃度を高くする必要があるが、このような難水溶性及び高結晶性のために製剤化が困難であった。
【0004】
このような状況から近年、コエンザイムQ10に関しては、各種の技術が開示されている。また、コエンザイムQ10を安定に配合した例として以下の文献が挙げられる。
特許文献1には、脂溶性物質としてコエンザイムQ10を用い、脂質ベシクルまたはリポソームにカプセル化することで製剤化した例が開示されている。
特許文献2には、ポリエチレングリコール、硬化ヒマシ油ポリオキシエチレン−(20)−エーテル等の非イオン界面活性剤を用いて、マントン−ゴーリン型の高圧ホモジナイザー(500〜550kg/cm2)で処理された脂肪乳剤が開示されている。
特許文献3には、結晶性薬剤としてユビキノンを用い、アジピン酸、大豆油等の油分に過飽和状態に溶解し、ポリオキシアルキレン系、ポリグリセリン脂肪酸エステル、トゥイーン系等の界面活性剤を用いて、O/W型マイクロエマルションを作成し、さらの他のO/W型マイクロエマルションに添加した吸収性のよい医薬品等の乳化組成物が開示されている。
特許文献4には、脂溶性物質としてユビキノンを、また乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセロリン脂質、さらに多価アルコールおよび水を加えてかき混ぜ、その後500〜2000kg/cm2の高圧で均質化処理することを特徴とする脂溶性物質水性液剤が開示されている。
【0005】
特許文献1のコエンザイムQ10ポソーム化は、リポソーム化する過程が入るため、時間とコストがかかる問題がある。
特許文献2のコエンザイムQ10脂肪乳剤は、粒径が大きく透明感で劣る問題がある。また製法が容易でない。
特許文献3には、低温での保存安定性に優れた化粧水が開示されているが、実際にこの技術を行ってみると、液温の低下とともに透明性が乏しくなり、沈殿も発生する。また、必要とされる耐熱性、耐酸性、耐塩性に劣る等の問題もある。
特許文献4には、多種の油性物質に適用可能な水中油型マイクロエマルションが開示されている。この技術では高圧を必要とするため、装置および設備が必要であり、製法が容易でない。
【0006】
コエンザイムQ10を含有する水性組成物としては、粒径が小さく透明性に優れ、溶解若しくは分散するための油性成分を必要とせず、また製造の際に特殊な条件、複雑な工程等が不要で、容易に製剤化ができることが求められている。
【0007】
しかしながら、コエンザイムQ10は、水に不溶で、光や熱、アルカリに対して不安定であると同時に結晶性が高いため、一般的に可溶化による製剤化には困難性が伴う。また、一旦組成物を調製しても、コエンザイムQ10の再結晶化による分離、沈殿、析出または浮上が生じ易いという問題がある。さらに、コエンザイムQ10の十分な効果を得るためには、水性組成物中のコエンザイムQ10の濃度を高くする必要があるが、このような難溶性および高結晶性のために水溶液化が困難である。コエンザイムQ10を化粧料等に添加する際に、乳化物等の場合、油性成分を用いるため結晶化は起こりにくくなるが、水性組成物の場合、このような通常使用される油性成分を必要とせず、さらにこれらに配合する際に必要とされる性質、透明性、耐酸性、耐塩性、耐熱性がともに優れ、安定性・保存性が良く、かつコエンザイムQ10を高濃度で含有しうる水性組成物が求められていた。
【特許文献1】特表2000−510841号公報
【特許文献2】特開昭60−199814号公報
【特許文献3】特開昭63−150221号公報
【特許文献4】特開2000−212066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、コエンザイムQ10を、水やその他の水性液体中に、分離、凝集、結晶化などを生ずることなく、安定に配合するための組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、コエンザイムQ10が難水溶性で、かつ高結晶性のため乳化による製剤化が困難である点に鑑みて、上記した課題を解決するべく鋭意研究した結果、コエンザイムQ10、アルキルグルコース誘導体および可溶化剤を含有する水性組成物とすることにより、可溶化後の結晶析出を防止することができ、そして可溶化組成物中に高濃度にコエンザイムQ10を含有させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
本発明に用いられるアルキルグルコース誘導体成分としては、アルキル基を有するグルコース誘導体であれば特に制限はないが、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(エチレンオキサイド付加モル数10〜20)やポリオキシプロピレンメチルグルコシド(エチレンオキサイド付加モル数10〜20)などが好ましい。
【0011】
本発明に用いられる可溶化剤としては、可溶化能を有する界面活性剤であれば特に制限はないが、HLB11以上の界面活性剤がより適している。具体的にはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、水素添加大豆リン脂質、酵素分解レシチン、レシチン、サポニン、ショ糖脂肪酸エステル等の界面活性剤等が好ましい。
【0012】
本発明の水性組成物には、上記必須成分のほか本発明の効果を損なわない範囲で油脂類、高級アルコール、脂肪酸、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、高分子化合物、粉体、顔料、その他の成分等を配合することができる。
【0013】
上記の油脂類としては、流動パラフィン、スクワラン、ホホバ油、2-エチルヘキサン酸セチル、オリーブ油、ヤシ油、ヒマシ油等の液体油;白色ワセリン、固形パラフィン、ラノリン、硬化油、硬化ヒマシ油、マイクロクリスタリンワックス、蜜ロウ等の半固体〜固体脂等が挙げられる。
【0014】
上記の高級アルコールとしては、セタノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、コレステロール、フィトステロール等が挙げられる。
【0015】
上記の高級脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸,ミリスチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、ラウリン酸等が挙げられる。
【0016】
上記のシリコーンとしては、ジメチコン、シクロメチコン、メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
【0017】
上記必須成分のほかの界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POEポリオキシプロピレンアルキルエーテル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEポリオキシプロピレンコポリマー、POEアルキルフェニルエーテル、POE硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミド、ポリエーテル変性シリコーン等の非イオン性界面活性剤;アルキル硫酸塩等の陰イオン性界面活性剤;レシチンや酢酸ベタイン系、イミダゾリニウムベタイン系等の両性界面活性剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0018】
上記の保湿剤としては、アルギニン、セリンなどの各種アミノ酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コロイドロチン硫酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、マルチトール、マルト-ス、ソルビトール、ブドウ糖、果糖等が挙げられる。
【0019】
上記の高分子化合物としては、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
【0020】
上記の粉体としては、タルク、雲母、二酸化チタン、セリサイト、カオリン、パール顔料、アルミニウムパウダー等の金属粉末顔料、酸化鉄(ベンガラ)、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、チタン酸化チタン焼結物、マンガンバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、群青、亜鉛華、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、シリカ、ナイロンパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、セルロースパウダー、赤色201号、赤色202号等や、そのジルコニウム、バリウムまたはアルミニウムレーキ類を含むの有機色素等が挙げられる。
【0021】
上記のその他の成分としては、L−メントール等の清涼剤;オキシベンゾン、パラアミノ安息香酸エステル等の紫外線吸収剤;トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等の抗酸化剤;パラベン、フェノキシエタノール等の防腐剤;イソプロピルメチルフェノール、トリクロロカルバン等の殺菌剤、コラーゲン、ケラチン、絹等のタンパクの加水分解物;水酸化カリウム、クエン酸等のpH調整剤、各種植物抽出エキス、グリチルリチン酸ジカリウム等の抗炎症剤;NaCl等の無機塩、ハマメリス水等の収斂剤、イオウ、アスコルビン酸リン酸マグネシウム塩等の美白剤、エデト酸塩等のキレート剤:アスコルビン酸などの各種ビタミン類、香料等が挙げられる。
【実施例】
【0022】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
(1)試料の調製方法
コエンザイムQ10と可溶化剤およびアルキルグルコース誘導体を下記の表1に示す割合で加熱溶解させる。次いで、溶解させた液にグリコール類を加え、精製水で全量100mlとして試料とした。
【0023】
(2)評価方法および評価基準
調製直後の水性組成物の状態、並びに40℃で6ヶ月保管した後の状態、凍結と解凍を各3回繰り返した後の状態を目視で下記の表2の評価基準に従って評価した。
【0024】
【表1】


【0025】
【表2】


【0026】
実施例1の結果、調整直後では非常に澄明な水性組成物が得られた。また、上記した各安定性条件においても分離、沈降、凝集、結晶化が起きず、可溶化状態が極めて安定なコエンザイムQ10を含有する水性組成物が得られることが分かる。
【0027】
以下に比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
(1)試料の調製方法
表1に示す配合にて、実施例1と同様の方法で調整した。
【0028】
(2)評価方法および評価基準
表1に示す配合にて、実施例1と同様の方法で評価した。
【0029】
(3)実施例1との相違点
比較例1は、実施例1の配合から、アルキルグルコース誘導体(エチレンオキサイド付加モル数が10〜20)を他の成分で代替したものである。
比較例2は、実施例1の配合から、アルキルグルコース誘導体(エチレンオキサイド付加モル数が10〜20)を、アルキルグルコース誘導体でエチレンオキサイド付加モル数が10より小さい成分で代替したものである。
比較例3は、実施例1の配合から、界面活性剤(HLB11以上)を、界面活性剤のHLBを11より小さいものに代替したものである。
【0030】
更にコエンザイムQ10を含有する水性組成物の処方例を以下に示す。
(調製法)実施例1と同様の方法で水性組成物を調製した。
(処方例1)美容液
コエンザイムQ10 0.1 g
アルキルグルコース誘導体 10.0 g
POE脂肪酸エステル 1.0 g
POE/POP エーテル 1.0 g
ジグリセリン 5.0 g
グリセリン 5.0 g
1,3-ブチレングリコール 10.0 g
カルボキシビニルポリマー 0.1g
水酸化カリウム 0. 05 g
精製水 残余
【0031】
(処方例2)化粧水
コエンザイムQ10 0.1 g
アルキルグルコース誘導体 10.0 g
POE脂肪酸エステル 1.0 g
POE/POP エーテル 1.0 g
ジグリセリン 1.0 g
グリセリン 5.0 g
1,3-ブチレングリコール 10.0 g
精製水 残余
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、難水溶性で高結晶性のコエンザイムQ10を、高濃度でかつ容易に、分離・沈降・凝集・結晶化などを起こさず安定的に可溶化した水性組成物である為、化粧料や医薬品、食品等広く応用が期待できる。
【出願人】 【識別番号】591230619
【氏名又は名称】株式会社ナリス化粧品
【住所又は居所】大阪府大阪市福島区海老江1丁目11番17号
【出願日】 平成17年3月30日(2005.3.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−273814(P2006−273814A)
【公開日】 平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願番号】 特願2005−99929(P2005−99929)