| 【発明の名称】 |
細胞賦活剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】原口 博行
【氏名】諏訪 芳秀
【氏名】輿水 精一
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】オイゲノール(eugenol)、テトラヒドロナフトール(tetrahydronaphthol)、シナピックアルデヒド(sinapicaldehyde)およびリオニレシノール(lyoniresinol)の少なくとも1種を含有する細胞賦活剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 オイゲノール(eugenol)、テトラヒドロナフトール(tetrahydronaphthol)、シナピックアルデヒド(sinapicaldehyde)およびリオニレシノール(lyoniresinol)の少なくとも1種を含有する細胞賦活剤。 【請求項2】 細胞賦活が膜脂質過酸化抑制作用に基づくものであることを特徴とする請求項1に記載の細胞賦活剤。 【請求項3】 細胞賦活がラジカル活性抑制作用に基づくものであること特徴とする請求項1に記載の細胞賦活剤。 【請求項4】 細胞賦活が呼吸鎖酵素活性の保護作用に基づくものであること特徴とする請求項1に記載の細胞賦活剤。 【請求項5】 ブナ科コナラ属植物の溶媒抽出物を有効成分として含有することを特徴とする細胞賦活剤。 【請求項6】 ブナ科コナラ属植物が、オーク類であることを特徴とする請求項5に記載の細胞賦活剤。 【請求項7】 ブナ科コナラ属植物が、コモンオーク(Quercus robur)であることを特徴とする請求項5に記載の細胞賦活剤。 【請求項8】 ブナ科コナラ属植物の溶媒抽出物を有効成分として含有することを特徴とする、生体内抗酸化作用を有する組成物。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、細胞賦活剤に関する。 【背景技術】 【0002】 酸化的ストレスは体内の細胞の活性を減弱させ、この減弱は、ハンチントン舞踏病、糖尿病およびフリードライヒ失調症や、パーキンソン病およびアルツハイマー病のような老化に関連する多くのヒトの消耗性疾患、老化と共に蓄積する非特異的傷害や、脳卒中や心臓発作、臓器移植や外科手術における炎症および虚血性再潅流組織傷害の原因となることが知られている。これら酸化的ストレスに起因する障害を防ぐために、細胞賦活作用を有する生理活性物質についての研究がなされ、種々の細胞賦活剤の開発が求められている。 【0003】 健康増進のために、抗酸化剤である脂溶性のトコフェロール(ビタミンE)、水溶性のアスコルビン酸(ビタミンC)や、合成化合物であるBHT(3,5−tert−butyl−4−hydroxytolen)やBHA(2,(3)−tertbutyl−hydroxyanysol)等が用いられている。また、ウイスキー等の樽材から抽出された樽材抽出物を有効成分とすることを特徴とする抗アレルギー剤や抗菌剤等も提案されている(特許文献1参照)。さらに、生体内過酸化脂質異常を改善するための過酸化脂質生成抑制剤として、種々の生薬抽出物が開示されている(例えば特許文献2、3参照)。 【特許文献1】特開2000−136145号公報 【特許文献2】特開平6−183987号公報 【特許文献3】特開平8−175964号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかし、上記公知の生理活性物質のほとんどは、細胞内を標的としておらず、しかも生体内の細胞賦活作用については未だ知られていない。また、上記生薬抽出物は、トコフェロールやアスコルビン酸等に比べれば、ある程度高い過酸化脂質異常改善効果は得られるが、未だ十分な過酸化脂質生成抑制効果を有するものではなく、また、合成化合物のBHT、BHAには、発癌性の疑いが持たれている等の問題がある。 従って、生体内の細胞賦活作用に優れ、かつ安全性の高い物質の提供が望まれている。 【課題を解決するための手段】 【0005】 ミトコンドリアおよびミクロソームは、エネルギー代謝にかかわる細胞内の細胞小器官である。したがってミトコンドリアおよび/またはミクロソームに欠陥が生じると、特に神経や筋肉組織のような高いエネルギーを要求するものに損傷を与えるばかりか、細胞内部で酸化的ストレスを引き起こす遊離ラジカルや反応性酸素種の主要な根源となる。したがって、生体内、特にミトコンドリアおよび/またはミクロソームを標的として、ミトコンドリアおよび/またはミクロソームの膜脂質過酸化を抑制しうる細胞賦活剤が、生体内細胞賦活作用や生体内抗酸化作用に優れるとの見解のもと、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことにブナ科コナラ属植物の溶媒抽出物が、強い生体内細胞賦活作用並びに生体内抗酸化作用を有することを見出した。そして、その有効成分が、オイゲノール、テトラヒドロナフトール、シナピックアルデヒドまたはリオニレシノールのいずれか1種以上であることを解明し、本発明を完成するに至った。 【0006】 すなわち、本発明は、 [1] オイゲノール(eugenol)、テトラヒドロナフトール(tetrahydronaphthol)、シナピックアルデヒド(sinapicaldehyde)およびリオニレシノール(lyoniresinol)の少なくとも1種を含有する細胞賦活剤、 [2] 細胞賦活が膜脂質過酸化抑制作用に基づくものであることを特徴とする前記[1]に記載の細胞賦活剤。 [3] 細胞賦活がラジカル活性抑制作用に基づくものであること特徴とする前記[1]に記載の細胞賦活剤。 [4] 細胞賦活が呼吸鎖酵素活性の保護作用に基づくものであること特徴とする前記[1]に記載の細胞賦活剤。 [5] ブナ科コナラ属植物の溶媒抽出物を有効成分として含有することを特徴とする細胞賦活剤、 [6] ブナ科コナラ属植物が、オーク類であることを特徴とする前記[5]に記載の細胞賦活剤、 [7] ブナ科コナラ属植物が、コモンオーク(Quercus robur)であることを特徴とする前記[5]に記載の細胞賦活剤、および [8] ブナ科コナラ属植物の溶媒抽出物を有効成分として含有することを特徴とする、生体内抗酸化作用を有する組成物、 に関する。 【発明の効果】 【0007】 本発明の細胞賦活剤は、細胞膜の膜透過性や細胞の代謝調節を正常化または活性化するので、例えば細胞のアポトーシス等を防止できる。 また、本発明の細胞賦活剤は、細胞を賦活するので、ストレスによる細胞機能の低下を抑制でき、さらに老化の予防または抑制に用いることができる。 さらに、本発明の細胞賦活剤は、生体内細胞賦活作用並びに生体内抗酸化作用を有する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 本発明において「細胞賦活」とは、細胞膜の膜透過性や細胞の代謝調節を正常化または活性化させることをいう。細胞賦活には、例えば、細胞を維持し、細胞死(アポトーシス)を制御している細胞のミトコンドリアやミクロソームにおける膜脂質過酸化や呼吸鎖における酵素活性を保護すること等が含まれる。 【0009】 本発明の細胞賦活剤に使用される化合物としては、オイゲノール(eugenol)、テトラヒドロナフトール(tetrahydronaphthol)、リオニレシノール(lyoniresinol)等のポリフェノールおよびシナピックアルデヒド(sinapicaldehyde)等の化合物が挙げられる。これら化合物は、単独で用いてもよく、また2種以上を混合して用いても良い。 また、本発明の細胞賦活剤には、例えばブナ科(Fagaceae)コナラ属(Quercus)植物の溶媒抽出物を有効成分として使用してもよい。ブナ科コナラ属植物としては、例えばオーク類が好ましく、中でもコモンオーク(Quercus robur)が好ましい。抽出に用いる植物部位は、何れの部位を用いてもよいが、幹または枝等の樹皮を除いた木部が好ましい。上記植物から得られるウイスキー製造のための樽材であってもよい。該抽出液植物は、抽出効率を向上させるために、細断したものであってもよい。また、新鮮なものでも乾燥したものでもよく、また、表面を焼いたものでもよい。 【0010】 溶媒抽出物の溶媒としては、植物等の抽出に用いられる溶媒であれば特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン等のアルコール類、並びにこれらの含水物、アセトン、エチルメチルケトン、クロロホルム、塩化メチレンおよび酢酸エチル、並びにそれらの含水物を用いてもよい。また、上記溶媒を二種以上含む混合物であってもよい。溶媒の添加量は、例えば植物の重量1gに対して約10〜1000mL程度使用することができる。 抽出方法は、特に限定されないが、例えばコモンオークの木部を溶媒(例えば約10〜80容積%のエタノール水溶液)と接触させることにより実施できる。接触時間は、特に限定されないが、少なくとも約1日以上、好ましくは約2日以上が好ましい。接触温度は、特に限定されないが、室温〜約80℃程度が好ましい。溶媒抽出物は、ろ過または遠心分離等により、溶媒抽出物と植物とを分離するのがよい。前記分離された溶媒抽出物は、そのままでもよく、或いは通常の濃縮手段、例えば、加熱または減圧濃縮等により濃縮エキス状または濃縮乾固物としてもよい。 【0011】 本発明において「膜脂質過酸化抑制」とは、例えば細胞や細胞内オルガネラ(例えば、ミトコンドリア、ミクロソーム等)の膜に存在する脂質の過酸化が抑制されることをいう。膜脂質過酸化が抑制されることによって、例えば膜の透過性等の性質が膜脂質過酸化により変化するのを防止でき、また、膜脂質が関与する細胞等の代謝調節を維持できる。 【0012】 膜脂質過酸化抑制の評価は、細胞賦活剤の存在および非存在下で膜脂質過酸化量を測定することにより実施できる。膜脂質過酸化量の測定は、公知の方法、例えば、チオバルビツール酸法(以下、TBA法と略記する。)等により行なわれる。 【0013】 TBA法による測定は、例えば膜脂質にTBA試薬を添加し、該溶液を約90〜100℃の水浴中で約10〜20分間加熱後、氷冷し、冷却した溶液を遠心分離し、その上清の吸光度を測定することにより実施できる。なお、前記反応は、高温でしばらく処理するため、高温による膜脂質の酸化を防止するため、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(以下、BHTと略記する。)等の抗酸化剤を添加しておくことが望ましい。 【0014】 膜脂質過酸化としては、例えば(1)Fe3+−ADP存在下でNADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)に依存する膜脂質過酸化、(2)Fe3+−ADP存在下でNADPH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)に依存する膜脂質過酸化、または(3)Fe3+−ADP存在下でコハク酸に依存する膜脂質過酸化、等が挙げられる。本発明の細胞賦活剤の膜脂質過酸化抑制の評価は例えば以下に記載される測定方法に基づいて行なうことができる。 【0015】 (1)Fe3+−ADP存在下でNADHに依存する膜脂質過酸化抑制作用 細胞賦活剤、緩衝液(例えば100mM HEPES−NaOH緩衝液、トリス塩酸緩衝液等)、ADP(アデノシン 5’−ジホスフェート;終濃度約1〜5mM)、塩化第二鉄(終濃度約0.1〜5mM)、および臓器等から分離した膜脂質を混合し、約30〜38℃で約2〜10分間保温する。その後、NADH(終濃度約10〜200μM)を加え、約30〜38℃で約2〜10分間反応させる。BHTを加え、反応を停止させ、TBA試薬を加え、約90〜100℃で約10〜20分間加熱し、氷冷後の溶液を約3,000〜5,000rpmで約5〜20分間遠心分離し、上澄みの535nmの吸光度を測定する。なお、ミトコンドリアの膜脂質過酸化抑制を評価する場合には、前記の反応においてロテノンを添加し、ミトコンドリアの電子伝達系を遮断することが好ましい。 【0016】 (2)Fe3+−ADP存在下でNADPHに依存する膜脂質過酸化抑制作用 細胞賦活剤、緩衝液(例えば100mM HEPES−NaOH緩衝液、トリス塩酸緩衝液等)、ADP(終濃度約1〜5mM)、塩化第二鉄(終濃度約0.1〜5mM)、および臓器等から分離した膜脂質を混合し、約30〜38℃で約2〜10分間保温する。その後、NADPH(終濃度約10〜200μM)を加え、約30〜38℃で約10〜20分間反応させる。BHTを加え、反応を停止させ、TBA試薬を加え、約90〜100℃で約10〜20分間加熱し、氷冷後の溶液を約3,000〜5,000rpmで約5〜20分間遠心分離し、上澄みの535nmの吸光度を測定する。 【0017】 (3)Fe3+−ADP存在下でコハク酸に依存する膜脂質過酸化抑制作用 細胞賦活剤、緩衝液(例えば100mM HEPES−NaOH緩衝液、トリス塩酸緩衝液等)、ADP(終濃度約1〜5mM)、塩化第二鉄(終濃度約0.1〜5mM)、および臓器等から分離した膜脂質を混合し、約30〜38℃で約2〜10分間保温する。その後、コハク酸(終濃度約100〜500μM)を加え、約30〜38℃で約30〜90分間反応させる。BHTを加え、反応を停止させ、TBA試薬を加え、約90〜100℃で約10〜20分間加熱し、氷冷後の溶液を約3,000〜5,000rpmで約5〜20分間遠心分離し、上澄みの535nmの吸光度を測定する。なお、ミトコンドリアの膜脂質過酸化抑制を評価する場合には、前記の反応においてantimycinを添加し、ミトコンドリアの呼吸経路を遮断することが好ましい。 【0018】 本発明において「ラジカル活性抑制」とは、化学反応性の高い遊離基、例えばヒドロキシラジカル、スーパーオキシド等のフリーラジカルと反応して反応性の低い遊離基や分子に変化させることをいう。 ラジカル活性抑制の評価は、細胞賦活剤の存在および非存在下で、例えばアスコルビン酸等により生成されるフリーラジカルにより、例えば膜脂質等が酸化等されるのを、例えば上記膜脂質過酸化量等として測定することにより実施できる。 具体的には、例えば細胞賦活剤、緩衝液(例えば100mM HEPES−NaOH緩衝液、トリス塩酸緩衝液等)、塩化カリウム(終濃度約10〜50mM)、硫酸鉄(終濃度約5〜20mM)、および臓器等から分離した膜脂質を混合し、約30〜38℃で約2〜10分間保温する。その後、アスコルビン酸(終濃度約100〜300μM)を加え、約30〜38℃で約30〜90分間反応させる。BHTを加え、反応を停止させ、TBA試薬を加え、約90〜100℃で約10〜20分間加熱し、氷冷後の溶液を約3,000〜5,000rpmで約5〜20分間遠心分離し、上澄みの535nmの吸光度を測定する。 【0019】 本発明において「呼吸鎖酵素活性の保護作用」とは、ミトコンドリアにおいては、例えばNADHデヒドロゲナーゼやコエンザイムQサイクル等で活性酸素が生成し、その結果NADHデヒドロゲナーゼやコエンザイムQサイクルのコンプレックス(Complex) IIIが酸化ストレスにより失活するのを抑制することをいう。 【0020】 呼吸鎖酵素活性の保護作用の評価は、例えば臓器から分離したミトコンドリアに、非酵素的にジヒドロキシフマレート(dihydroxyfumarate;以下、DHFと略記する。)によりヒドロキシラジカルを生じさせると、ミトコンドリアの酵素活性が低下するので、細胞賦活剤の存在および非存在下でミトコンドリアの酵素活性を測定することにより実施できる。 具体的には、例えば細胞賦活剤、緩衝液(例えば、リン酸緩衝液等)、塩化第二鉄、およびADPを混合する。前記混合液を、約30〜38℃でプレインキュベートし、約2〜10分後、DHF(終濃度約100〜500μM)とミトコンドリア懸濁液を加え、反応を開始する。約30分ごとに反応液を採取し、その採取した反応液にチトクロムc緩衝液(例えば10mM NaN3、2.0mg/mLチトクロムcを50mMリン酸緩衝液に溶解したもの等)と、NADH(約1〜5mM)またはコハク酸(約100〜300mM)を加え、550nmの吸光度を約2〜5分間測定する。これを反応開始から約1〜3時間連続して行うのが好ましい。 【0021】 本発明に係る細胞賦活剤は、医薬品または機能性食品として用いることができる。本発明の細胞賦活剤を医薬品として用いる場合、かかる医薬品は経口投与または非経口投与が都合よく行われるものであればどのような剤形のものであってもよい。本発明に係る医薬品の剤形としては、例えば注射液、輸液、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、腸溶剤、トローチ、内用液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、外用液剤、湿布剤、点鼻剤、点耳剤、点眼剤、吸入剤、軟膏剤、ローション剤、坐剤等が挙げられる。また、本発明においては、症状に応じて、上記剤形の本発明に係る医薬品をそれぞれ単独で、または組み合わせて使用することができる。 【0022】 本発明に係る医薬品においては、目的に応じて主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味剤、安定化剤などの医薬の製剤技術分野において通常使用しうる既知の添加剤を添加し、医薬組成物として製造することができる。 より具体的には、本発明に係る医薬品がカプセル剤、錠剤、散剤または顆粒剤などの固形製剤の場合には、例えば、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニットなどの賦形剤;澱粉、アルギン酸ソーダなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤;ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤;脂肪酸エステルなどの界面活性剤;グリセリンなどの可塑剤などの添加剤を製剤中に含有させることができる。また、本発明にかかる医薬品が液体製剤の場合には、例えば、ショ糖、ソルビット、果糖などの糖類;ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類;p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤などの添加剤を製剤中に含有させることができる。また、液体製剤の場合、本発明に係る医薬品は有効成分である香気成分を用時溶解させる形態の製剤であってもよい。 上述したような本発明に係る医薬品は、それ自体製剤学の分野で周知または慣用の方法に従って容易に製造することができる。 【0023】 本発明に係る医薬品の投与経路は、特に限定されず、経口投与または非経口投与のいずれでもよい。中でも、本発明に係る医薬品は経口投与が可能であることが、服用の容易性の観点から好ましい。 また、本発明に係る医薬品の投与量は、投与経路、剤形、患者の症状の重篤度、年齢もしくは体重などによって異なるので、一概には言えない。具体的には、成人に対する1回の投与量が、本発明の上記香気成分の総量として1固形製剤当たり、例えば1カプセル剤当たり約5〜500mg程度、好ましくは約5〜50mg程度である。 【0024】 本発明の細胞賦活剤を機能性食品として用いる場合には、形態としては前述の医薬組成物の形態と同様でよい。また、前記食品は、自然流動食、半消化態栄養食もしくは成分栄養食、またはドリンク剤等の加工形態とすることもできる。さらに、本発明に係る機能性食品は、アルコール飲料やミネラルウォーターに用時添加する易溶製剤としてもよい。より具体的には、本発明に係る機能性食品としては、例えばビスケット、クッキー、ケーキ、キャンデー、チョコレート、チューインガム、和菓子などの菓子類;パン、麺類、ごはん、豆腐もしくはその加工品、;清酒、薬用酒などの発酵食品;みりん、食酢、醤油、味噌、ドレッシングなどの調味料;ヨーグルト、ハム、ベーコン、ソーセージ、マヨネーズなどの畜農食品;かまぼこ、揚げ天、はんぺんなどの水産食品;果汁飲料、清涼飲料、スポーツ飲料、アルコール飲料、茶、コーヒー、ココアなどの飲料等の形態が挙げられる。 【0025】 また、本発明に係る機能性食品は、例えば、医師の食事箋に基づく栄養士の管理の下に、病院給食の調理の際に任意の食品に本発明の細胞賦活剤を加え、その場で調製した機能性食品の形態で患者に与えることもできる。本発明の細胞賦活剤は、液状であっても、粉末や顆粒などの固形状であってもよい。 【0026】 本発明に係る機能性食品は、食品分野で慣用の補助成分を含んでいてもよい。前記補助成分としては、たとえば乳糖、ショ糖、液糖、蜂蜜、ステアリン酸マグネシウム、オキシプロピルセルロース、各種ビタミン類、微量元素、クエン酸、リンゴ酸、香料、無機塩などが挙げられる。 【0027】 本発明に係る機能性食品の摂取量は、摂取する人の年齢、性別などによって異なるので、一概には言えない。具体的には、成人に対する1回の摂取量が、本発明の細胞賦活剤の総量として約5〜500mg程度、好ましくは約5〜50mg程度である。 【0028】 本発明に係る医薬品または機能性食品は、他の細胞賦活剤、ビタミン剤もしくはホルモン剤その他の栄養剤、または微量元素もしくは鉄化合物と併用することができる。例えば、本発明に係る機能性食品がドリンク剤の場合、所望により、他の生理活性成分、ミネラル、ホルモン、栄養成分、香味剤等を混合することにより、嗜好飲料的性格を持たせることができ、好適である。 【0029】 以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。 【実施例1】 【0030】 ミトコンドリアおよびミクロソームの調製法 ミトコンドリアとミクロソームを次のようにして調製した。 ウイスター系雄性ラットをジエチルエーテルで麻酔死させた後、肝臓を取り出し、ホモゲナイズ溶液(homogenizing medium;pH7.4)で血抜きをし、数回洗浄した。洗浄後、肝臓重量の9倍量のホモゲナイズ溶液(pH7.4)に懸濁して細胞破砕した。この破砕液を4℃、1,000×gで10分間遠心分離(TOMY GRX−220)した。上澄みを4℃、7,000×gで10分間遠心分離した後、上澄みからはミクロソーム、沈殿物からはミトコンドリアを調製した。 上澄みを、4℃、105,000×gで60分間遠心分離(HITACHI SCO70H)し、沈殿物をホモゲナイズ溶液(pH7.4)で懸濁した後、同条件で遠心分離した。得られた沈殿物を、肝臓重量の0.7倍量の100mM トリス塩酸緩衝液で懸濁したものをミクロソーム溶液とし、冷凍保存した。 沈殿物を、ホモゲナイズ溶液(pH7.4)に懸濁し、該懸濁液を4℃、7,000×gで10分間遠心分離した。得られた沈殿物をミトコンドリアとした。さらに前記ミトコンドリアの沈殿物を肝臓重量の0.4倍量のHEPES−NaOHで懸濁し、該懸濁液の超音波処理(BRANSON Model 450 Sonifier)を、デューティサイクル(Duty cycle)30%、アウトプットコントロール(Output Conrol)8、ミクロチップリミット(Micro Tip Limit)で5秒、15秒休んだ後、さらに5秒行った。この溶液をサブミトコンドリア(submitochondoria)とした。 【実施例2】 【0031】 市販品のウイスキーについて、低濃度のアスコルビン酸により生成されるヒドロキシラジカル(・OH)によるミトコンドリアおよびミクロソームの膜脂質過酸化抑制作用の評価を行なった。評価は、以下のように行った。 【0032】 1.低濃度のアスコルビン酸により生成されるヒドロキシラジカル(・OH)によるミトコンドリアの膜脂質過酸化抑制作用 太口試験管に化合物10μL、100mM HEPES−NaOH緩衝液を500μL、200mM 塩化カリウム(終濃度20mM)を100μL、100mM 硫酸鉄(終濃度10mM)を100μL、蒸留水を140μL、サブミトコンドリア(submitochondoria)を50μL加え、37℃で5分間保温した。その後、反応を開始するために、2mMアスコルビン酸(終濃度200μM)を100μL加え、37℃で60分間反応させた。2%BHTを90μL加え、反応を停止させ、TBA試薬2mLを加え、100℃で15分間加熱し、5,000rpmで10分間遠心分離し、上澄みの535nmの吸光度を測定した。 【0033】 (TBA試薬) 15% (w/v)−TCA 5 g 0.375% (w/v)−TBA 375 mg 2.5% (v/v)−1N塩酸 25 mL 精製水 計 100 mL 【0034】 2.低濃度のアスコルビン酸により生成されるヒドロキシラジカル(・OH)によるミクロソームの膜脂質過酸化抑制作用 太口試験管に化合物10μL、100mMトリス塩酸緩衝液を500μL、200mM塩化カリウム(終濃度20mM)を100μL、100mM FeSO4(終濃度10mM)を100μL、蒸留水を140μL、ミクロソームを50μL加え、37℃で5分間保温した。その後、反応を開始するために、2mMアスコルビン酸(終濃度200μM)を100μL加え、37℃で60分間反応させた。2%BHTを90μL加え、反応を停止させ、TBA試薬2mLを加え、100℃で15分間加熱し、5,000rpmで10分間遠心分離し、上澄みの535nmの吸光度を測定した。 【0035】 サンプル: サンプルとしては、表1に示す市販品ウイスキーを終濃度が4容積%となるように反応液に添加した。 【0036】 【表1】
【0037】 ミトコンドリア膜の脂質過酸化抑制作用の評価結果を図1に示す。ウイスキーは焼酎や日本酒と比較して抑制作用が高く、また熟成期間の長いものほど抑制作用が高い傾向にあった。また、ミクロソーム膜の脂質過酸化抑制作用についても同様の傾向が確認された。 【実施例3】 【0038】 単一の蒸留所で蒸留、貯蔵されたウイスキーであるシングルモルトウイスキーの中でも、選ばれたカスク(樽)のウイスキーを5〜30年熟成し、他の樽のものと混和せずにそのままボトリングしたものであるシングルカスクウイスキー(Single Casks)について、実施例2に記載の方法により低濃度のアスコルビン酸により生成されるヒドロキシラジカル(・OH)によるミトコンドリアおよびミクロソームの膜脂質過酸化抑制作用を測定した。各シングルカスクウイスキーは、終濃度が1容積%となるように反応液に添加した。 結果を図2にミトコンドリアの膜脂質過酸化抑制作用示す。実施例1と同様に、熟成期間が長いものほど膜脂質過酸化抑制作用が高いことが示唆された。 【実施例4】 【0039】 ミズナラ(Quercus crispula)、ホワイトオーク(Quercus alba)、コモンオーク(Quercus robur)材のチップを焼いたものを古材、焼かないものを新材とした。それぞれを60%エタノール(0.33g/mL)に浸漬して二晩静置したものを一次抽出液、再び60%エタノール(0.33g/mL)を加えて、浸漬して二晩静置したものを二次抽出液、さらに60%エタノール(0.33g/mL)を加えて、浸漬して二晩静置したものを三次抽出液とした。 これらのサンプルについて、Fe3+−ADP存在下でNADHに依存するミトコンドリアの膜脂質過酸化抑制作用を調べた。 結果を図3に示す。新材・古材ともにコモンオーク(Quercus robur)に強い抑制作用がみられた。また、抽出を繰り返す度に抑制作用は低くなるが、古材の方が、抑制作用が保たれる傾向があることが分かった。 【実施例5】 【0040】 ウイスキーに含まれる21種の市販の化合物(2−フルアルデヒド、2−アセチルフラン、5−ヒドロキシメチル−2−フルフラル、2−フロ酸、2−メチルフラン、5−o−メチルフルフラル、プロトカテキュ酸、バニリン酸、没食子酸、シリング酸、バニリン、シリングアルデヒド、エラグ酸、フェネチルアルコール、トリメトキシフェニル酢酸、コンファーアルデヒド、シナピックアルデヒド、フェルラ酸、オイゲノール、スコポレチン、5,6,7,8−テトラヒドロナフトール)と合成品のリオニレシノールを選択し、それぞれの化合物について、膜脂質過酸化抑制作用を調べた。各化合物は、最終濃度が100μMとなるよう反応液に添加した。 図4に、Fe3+−ADP存在下でNADHに依存するミトコンドリアの膜脂質過酸化抑制作用および低濃度のアスコルビン酸により生成されるヒドロキシラジカル(・OH)によるミトコンドリアの膜脂質過酸化抑制作用を、図5に、NADPHに依存するミトコンドリアの膜脂質過酸化抑制作用の評価結果を示す。 ミトコンドリアのNADH依存性は、オイゲノールおよびテトラヒドロナフトールで高い抑制効果があった(図4A)。ミトコンドリアのAsA−Fe3+に依存するミクロソームの膜脂質過酸化抑制作用は、オイゲノール、テトラヒドロナフトール、シナピックアルデヒド、エラグ酸(ellagic acid)、リオニレシノール等で高い抑制効果があった(図4B)。 【0041】 オイゲノール、テトラヒドロナフトールについては、電子伝達系に関わる膜脂質過酸化(電子供与体NADHと電子伝達阻害物質rotenoneを加えることで電子を漏出させ、過酸化を引き起こす方法)、電子伝達系と関わらない過酸化(AsAと鉄を加えることでFenton反応を起こし、電子伝達とは関係なく非酵素的に過酸化を引き起こす方法)の双方を阻害した。他のいくつかの成分については、電子伝達系と関わらない非酵素的過酸化を阻害した。 【0042】 また、図5に、Fe3+−ADP存在下でNADPHに依存するミクロソームの膜脂質過酸化抑制作用の結果を示す。ミクロソームのNADPH依存性は、オイゲノールおよびシナピックアルデヒド等で高い抑制効果があった。 【実施例6】 【0043】 ミトコンドリア懸濁液にジヒドロキシフマレートを加えると、その自動酸化によってO2−が生じ、これがさらに鉄と反応することで、・OHを生成する。この・OHは主に電子伝達系のコンプレックス(Complex)I、IIIに障害作用を及ぼすため、これら反応系の最終産物である還元型チトクロムcを測定することで、ミトコンドリア膜のミトコンドリア機能活性を評価した。前記評価は、ミトコンドリア呼吸鎖における呼吸鎖酵素活性の保護作用の評価に準じて行った。 NADHを電子供与体とした場合、ミトコンドリア膜機能はDHF非存在下では2時間インキュベートしても保たれるが、DHFを加えると過酸化され、ミトコンドリア膜機能は約60%低下する。ここにオイゲノールを加えると呼吸鎖酵素活性の保護作用がみられ、100μMでは100%の機能の保護がみられた(図6)。また、コハク酸を電子供与体とした場合では、DHF存在下で1時間後にはほぼ完全に機能を失うが、オイゲノールを100μM添加すると、約80%の呼吸鎖酵素活性の保護作用を示した(図7)。 図8および図9には、NADHとコハク酸を電子供与体とした場合のシナピックアルデヒド添加によるミトコンドリア膜機能の呼吸鎖酵素活性の保護作用を示す。シナピックアルデヒドは、非酵素的膜脂質過酸化を抑制したものの、電子伝達に関わる脂質過酸化抑制作用はみられなかった。NADHを電子供与体としたとき、およびコハク酸を電子供与体としたとき共に100μMで約60%の呼吸鎖酵素活性の保護作用がみられた。 以上より、コンプレックス(Complex)IIは、DHF由来のヒドロキシラジカルによる障害を最も受け易いことが明らかとなった。また、オイゲノールやシナピックアルデヒドは電子伝達系の中で酸化ストレスを受け易いコンプレックス(Complex)I、II、IIIの呼吸鎖酵素活性の保護作用を示すことがわかった。すなわち、ウイスキーに含まれる化合物(成分)が、過酸化刺激により機能が低下したミトコンドリアの過酸化状態を解除し、ミトコンドリアの機能低下を抑制することが明らかとなった。 【産業上の利用可能性】 【0044】 本発明の細胞賦活剤は、例えば老化の予防や抑制のための医薬や食品等として利用できる。 【図面の簡単な説明】 【0045】 【図1】図1は、実施例2におけるミトコンドリア膜の脂質過酸化抑制作用の測定結果を示す図である。 【図2】図2は、実施例3におけるミトコンドリア膜の脂質過酸化抑制作用の測定結果を示す図である。 【図3】図3は、実施例4におけるFe3+−ADP存在下でNADHまたはアスコルビン酸に依存するミトコンドリアの膜脂質過酸化抑制作用の測定結果を示す図である。 【図4】図4は、実施例5におけるFe3+−ADP存在下でのミトコンドリアの膜脂質過酸化抑制作用の測定結果を示す図である。図中Aは、NADHの依存によるミトコンドリアの膜脂質過酸化抑制作用を、Bは低濃度のアスコルビン酸の依存によるミトコンドリアの膜脂質過酸化抑制作用を示す。 【図5】図5は、実施例5におけるFe3+−ADP存在下でNADPHに依存するミクロソームの膜脂質過酸化抑制作用の測定結果を示す図である。 【図6】図6は、実施例6におけるNADHを電子供与体としたミトコンドリア呼吸鎖におけるオイゲノールの酵素活性保護作用の測定結果を示す図である。 【図7】図7は、実施例6におけるコハク酸を電子供与体としたミトコンドリア呼吸鎖におけるオイゲノールの酵素活性保護作用の測定結果を示す図である。 【図8】図8は、実施例6におけるNADHを電子供与体としたミトコンドリア呼吸鎖におけるシナピックアルデヒドの酵素活性保護作用の測定結果を示す図である。 【図9】図9は、実施例6におけるコハク酸を電子供与体としたミトコンドリア呼吸鎖におけるシナピックアルデヒドの酵素活性保護作用の測定結果を示す図である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001904 【氏名又は名称】サントリー株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年3月4日(2005.3.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077012 【弁理士】 【氏名又は名称】岩谷 龍
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| 【公開番号】 |
特開2006−241108(P2006−241108A) |
| 【公開日】 |
平成18年9月14日(2006.9.14) |
| 【出願番号】 |
特願2005−61682(P2005−61682) |
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