| 【発明の名称】 |
固体脂質粒子製剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】薬丸 雅史 【住所又は居所】神奈川県小田原市寿町5丁目3番28号 株式会社カネボウ化粧品基盤技術研究所内
【氏名】岩本 美子 【住所又は居所】神奈川県小田原市寿町5丁目3番28号 株式会社カネボウ化粧品化粧品研究所内
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| 【要約】 |
【課題】製造が容易であり、保存安定性に優れた固体脂質粒子エマルションを提供することを目的とする。
【解決手段】成分(A)として室温で固体又はペースト状であるトリグリセライド及び/又はワックスエステルを、成分(B)として炭素数12以上の直鎖で飽和の高級アルコールを、成分(C)としてホスファチジルコリン含量60質量%以上である水素添加リン脂質からなる脂質油相成分を、水相に分散して得られることを特徴とする固体脂質粒子エマルション。該固体脂質粒子エマルションは、容易に製造が可能であり、保存安定性にも優れ、外用剤として用いた場合には優れた官能特性を有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記(A)〜(C)の脂質成分からなる油相を、水相に分散させて得られることを特徴とする固体脂質粒子エマルション。 (A)室温で固体又はペースト状であるトリグリセライド及び/又はワックスエステルから選ばれる1種以上。 (B)炭素数12以上の直鎖で飽和の高級アルコールから選ばれる1種以上。 (C)ホスファチジルコリン含量が60質量%以上である水素添加リン脂質から選ばれる1種以上。 【請求項2】 成分(B)と成分(C)の質量比(B)/(C)が1/3から50/1の範囲内であり、成分(B)と成分(C)の総量と成分(A)の質量比〔(B)+(C)〕/(A)が1/10から3/1の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の固体脂質粒子エマルション。 【請求項3】 水相が、グリセリン、ジプロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を、更に含有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の固体脂質粒子エマルション。 【請求項4】 水相が、水溶性高分子から選ばれる少なくとも1種以上を更に含有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の固体脂質粒子エマルション。 【請求項5】 請求項1から4のいずれか1項に記載の固体脂質粒子エマルションから、水相を除去することにより得られる固体脂質粒子。 【請求項6】 皮膚用又は頭髪用の外用剤であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の固体脂質粒子エマルション又は請求項5に記載の固体脂質粒子。 【請求項7】 請求項1から5のいずれか1項に記載の固体脂質粒子エマルション又は請求項5に記載の固体脂質粒子を含有することを特徴とする、皮膚用又は頭髪用の外用組成物。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、製造が簡便で、安定性の高い固体脂質粒子エマルションに関し、更に詳しくは、成分(A)として室温で固体又はペースト状であるトリグリセライド及び/又はワックスエステルを、成分(B)として炭素数12以上の直鎖で飽和の高級アルコールを、成分(C)としてホスファチジルコリン含量60質量%以上である水素添加リン脂質を含有する脂質成分からなる油相を、水相に分散させて得られることを特徴とする固体脂質粒子エマルションに関する。 【背景技術】 【0002】 従来、水と油のように互いに溶解しない液相の一方が、他の一方に微細な液滴として分散したエマルションは、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品など幅広い分野で用いられてきた。通常、エマルションは分散相及び連続相の液相の違いにより、水中油型(O/W)エマルションや油中水型(W/O)エマルション、或いはこれらの複合型であるO/W/OエマルションやW/O/Wエマルションなどに分類され、用途に応じて利用されてきた。これらのエマルションは、水相及び油相のいずれも液体状態のものであった。 【0003】 近年、上記の他に油相が固体状態であり、これを水相に分散させた脂質粒子エマルションに関する検討が進められている。このような脂質粒子エマルションは、医薬品分野や化粧品分野では、薬剤の吸収性のコントロールなどを目的としたDDS製剤として、また、食品分野では、不安定な物質の安定化や苦味成分のマスキング効果などが期待されている(特許文献1、非特許文献1、2、3参照)。これらにおいては、高圧ホモジナイザーやマイクロチャネル、膜などの特殊な装置を用いた乳化法による脂質粒子エマルションの製造が開示されている。 【0004】 しかしながら上記の技術では、高価で特殊な装置による製造が必要であり、幅広い分野での応用には不十分であった。また、脂質粒子の界面形成に開示されているリン脂質のうち不飽和を有するものは化学的に不安定であり、また、飽和のリン脂質の場合でもその相転移温度は約50℃付近であり、この相転移温度以上では脂質粒子が不安定化するなどの問題があった。 【0005】 【特許文献1】特表2002−544155号公報 【非特許文献1】中嶋光敏、Food and Food Ingredients Journal of Japan、2004年、209巻、11号、p.923 【非特許文献2】Wissing SA、Journal of Cosmetics Science、2001年、52巻、p.313 【非特許文献3】Bunjes H、Journal of Pharmaceutical Sciences、2003年、92巻、7号、p.1509 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 上記事情において、特殊な装置を用いることなく容易に固体脂質粒子エマルションの製造が可能であり、且つ安定性の高い固体脂質粒子エマルションが求められていた。即ち、本発明の目的とするところは、容易に製造することが可能であり、安定性に優れる固体脂質粒子エマルションを提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明者等は上記事情に鑑み、鋭意研究した結果、特定のリン脂質と高級アルコールを 組み合わせて用いることにより、これらの会合体が相転移温度が、それぞれ単独の場合より数℃から約30℃も上昇することを見出した。そして、これらリン脂質と高級アルコールにトリグリセライドやワックスエステルを加えた脂質成分を油相とし、水相攪拌下に混合すると、リン脂質と高級アルコールが界面を形成し、トリグリセライドやワックスエステルを芯物質とする安定性に優れた固体脂質粒子エマルションが容易に形成されることを見出し、本発明を完成させるに到った。 【0008】 即ち、本願第1の発明は、下記(A)〜(C)の脂質成分からなる油相を、水相に分散させて得られることを特徴とする固体脂質粒子エマルションにある。 (A)室温で固体又はペースト状であるトリグリセライド及び/又はワックスエステルから選ばれる1種以上。 (B)炭素数12以上の直鎖で飽和の高級アルコールから選ばれる1種以上。 (C)ホスファチジルコリン含量が60質量%以上である水素添加リン脂質から選ばれる1種以上。 【0009】 本願第2の発明は、成分(B)と成分(C)の質量比(B)/(C)が1/3から50/1の範囲内であり、成分(B)と成分(C)の総量と成分(A)の質量比〔(B)+(C)〕/(A)が1/10から3/1の範囲内であることを特徴とする上記の固体脂質粒子エマルションにある。 【0010】 本願第3の発明は、水相が、グリセリン、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を、更に含有することを特徴とする上記の固体脂質粒子エマルションにある。 【0011】 本願第4の発明は、水相が、水溶性高分子から選ばれる少なくとも1種以上を、更に含有することを特徴とする上記の固体脂質粒子エマルションにある。 【0012】 本願第5の発明は、上記の固体脂質粒子エマルションから、水相を除去することにより得られる固体脂質粒子にある。 【0013】 本願第6の発明は、皮膚用又は頭髪用の外用剤であることを特徴とする、上記の固体脂質粒子エマルション又は固体脂質粒子にある。 【0014】 本願第7の発明は、上記の固体脂質エマルション又は固体脂質粒子を配合することを特徴とする、皮膚用又は頭髪用の外用組成物にある。 【発明の効果】 【0015】 成分(A)として室温で固体又はペースト状であるトリグリセライド及び/又はワックステル、成分(B)として炭素数12以上の直鎖で飽和の高級アルコール、成分(C)としてホスファチジルコリン含量が60%以上である水素添加リン脂質からなる脂質成分を、水を含む流動性液体に分散させて得られることを特徴とする本発明の固体脂質粒子エマルションは、容易に製造が可能であり、固体脂質粒子の保存安定性に優れ、外用剤として用いた場合には優れた官能特性を有する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 本発明で使用されるトリグリセライドは、脂肪酸とグリセリンのトリエステルを主成分とするものであり、天然の動植物由来又は化学合成などによって得られるものを用いることができる。一方、ワックスエステルは、脂肪酸とアルコールのエステルを主成分とするものであり、天然の動植物由来又は化学合成などによって得られるものを用いることができる。本発明では、前記のトリグリセライド及びワックスエステルのうち、特に室温で固 体又はペースト状のものを、成分(A)として使用する。これらは、室温(20℃)を超える温度域に融点を持ち、特にペースト状のものは室温で完全に液状とならず半固体状である点で、液状のものと区別することができる。 【0017】 本発明における成分(A)としては、上記の要件を満たすトリグリセライド又はワックスエステルをそれぞれ単独で使用しても、2種以上を混合して使用しても良い。また単独では固体又はペースト状でなくても、他のものと混合した場合、混合物として固体又はペースト状の性状を呈するものであれば、本願成分(A)に該当するものとして使用が可能である。 【0018】 具体的には、トリグリセライドとしては、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン)酸グリセリル、パーム油、ヤシ油、牛脂、硬化油などを挙げることができる。またワックスエステルとしては、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、ミツロウ、カルナバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウなどを挙げることができる。 【0019】 本発明で成分(B)として使用される高級アルコールは、炭素数12以上の直鎖で飽和の高級アルコールであり、動植物由来又は化学合成のものどちらでも使用可能である。これら高級アルコールは単独で用いることも、2種以上を混合して用いることもできる。 【0020】 本発明で使用される高級アルコールとしては、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、イコサノール、ヘンイコサノール、ドコサノール、オクタコサノール、ドトリアコンタノールなどを挙げることができる。 【0021】 本発明の成分(C)のリン脂質としては、ホスファチジルコリン含量が60質量%以上であり、水素添加した水素添加リン脂質を使用する。ホスファチジルコリン以外のリン脂質成分としては、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロールなどが挙げられる。本発明で使用されるリン脂質としては、天然の動植物由来のリン脂質、例えば卵黄由来又は大豆由来のリン脂質を水素添加したものが挙げられる。また、化学合成したものも同様に使用することが可能である。 【0022】 本発明の固体脂質粒子を構成する(A)〜(C)各脂質成分の組成比としては、成分(B)と成分(C)の質量比(B)/(C)が1/3から50/1の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは1/2から20/1の範囲内である。 また、成分(B)と成分(C)の総量と成分(A)の質量比〔(B)+(C)〕/(A)が1/10から3/1の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは1/2から35/1の範囲内である。これらの範囲内だと固体脂質粒子エマルションの調製がより容易であり、また固体脂質粒子の安定性にも特に優れる。 【0023】 本発明の固体脂質粒子エマルションにおける油相である上記成分(A)から(C)の脂質成分には、簡便に安定な固体脂質粒子エマルションが製造できるという本願発明の効果を損なわない範囲で、油溶性の各種成分を配合することが可能である。 【0024】 本発明の固体脂質粒子エマルションにおける連続相である水相は、実質的に水からなる液相であるが、必要に応じて、固体脂質粒子エマルションの調製に影響を及ぼさない範囲で、水と相溶性を有する他の溶媒や水溶性の各種成分を配合することが可能である。 【0025】 本発明では、水相に、更にグリセリン、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる1種以上を含有させると、エマルションの安定性、また外用組成物としての官能特性が向上するため好ましい。 【0026】 また、本発明では、水相に、更に水溶性高分子をから選ばれる1種以上を含有させると、エマルションの安定性、また外用組成物としての官能特性が向上するため好ましい。 【0027】 前記水溶性高分子としては、天然水溶性高分子、天然水溶性高分子誘導体、合成水溶性高分子などを、単独又は2種以上を混合して使用することが可能である。具体的には、カラギーナン、アルギン酸、寒天、グアーガム、デンプン、ペクチン、大豆タンパク、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、ヒアルロン酸、キサンタンガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸アミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどを挙げることができる。 【0028】 本発明の固体脂質粒子エマルションは、油相である脂質成分を加温溶解した後に、同温度以上に加温した水相を攪拌させた中に、前記油相を添加、分散させ、その後冷却を行うことにより製造することができる。水相の攪拌には特殊な装置を用いる必要はなく、加温及び攪拌が可能であれば、公知の任意の装置、例えばマグネチックスターラーやホモミキサーなどで製造することができる。また、簡便な攪拌分散による製造ではなく、高圧ホモジナイザーやマイクロチャネル、膜などの特殊な装置を用いて製造することも可能である。 【0029】 本発明の特定の脂質成分を用いた場合に、固体脂質粒子エマルションが簡便かつ安定的に製造される詳細なメカニズムは不明であるが、リン脂質に高級アルコールを組み合わせると相転移温度が上昇することが確認されており、これが固体脂質粒子の界面の安定性を高めるのが、その理由のひとつであると考えられる。 【0030】 上記の固体脂質粒子エマルションの製造において、固体脂質粒子を構成する脂質成分の含有量を固体脂質粒子エマルション全体に対して30質量%以下とすると、水相に対する脂質成分の分散がより容易であると同時に、外用組成物と使用した場合の官能特性にも優れるため好ましい。30質量%を超えてしまうと、分散の効率が悪くなり、攪拌条件にもよるが、場合によっては分散不能となることもある。 【0031】 本発明の固体脂質粒子は、上記の手法により得られた固体脂質粒子エマルションから、流動性液体を除去することにより製造することが可能である。流動性液体の除去には、公知の任意の手法を用いることが可能である。例えば、遠心分離、膜濾過、凍結乾燥などを挙げることができる。 【0032】 本発明に係る固体脂質粒子エマルション又は固体脂質粒子は、外用剤として皮膚や毛髪などの体表面に適用することができ、独特の官能特性を賦与することが可能である。また、本発明の固体脂質粒子エマルション又は固体脂質粒子は、各種の皮膚用及び毛髪用の外用組成物に配合成分として配合することもでき、これら外用組成物に独特の官能特性を賦与することが可能である。 【0033】 本発明に係る固体脂質粒子エマルション又は固体脂質粒子を配合した外用組成物には、必要に応じて、化粧品、医薬部外品、医薬品、食品等に通常配合される成分を配合することができる。すなわち、具体的成分として、生理学的薬効成分、油脂類、色素、香料、防腐剤、界面活性剤、顔料、酸化防止剤、キレート剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、無機塩類、糖類、塩類、ビタミン類、植物抽出液等を挙げることができる。 【実施例】 【0034】 以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるわけではない。 【0035】 実施例1 セチルパルミテート5g、ヘキサデカノール1g、水素添加大豆リン脂質(ホスファチジルコリン含量90質量%以上、以下、含量に応じて「PC90」等と略記)0.5gを均一に加温溶解し油相を得た。次いで、予め80℃に加温した精製水93.5gをマグネチックスターラーにて400回転/分で攪拌させた中に、油相を徐々に加え乳化を行った。この乳化液を室温まで冷却し、本発明の固体脂質粒子エマルションを得た。得られた固体脂質粒子エマルションを偏光顕微鏡で観察し、粒子径約100から500μmの球状で結晶質の固体脂質粒子の生成を確認した(図1)。この固体脂質粒子エマルションを40℃、1ヶ月の条件にて保存し、固体脂質粒子の安定性を偏光顕微鏡により確認したところ、固体脂質粒子相のクリーミングは認められたものの、固体脂質粒子の崩壊や合一は認められず、また、結晶状態を保っており安定であった。 【0036】 (示差走査熱分析) 実施例1で作製した固体脂質粒子エマルションをDSC(示差走査熱分析)測定を行い、相転移温度の分析を行った。また、実施例1で使用した各脂質成分、並びにそれらから選ばれる2種による混合脂質についても、比較として分析を行った。分析は、示差走査熱量計(DSC6200、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用い、5℃/分の昇温条件にて行った。尚、実施例1の固体脂質粒子エマルションについてはそのままを分析試料としたが、それ以外の脂質試料については、脂質成分に対して7倍重量の水を加え、一度相転移温度以上に昇温して十分に水和させた後に急冷したものを分析試料として使用した。 【0037】 分析結果を表1に示す。表中の数字はDSC曲線のピークトップの温度を示し、2種混合の脂質に関しては、種々の混合比率で測定したうち、最も高いピークトップの温度を示す。実施例1で使用した各脂質成分単独の場合、いずれも52℃付近が相転移温度であった。一方、2種の脂質を混合した系では、ヘキサデカノールと水素添加大豆リン脂質(PC90)を混合した場合に、相転移温度が20℃近くも上昇するという特異な現象が確認された。 【0038】 (表1) ――――――――――――――――――――――― 試 料 (℃) ――――――――――――――――――――――― (a)セチルパルミテート 52.2 (b)ヘキサデカノール 52.5 (c)水素添加大豆リン脂質(PC90) 52.1 (a)と(b)の混合脂質 48.1 (a)と(c)の混合脂質 52.1 (b)と(c)の混合脂質 70.6 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1の固体脂質粒子 ピーク1 31.6 ピーク2 45.4 ピーク3 48.6 ピーク4 68.7 ――――――――――――――――――――――― 【0039】 実施例1の固体脂質粒子エマルションの場合のDSC曲線を図2に示す。図に示すように、ピーク1からピーク4の4つのピークが検出された。表1に示すように、これらのうちピーク4の温度は、ヘキサデカノールと水素添加大豆リン脂質(PC90)の混合脂質系のピーク温度とほぼ一致し、ピーク3の温度は、セチルパルミテートとヘキサデカノールの混合脂質系のピーク温度とほぼ一致した。これらの結果及び構成成分の極性などの物性から判断すると、実施例1の固体脂質粒子は、ヘキサデカノールと水素添加大豆リン脂質(PC90)が界面を形成し、セチルパルミテート及び過剰なヘキサデカノールを芯物質とする構造となっていると考えられる。即ち、本発明で開示する特定成分の特定割合からなる組成とすることにより、それぞれの構成成分単独の場合よりも高い温度で界面に水和固体が形成され、製造が容易で熱安定性に優れる固体脂質エマルションが形成されることが示唆された。 【0040】 実施例2 実施例1と同様の組成及び製造法にて固体脂質粒子エマルションを製造した後に、水を濾別し、凍結乾燥を行い、本発明の固体脂質粒子の粉末を得た。得られた固体脂質粒子を偏光顕微鏡で観察し、粒子径が約100から500μmである球状で結晶質の固体脂質粒子を確認した。この固体脂質粒子の粉末を、実施例1と同様40℃、1ヶ月の条件にて保存し、その安定性を偏光顕微鏡で確認したところ、固体脂質粒子の崩壊や合一は認められず、また、結晶状態を保っており安定であった。 【0041】 実施例3、比較例1〜3 下記表2の組成からなる本発明の固体脂質粒子(実施例3)及び比較例1〜3の固体粒子を、実施例1と同様の方法にてエマルションを製造し、実施例2と同様の方法により水を除去することにより製造した。また、粒子の生成を偏光顕微鏡により、生成した固体脂質粒子の安定性を、実施例1と同様の40℃、1ヶ月の保存条件にて評価した。尚、表中の組成における配合量は質量%である。 【0042】 (表2) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 実施例 比較例 比較例 比較例 成分名 3 1 2 3 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (1)トリステアリン酸グリセリル 15.0 − 15.0 15.0 (2)オクタデカノール 10.0 10.0 − 10.0 (3)水素添加卵黄リン脂質 2.0 2.0 2.0 − (PC70) (4)精製水 残余 残余 残余 残余 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 粒子の生成 球状固体粒子 生成せず 非晶質粒子 生成せず 保存安定性 安定 − 合一及び凝集 − ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 【0043】 表2に記載の如く、実施例3の固体脂質粒子は、球状の固体脂質粒子を形成し、その保存安定性にも優れていた。しかしながら、本発明の要件を満たさない比較例1及び比較例3の組成では、球状の固体粒子を生成しなかった。また、比較例2では、粒子を生成したものの、その粒子は非晶質であり、安定性に劣るものであった。 【0044】 実施例4〜7 下記表3の組成からなる本発明の固体脂質粒子エマルションを製造した。製造方法は、 油相成分を均一に混合溶解させた後に、予め混合し80℃に加温した水相に攪拌下で加え、ホモミキサーを用いて5000回転/分にて乳化を行い、攪拌下で室温まで冷却させた。尚、表中の組成における配合量は質量%である。 【0045】 (表3) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 実施例 実施例 実施例 実施例 成分名 4 5 6 7 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (油相成分) (1)トリパルミチン酸グリセリル 8.0 8.0 8.0 8.0 (2)パルミチン酸セチル 2.0 2.0 2.0 2.0 (3)セチルアルコール(*) 1.0 1.0 1.0 1.0 (4)水素添加大豆リン脂質 0.3 0.5 1.0 1.5 (PC90) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (水相成分) (5)グリセリン 5.0 5.0 5.0 5.0 (6)フェノキシエタノール 0.1 0.1 0.1 0.1 (7)カルボキシビニルポリマー 0.1 0.1 0.1 0.1 (8)水酸化カリウム 0.03 0.03 0.03 0.03 (9)精製水 残余 残余 残余 残余 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― * ヘキサデカノールを主成分とするオクタデカノール、テトラデカノールなどとの混合物 【0046】 得られた固体脂質粒子エマルションを実施例1と同様の手法により評価したところ、粒子径約20から100μmである球状の固体脂質粒子の生成を確認し、保存安定性にも優れるものであった。また、クリーミングなどの現象も認められず製剤としての安定性にも優れるものであった。 【0047】 下記表4の組成からなる本発明の固体脂質粒子エマルションを製造した。製造方法は、油相成分を均一に混合溶解した後に、予め混合し80℃に加温した水相成分に攪拌下で加え、ホモミキサーを用いて5000回転/分にて乳化を行い、攪拌下で室温まで冷却して製造した。尚、表中の組成における配合量は質量%である。 【0048】 (表4) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 実施例 実施例 実施例 実施例 成分名 8 9 10 11 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (油相成分) (1)トリパルミチン酸グリセリル 8.0 8.0 8.0 8.0 (2)パルミチン酸セチル 2.0 2.0 2.0 2.0 (3)セチルアルコール(*) 5.0 5.0 5.0 5.0 (4)ベヘニルアルコール(**) − 3.0 5.0 10.0 (5)水素添加大豆リン脂質 1.0 1.0 1.0 1.0 (PC90) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (水相成分) (6)グリセリン 5.0 5.0 5.0 5.0 (7)フェノキシエタノール 0.1 0.1 0.1 0.1 (8)カルボキシビニルポリマー 0.1 0.1 0.1 0.1 (9)水酸化カリウム 0.03 0.03 0.03 0.03 (10)精製水 残余 残余 残余 残余 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― * ヘキサデカノールを主成分とするオクタデカノール、テトラデカノールなどとの混合物 ** ドコサノールを主成分とするオクタデカノール、ヘキサデカノールなどとの混合物 【0049】 得られた固体脂質粒子エマルションを実施例1と同様の手法により評価したところ、粒子径約20から100μmである球状の固体脂質粒子の生成を確認し、保存安定性にも優れるものであった。また、クリーミングなどの現象も認められず製剤としての安定性にも優れるものであった。 【0050】 実施例12 下表5の組成からなる本発明の固体脂質粒子エマルションを製造した。製造方法は、油相成分を均一に混合溶解させた後に、予め混合し80℃に加温した水相に攪拌下で加え、ホモミキサーを用いて5000回転/分にて乳化を行い、攪拌下で室温まで冷却させた。 【0051】 (表5) ―――――――――――――――――――――――― 成分名 質量% ―――――――――――――――――――――――― (油相成分) (1) トリ(カプリル・カプリン 8.0 ・ミリスチン・ステアリン)酸グリセリル (2) ミツロウ 4.0 (3) ベヘニルアルコール 6.0 (4) ステアリルアルコール 2.0 (5) 水素添加大豆リン脂質(PC90) 0.7 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (水相成分) (6) ジプロピレングリコール 3.0 (7) 1,3−ブチレングリコール 3.0 (8) ヒアルロン酸ナトリウム 0.1 (9) アクリル酸・メタクリル酸 0.1 アルキル共重合体 (10)水酸化カリウム 0.02 (11)メチルパラベン 0.1 (12)エデト酸三ナトリウム 0.02 (13)精製水 残余 ―――――――――――――――――――――――― 【0052】 得られた固体脂質粒子エマルションを偏光顕微鏡により観察し、粒子径20から50μmである球状の固体脂質粒子の生成を確認した。得られた固体脂質粒子エマルションを40℃、1ヶ月の条件で保存し、安定性を確認したところ、凝集や合一は認められず、安定性に優れるものであった。また、得られた組成物に関し官能評価を行ったところ、のびが良く、保湿感に優れた外用組成物であった。 【産業上の利用可能性】 【0053】 本発明の固体脂質粒子エマルション並びに固体脂質粒子は、容易に製造することができ、安定性にも優れることから、化粧品、医薬部外品、医薬品、食品に適用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0054】 【図1】本発明に係る実施例1の固体脂質粒子エマルションの形態を示す、図面代用の偏光顕微鏡写真である。 【図2】本発明に係る実施例1の固体脂質粒子エマルションのDSC曲線を示す図である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】504180206 【氏名又は名称】株式会社カネボウ化粧品 【住所又は居所】東京都港区虎ノ門五丁目11番2号
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| 【出願日】 |
平成17年2月24日(2005.2.24) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2006−232731(P2006−232731A) |
| 【公開日】 |
平成18年9月7日(2006.9.7) |
| 【出願番号】 |
特願2005−49757(P2005−49757) |
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