| 【発明の名称】 |
抗高血圧剤及び飲食品 |
| 【発明者】 |
【氏名】日比野 康英
【氏名】飯塚 博
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| 【要約】 |
【課題】副作用がなく日常的に手軽に摂取できる、高血圧症の予防、改善効果の高い抗高血圧剤及び飲食品を提供する。
【解決手段】植物繊維質原料を含む培地に担子菌の菌糸体を培養して得られた培養物から抽出された成分を有効成分として含有させることにより、高血圧症の予防、改善のために用いられる抗高血圧剤及び飲食品を得る。前記抽出成分は、糖質、蛋白質、及び水溶性リグニンを含むものであることが好ましい。前記植物繊維質原料は、禾本科植物から調製されたものであることが好ましく、バガス、トウモロコシの茎葉、小麦ふすま、米糠、稲藁、茅、熊笹、及び竹から選ばれた1種又は2種以上であることがより好ましい。担子菌としてはマンネン茸、ブクリョウ、コフキサルノコシカケ、カワラ茸、椎茸、ヒラ茸、マイ茸、エノキ茸、シメジ茸、ヤマブシ茸、アガリクス等が用いられる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植物繊維質原料を含む培地に担子菌の菌糸体を培養して得られた培養物から抽出された成分を有効成分とする抗高血圧剤。 【請求項2】 前記抽出成分が、糖質、蛋白質、及び水溶性リグニンを含むものである請求項1記載の抗高血圧剤。 【請求項3】 前記植物繊維質原料が、禾本科植物から調製されたものである請求項1又は2記載の抗高血圧剤。 【請求項4】 前記植物繊維質原料が、バガス、トウモロコシの茎葉、小麦ふすま、米糠、稲藁、茅、熊笹、及び竹から選ばれた1種又は2種以上である請求項1又は2記載の抗高血圧剤。 【請求項5】 前記担子菌が、マンネン茸、ブクリョウ、コフキサルノコシカケ、カワラ茸、椎茸、ヒラ茸、マイ茸、エノキ茸、シメジ茸、ヤマブシ茸、及びアガリクスから選ばれたものである請求項1〜4のいずれか1つに記載の抗高血圧剤。 【請求項6】 植物繊維質原料を含む培地に担子菌の菌糸体を培養して得られた培養物から抽出された成分を含有し、高血圧症の予防、改善のために用いられる旨の表示を付した飲食品。 【請求項7】 前記抽出成分が、糖質、蛋白質、及び水溶性リグニンを含むものである請求項6記載の飲食品。 【請求項8】 前記植物繊維質原料が、禾本科植物から調製されたものである請求項6又は7記載の飲食品。 【請求項9】 前記植物繊維質原料が、バガス、トウモロコシの茎葉、小麦ふすま、米糠、稲藁、茅、熊笹、及び竹から選ばれた1種又は2種以上である請求項6又は7記載の飲食品。 【請求項10】 前記担子菌が、マンネン茸、ブクリョウ、コフキサルノコシカケ、カワラ茸、椎茸、ヒラ茸、マイ茸、エノキ茸、シメジ茸、ヤマブシ茸、及びアガリクスから選ばれたものである請求項6〜9のいずれか1つに記載の飲食品。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、植物繊維質原料を含む培地に担子菌の菌糸体を培養して得られた培養物から抽出された成分を有効成分とする、高血圧症の予防、改善のために用いられる抗高血圧剤及び飲食品に関する。 【背景技術】 【0002】 一般に血圧は年齢とともに上昇し、60歳以上では軽症も含めると2人に1人は高血圧症であると言われ、10〜15年かけてゆっくり進行する代表的な生活習慣病である。 【0003】 世界保険機構(WHO)の専門委員会の基準では、高血圧症は、最大血圧(収縮期血圧)が160mmHg以上でかつ(又は)最小血圧(拡張期血圧)が95mmHg以上と定義されている。 【0004】 高血圧による障害は、全身の血管に動脈硬化を引き起こし、脳障害(脳出血、脳梗塞)、心臓障害(心肥大、心不全、狭心症、心筋梗塞)、腎障害(腎硬化症、腎不全)、眼の障害など全身に様々な障害を誘発し、生命を脅かすようになる。平成15年の人口動態統計(確定数)の概況によると死因の約30%が心疾患と脳血管疾患である。高血圧症は、自覚症状がほとんど無いことからサイレントキラーとも呼ばれ、恐れられている。 【0005】 高血圧症の90〜95%は、原因が特定できない本態性高血圧と言われている。本態性高血圧症は、遺伝因子と生活習慣(塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、過度の飲酒、喫煙、ストレスなど)が複雑に絡み合って発症すると考えられる。 【0006】 高血圧症の改善には、生活習慣を改善して、原因を除去することが重要であるが、減塩、ダイエット、運動、禁煙、酒量の適正化等の摂生を毎日続けることは容易なことではない。更にストレスを減らすことも現実的には困難である。 【0007】 しかも、このような生活習慣改善でも血圧が改善しない場合は薬剤治療が必要となる。高血圧症の薬剤としては、例えば利尿剤、交感神経抑制剤(β−ブロッカー、α−ブロッカー等)、カルシウム拮抗剤、アンジオテンシン(ACE)変換酵素阻害剤、アンジオテンシン受容体拮抗剤などが使用されている。目標通りの血圧低下が得られない場合には、これらの薬剤を組み合わせる必要もある。 【0008】 しかし、薬剤はそれ自体が体への負担となるばかりでなく、副作用を伴うことが多くQOLの低下を引き起こす可能性がある。 【0009】 食品の中には血圧低下作用のあるものが有り、薬剤治療の欠点を補う為に生活習慣改善と共に血圧低下作用のある食品を摂取することは有効な方法と考えられている。 【0010】 その一例として、かつお節の熱水抽出物から高血圧を改善する特定保健用食品が開発されている(非特許文献1参照)。 【0011】 また、食用きのこの中にも、マイタケ(非特許文献2参照)、ブナハリタケ(非特許文献3、4参照)、エノキタケ(特許文献1参照)、ハナビラタケ(特許文献2参照)、エリンギ(特許文献3参照)のように、血圧を低下させるものが報告されており、上記ブナハリタケからは、血圧が高目の人に対する特定保健用食品が開発されている。 【非特許文献1】藤田裕之、安本良一、長谷川晶康、大嶋一徳、かつお節オリゴペプチドによるヒトボランティアに対する血圧降圧作用(II)、薬理と治療、25 2161−2165(1997) 【非特許文献2】Y. Kabir and S. Kimura、Dietary Mushrooms Reduce Blood Pressure in Spontaneously Hypertensive Rats(SHR)、J. Nutr. Sci. Vitaminol、35 91−94(1989) 【非特許文献3】佐藤拓、2002年版きのこ年鑑 259−265(2002) 【非特許文献4】土田隆、益子研士、長田秀幸、佐藤拓、薬理と治療 29 899−906(2001) 【特許文献1】特開2004−89128号公報 【特許文献2】特開2004−292414号公報 【特許文献3】特開2002−176975号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0012】 高血圧症は、10〜15年かけてゆっくり進行し、全身の動脈硬化を引き起こす誘因となり、脳血管障害、虚血性心疾患、解離性大動脈瘤、腎疾患、網膜症など多種の疾患のリスクファクターである。 【0013】 原因の特定できない本態性高血圧症にならないためには、若い頃からの望ましい生活習慣が重要である。しかし、日常的に減塩、禁煙、運動、食事量や飲酒量の適正化等の摂生を続けることは容易ではなく、時間に追われ効率化を求められる複雑化した社会情勢の中ではストレスを減少させることも困難である。 【0014】 したがって、本発明は、副作用がなく日常的に手軽に摂取できる、高血圧症の予防、改善効果の高い抗高血圧剤及び飲食品を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0015】 上記目的を達成するため、本発明の1つは、植物繊維質原料を含む培地に担子菌の菌糸体を培養して得られた培養物から抽出された成分を有効成分とする抗高血圧剤を提供するものである。 【0016】 また、本発明のもう1つは、植物繊維質原料を含む培地に担子菌の菌糸体を培養して得られた培養物から抽出された成分を含有し、高血圧症の予防、改善のために用いられる旨の表示を付した飲食品を提供するものである。 【0017】 本発明の抗高血圧剤及び飲食品においては、前記抽出成分が、糖質、蛋白質、及び水溶性リグニンを含むものであることが好ましい。 【0018】 また、前記植物繊維質原料が、禾本科植物から調製されたものであることが好ましく、バガス、トウモロコシの茎葉、小麦ふすま、米糠、稲藁、茅、熊笹、及び竹から選ばれた1種又は2種以上であることがより好ましい。 【0019】 更に、前記担子菌が、マンネン茸、ブクリョウ、コフキサルノコシカケ、カワラ茸、椎茸、ヒラ茸、マイ茸、エノキ茸、シメジ茸、ヤマブシ茸、及びアガリクスから選ばれたものであることが好ましい。 【発明の効果】 【0020】 本発明の有効成分である、植物繊維質原料を含む培地に担子菌の菌糸体を培養して得られた培養物から抽出された成分は、植物繊維質原料中に含まれるセルロース、ヘミセルロース、リグニンなどが、培養期間中に担子菌の菌糸体が生産するセルラーゼ、フェノールオキシダーゼ、ラッカーゼ、パーオキシダーゼ、プロテアーゼなどの酵素により、消化、分解、及び縮合を起こして生成したペントース主体のプロテオグリカンに、酵素により変性して水溶性化した変性水溶性リグニンが複雑に結合した物質からなっている。この抽出成分は、後述する実施例に示されるように、高血圧自然発症ラットに経口投与すると、血圧の上昇を有意に抑制する。 【0021】 したがって、本発明の抗高血圧剤及び飲食品を摂取することにより、本態性高血圧を予防し、心疾患、脳血管障害、腎疾患、眼疾患等のリスク低減が期待される。 【0022】 また、すでに高血圧となった場合でも、本発明の抗高血圧剤を摂取することにより、血圧を低下させ、血圧のコントロールを容易にし、高血圧治療におけるQOL低下を防ぐことが期待される。 【0023】 本発明の有効成分である上記抽出成分は、天然物から得られた物であり、化学薬品などにみられる副作用の心配はなく、日常生活の中で手軽に摂取することができる。 【0024】 また、既に高血圧症となった場合にも生活習慣改善に加えて、更なる降圧効果が期待でき血圧のコントロールを容易にする。 【0025】 更に、生活改善だけでは目標の血圧まで低下できない場合は、薬剤を服用する必要があるが、本発明の抗高血圧剤及び飲食品は、安全に手軽に接種できることから、薬剤と併用することで服薬量を低減化し、患者のQOL向上を可能とする。 【発明を実施するための最良の形態】 【0026】 本発明に用いられる担子菌としては、特に限定されず、例えば、マンネン茸、ブクリョウ、コフキサルノコシカケ、カワラ茸などの薬用茸や、椎茸、ヒラ茸、マイ茸、エノキ茸、シメジ茸、ヤマブシ茸、アガリクスなどの食用茸など各種のものが挙げられる。この中でも、特にマンネン茸、椎茸が好ましく採用される。 【0027】 本発明では、これらの担子菌の菌糸体を、植物繊維質原料を含む培地を用いて培養し、その培養物から有効成分を抽出する。この場合、培地としては、固体培地、液体培地の何れも使用できる。培地に用いる植物繊維質原料としては、リグニンを含有する植物から調製されたものが好ましく用いられる。リグニンを含有する植物としては、禾本科植物、例えばバガス(さとうきびの搾り粕)、トウモロコシの茎葉、小麦ふすま、米糠、稲藁、茅などが好ましく用いられる。この他に、熊笹、竹なども使用できる。特に好ましくは、バガス、熊笹の茎葉、とうもろこしの茎から選ばれた少なくとも1種と、米糠とを含む培地が用いられる。また、培地には、必要に応じて他の栄養成分として、酵母エキス、乾燥酵母、クロレラ、スピルリナ、コーンミール、おからなどを添加混合してもよい。 【0028】 担子菌の菌糸体の培養は、上記のような植物繊維質原料を含む培地に、前記担子菌の菌糸を接種して行う。固体培地の場合は、水分が60〜80%となるように調製し、常法に従い高圧蒸気滅菌した後、菌糸を接種し、例えば温度が18〜25℃に空調された培養室で3〜6か月培養する。こうして菌糸体が蔓延した培地は、温度処理室に移して変温処理を行うことが好ましい。変温処理は、例えば最初に30〜34℃で24〜48時間加温し、次に低温室に移して3〜5日間処理する。その後培養室に移すと子実体の発生が始まるが、この時点で培養を終了し、培養物を破砕機で破砕する。 【0029】 一方、液体培地の場合は、植物原料を細かく破砕し、必要に応じて米糠等の他の栄養成分を加え、原料が5〜20質量%となるように培地を調製した後、通気攪拌培養もしくは振盪培養により、好ましくは20〜28℃の温度で1週間〜2か月間程度培養を行う。培養は培地のpHが3.5〜5に低下し、培地中に菌糸が蔓延した状態で終了する。 【0030】 培養終了後、菌糸体に内在する酵素を利用して菌糸体を自己消化させると共に培養物を抽出する。その好ましい方法として、固体培地の場合は培養が終了した培養物を破砕し、必要に応じて少量の水を加え、30〜60℃で3〜6時間処理し、菌糸体の酵素反応を進め、自己消化させる。次いで、この破砕物を50℃以上の温水又は熱水に浸潤させ、有効成分を抽出する。抽出は、例えば1.2Kg/cm2の蒸気圧下で120℃というような加圧高温下で行うこともできる。こうして得られた抽出懸濁液を、好ましくは濾過または遠心分離して濾液又は上清を採取することにより、培地の分解物、菌糸体の代謝産物及び菌糸体細胞の分解物などを含む抽出液を得ることができる。 【0031】 一方、液体培養の場合は、培養物全体を30〜60℃で3〜6時間処理し、菌糸体を自己消化させ、液体の懸濁培養物を得る。次いで、必要に応じて少量の水を加え、50℃以上、場合によっては高圧条件下(例えば1.2Kg/cm2の蒸気圧下)に加熱し、抽出物を採取する。この抽出物を、必要に応じて濾過又は遠心分離して濾液又は上清を採取することにより、培地の分解物、菌糸体の代謝産物及び菌糸体細胞の分解物などを含む抽出液を得ることができる。 【0032】 こうして得られた抽出液は、そのまま又は濃縮して利用することもできるが、凍結乾燥や噴霧乾燥などの手段によって粉末化して利用することもできる。抽出液をそのまま又は濃縮して利用する場合には、液状又はゼリー状のドリンクタイプの製品とすることもできるし、そのまま各種の飲食品に添加して利用することもできる。抽出液を粉末化した場合には、常法によって、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤として製品化することができるし、各種の飲食品に添加して利用することもできる。 【0033】 本発明の抗高血圧剤又は飲食品は、上記のようにして調製された粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、又はドリンクとして製品化でき、あるいは各種の飲食品に添加して血圧上昇抑制効果が期待できる飲食品として製品化することもできる。 【0034】 本発明の飲食品は、高血圧症の予防、改善のために用いられる旨の表示を付したものであるが、ここで、「表示を付した」とは、製品の容器、袋、箱等の包装材料等に直接表示されたものだけでなく、製品の袋や箱等に同封された印刷物、製品パンフレット、代理店等に対する販促資料、更にはインターネットのホームページ等に記載された製品情報等に表示されたものを含む意味である。 【0035】 本発明の有効成分である前記抽出物(植物繊維質原料を含む培地に担子菌の菌糸体を培養して得られた培養物から抽出された成分)は、糖質を主体とした物質であるが、次のような物理化学的性質を有していることが確認された。 【0036】 (1) 分子量:100万以下 (2) 化学組成 糖質:30〜50% 蛋白質:8〜15% 水溶性リグニン:20〜40% 【0037】 なお、マンネン茸を用いて得られた上記培養抽出物(粉末)について安全性を試験した結果は次の通りである。 (A) 急性毒性試験(最小致死量;LDL0) ラット単回経口投与 雄:22500mg/Kg 以上 雌:22500mg/Kg 以上 マウス単回経口投与 雄:2000mg/Kg 以上 雌:2000mg/Kg 以上 (B) ラット3ヶ月反復経口投与試験(最大無作用量) 雄:3610mg/Kg 雌:4190mg/Kg 【0038】 また、本発明の抗高血圧剤及び飲食品の有効投与量は、前記抽出物換算で、経口摂取において成人1日当たり1〜10gである。投与量がこれよりも少ないと、生体内で血圧上昇抑制効果が十分に得られず、投与量がこれよりも多いと、軟便又は腹部膨満感が生じることがある。ただし、投与量が上記より多くても安全性には問題がない。 【実施例】 【0039】 実施例1 (1)マンネンタケ菌の固体培養 バガス90%、脱脂米糠10%を配合し、水分を70%となるように調整して固形培地を作り、常法通り高圧蒸気滅菌した。これにマンネンタケの菌糸を接種し、25℃に温度調節した培養室内で3ヶ月培養し、培地中に菌糸体が蔓延した後、温度処理室に移して35℃で24時間加温し、次いで10℃の低温室で3日間処理した。その後、培養室で3日間培養し、培地を破砕機で親指程度の大きさに破砕した。破砕した培地を40℃で6時間処理し、自己消化を促進させた後、抽出タンクに詰め、60℃の温水を循環させながら16時間抽出した。得られた抽出液をカートリッジフィルターで濾過し、更にメンブランフィルターで濾過除菌後、濃縮し、凍結乾燥により褐色の粉末を得た。以下、この粉末を「本粉末」とする。 【0040】 本粉末の成分を分析した結果以下の通りであった。 【0041】 糖質 :40%(フェノール硫酸法) 蛋白質 :12%(セミミクロケルダール法) 水溶性リグニン :30%(アセチルブロマイド法) 無機質 :13%(直接灰化法) 【0042】 (2)血圧上昇抑制効果 本粉末について高血圧自然発症ラット(SHR)の血圧上昇抑制効果を測定した。SHRにおける高血圧発症は、人での本態性高血圧症発症の病体モデルと考えられる。 【0043】 (i)実験動物 4週齢のSHR((株)埼玉実験動物供給社製)を、購入後、温度、湿度、光照射時間をコントロールした動物室で馴化させた。動物は、対照群と本粉末群に無作為に選別した。餌は粉末CE−2(商品名、(株)埼玉実験動物供給社製)を与えた。 【0044】 (ii)投与方法 1日絶食させた後、対照群には粉末CE-2を、本粉末群には粉末CE−2に0.5%の本粉末を混合した餌を10週間与えた。 【0045】 (iii)血圧、摂食量および体重測定 血圧は非観式血圧測定器(商品名 MK2000:室町機械製)を用い収縮期血圧を測定した。各ラットにおいて毎回5回測定し、その平均値を記録した。 【0046】 摂食量および体重は毎日測定した。 【0047】 (iv)mRNA量の測定 10週間の血圧測定後、腎皮質、腎髄質、左心室および腹部大動脈より抽出した total RNA を用いて Real-time RT-PCR を行い、fibronectin(フィブロネクチン)のmRNA量を測定した。 【0048】 (v)血圧測定結果 図1は、SHRにおける血圧の週齢変化を測定した結果である。図1中、縦軸は血圧、横軸は週齢であり、○はCE−2だけの飼料を投与した群(以下「CE−2群」とする)、●はCE−2に本粉末を0.5%添加した飼料を投与した群(以下「MAK群」とする)。対照であるCE−2群では血圧は週齢があがると共に上昇した。同図に示したように本粉末を含むMAK群では摂食2週目より持続的な血圧上昇抑制(約-20mmHg)が認められ、この差は両群間で分散が等しくないと仮定したt検定により有意であった。 【0049】 (vi)摂食量および体重 図2に摂食量の推移を、図3に体重変化を示した。図2中、縦軸は摂食量、横軸は週齢を示し、図3中、縦軸は体重、横軸は週齢を示す。○及び●は前記と同じ意味である。 【0050】 図2,3の結果から、摂食量及び体重変化は、対照であるCE−2群と本粉末を含むMAK群とで差は認められなかった。 【0051】 (vii)mRNA量測定結果 図4に、fibronectin(フィブロネクチン)のmRNA量の測定結果を示した。図4中、縦軸はCE−2群を1としてMAK群を相対値で示したmRNA量、横軸は測定した組織を示している。白の棒グラフはCE−2群、黒の棒グラフはMAK群を表す。 【0052】 図4に示すように、腎皮質(cortex)、腎髄質(medulla)、左心室(heart)および腹部大動脈(ventral arota)について測定したところ、本粉末を投与したMAK群では、FibronectinのmRNA量が本粉末を投与したMAK群で心臓(左心室)において約50%低下していた。 【0053】 実施例2 椎茸の菌糸体を実施例1と同様な培地に接種して固体培養を行い、実施例1と同様な処理を行って抽出液を得た。この抽出液の凍結乾燥品の成分は以下の通りであった。 【0054】 糖質 :35% 蛋白質 :11% 水溶性リグニン :35% 無機質 :12% この抽出物は実施例1と同様にSHRの血圧上昇を抑制した。 【0055】 実施例3 熊笹の葉、茎をよく洗い乾燥して破砕し、これに米糠を質量比で2割となるように混ぜて固形培地を作り、これに椎茸の菌糸体を培養し、実施例1と同様の方法で抽出液を得た。この抽出液は実施例1と同様にSHRの血圧上昇を抑制した。 【0056】 実施例4 水に対し、ミキサーで細かく破砕したバガス100g、米糠20g、イーストエキス5gの割合で加えた液体培地を調整し、常法通り高圧蒸気滅菌を行い、椎茸の菌糸体を接種した。23℃で2週間、通気(通気量:5リットル/min)、撹拌(50rpm)培養した後、培養物を40℃で3時間加温し菌糸の酵素による自己消化反応を進行させた。その後80℃で1時間加熱殺菌し代謝物を抽出した。抽出物は3000rpmで30分間遠心分離し沈殿物を除き、更に10000rpmで遠心し、褐色の液を得た。この抽出液を凍結乾燥したものは以下の組成であった。 【0057】 糖質 :35% 水溶性リグニン :40% 蛋白質 :12% その他 :13% 本品は実施例1と同様SHRの血圧上昇を抑制した。 【0058】 実施例5 51歳男性の例: 父親が本態性高血圧で若年より抗高血圧薬を常用していたため、本人も血圧上昇を気遣って生活習慣には気を配っていたが、数年前から血圧が上昇傾向にあり、収縮期血圧が130〜140mmHg、拡張期血圧が96mmHgとなった。実施例1で得られた抽出物乾燥品を2g/日、2週間飲用したところ、収縮期血圧が120mmHg、拡張期血圧が85mmHg前後となった。 【0059】 実施例6 63歳男性の例: 本態性高血圧で動悸亢進のため通院し、最大血圧が200mmHgであった。動悸鎮静薬と共に、実施例2で得られた粉末を1g/日、3ヶ月摂取したところ、最大血圧120mmHg、最小血圧60mmHgに低下した。 【産業上の利用可能性】 【0060】 本発明は、高血圧症患者や高血圧症の虞れのある人に対して、日常的に摂取させることにより、血圧の上昇を抑制して、高血圧症の予防、治療を図るための医薬品、健康食品等として利用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0061】 【図1】実施例1で得られた粉末を0.5%含有する餌を高血圧自然発症ラット(SHR)に経口摂取させた場合の血圧の経時変化を測定した結果を示す図表である。 【図2】実施例1で得られた粉末を0.5%含有する餌を高血圧自然発症ラット(SHR)に経口摂取させた場合の摂食量の経時変化を測定した結果を示す図表である。 【図3】実施例1で得られた粉末を0.5%含有する餌を高血圧自然発症ラット(SHR)に経口摂取させた場合の体重の経時変化を測定した結果を示す図表である。 【図4】実施例1で得られた粉末を0.5%含有する餌を高血圧自然発症ラット(SHR)に10週間経口摂取させた後の腎皮質、腎髄質、左心室および腹部大動脈のfibronectinに対するmRNA量測定結果を示す図表である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000245690 【氏名又は名称】野田食菌工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年3月24日(2005.3.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086689 【弁理士】 【氏名又は名称】松井 茂
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| 【公開番号】 |
特開2006−265179(P2006−265179A) |
| 【公開日】 |
平成18年10月5日(2006.10.5) |
| 【出願番号】 |
特願2005−86070(P2005−86070) |
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