| 【発明の名称】 |
シリコーンエラストマー複合粉末、シリコーンエラストマー複合粉末の製造方法および化粧料 |
| 【発明者】 |
【氏名】小川 克基
【氏名】八木 克彦
【氏名】大野 守
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| 【要約】 |
【課題】流動性及び分散性に優れたシリコーンエラストマー複合粉末を提供する。また、また、シリコーンエラストマー粉末の有するべとつき感がなく、使用感触及び耐衝撃性に優れた化粧料を提供する。
【解決手段】シリコーンエラストマー粉末と粘土鉱物との混合物を、周速度40m/秒以上、フルード数70以上の条件で高速回転分散機を用いて複合粉末化する工程を備え、表面に粘土鉱物が被覆されたシリコーンエラストマー粉末からなり、比容積が2.50ml/g以下、吸油量が180g/100g以下であるシリコーンエラストマー複合粉末を製造する。またそのシリコーンエラストマー複合粉末を配合した化粧料とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 表面に粘土鉱物が被覆されたシリコーンエラストマー粉末からなり、比容積が2.50ml/g以下、吸油量が180g/100g以下であることを特徴とするシリコーンエラストマー複合粉末。 【請求項2】 シリコーンエラストマー粉末と粘土鉱物との混合物を、周速度40m/秒以上、フルード数70以上の条件で高速回転分散機を用いて複合粉末化する工程を備え、 表面に粘土鉱物が被覆されたシリコーンエラストマー粉末からなり、比容積が2.50ml/g以下、吸油量が180g/100g以下であるシリコーンエラストマー複合粉末を製造することを特徴とするシリコーンエラストマー複合粉末の製造方法。 【請求項3】 請求項1に記載のシリコーンエラストマー複合粉末を配合してなることを特徴とする化粧料。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は新規なシリコーンエラストマー複合粉末に関し、さらに詳しくは流動性および分散性に優れたシリコーンエラストマー複合粉末およびその製造方法、ならびにそのシリコーンエラストマー複合粉末を配合した化粧料に関する。 【背景技術】 【0002】 シリコーンエラストマー粉末は、一次粒子が2〜15μmの範囲の球状粉末であり、分子内にジメチルシロキサン骨格を有するために、べとつき感がなく、化粧品に潤滑性やひろがり性を与えるという優れた特性がある(特許文献1、2参照)。 【0003】 しかしながら、このシリコーンエラストマー粉末は、ブドウの房状に高次に凝集した構造を有しており、流動性や分散性に劣る。このため、シリコーンエラストマー粉末を化粧料に配合した場合、十分に分散することが困難であり、化粧品に凝集体が異物のように発生し、伸びやすべりなどの感触が悪いという問題があった。また、シリコーンエラストマー粉末の分散性が悪い場合には内部にひずみが生じ、固形パウダーファンデーションとした場合には耐衝撃性が極端に劣ることがあり、商品として携帯性に問題を生じてくる。 【0004】 このため、シリコーンエラストマー粉末の凝集を改良するために種々の提案がなされている。 例えば、攪拌・混合作用を利用した方法として、乳鉢、擂潰機、ボールミル、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、レディゲミキサー、V型ミキサーなどで攪拌・混合する方法がある。また、衝撃作用を利用した方法として、ハンマーミル、ピンミルなどで衝撃を与える方法が提案されている(特許文献3〜5参照)。 しかしながら、前者の内、特に乳鉢、擂潰機、ボールミルで攪拌・混合する方法は、せん断力が小さく、長時間混合すれば静電気が発生して再凝集するという問題があった。また後者のハンマーミル、ピンミルなどで衝撃を与える方法は、シリコーンエラストマー粉末のゴム弾性が衝撃力を吸収し、微粉化が不十分であるという問題点があった。 【0005】 これらの欠点を改良する方法として、シリコンーンエラストマー粉末を密閉した空間に閉じ込め、せん断力をかけ、ずり応力によって凝集を分散するという方法が提案されている。この方法は石臼を用いて実現できるが、石臼を用いる方法では工業的手段としては不適切である。この方法を工業的に生産する手段として密閉型多段ずり式せん断押し出し機を使用する方法が、特許文献6、7に提案されている。 しかしながら、密閉型多段ずり式せん断押し出し機による方法は、石臼による方法より生産性が改良されるものの、ハンドリングに手間がかかるために、工業的規模の生産では生産性が低く、高コストになるという問題点があった。 【0006】 そこで、生産性を高める方法として、せん断機構と分級機構を併せもつカッターミル、ターボミル、インペラーミルなどの式粉砕機が特許文献8に提案されている。 この方法では、予め無機鉱物などとシリコーンエラストマー粉末を粗混合するという前処理工程と、乾式粉砕機で分散する工程の2工程からなり、2種類の装置が必要である。また乾式粉砕機としてカッターミルを用いた場合は装置内部に付着したシリコーン複合粉末を掻き落とすという煩雑な操作が生産性の問題点となり、さらに付着物が製品に混入するという品質上の問題点もあった。 【0007】 【特許文献1】特開昭63−77942号公報 【特許文献2】特開昭64−70558号公報 【特許文献3】特許第3273573号公報 【特許文献4】特開平9−208709号公報 【特許文献5】特開平10−36219号公報 【特許文献6】特開平5−305223号公報 【特許文献7】特許第3126553号公報 【特許文献8】特許第3442698号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 このように、上述した従来の技術は、いずれも主として経験に基づく方法で、シリコーンエラストマー粉末の凝集を改良するための工業的な方法として工学的なアプローチが十分に検討されていなかった。すなわちシリコーンエラストマー粉末は、回転数、周速などの操作条件を管理して製造されてはいるが、装置の種類が変わったり、同一機種でも、実験機から工業的生産用の装置にスケールアップする場合、適切な操作条件を定めるのが困難で、安定したシリコーンエラストマー粉末を製造するのが困難であった。 そのうえに、得られたシリコーンエラストマー粉末は、電子顕微鏡で観察するという定性的な評価方法がとられているため、製品管理面でも不十分であるという問題があった。 【0009】 本発明は以上述べたような従来の事情に対処してなされたもので、高次に凝集したシリコーンエラストマー粉末を微粉化して、流動性及び分散性に優れたシリコーンエラストマー複合粉末を提供すると共に、シリコーンエラストマー粉末の有するべとつき感がなく、化粧品に潤滑性やひろがり性などの特性を生かした使用感触の良い化粧料を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明者らは、高次に凝集したシリコーンエラストマー粉末を微粉化して、流動性及び分散性に優れたシリコーンエラストマー複合粉末を提供するために鋭意研究を行った結果、従来の製造条件の因子である回転速度や回転羽根の周速に、高速混合分散装置内を運動する粉末の挙動を管理する指数である無次元のフルード数を加えて適切な製造条件で製造することにより、流動性及び分散性に優れた微粉化されたシリコーンエラストマー複合粉末を安定的に製造することができることを見い出した。 【0011】 また得られるシリコーンエラストマー複合粉末については、従来の走査型電子顕微鏡のような定性的な評価方法ではなく、比容積および吸油量という定量的評価を行うことで、安定した品質のシリコーンエラストマー複合粉末を提供することができることを見出した。 【0012】 すなわち本発明は、表面に粘土鉱物が被覆されたシリコーンエラストマー粉末からなり、比容積が2.50ml/g以下、吸油量が180g/100g以下であることを特徴とするシリコーンエラストマー複合粉末である。 【0013】 またその製造方法は、シリコーンエラストマー粉末と粘土鉱物との混合物を、周速度40m/秒以上、フルード数70以上の条件で高速回転分散機を用いて複合粉末化する工程を備えていることを特徴とする。 【0014】 さらに本発明によれば、上記のシリコーンエラストマー複合粉末を配合してなることを特徴とする化粧料が提供される。 【発明の効果】 【0015】 本発明によれば、高次に凝集したシリコーンエラストマー粉末を微粉化して、流動性及び分散性に優れたシリコーンエラストマー複合粉末を提供することができる。また、本発明の化粧料は、シリコーンエラストマー粉末の有するべとつき感がなく、化粧品に潤滑性やひろがり性などの特性を生かした化粧料とすることができ、使用感触及び耐衝撃性の点で非常に優れたものである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 以下に、本発明の最良の実施の形態について説明する。 (シリコーンエラストマー粉末) 本発明で用いるシリコーンエラストマー粉末は、付加反応硬化、縮合反応硬化、有機過酸化物によるラジカル反応硬化、及び紫外線照射硬化によって合成されるシリコーンゴムであり、特に、付加反応硬化または縮合反応硬化したシリコーン組成物を硬化させて形成したものが好ましい。シリコーンエラストマーに非架橋のオイルを含んでも、含まなくても良い。これらのシリコーンエラストマー粉末に関する詳細は、特許第3535389号に記載されている。 【0017】 市販品としては、東レ・ダウコーニング株式会社製のトレフィルEシリーズがあり、具体的にはトレフィルE−505C、トレフィルE−506S、トレフィルE−507、トレフィルE−508などが挙げられる。 シリコーンエラストマーの平均1次粒子径は、好ましくは0.1〜100μmであり、さらに好ましくは2〜15μmである。シリコーン硬さは好ましくはJISA硬さで90未満であり、さらに好ましくはJISA硬度5〜80である。 【0018】 (粘土鉱物) また、粘土鉱物としては、タルク、セリサイト、カオリン、雲母、雲母チタンなどが挙げられる。粘土鉱物の平均一次粒子径は好ましくは0.01〜100μmであり、さらに好ましくは0.01〜10μmである。 【0019】 シリコーンエラストマー粉末と粘土鉱物の質量比は、好ましくはシリコーンエラストマー粉末:粘土鉱物=98:2〜10:90であり、さらに好ましくはシリコーンエラストマー:粘土鉱物=80:20〜20:80である。シリコーンエラストマー粉末が粘土鉱物に対して多すぎるとシリコーンエラストマーの巨大凝集体を十分に微分化できなくなりなり、少なすぎると粘土鉱物の粉っぽい特性が強くなり、潤滑性やひろがり性が損なわれる結果となる。 【0020】 (比容積) 本発明のシリコーンエラストマー複合粉末の比容積は2.50ml/g以下であり、好ましくは、1.0〜2.3ml/gである。2.50ml/gを超えると、シリコーンエラストマーの微分化が不十分で凝集体が残存しているという問題点がある。また、1.0ml/g未満では、シリコーンエラストマーの構造が破壊されゴム弾性が失われる可能性がある。この比容積は、シリコーンエラストマー複合粉末の分散性の指標の一つとして用いられるものである。 【0021】 比容積測定の装置としては、筒井理化学株式会社製のA.B.D Powder Testerを用いた。 セル(内寸法 Φ474×115 2段に分離可能)のセル上部まで複合粉末を充填し、3分間震動させる。上部のセルを外し、下部セル上に残った複合粉末を専用ナイフでセルの上部面に水平になるように切り取る。下部セルの残存複合粉末の重量を測定して比容積とする。計算式は、次式(1)のようになる。 【0022】 比容積(ML/g)=下部セルの体積(100ML)/(下部セルの残存複合粉末重量(g)−セル重量(g)) ‥‥(1) 【0023】 (吸油量) 本発明のシリコーンエラストマー複合粉末の吸油量は180g/100g以下であり、好ましくは、130〜170g/100gである。180g/100gを超えると、シリコーンエラストマーの微分化が不十分で凝集体にオイルを吸収する空隙があり、これを化粧品に配合するとき、過剰のオイルを必要とするという問題点がある。この吸油量は、比容積と共にシリコーンエラストマー複合粉末の分散性の指標の一つとして用いられるものである。 【0024】 吸油量の測定方法は、JIS K−5101に記載されているように、シリコーンエラストマー複合粉末1gを精密に秤り、ガラス板上に採る。ジメチルシリコーンオイル(東レ・ダウコーニング株式会社製SH200C−5CS)を、少量ずつ複合粉末の中心にたらし、その都度ヘラで均一になるように練り合わせる。そして全体がペースト状になり、流動化する直前を終点とし、次式(2)により算出する。 【0025】 吸油量(g/100g)=(SH200C−5CS(g)/試料の量(g))×100 ‥‥(2) 【0026】 (シリコーンエラストマー複合粉末の製造方法) 本発明においては、高次に凝集したシリコーンエラストマー粉末を微粉化して、流動性及び分散性に優れたシリコーンエラストマー複合粉末を得るために、従来の製造条件の因子である回転速度や回転羽根の周速に、高速混合分散装置内を運動する粉末の挙動を管理する指数である無次元のフルード数を加えて適切な製造条件で製造工程を管理し、また、従来の走査型電子顕微鏡のような定性的評価方法に、比容積、吸油量測定などの定量的評価方法を加え、製品を定量的に管理し、安定したシリコーンエラストマー複合粉末を製造する。 具体的には、シリコーンエラストマー粉末と粘土鉱物との混合物を、周速度40m/秒以上、フルード数70以上の条件で高速回転分散機を用いて複合粉末化する。シリコーンエラストマー粉末と粘土鉱物の混合比は、好ましくはシリコーンエラストマー粉末:粘土鉱物=98:2〜10:90であり、さらに好ましくはシリコーンエラストマー:粘土鉱物=80:20〜20:80である。 【0027】 本発明で用いられる高速回転分散機は、周速度40m/秒以上で、かつフルード数が70以上の性能を備えた乾式高速混合分散機であり、粘土鉱物とシリコーンエラストマー粉末に十分なせん断力と衝撃力を与え、高次に凝集したシリコーンエラストマーを微粉化して、粘土鉱物がシリコーンエラストマーに被覆された複合粉末を製造することができる装置である。 【0028】 本発明で用いられる高速混合分散機の構造は、分散機処理槽底部の中央部に垂直に貫く撹拌羽根を設けられている。分散機の槽の形状は、竪型円筒状、横型円筒状、球状などである。複合化にはどのような形状でも構わないが、製品取出しには、縦型円筒状、球状などが好適である。 【0029】 本発明で用いられる乾式高速混合分散機の詳細構造の一例を次に記述する。 槽の底部は水平円板状で、その槽底部の中央に垂直に回転軸部を配置し、処理粉末が滞留しないようにスムーズに流動するようになっている。ここで処理粉末とは、シリコーンエラストマー粉末と粘土鉱物粒子、それらの混合物またはそれらの複合粉末を意味する。 処理粉末の凝集を微粉化するために、軸の底部に回転羽根と、軸上部に回転補助羽根を設け、これを高速回転させることにより、せん断力と衝撃力を与える。 高速回転により処理粉末が摩擦熱により発生した熱を逃がすために、処理装置の外部ジャッケトを設け、水または冷媒にて冷却する。さらに、槽底部から処理粉末内壁に沿ってガスを流すことにより、摩擦熱の放熱を促進させる。 槽上部から円錐状の回転軸に排気管を設置し、処理粉末から分離されたガスだけ排気管に流入する。流入したガスは、排気管の最上部に設けられたフィルターを通り外界に放出される。 【0030】 さらに本発明のシリコーンエラストマー複合粉末の製造方法についての詳細を記述する。複合化工程は、回転羽根先端の周速度20m/秒以下、フルード数30以下の緩やかな低速回転で行う工程と、回転羽根先端の周速度40m/秒以上、フルード数70以上の高速で回転させる工程とからなることが好ましい。 【0031】 低速回転で行う第1の工程では、処理粉末を装置に投入し、回転軸部を数分間、回転させることで、粘土鉱物とシリコーンエラストマー粉末を混合させ、処理粉末に静電気を発生させ、粘土鉱物粒子が、数100μmから時には数mmに巨大化した凝集したシリコーンエラストマー粉末の隙間に入り、巨大化凝集体は100μm程度にまで細かくなり、その100μmの凝集体の表面に粘土鉱物粒子が緩やかに被覆され、見かけ上は、さらさらした微粉末となる。 この処理条件は、緩やかな低速回転であり、回転羽根先端の周速20m/秒以下、フルード数30以下である。 【0032】 次いで、回転羽根を高速で回転させる第2の工程を行う。 この工程では、処理粉末は高速回転により回転羽根の遠心力とガス流により円筒状の壁面に沿って上昇し、槽の上部近傍あるいは槽上部の排気管に衝突する。上昇の程度は、処理物が上昇の途中で受けた慣性力が、重力を下回った時点で、失速し底部に向かい落下する。 下流した処理粉末は槽底部や回転羽根に向かって落下し、再び回転羽根の遠心力とガス流により、エネルギーを受け、上述の運動を繰り返し循環流動する。 設置されている排気管は処理粉末とガス流を分離する機能を有し、排気管の周辺に沿って下流した処理粉末とガスは、排気管の下部に到達し、そこでガスのみが排気管の内部に沿って流入し、さらに排気管上部のフィルターを通って、外界に放出される。 装置内部は処理粉末が運動する空間をスムーズに流動するように、角張った部分がなく球面に近い構造であり、運転中、処理粉末は装置内壁の表面を滞留することなく常に流動する。たとえ装置内部で処理粉末の付着が発生しても、次々と流動する処理粉末により清浄化されるという自己クリーニング作用により付着物が除かれる。このようにして高速回転力により、せん断力と衝撃力が繰り返し処理粉末に与えられ、100μm程度の処理粉末が微粉化され、時間の経過と共に、微粉化が促進され、2〜20μmの1次粒子の近い形までにシリコーンエラストマー複合粉末が形成される。 この条件は、回転羽根先端の周速度が好ましくは40m/秒以上で且つフルード数70以上であり、さらに好ましくは、周速度が好ましくは50m/秒以上で且つフルード数80以上である。 【0033】 一般に、小型の装置ではフルード数は大きいが、周速度は小さい。逆に大型の装置ではフルード数は小さいが、周速度は大きい。 シリコーンエラストマー粉末を微粉化し、粘土鉱物を被覆したシリコーンエラストマー複合粉末を得るためには、回転羽根先端の周速度とフルード数の両方の特性を満足する装置を選択する必要がある。特に、装置をスケールアップする場合には、この特性に配慮することが重要である。現実的に、周速度40m/秒以上で、かつフルード数が70以上の性能を備えた乾式高速混合分散機の選択は制限があり、市販の量産型のヘンシェルミキサーなどでは、40m/秒の周速が得られるが、フルード数70以上は困難である。 【0034】 フルード数とは、粉体工学用語辞典(第2版 粉体工学会 編集、日刊工業新聞社 発行)には、次のように示されている。 フルード数(Froude Number Fr=N2R/g)とは、流体や粒子が運動する場合、重力の影響を表す無次元数であり、流体などに作用する重力に対する慣性力の比(遠心力/重力)として定義される。ここで、Nは回転数、Rは回転半径、gは重力加速度を表す。フルード数が同一であれば、運動は力学的に相似になる。圧力、力、衝撃力などの力学的な相似性を扱う場合、この無次元のフルード数を用いて、実用的には粉体操作のスケールアップに適用されている。 【0035】 本発明においては、フルード数70以上であり、好ましくはフルード数80以上、300以下の条件で高速回転分散機を用いて複合粉末化する。フルード数が小さすぎると圧縮力や衝撃力が不足し、粘土鉱物がシリコーンエラストーの凝集体に入り込み微粉化することが不十分である。また、周速度は40m/秒以上であり、好ましくは周速度50m/秒以上、120m/秒以下である。周速度が小さすぎるとせん断力が不足し、せん断力によるシリコーンエラストマーの凝集体を分散化するのが困難である。 【0036】 得られるシリコーンエラストマー複合粉末は、その分散性を比容積で定量的に評価することができる。 高次に凝集したシリコーンエラストマー粉末は、嵩高で大きな比容積を持っているが、粘土鉱物粒子を複合化することにより、比容積が減少する。減少の傾向は複雑であり、減少曲線は、その複合化過程に最大値があり、その後は単調に減少し、ある一定の値から穏やかな減少になる傾向を示す。走査電子顕微鏡の観察と併用した比容積の挙動結果は次のようであった。 【0037】 すなわち、まず混合工程では、粘土鉱物粒子が、数100μmから時には数mmに巨大化に凝集したシリコーンエラストマー粉末の隙間に入り、巨大化凝集体は100μm程度にまで細かくなり、その100μmの凝集体の表面に粘土鉱物粒子が緩やかに被覆され、見かけ上はさらさらした微粉末となる。しかしまだ100μm程度のシリコーン複合粉末であり、このときの比容積は1.9〜2.0ml/gである。 【0038】 次の複合化工程では、100μm程度のシリコーン複合粉末が微粉化され、2〜20μmに分散されたシリコーン複合粉末に粘土鉱物が被覆されるが、まだ一部凝集体も残っている。この状態のときは、比容積が増大し、最大値は3.0〜3.5ml/gに達する。さらに複合化を進展させると、一次粒子の近い形までに微粉化された粘土鉱物粒子が被覆され、シリコーンエラストマー複合粉末が形成される。この段階になると、その後比容積は単調に減少し、ある一定の値(2.0〜1.6ml/g)から緩やかな減少になる。 【0039】 さらに、得られるシリコーンエラストマー複合粉末は、その分散性を上記比容積と共に吸油量を併用して定量的に評価することができる。 上述したように、比容積の減少曲線は、複合化過程に最大値があり、単調に減少しないために、比容積だけでは、複合化の管理には不十分であり、吸油量も併用した。 吸油量は、比容積と異なり、シリコーンエラストマー粉末が微粉化され、粘土鉱物粒子の複合化度につれて、単調に減少する。微粉化により、シリコーンエラストマー内部に含有できる吸油量が減少するものと考察される。 得られるシリコーンエラストマー複合粉末の複合化の定性的な方法としては、従来から用いられている走査型電子顕微鏡による観察によって行うことができる。 【0040】 (化粧料) 本発明によれば、上記シリコーンエラストマー複合粉末を配合した化粧料が提供される。 本発明の化粧料における上記複合粉末の配合量は特に限定されないが、通常、0.5〜50重量%である。 【0041】 本発明の化粧料には、W/O乳化化粧料、油性化粧料、固型粉末化粧料等が含まれ、好ましくはメーキャップ化粧料である。 またこれらの剤型を構成する上で配合される一般的な成分、例えば、高級アルコール、ラノリン誘導体、蛋白誘導体やポリエチレングルコールの脂肪酸エステル系オイル、シリコーン系オイル、パラフィン系オイル、フッ素系オイル等の油性成分、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等の保湿剤成分、油溶性高分子物質、水溶性高分子物質、イオン交換水、アルコール、タルク、マイカ、カオリン等の体質顔料、酸化鉄、球状粉末、防腐剤、殺菌剤、pH調整剤、酸化防止剤、色素及び香料等を配合することができる。 【実施例】 【0042】 次に、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。配合量は特に断わらない限り重量部、質量%である。 【0043】 実施例A(シリコーンエラストマー複合粉末の製造) 実施例(A-1)(製造例1〜5、比較製造例1〜6) シリコーンエラストマー粉末として東レ・ダウコーニング株式会社製トレフィルE−506Sを40部用い、粘土鉱物としてタルク(浅田製粉株式会社製JA−68R、平均粒子径9.0〜12.0μm)60部を用いた。 この原料を表1に記載した装置に投入する。装置のジャケット部に冷却水を流入させ、周速度20m/秒の低速で3分間回転し、処理物を混合する。 次いで、表1に記載の各種の条件で高速回転させ、60分間処理した。周速度40m/秒、フルード数70以上の高速回転になると、処理粉末の温度が急激に上昇し、2〜3分後に40〜60℃で一定になる。60分後に高速回転を止め、周速度20m/秒以下の低速で回転させ、複合化物を室温まで冷却させ、回収した。槽内には、ほとんど付着物はなかった。複合化物の複合化状態を走査型電子顕微鏡で観察し、比表面積測定、吸油量測定を評価した。 【0044】 実施例(A-2)(製造例6、7、比較例7、8) シリコーンエラストマー粉末として、特許第3535389号の「オルガノポリシロキサンエラストマーの球状粉体の製造方法」に記載されている方法で、JISAゴム硬度14のシリコーンエラストマー粉末を製造した。 このシリコーンエラストマー粉末35部を用い、粘土鉱物としてタルク(浅田製粉株式会社製JA−13R、平均粒子径5.0〜8.0μm)65部を用いた。 この原料を表2に記載した装置に投入する。装置のジャケット部に冷却水を流入させ、周速度20m/秒の低速で3分間回転し、処理物を混合する。 次いで、表2に記載の各種の条件で高速回転させ、60分間処理した。周速度40m/秒、フルード数70以上の高速回転になると、処理粉末の温度が急激に上昇し、2〜3分後に40〜60℃で一定になる。90分後に高速回転を止め、周速度20m/秒以下の低速で回転させ、複合化物を室温まで冷却させ、回収した。槽内には、ほとんど付着物はなかった。複合化物の複合化状態を走査型電子顕微鏡で観察し、比表面積測定、吸油量測定を評価した。 【0045】 実施例(A-3)(製造例8、9、比較例9,10) シリコーンエラストマー粉末として、特許第3535389号の「オルガノポリシロキサンエラストマーの球状粉体の製造方法」に記載されている方法で、JISAゴム硬度6のシリコーンエラストマー粉末を製造した。 このシリコーンエラストマー粉末35部を用い、粘土鉱物としてタルク(浅田製粉株式会社製JA−13R、平均粒子径5.0〜8.0μm)65部を用いた。 この原料を表3に記載した装置に投入する。装置のジャケット部に冷却水を流入させ、周速度20m/秒の低速で3分間回転し、処理物を混合する。 次いで、表3に記載の各種の条件で高速回転させ、60分間処理した。周速度40m/秒、フルード数70以上の高速回転になると、処理粉末の温度が急激に上昇し、2〜3分後に40〜60℃で一定になる。120分後に高速回転を止め、周速度20m/秒以下の低速で回転させ、複合化物を室温まで冷却させ、回収した。槽内には、ほとんど付着物はなかった。複合化物の複合化状態を走査型電子顕微鏡で観察し、比表面積測定、吸油量測定を評価した。 【0046】 走査型電子顕微鏡による複合粉末の状態を下記の3段階評価にて評価し、その結果を表1〜3に示した。 ○:2〜20μmに分散されたシリコーンエラストマー粉末にタルクが被覆されている。 △:2〜20μmに分散されたシリコーンエラストマー粉末にタルクが被覆されているが、一部凝集体も残っている。 ×:高次に凝集したシリコーンエラストマー粉末にタルクが被覆されている。 【0047】 走査型電子顕微鏡による複合粉末の状態が○に相当する製造例1の走査型電子顕微鏡写真を図1に、△に相当する比較製造例3の走査型電子顕微鏡写真を図2に、×に相当する比較製造例1の走査型電子顕微鏡写真を図3にそれぞれ示す。 【0048】 【表1】
【0049】 【表2】
【0050】 【表3】
【0051】 実施例B(化粧料の製造) 上記の実施例A(製造例、比較製造例)で得られたタルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末を用いて、下記に示す処方により化粧料を調製した。 本実施例で行った実用特性、硬度および耐衝撃性の評価については次のとおりである。 【0052】 (1)実用特性評価 20名の女性パネラーの皮膚に試料を塗布し、なめらかさ、柔らかさ、ザラツキ感について次の基準で評価した。 (評価基準) ◎:17名以上が良いと回答 ○:12名〜16名が良いと回答 △:9名〜11名が良いと回答 ×:5名〜8名が良いと回答 ××:4名以下が良いと回答 【0053】 (2)硬度 次のような方法で硬度を測定した。 すなわち、25℃におけるレオメータ測定値による。(測定条件:感圧軸直径2mm、針入速度2cm/min、針入深度1mm、負加重2kg、不動工業株式会社製レオメータ) 【0054】 (3)耐衝撃性評価 樹脂中に試料をプレス成型し、化粧品用のコンパクト容器にセットしサンプルとした。厚さ20mmの鉄板上に高さ30cmからサンプルを水平状態にて落下し、破損するまでの落下回数を耐衝撃性の評価とした。 【0055】 実施例(B-1)(実施例1〜6、比較例1〜7) 実施例1、比較例1〜6 表4に実施例1として、製造例1によって得られたタルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末を配合したパウダーファンデーションを製造した。下記の処方中の粉末成分とオイル成分とをヘンシェルミキサーにて混合した後、パルペライザーで2回粉砕し、樹脂中皿に乾式プレス成型した。 一方で、比較例1〜6では比較製造例1〜6(特許第3442698号などに記載された方法によるもの)によって得られたタルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末を配合したパウダーファンデーションを製造した。 得られたパウダーファンデーションについて、上記の方法で、実用特性(なめらかさ、柔らかさ、ザラツキ感)、硬度および耐衝撃性評価を行った。その結果を併せて表4に示す。 【0056】 【表4】
【0057】 実施例2、比較例7 表5に実施例2として、製造例2で得られたタルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末を配合したパウダーファンデーションを製造した。下記の処方中の粉末成分とオイル成分とをヘンシェルミキサーにて混合した後、パルペライザーで2回粉砕し、樹脂中皿に乾式プレス成型した。一方で、比較例7ではシリコーンエラストマーを複合化しない状態で配合したパウダーファンデーションを製造した。 得られたパウダーファンデーションについて、上記の方法で、実用特性、硬度および耐衝撃性評価を行った。その結果を併せて表5に示す。 【0058】 【表5】
【0059】 実施例3 白粉 実施例3として、製造例3で得られたタルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末を配合した白粉を製造した。下記の処方中の粉末成分とオイル成分とをヘンシェルミキサーにて混合した後、パルペライザーで2回粉砕し、樹脂中皿に乾式プレス成型した。 【0060】 (処方) タルク 残余 マイカ 25 質量% 酸化亜鉛 5 微粒子酸化チタン 3 タルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末 8 ワセリン 1 スクワラン 3 エステル油 1 パラベン 適量 酸化防止剤 適量 香料 適量 【0061】 実施例4 フェースパウダー 実施例4として、製造例4で得られたタルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末を配合したフェースパウダーを製造した。下記の処方中の粉末成分とオイル成分とをエンシェルミキサーにて混合した後、パルペライザーにて粉砕2回し、容器にパウダー状で充填した。 【0062】 (処方) タルク 残余 合成マイカ 30 質量% 薄片状酸化亜鉛 6 ベンガラ 0.2 黄酸化鉄 0.7 微粒子酸化チタン 1 タルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末 10 ジメチルポリシロキサン 7 パラベン 適量 酸化防止剤 適量 香料 適量 【0063】 実施例5 O/W型乳化クリームファンデーション 実施例5として、製造例5で得られたタルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末を配合したO/W型乳化クリームファンデーションを製造した。下記の処方中の予め調整した水相成分及び活性剤中に粉末成分をホモミキサーにて分散させた後、予め80℃に温度調整した油相成分を徐々に添加しながらホモミキサーにて乳化した。得られた乳化物を容器に充填した。 【0064】 (処方) タルク 5 質量% セリサイト 7 タルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末 4 ベンガラ 0.3 黄酸化鉄 1.2 黒酸化鉄 0.6 球状ポリエチレン粉末 6 スクワラン 10 オリーブ油 10 ステアリン酸 2 グリセリルモノステアレート 2 POE(40)モノステアリン酸ソルビタン 2 グリセリン 5 トリエタノールアミン 0.8 pH調整剤 適量 防腐剤 適量 イオン交換水 残余 【0065】 実施例6 W/O型乳化リキッドファンデーション 実施例6として、製造例1で得られたタルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末を配合したW/O型乳化クリームファンデーションを製造した。下記の処方中のオイル成分及び活性剤中に粉末成分をホモミキサーにて分散させた後、予め調整した水相成分を徐々に添加しながらホモミキサーにて乳化した。得られた乳化物を容器に充填した。 【0066】 (処方) シリコーン処理マイカ 3 質量% シリコーン処理ベンガラ 1 シリコーン処理黄酸化鉄 3 シリコーン処理酸化鉄ブラック 0.1 タルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末 10 球状PMMA粉末 2 シクロメチコン 残余 ジメチルポリシロキサン 4 スクワラン 1 ポリエーテル変性シリコーン 3 ソルビタンセスキイソステアレート 1 分散助剤 適量 ジプロピレングリコール 2 イオン交換水 20 パラベン 適量 抗酸化剤 適量 香料 適量 【0067】 実施例(B-2)(実施例7,8、比較例8,9) 実施例7として製造例6によって得られたタルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末を用い、実施例8として製造例7によって得られたタルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末を用い、表6の処方によりパウダーファンデーションを製造した。下記の処方中の粉末成分とオイル成分とをヘンシェルミキサーにて混合した後、パルペライザーで2回粉砕し、樹脂中皿に乾式プレス成型した。 一方で、比較例8,9では比較製造例7,8(特許第3442698号などに記載された方法によるもの)によって得られたタルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末を配合したパウダーファンデーションを製造した。 得られたパウダーファンデーションについて、上記の方法で、実用特性(なめらかさ、柔らかさ、ザラツキ感)、硬度および耐衝撃性評価を行った。その結果を併せて表6に示す。 【0068】 【表6】
【0069】 実施例(B-3)(実施例9,10、比較例10,11) 実施例9として製造例8によって得られたタルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末を用い、実施例10として製造例9によって得られたタルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末を用い、表7の処方によりパウダーファンデーションを製造した。下記の処方中の粉末成分とオイル成分とをヘンシェルミキサーにて混合した後、パルペライザーで2回粉砕し、樹脂中皿に乾式プレス成型した。 一方で、比較例10,11では比較製造例9,10(特許第3442698号などに記載された方法によるもの)によって得られたタルク被覆シリコーンエラストマー複合粉末を配合したパウダーファンデーションを製造した。 得られたパウダーファンデーションについて、上記の方法で、実用特性(なめらかさ、柔らかさ、ザラツキ感)、硬度および耐衝撃性評価を行った。その結果を併せて表7に示す。 【0070】 【表7】
【図面の簡単な説明】 【0071】 【図1】シリコーンエラストマー複合粉末の一例の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 【図2】シリコーンエラストマー複合粉末の一例の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 【図3】シリコーンエラストマー複合粉末の一例の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001959 【氏名又は名称】株式会社資生堂 【識別番号】000003159 【氏名又は名称】東レ株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年2月13日(2006.2.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090527 【弁理士】 【氏名又は名称】舘野 千惠子
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| 【公開番号】 |
特開2006−257075(P2006−257075A) |
| 【公開日】 |
平成18年9月28日(2006.9.28) |
| 【出願番号】 |
特願2006−34976(P2006−34976) |
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