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【発明の名称】 まつ毛用化粧料
【発明者】 【氏名】桑原 一夫
【住所又は居所】和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研究所内

【氏名】中村 杉子
【住所又は居所】和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研究所内

【氏名】吉田 健介
【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内

【要約】 【課題】塗布時にダマが発生せず、まつ毛に簡単に美しいカールアップ効果と高いカール保持効果を与え、さらに高い耐水性を有するまつ毛化粧料を提供すること。

【解決手段】構成単位としてメタクリル酸モノマー単位を含有し、該メタクリル酸モノマー単位の全部又は一部がアンモニアにより中和されたガラス転移点(Tg)が80℃以上のポリマー(A)を含有することを特徴とするまつ毛用化粧料である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成単位としてメタクリル酸モノマー単位(以下、モノマー(a)という)を含有し、該メタクリル酸モノマー単位の全部又は一部がアンモニアにより中和されたガラス転移点(Tg)が80℃以上のポリマー(A)を含有することを特徴とするまつ毛用化粧料。
【請求項2】
ポリマー(A)に含まれるモノマー(a)の割合が20〜98質量%である請求項1記載のまつ毛用化粧料。
【請求項3】
ポリマー(A)が、さらに20℃の水100gへの溶解度が2g以下のモノマー(b)を構成単位として有する、請求項1又は2に記載のまつ毛化粧料。
【請求項4】
モノマー(b)がアルキルアクリレート系モノマー、アルキルメタクリレート系モノマー、スチレン系モノマー、アルキルアクリルアミド系モノマー及びアルキルメタクリルアミド系モノマーから選ばれる1種以上である請求項3記載のまつ毛用化粧料。
【請求項5】
モノマー(b)が、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、スチレン、tert−ブチルアクリルアミド及びtert−ブチルメタクリルアミドから選ばれる一種以上である請求項3に記載のまつ毛用化粧料。
【請求項6】
ポリマー(A)をまつ毛化粧料中に0.5〜60質量%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のまつ毛用化粧料。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布時にダマが発生せず、まつ毛に簡単に美しいカールアップ効果と高いカール保持効果を与え、なおかつ化粧後長時間経過後もまぶたに滲みを発生させない高い耐水性を有するまつ毛用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
まつ毛用化粧料は目元をはっきりさせ魅力を増すために、まつ毛をカールさせ、まつ毛を太く、長くみせる化粧効果を持つものである。特にカールに関しては、まつ毛をカールさせてはじめて化粧効果(まつ毛を長く、太く見せる)を消費者が認知できるようになるため、カールアップ効果はニーズの高い、重要な性能である。
しかし、カールアップ効果が高いマスカラはビューラーでまつ毛をカールさせた後カールしたまつ毛が重力で下に下がってくる前にマスカラ液をまつ毛に塗布し、マスカラ皮膜でまつ毛をカールした状態で固めるという特徴を有している。このため、マスカラ液の速乾性が高く、塗布時にダマが発生しやすく、時間がかかる割に仕上がりの美しさが損なわれることが多かった。
そこで、特定の皮膜形成性ポリマーを使用し、種々の固体粒子の組み合わせにより、まつ毛に良好なカールを与えるためのマスカラが提案されている。例えば、特許文献1では、ケラチン繊維に接着可能で角質層の1%を超える収縮を起こす皮膜形成性ポリマーと高硬度のワックスの組み合わせにより、カールアップ効果とまつ毛を濃くする効果を発揮するマスカラを提供している。
また、特許文献2〜5には、ケラチン性物質に接着可能なポリマーと、それ以外のポリマー粒子やワックス等との組み合わせにより、カールアップ効果を与えるマスカラを開示している。
【0003】
【特許文献1】特開平11−255619号公報
【特許文献2】特開2003−55136号公報
【特許文献3】特開2003−55156号公報
【特許文献4】特開2003−55157号公報
【特許文献5】特開2003−55158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のマスカラでは使用時にダマが発生しやすく仕上がりが十分ではない、またカールしたまつ毛が時間の経過とともに下を向いてきてしまうといった問題があった。また、特許文献2〜5の技術においては、依然としてカールアップ効果が十分ではなく、使用時にダマが発生しやすく仕上がりが十分ではないという問題があった。
さらに、これらのマスカラは、使用中にマスカラの一部がまつ毛から剥離してまぶたに付着し、まぶたに黒い滲みを発生させる場合があった。
本発明の課題は、塗布時にダマが発生せず、まつ毛に簡単に美しいカールアップ効果と高いカール保持効果を与え、なおかつ化粧崩れ、特に、化粧後長時間経過後にまぶたがマスカラで黒く滲む化粧崩れが少ない、すなわち高い耐水性を有するまつ毛用化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、構成単位としてメタクリル酸モノマー単位(モノマー(a))を含有し、該メタクリル酸モノマー単位の全部又は一部がアンモニアにより中和されたガラス転移点(Tg)が80℃以上のポリマー(A)を含有することを特徴とするまつ毛用化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のまつ毛用化粧料は、塗布時にダマが発生せず、まつ毛に簡単に美しいカールアップ効果を与え、なおかつ化粧後長時間経過後もまぶたに滲みを発生させない高い耐水性を有するまつ毛用化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のまつ毛用化粧料は、構成単位としてメタクリル酸モノマー単位(モノマー(a))を含有するポリマー(A)を含むまつ毛用化粧料である。
【0008】
[ポリマー(A)]
本発明に係るポリマー(A)は、含有されるメタクリル酸モノマー単位(モノマー(a))の全部又は一部が中和されているものであり、中和剤としてアンモニアを用いることで高い耐水性が得られるという特徴がある。これにより、水分の存在下においてもポリマーの割れが起きにくく、従って塗布されたマスカラがまつ毛から剥離してまぶたに付着し、まぶたに滲みを発生させるなどの化粧崩れが起きにくい高い耐水性を有するマスカラを提供することができる。
中和度としては、0.01〜0.5が好ましく、0.02〜0.3がより好ましい。メタクリル酸モノマー単位は、どの段階で中和がなされても特に制限はなく、重合前のモノマーの段階、重合後のいずれの段階でも中和をすることができる。
【0009】
ポリマー(A)のガラス転移点(Tg)は、カールアップ効果及びカール保持効果向上の観点から、80℃以上であることが必要であり、100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、特に150℃以上が好ましい。また、ガラス転移点(Tg)は高ければ高いほどカールアップ効果向上の観点から好ましいが、製造上の制約から250℃以下が好ましく、さらに230℃以下が好ましい。
なお、ガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)により測定された値をいう。具体的には、下記の連続する温度プログラム1〜4の条件で測定を行った場合、温度プログラム3で測定される値をガラス転移点とする。
温度プログラム:
1.30 〜250℃:昇温速度 30℃/min,保持時間 1min
2.250〜−50℃:冷却速度200℃/min,保持時間10min
3.−50〜250℃:昇温速度 10℃/min,保持時間 1min
4.250〜 30℃:冷却速度 30℃/min,保持時間 2min
【0010】
ポリマー(A)中のメタクリル酸モノマー単位の組成比は、十分なカールアップ効果を得るためには、20〜98質量%が好ましく、20〜90質量%がより好ましく、20〜80質量%が更に好ましい。
ポリマー(A)は、重量平均分子量(GPCにより測定、ポリエチレングリコール(水溶性の場合)、ポリスチレン(水不溶性の場合)換算)が5000〜1000000が好ましく、8000〜500000がさらに好ましい。重量平均分子量が5000以上であれば、良好なカールアップ効果を得ることができ、1000000以下であれば、適度な塗布のしやすさを維持することができる。
【0011】
ポリマー(A)は、皮膜形成性ポリマーであることが好ましい。ここで、皮膜形成性とは、ポリマーの水溶液又は水分散液をシャーレに広げて25℃で乾燥させた後、皮膜を形成する性質を有することをいう。ただし、乾燥に伴い割れが生じてもよく、一枚の膜として得られる必要はない。
また、ポリマー(A)の形態は、溶液、水/アルコール混合溶液系、もしくはエマルジョン系などであっても、その形態にかかわらず、使用することができる。
【0012】
[モノマー(b)]
さらに、ポリマー(A)は、20℃の水100gへの溶解度が2g以下である少なくとも1種のモノマー(b)を構成単位として有することが好ましい。
モノマー(b)の溶解度は、低くなるほど、塗布時にダマが発生しにくくなり、高いカール保持効果を得ることができるので好ましい。
モノマー(b)のホモポリマーとしてのガラス転移点は、カールアップ効果の観点から80℃以上が好ましく、更に好ましくは100℃以上である。
モノマー(b)としては、例えば、アルキルアクリレート系モノマー、アルキルメタクリレート系モノマー、スチレン系モノマー、アルキルアクリルアミド系モノマー、アルキルメタクリルアミド系モノマー等が好適に挙げられる。これらのモノマーに含有されるアルキル基としては、直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基のみならず、単環もしくは多環の脂肪族環もしくは芳香環を有する炭化水素基を含み、環にさらに直鎖又は分岐のアルキル基を置換基として有する炭化水素基をも含むものなどが挙げられる。
上記のモノマー(b)のうち、メタクリル酸メチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル(下記一般式(1))、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル(下記一般式(2))、スチレン、tert−ブチルアクリルアミド、tert−ブチルメタクリルアミドがカールアップ効果の観点から好ましく、メタクリル酸メチル、tert−ブチルアクリルアミドがさらに好ましい。
なお、モノマー(b)は1種を単独で用いても、また2種以上を用いてもよい。
【0013】
【化1】


【0014】
【化2】


【0015】
[まつ毛用化粧料]
本発明のまつ毛用化粧料は、ポリマー(A)を含有する。本発明のまつ毛用化粧料において、ポリマー(A)の含有量は、良好なカールを与える観点から0.5質量%以上で、粘度の面で使用しやすい点から60質量%以下が好ましく、以上の観点から1〜50質量%がより好ましく、更に2〜40質量%が好ましく、特に3〜40質量%が好ましい。
【0016】
本発明のまつ毛用化粧料は、ポリマー(A)のほかに、ワックスを含有することが好ましい。ここで用いられるワックスは、動物系のワックス、植物系のワックス、鉱物系のワックス、合成ワックス等から適宜選択して使用することができる。具体的には、カルナウバロウ、ミツロウ、極度水添ホホバ油、ラノリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、常温(25℃)で固体のグリセリド、シリコーンワックスなどを挙げることができる。上記のワックスは、1種を単独で用いても、また2種以上を混合して用いてもよい。
【0017】
これらのワックスのうち、特に高いカールアップ効果を得るとの観点から、針入度8以上のワックスがより好ましい。ここで、針入度とは、JIS K−2235−5.4に準じて測定したものをいう。すなわち、25±0.1℃に保ったワックスの試料に、規定の針(針の質量2.5±0.02g、針保持具の質量47.5±0.02g、おもりの質量50±0.05g)が、5秒間に針入する長さを測定し、その針入距離(mm)を10倍した値を針入度とした。具体的には、ミツロウ、マイクロクリスタリンワックスを用いることが好ましい。また、上記の針入度8以上のワックスは、1種単独で用いても、また2種以上を混合して用いてもよい。
本発明のまつ毛用化粧料は、上記のポリマー(A)、ワックス等で構成される不揮発性成分と、下記の揮発性成分(B)からなるが、針入度が8以上のワックスは、該不揮発性成分中に、0.1〜20質量%の範囲で含有することが好ましい。0.1質量%以上含有することで、まつ毛の十分なカールアップ効果を得ることができ、20質量%以下とすることで、良好な仕上がりを期待することができる。
【0018】
本発明のまつ毛用化粧料には、本発明の目的を損なわない範囲においてポリマー(A)の他に、その他の皮膜形成性ポリマーもしくは皮膜形成性を有しないポリマーを配合することができる。
【0019】
本発明において、その他の成分として、通常化粧料に使用される液状油及び/又はポリオール類や界面活性剤を配合することができる。
液状油としては、例えば、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、重質流動イソパラフィンなどの炭化水素系オイル;リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソトリデシル、ジミリスチン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸・イソステアリン酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ひまし油、マカデミアンナッツオイル、ホホバ油等のエステルやトリグリセライド類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン油等が挙げられる。
ポリオール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。これらのうち、使いやすさの観点から、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールが好ましく、仕上がりをよくする観点から、1,3−ブチレングリコールが特に好ましい。
また、界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両親媒性界面活性剤等を単独若しくは組合わせて用いることができる。
【0020】
本発明のまつ毛用化粧料には、ロングラッシュ効果を高めるために繊維を含有させることができる。繊維としては、木綿、絹、麻等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ポリアミド、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリオレフィン等の合成繊維のいずれを使用しても良いが、強度の点からナイロンなどのポリアミド繊維が好ましい。さらに必要に応じて表面処理を施した繊維を用いても良い。例えばシリカ処理、シリコーン処理、フッ素化合物処理、金属せっけん処理、油脂処理等の表面処理を施したものを使用できる。
まつ毛への付着性の点から、該繊維は、太さが0.1〜20T、長さが0.1〜5mmのものが好ましい。この繊維の含有量は、十分なロングラッシュ効果を得られる点から、化粧料全量に対して0.1〜6質量%であることが好ましい。
【0021】
また本発明の化粧料は、揮発性成分(B)を、全化粧料中に30質量%以上、80質量%未満含有することが好ましい。
ここで、揮発性成分とは、常温(25℃)、常圧下で10Pa以上の蒸気圧を有する化合物をいい、例えば、水、低級アルコール、揮発性炭化水素油、揮発性シリコーン等が挙げられる。
低級アルコールとしては、炭素数1〜4のアルコール類が含まれ、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール等が挙げられる。揮発性炭化水素油としては、炭素数8〜16の炭化水素油、特に石油由来のイソパラフィン(軽質イソパラフィン)、イソドデカン(2,2,4,4,6−ペンタメチルへプタン)等が挙げられる。また、揮発性シリコーンとしては、下記一般式(3)若しくは(4)の直鎖または環状シリコーンのうち揮発性のものが挙げられる。
【0022】
【化3】


(式中、tは0〜3の整数を表す)
【0023】
【化4】


【0024】
(式中、uは3〜5の整数を表す)で表されるシリコーン油等が例示される。
具体的にはオクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
これらの揮発性成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。まつ毛用化粧料中の揮発性成分の含有量は30質量%以上であるが、特に揮発性成分中に水を含むことが好ましい。さらに、水以外の揮発性成分の配合量は0.5〜20質量%が好ましく、炭素数1〜4の低級アルコール、取り扱いやすさの観点から、特にはエタノールを用いることが好ましい。
【0025】
本発明のまつ毛用化粧料は、揮発性成分(B)としてポリマー(A)を溶解する溶媒を用いた溶液系、水を用いた水中油型乳化系(O/W)、油中水型乳化系(W/O)等の形態で提供される。これらのうち、カールアップ効果を向上させる観点から、水中油型乳化系(O/W)が好ましい。
【0026】
また、本発明のまつ毛用化粧料には、上記の成分に加えて、目的に応じて本発明の効果をそこなわない範囲において、化粧効果を付与するために通常化粧品に配合される成分を配合することができる。例えば、体質顔料、白色顔料、有機顔料、有機色素等の着色顔料の他、増粘剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、保湿剤、酸化防止剤、香料、防腐剤等が挙げられ、これらを1種又は2種以上配合することができる。
なお、本発明のまつ毛用化粧料は、着色顔料を配合したものだけでなく、いわゆるまつ毛下地剤等として使用することも可能である。
【0027】
本発明のまつ毛用化粧料は、一般に用いられる製造方法、例えば前述の各成分を均一に混合し攪拌することにより調製することができる。
【0028】
本発明のまつ毛用化粧料は、まつ毛のメークアップ用として、具体的にはマスカラとして用いられるものである。また、着色顔料を含有したものだけでなく、いわゆるまつ毛用下地剤もしくはトップコートとして使用することもできる。
【0029】
本発明のメークアップ化粧料の使用方法としては、通常マスカラの使用に用いられるブラシ等を用いてまつ毛に塗布してもよいが、特にまつ毛上面への付着量を多くすることでさらに良好なカールを得ることができる。例えば、通常のマスカラ用塗布具であるブラシ、コーム状塗布具、コイル状塗布具や刷毛、フロッキー、棒状塗布具、ヘラ状塗布具等を用いてまつ毛の上から塗布する、もしくは下から繰り返し塗布することでまつ毛上面への塗布量が下面と比較して多くなるため、良好なカールアップ効果が得られる。
【実施例】
【0030】
製造例1(ポリ(メタクリル酸−メタクリル酸メチル)アンモニウム塩の製造)
ガラス製反応容器にエタノール2000gを入れて、室温で窒素バブリングを30分行った後、窒素雰囲気下63℃まで加熱した。アゾ系重合開始剤2,2’−アビゾス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)製、V−65)5.3gをエタノール20gに溶解した液を添加した後、メタクリル酸230g及びメタクリル酸メチル270g(いずれも三菱ガス化学(株)製)の混合物を2時間かけて添加した。メタクリル酸及びメタクリル酸メチルの混合物の添加終了後、70℃に昇温、6時間攪拌して重合を行った。得られたポリマー溶液をメタノール/水=1/2混合溶液に滴下し、再沈殿を行った。沈殿物を回収し、減圧下、70℃で12時間以上乾燥し、ポリ(メタクリル酸−メタクリル酸メチル)を得た。NMRにて測定したポリマー組成はメタクリル酸/メタクリル酸メチル=47/53(質量比)であった。GPCにて測定した重量平均分子量は72000(ポリスチレン換算)であった。
製造例1で得られたポリ(メタクリル酸−メタクリル酸メチル)60gをエタノール180gに溶解した液に、1Nアンモニア溶液を42ml滴下した。更に水を360g加え、エバポレーターにてエタノールを留去し、半透明のポリ(メタクリル酸−メタクリル酸メチル)アンモニウム塩の水溶液を得た(中和度0.12)。このポリマー水溶液はpH6.1であり、固形分は20%であった。
また、このポリマーのガラス転移点(Tg)を示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200)にて測定した結果、174℃であった。
【0031】
製造例2(ポリ(メタクリル酸−tert−ブチルアクリルアミド)アンモニウム塩の製造)
製造例1において、メタクリル酸メチル270gに代えて、tert−ブチルアクリルアミド270gを用い、同様に重合を行った。得られたポリマー溶液はヘキサンにて再沈した。沈殿物を回収し、減圧下、70℃で12時間以上乾燥し、ポリ(メタクリル酸−tert−ブチルアクリルアミド)を得た。NMRにて測定したポリマー組成はメタクリル酸/tert−ブチルアクリルアミド=56/44(質量比)であった。GPCにて測定した重量平均分子量は112000(ポリスチレン換算)であった。
得られたポリ(メタクリル酸−tert−ブチルアクリルアミド)15gをエタノール68gに溶解した液に、1Nアンモニア溶液を8.3ml滴下した。更に水を270g加え、エバポレーターにてエタノールを留去し、白濁したポリ(メタクリル酸−tert−ブチルアクリルアミド)アンモニウム塩の水懸濁液を得た(中和度0.08)。このポリマー水懸濁液はpH6.0であり、固形分は20%であった。
また、このポリマーのガラス転移点(Tg)を示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200)にて測定した結果、197℃であった。
【0032】
製造例3(ポリ(メタクリル酸−tert−ブチルアクリルアミド)ナトリウム塩の製造)
製造例4において、1Nアンモニア溶液に代えて、1N水酸化ナトリウム水溶液8.3mlを用い、ポリ(メタクリル酸−tert−ブチルアクリルアミド)ナトリウム塩の水懸濁液を得た(中和度0.08)。このポリマー水懸濁液はpH6.0であり、固形分は20%であった。
また、このポリマーのガラス転移点(Tg)を示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200)にて測定した結果、215℃であった。
【0033】
製造例4(ポリマーラテックスの製造)
ガラス製反応容器にN−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム(日光ケミカル社製、ニッコールSMT)0.6g、イオン交換水875gを入れて、攪拌しながら窒素置換を行った後、内温70℃まで加熱した。過硫酸アンモニウム2.5gをイオン交換水25gに溶解させた液を添加した後、メタクリル酸メチル80g、アクリル酸ブチル405g、アクリル酸15gを混合した液を3時間かけて滴下した。滴下終了後70℃で1時間反応させた後、75℃に昇温し、更に3時間反応を行った後、冷却を行い、1N水酸化ナトリウム水溶液73gを加えた。エバポレーターを用いて濃縮を行い、ポリマーラテックスを得た。粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)にて測定を行ったところポリマーラテックスの粒径は0.1μmであった。また、このポリマーラテックスのpHは6.5であり、固形分は50%であった。
【0034】
(1)カールアップの評価
縦5cm、横2cm、厚さ75μmのPETフィルム(帝人(株)製、メリネックスS)の縦方向に等分した線上に、第1表のマスカラ組成物40mgを均一に塗布し、10時間乾燥させた後の、フィルムの屈曲角度を測定した。
【0035】
(2)耐水性の評価
ポリウレタン製の人工皮革上に、第一表のマスカラ組成物を塗布し、120分乾燥後、水を数滴たらし、指で軽くたたきながら、皮膜が滲む、もしくは崩れるまでの時間(秒)を測定した。測定は3回行い、平均値を耐水性として評価した。
【0036】
(3)化粧崩れの評価(耐水性の評価)
<化粧崩れ>
耐水性の評価について、(2)の評価に加えて、化粧崩れの評価を行った。
表1のマスカラ組成物をまつ毛に塗り、7時間後の下まぶたの状態を、専門パネラー9人が下の基準で目視評価した。最も指示する人数が多かった評価を、化粧崩れの評価とした。
○:全く黒くない
△:黒くなっているが目立たない
×:黒く目立つ
【0037】
実施例1〜4及び比較例1〜3
第1表に示す組成の各成分を均一攪拌混合することにより、マスカラ組成物を調製した。各組成物の粘度は、いずれも25℃において100〜2000Pa・sの範囲であった。
実施例1〜4及び比較例1〜3のマスカラ組成物について、カールアップ効果、耐水性、化粧崩れの評価を上記の方法に従って実施した。その結果を第1表に示す。
【0038】
本発明の実施例1〜4のマスカラ組成物は、十分なカールアップ効果と高い耐水性を有し、耐水性に優れ、化粧崩れもほとんどしなかった。実施例1では特に高い耐水性を有していた。
中和塩基が異なる実施例2及び3と比較例1及び2を比較すると、アンモニア中和(実施例)においてカールアップ効果を損なうことなく耐水性が顕著に向上している。
【0039】
【表1】


【0040】
[注]
(*1)製造例1で製造したポリ(メタクリル酸−メタクリル酸メチル)アンモニウム塩
(*2)製造例2で製造したポリ(メタクリル酸−tert−ブチルアクリルアミド)アンモニウム塩
(*3)製造例3で製造したポリ(メタクリル酸−tert−ブチルアクリルアミド)ナトリウム塩
(*4)極度水添ホホバ油;(香栄興業(株))、針入度1
(*5)パラフィンワックス;「HNP−9」(日本精鑞(株))、針入度7
(*6)精製キャンデリラワックス;「SR2」(ミツバ貿易(株))、針入度1〜2)
(*7)ステアリン酸;「精製ステアリン酸700V」(花王(株)製)
(*8)ポリビニルアルコール;「ゴーセノールEG−30」(日本合成化学(株)製)
(*9)ポリアクリル酸処理黒酸化鉄;「PA−ブラックBL−100」(三好化成(株)製)、3%ポリアクリル酸処理黒酸化鉄
(*10)製造例4で製造したポリマーラテックス
(*11)ナイロン繊維;長さ:2mm、太さ:6.7T(ユニチカ(株))
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のまつ毛用化粧料は、まつ毛のメークアップ用として、具体的にはマスカラとして好適に用いられる。塗布時にダマが発生せず、まつ毛に簡単に美しいカールアップ効果と高いカール保持効果を与え、なおかつ化粧後長時間経過後もまぶたに滲みを発生させない高い耐水性を有することができる。

【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
【出願日】 平成17年3月18日(2005.3.18)
【代理人】 【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保

【識別番号】100081765
【弁理士】
【氏名又は名称】東平 正道

【識別番号】100089185
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 誠

【識別番号】100119666
【弁理士】
【氏名又は名称】平澤 賢一

【公開番号】 特開2006−257053(P2006−257053A)
【公開日】 平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願番号】 特願2005−80516(P2005−80516)