| 【発明の名称】 |
日和見病原体に対する抗菌剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】重富 康正
【氏名】小熊 恵二
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| 【要約】 |
【課題】テルペン系重合体を使用した新規な日和見病原体に対する抗菌剤を提供する。
【解決手段】テルペン系重合体を含有してなる日和見病原体に対する抗菌剤であって、 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 テルペン系重合体を含有してなる日和見病原体に対する抗菌剤であって、 当該テルペン系重合体が、ヒドロキシ基又はホルミル基を有しかつ炭素−炭素二重結合を有するテルペン系化合物の重合体、あるいは当該テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体又はその加水分解物である、平均重合度が5〜50のテルペン系重合体であり、かつ、当該テルペン系重合体がテルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体又はその加水分解物である場合、テルペン系化合物と、ビニルエステル化合物又はビニルアルコールとの共重合比が1:2〜1:25(モル比)である、抗菌剤。 【請求項2】 テルペン系重合体が、平均重合度が15〜50の、テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体であり、かつテルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合比が1:2〜1:25(モル比)である、請求項1記載の抗菌剤。 【請求項3】 テルペン系重合体が、平均重合度が15〜50の、テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体の加水分解物であり、かつテルペン系化合物とビニルアルコールとの共重合比が1:2〜1:25(モル比)である、請求項1記載の抗菌剤。 【請求項4】 ビニルエステル化合物が酢酸ビニルである、請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌剤。 【請求項5】 テルペン系重合体が、平均重合度が5〜30のテルペン系化合物の重合体である、請求項1記載の抗菌剤。 【請求項6】 テルペン系化合物が、ゲラニオール、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、リナロール、ファルネソール、ネロリドール、ネロール、タキソール、オイゲノール及びイソオイゲノールから選択される少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれかに記載の抗菌剤。 【請求項7】 日和見病原体が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、霊菌(Serratia marcescens)、プロテウス(Proteus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)、肝炎ウィルス(Hepatitis virus)、ヘルペスウィルス(Herpes virus)及びカンジダ(Candida)から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の抗菌剤。 【請求項8】 日和見病原体による感染を防御するための抗菌剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の抗菌剤。 【請求項9】 医療用の抗菌剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の抗菌剤。 【請求項10】 消毒剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の抗菌剤。 【請求項11】 成形体である、請求項1〜7のいずれかに記載の抗菌剤。 【請求項12】 日和見病原体による感染症の予防・治療剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の抗菌剤。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、日和見病原体に対する抗菌剤に関し、テルペン系化合物の重合体、並びにテルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体及びその加水分解物であるテルペン系重合体を含有する日和見病原体に対する抗菌剤に関する。 【背景技術】 【0002】 従来より、テルペン系化合物は抗菌性、防黴性、生物忌避性を有することが知られている(例えば、非特許文献1、2参照)。しかし、テルペン系化合物は、微弱ながらも揮発性であるため、その効力を長期にわたって持続させることができないという問題があった。 一方、テルペン系化合物は、テルペン系化合物の有する二重結合を利用して、酢酸ビニルとのラジカル共重合が可能であり、共重合して高分子化することにより、テルペン系化合物の揮発性を抑えることができることが知られている(例えば、非特許文献2参照)。 しかし、この共重合体中のどのようなものが、抗菌剤(特に日和見病原体に対する抗菌剤)として実用的に適し得るのかについては、具体的には何ら明らかにされていない。 一方、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類は70〜80重量%の濃度で黄色ブドウ球菌、緑膿菌に対して強い抗菌作用を発揮することがよく知られている。また、フェノール、クレゾール等のフェノール類も、黄色ブドウ球菌に対して強い抗菌作用を発揮することも知られている。しかし、これらのフェノール類は強い毒性があるため、代わりにアルキル安息香酸エステル(ニパエステル)を使用することが知られている(例えば、非特許文献3参照)。 【非特許文献1】堀口博著「防菌防黴の化学」三共出版,4−9頁,昭和61年2月25日発行 【非特許文献2】中国地域産学官コラボレーションシンポジウムinやまぐち要旨集,63頁 【非特許文献3】日本化学会編 農薬の化学 昭和59年9月発行 大日本図書 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 テルペン系重合体を使用した新規な日和見病原体に対する抗菌剤を提供する。 【課題を解決するための手段】 【0004】 上記課題を解決すべく発明者が鋭意検討した結果、テルペン系重合体が特定の範囲内の平均重合度を持ち、そして当該重合体がビニルエステル化合物との共重合体である場合には、テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合比が特定の範囲内の値である場合、日和見病原体に対して抗菌活性を有することを見出した。さらには、当該共重合体の加水分解物も、日和見病原体に対して抗菌活性を有することを見出した。即ち、本発明は以下の通りである。 [1] テルペン系重合体を含有してなる日和見病原体に対する抗菌剤であって、 当該テルペン系重合体が、ヒドロキシ基又はホルミル基を有しかつ炭素−炭素二重結合を有するテルペン系化合物の重合体、あるいは当該テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体又はその加水分解物である、平均重合度が5〜50のテルペン系重合体であり、かつ、当該テルペン系重合体がテルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体又はその加水分解物である場合、テルペン系化合物と、ビニルエステル化合物又はビニルアルコールとの共重合比が1:2〜1:25(モル比)である、抗菌剤。 [2] テルペン系重合体が、平均重合度が15〜50の、テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体であり、かつテルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合比が1:2〜1:25(モル比)である、上記[1]記載の抗菌剤。 [3] テルペン系重合体が、平均重合度が15〜50の、テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体の加水分解物であり、かつテルペン系化合物とビニルアルコールとの共重合比が1:2〜1:25(モル比)である、上記[1]記載の抗菌剤。 [4] ビニルエステル化合物が酢酸ビニルである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の抗菌剤。 [5] テルペン系重合体が、平均重合度が5〜30のテルペン系化合物の重合体である、上記[1]記載の抗菌剤。 [6] テルペン系化合物が、ゲラニオール、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、リナロール、ファルネソール、ネロリドール、ネロール、タキソール、オイゲノール及びイソオイゲノールから選択される少なくとも1種である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の抗菌剤。 [7] 日和見病原体が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、霊菌(Serratia marcescens)、プロテウス(Proteus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)、肝炎ウィルス(Hepatitis virus)、ヘルペスウィルス(Herpes virus)及びカンジダ(Candida)から選択される、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の抗菌剤。 [8] 日和見病原体による感染を防御するための抗菌剤である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の抗菌剤。 [9] 医療用の抗菌剤である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の抗菌剤。 [10] 消毒剤である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の抗菌剤。 [11] 成形体である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の抗菌剤。 [12] 日和見病原体による感染症の予防・治療剤である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の抗菌剤。 【発明の効果】 【0005】 本発明によれば、テルペン系重合体が、日和見病原体に対して実用可能なレベルの抗菌作用を有しており、また、高分子化により揮発の問題がなくなるため、これらの作用が長期にわたって持続する。さらに、高分子化により、抗菌作用に関与する官能基が局所的に高濃度となるため、その集積効果によりこれらの作用が増大する。 また、当該重合体のうち、テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体については、ビニルエステル化合物と共重合されていることにより、加工性が向上し、フィルム等への加工や成形材料への混合が容易になる。さらに、当該共重合体の加水分解物は、水溶性であるため、水系溶媒が用いられる各種用途に適用できる。従って、本発明の抗菌剤は、種々の形態により広範な適用が可能となるのである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0006】 本発明の日和見病原体に対する抗菌剤は、テルペン系重合体を含有してなる。当該テルペン系重合体は、平均重合度が5〜50のテルペン系重合体であって、(1)ヒドロキシ基又はホルミル基を有しかつ炭素−炭素二重結合を有するテルペン系化合物(以下、単にテルペン系化合物ともいう)の重合体、(2)当該テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体(テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合比は1:2〜1:25(モル比))又は(3)その加水分解物(テルペン系化合物とビニルアルコールとの共重合比は1:2〜1:25(モル比))、の3つの態様があり、それぞれについて以下で説明する。 【0007】 (1)ヒドロキシ基又はホルミル基を有しかつ炭素−炭素二重結合を有するテルペン系化合物の重合体(以下、単にテルペン系化合物の重合体ともいう) 本発明において、テルペン系化合物の重合体とは、モノマーがテルペン系化合物のみからなる重合体をいい、テルペン系化合物1種の重合体(即ち、単独重合体)のみならずテルペン系化合物2種以上の共重合体をも含む。テルペン系化合物の重合体として好ましくはテルペン系化合物の単独重合体である。 【0008】 本発明において、ヒドロキシ基又はホルミル基を有しかつ炭素−炭素二重結合を有するテルペン系化合物とは、植物中又は精油中に存在する一群の不飽和炭化水素化合物のうちヒドロキシ基又はホルミル基を有するものをいい、当該ヒドロキシ基又はホルミル基が日和見病原体に対して抗菌作用を発現していると考えられる。本発明において使用されるヒドロキシ基又はホルミル基を有しかつ炭素−炭素二重結合を有するテルペン系化合物の例としては、ゲラニオール、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、リナロール、ファルネソール、ネロリドール、ネロール、タキソール、オイゲノール、イソオイゲノール等を挙げることができる。 【0009】 テルペン系化合物の重合体においては、上記化合物のうち、日和見病原体に対する抗菌作用の観点からは、ゲラニオール、シトラール、シトロネラール、ネロール、オイゲノール、イソオイゲノールが好ましく、ゲラニオール、シトラール、イソオイゲノールが特に好ましい。 テルペン系化合物は1種又は2種以上を用いることができる。 【0010】 テルペン系化合物の重合体の平均重合度は5〜50であることが必須であり、平均重合度がこの範囲内であれば、当該重合体が日和見病原体に対して優れた抗菌作用を有する。さらに、難揮発性及び効果の持続性の観点から、平均重合度は5〜30であることが好ましく、7〜8であることがより好ましい。 本発明において、平均重合度は、元素分析装置(パーキンエルマー2400型、CHNS/O)を用い、重合体の末端の窒素の含有量を定量し、計算することにより求められる平均重合度をいう。 【0011】 (2)テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体 本発明において、当該共重合体は、1種又は2種以上のテルペン系化合物と1種又は2種以上のビニルエステル化合物との共重合体であり、好ましくは、1種のテルペン系化合物と1種のビニルエステル化合物との共重合体である。 【0012】 当該共重合体で使用されるテルペン系化合物としては、上記(1)と同じテルペン系化合物が例示でき、日和見病原体に対する抗菌作用の観点からは、ゲラニオール、シトラール、シトロネラール、イソオイゲノール、シトロネロール、リナロールが好ましく、シトロネラール、シトロネロール、リナロールが特に好ましい。 テルペン系化合物は1種又は2種以上を用いることができる。 【0013】 当該共重合体で使用されるビニルエステル化合物は、上記テルペン系化合物とラジカル共重合し得るビニルエステル化合物であればその種類には特に制限はなく、例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニルエステル化合物等が挙げられる。これらのうち、炭素数4〜9のビニルエステル化合物が好ましく、特に原料入手の容易さの観点から、酢酸ビニル、安息香酸ビニルが好ましい。また、テルペン系化合物との共重合体とした場合の成形材料向け用途やフィルム向け用途への適用の容易さの観点からは、酢酸ビニルが好ましい。 これらのビニルエステル化合物は1種又は2種以上を用いることができる。 【0014】 当該共重合体の平均重合度は5〜50であることが必須であり、平均重合度がこの範囲内であれば、当該共重合体が日和見病原体に対して優れた抗菌作用を有する。さらに、難揮発性、効果の持続性及びフィルム化の容易性の観点から、平均重合度は15〜50であることが好ましく、25〜50であることがより好ましい。 ここでいう平均重合度の測定方法は、上記(1)と同様である。 【0015】 テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合比(共重合体中のテルペン系化合物単位とビニルエステル化合物単位との比、すなわち、1種又は2種以上のテルペン系化合物単位:1種又は2種以上のビニルエステル化合物単位の比。)は、モル比で1:2〜1:25であることが必須であり、共重合比がこの範囲内であれば、当該共重合体が日和見病原体に対して優れた抗菌作用を有する。さらに共重合比は、官能基の集積効果の観点から、モル比で1:4〜1:25の範囲内であることが好ましく、1:4〜1:10の範囲内であることがより好ましく、1:4〜1:6の範囲内であることが最も好ましい。 本発明において、共重合比は、元素分析装置(パーキンエルマー2400型、CHNS/O)を用い、共重合体の炭素の含有率(%)を定量し、計算することにより求められる共重合比をいう。 【0016】 2種以上のテルペン系化合物を用いた場合、各テルペン系化合物間の共重合比には制限はない。同様に、2種以上のビニルエステル化合物を用いた場合、各ビニルエステル化合物間の共重合比には制限はない。 【0017】 (3)テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体の加水分解物 当該加水分解物は、(2)のテルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体が加水分解されることにより、ビニルエステル単位がビニルアルコール単位に変換された共重合体であり、好ましくは、1種のテルペン系化合物と1種のビニルエステル化合物との共重合体の加水分解物である。当該ビニルエステル単位は、すべてビニルアルコール単位に変換されていなくてもよいが、加水分解物の水溶性を確保するために、ビニルエステル単位はビニルアルコール単位に70%以上変換されていることが好ましく、90%以上変換されていることが特に好ましい。 【0018】 当該加水分解物の平均重合度は5〜50であることが必須であり、平均重合度がこの範囲内であれば、当該共重合体が日和見病原体に対して優れた抗菌作用を有する。さらに、難揮発性(無臭性)及び効果の持続性の観点から、平均重合度は15〜50であることがより好ましく、25〜50であることがより好ましい。 ここでいう平均重合度の測定方法は、上記(1)と同様である。 【0019】 当該加水分解物の共重合比(テルペン系化合物単位とビニルアルコール単位(完全に加水分解されていない場合は、ビニルエステル化合物単位を含む。)との比、すなわち、1種又は2種以上のテルペン系化合物単位:ビニルアルコール単位の比。)は、モル比で1:2〜1:25であることが必須であり、共重合比がこの範囲内であれば、当該共重合体が日和見病原体に対して優れた抗菌作用を有する。さらに共重合比は、官能基の集積効果及び水溶性の観点から、モル比で1:4〜1:25の範囲内であることが好ましく、1:4〜1:10の範囲内であることがより好ましく、1:4〜1:6の範囲内であることが最も好ましい。 ここでいう共重合比の測定方法は、上記(2)と同様である。 【0020】 加水分解物のビニルエステル単位のビニルアルコール単位への変換率は、ピリジンに溶かした無水酢酸による付加(アセチル化)を利用し、その付加量を定量することにより求めることができる。 【0021】 次に本発明のテルペン系重合体の製造方法について説明する。 (I)テルペン系化合物の重合体の製造方法 当該重合体は、重合開始剤を用いて1種又は2種以上のテルペン系化合物をラジカル重合することにより製造される。 【0022】 ラジカル重合の方法は、重合反応が進行する限り特に制限はされず、常法に従い行うことができる。重合方法の例としては、バルク重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、分散重合、沈殿重合等が挙げられる。重合方法としては、溶媒が不要であり、反応時間を短縮できることから、バルク重合が好ましい。 【0023】 重合開始剤は、通常のラジカル重合に用いられる重合開始剤であれば特に制限なく使用でき、例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニトリル、2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系開始剤;過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロ過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、クメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカルボナート、tert−ブチルペルオキシラウレート、ジ−tert−ブチルペルオキシフタレート、ジベンジルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド等の過酸化物系開始剤;ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ぺルオキソ二硫酸ナトリウム、ぺルオキソ二硫酸カリウム等のぺルオキソ硫酸塩系開始剤;過酸化ベンゾイル−N,N−ジメチルアニリン、ペルオキソ二硫酸−亜硫酸水素ナトリウム等のレドックス系開始剤等が挙げられる。これらのうち、アゾ系開始剤、ぺルオキソ硫酸塩系開始剤が好ましく、より好ましくは、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ペルオキソ二硫酸アンモニウムである。これらのラジカル重合開始剤は、単独でもまたは2種以上を同時にまたは順次に使用することもできる。 重合開始剤の使用量は、反応条件及び重合体の目的とする重合度に応じて適宜決定されるが、通常は、テルペン系化合物1モルに対し、1/20〜1/100モルであり、好ましくは1/20〜1/50モルである。特にバルク重合において重合開始剤の量がこの範囲内であれば、平均重合度が5〜50である重合体が得られ易い。 【0024】 バルク重合以外で反応を行う場合、使用される溶媒は、反応を阻害しないものであれば特に制限はなく、例としては、水;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン等のケトン類;n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−ドデシルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコールエーテル類;ギ酸n−プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸n−ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸n−ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル等のエステル類;2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸n−プロピル、2−オキシプロピオン酸イソプロピル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等のモノオキシカルボン酸エステル類;メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル等のアルコキシカルボン酸エステル類;セロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のセロソルブエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;トリクロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。これらのうち、好ましい溶媒としては、水である。 溶媒の使用量は、濃度が重合度に影響を及ぼすものであるから、重合方法、使用するモノマーの反応性や重合開始剤の種類等に応じて適宜決定されるが、通常はテルペン系化合物1kgに対し、0.5〜4Lであり、好ましくは1〜3Lである。 【0025】 ラジカル重合の開始反応は、重合開始剤の種類に応じて、常法に従い、熱、光、放射線等により行うことができる。反応操作の容易さの観点から、熱により重合を開始させることが好ましい。 反応温度は、重合反応が進行するのに必要な温度以上であればよく、重合開始剤の分解温度、反応時間、溶媒及びモノマーの沸点等に応じて適宜選択される。好ましい反応温度としては50〜70℃であり、より好ましい反応温度としては60〜70℃である。 反応時間は、反応温度、使用する重合開始剤及びテルペン系化合物の種類・濃度等に応じて適宜選択される。好ましい反応時間としては、12〜500時間であり、より好ましい反応時間としては12〜240時間である。 【0026】 反応終了後、反応混合物より常法にて単離して目的とするテルペン系化合物の重合体を得ることができる。単離方法としては、例えば、反応温度を一旦上昇させて開始剤を完全に分解させた後、減圧下で溶媒や残存モノマー等を留去する方法、重合体に対する多量の貧溶媒に反応混合物を投入し、沈殿物をろ過により回収する方法等が挙げられる。 【0027】 (II)テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体の製造方法 テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体は、重合開始剤を用いて1種又は2種以上のテルペン系化合物と1種又は2種以上のビニルエステル化合物とをラジカル重合することにより製造される。 【0028】 当該ラジカル重合は、バルク重合、溶媒重合等、上記(I)と同様の重合方法を採用して行うことができ、使用される重合開始剤の種類及び溶媒の種類については上記(I)と同様である。 【0029】 当該ラジカル重合において、重合開始剤の量は、反応条件及び重合体の目的とする重合度に応じて適宜決定されるが、通常は、テルペン系化合物及びビニルエステル化合物の合計1モルに対し、0.001〜0.1モルであり、好ましくは0.01〜0.05モルである。特にバルク重合において重合開始剤の量がこの範囲内であれば、平均重合度が5〜50である共重合体が得られ易い。 当該ラジカル重合において、溶媒の使用量は、濃度が重合度に影響を及ぼすものであるから、重合方法、使用するモノマーの反応性や重合開始剤の種類等に応じて適宜決定されるが、通常は、テルペン系化合物及びビニルエステル化合物の合計1kgに対し、1〜5Lであり、好ましくは1〜2Lである。 【0030】 開始反応は、上記(I)と同様に、熱、光、放射線等により行うことができ、熱により行うことが好ましい。 反応温度は、重合反応が進行するのに必要な温度以上であればよく、重合開始剤の分解温度、反応時間、溶媒及びモノマーの沸点等に応じて適宜選択される。好ましい反応温度としては40〜70℃であり、より好ましい反応温度としては60〜70℃である。 反応時間は、反応温度、使用する重合開始剤並びにテルペン系化合物及びビニルエステル化合物の種類・濃度等に応じて適宜選択される。好ましい反応時間としては、12〜500時間であり、より好ましい反応時間としては12〜240時間である。 【0031】 反応終了後、上記(I)と同様にして単離して、目的とするテルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体を得ることができる。 【0032】 (III)テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体の加水分解物の製造方法 当該加水分解物は、上記(II)の方法により得られるテルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体にアルカリを作用させて加水分解することにより製造することができる。加水分解の方法としては、例えば、ポリ酢酸ビニルをポリビニルアルコールに変換する際に一般的に採用される方法(例えば、テルペン系化合物とビニルエステル化合物との共重合体をメタノール等の溶媒に溶解し、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加する方法、水酸化ナトリウムのメタノール溶液に前記共重合体を添加する方法等)を採用することができる。 【0033】 以上のようなテルペン系重合体は、日和見病原体に対して抗菌作用を有する。ここで、日和見病原体とは、未熟児、高齢者、免疫抵抗力が弱まるような基礎疾患を持った患者、免疫抑制剤投与患者、外科手術後の患者等に対しては感受性が極めて高く、普通の健常者には感染し得ないような病原性の極めて弱い弱毒微生物や非病原微生物といわれてきた平素無害微生物をいう。このような日和見病原体のうち、細菌は、Staphylococcus属、Serratia属、Pseudomonas属、Legionella属、Klebsiella属、Enterobactor属、Proteus属、Haemophilus属、Bacteroides属等に属しており、具体的には、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)、Staphylococcus epidermidis(表皮ブドウ球菌)等のブドウ球菌;VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)等の腸菌;Serratia marcescens(霊菌)、Proteus(プロテウス)等の腸内細菌;Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)等のブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌(NFGNR);Legionella pneumophila(レジオネラ菌)等が挙げられる。 真菌としては、Candida、Aspergillus、Nocardia、Cryptococcus neoformans、Candida glabrata、Pneumocystis carinii等が挙げられる。さらに、寄生虫としては、Toxoplasmagondii、Giardia lamblia等が挙げられる。ウィルスとしては、サイトメガロウィルス、ヘルペスウィルス(Herpes virus)、肝炎ウィルス(Hepatitis virus)等が挙げられる。 【0034】 これらの中でも、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、霊菌(Serratia marcescens)、プロテウス(Proteus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)、肝炎ウィルス(Hepatitis virus)、ヘルペスウィルス(Herpes virus)、カンジダ(Candida)等が好ましく、特に、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、霊菌(Serratia marcescens)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)等に対して優れた抗菌作用を発揮する。 従って、本発明の抗菌剤によれば、日和見病原体による感染(特に院内感染)を防御することができ、医療用(医療器具、医療用衣類、医療装置、医療設備等の医療に関係する全てのものを対象とする)等の抗菌剤(特に消毒剤や成形体)として有用である。また、日和見病原体による感染症の予防・治療剤としても有用である。例えば、クリームや軟膏等とする場合は、上記テルペン系重合体の含有量は、好ましくは1〜70重量%、より好ましくは5〜60重量%であり、液剤等とする場合は、上記テルペン系重合体の含有量は、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%である。 なお、本発明において、「防御」とは、ヒトを含む哺乳動物に投与して感染を防止(即ち予防)するのみならず、投与以外の方法、例えば、皮膚や器具等の消毒等といった周囲環境における菌の生育を抑制することにより感染を防止することも含む。 【0035】 本発明の抗菌剤は、その使用形態には特に制限はなく、使用形態の例としては、(A)上記テルペン系重合体を成形体の中に混入させる;(B)上記テルペン系重合体を成形体化又はフィルム化する;(C)上記テルペン系重合体を溶液化する(上記テルペン系重合体の含有量は好ましくは1〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%);(D)上記テルペン系重合体を溶液化し、基材(フィルム、テープ、繊維、成形体等)に塗布、又は当該基材を上記テルペン系重合体の溶液に浸漬し、乾燥して、基材表面を上記テルペン系重合体でコーティングする;(E)上記テルペン系重合体を油性基剤と混合してクリームや軟膏(上記テルペン系重合体の含有量は好ましくは1〜70重量%、より好ましくは5〜60重量%)とする等が挙げられる。 【0036】 これらの使用態様の具体的な例としては、カテーテルに上記テルペン系重合体の溶液を塗布・乾燥してコーティングした抗菌カテーテル;ティッシュを上記テルペン系重合体溶液に浸漬し乾燥させた除菌ティッシュ;フィルムに上記テルペン系重合体の溶液を塗布・乾燥してコーティングした抗菌フィルム;上記テルペン系重合体の水溶液を含む消毒剤又は化粧水;包装紙を上記テルペン系重合体溶液に浸漬し乾燥させた果物包装紙;上記テルペン系重合体を成形した排水管;上記テルペン系重合体のクリームや上記テルペン系重合体をワセリンと混合した軟膏等が挙げられる。 【0037】 上記テルペン系重合体が、(1)テルペン系化合物の重合体である場合には、テルペン系化合物の重合体は、粘性のある油状であるため、上記(C)〜(E)の使用態様が好ましく、(2)テルペン系化合物とビニルエステル化合物の共重合体である場合には、当該共重合体が油溶性であり、またビニルエステル化合物による成形性の向上効果があるため、上記(A)〜(E)の使用態様が好ましく、(3)テルペン系化合物とビニルエステル化合物の共重合体の加水分解物である場合には、当該加水分解物が水溶性であるため、上記(C)〜(D)の使用態様が好ましく、さらにこの場合、溶液は水溶液であることがより好ましい。 【実施例】 【0038】 以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限られるものではない。最初に本発明で用いるテルペン系重合体の合成の実施例について示す。 【0039】 実施例1 イソオイゲノール単独重合体の合成 イソオイゲノール32.86g(200mmol)と、ぺルオキソ二硫酸アンモニウムを0.896g(4mmol)を水30mLに溶かした。これを60℃の水浴中で撹拌しながら7日間加熱した。反応後、適当量の水を加え、よく撹拌した後、デカンテーションで水を除いて未反応の開始剤を除いた。さらに減圧下で濃縮することにより、水と未反応のモノマーを除去し、イソオイゲノール単独重合体を得た(収率85%)。重合体生成の確認はFT−IRにて行った。イソオイゲノール及びイソオイゲノール単独重合体のFT−IR測定の結果を図1及び2に示す。 【0040】 実施例2 シトラール単独重合体の合成 シトラール30.4g(200mmol)にAIBN(4mmol)を加え、60℃で14日間反応を行った。水で洗った後、120℃に加熱し、AIBNを分解除去した。ロータリーエバポレーターで未反応モノマーを除去し、シトラール単独重合体を得た(収率81%)。重合体生成の確認はFT−IRにて行った。シトラール及びシトラール単独重合体のFT−IR測定の結果を図3及び4に示す。 【0041】 実施例3 リナロール単独重合体の合成 リナロール30.5g(200mmol)にAIBN(4mmol)を加え、60〜70℃で7日間反応を行った。実施例2と同様の回収操作を行い、リナロール単独重合体を得た(収率50%)。 【0042】 実施例4 シトロネロール単独重合体の合成 シトロネロール30g(200mmol)にAIBN(4mmol)を加え、60〜70℃で14日間重合を行った。実施例2と同様の回収操作を行い、シトロネロール単独重合体を得た(収率60%)。 【0043】 実施例5 ゲラニオール単独重合体の合成 ゲラニオール30.5g(200mmol)とペルオキソ二硫酸アンモニウム0.92g(4mmol)の混合物を70℃で7日間反応させた。実施例1と同様の回収操作を行い、ゲラニオール単独重合体を得た(収率85%)。重合体生成の確認はFT−IRにて行った。ゲラニオール及びゲラニオール単独重合体のFT−IR測定の結果を図5及び6に示す。 【0044】 実施例6〜10 その他テルペン系化合物の単独重合体の合成 シトロネラール、ネロール、ネロリドール、ファルネソール、オイゲノールの単独重合体を実施例1又は2と同様の方法で得た。 【0045】 実施例11〜16 イソオイゲノール/酢酸ビニル共重合体及びイソオイゲノール/ビニルアルコール共重合体の合成 イソオイゲノール3g(18.27mmol)及び酢酸ビニル27g(313.6mmol)(モル比1:17)にペルオキソ二硫酸アンモニウム1.5214g(6.661mmol)を加え、60℃で7日間重合を行った。精製は、反応生成物をテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、激しくかき混ぜながら水を加え、沈殿した樹脂を回収して行った。この操作は2〜3回繰り返し、イソオイゲノール/酢酸ビニル共重合体を得た(収率85%)。 得られた共重合体の一部を加水分解するために、イソオイゲノール/酢酸ビニル共重合体1gをメタノール50mLに溶かし、水酸化ナトリウムの飽和メタノール溶液を過剰に加えた。数時間放置し、生じた白色沈殿を遠心分離機で分離し、上澄み液を捨てた。沈殿物をソックスレイ抽出機に移し、メタノールを循環させ、5時間抽出を行い、イソオイゲノール/ビニルアルコール共重合体を得た。この場合の収率は理論量の95%程度であった。 共重合比の異なるイソオイゲノール/酢酸ビニル共重合体及びイソオイゲノール/ビニルアルコール共重合体を得るために、イソオイゲノールと酢酸ビニルのモル比を1:11及び1:5.7とし、開始剤の量をイソオイゲノールと酢酸ビニルの合計に対して1/50モルとし、上記と同様の反応を行った。 【0046】 実施例17〜22 シトラール/酢酸ビニル共重合体及びシトラール/ビニルアルコール共重合体の合成 シトラール3g(19.45mmol)及び酢酸ビニル27g(313.6mmol)(モル比1:16)にペルオキソ二硫酸アンモニウム1.5200g(6.661mmol)を加え、60℃で14日間重合を行った。上記と同様の回収操作を行い、シトラール/酢酸ビニル共重合体を得た(収率73%)。 得られた共重合体の一部を加水分解するために、シトラール/酢酸ビニル共重合体1gを、水酸化ナトリウムを飽和させたメタノール50mLに溶かし、放置した。沈殿を遠心分離機で分離して、シトラール/ビニルアルコール共重合体を得た。 共重合比の異なるシトラール/酢酸ビニル共重合体及びシトラール/ビニルアルコール共重合体を得るために、シトラールと酢酸ビニルのモル比を1:11.1及び1:5.2とし、開始剤の量をシトラールと酢酸ビニルの合計に対して1/50モルとし、上記と同様の反応を行った。 【0047】 実施例23〜28 リナロール/酢酸ビニル共重合体及びリナロール/ビニルアルコール共重合体の合成 リナロール3g(19.4mmol)及び酢酸ビニル27g(313.6mmol)(モル比1:16.4)にペルオキソ二硫酸アンモニウム1.5220g(6.661mmol)を加え、60℃で7日間重合を行った。上記と同様の回収操作を行い、リナロール/酢酸ビニル共重合体を得た(収率80%)。 得られた共重合体の一部を加水分解するために、リナロール/酢酸ビニル共重合体1gに水酸化ナトリウムを飽和させたメタノール25mLに溶かし、60℃で数時間放置した。生成した沈殿を遠心分離機で分離し、メタノールで洗浄し、リナロール/ビニルアルコール共重合体を得た。 共重合比の異なるリナロール/酢酸ビニル共重合体及びリナロール/ビニルアルコール共重合体を得るために、リナロールと酢酸ビニルのモル比を1:10.7及び1:5.3とし、開始剤の量をリナロールと酢酸ビニルの合計に対して1/50モルとし、上記と同様の反応を行った。 【0048】 実施例29〜34 シトロネロール/酢酸ビニル共重合体及びシトロネロール/ビニルアルコール共重合体の合成 シトロネロール3g(19.19mmol)及び酢酸ビニル27g(313.6mmol)(モル比1:16.3)にペルオキソ二硫酸アンモニウム1.519g(6.656mmol)を加え、60〜70℃で14日間重合を行った。上記と同様の回収操作を行い、シトロネロール/酢酸ビニル共重合体を得た(収率86%)。 得られた共重合体の一部を加水分解するために、上記実施例23〜28と同様の操作を行い、シトロネロール/ビニルアルコール共重合体を得た。 共重合比の異なるシトロネロール/酢酸ビニル共重合体及びシトロネロール/ビニルアルコール共重合体を得るために、シトロネロールと酢酸ビニルのモル比を1:10.8及び1:5.4とし、開始剤の量をシトロネロールと酢酸ビニルの合計に対して1/50モルとし、上記と同様の反応を行った。 【0049】 実施例35〜40 ゲラニオール/酢酸ビニル共重合体及びゲラニオール/ビニルアルコール共重合体の合成 ゲラニオール3g(18.27mmol)及び酢酸ビニル27g(313.6mmol)(モル比1:16)にペルオキソ二硫酸アンモニウム1.5201g(6.661mmol)を加え、60〜65℃で7日間重合を行った。上記と同様の回収操作を行い、ゲラニオール/酢酸ビニル共重合体を得た(収率80%)。 得られた共重合体の一部を加水分解するために、上記実施例23〜28と同様の操作を行い、ゲラニオール/ビニルアルコール共重合体を得た。 共重合比の異なるゲラニオール/酢酸ビニル共重合体及びゲラニオール/ビニルアルコール共重合体を得るために、ゲラニオールと酢酸ビニルのモル比を1:10及び1:5.3とし、開始剤の量をゲラニオールと酢酸ビニルの合計に対して1/50モルとし、上記と同様の反応を行った。ゲラニオールと酢酸ビニルのモル比を1:5.3としたものについて、共重合体生成の確認をFT−IRにて行った。FT−IR測定の結果を図7に示す。 【0050】 実施例41〜70 その他のテルペン系化合物/酢酸ビニル共重合体及びその他のテルペン系化合物/ビニルアルコール共重合体の合成 シトロネラール、ネロール、ネロリドール、ファルネソール、オイゲノールについても、酢酸ビニルとの共重合体、ビニルアルコールとの共重合体を実施例11〜40と同様の合成法で得た。 【0051】 上記実施例で得られた本発明で用いるテルペン系重合体の平均重合度を、以下の方法により求めた。また、テルペン系化合物と酢酸ビニルとの共重合体の共重合比及びテルペン系化合物とビニルアルコールとの共重合体の共重合比を以下の方法により求めた。単独重合体の測定結果を表1に、共重合体の測定結果を表2に示す。 〔平均重合度〕 元素分析装置(パーキンエルマー2400型、CHNS/O)を用い、重合体の末端の窒素の含有量を定量し、計算することにより求めた。 〔共重合比〕 元素分析装置(パーキンエルマー2400型、CHNS/O)を用い、共重合体の炭素の含有率(%)を定量し、計算することにより求めた。 【0052】 【表1】
【0053】 【表2−1】
【表2−2】
【0054】 本発明で用いるテルペン系重合体が難揮発性になっていることを確認するために、以下の試験を行った。 試験例1 難揮発性試験 シトラール、実施例2のシトラール単独重合体、実施例19のシトラール/酢酸ビニル共重合体、ゲラニオール、実施例5のゲラニオール単独重合体、実施例37のゲラニオール/酢酸ビニル共重合体について、熱分析装置(株式会社島津製作所製、DTG60)を用い、窒素気流下、10℃/分の昇温速度で加熱し、質量変化を測定することにより熱分析を行った。結果を図8〜13に示す。 図8〜10の結果より、シトラールよりもシトラール単独重合体及びシトラール/酢酸ビニル共重合体の方が、図11〜13の結果より、ゲラニオールよりもゲラニオール単独重合体及びゲラニオール/酢酸ビニル共重合体の方が温度上昇に対する重量減少が少なく、難揮発性であることがわかる。 【0055】 次に、本発明で用いるテルペン系重合体の日和見病原体に対する抗菌作用を以下の試験例のように評価した。 試験例2 抗菌テスト テトラヒドロフラン10μLに、実施例のテルペン系重合体1mgを溶解させた溶液を1×1cmのセロハン紙に塗布して、1週間乾燥させた。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、霊菌(S.marcescens)、緑膿菌(P.aeruginosa)またはレジオネラ菌(Legionella)を接種したベネット培地の上に、このセロハン紙を置いて、抗菌性について調べた。抗菌性の評価は、以下の基準に従って行った。結果を表3に示す。 +++:菌の繁殖が全く認められないもの(セロハン紙の下が透明) ++ :僅かに菌の繁殖が認められたもの (セロハン紙の下が僅かに白っぽくなる) + :少し繁殖が認められたもの(セロハン紙の下が薄く白くなる) − :菌の繁殖が認められたもの (セロハン紙の下がセロハン紙を置いていない所と同じ程度白く濁る) 【0056】 【表3】
【0057】 試験例3 抗菌テスト 実施例のテルペン系重合体とワセリンとを、テルペン系重合体濃度が5〜60重量%となるように混合し、これを1×1cmのセロハン紙に塗布した。このセロハン紙について、試験例2と同様の方法により抗菌性について調べた。抗菌性の評価は、試験例2と同様の基準に従って行った。結果を表4に示す。 【0058】 【表4】
【0059】 試験例4 抗菌性テスト 実施例のテルペン系化合物とポリ塩化ビニルとを、テルペン系重合体濃度が40重量%となるように混合し、これをフィルム化した。このフィルムについて、試験例2と同様の方法により抗菌性について調べた。抗菌性の評価は、試験例2と同様の基準に従って行った。結果を表5に示す。これは抗菌カテーテルを想定した試験である。 【0060】 【表5】
【0061】 試験例5 抗菌性テスト 実施例のテルペン系化合物と以下のグリシジルエーテルとを10:1(重量比)で混合し、次いで、その重量の約5倍のテトラヒドロフランに溶解した。これをポリウレタンフィルムに塗布し、乾燥した。このフィルムについて、試験例2と同様の方法により抗菌性について調べた。抗菌性の評価は、試験例2と同様の基準に従って行った。結果を表6に示す。 【0062】 【化1】
【0063】 【表6−1】
【表6−2】
【0064】 表3〜6の結果より、実施例のテルペン系重合体が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、霊菌(S.marcescens)、緑膿菌(P.aeruginosa)、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)等に対して抗菌作用を示すことがわかる。 【0065】 製剤例1(クリームの調製) イソオイゲノール単独重合体 20.5重量部 ステアリルアルコール 6.0重量部 ステアリン酸 3.0重量部 スクワラン 5.0重量部 オクチルドデカノール 6.0重量部 グリセリルモノステアリン酸エステル 2.0重量部 1,3−ブチレングリコール 8.0重量部 エタノール 4.0重量部 香料 0.5重量部 精製水 45.0重量部 計 100.0重量部 常法により上記成分を混合し、加熱し、乳化することにより、クリームを調製した。 【0066】 製剤例2(軟膏) ゲラニオール単独重合体 20.5重量部 蜜蝋 5.0重量部 固体パラフィン 10.0重量部 流動パラフィン 10.0重量部 スクララン 10.0重量部 ワセリン 44.0重量部 香料 0.5重量部 計 100.0重量部 常法により上記成分を混合して80℃に加熱し、混合物が完全に溶解したことを確認し、冷却することにより、軟膏を調製した。 【産業上の利用可能性】 【0067】 テルペン系化合物の重合体を含有する本発明の抗菌剤は、日和見病原体に対して優れた抗菌活性を有するものであるので、日和見病原体による感染(院内感染)を防御することができ、医療用等の抗菌剤として有用である。また、日和見病原体による感染症の予防・治療剤としても有用である。 【図面の簡単な説明】 【0068】 【図1】イソオイゲノールのFT−IRスペクトル。 【図2】イソオイゲノール単独重合体のFT−IRスペクトル。 【図3】シトラールのFT−IRスペクトル。 【図4】シトラール単独重合体のFT−IRスペクトル。 【図5】ゲラニオールのFT−IRスペクトル。 【図6】ゲラニオール単独重合体のFT−IRスペクトル。 【図7】ゲラニオール/酢酸ビニル共重合体のFT−IRスペクトル。 【図8】シトラールのTG曲線。 【図9】シトラール単独重合体のTG曲線。 【図10】シトラール/酢酸ビニル共重合体のTG曲線。 【図11】ゲラニオールのTG曲線。 【図12】ゲラニオール単独重合体のTG曲線。 【図13】ゲラニオール/酢酸ビニル共重合体のTG曲線。
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| 【出願人】 |
【識別番号】502169478 【氏名又は名称】財団法人岡山県産業振興財団 【識別番号】504147243 【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
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| 【出願日】 |
平成17年3月30日(2005.3.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080791 【弁理士】 【氏名又は名称】高島 一
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| 【公開番号】 |
特開2006−273796(P2006−273796A) |
| 【公開日】 |
平成18年10月12日(2006.10.12) |
| 【出願番号】 |
特願2005−98826(P2005−98826) |
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