トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 ポリヌクレオチド送達のための組成物および方法
【発明者】 【氏名】ロナルド ズカーマン

【氏名】ナタリー デュボワ―ストリングフェロウ

【氏名】バラバニ ドワルキ

【氏名】マイケル エイ. イニス

【氏名】ジョン イー. マーフィ

【氏名】フレッド コーヘン

【氏名】宇野 哲郎

【要約】 【課題】細胞中へのポリヌクレオチドの取り込みを増加させるための組成物および方法を提供すること。

【解決手段】以下の式
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】



を有する化合物であって、ここで、
nは、10〜100の整数であり;
以下の各モノマーについて
【化2】



、およびRは、水素であり、そしてRは、1〜200ダルトンの分子量を有する部分から独立して選択され;
該化合物は、繰り返しのトリマーを含み、各トリマー中の2つのR基が中性部分であり、そして各トリマー中の1つのR基がカチオン性部分であり;
TaおよびTcは−NH、−OH、−SH、−COOH、ポリペプチド、脂質、リポタンパク質、ビタミン、ホルモン、ポリアルキレングリコール、およびサッカライドからなる群より選択される末端基であり;
は、少なくとも1つのモノマーについて水素ではなく;そして
ここで、該化合物は、生理学的pHにて、正味の正電荷を示す、化合物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、細胞中へのポリヌクレオチドの取り込みを増加させるための組成物および方法に関する。詳細には、本発明は、ベクター、標的リガンド、およびポリカチオン性薬剤に関する。ポリカチオン性薬剤は、(1)細胞中へのポリヌクレオチドの取り込みの頻度を増加し得、(2)ポリヌクレオチドを縮合し得、そして(3)ポリヌクレオチドの血清および/またはヌクレアーゼ分解を阻害し得る。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ポリカチオン(例えば、ポリリジン)は、核酸の細胞内への送達を容易にするために使用されてきている。インビトロおよびインビボの両方の適用は、この特性の利点を得ている。例えば、非特許文献1を参照のこと。
【0003】
ポリヌクレオチド(代表的には、DNA)は、レセプター媒介エンドサイトーシス経路(特定の巨大分子を内部移行する細胞機構)によって、細胞中へ取り込まれ得る。一般に、この様式で送達されるように設計された複合体は、目的の遺伝子をコードする核酸およびポリカチオン性薬剤を含み、これはDNA結合キャリアとして作用し、そして核酸上の電荷を中和し、かつそれを縮合する。
【0004】
縮合は、巨大分子構造を刺激することによって、核酸の細胞ベシクル系への侵入を容易にする。例えば、ポリリジンは、DNAを、トロイドまたはドーナッツ様構造に縮合する。(非特許文献2)。
【0005】
細胞内への核酸送達のために以前に利用されたポリカチオンは、ポリリジン、プロタミン、ヒストン、スペルミン、スペルミジン、ポリオルニチン、ポリアルギニン、およびプトレシンを含む。
【0006】
本明細書中で言及されるすべての刊行物は、刊行物がそれに関連して引用される本発明の特徴を開示および記載する目的のために本明細書中で参考として援用される。
【非特許文献1】Gaoら、Biochem.1996,35,pp.1027−1036
【非特許文献2】Wagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.,1991,88,pp.4255−4259
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、細胞中へのポリヌクレオチドの取り込みを増加させるための組成物および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明の1つの実施態様は、ポリペプチドの発現のためのベクターである。本発明のベクターは以下を含む:(i)エプスタイン・バーウイルス(EBV)の複製起点;(ii)EBV起点結合タンパク質をコードするポリヌクレオチド;(iii)エンハンサー;(iv)プロモーター;および(v)ターミネーター。所望のポリペプチド(例えば、エリスロポエチンまたはレプチン)をコードするポリヌクレオチドは、ベクターに挿入され得る。また、リボザイムおよびアンチセンスポリヌクレオチドはまた、ベクターに挿入され得る。
【0009】
本発明の一つの実施態様は、ポリヌクレオチドを特定の細胞型に標的化し得る組成物である。組成物は以下を含む:(i)リポタンパク質;(ii)ポリヌクレオチド結合分子;および(iii)ポリヌクレオチド。
【0010】
本発明の別の実施態様は、細胞を以下を含む組成物と接触させることによって、細胞へのポリヌクレオチドの取り込みの頻度を増加させる方法である:(i)リポタンパク質;(ii)ポリヌクレオチド結合分子;および(iii)ポリヌクレオチド。
【0011】
本発明のさらに別の実施態様は、細胞の集団を以下を含む組成物と接触させることによって、特定の細胞型へのポリヌクレオチドの取り込みの頻度を増加させる方法である:(i)リポタンパク質、(ii)ポリヌクレオチド結合分子;および(iii)ポリヌクレオチド。
【0012】
本発明の一つの実施態様は、以下の式を有する生理学的pHにて正味の正電荷を示すポリカチオン性薬剤である:
【0013】
【化3】


【0014】
ここで、TaおよびTcは末端基である。これらの化合物の好ましいサブセットは、Rが水素であるセットである。さらにより好ましくは、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含むポリマーである。さらに好ましくは、RおよびRが水素であり、そしてRが水素ではないポリマー(ポリN−置換グリシンまたは「ポリNSG」ともいわれる)である。
【0015】
別の実施態様は、以下の式を有する、生理学的pHにて正味の正電荷も負電荷も示さない中性のポリマーである。
【0016】
【化4】


【0017】
ここで、TaおよびTcは末端基である。これらの化合物の好ましいサブセットは、Rが水素であるセットである。さらにより好ましくは、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含むポリマーである。また好ましくは、RおよびRが水素であり、そしてRが水素でないポリマー(ポリN−置換グリシンまたは「ポリNSG」ともいわれる)である。
【0018】
本発明のポリカチオン性薬剤および中性ポリマーは、核酸の電荷を中和し得る。これらの化合物のサブセットは、(1)ポリヌクレオチドの構造を縮合し得、そして/または(2)血清および/もしくはヌクレアーゼ分解からポリヌクレオチドを保護し得る。
【0019】
本発明のさらに別の実施態様は、(1)核酸の細胞表面への結合を標的化するか、(2)細胞膜の不安定化を誘発するか;(3)エンドソーム緩衝能を示すか;(4)エンドサイトーシスを誘発するか;(5)エンドソームからのポリヌクレオチド/脂質複合体の放出の誘発を助けるか;または(6)核屈性(nucleartropism)をするポリカチオン性薬剤および中性ポリマーである。
【0020】
本発明の別の実施態様は、目的のポリヌクレオチド、およびポリヌクレオチドの電荷を中和するに有効な量のポリカチオン性薬剤を含む組成物である。必要に応じて、組成物は、リガンド結合パートナーを発現する特定の細胞に複合体を指向するリガンド、および/またはエンドソーマル薬剤を含み、それは、複合体を含むエンドソームの破壊を引き起こすように作用する。
【0021】
本発明の別の実施態様は、有効量のポリカチオン性薬剤または本発明の中性ポリマーを提供する工程、および薬剤を所望のポリヌクレオチドと接触させる工程によって、核酸を縮合する方法である。
【0022】
本発明の実施態様はまた、有効量のポリカチオン性薬剤または本発明の中性ポリマーを提供し、そして薬剤を所望の核酸と接触させることによって、核酸の血清および/またはヌクレアーゼ分解を阻害する方法である。
【0023】
本発明は、上記目的を達成するために、例えば、以下の手段を提供する。
項目1.以下の式:
【0024】
【化5】


【0025】
を有するポリカチオン性薬剤であって、ここで、
nは、10〜100の整数であり;
以下の各モノマーについてのR、R、およびRは、
【0026】
【化6】


【0027】
1〜200ダルトンの分子量を有する部分から独立して選択され;
TaおよびTcは末端基であり;
は、少なくとも1つのモノマーについて水素ではなく;
ここで、該ポリカチオン性薬剤は、末端基を除いて、少なくとも25%の正に荷電したモノマーを含み、そして
ここで、該ポリカチオン性薬剤は、生理学的pHにて、正味の正電荷を示す、薬剤。
項目2.前記ポリカチオン性薬剤が繰り返しのトリマーを含む、項目1に記載のポリカチオン性薬剤。
項目3.各トリマー中の2つのR基が中性部分であり、そして各トリマー中の1つのR基がカチオン性部分である、項目2に記載のポリカチオン性薬剤。
項目4.Rが正に帯電した部分、負に帯電した部分、および中性部分からなる群から選択される、項目1に記載のポリカチオン性薬剤。
項目5.Rが、アミノ酸上で見出される置換基から選択される、項目1に記載のポリカチオン性薬剤。
項目6.Rが、芳香族および脂肪族基からなる群から選択される、項目1に記載のポリカチオン性薬剤。
項目7.少なくとも1つのRが、アルキルアンモニウム、アミノアルキル、グアニジノアルキル、アミジノアルキル、アミノシクロヘキシル、ピペリジル、グアニジノベンジル、アミジノベンジル、ピリジルメチル、アミノベンジル、アルキルフェニル(alkyphenyl)、インドリルアルキル、アルコキシフェニルアルキル、ハロフェニルアルキル、およびヒドロキシフェニルアルキルからなる群より選択される、項目1に記載のポリカチオン性薬剤。
項目8.前記カチオン性部分がアミノエチルである、項目3に記載のポリカチオン性薬剤。
項目9.前記中性部分が、フェネチル、ベンジル、フェニルプロピル、(R)α−メチルベンジル、(S)α−メチルベンジル、メトキシフェネチル、およびクロロフェネチルからなる群より選択される、項目8に記載のポリカチオン性薬剤。
項目10.RおよびRが少なくとも1つのモノマーについて両方水素である、項目1に記載のポリカチオン性薬剤。
項目11.nが36である、項目10に記載のポリカチオン性薬剤。
項目12.nが24である、項目10に記載のポリカチオン性薬剤。
項目13.nが18である、項目10に記載のポリカチオン性薬剤。
項目14.nが12である、項目10に記載のポリカチオン性薬剤。
項目15.TaおよびTcが、ポリペプチド、脂質、リポタンパク質、ビタミン、ホルモン、ポリアルキレン(polyakylene)グリコール、およびサッカライドからなる群より選択される末端基である、項目8に記載のポリカチオン性薬剤。
項目16.以下:
(i)ポリヌクレオチド;および
(ii)前記ポリカチオン性薬剤が、ポリヌクレオチドの細胞への侵入を媒介し得る、項目1に記載のポリカチオン性薬剤、
を含む、組成物。
項目17.以下:
(i)薬学的に受容可能なキャリア;
(ii)治療有効量のポリヌクレオチド;および
(iii)項目1に記載のポリカチオン性薬剤の前記ポリヌクレオチドを中和するに有効な量、を含む薬学的組成物であって、ここで該ポリカチオン性薬剤は、ポリヌクレオチドの細胞への侵入を媒介し得る薬剤である、薬学的組成物。
項目18.ポリヌクレオチドをポリカチオン性薬剤と複合体化する方法であって、以下:
(i)ポリヌクレオチドを提供する工程;および
(ii)該ポリヌクレオチドを、項目1に記載のポリカチオン性薬剤と接触させる工程であって、ここで該ポリカチオン性薬剤は、ポリヌクレオチドの細胞への侵入を媒介し得る、工程、
を包含する、方法。
項目19.ポリヌクレオチドを縮合させる方法であって、以下:
ポリヌクレオチドを、縮合する量の項目1に記載のポリカチオン性薬剤と接触させる工程であって、該縮合する量が、該ポリヌクレオチドのサイズを減少させるに十分なポリカチオン性薬剤の量である、工程、
を包含する、方法。
項目20.ポリヌクレオチドの血清分解を阻害する方法であって、ポリヌクレオチドを、項目1に記載のポリカチオン性薬剤と接触させる工程であって、該ポリカチオン性薬剤が、少なくとも10分で血清分解を阻害するに有効な量で存在する工程、を包含する、方法。
項目21.以下:
(i)リポタンパク質;
(ii)ポリヌクレオチド結合分子;および
(iii)ポリヌクレオチド
を含む組成物であって、ここで該組成物は、細胞へのポリヌクレオチド取り込みの頻度を増加させ得る、組成物。
項目22.前記リポタンパク質が、高密度リポタンパク質、中間密度リポタンパク質、低密度リポタンパク質、および非常に低密度なリポタンパク質からなる群より選択される、項目21に記載の組成物。
項目23.前記リポタンパク質が、高密度リポタンパク質、中間密度リポタンパク質、低密度リポタンパク質、および非常に低密度なリポタンパク質からなる群より選択されるタンパク質の変異体、フラグメント、または融合物である、項目21に記載の組成物。
項目24.前記リポタンパク質がアセチル化された低密度リポタンパク質である、項目21に記載の組成物。
項目25.以下:
(a)のポリヌクレオチド;
(b)該ポリヌクレオチドの負電荷を中和するに有効な量のポリヌクレオチド結合分子;および
(c)治療有効量のリポタンパク質
を含む、薬学的組成物。
項目26.前記ポリヌクレオチドがポリカチオン性薬剤である、項目25に記載の薬学的組成物。
項目27.ポリヌクレオチドの細胞への侵入を容易にするための組成物を生成する方法であって、以下:
(i)ポリヌクレオチドを提供する工程
(ii)該ポリヌクレオチドを中和するに有効な量で、ポリヌクレオチド結合分子を提供する工程;
(ii)該ポリヌクレオチドと、該ポリヌクレオチド結合分子を接触させ、複合体を形成する工程;
(iii)リポタンパク質を提供する工程;次いで
(iv)該複合体を、該リポタンパク質と接触させる工程
を包含する、方法。
項目28.細胞へのポリペプチド取り込みの頻度を増加させる方法であって、以下:
(i)(a)治療有効量のポリヌクレオチド;
(b)該ポリヌクレオチドを中和するに有効な量のポリヌクレオチド結合分子;および
(c)有効量のリポタンパク質
を含む組成物を提供する工程;次いで
(ii)該組成物を該細胞に接触させる工程
を包含する、方法。
項目29.細胞へのポリヌクレオチド取り込みの頻度を増加させる方法であって、以下:
(i)(a)ポリヌクレオチド;および
(b)該ポリヌクレオチドの負電荷を中和するに有効な量の項目1に記載のポリカチオン性薬剤
を含む組成物を提供する工程;次いで
(ii)該組成物を該細胞に接触させる工程
を包含する、方法。
【0028】
(詳細な説明)
(定義)
「リポタンパク質」は、血流中の脂質と非共有結合し、そして細胞レセプターに結合し得るポリペプチドをいう。好ましくは、リポタンパク質は、脂質の輸送および貯蔵と関係するものである。このようなタンパク質には、例えば、キロミクロン、低密度リポタンパク質(LDL)、超低密度リポタンパク質(VLDL)、中間密度リポタンパク質(IDL)、および高密度リポタンパク質が含まれる。また、この用語には、天然に存在するリポタンパク質の変異体、フラグメント、または融合体が含まれる。また、天然に存在するリポタンパク質の改変体(例えば、アセチル化LDL)もまた、使用され得る。
【0029】
天然に存在するリポタンパク質の変異体、フラグメント、融合体、または改変体は、天然に存在するリポタンパク質またはそのフラグメントに対して実質的な配列同一性を示すアミノ酸配列である。これらポリペプチドは、約80%を超える、より代表的には、約85%を超える、なおより代表的には、少なくとも90%の、アミノ酸同一性保持する。これらポリペプチドは、天然に存在するリポタンパク質またはそのフラグメントと、好ましくは約92%を超える、より好ましくは約94%を超える、なおより好ましくは約96%を超える、なおより好ましくは約98%を超える、なおより好ましくは約99%を超える、アミノ酸配列同一性を示す。これらポリペプチドのすべてが、天然に存在するリポタンパク質のレセプター結合特性を示す。通常、このようなポリペプチドは、天然に存在するリポタンパク質の少なくとも約20%のレセプター結合を示す。より代表的には、ポリペプチドは、天然に存在するリポタンパク質のレセプター結合の少なくとも約40%を示し、ポリペプチドは、なおより代表的には、少なくとも約60%、なおより代表的には少なくとも約70%、なおより代表的には少なくとも約80%、なおより代表的には少なくとも約85%、なおより代表的には少なくとも約90%、なおより代表的には少なくとも約95%を示す。
【0030】
「ポリヌクレオチド結合分子」は、ポリヌクレオチドと結合する(この結合は配列特異的ではない)化合物をいう。例えば、このような分子は、(1)ポリヌクレオチドの電荷の中和を助け得るか、または(2)ヌクレオチドの縮合を容易にし得るか、あるいは(3)血清もしくはヌクレアーゼ分解を阻害し得る。
【0031】
「ポリカチオン性薬剤」は、一般に、正に荷電した単一の単位を含むポリマーをいう。しかし、いくつかの正に荷電していない単位がそのポリマー中に存在し得る。この薬剤は、生理学的に適切なpH下で正味の正電荷を示す。このような薬剤は核酸の電荷を中和し得、そしてさらなる特性(例えば、核酸の縮合および/または血清保護)を示し得る。好ましくは、この薬剤は、モノマー単位として、アミノ酸およびNSGの両方を含む。モノマー単位としてNSGを含む薬剤もまた好ましい。
【0032】
「生理学的に適切なpH」は、インビトロ適用とインビボ適用との間でいくらか変化する。生理学的pHは、代表的には少なくとも5.5;より代表的には少なくとも6.0;なおより代表的には少なくとも6.5である。生理学的に適切なpHは、通常8.5を超えず、より通常には8.0を超えず、なおより通常には7.5を超えない。
【0033】
「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、DNA、RNA、それらのアナログ、ペプチド−核酸、およびリン酸を含まないヌクレオチドを有するDNAまたはRNAをいう。さらに、これら核酸は、一本鎖分子、二本鎖分子、またはキメラの一本鎖分子もしくは二本鎖分子であり得る。
【0034】
用語「オリゴマー」は、本明細書中に記載され、そしてまたZuckermannら(前出)にも記載されたサブモノマープロセスにより生成される、ポリNSGのようなポリマーを含み、任意の長さのポリマー、コポリマー、およびインターポリマーを含む。より詳細には、オリゴマーは、単一の反復モノマー、2つの択一的モノマー単位、互いに対して無作為および/または故意に間隔を開けた2以上のモノマー単位を含み得る。生成されるポリアミドのタイプに関わらず、本発明のポリアミドは、2工程または3工程サイクルの繰り返し(ここで、新しいモノマー単位が、所望の長さのオリゴマーが得られるまで、各サイクルにおいて添加される)を含む同じ一般的な手順によって生成され得る。オリゴマーは、長さが、好ましくは2〜100モノマー、より好ましくは2〜50モノマー、または18〜28モノマー、あるいは24〜48モノマーである。
【0035】
用語「細胞へのポリヌクレオチドの取り込み頻度」は、細胞に実際に投与された量に対する、その細胞によって実際に取り込まれるポリヌクレオチドの量の増加をいう。細胞へのポリヌクレオチドの取り込み頻度が、裸のポリヌクレオチドの取り込み頻度より多い場合、細胞へのポリヌクレオチドの取り込み頻度は増大している。例えば、インビトロトランスフェクション法を使用すると、哺乳動物細胞への裸のポリヌクレオチドの取り込みは、通常、バックグランドを超えて検出され得ない。しかし、裸のポリヌクレオチドがインビボで送達される場合、いくらかの取り込み頻度が検出され得る。インビボおよびインビトロでの取り込み頻度は、組織タイプに依存する。取り込み頻度は、ポリヌクレオチドの存在を検出するための公知の方法(例えば、ノーザン技術、サザン技術、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術)によって測定され得る。
【0036】
通常、組成物または化合物は、裸のポリヌクレオチド取り込みの頻度より、少なくとも10%高く;より通常には少なくとも15%高く;なおより通常には20%高く;なおより通常には少なくとも30%;そして40%高い〜100%高く(1,000%、そして10,000%高くさえ)まで取り込み頻度を誘導する場合、細胞へのポリヌクレオチド取り込み頻度を増大させ得る。
【0037】
「裸のポリヌクレオチド」は、細胞への進入を容易にするように作用し得るいかなる送達ビヒクルも実質的にないポリヌクレオチドをいう。例えば、ポリヌクレオチドは、トランスフェクションを促進するいかなる物質(例えば、リポソーム処方物、Lipofectin(登録商標)のような荷電脂質、またはCa3(PO4)2のような沈澱剤)もない場合、裸である。
【0038】
「細胞へのポリヌクレオチド取り込みの頻度を増大させるに有効な量」は、裸のポリヌクレオチド取り込みの頻度より、少なくとも10%高い、より通常には少なくとも15%高い、なおより通常には20%高い、なおより通常には少なくとも30%高い、なおより通常には少なくとも40%高い、細胞へのポリヌクレオチド取り込みの頻度を誘導する量をいう。
【0039】
「核酸を中和するに有効な量」は、核酸組成物の電荷の少なくとも10%を中和するために使用される量をいい、この量は、より好ましくは目的の核酸組成物の電荷の少なくとも40%を中和するために使用される量を、なおより好ましくは電荷の50%を中和する量を、なおより好ましくは電荷の60%を中和する量を、なおより好ましくは電荷の70%を中和する量を、なおより好ましくは電荷の80%を中和する量を、そして最も好ましくは少なくとも90%を中和する量をいう。
【0040】
「核酸の縮合」は、核酸と組み合わされたポリカチオン性薬剤が、その核酸の電荷を中和し、そしてそれに、複合体化されていない核酸に対して縮小した構造を取らせる場合に生じる。好ましくは、縮合は、核酸の構造を、細胞表面膜上に存在する構造によって内部移行され得るサイズにまで縮小させる。縮合は、例えば、ゲル電気泳動により、核酸/ポリカチオン性薬剤の電荷を決定することによって測定され得る。あるいは、核酸を縮合するに有効な量はまた、ポリカチオン性薬剤/核酸複合体の最終サイズによって測定され得る。
【0041】
「核酸の血清もしくはヌクレアーゼ分解を阻害するに効果的な量」は、血清および/またはヌクレアーゼに曝された場合、複合体化されていない核酸と比較して、少なくとも5分、ポリヌクレオチドの半減期を増大させるために使用される量を、より好ましくは少なくとも10分分解を阻害するために使用される量を、なおより好ましくは少なくとも30分分解を阻害するために使用される量を、なおより好ましくは少なくとも45分分解を阻害するために使用される量を、なおより好ましくは少なくとも60分分解を阻害するために使用される量を、なおより好ましくは少なくとも90分分解を阻害するために使用される量を、そしてより好ましくは少なくとも120分分解を阻害するために使用される量をいう。
【0042】
Aを含む組成物は、その組成物においてA+Bの合計の少なくとも85重量%がAである場合、Bを「実質的に含まない」。Aは、その組成物においてA+Bの合計の、好ましくは少なくとも約90重量%、より好ましくは少なくとも約95重量%(または99重量%でさえ)を含む。
【0043】
「免疫原性」は、所定の分子またはその決定基の、インビボでの投与の際に、その分子に対して結合能を有する抗体の産生を誘導し、細胞傷害性応答を誘導し、補体系を活性化し、アレルギー反応を誘導するなどの能力をいう。免疫応答は、血清中の特異抗体のレベルを決定するアッセイ、ポリカチオン性薬剤/核酸複合体もしくは結合された遺伝子送達ビヒクルを不活化する血清成分の存在を決定するアッセイ、または免疫系の特定の成分もしくは活性を測定する他のアッセイによって測定され得る。下記でより詳細に考察されるように、低い免疫原性は、これらのアッセイによって確立され得る。用語「低い免疫原性」、「減じられた免疫原性」、「低下した免疫原性」および同様な用語は、等価な用語と意図される。
【0044】
「複製起点」は、発現ベクターのようなポリヌクレオチドの複製を開始および調節するポリヌクレオチド配列である。複製起点は、細胞内で、その独自の制御下で複製し得る、ポリヌクレオチド複製の自律単位として振る舞う。特定の複製起点を有することで、発現ベクターは、細胞内において、適切なタンパク質の存在下で、高コピー数で再生産され得る。起点の例は、酵母において有効な2μおよび自律複製配列、ならびにCOS−7細胞において有効なウイルス性T抗原である。
【0045】
(一般的な方法および詳細な説明)
(ポリヌクレオチド)
本発明において使用されるポリヌクレオチドは、所望のポリペプチドを発現させるために使用され得るか、またはそれ自身が治療薬(例えば、リボザイムまたはアンチセンスポリヌクレオチド)であり得る。このようなポリヌクレオチドは、インビトロ、エキソビボ、およびインビボでの適用において使用され得る。
【0046】
また、本発明のポリヌクレオチドは、ポリペプチド、リボザイム、またはアンチセンス分子を発現させるベクターであり得る。ベクターは、コード領域、リボザイムまたはアンチセンス分子に作動可能に連結された、転写を開始するプロモーターを少なくとも含む。ベクターに含まれ得る他の成分は、例えば、(1)終結配列、(2)分泌を導くためのリーダーペプチドをコードする配列、(3)選択マーカー、および(4)複製起点である。複製起点は必須ではない。送達されるべきポリヌクレオチドは、複製性または非複製性のいずれかであり得る。他の成分は、所望でありそして利便であれば、加えられ得る。
【0047】
本発明のポリヌクレオチドおよび方法は、任意のタイプの宿主細胞と共に利用され得る。プロモーター、ターミネーター、および発現ベクターの他の随意のエレメントの選択は、選択された宿主細胞に依存する。本発明は、選択された宿主細胞に依存しない。利便性およびタンパク質発現の所望のレベルは、最適な宿主細胞を指図する。発現のための種々の宿主が、当該分野において公知であり、そしてAmerican Type Culture Collection (ATCC)(Rockville, Maryland, U.S.A.)から入手可能である。適切な細菌宿主には、Campylobacter、Bacillus、Escherichia,Lactobacillus、Pseudomonas、Staphylococcus、およびStreptococcusが含まれるが、これらに限定されない。以下の属の酵母宿主が利用され得る;Candida、Hansenula、Kluyveromyces、Pichia、Saccharomyces、Schizosaccharomyces、およびYarrowia。Aedesaegypti、Bombyx mori、Drosophila melanogaster、およびSpodoptera frugiperda(PCT特許公開第WO89/046699号;Carbonellら、1985, J.Virol. 56:153;Wright、1986, Nature 321:718;Smithら、1983,Mol.Cell.Biol. 3:2156;および一般には、Frasterら、1989, In Vitro Cell.Dev.Biol. 25:225を参照)。
【0048】
インビトロ適用に有用な哺乳動物細胞タイプには、例えば、American Type Culture Collection (ATCC)から入手可能な細胞株、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞ガン細胞(例えば、HepG2)、ヒト胚腎臓細胞、ベビーハムスター腎臓細胞、マウスセルトーリ細胞、イヌ腎臓細胞、バッファローラット肝臓細胞、ヒト肺細胞、ヒト肝臓細胞、マウス乳腺ガン細胞、ならびにその他が含まれる。
【0049】
インビボまたはエキスビボ適用に有用な細胞タイプには、任意の組織タイプ、例えば、筋肉、皮膚、脳、肺、肝臓(liter)、脾臓、血液、骨髄、胸腺、心臓、リンパ、骨、軟骨、膵臓、腎臓、胆嚢、胃、腸、精巣、卵巣、子宮、直腸、神経系、眼、腺、および結合組織が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
(A.インビトロおよびエキソビボベクター)
所望のポリペプチドもしくはリボザイムをコードするポリヌクレオチド、またはアンチセンスポリヌクレオチドは、例として以下のプロモーターおよびエンハンサーを使用して、転写および/または翻訳され得る。この例には、Christyら、1989, Genes Dev. 3:1323−1335に記載されるような422(aP2)遺伝子およびステアロイルCoAデサチュラーゼ1(SCD1)遺伝子(適切な脂肪細胞特異的プロモーターを含む)が含まれるが、これらに限定されない。合成非天然プロモーターまたはハイブリッドプロモーターもまた、本明細書中で使用され得る。例えば、T7T7/T7プロモーターは、Chenら、1994,Nucleic Acids Res. 22:2114−2120に従って構築され、そして使用され得る。ここで、T7ポリメラーゼはその自身のプロモーターの調節制御下にあり、そして別のT7プロモーターの制御下に配置されるポリヌクレオチド配列の転写を駆動する。脂肪特異的発現のための主要な決定基は、Rossら、1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:9590−9594、およびGravesら、1991, Genes Dev. 5:428−437に記載されるような、転写開始部位の約>5kb上流に位置するエンハンサーである。CCAAT/エンハンサー結合タンパク質C/EBPαの遺伝子もまた、本明細書中での使用に適切である。これは、Birkenmeierら、1989,Gene Dev. 3:1146−1156に記載されるように、3T3−L1アジオブラスト(adioblast)が分化経路に方向付けられた場合および成熟した有糸分裂後の脂肪細胞において、高度に発現される。最近単離された転写因子PPARγ2(Tontonozら、1994,Cell 79:1147−1156に記載されるように、脂肪細胞組織において専ら発現される)もまた、本明細書中で使用され得る。
【0051】
哺乳動物細胞発現のための代表的なプロモータには、とりわけ、SV40初期プロモーター、CMVプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルスLTRプロモーター、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP)、および単純ヘルペスウイルスプロモーターが含まれる。他の非ウイルスプロモーター、例えば、マウスメタロチオネイン遺伝子に由来するプロモーターもまた、哺乳動物構築物における使用を見出す。発現は、プロモーターに依存して、構成的または調節性(誘導性)のいずれかであり得る。代表的には、転写終結およびポリアデニル化配列もまた、存在し、翻訳停止コドンの3'側に位置する。好ましくは、翻訳開始の最適化のための配列(コード配列の5'側に位置する)もまた存在する。転写終結/ポリアデニル化シグナルの例には、Sambrookら、1989,「Molecular Cloning, A Laboratory Manual」第2版、Cold Spring Harbor Press, ColdSpring Harbor, New Yorkに記載されるような、SV40に由来するものが含まれる。イントロン(スプライスドナーおよびアクセプター部位を含む)もまた、本発明の構築物中に設計され得る。
【0052】
エンハンサーエレメントもまた、哺乳動物構築物の発現レベルを増大させるために、本明細書中で使用され得る。例には、Dijkemaら、1985, EMBO J. 4:761に記載のようなSV40初期遺伝子エンハンサー、ならびにGormanら、1982b,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:6777に記載されるような、ラウス肉腫ウイルスの、およびBoshartら、1985, Cell41:521に記載されるようなヒトサイトメガロウイルスの長末端反復(LTR)由来のエンハンサー/プロモーターが含まれる。リーダー配列もまた存在し得、これには、哺乳動物細胞において外来タンパク質の分泌を提供するためのシグナルペプチドをコードする配列が含まれる。好ましくは、リーダーフラグメントと目的の遺伝子との間にコードされるプロセシング部位が存在し、その結果、リーダー配列が、インビボまたはインビトロでのいずれかで切断され得る。
【0053】
ウイルス由来の他の調節領域が、転写および翻訳のレベルを増大させるためか、または転写および翻訳の持続時間を増大させるために、本発明のポリヌクレオチドに含まれ得る。例えば、HIVの長末端反復が含まれ得る。あるいは、エプスタインバーウイルスの逆方向末端反復が使用され得る。
【0054】
哺乳動物細胞における標的ポリペプチドをコードするDNAの一過性発現を提供する発現ベクターが存在する。一般に、一過性発現は、宿主細胞において効率的に複製し得、その結果、宿主細胞が発現ベクターの多くのコピーを蓄積し、次いで、その発現ベクターによりコードされる所望のポリペプチドを高レベルで合成する発現ベクターの使用を包含する。一過性発現系は、適切な発現ベクターおよび宿主細胞を含み、クローンされたDNAによりコードされるポリペプチドの簡便なポジティブの同定、ならびに所望の生物学的または生理学的特性についてのこのようなポリペプチドの迅速なスクリーニングを可能にする。したがって、一過性発現系は、標的ポリペプチド様活性を有する、標的ポリペプチドのアナログおよび改変体を同定する目的に特に有用である。
【0055】
(B.インビボベクター)
ウイルスベクターを使用する送達には、Jolly、1994, Cancer Gene Therapy 1:1−64に記載のような、多くのウイルスベクターのうちの任意のものが使用され得る。例えば、所望のポリペプチドもしくはリボザイムのコード配列、またはアンチセンス分子は、Kimuraら、1994,Human Gene Therapy 5:845−852に記載のようなレトロウイルスベクター、Connellyら、1995, Human GeneTherapy 6:185−193に記載のようなアデノウイルスベクター、Kaplittら、1994, Nature Genetics 6:148−153に記載のようなアデノ随伴ウイルスベクター、およびシンドビスベクターにおける転写および/または翻訳のために設計されるプラスミドに挿入され得る。これらベクターとの使用に適切であるプロモーターには、モロニーレトロウイルスLTR、CMVプロモーター、およびマウスアルブミンプロモーターが含まれる。複製能がないウイルスが作製され得、そして動物もしくはヒトに直接注入され得るか、またはZastloukalら、1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:5148−5152に記載されるように、エキソビボでの自己の細胞の形質導入、続いてインビボでの注入によって注入され得る。
【0056】
所望のポリペプチドもしくはリボザイムをコードするポリヌクレオチド、またはアンチセンスポリヌクレオチドはまた、インビボでの所望のポリペプチドの発現のために、プラスミドに挿入され得る。インビボ治療のために、コード配列は、組織への直接注入によって、またはエアロゾルとして経口投与を介して、送達され得る。この様式での使用に適切なプロモーターには、内因性および異種のプロモーター(例えば、CMV)が含まれる。さらに、合成T7T7/T7プロモーターが、Chenら、1994, Nucleic Acids Res.22:2114−2120に従って構築され得る。ここで、T7ポリメラーゼは、その自身のプロモーターの調節制御下にあり、そしてポリヌクレオチド配列の転写を駆動する。このポリヌクレオチド配列はまた、T7プロモーターの制御下に配置される。このポリヌクレオチドは、Zhuら、1993,Science 261:209−211に記載のように、コード配列を安定化し得、そして細胞中へのその形質導入を容易にし得、そして/または標的化を提供し得る処方物において注入され得る。
【0057】
ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターのいずれかによる遺伝子治療目的の送達に際して、インビボでの所望のポリペプチドのコード配列の発現またはリボザイムもしくはアンチセンスポリヌクレオチドの複製は、Gossenら、1992, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5547−5551に記載のような、調節された遺伝子発現プロモーターの使用によって、最大限の効力および安全性のために調節され得る。例えば、ポリヌクレオチドの転写および/または翻訳は、テトラサイクリン応答性プロモーターによって調節され得る。これらのプロモーターは、レギュレーター分子での処理によってポジティブ様式またはネガティブ様式で調節され得る。
【0058】
所望のポリペプチドのコード配列の非ウイルス送達のために、この配列は、高レベル発現のための従来の制御配列を含む従来のベクター中に挿入され得る。
【0059】
(C.好ましいベクター)
好ましいベクターは以下を含む:(1)(EBV)複製起点またはパルボウイルスであるBKV(BKウイルス)複製起点;(2)EBVまたはBKV複製開始点結合タンパク質に対するコード領域;(3)少なくとも1つの逆方向末端反復;(4)プロモーター;(5)エンハンサー;(6)ターミネーター;(7)必要に応じて、選択マーカー。
【0060】
好ましくは、複製起点は、EBV ori pであり;より好ましくは、配列番号1のヌクレオチド2623〜4559が利用される。この配列は、Invitrogen,San Diego, California, USAから市販されているベクターpCEP4から入手可能である。
【0061】
好ましくは、コード領域は、EBV ori pに結合するEBV核抗原Aをコードし;より好ましくは、配列番号1のヌクレオチド14〜2594であるポリヌクレオチド配列が利用される。この配列は、Invitrogen,San Diego, California, USAから市販されているベクターpCEP4から入手可能である。
【0062】
所望される宿主細胞中におけるベクターの複製を開始し得る好ましい複製開始点および結合タンパク質のフラグメントおよび変異体が利用され得る。好ましくは、フラグメントおよび変異体は、配列番号1のヌクレオチド14〜2594または2623〜4559またはそのフラグメントとの約80%より高い;より代表的には約85%より高い;なおより代表的には少なくとも90%の配列同一性を保持する。好ましくは、これらのポリヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド14〜2594または2623〜4559またはそのフラグメントとの約92%より高い;より好ましくは約94%より高い;なおより好ましくは約96%より高い;なおより好ましくは、約98%より高い;なおより好ましくは、約99%より高い配列同一性を示す。
【0063】
好ましくは、逆方向末端反復は、アデノウイルス(AV)またはアデノ随伴ウイルス(AAV)において見出される配列であり;より好ましくは、逆方向末端反復は、AAVにおいて見出される配列であり;なおより好ましくは、ポリヌクレオチド配列は、配列番号1の4938〜5104または7189〜7355である。AAVの配列は、Samulskiら、1987,J. Viol. 61:3096−3101に記載されている。
【0064】
所望される宿主細胞中におけるベクターの複製を開始し得る好ましい逆方向末端反復のフラグメントおよび変異体が利用され得る。好ましくは、フラグメントおよび変異体は、配列番号1のヌクレオチド4938〜5104または7189〜7355またはそのフラグメントとの約80%より高い;より代表的には、約85%より高い;なおより代表的には、少なくとも90%の配列同一性を保持する。好ましくは、これらのポリヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド4938〜5104または7189〜7355またはそのフラグメントとの約92%より高い;より好ましくは約94%より高い;なおより好ましくは約96%より高い;なおより好ましくは、約98%より高い;なおより好ましくは、約99%より高い配列同一性を示す。
【0065】
好ましくは、サイトメガロウイルスのエンハンサー/プロモーターが利用され;より好ましくは、CMVプロモーター配列は、配列番号1のヌクレオチド配列5112〜6734である。
【0066】
転写および/または翻訳を開始し得る好ましいエンハンサーおよびプロモーターの変異体およびフラグメントが利用され得る。好ましくは、フラグメントおよび変異体は、配列番号1のヌクレオチド5112〜6734またはそのフラグメントとの約80%より高い;より代表的には、約85%より高い;なおより代表的には、少なくとも90%の配列同一性を保持する。好ましくは、これらのポリヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド5112〜6734またはそのフラグメントとの約92%より高い;より好ましくは約94%より高い、なおより好ましくは約96%より高い;なおより好ましくは、約98%より高い;なおより好ましくは、約99%より高い配列同一性を示す。
【0067】
好ましいターミネーターはウシ成長ホルモンポリA配列であり;より好ましくは、ポリヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド6818〜7050である。
【0068】
転写および/または翻訳を終結し得る好ましいターミネーターの変異体およびフラグメントが利用され得る。好ましくは、フラグメントおよび変異体は、配列番号1のヌクレオチド6818〜7050またはそのフラグメントとの約80%より高い;より代表的には、約85%より高い;なおより代表的には、少なくとも90%の配列同一性を保持する。好ましくは、これらのポリヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド6818〜7050またはそのフラグメントとの約92%より高い;より好ましくは約94%より高い;なおより好ましくは約96%より高い;なおより好ましくは、約98%より高い;なおより好ましくは、約99%より高い配列同一性を示す。
【0069】
好ましいベクターの配列が配列番号1に示される。ポリペプチド(例えば、エリスロポエチンまたはレプチン)、ならびにリボザイムおよびアンチセンスポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドが、ベクター中に挿入され得る。
【0070】
(D.コード領域、リボザイム、およびアンチセンス分子の例)
以下は、哺乳動物における種々の適応症を処置するために使用され得る、コード領域、リボザイム、およびアンチセンス分子の例である。目的の遺伝子のヌクレオチド配列は、例えば、Genbankのような公的に利用可能なデータベースにおいて見出され得る。送達されるべきポリヌクレオチドは、ウイルス感染または慢性病原体感染を処置するために使用され得る。
【0071】
(1.血友病)
ポリヌクレオチドのインビボ送達による遺伝子置換は、血友病の処置において有効であり得る。以下は、送達されるべきポリヌクレオチドによってコードされ得るポリペプチドの例である:第VIII:C因子、第VIII:C因子の変異体、好ましくは切断不能であるもの。また、組織因子プラスミノーゲンインヒビター(TissueFactor Plasminogen Inhibitor)(TFPI)のインヒビターとしてのリボザイムおよびアンチセンスポリヌクレオチドが、血友病を処置するために有用である。
【0072】
血友病を処置するための送達の経路としては、例えば、静脈内/肝臓内注射、レトロウイルスベクターを使用する幹細胞またはリンパ球のエクスビボ形質導入が挙げられる。
【0073】
(2.対宿主性移植片病の処置)
プロドラッグをコードするポリヌクレオチドのインビボ送達は、例えば、白血病骨髄移植における対宿主性移植片病を処置するための直接的消散のために使用され得る。ガンシクロビルとの組み合わせでのヘルペスチミジンキナーゼが、この目的のために利用され得る。プロドラッグのその他の例は、ガンの節において記載される。
【0074】
対宿主性移植片病を処置するための送達の経路としては、例えば、レトロウイルスベクターを使用するTリンパ球のエクスビボ形質導入が挙げられる。
【0075】
(3.ワクチン)
所望される抗原をコードするポリヌクレオチドのインビボ送達は、免疫応答を誘導するために利用され得る。この応答は、細胞性応答および体液性応答の両方を含み得る。この型のワクチンは、ガンおよび感染性疾患を処置するために使用され得る。さらに、そのような処置は、予防的または治療的のいずれかの免疫療法であり得る。
【0076】
感染性疾患の例としては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎など(HAV、HBV、HCVなど)、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、サイトメガロウイルス(CMV)、単純ヘルペス1および2(HSV)などが挙げられる。好ましい抗原としては、HCVの非構造タンパク質3、4a、および5b(NS3、NS4、およびNS5b);HSVのgB2およびgD2;HIVのenvおよびrevタンパク質が挙げられる。
【0077】
また、ガン抗原が、ワクチンにおいて、治療的および予防的の両方の目的のために使用され得る。
【0078】
抗原は、クラスI主要組織適合性抗原に関連して、または細胞性細胞傷害性T細胞応答を誘導するために、または抗体の合成を含む体液性応答を誘導するために提示され得る。
【0079】
さらに、例えば、免疫抑制分子、IL−10、TGF−β、およびCTLA−4に対するアンチセンスまたはリボザイム標的は、ワクチンとともに投与されることが有用であり得る。
【0080】
ワクチンのための送達の経路としては、例えば、筋肉内注射、樹状細胞に基づく免疫、またはウイルスベクターおよび非ウイルスベクターの両方による経口免疫が挙げられる。
【0081】
(4.糖尿病)
糖尿病は、置換遺伝子のインビボ送達によって処置され得る別の適応症である。以下は、置換遺伝子によってコードされるべき有用なポリペプチドの例である:インスリン、インスリン様増殖因子IおよびII(IGF−IおよびII)。
【0082】
膵臓中のB細胞の表面上に見出され、細胞を免疫破壊から防御するIAS−Lをコードするポリヌクレオチドはまた、糖尿病を処置するために有用である。
【0083】
糖尿病を処置するための送達の経路としては、例えば、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクターの両方を使用する、肝臓指向性、耳下腺指向性、膵臓指向性、唾液腺指向性が挙げられる。
【0084】
(5.高脂血症)
高脂血症は、アポタンパク質またはリポタンパク質レセプターをコードする以下のポリヌクレオチドのインビボ送達によって処置され得る。リポタンパク質およびアポタンパク質のより広範な説明は以下に提供される。
【0085】
高脂血症を処置するための送達の経路としては、例えば、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクターの両方による肝臓指向性静脈内投与が挙げられる。
【0086】
(6.心筋虚血または梗塞)
以下は、インビボで送達される場合に、心筋虚血または梗塞を処置するために有用であるポリヌクレオチドの例である。
【0087】
塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、線維芽細胞増殖因子5(FGF−5)、およびIGF−Iをコードするポリヌクレオチド。
【0088】
心筋虚血または梗塞を処置するための送達の経路としては、例えば、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターの心膜内送達が挙げられる。
【0089】
(7.腸疾患)
以下は、腸疾患を処置するためにインビボで送達され得るポリヌクレオチドの例である。
【0090】
(i)マクロファージ/炎症細胞の補充(recruitment)または活性化のインヒビター(例えば、NFκB)としてのリボザイムまたはアンチセンスポリヌクレオチド;
(ii)抗アポトーシス剤(例えば、インターロイキン1b変換酵素ファミリーのインヒビター)として作用するリボザイムまたはアンチセンスポリヌクレオチド;
(iii)補体ブロッカー(例えば、崩壊促進因子(DAF)、メンブレンコファクタープロテイン(MCP);およびCAB−2としても知られるDAFおよびMCPの融合体をコードするポリヌクレオチド;
(iv)シクロオキシゲナーゼインヒビター;
(v)抗増殖剤(例えば、c−myb、ras/raf、PI3キナーゼ、サイクリンに対する、リボザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、抗体、タンパク質、またはペプチド);
(vi)自殺タンパク質/遺伝子(例えば、ヘルペスチミジンキナーゼ)をコードするポリヌクレオチド;
(vii)炎症性腸疾患の発達の間に欠損し得るまたはダウンレギュレートされ得る置換遺伝子またはタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(viii)IκBをコードするポリヌクレオチド。
【0091】
(8.前立腺ガンおよび良性前立腺過形成)
以下のポリヌクレオチドは、前立腺ガンおよび良性前立腺過形成を処置するために送達され得る。
【0092】
(i)プロアポトーシス因子(例えば、fas、fasリガンド、fadd、fap−1、tradd、faf、rip、reaper、アポプチン(apoptin)、インターロイキン2変換酵素を含む)をコードするポリヌクレオチド;
(ii)抗脈管形成因子(例えば、bFGF可溶性レセプターおよびフラグメント、アンギオスタチン(angiostatin)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)、インターフェロンα(IFNα)、プロリフェリン関連タンパク質、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベータレセプターアンタゴニスト、血小板因子4(PF4)、トロンボスポンジン、メタロプロテイナーゼの組織インヒビター、およびプロラクチンを含む)をコードするポリヌクレオチド;
(iii)免疫調節因子(例えば、インターロイキン2(IL−2)、IFNα、IFNβ、IFNγ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、およびマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)を含む)をコードするポリヌクレオチド;
(iv)抗増殖因子(例えば、シグナル伝達経路のインヒビター(例えば、myb、ras、rasスーパーファミリー、raf、ホスホイノシトール(PI3キナーゼ)、ホスホチロシン結合(PTB)ドメイン、SRC相同2(SH2)ドメイン、SRC相同3(SH3)ドメイン、プレキシトリン相同(plextrinhomology)ドメイン、JUNキナーゼ、およびストレス活性化キナーゼ、シグナリングイノシトールホスファターゼ(signaling inositolphosphatase)によって媒介されるシグナル伝達経路のインヒビター);ならびにサイクリンのインヒビターを含む)としてのリボザイムまたはアンチセンスポリヌクレオチド;
(v)増殖因子(例えば、上皮増殖因子(EGF)、TGF−α、FGF、TGF−β、血小板由来増殖因子(PDGF)、角質細胞増殖因子(KGF)、または任意の前立腺細胞特異的増殖因子を含む)のインヒビターまたは増殖因子のレセプターのインヒビターとしてのリボザイムまたはアンチセンスポリヌクレオチド;
(vi)腫瘍サプレッサー遺伝子または前立腺における過形成状態の発症の間にダウンレギュレートされる遺伝子をコードするポリヌクレオチド;および
(vii)免疫抑制分子(例えば、IL−10、TGF−β、およびCTLA−4)に対するアンチセンスまたはリボザイム標的。
【0093】
(9.貧血、白血球減少症、および血小板減少症)
貧血は、例えば、エリスロポエチン、GM−CSF、G−CSF、M−CSF、およびトロンボポエチンをコードするポリヌクレオチドのインビボ送達によって処置され得る。この適応症のための送達経路の例としては、以下が挙げられるがそれらに限定されない:ウイルスベクターおよび非ウイルスベクターの肝臓標的化静脈内投与。以下の実施例を参考のこと。
【0094】
(10.心筋症)
以下は、心筋症を処置するためにインビボで送達され得るポリヌクレオチドの例である:IGF−1、L−アミノ酸デカルボキシラーゼ、βアドレナリンレセプターキナーゼ(BARK)のインヒビター、トロポニン、およびβアドレナリンレセプターをコードするポリヌクレオチド。
【0095】
この適応症のための送達経路の例としては、IGF−1の心膜発現、およびその他の遺伝子については、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターの冠状動脈内注射もしくは心膜内投与を介する心筋内注射もしくは心筋標的化が挙げられるがそれらに限定されない。
【0096】
(11.慢性関節リウマチ)
以下は、慢性関節リウマチを処置するためにインビボで送達され得るポリヌクレオチドの例である:プロドラッグ(例えば、ヘルペスチミジンキナーゼ)、MMPインヒビター、fas、およびプロアポトーシスタンパク質(上記)、ならびにインターロイキン1レセプターA、インターロイキン10、IκBをコードするポリヌクレオチド。
【0097】
また、NFκBのインヒビターとしてのアンチセンスおよびリボザイムポリヌクレオチド。
【0098】
この適応症のために送達経路の例としては、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクターの関節内注射が挙げられるが、それらに限定されない。
【0099】
(12.変形性関節症および乾癬)
以下は、変形性関節症および乾癬を処置するためにインビボで送達され得るポリヌクレオチドの例である:IGF−1をコードするポリヌクレオチド;メタロプロテイナーゼインヒビターのインヒビターとしてのリボザイムおよびアンチセンスポリヌクレオチド。
【0100】
また、以下は、変形性関節症および乾癬を処置するためにインビボで送達され得るポリヌクレオチドの例である:プロドラッグ(例えば、ヘルペスチミジンキナーゼ)、MMPインヒビター、fas、およびプロアポトーシスタンパク質(上記)、ならびにインターロイキン1レセプターA、インターロイキン10、IκBをコードするポリヌクレオチド。
【0101】
また、NFκBのインヒビターとしてのアンチセンスおよびリボザイムポリヌクレオチド。
【0102】
この適応症のために送達経路の例としては、関節内注射が挙げられるが、それらに限定されない。
【0103】
(13.再狭窄)
以下は再狭窄を処置するためにインビボで送達され得るポリヌクレオチドの例である:
(i)プロドラッグ(例えば、チミジンキナーゼ、その他の例は、ガンの節において記載される)をコードするポリヌクレオチド;
(ii)組織因子プラスミノーゲンインヒビター(TFPI)をコードするポリヌクレオチド;
(iii)c−mybrbz、c−ras rbzをコードするポリヌクレオチド;
(iv)プロアポトーシス因子(上記)をコードするポリヌクレオチド;
(v)IκBをコードするポリヌクレオチド。
【0104】
この適応症のための送達経路の例としては、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクターの冠状動脈内送達が挙げられるが、それらに限定されない。
【0105】
(14.ガン)
本発明の遺伝子送達ベクターは、過増殖性障害(悪性腫瘍を含む)の処置、感染性疾患の処置、および炎症性疾患(自己免疫疾患を含む)の処置のための治療用遺伝子の送達において有用である。例えば、遺伝子治療ベクターは、サイトカイン、または不活性のもしくは部分的に活性なプロドラッグを、活性な薬物に転換するタンパク質を発現させるために使用され得る。多くの場合において、プロドラッグのその活性形態への転換は、細胞溶解性活性を有する化合物を生じる。
【0106】
(a.プロドラッグ転換酵素)
プロドラッグ転換において有用な異なるタンパク質をコードする多数の「自殺遺伝子」が、本発明において使用され得る。例えば、チミジンキナーゼのようなヌクレオシドキナーゼは特に有用である。特に、HSV−TK系は、抗腫瘍細胞治療のための重要な利点を有する。チミジンキナーゼおよびその他のプロドラッグ転換酵素を発現する遺伝子送達ベクターによるガンおよびその他の疾患の処置の説明については、「ベクター構築物を標的細胞へ送達する組換えレトロウイルス」と題されたPCT公開公報第WO91/02805号および「条件的致死遺伝子を利用するための組成物および方法」と題されたPCT公開公報第WO 95/14014091号を参照のこと。HSV−TK形質導入腫瘍細胞は、インビトロおよびインビボにおいて、非形質転換隣接細胞に対する有意な傍観者傷害効果(bystanderkilling effect)を(Mooltenら、前出、Freemanら、1993, Cancer Res. 53:5274)、最も一般的には、隣接細胞間での、細胞間ギャップ結合を介する毒性ガンシクロビル代謝物であるGCV三リン酸への移行の結果として(Biら、1993,Human Gene Therap. 4:725)媒介し得る。毛細血管壁中の内皮細胞はギャップ結合によって連結されており、それで劇的な傍観者効果が、隣接内皮細胞間のGCV三リン酸移行によってもたらされ、そして、大きな、凝固カスケードの増幅効果および腫瘍対内皮細胞比が結果として生じ得る(Denekampら、1986,Cancer Topics 6:6;Denekampら、1984, Prog. Appl.Microcir. 4:28)。最近の証拠は、HSV−TKレトロウイルスベクターでの病巣内治療の間の腫瘍内皮細胞の時折の形質導入が、ベクターの抗腫瘍活性の重要な成分を説明し得ることを示唆する(Ramら、1994,J. Neurosurg. 81:256)。さらに、自殺遺伝子は、標的細胞に対して、条件的にのみ(すなわち、GCVが与えられる場合にのみ)細胞毒性である。その結果として、エクスビボ投与方法が利用され得る。例えば、この型のプロトコルにおいて、内皮細胞は腫瘍バイオプシーから単離され得(Medzelewskiら、1994,Cancer Res. 54:336)、適切なマイトジェンを用いて増殖するように誘導され得(Ferraraら、前出)、そしてTKでインビトロにおいて形質導入され得る。移植されたECは、腫瘍内注射後数日から数週間で新生脈管構造中に組み込まれるようになり(Lalら、1994,Cancer Gene Therap. 1:322)、それでGCV処置は、形質導入されたECを機能的に腫瘍脈管構造中に組み込ませるための適切な「遅滞期」の後に続く。2段階酵素−プロドラッグ系は、きめ細かい臨床管理のより大きな柔軟性を提供する。なぜなら、正常ECに対する損傷から生じる(潜在的に非常に重篤な)合併症の場合のGCV注入の中止は、インサイチュでトランスジーンの活性をブロックすることの必要性なしに、毒性をブロックするからである。
【0107】
チミジンキナーぜに加えて多数の別の「自殺遺伝子」もまた、ガン遺伝子治療に有用である(Mooltenら、前出)。細菌シトシンデアミナーゼ遺伝子(Huberら、1993,Cancer Res.53:4619)の腫瘍細胞への導入は、抗真菌剤5−フルオロシトシン(5−FC)への感受性を与える。シトシンデアミナーゼは、5−FCを5−フルオロウラシル(5−FU,Nishiyamaら、1985,CancerRes. 45:1753)に変換する。5−FUは、乳ガンに対して通常使用される化学治療薬であるので、いくつかのグループが、この疾患のためにシトシンデアミナーゼに基づく「自殺遺伝子」治療モデルを開発した。腫瘍特異性は、c−erbB2プロモーター/エンハンサーエレメントをシトシンデアミナーゼ遺伝子の5'に導入することによりさらに増加され得、その結果、治療トランス遺伝子(transgene)はc−erbB2過剰発現乳ガン腫瘍細胞において優先的に転写される(Harrisら、1994,GeneTherap. 1:170)。アルカリホスファターゼは、プロドラッグ活性化酵素として、抗体指向酵素−プロドラッグ治療(ADEPT)の関連分野において広範に調べられている。この酵素は、抗ガン剤(例えば、マイトマイシンC、エトポシドなど;荷電したリン酸基が切断されるまで細胞膜を通過出来ない)の広範なリン酸化誘導体を活性化し得るという利点を有、従って単一酵素は、腫瘍細胞塊内で化学治療剤のカクテルをデノボ生成し得る(Senterら、1993,BioconjugateChem. 4:3)。他の自殺遺伝子は、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(ガンシクロビルまたはアシクロビル)、VaricellaZosterウイルスチミジンキナーゼ(6メトキシプリンアラビノヌクレオシド;Huberら、1991, Proc. Natl. Acad.Sci. USA 88:8039)、E. coliシトシンデアミナーゼ(フルオロウラシル;Mullenら、1992,Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 89:33)、E.coliキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(チオキサンチン;Beshardら、1987, Mol. Cell Biol.7:4139)、E. coliまたはLeishmaniaプリンヌクレオチドホスホリラーゼ(種々の非毒性プリンデオキシアデノシン、アデノシン、デオキシグアノシン、またはグアノシン誘導体(KoszalkaおよびKrenitsky,1979,J. Biol Chem 254:8185, 1979;Sorscherら、1994, GeneTherapy 1:233)、シトクロムpla50 2B1またはシトクロムp450レダクターゼ(例えば、3アミノ−1,2,4ベンゾトリアジン1,4−ジオキシド(Waltonら、1992,Biochem. Pharmacol. 44:251))、細胞表面アルカリホスファターゼ(例えば、エトポシド1リン酸;Senterら、1988,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:4842,1988)、ニトロレダクターゼ(例えば、メトロニダゾールまたはニトロフラントイン;Hofら、1988, Immunitat undInfektion 16:220)、N−デオキシリボシル(deoxyribosy)トランスフェラーゼ(1−デアザプリン;Betbederら、1989、NucleicAcids Res 17:4217)、ピルビン酸フェロドキシンオキシドレダクターゼ(メトロニダゾール;Upcroftら、1990,Int. J. Parasitolog, 20:489)、カルボキシペピダーゼG2(アミノアシル酸ナイトロジェンマスタード;Antoniwら、1990,Brit J.Cancer 62:909)、カルボキシペプチダーゼA(メトトレキセートαアラニン;Haenselerら、1992,Biochemistry 31:891)、ラクタマーゼ(セファロスポリン誘導体;Meyerら、1993, CancerRes. 53:3956;およびVradhulaら、1993, Bioconjugate Chemistry4:334)、アクチノマイシンDシンセターゼ複合体(合成ペンタペプチドラクトン前駆体;Katzら、1990,J. Antibiotics43:231)、およびグルクロニダーゼ(デオキソルビシンのような毒薬の種々のグルクロニド誘導体;Bossletら、1994,CancerRes. 54:2151;Haeberlinら、1993,Pharmaceutical Res. 10:1553)のような(対応する非細胞毒性因子を有する)ポリペプチド(単数または複数)をコードし得る。
【0108】
不活化プロドラッグを活性薬に変換し、そして当業者に公知である任意の種々の他の酵素もまた、本発明の遺伝子送達ビヒクルにおいて使用され得る。例えば、「Compositions and Methods for Utilizing Conditionally Lethal Genes」と題されたPCT公開番号WO95/14014091、および遺伝子治療に有用なさらなるプロドラッグ/酵素系の記載についての「Molecular Chimeras Useful forCancer Therapy−−Comprising Regulatory Sequences and heterologous enzyme、例えば、VaricellaZoster Virus Thymidine Kinase」と題された欧州特許公開第EP90309430号、を参照のこと。さらなる例として、「NewProdrugs and Enzyme Targeting Molecule Conjugates−−Useful in Antibody DirectEnzyme Prodrug Therapy of e.g. Viral Infections」と題されたPCT特許公開第WO 95/13095号を参照のこと。
【0109】
種々の腫瘍が、本発明の遺伝子送達ビヒクルにより、処置のために標的化され得る。一般には、固形腫瘍が好ましいが、白血球およびリンパ球が固体塊を発達させる場合、または腫瘍細胞が非病原性正常細胞から物理的に分離され得るような適切な腫瘍結合マーカーが存在する場合、白血球およびリンパ球もまた処置され得る。適切な腫瘍の代表的な例には、メラノーマ、大腸ガン、肺ガン(大きな細胞ガン、小さな細胞ガン、扁平上皮ガン、および腺癌を含む)、腎臓細胞ガン、および胸部腺癌が挙げられる。チミジンキナーぜおよび他のプロドラッグ変換酵素を発現する遺伝子送達ビヒクルがまた、慢性関節リウマチ、骨関節炎、および移植片対宿主疾患を含む自己免疫疾患の処置において有用である。例えば、プロドラッグ変換酵素を発現する遺伝子治療ベクターでの疾患の処置の記載についての「Compositions and Methods for Utilizing Conditionally Lethal Genes」と題されたPCT特許公開第WO95/14091号を参照のこと。
【0110】
(b.サイトカイン)
サイトカインおよび免疫系モジュレーターをコードする種々のポリヌクレオチドは、多くの異なる障害の処置のために本発明の遺伝子送達ビヒクルにより送達され得る。代表的な例には、IL−1、IL−2(Karupiahら、1990,J. Immunology 144:290−298;Weberら、1987,J.Exp. Med. 166:1716−1733;Gansbacherら、1990, J. Exp.Med. 172:1217−1224;米国特許第4,738,927号)、IL−3、IL−4(Tepperら、1989, Cell57:503−513;Golumbekら、1991, Science 254:713−716, 1991;米国特許第5,017,691号)、IL−5、IL−6(Brakenhofら、1987,J.Immunol. 139:4116−4121;WO 90/06370)、IL−7(米国特許第4,965,195号)、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13(CytokineBulletin, Summer 1994)、IL−14およびIL−15、特にIL−2、IL−4、IL−6、IL−12、およびIL−13、αインターフェロン(Finterら、1991,Drugs42(5):749−765;米国特許第4,892,743号;米国特許第4,966,843号;WO 85/02862;Nagataら、1980, Nature284:316−320;Famillettiら、1981,Methods in Enz. 78:387−394;Twuら、1989,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2046−2050;Faktorら、1990,Oncogene 5:867−872)、βインターフェロン(Seifら、1991, J. Virol.65:664−671)、γインターフェロン(Radfordら、The American Society of Hepatology 2008−2015,1991;Watanabeら、PNAS86:9456−9460,1989;Gansbacherら、1990, Cancer Research 50:7820−7825;Maioら、1989,Can. Immunol. Immunother. 30:34−42;米国特許第4,762,791号;米国特許第4,727,138号)、G−CSF(米国特許第4,999,291号および第4,810,643号)、GM−CSF(WO 85/04188)、腫瘍壊死因子(TNF)(Jayaramanら、1990, J. Immunology 144:942−951)、CD3(Krissanenら、1987,Immunogenetics 26:258−266,1987)、ICAM−1(Altmanら、1989, Nature 338:512−514;Simmonsら、1988,Nature 331:624−627)、ICAM−2、LFA−1、LFA−3(Wallnerら、1987, J. Exp.Med. 166(4):923−932)、MHC I型分子、 MHC II型分子、B7.1−3、2−ミクログロブリン(Parnesら、1981、Proc.Natl. Acad. Sci. 78:2253−2257)、カルネキシン、MHC結合トランスポータータンパク質またはそのアナログのようなシャペロン(Powisら、1991,Nature354:528−531,1991)のようなサイトカインが挙げられる。
【0111】
本明細書中に記載の任意のサイトカインおよび免疫調節タンパク質をコードする遺伝子は本発明の遺伝子送達ビヒクルにおいて発現され得る。当業者に公知のこれらのサイトカインの他の形態もまた使用され得る。例えば、天然のIL−2およびγ−インターフェロンをコードする核酸配列は、それぞれ米国特許第4,738,927号および第5,326,859号に記載されるように得られ得、一方これらのタンパク質の有用なムテインは米国特許第4,853,332号に記載されるように得られ得る。さらなる例として、mCSFの短いおよび長い形態をコードする核酸配列は、それぞれ米国特許第4,847,201号および第4,879,227号に記載されるように得られ得る。
【0112】
サイトカインをコードする他の核酸分子、ならびに本発明内の使用に有利な他の核酸分子は、例えば、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC,Rockville,Maryland)のような寄託機関を含む種々の供給源から、またはBritish BioTechnologyLimited(Cowley,Oxford England)のような商業供給元から容易に得られ得る。代表的な例には、BBG 12(127アミノ酸の成熟タンパク質をコードするGM−CSF遺伝子を含む)、BBG6(これはγインターフェロンをコードする配列を含む)、ATCC番号39656(これはTNFをコードする配列を含む)ATCC番号20663(これはαインターフェロンをコードする配列を含む)、ATCC番号31902、31902、および39517(これはβインターフェロンをコードする配列を含む)、ATCC番号67024(これはインターロイキン−1bをコードする配列を含む)、ATCC番号39405、39452、39516、39626、および39673(これはインターロイキン−2をコードする配列を含む)、ATCC番号59399、59398、および67326(これはインターロイキン−3をコードする配列を含む)、ATCC番号57592(これはインターロイキン−4をコードする配列を含む)、ATCC番号59394および59395(これらはインターロイキン−5をコードする配列を含む)、およびATCC番号67153(これはインターロイキン−6をコードする配列を含む)が挙げられる。
【0113】
上記のサイトカインを発現する遺伝子送達ビヒクルは、種々の障害の処置において有用である。例えば、悪性の遺伝子治療処置の記載についての「Compositions and Methods for Cancer Immunotherapy」と題されたPCT公開番号US94/02951を参照のこと。
【0114】
(15.神経障害および神経疾患)
チロシンヒドロキシラーゼをコードするポリヌクレオチドは、パーキンソン病の処置において有用であり得る。
【0115】
発作または任意の急性脳損傷のために、IGF−1、bFGF、血管内皮増殖因子(VEGF)をコードするポリヌクレオチドが有用である。
【0116】
(16.肺障害)
気腫を処置するためには、α1−抗トリプシンをコードするポリヌクレオチドが有用である。
【0117】
肺繊維症を処置するためには、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)をコードするポリヌクレオチドが有用である。
【0118】
嚢胞性繊維症を処置するためには、CFTRをコードするポリヌクレオチドが有用である。
【0119】
(さらなる薬剤)
さらなる薬剤が、送達されるべき所望のポリヌクレオチドとともに含まれ得る。これらのさらなる薬剤は、例えば、所望の核酸のエンドサイトーシスを容易にし得るか、または核酸の細胞表面への結合を援助し得るか、もしくはその両方である。
【0120】
(A.ポリペプチド)
1つの例は、限定されないが、以下を含むポリペプチドである:アシアロオロソムコイド(ASOR);トランスフェリン;アシアロ糖タンパク質;抗体;抗体フラグメント;フェリチン;インターロイキン;インターフェロン、顆粒球、マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、幹細胞因子、およびエリスロポイエチン。エンベロープタンパク質のようなウイルス抗原もまた使用され得る。また、RIIとして知られるplasmodiumfalciparumのcircumsporozoiteタンパク質からの17アミノ酸ペプチドのような、他の侵入生物からのタンパク質。
【0121】
(B.ホルモン、ビタミンなど)
含まれ得る他の群は、例えば:ホルモン、ステロイド、アンドロゲン、エストロゲン、甲状腺ホルモン、またはビタミン、葉酸である。
【0122】
(C.ポリアルキレン、ポリサッカライドなど)
ポリアルキレングリコールが、所望のポリヌクレオチドとともに含まれ得る。好ましい実施態様において、ポリアルキレングリコールはポリエチレングリコールである。さらに、モノ−、ジ−、またはポリサッカライドが含まれ得る。この局面の好ましい実施態様において、ポリサッカライドはデキストランまたはDEAE−デキストランである。また、キトサンおよびポリ(ラクチド−コ−グリコリド)。
【0123】
(D.脂質およびリポソーム)
所望のポリヌクレオチドはまた、被検体またはそれ由来の細胞へ送達する前に、脂質中にカプセル化され得るか、またはリポソーム中にパッケージングされ得る。
【0124】
脂質カプセル化は、一般には、核酸の結合を安定化するかまたは捕獲し、そしてこれを保持し得るリポソームを使用して達成される。縮合されたポリヌクレオチドの脂質調製物に対する比は変化し得るが、一般には1:1(1 mgのDNA:1μmolの脂質)付近、またはより脂質が多い。核酸の送達のためのキャリアーとしてのリポソームの使用の概説については、HugおよびSleight,1991,Biochim.Biophys. Acta. 1097:1−17;Straubingerら、METHODS OFENZYMOLOGY (1983),第101巻、512−527頁を参照のこと。
【0125】
本発明における使用のためのリポソーム調製物には、カチオン性(正に荷電)、アニオン性(負に荷電)、および中性調製物が挙げられる。カチオン性リポソームは、プラスミドDNA(Felgnerら、1987,Proc. Natl. Acad. Sci.USA 84:7413−7416);mRNA(Maloneら、1989, Proc. Natl. Acad.Sci. USA 86:6077−6081);および精製転写因子(Debsら、1990,J. Biol.Chem. 265:10189−10192)の細胞内送達を、機能形態において媒介することが示されている。
【0126】
カチオン性リポソームは、容易に入手可能である。例えば、N[1−2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウム(DOTMA)リポソームは、GIBCOBRL,Grand Island,NYからの製品ラインLipofectin(登録商標)の下で入手可能である(例えば、また、Felgnerら、1987,Proc.Natl. Acad. Sci. USA 84:7413−7416を参照のこと)。他の市販のリポソームには、トランスフェクテース(DDAB/DOPE)およびDOTAP/DOPE(Boerhinger)が挙げられる。他のカチオン性リポソームは、当該分野に周知の技術を使用して容易に入手可能な物質から調製され得る。DOTAP(1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン)リポソームの合成の記載については、例えば、Szokaら、1987,Proc.Natl. Acad. Sci. USA 75:4194−4198;PCT公開番号WO90/11092を参照のこと。
【0127】
同様に、アニオン性および中性リポソームは、例えば、Avanti Polar Lipids(Birmingham,AL)から容易に入手可能であるか、または容易に入手可能な物質を使用して簡単に調製され得る。このような物質には、ホスファチジルコリン、コレステロール、ホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジオレオイルホスファチジル(dioleoylphoshatidyl)エタノールアミン(DOPE)などが挙げられる。これらの物質はまた、適切な比で、DOTMAおよびDOTAP出発物質と混合され得る。これらの物質を使用するリポソームの作製の方法は、当該分野に周知である。
【0128】
リポソームは、多層状小胞(MLV)、小さな単層小胞(SUV)、または大きな単層小胞(LUV)を含み得る。種々のリポソーム−核酸複合体は、当該分野で公知の方法を使用して調製される。例えば、Straubingerら、METHODSOF IMMUNOLOGY (1983),第101巻,512−527頁;Szokaら、1987, Proc. Natl Acad.Sci. USA 75:4194−4198;Papahadjopoulosら、1975, Biochim.Biophys. Acta 394:483;Wilsonら、1979, Cell 17:77;DeamerおよびBangham,1976, Biochim. Biophys. Acta 443:629;Ostroら、1977, Biochem.Biophys. Res. Commun. 76:836;Fraleyら、1979, Proc.Natl. Acad. Sci. USA 76:3348);EnochおよびStrittmatter,1979, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76:145);Fraleyら、1980,J. Biol. Chem. 255:10431;SzokaおよびPapahadjopoulos,1978, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:145;およびSchaefer−Ridderら、1982,Science 215:166を参照のこと。
【0129】
(E.リポタンパク質)
さらに、リポタンパク質は、送達されるポリヌクレオチドとともに含まれ得る。利用されるリポタンパク質の例には:カイロミクロン、HDL、IDL、LDL、およびVLDLが含まれる。これらのタンパク質の変異体、フラグメント、または融合体もまた使用され得る。また、アセチル化LDLのような天然に存在するリポタンパク質の改変体も使用され得る。これらのリポタンパク質は、リポタンパク質レセプターを発現する細胞へのポリヌクレオチドの送達を標的化し得る。好ましくは、リポタンパク質が送達されるべきポリヌクレオチドとともに含まれる場合、他の標的リガンドは組成物中に含まれない。
【0130】
リポタンパク質は、送達される所望のポリヌクレオチド、好ましくは以下を含む組成物とともに含まれる:(1)リポタンパク質;(2)ポリヌクレオチド;および(3)ポリヌクレオチド結合分子。
【0131】
天然に存在するリポタンパク質は、脂質部分およびタンパク質部分を含む。タンパク質部分は、アポタンパク質として知られる。現在では、アポタンパク質A、B、C、D、およびEが単離され、そして同定されている。これらの少なくとも2つは、ローマ数字により命名されるいくつかのタンパク質、AI、AII、AIV;CI、CII、CIIIを含む。
【0132】
リポタンパク質は、1つより多いアポタンパク質を含み得る。例えば、天然に存在するカイロミクロンは、A、B、C、およびEを含み、経時的に、これらのリポタンパク質はAを喪失し、そしてCおよびEアポタンパク質を獲得する。VLDLは、A、B、C、およびEアポタンパク質を含み、LDLはアポタンパク質Bを含み;そしてHDLはアポタンパク質A、CおよびEを含む。
【0133】
これらのアポタンパク質のアミノ酸は公知であり、そして例えば、Breslow,1985, Annu Rev. Biochem 54:699;Lawら、1986,Adv. Exp Med. Biol. 151:162;Chenら、1986, JBiol Chem 261:12918;Kaneら、1980, Proc Natl AcadSci USA 77:2465;およびUtermannら、1984, Hum Genet65:232に記載されている。
【0134】
リポタンパク質は、トリグリセリド、コレステロール(遊離およびエステル)、およびリン脂質を含む、種々の脂質を含む。脂質の組成は、天然に存在するリポタンパク質において変化する。例えば、キロミクロンは、主にトリグリセリドを含む。天然に存在するリポタンパク質の脂質内容のより詳細な説明は、例えば、Meth.Enzym.128(1986)に見い出され得る。脂質の組成は、レセプター結合活性についてのアポタンパク質のコンホメーションを補助するように選択される。脂質の組成はまた、ポリヌクレオチド結合分子との疎水性相互作用および会合を容易にするために選択され得る。
【0135】
天然に存在するリポタンパク質は、例えば、超遠心分離により血清から単離され得る。このような方法は、Meth.Enzym.、前出;Pitasら、1980、J.Biochem.255:5454−5460;およびMaheyら、1979,J.Clin.Invest.64:743−750に記載されている。
【0136】
リポタンパク質はまた、インビトロで、すなわち所望の宿主細胞におけるアポタンパク質遺伝子の発現による組換え方法により生成され得る。例えば、Atkinsonら、1986、Annu.Rev.Biophys.Chem.15:403、およびRaddingら、1958,Biochim.Biophys.Acta 30:443を参照のこと。
【0137】
リポタンパク質はまた、商業供給元(例えば、Biomedical Technologies, Inc., Stoughton, Massachusetts, USA)から購入し得る。
【0138】
天然に存在するアポタンパク質の変異体、フラグメント、および融合体は、ポリヌクレオチドの送達に有用である。これらのポリペプチドは、約80%を超えるアミノ酸同一性;より代表的には約85%を超える;さらにより代表的には少なくとも90%の同一性を有する。好ましくは、これらのポリペプチドは、天然に存在するリポタンパク質またはそれらのフラグメントと約92%を超えるアミノ酸配列同一性;より好ましくは、約94%を超える;さらにより好ましくは約96%を超える;さらにより好ましくは約98%を超える;さらにより好ましくは、約99%を超える配列同一性を示す。
【0139】
このような変異体、フラグメント、および融合体は、組換えDNA技術により所望のリポタンパク質をコードするポリヌクレオチドを改変することにより構築され得る。例えば、Sambrookら(1989)MolecularCloning, A Laboratory Manual,第2版(Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor,New York)を参照のこと。これらのポリヌクレオチドは、発現ベクターに挿入され得、そして宿主細胞が、所望のアポタンパク質を産生するために利用され得る。
【0140】
さらに、天然に存在するリポタンパク質、変異体、フラグメント、および融合体は、化学的に改変され得る。例えば、アセチル化LDLは、生物学的活性を有する。例えば、Nagelkerkeら、1983、J.Biol.Chem.258(20):12221−12227;Weisgraberら、1978、J.Biol.Chem.253;9053−9062;Voytaら、1984、J.CellBiol.99:2034−2040;Goldsteinら、1979;proc.Natl.Acad.Sci.USA76:333−337;およびPitas,1981,Arterosclerosis 1:177−185を参照のこと。
【0141】
化学的に改変されたリポタンパク質はまた、商業供給元(例えば、Biomedical Technologies, Inc., Stoughton, Massachusetts, USA)から購入し得る。
【0142】
これらのポリペプチドのすべてが、天然に存在するリポタンパク質のレセプター結合特性を示す。通常、このようなポリペプチドは、天然に生じるリポタンパク質の少なくとも約20%のレセプター結合を示す。より代表的には、このポリペプチドは、天然に存在するリポタンパク質の少なくとも約40%、さらにより代表的には、このポリペプチドは、少なくとも約60%、さらにより代表的には、少なくとも約70%、さらにより代表的には、少なくとも約80%、さらにより代表的には、少なくとも約85%、さらにより代表的には、少なくとも約90%、さらにより代表的には、少なくとも約95%のレセプター結合を示す。
【0143】
代表的には、リポタンパク質は、細胞中へのポリヌクレオチドの組み込みの頻度を増大させるのに有効な量で存在する。このような量は、細胞中へのポリヌクレオチドの組み込みの頻度を、裸のポリヌクレオチドの組込みの頻度と比較して少なくとも10%;より通常には少なくとも15%;さらにより通常には20%;さらにより通常には少なくとも30%、増大させるのに充分である。増大は、40〜100%の間であり得、そして1000%および10000%の増大でさえあり得る。
【0144】
「ポリヌクレオチド結合分子」とは、ポリヌクレオチドと会合する化合物をいい、そしてこの会合は、配列特異的ではない。例えば、このような分子は、(1)ポリヌクレオチドの電荷の中和を補助するか、または(2)ヌクレオチドの縮合を容易にするか、または(3)血清もしくはヌクレアーゼ分解を阻害し得る。必要に応じて、ポリヌクレオチド結合分子は、疎水性結合または電荷のいずれかによりリポタンパク質と相互作用し得る。ポリヌクレオチド結合分子は、ポリペプチド、無機化合物、ビタミンなどを含むが、これらに限定されない。
【0145】
ポリヌクレオチド結合分子の例には:ポリリジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、およびプロタミンが挙げられる。有機ポリカチオンの例には:スペルミン、スペルミジン、およびプトレッシン(purtrescine)を含む。他の例としては、ヒストン、プロタミン、ヒト血清アルブミン、DNA結合タンパク質、非ヒストン染色体タンパク質、DNAウイルス由来外被タンパク質(例えば、φX174)が挙げられ、転写因子はまた、DNAに結合するドメインを含み、それゆえ核酸縮合剤として有用であり得る。手短には、転写因子(例えば、C/CEBP,c−jun,c−fos,AP−1,AP−2,AP−3,CPF,Prot−1,Sp−1,Oct−1,Oct−2,CREP,およびTFIID)は、DNA配列に結合する塩基性(basic)ドメインを含む。
【0146】
他の正に荷電した部分の例は、ポリブレン、DEAE−デキストラン、およびカチオン性脂質を含む。有用なカチオン性脂質およびリポソームは上記に記載されている。脂質およびリポソームは、ポリヌクレオチドおよびリポタンパク質の両方をカプセル化するために、本発明のこの局面では使用されない。リポタンパク質は、細胞表面レセプターに結合するように曝露されなければならない。
【0147】
負に荷電したポリヌクレオチドに結合し得る他の合成化合物、例えば、N置換グリシンおよびその他のポリマーは、以下に記載されるように有用である。
【0148】
リポタンパク質を有する組成物において、ポリヌクレオチド結合分子はまた、ポリヌクレオチドを中和するのに有効な量で存在し得る。しかし、ポリヌクレオチド結合分子はまた、送達されるポリヌクレオチドを中和するのに有効な量より過剰で存在し得る。このような過剰は、送達されるポリヌクレオチドと複合体化された場合、正味の正の電荷を生じ得る。次いで、正に荷電した複合体は、リン脂質のような負に荷電した脂質を含むリポタンパク質と相互作用し得る。
【0149】
代表的には、ポリヌクレオチド結合分子は、以下の場合に過剰である:量が、ポリヌクレオチド電荷を中和する量より10%多い;より代表的には、所望のポリヌクレオチドの電荷を中和するに有効な量より50%多い、さらにより代表的には100%より多い、さらにより代表的には、150%より多い、さらにより代表的には200%より多い、さらにより代表的には、500%より多い、さらにより代表的には、20,000%より多い、さらにより代表的には、22,000%より多い、さらにより代表的には、25,000%より多い、さらにより代表的には、30,000%より多い、さらにより代表的には、40,000%より多い。
【0150】
(ポリカチオン性薬剤)
ポリカチオン性薬剤は、リポタンパク質を伴うかまたは伴わずに、所望の送達されるポリヌクレオチドを伴う組成物中に含まれ得る。
【0151】
(機能特性)
(A.正味の正電荷)
ポリカチオン性薬剤は、代表的に、生理的に関連のあるpHにおいて正味の正荷電を示し、そして所望の場所への送達を容易にする核酸の電荷を中和し得る。これらの因子は、インビトロ、エキソビボ、およびインビボの両方の適用を有する。例えば、これらのポリカチオン性薬剤を使用して、組換えタンパク質を産生するのに使用される細胞をトランスフェクトし得る。あるいは、本発明のポリカチオン性薬剤を使用して、核酸を生きた被験体に筋肉内、皮下などのいずれかで送達し得る。
【0152】
生理学的に関連のあるpHは、インビトロとインビボ適用との間でいくらか変動する。代表的には、生理学的pHは、少なくとも5.5であり;より代表的には少なくとも6.0であり;さらにより代表的には、少なくとも6.5である。通常、生理学的に関連のあるpHは、8.5は超えず;より通常には、8.0を超えず;さらにより通常には、7.5を超えない。
【0153】
好ましくは、核酸を中和するための本発明のポリカチオン性薬剤の等電点は、少なくとも9である。
【0154】
(B.非毒性特性および非免疫原性特性)
本発明のポリカチオン性薬剤の組成物は、所望の毒性特性および免疫原性特性を示す。インビトロ細胞培養は、インビボ哺乳動物適用とは異なる免疫原性制限を有する。
【0155】
本発明のポリカチオン性薬剤は、毒性について容易に試験され得る。例えば、薬剤は、インビトロアッセイ(例えば、cos−7、チャイニーズハムスター卵巣細胞など)において使用される細胞のための培地に添加され得る。あるいは、薬剤は、安全性についての標準的な動物試験において試験され得る。
【0156】
(C.縮合特性)
電荷に起因して、これらのポリカチオン性薬剤のサブセットは、送達を容易にするために緻密なサイズへと所望の核酸を縮合し得る。代表的には、縮合は、ポリヌクレオチドまたは核酸を巨大分子構造(通常、トロイド形態)へと「崩壊」させる。縮合核酸のより小さなサイズは、例えば、核酸をリポソーム中にパッケージングするか、ならびに/またはプロテアーゼおよび/もしくはヌクレアーゼへの曝露を低減することを容易にすることにより送達を容易にさせる。
【0157】
縮合核酸は、「弛緩」核酸と比べて異なる特性を示す(例えば、(1)エチジウムブロマイドまたは他のインターカレート染料のインターカレーションにおける減少、または(2)ゲル電気泳動における移動度の減少)。従って、縮合は、少なくとも2つの異なるアッセイ、インターカレート染料アッセイ、またはバンドシフトアッセイにより測定され得る。
【0158】
インターカレート染料アッセイの1つの型は、エチジウムブロミドを使用する。このアッセイにおいて、試験核酸(簡便にはプラスミドDNA)は、ポリカチオン性薬剤と約1:1〜1:50(重量/重量、プラスミド対縮合剤の比)の比で混合され得る。インキュベーション後、エチジウムブロマイドを反応物に最終濃度1μg/mLで添加する。RNAのような核酸が試験核酸として使用される場合、アクリジンオレンジが、インターカレート染料として使用され得る。反応混合物を、1%のアガロースゲルでスポットしたUV透過プラスチックチューブに移すか、またはUV透過プラスチックc上に配置し、そして260nm光で照射する。DNA−エチジウムブロマイド複合体からの放射をフィルム上に、適切なUVフィルターを備えるカメラにより記録する。薬剤のDNAを縮合する能力は、各反応混合物における蛍光の強度により反比例する。
【0159】
より詳細な試験はバンドシフトアッセイである。手短には、このアッセイは、核酸(標識されているかまたはされていない)を種々の濃度の候補縮合剤とインキュベートすることにより実施される。試験核酸(簡便にはプラスミドDNA)および縮合剤は、1:1〜1:50w/wの比で混合される。インキュベーション後、各サンプルを1%アガロースゲルにロードし、そして電気泳動し、次いでゲルをエチジウムブロマイドで染色するかまたは乾燥させて、そしてオートラジオグラフを取る。DNA縮合は、非縮合標準と比べてゲルに入ることができないことにより決定される。充分な縮合は、少なくとも90%のDNAが有意な程度にゲルに入り得ない場合に達成される。
【0160】
縮合はまた、例えば、光散乱装置(例えば、Coulter N4MDサブミクロン分析器)を用いて複合体のサイズを直接決定することにより測定され得る。ポリヌクレオチドおよび縮合剤を適切な比で、それだけでかまたは2%のPEG−2000(FisherScientific)および0.6MのNaClの存在下でインキュベートし、次に3mlの水に希釈する。この希釈溶液は、Coulter計数器により分析する。この計数器は0〜1,000ナノメーター(nm)の平均サイズを有する粒子を検出する。縮合剤(例えば、ポリ−L−リジン)は、代表的に平均径が約50〜200nmの粒子を得る。Leeら、1996,J.Biol.Chem.271:8481−8487を参照のこと。
【0161】
(D.血清および/またはヌクレアーゼ保護特性)
本発明のポリカチオン性薬剤は、核酸を血清における分解またはヌクレアーゼ(生物学的溶液(例えば、血清、前立腺液、関節液など)に存在するヌクレアーゼを含む)から保護し得る。この型の保護の1つの利点は、より少量の所望の核酸が有効な投与に必要であることである。
【0162】
有効量で存在する場合、これらのポリカチオン性薬剤は、複合体化していない核酸と比較して血清分解を少なくとも5分間阻害し得る;より通常には、使用される量は、少なくとも10分間分解を阻害するのに十分である;さらにより通常には、使用される量は、少なくとも30分間分解を阻害するのに十分である;さらにより通常には、少なくとも45分間分解を阻害するのに十分である;さらにより通常には、少なくとも60分間分解を阻害するのに十分である;さらにより通常には、少なくとも90分間分解を阻害するのに十分である;より通常には、少なくとも120分間分解を阻害するのに十分である。
【0163】
血清保護の増大は、例えば、単に、ポリカチオン/ポリヌクレオチド複合体のマウス血清とのインキュベーションにより測定され得る。好ましくは、血清は、熱不安定化される。インキュベーション後、混合物をゲル電気泳動で分析して、インキュベーション後に残留するポリヌクレオチドの量を決定し得る。
【0164】
あるいは、ヌクレアーゼをポリカチオン性薬剤/核酸複合体に添加し得る。得られる混合物をゲル電気泳動で分析して、分解の量を決定し得る。他の生物学的溶液(例えば、前立腺液)もまた、試験され得る。
【0165】
(E.細胞へのポリヌクレオチドの進入の媒介)
ポリカチオン性薬剤は、ポリヌクレオチドの細胞への進入を媒介し得る。ポリヌクレオチドの細胞への組込みは、例えば、タンパク質発現アッセイまたはポリヌクレオチドハイブリダイゼーション技術のいずれかにより測定され得る。
【0166】
組込みの頻度を検出する1つの方法は、マーカータンパク質(例えば、ルシフェラーゼ)をコードする遺伝子を含むことである。送達されるポリヌクレオチドを組み込んだ細胞は、マーカータンパク質を発現する。タンパク質は、標準的な免疫アッセイによるか、またはルシフェラーゼの場合のように生物学的活性もしくは酵素活性により検出され得る。
【0167】
あるいは、標準的なハイブリダイゼーション技術(例えば、サザンブロットまたはノーザンブロット、あるいはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術)を使用して所望のポリヌクレオチドの存在を検出し得る。
【0168】
(F.さらなる特性)
細胞の内部への核酸の進入を容易にするために、本発明の薬剤は、以下のことが可能であり得る:
(a)細胞表面へのポリヌクレオチドの結合;
(b)細胞膜の不安定化;
(c)エンドサイトーシスを開始させる;
(d)エンドソーム緩衝化能力;
(e)エンドソームからのDNA/脂質複合体の放出;または
(f)核屈性。
【0169】
これらの特徴を検出するためのアッセイは、標準的であり、当業者に公知である。
【0170】
(物理的特性)
以下の物理的特性は、ポリカチオン性薬剤の組成物を決定する場合、考慮されるべき要因である:
(a)置換基とバックボーンとの距離;
(b)鎖の全長;
(b)疎水性および/または芳香性;
(c)水素結合基の数;および
(c)以下を含む電荷
(i)荷電基の型、(ii)荷電密度、および(iii)位置。
【0171】
他の関連する特徴は、構造的可撓性を含む。例えば、ポリカチオン性薬剤のヘリックス構造は、いくつかの適用において好ましくあり得る。
【0172】
考慮されるべき特定の寸法は以下を含む:
(a)目的のポリヌクレオチドにおけるリン酸基の距離;および
(b)目的の薬剤におけるモノマー基の距離。
【0173】
(ポリペプチドポリカチオン性薬剤)
以下は、ポリカチオン性薬剤として有用なポリペプチドの例である:ポリリジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、およびプロタミン。他の例は、ヒストン、プロタミン、ヒト血清アルブミン、DNA結合タンパク質、非ヒストン染色体タンパク質、DNAウイルスの外被タンパク質(例えば、φX174)を含み、転写因子はまた、DNAに結合するドメインを含み、それゆえ核酸縮合剤として有用であり得る。手短には、転写因子(例えば、C/CEBP,c−jun,c−fos,AP−1,AP−2,AP−3,CPF,Prot−1,Sp−1,Oct−1,Oct−2,CREP,およびTFIID)は、DNA配列に結合する塩基性ドメインを含む。
【0174】
有機ポリカチオン性薬剤は、スペルミン、スペルミジン、およびプトレッシンを含む。
【0175】
ポリカチオン性薬剤の寸法および物理的特性は、上記のリストから推定され得、他のポリペプチドポリカチオン性薬剤を構築し得るかまたは合成ポリカチオン性薬剤を生成し得る。
【0176】
(合成ポリカチオン性薬剤)
有用である合成ポリカチオン性薬剤は、例えば、DEAEデキストラン、ポリブレン、リポフェクチン(登録商標)、およびリポフェクトアミンTMを含み、これらは、ポリヌクレオチドと合わせた場合、ポリカチオン性複合体を形成するモノマーである。
【0177】
本発明のポリカチオン性薬剤の好ましい基は、以下の一般式(I)を有する:
【0178】
【化7】


【0179】
これらの化合物の好ましいサブセットは、式(I)を有する化合物であって、ここでR2が水素である、化合物を含む。さらにより好ましくは、少なくとも1つの天然アミノ酸を含むポリマーである。また、好ましいのは、ポリマーであって、ここでR2およびR3の両方が水素であり、これらはまた、ポリN置換グリシンまたはポリNSGといわれる。
【0180】
(A.モノマー)
本発明のポリカチオン性薬剤は、以下の構造(II)を有するモノマーを含む:
【0181】
【化8】


【0182】
一般に、R1,R2およびR3は、それぞれ1から250ダルトンの分子量を有する部分である。最も代表的には、分子量は200を超えず;さらにより代表的には、175を超えない。
【0183】
代表的には、各々のモノマーは、R1,R2またはR3に1つの水素を含む。より代表的には、R1およびR3が共に水素であって、L−アミノ酸の構造であるか;またはR2およびR3が共に水素であって、NSGの構造であるかのいずれかである。
【0184】
ポリカチオン性薬剤において利用されるモノマーは、正または負のいずれかに荷電され得る。また、中性の置換基もまた、利用され得る。
【0185】
分解部位は、例えば、R1およびR3が水素である場合、天然アミノ酸由来の置換基を含めることによりポリマーに組み込まれ得る。これらのモノマーは、正または負に荷電され得るか、あるいは中性であり得る。
【0186】
一般的規則として、塩基性に(basically)荷電したモノマーは、側鎖について少なくとも7.5のpKa値を有する。正に、または塩基性に荷電されたモノマーは、これらに限定されることなく、以下の官能基を含有するモノマーを含む:アミノ、グアニジノ、ヒドラジド、およびアミジノ。これらの官能基は、芳香族または脂肪族であり得る。
【0187】
R3およびR1に水素を含む正に荷電したモノマーは、ポリカチオン性薬剤中に例えば分解部位として含められ得る。このような分解部位は、ポリヌクレオチドからのポリカチオン性薬剤の分離を補助し得、さらなるプロセシングを可能にする。モノマーのようなL−アミノ酸について、有用なR2置換基は、例えば、天然に存在するアミノ酸(例えば、リジンまたはアルギニン)に見い出されるもの由来である。また、アミノ酸アナログの側鎖、例えば、オルニチンおよびカナリン;または塩基性アミノ酸の改変(例えば、ホモアルギニン)、および他のアミノ酸の改変(例えば、グアニジノバリネートおよびアミノエチルシステイン)が使用され得る。L−アミノ酸に見い出される置換基はまた、本発明のポリカチオン性薬剤のR1位およびR3位に組み込まれ得る。
【0188】
天然に存在するアミノ酸およびアナログは、これらの分子の鏡像異性を示すようにD−アミノ酸と命名される。L−アミノ酸もまた、モノマーとしてポリカチオン性薬剤へ組み込まれ得る。L−アミノ酸の置換基は、例えば、D−アミノ酸について命名されるように同一であり得る。
【0189】
好ましいモノマーは、N置換グリシンモノマーを含む。例示的なN置換は、アルキルフェニル(alklphenyl)、インドリルアルキル、アルコキシフェニル、ハロフェニルアルキル、ヒドロキシフェニルアルキル、ならびに下記に示されるN置換を含む。
【0190】
【化9】


【0191】

【0192】
上記の正に荷電した置換基はまた、式(I)および式(II)のR2位またはR3位に配置され得る。
【0193】
ポリカチオン性薬剤は、負に荷電したモノマーまたは中性のモノマーを含み得る。正に荷電したモノマーに関して、D−アミノ酸、L−アミノ酸、およびNSGが、モノマーとして組み込まれるのが好ましい。
【0194】
以下は、このようなモノマーの例である:
【0195】
【化10】


【0196】
【化11】


【0197】

【0198】
(B.ポリカチオン性ポリマー)
代表的に、ポリカチオン性薬剤は、末端基を除き、少なくとも9の推定等電点を示す。さらに、薬剤は、末端基を除き、少なくとも20%の正に荷電したモノマー;より代表的には、少なくとも25%;より代表的には30%、および好ましくは少なくとも33%の正に荷電したモノマーを含む。代表的には、薬剤は、5%を超えない酸性モノマーを含み、好ましくは全く含まない。
【0199】
ポリカチオン性薬剤の荷電密度および組成を変換して、特定の核酸配列、型、および核酸とポリカチオン性薬剤との複合体とともに含まれる他の成分に適応させ得る。
【0200】
通常、ポリマーの長さは、少なくとも8モノマーであり;さらにより通常には、12モノマーであり;さらにより通常には18モノマーである。より代表的には、本発明のポリカチオン性薬剤は、長さが少なくとも24モノマー単位であり;より代表的には、30モノマー単位であり;さらにより代表的には、36モノマー単位であり;さらにより代表的には48モノマー単位である。ポリカチオン性薬剤は、長さが50まで、75まで、100までのモノマー単位であり得る。
【0201】
好ましくは、ポリカチオン性薬剤は、すべてのR2およびR3が水素であるモノマーを含む。さらにより好ましくは、すべてのR2およびR3が水素である場合、ポリカチオン性薬剤が、(アミノ末端からカルボキシ末端に向かって)以下のモノマー配列を有する反復トリマー単位を含む:(1)中性モノマー、(2)中性モノマー、および(3)正に荷電したモノマー。
【0202】
好ましくは、中性モノマーは、R1位に芳香族基を含み;より好ましくは、芳香族基が単環を含む;さらにより好ましくは、芳香族基が6員環である。
【0203】
代表的には、正に荷電したモノマーは、R1位がアミノアルキルであり;より代表的には、アミノアルキルは、1〜6個の炭素分子を含み;さらにより代表的には、アミノアルキルはアミノエチルである。
【0204】
代表的には、ポリカチオン性薬剤は、3〜20の反復トリマーを含み、2つの中性および1つの正に荷電したR1基を有するトリマー(例えば、配列、中性モノマー、中性モノマー、正に荷電したモノマーを有するトリマー)が好ましい。より好ましくは、ポリカチオン性薬剤は、5〜18のトリマーを含み;好ましくは8〜16トリマーを含み;そしてさらにより好ましくは、12〜16のトリマーを含む。
【0205】
必要に応じて、ポリカチオン性薬剤は、末端基を除いて、正に荷電したモノマーのみを含む。代表的には、このようなポリカチオン性薬剤は、24〜48のモノマーを含み;より代表的には、30〜40のモノマーを含み;さらにより代表的には、36モノマーを含む。
【0206】
正に荷電したモノマーのみを含む本発明のポリカチオン性薬剤は、代表的にはグアニジノアルキル側鎖を有する。代表的には、グアニジノアルキル側鎖は、1〜6個の炭素分子を含む。好ましくは、側鎖は、グアニジノエチルである。
【0207】
(C.中性ポリマー)
本発明の中性ポリマーの好ましい基は、一般式(I)を有する:
【0208】
【化12】


【0209】

【0210】
好ましくは、R2は水素である。少なくとも1つの天然アミノ酸を含むポリマーがさらにより好ましい。また、好ましいのは、式(I)を有するポリマーであって、ここでR2およびR3が水素であり、これはまたポリN置換グリシンまたはポリNSGといわれる。
【0211】
本発明の中性ポリマーにおいて使用されるポリマーは、本発明のカチオン性ポリマーにおいて使用されるモノマーと同一の一般式を有する。すなわち:
【0212】
【化13】


【0213】

【0214】
一般に、R1,R2およびR3は、それぞれ1から250ダルトンの分子量を有する部分である。より代表的には、分子量は200を超えず;さらにより代表的には、175を超えない。
【0215】
代表的には、各々のモノマーは、R1,R2またはR3に1つの水素を含む。より代表的には、R1およびR3が共に水素であって、L−アミノ酸の構造であるか;またはR2およびR3が共に水素であって、NSGの構造であるかのいずれかである。
【0216】
中性薬剤において利用されるモノマーは、正または負のいずれかに荷電され得る。また、中性の置換基もまた、利用され得る。中性ポリマーは、末端基を除いて、正味の正または負の電荷を示さない。
【0217】
分解部位は、R1およびR3が水素である場合、モノマーにおいて天然アミノ酸置換基を用いることによりポリマーに組み込まれ得る。
【0218】
天然に存在するアミノ酸およびアナログは、これらの分子の鏡像異性を示すようにD−アミノ酸と命名される。L−アミノ酸もまた、モノマーとして中性ポリマーへ組み込まれ得る。L−アミノ酸の置換基は、例えば、D−アミノ酸について命名されるのと同一であり得る。
【0219】
好ましいモノマーは、N置換グリシンモノマー、ならびに送達されるポリヌクレオチドと水素結合および/またはイオン結合を形成し得るモノマーを包含する。
【0220】
中性ポリマーのためのモノマーの例は、上記および以下の実施例に記載のモノマーを含む。
【0221】
(D.ポリマーどうしを連結する)
複数のポリマーは、ポリマーの架橋が可能である末端基または側鎖を互いに結合することによって、連結され得る。例えば、ポリマーはジスルフィド結合によって連結され得る。ポリマーをカップリングするために有用な他の末端基は、炭酸塩、尿素などを含む。
【0222】
(E.ポリマーに組み込まれるさらなる基)
さらなる成分が本発明のポリカチオン性薬剤(例えば、標的化リガンド)に含まれ得る。このようなさらなる基は、所望の核酸のエンドサイトーシスを容易にし得るか、または細胞表面への核酸の結合を補助し得る。
【0223】
ポリぺプチドは、ポリカチオン性薬剤中に組み込まれ得る。例には、限定することなしに、以下が含まれる:アシアロオロソムコイド(ASOR);トランスフェリン;アシアロ糖タンパク質;抗体;抗体フラグメント;フェリチン;インターロイキン;インターフェロン;顆粒球;マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF);マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF);幹細胞因子;およびエリスロポエチン。ウイルス抗原(例えば、エンベロープタンパク質)もまた使用され得る。また、他の侵襲性生物由来のタンパク質(例えば、RIIとして知られるPlasmodiumfalciparumのサーカムスポロゾイト(circumsporozoite)タンパク質由来の17アミノ酸ペプチド)も有用である。
【0224】
さらに、リポタンパク質が、ポリカチオン性薬剤(例えば、低密度リポタンパク質、高密度リポタンパク質、または非常に低密度のリポタンパク質)中に組み込まれ得る。これらのタンパク質の変異体、フラグメント、または融合物もまた使用され得る。
【0225】
組み込まれ得る他の基には、限定することなしに、以下が含まれる:ホルモン、ステロイド、アンドロゲン、エストロゲン、甲状腺ホルモン、またはビタミン、葉酸。葉酸は、例えば、Mislickら、1995, T.J. Bioconjugate Chem. 6:512に従って、ポリカチオン性薬剤に組み込まれ得る。
【0226】
また、本発明のポリカチオン性薬剤は、ポリアルキレングリコールと化学的に結合され得る。好ましい実施態様において、ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールである。PEGは、例えば、Luら、1994, Int. J. Pept. Protein Res. 43: 127に従って、ポリカチオン薬剤とともに組み込まれ得る。
【0227】
さらに、ポリカチオン性薬剤は、化学的にモノ、ジ、またはポリサッカライドと結合され得る。この局面の好ましい実施態様において、ポリサッカライドは、デキストランである。
【0228】
これらのさらなる基は、ポリカチオン性薬剤中に組み込まれ得る。例えば、R1、R2、およびR3は、上記の基のいずれか1つと架橋するように活性化され得る置換基であり得る。例えば、チオール基は、別の基と架橋してジスルフィド結合を形成するために含まれ得る。
【0229】
(F.末端基)
本発明のポリカチオン性薬剤の末端基は、適宜選択され得る。適切な末端基(すなわち、TaおよびTc)には、例えば−NH2、−OH、−SH、および−COOHが含まれる。末端基は、ポリカチオン性薬剤の標的化特性を増強するように選択され得、そして上記のさらなる基のいずれかであり得る。
【0230】
上記のさらなる基は、ポリカチオン性薬剤の末端に組み込まれ得る。例えば、ポリカチオン性薬剤は、(1)種々のカルボン酸でアシル化され得るか;(2)スルホニルクロライドでスルホニル化され得るか;または(3)イソシアネートまたはイソチオシアネートで誘導体化され得る。一旦活性化されると、末端は、上記の基のいずれか(例えば、ポリぺプチド(例えば、低密度リポタンパク質)または葉酸)と反応され得る。
【0231】
末端基をポリカチオン性薬剤に付加する1つの手段は、例えば、(1)アミノ末端をFmoc−アミノ−ヘキサン酸でアシル化すること;および(2)保護基Fmocを除去して一級アミン(これは、さらに官能化され得る)を生成することである。
【0232】
あるいは、アミノ末端基には、限定することなしに以下が含まれる:アシル(例えば、アセチル、ベンゾイル);またはスルホニル(例えば、ダンシル)。
【0233】
カルボキシ末端基には、例えば、アミドまたはアルキルアミドが含まれ得る。
【0234】
(ポリカチオン性薬剤の合成)
本発明のポリカリオン性薬剤は、固相または液相法のいずれかによって合成され得る。以下は、NSGの合成のための固相法であり、これは一般に広範な種々の側鎖の置換基について使用され得る。この方法は、自動化ペプチド合成装置を利用して行われ、目的のポリカチオン性薬剤の迅速な合成を可能にし得る。このような装置は、例えば、AppliedBiosystemsおよびMilligenから市販されている。
【0235】
(A.2工程モノマーアセンブリ)
合成の方法は、NSGモノマーを含むポリマーを拡張する過程で、2つのサブモノマーからモノマーをアセンブリすることである。この技術は、Zuckermannら、1992,J. Amer Chem Soc 114(26): 10646−10647、およびZuckermannら、PCT特許公報第WO94/06451に記載される。NSGはまた、アシル化剤およびアミンのコポリマーの交互の縮合であると考えられ得る。
【0236】
サブモノマーでのポリマー合成の方向は、カルボキシからアミノの方向に起こる。ポリマー形成の経過における各モノマーについての固相アセンブリは、反応性側鎖官能性が保護される必要があるだけなので、Nα保護モノマーに対する必要性を排除する。
【0237】
各モノマーの付加は、図1に示されるように、アシル化工程および求核置換工程の2工程を含む。
【0238】
詳細には、モノマー付加の各サイクルは、2工程からなる:
(1)アミンおよびカルボニル基(好ましくはカルボキシル基)による求核置換の可能な脱離基を含むアシル化剤での、支持体に結合した二級アミンのアシル化。例は、ハロ酢酸である;および
(2)側鎖を導入するための、一級アミノ基を含む十分な量のサブモノマーでの脱離基の求核置換。サブモノマーを含むアミノ基は、アルコキシアミン、セミカルバジド、アシルヒドラジド、置換ヒドラジンなどであり得る。
【0239】
アシル化は、カルボジイミドまたは他の適切なカルボキシレート活性化法で活性化され得る。
【0240】
置換の効率は、ハロゲン化物(例えば、I>Cl)の選択によって調節される。脂肪族ヒドロキシル基、カルボン酸、カルボキシ、チオール、アミノ、いくつかのヘテロ環、および他の反応性側鎖の官能性の保護が、所望でない側鎖反応を最小化するために好ましい。しかし、いくつかの側鎖部分の置換またはアシル化に対する穏やかな反応性は、保護(例えば、インドール、イミダゾール、およびフェノール)なしでのそれらの使用を可能にし得る。
【0241】
(B.3工程モノマーアセンブリ)
NSGはまた、ポリマーが拡張するにつれて各モノマーをアセンブリするための3工程法を使用して構築され得る。最初のモノマーの骨格は、アシル化工程によって拡張され、その後求核置換される。側鎖は、第二のアシル化工程によって導入される。反応スキームは、図2に示される。
【0242】
モノマーの骨格は、合成サイクルの最初の2つの工程においてアセンブリされる。第一の反応は、アシル化剤のカルボニル基がアミンと反応するアシル化工程である。アシル化剤は、カルボニル基;骨格、Ra;および脱離基、Lを含む。好ましくは、カルボニル基は、カルボキシルである。
【0243】
第二の工程は、置換剤の第一のアミノ基による脱離基の求核置換である。置換剤は、第一および第二アミノ基ならびに骨格Rdを含む。第一のアミノ基は、一級アミンであり、そして第二の工程は、二級アミンを生成する。
【0244】
第三の工程は、別のアシル化サブモノマーが、置換剤の第一のアミノ基と反応して第三のアミドを生成する別のアシル化である。アシル化剤は、カルボニル基;必要に応じてリンカー;および側鎖を含む。好ましくは、カルボニル基は、カルボキシルである。
【0245】
(薬学的組成物)
ポリカチオン性薬剤/ポリヌクレオチド複合体は、リポソームにカプセル化されていようとなかろうと、薬学的組成物中にて投与され得る。薬学的組成物は、治療有効量の核酸を含む。
【0246】
本明細書中で使用される用語「治療有効量」は、特定の疾患または症状を検出可能に処置、改善、または予防するのに十分な治療薬剤の量(すなわち、検出可能な治療的または予防的効果を誘導するのに十分な量)をいう。効果は、例えば、化学的マーカーまたは抗原レベルを含み得る。治療的効果はまた、物理的徴候の低減(例えば、体温の低下)を含む。被験体にとっての正確な有効量は、被験体のサイズおよび健康、心臓血管症状の性質および程度、ならびに投与のために選択された治療または治療法の組合せに依存する。従って、正確な有効量を前もって特定することは有用ではない。しかし、所与の状況にとっての有効量は、日常的な実験によって決定され得、そして臨床医の判断内にある。本発明の目的のために、有効用量は、投与される個体において、約0.01mg/kg〜50mg/kgまたは0.05mg/kg〜約10mg/kgのDNA構築物である。
【0247】
薬学的組成物はまた、薬学的に受容可能なキャリアを含み得る。用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、治療薬剤(例えば、抗体またはポリぺプチド、遺伝子、および他の治療薬剤)の投与のためのキャリアをいう。この用語は、組成物を受ける個体に有害な抗体の産生をそれ自体誘導しない任意の薬学的キャリアをいい、そしてそれは過剰な毒性なしに投与され得る。適切なキャリアは、大きく、ゆっくり代謝される巨大分子(例えば、タンパク質、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合体のアミノ酸、アミノ酸コポリマー、および不活性のウイルス粒子)であり得る。このようなキャリアは、当業者に周知である。
【0248】
薬学的に受容可能な塩(例えば、無機酸塩(例えば、ハイドロクロリド、ハイドロブロミド、ホスフェート、スルフェートなど);および有機酸の塩(例えば、アセテート、プロピオネート、マロネート、ベンゾエートなど))が、本明細書中で使用され得る。薬学的に受容可能な賦形剤の詳細な議論は、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Pub. Co., NJ. 1991)において得られる。
【0249】
治療的組成物における薬学的に受容可能なキャリアは、水、生理食塩水、グリセロール、およびエタノールのような液体を含み得る。さらに、湿潤剤または乳化剤のような補助的な物質、pH緩衝物質などは、このようなビヒクル中に存在し得る。代表的には、治療的組成物は、注射可能な物質として、液体溶液または懸濁液のいずれかとして調製される;注射の前の液体ビヒクル中での溶液または懸濁液に適切な固体形態もまた調製され得る。リポソームは、薬学的に受容可能なキャリアの定義内に含まれる。
【0250】
(送達方法)
一旦処方されると、本発明の組成物は、(1)被験体に直接投与され得るか;(2)被験体由来の細胞にエクスビボで送達され得るか、または(3)インビトロで組換えタンパク質の発現のために投与され得る。処置される被験体は、哺乳動物または鳥類であり得る。また、ヒト被験体も処置され得る。
【0251】
組成物の直接送達は、一般に、皮下、腹腔内、静脈内、または筋肉内のいずれかでの注射によって達成されるか、または組織の間質性空間に送達される。組成物はまた、腫瘍または病変に投与され得る。投与の他の態様には、経口投与および肺への投与、座剤、および経皮塗布、針、および遺伝子銃またはハイポスプレーが含まれる。投薬処置は、単回投与スケジュールまたは多数回投与スケジュールであり得る。
【0252】
エキソビボ送達のための方法および形質転換された細胞の被験体への再移植は、当該分野で公知であり、そして例えば、国際出願第WO93/14778(1993年8月5日出願)に記載されている。エキソビボ適用に有用な細胞の例には、例えば、幹細胞、特に造血細胞、リンパ細胞、マクロファージ、樹状細胞、または腫瘍細胞が含まれる。
【0253】
一般に、エキソビボおよびインビトロ適用の両方のための核酸の送達は、以下の手順で達成され得る:例えば、デキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈澱、ポリブレン媒介トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム中へのポリヌクレオチドのカプセル化、およびDNAの核への直接的マイクロインジェクション。これらは全て当該分野で周知である。
【0254】
以下に示される実施例は、当業者に対するさらなる指針として提供され、そしていかなる様式においても発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0255】
(実施例1 ポリカチオン性薬剤の合成)
この実施例は、以下の構造を有するポリカチオン性薬剤の合成を記載する:
【0256】
【化14】


【0257】
ここで、R3およびR2は、全てのモノマーについて水素である。本実施例で記載される全てのポリマーは、特に示されない限り(例えば、葉酸終結基)、アミノおよびカルボキシル基で終結する。
【0258】
以下に記載されるポリカチオン性薬剤を、Figliozziら、1996, Meth. Enzy. 267: 437−447およびZuckermannら、1992, J.Amer. Chem. Soc. 114(26): 10646−10647に記載される手順に従って合成した。
【0259】
全てのポリマーを、ブロモ酢酸および一級アミンを用いて合成した。以下は、R1に配置されてポリカチオン性薬剤を構築する一級アミンの置換体である:
【0260】
【化15】


【0261】
【化16】


【0262】
【化17】


【0263】
【化18】


【0264】
【化19】


【0265】
【化20】


【0266】
*精製された。
【0267】
方法を要約するために、Fmoc−Rinkアミド樹脂(NovaBiochem, San Diego, California, USA)を固体支持体として使用する。これは、ペプチドC末端アミドのFmoc合成のために使用されるものと同じ樹脂である。ポリカチオンの合成は、樹脂上のFmoc基の20%(v/v)ピペリジンジメチルホルムアミド(DMF)での脱保護で開始する。次いで、アミノ樹脂を、ブロモ酢酸でアシル化する。これに次いで、NSGモノマーを構築するためにブロミドの一級アミンでの求核置換を行う。次いで、後の2つの工程を、繰り返し様式で継続し、所望のオリゴマーを合成する。
【0268】
全ての反応および洗浄は、そうでないと示されない限り室温で行った。樹脂の洗浄とは、洗浄溶媒(通常DMFまたはジメチルスルホキシド(DMSO))の樹脂への添加、均一のスラリーを得るためのその樹脂の撹拌(代表的には約20秒間)、続いて樹脂からの溶媒の十分な排水をいう。溶媒を、樹脂が乾燥したように見えるまで(代表的には、約5秒間)、反応容器のフリット底を介した減圧濾過によって除去した。全ての合成において、樹脂スラリーを、フリットされた容器の底を介してアルゴンで泡立てることにより撹拌した。
【0269】
フリットされた反応容器を、約0.50mml/g樹脂の置換レベルを有する100mg(50μmol)のFmoc−Rinkアミド樹脂で充填した。DMFの2ミリリットルを樹脂に添加し、そしてこの溶液を1〜2分間撹拌して樹脂を膨潤させた。次いで、DMFを排水した。次いで、DMF中の2.0mlの20%ピペリジンを樹脂に添加することにより、Fmoc基を除去した。これを、1分間撹拌し、次いで排水した。さらにDMF中の2mlの20%ピペリジンを樹脂に添加し、そして15分間撹拌し、次いで排水した。次いで、2mlのDMFで樹脂を6回洗浄した。
【0270】
次いで、DMF中の850μlの0.6Mブロモ酢酸を樹脂に添加し、その後DMF中の200μlの3.2MN.N'−ジイソプロポリカルボジイミド(diisoprooplycarbodiimide)(DIC)を添加することによって、脱ブロック(deblock)したアミンをアシル化した。この溶液を30分間室温で撹拌し、次いで排水した。この工程を2回繰り返した。次いで、樹脂を2mlのDMFで2回、2mlのDMSOで1回洗浄した。これで、1回の反応サイクルを完了した。
【0271】
2回目のサイクルを、ブロモ酢酸およびDICでのアシル化工程によって開始し、その後第二のアミンで置換した。このアシル化/置換サイクルを、所望のオリゴマーが得られるまで繰り返した。
【0272】
ポリカチオン性薬剤からの樹脂の切断は、以下の通りである。乾燥樹脂を、テフロン(登録商標)コートした微量撹拌棒を含むガラスシンチレーションバイアル中に置き、そして水中の約5mlの95%トリフルオロ酢酸(TFA)を添加した。溶液を20分間撹拌し、次いで20μmポリエチレンフリットを据えた8mlの固相抽出(SPE)カラムを通して50mlポリプロピレンコニカル遠心管中に濾過した。
【0273】
樹脂を1mlの95%TFAで洗浄した。次いで、組み合わせた濾液を、1:1アセトニトリル:水から3回凍結乾燥させた。材料を水中の5%アセトニトリル中に5mMの濃度に再溶解した。
【0274】
(グアニジノアルキル含有ポリマーの調製)
グアニジノアルキル側鎖を、アミノアルキル側鎖の合成後改変によってポリマー中に導入した。従って、ポリマーを、メトキシベンズヒドリルアミン(MBHA)樹脂がRikn樹脂の替わりに使用されたことを除けば、上記のようにサブモノマー法によって合成した。グアニジノアルキル側鎖が所望である場合にはいつでも、モノBocアルカンジアミンを置換工程に組み込んだ。ポリマーの合成の後、側鎖Boc基を95%TFA/水での20分間室温での処理によって除去した。(これは、固体(soliud)支持体からオリゴマーを除去しない)。次いで、遊離のアミノ基を、1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン(DMF中に1M、2×1時間、40℃)での処理によって、グアニジニル化(guanidinylated)した。DMFおよびメチレンクロライドでの洗浄後、オリゴマーをフッ化水素酸で樹脂から切断し、そして凍結乾燥した。
【0275】
(葉酸−ポリマー結合体の調製)
葉酸−ポリマー結合体を、樹脂結合ポリマーのN末端にリンカーを付加することによって調製した。これを、次いで葉酸によってアシル化した。詳細には、ポリマーの合成の後、N末端をFmocアミノヘキサン酸(aminohexanoic acid)(DMF中に0.5M、0.5Mヒドロキシベンゾトリアゾール、0.5Mジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1×1時間、室温)でアシル化した。Fmoc基を除去(20%ピペリジン/DMF、1×20分、室温)した後、遊離の一級アミノ基を葉酸でアシル化した(DMSO中に0.1M、0.1MDIC、1×2時間、50℃)。樹脂の洗浄の後、結合体を95%TFA/水で通常の様式で切断した。
【0276】
(実施例2 ポリヌクレオチドの縮合)
実施例1に記載のように、ポリカチオン性薬剤を合成し、そして5mMの最終濃度まで単離した。ポリヌクレオチドを、以下の手順に従って、RZ110、RZ112、およびRZ120シリーズの化合物で縮合した。
【0277】
(1)全てのポリカチオン性薬剤を1マイクロリットルあたり3ナノモルの正電荷の最終濃度まで希釈する。
【0278】
(2)1μgのDNAを1〜2μlの希釈されたポリカチオン性薬剤に添加する。
【0279】
(3)10μlに容量を調整する。この混合物は、4℃で一晩保存され得る。
【0280】
(4)5μlのDNA/ポリカチオン性混合物を2μlの5×緩衝液(これは、複合体を維持するためにSDSを含まない)中に添加する。(5×緩衝液=40%スクロース、0.25%ブロモフェノールブルー、および200mMTris酢酸、4mM EDTA(pH7.8))。
【0281】
(5)10μlに容量を調整する。
【0282】
(6)サンプルを、75ボルトを1.5時間印加して、1%アガロースゲル上で泳動する。1〜2μlの間で、全てのポリカチオン性薬剤が、アガロースゲル中でのDNAの移動を遅らせると判断した。
【0283】
(実施例3 血清分解の阻害)
RZ110、RZ112、およびRZ120シリーズの化合物を実施例2に記載のようにポリヌクレオチドと混合した。一晩の混合物の5マイクロリットルを、5μlのBalbCマウス血清に添加した。血清を熱処理せずに、凍結融解した。血清、ポリカチオン性薬剤、およびポリヌクレオチドの混合物を、代表的には、37℃にて30分間インキュベートした。インキュベーションの時間を5〜60分の間で変化させた。
【0284】
次に、0.5%(wt/v)SDSを含む5×緩衝液の2μlを、インキュベートした混合物に添加した。この最終溶液を1%アガロースゲルにロードし、そして75ボルトで1.5時間電気泳動した。
【0285】
試験した化合物の全て(すなわち、全てのRZ110、RZ112、およびRZ120シリーズ)は、直接的な比較において有意な保護を提供した。全てのRZ112シリーズならびにRZ110−3およびRZ110−8は、ポリ−L−リジンよりも良好に血清分解を阻害した。
【0286】
(実施例4 ペプトイド媒介性インビトロ送達)
ルシフェラーゼ遺伝子を含むDNA1μg/μlを無エンドトキシン水中で希釈した。プラスミドDNAはCMVKmルシフェラーゼであった。これは実施例5においてより詳細に記載される。
【0287】
インビトロ送達のためのトランスフェクションプロトコールは以下のようであった:
(A)HT1080細胞を使用した。これらの細胞は、アメリカンカルチャーコレクション、Rockville、Maryland、USA、受託番号CCL121から入手可能である。これは線維肉腫である。増殖培地は10%熱不活化ウシ胎児血清を有するダルベッコの改変イーグル培地(DME)であった。
【0288】
(B)トランスフェクションの24時間前に、細胞を1mlの培地中で24−ウェルプレートの1ウェル当たり5×104個でプレートした。
1.細胞に500μlのDME−10%ウシ胎児血清(FCS)のまたは500μlOpti−MEM(登録商標)を与える。Opti−MEM(登録商標)はGibco BRL, Life Technologies, Inc.,Gaithersburg, Maryland, USAから購入され得る。
2.各チューブに200μlOpti−MEM(登録商標)を添加する。
3.200μlのOpti−MEM(登録商標)に3μlの所望のポリカチオン性薬剤を添加する。
4.2μlの1μg/μlルシフェラーゼDNAを添加し、混合する。
5.混合物を室温にて5分間インキュベートする。
6.100μlのポリカチオン性薬剤/DNA混合物をDME−FCSを有するプレートに添加し、100μlをOpti−MEM(登録商標)を与えた細胞に添加する。
7.細胞およびポリカチオン性薬剤/DNA混合物を37℃にて約4時間インキュベートする。
8.全ての細胞について培地をDME−FCSに交換する。
9.DME−FCSを陽性コントロールとして使用した。
コントロールとして、Panvera,Inc., Madison, Wisconsin, USAからのトランスフェクタント、LT1、を使用して、血清中の細胞およびOpti−MEM(登録商標)中の細胞にトランスフェクトした。
10.細胞を、Promega,Madison, Wisconsin, USAからのPromega Luciferase Assay Systemを製造業者の指示に従って使用して、ルシフェラーゼ活性について試験した。
結果:
【0289】
【化21】


【0290】
【化22】


【0291】

【0292】
(実施例5 標的化リガンド)
(A.使用した細胞、ベクター、および組成物)
第1の実験では、高レベルのアセチル化LDLレセプターを発現するマウス内皮細胞(Py−4−1)。細胞およびLDLレセプターは、Duboisら、1991, Exp. CellRes. 196:302−313に記載される。
【0293】
ルシフェラーゼ含有プラスミド(pCMVkmLUC)を使用して、ポリヌクレオチドをアセチル化LDL(Ac−LDL)と共に実施例1に記載されるポリカチオン性薬剤と結合させた場合、ポリヌクレオチドが内皮細胞に送達され、そして発現されるか否か決定した。アセチル化低密度リポタンパク質の内皮細胞の増大した取り込みに基づく内皮細胞の同定および単離の説明は、Voytaら、1984,J. Cell Biol. 99:2034−2040にある。
【0294】
これらの実験において使用したプラスミドpCMVkmLUCを、pSP−luc+(Promega Corporation, Madison, WI)由来のluc+遺伝子を発現ベクターpCMVkm2に挿入することによって構築した。簡略には、pSP−luc+を制限酵素NheI−EcoRV(BoehringerMannheim, Indianapolis, IN)で消化し、そして1691bpのフラグメントを標準的方法によって単離した。このフラグメントを、RapidLigation Kit (Boehringer Mannheim, Indianapolis, IN)を使用してpCMVkm2(これを、XbaIおよびEcoRVで消化しておいた)に挿入した。pCMVkm2の配列を配列番号2に示し、そして以下に記載する。luc+遺伝子を、発現がCMV前初期エンハンサープロモーターによよって駆動され、そしてウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルによって終結されるように、pCMVkm2にクローン化した。
【0295】
ルシフェラーゼ発現を、リポフェクトアミン(インビトロで細胞をトランスフェクトするために通常使用される薬剤)(Hawley−Nelsonら、1993, Focus 15:73)と結合させて送達させた同一のベクターを用いて得られたレベルと比較した。結果を、以下の表に示す。
【0296】
(B.トランスフェクションの方法:)
簡略には、細胞を24ウェルディッシュにプレートし、およそ80%のコンフルーエンスまで増殖させ、トランスフェクトし、そしてルシフェラーゼ活性について24時間後にアッセイした。全てのトランスフェクションを血清含有培地中で行った。トランスフェクション混合物調製の間、pCMVkmLUCをRZ112と最初に混合し、次いでDNA−カチオン性ポリカチオン性薬剤複合体をAc−LDLに添加した。次いで、血清含有培地を混合物に添加し、各ウェルに送達される体積を0.5mlに調整した。
【0297】
リポフェクトアミンを陽性コントロールとして使用した。この陽性コントロールにはリポタンパク質を添加しなかった。リポフェクトアミンは、メンブレン濾過水中のポリカチオン性脂質2,3−ジオレイルオシル−N−[2(スペルミン−カルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)および中性脂質ジオレオイルホスファチジル−エタノールアミン(DOPE)の3:1(w/w)リポソーム処方物である。リポフェクトアミンを、LifeTechnologies, Gaithersburg, Maryland, USAから購入し得る。
【0298】
(C.ルシフェラーゼアッセイ)
ルシフェラーゼ活性をPromega Luciferase Assay System, Madison, Wisconsinを使用してアッセイした。
【0299】
(D.結果)
表1は、ポリカチオン性薬剤であるRZ−112−2をリポフェクトアミンと、アセチル化LDLレセプターを含む細胞へのルシフェラーゼ遺伝子の送達について比較した場合の実験結果を示す。
【0300】
(表1 ルシフェラーゼ活性)
【0301】
【化23】


【0302】
*各数字は3つのウェルの平均を示す。
【0303】
(実施例6 アセチル化LDLレセプターを有する細胞とアセチル化LDLレセプターを有さない細胞の比較)
(A.アセチル化LDLレセプターを有する細胞)
この実験のために、K1735マウス上皮メラノーマ細胞を使用した。これらの細胞は低いレベルまたは存在しないレベルのAc−LDLレセプターを発現する。この細胞の説明は、J.Natl. Cancer. Inst. 69(4):(1982)中に存在する。
【0304】
(B.方法)
簡略には、細胞を24ウェルディッシュに、2mML−グルタミンを補充した10% FCSを有するDME中で1ウェル当たり10,000細胞でプレートした。Py−4−1細胞を、37℃にて10% CO2中で培養した。K1735細胞を、37℃にて5%CO2中で培養した。細胞をおよそ50%のコンフルエンスまで増殖させ、トランスフェクトし、そして24時間後にルシフェラーゼ活性についてアッセイした。全てのトランスフェクションを血清含有培地中にて行った。
【0305】
トランスフェクション混合物調製の間、pCMVkmLUCをRZ112−2と最初に混合し、次いでDNA−ポリカチオン性薬剤複合体をAc−LDLに添加した。次いで、血清含有培地を混合物に添加し、各ウェルに送達される体積を0.5mlに調整した。
【0306】
(C.結果)
(表2 ルシフェラーゼ活性)
【0307】
【化24】


【0308】
*各数字は3つのウェルの平均を示す。
【0309】
(実施例7 エリスロポエチンをコードするポリヌクレオチドの注射)
(A.ポリヌクレオチド)
CMVkm2はこれらの研究において使用した標準的なベクターである。CMVkm2は哺乳動物における発現について最適化されたベクターである。目的の遺伝子を、ヒトCMV発現カセットの3'に挿入されているポリリンカー中にクローン化する。このカセットは、ヒトCMV前初期プロモーター/エンハンサー、続いてヒトCMV前初期領域のイントロンAを含む(Chapmanら、1991,Nucl. Acids Res. 19:3937−3986)。転写は、ポリリンカーの直ぐ3'側にクローン化されている、ウシ成長ホルモン遺伝子由来のポリアデニル化部位によって終結される。CMVkm2ベクターについては配列番号2を参照のこと。
【0310】
CMV−km−cmEPOベクターを以下のようにCMVkm2から構築した。カニクイザルEPOcDNAを、ATCC(受託番号67545、Rockville, MD)から入手した。このプラスミドをAvrIIおよびBglIIで消化し、そしてCMVkm2ベクターのXbaIおよびBamHI部位に挿入した。挿入された配列はcmEPOの全コード領域(Genbank登録番号M18189)を含む。配列番号3を参照のこと。
【0311】
(B.マウス)
免疫不全重症複合免疫不全(SCID)マウスを、Charles River Labs, Wilmington, Massachusetts, USAから入手した。
【0312】
筋肉内注射を以下のように行った:マウスを80mg/mlケタミンおよび4mg/mlキシラジンを含む50μlの溶液で麻酔した。前脛骨筋を囲む領域を剃った。50μlのDNA(9%生理食塩水中の2.7μg/μlの濃度)を、両足の前脛骨筋に28ゲージの針を使用して注射した。最初の注入後24時間目に、第2の注射を同一のプロトコールを使用して行った。血液を眼窩洞から採取し、週一回の基準でヘマトクリット値を測定した。
【0313】
(C.結果)
プラスミドCMVkm−cmEpo(これは、カニクイザルのEPOcDNAを発現する)を注射した6匹のマウスについてのヘマトクリット値の読み取りを、以下の表3に示す。コントロールと記した列は3匹の注射していないマウスについての平均の読み取りを示す。3匹のコントロールマウスについての生データを表3の下部に示す。注射した群のマウス2は注射後4週と5週の間に死亡した。
【0314】
【化25】


【0315】

【0316】
(実施例8 レプチンをコードするポリヌクレオチドの注射)
(A.ポリヌクレオチド)
上記のCMV−km2ベクターをこれらの実験のために使用した。野生型のレプチンコード領域またはHAバージョンのレプチンコード領域のいずれかをベクターに挿入した。プラスミドのマップを図4に示し、そして野生型レプチンを有するベクターの配列を配列番号4に示す。
【0317】
(B.マウス)
ob/obマウスをJacksonLabs, Bar Harbor, Maine, USAから入手した。最初の劣性肥満症変異である、obese変異(ob)はIngallら、1950, J.Hered. 41:317−318によって1950年に同定され、そして記載された。続いて、Friedmanら、1990 Cell 69:217−220に記載のように、マウスにおいて5つの単一遺伝子変異が肥満表現型を生じることが観察された。(より最近では、マウスobese遺伝子およびそのヒトホモログが、Zhangら、1994,Nature 372:425に記載のように、クローン化された)。
【0318】
(C.方法)
筋肉内注射を以下のように行った:マウスを実施例7に上記されるのと同一のケタミン溶液で麻酔し、そして前脛骨筋を囲む領域を剃った。
【0319】
0.9%生理食塩水中の3.3μg/μlの濃度のDNAの50μlを、両足の前脛骨筋に28ゲージの針を使用して注射した。
【0320】
最初の注入後72時間目に、第2の注射を同一のプロトコルを使用して行った。
【0321】
群1のob/obマウスに、野生型マウスレプチンタンパク質をコードするプラスミド(pCMVkMレプチン−wt)を注射した。
【0322】
群2のob/obマウスに、抗体12CA5によって認識されるエピトープを用いて改変された形態のマウスレプチンをコードするプラスミド(pCMVkm−レプチンHA)を注射した。エピトープのアミノ酸配列はSYPYDVPDYASLGGPS(Wilsonら、1984,Cell 37:767−778)である。
【0323】
群3のob/obマウスに0.9%生理食塩水の溶液を注射した。
【0324】
マウスを毎日秤量し(表4を参照のこと)、そして最初の8日間各マウスについての体重増加比を計算した。結果を表5に示す。任意の所定の日について、体重を0日目の個々のマウスの体重から引き、そして差を0日目の体重で割った、8日目からの体重比変化データを、片側t検定を使用して分析した。群3のコントロールマウスと比較した場合、群2のマウスからのp値は、0.004であった。群3のコントロールマウスと比較した場合、群1のマウスについてのp値は0.0038であった。
【0325】
注:マウスを1日目および2日目には秤量しなかった。これらの日の値は3日目から外挿した。
【0326】
【化26】


【0327】
【化27】


【0328】

【0329】
(実施例9 COS細胞株、HT1080細胞株、および293細胞株でのペプトイド媒介性インビトロ送達)
COS細胞(受託番号CRL1651の下でアメリカンタイプカルチャーコレクション、Rockville,MD,から入手可能)およびHT1080細胞(受託番号CCL121の下でアメリカンタイプカルチャーコレクション、Rockville, MD,から入手可能)を培養し、そして実施例4に記載のトランスフェクションプロトコルに従ってpCMVkmLUCおよび本発明の種々のポリカチオン性薬剤(実施例1に記載)でトランスフェクトした。ルシフェラーゼ活性を実施例4に記載の方法に従ってアッセイした。総細胞タンパク質を製造業者の指示に従ってPierceBCAキットを使用して測定した。
【0330】
図7Aに示す結果は、ポリカチオン性薬剤のトランスフェクションを媒介する能力は細胞株型に依存しないことを示す。中性側鎖およびカチオン性側鎖の繰り返し三量体モチーフを有するポリカチオン性薬剤は、トランスフェクションを媒介するに特に効果的であった。
【0331】
カチオン性ペプトイドの相同なシリーズのトランスフェクション効率を評価した。詳細には、カチオン性ペプトイドRZ−110−1(18マー)、RZ−120−3(24マー)、RZ120−7(36マー)、およびRZ120−11(48マー)(これらは、同一の繰り返し(HHP)モチーフを有する)を、COS細胞およびHT1080細胞をトランスフェクトするそれらの能力について評価した。これらのポリカチオン性薬剤をpCMVkmLUCと2:1(+対−の電荷比)で複合体化させた。DNA上の陰性電荷の濃度を、各ヌクレオチドについて330の平均分子量に基づいて、DNAの1μg当たり3.03nmolのリン酸を使用して計算した。ポリカチオン性薬剤の式量を、半トリフルオロ酢酸塩(アミノ基の50%がTFAと塩を形成する)として計算し、そしてポリカチオン性薬剤の濃度を凍結乾燥させたペプトイドの重量に基づいて決定した。アミノ基を、形式的に十分にプロトン化されているとみなし、+対−の電荷を計算する場合、目的のポリカチオン性薬剤上の陽性電荷の数を得た。
【0332】
図7Bに示すように、カチオン性ペプトイドのこの特定のシリーズについてのトランスフェクション効率は、24以上のモノマー単位を有するペプトイドについては、オリゴマー長に大部分依存しなかった。
【0333】
ポリカチオン性薬剤RZ145−1および市販のカチオン性脂質DMRIE−CTM、Lipofectin(登録商標)およびリポフェクトアミンを使用してトランスフェクション効率を評価した。これらの実験において、RZ145−1をpCMVkmLUCと2:1(+対−の電荷比)で複合体化させた。DMRIE−CTM、Lipofectin(登録商標)、リポフェクトアミンでのトランスフェクションを、製造業者の指示に従って行った。カチオン性脂質をまた、2:1(+対−の電荷比)で用いた。293ヒト胎児腎臓細胞(Microbix,Toronto, Ontario, Canada)、HT1080細胞、およびNIH−3T3細胞(受託番号CRL 1658の下でアメリカンタイプカルチャーコレクション、Rockville,MD,から入手可能)をトランスフェクトし、10%血清の存在下または非存在下のいずれかで培養し、次いで実施例4に記載されるプロトコルと同一のプロトコルを使用してルシフェラーゼ生成についてアッセイした。ルシフェラーゼを、実施例4に記載のように、最初のトランスフェクション後48時間目に測定した。総細胞タンパク質を製造業者の指示に従ってPierceBCAキットを使用して測定した。
【0334】
図8に示す結果はLipofectin(登録商標)およびリポフェクトアミン(これらは、それぞれ血清存在下において10倍および100倍効率が低い)とは対照的に、ポリカチオン性薬剤RZ145−1によって媒介される遺伝子移入は血清の存在に対して非感受性であったことを示す。
【0335】
ポリカチオン性ポリマー(例えば、ポリリジンおよびヒストン)によって媒介されるトランスフェクションは、トランスフェクション培地へのクロロキンの添加によって大いに増強される。クロロキンが本発明のポリカチオン性薬剤によって媒介されるトランスフェクションに影響するか否か決定するために、HT1080細胞および293細胞を、クロロキンの存在下および非存在下でRZ145−1を使用してトランスフェクトした。コントロールとして、同じ細胞株をクロロキンの存在下および非存在下の両方でポリリジンでトランスフェクトした。図9に示す結果は、ポリカチオン性薬剤RZ145−1は、等しく、クロロキンを伴うおよびこれを伴わない両方のトランスフェクションを媒介することにおいて効果的であったことを示す。対照的に、クロロキンの非存在下におけるポリリジン媒介性トランスフェクションは、クロロキンの存在下におけるポリリジン媒介性トランスフェクションより100倍低かった。さらに、結果は、カチオン性ペプトイド媒介性トランスフェクションがポリリジン媒介性形質転換より効率的であることを示す。
【0336】
(実施例10 DNA/ポリカチオン性薬剤複合体の安定な処方物の調製)
(A.DNA/ポリカチオン性薬剤複合体処方物(2:1、+対−電荷比))
全ての操作を、室温で行った。DGPW(診断用精製水)を使用してストック溶液を調製した。ポリカチオン性薬剤およびDNAサンプルの両方が、沈澱を避けるために低塩濃度(すなわち、<1mM)を有した。
【0337】
(1)バッチ法
250μgまでDNAについて、以下のようなポリカチオン性薬剤RZ145−1およびpCMVkmLUCの複合体。DNA(すなわち、pCMVkmLUC)を、151μMの陰性電荷に対応する50μg/mlの濃度まで水中の30%(v/v)エタノールで希釈した。RZ145−1を水中の30%エタノールで23.2μMまで希釈した。ポリカチオン性薬剤の1部に対して、DNA溶液の1部を穏やかに撹拌しながら可能な限り迅速に添加した。沈澱を避けるために、DNA溶液を、ポリカチオン性薬剤の溶液に添加した(逆ではなく)。2つの溶液の緩徐な添加を、沈澱および大きな複合体の形成を避けるために避けた。
【0338】
(2)連続法
250μgより多いDNAについては、ポリカチオン性薬剤/DNA複合体の濃縮処方物を調製するための連続法が好ましい。DNA溶液およびペプトイド溶液を上記のように調製し、そして別々のボトルに入れた。各ボトルを混合T字管(mixingtee)の1つの口に連結した。ボトルに2psi〜3psiで同時に圧力をかけ、同じ流速(例えば、20ml/分以上)で混合T字管へ2つの流れを送達した。
【0339】
(B.濃縮工程)
パートA由来のDNA−ポリカチオン性薬剤複合体の2ミリリトッルを、Centricon(登録商標)−100(AmicoInc. Beverly, MA)に入れ、そして1000×gで30分間遠心分離するか、またはポリカチオン性薬剤DNA複合体を含む濃縮物の容積がおよそ50μlになるまで遠心分離した。濾液をボトムレシーバーから除去した。濃縮物を2mlの5%グルコースで希釈し、そして再び50μlまで濃縮した。この操作を再び繰り返し、5%グルコース中の1mg/mlDNAを含有する濃縮複合体溶液を生成した。この濃縮工程を、4℃または室温のいずれかで行い得る。最終濃縮溶液のエタノール含有量は0.1%未満であった。濃縮溶液に沈澱は観察されなかった。
【0340】
【化28】


【0341】
【化29】


【0342】
【化30】


【0343】
【化31】


【0344】
【化32】


【0345】
【化33】


【0346】
【化34】


【0347】
【化35】


【0348】
【化36】


【0349】
【化37】


【図面の簡単な説明】
【0350】
【図1】図1は、2工程のモノマーアセンブリ反応スキームの模式図である。
【図2】図2は、3工程のモノマーアセンブリ反応スキームの模式図である。
【図3】図3は、ベクターpCMVKmITR−EPIのプラスミドマップである。
【図4】図4は、ベクターCMVkm2のプラスミドマップである。
【図5】図5は、ベクターpCMV−KM−cmEPOのプラスミドマップである。
【図6】図6は、ベクターCMVKmLeptinWtのプラスミドマップである。
【図7】図7Aは、ポリカチオン性薬剤の多様なセットについてのトランスフェクション効率を示す。ポリカチオン性薬剤を、2:1の+対−の電荷比でDNAとともに処方し、そして10%血清の存在下で、HT1080(実線)またはCOS(点線)のいずれかに添加した。ルシフェラーゼ活性を、トランスフェクションの48時間後に分析した。全細胞タンパク質を、PierceBCAアッセイを用いて測定し、そしてルシフェラーゼ活性を、全細胞タンパク質に対して規準化した。図7Bは、異なる数の同じ繰り返しトリマーモチーフを有するポリカチオン性薬剤についてのトランスフェクション効率に対するオリゴマーの長さの効果を示す。AおよびBの両方について、各データの点は、2つの実験の平均を示す。