| 【発明の名称】 |
癌転移抑制剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】済木 育夫
【氏名】塚田 一博
【氏名】吉岡 伊作
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| 【要約】 |
【課題】優れた癌転移抑制作用を示す医薬を提供すること。
【解決手段】式(I) |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 式(I) 【化1】
〔式中、Rは置換されていてもよい窒素含有非芳香族複素環基;水酸基;Ra;Raで置換されたアルコキシ基;Raで置換されたアルキルチオ基;又はRaで置換されたアルキルアミノ基〔ここで、Raはアミノ基、グアニジノ基、アミジノ基、カルバモイル基、ウレイド基、チオウレイド基、ヒドラジノ基、ヒドラジノカルボニル基又はイミノ基(これらの基は、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基及びアミノ保護基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい)である〕を示し; Aは置換されていてもよく、かつ鎖中に1又は2以上の二重結合又は三重結合を有していてもよい直鎖又は分岐状のアルキレン基;又は単結合を示し; Xは酸素原子;硫黄原子;シクロアルキレン基;窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する2価の芳香族複素環基;−SO−;−SO2−;−C=C−;−C≡C−;−CO−;−COO−;−OOC−;−CS−;−COS−;−O−CO−O−;−NH−CO−NH−;−NH−CS−NH−;−NH−C(=NH)−NH−;−NR8−;−NR8CO−;−CONR8−;−NR8SO2−;−SO2NR8−;−NR8−COO−;−OOC−NR8−;又は−CR9R10−〔ここで、R8は水素原子;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;アラルキル基;又はアミノ保護基を示し、R9及びR10は同一又は異なって、水素原子;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;又はアラルキル基を示す〕を示し; Mはアリーレン基;シクロアルキレン基;又は窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有し、かつ縮合環を形成してもよい2価の複素環基を示し; R1、R2、R3、R4は同一又は異なってそれぞれ、水素原子(但し、R1、R2、R3およびR4の少なくとも一つは水素原子ではない。);水酸基;ハロゲン原子;アルコキシ基;メルカプト基;アルキルチオ基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アリールオキシカルボニル基;アシル基;水酸基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアルキル基;アルキル基、アリール基、アラルキル基及びアミノ保護基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアミノ基;又は−O−CO−R11〔ここで、R11は置換されていてもよいアルコキシ基;置換されていてもよいアリール基;置換されていてもよいシクロアルキル基;置換されていてもよいアリールオキシ基;置換されていてもよいアラルキルオキシ基;置換されていてもよいアルキルチオ基;置換されていてもよいアリールチオ基;又はアルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシ基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、低級アルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子及び、低級アルキル基又はアシル基で置換されていてもよいアミノ基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアルキル基を示す。〕を示し; R5は水素原子;ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基;置換されていてもよいアラルキル基;又はアミノ保護基を示し; mは0又は1〜6から選ばれる整数を示し; R6は置換されていてもよいアリール基;置換されていてもよいシクロアルキル基;置換されていてもよい低級アルキル基;置換されていてもよい低級アルコキシ基;置換されていてもよい低級アルキルチオ基;低級アルキル基、アリール基、アラルキル基及びアミノ保護基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアミノ基;又は置換されていてもよく、かつ窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する複素環基を示し; R7は水素原子;置換されていてもよいアルキル基;置換されていてもよいアリール基;置換されていてもよく、かつ窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する芳香族複素環基;又は−CO(Y)PR12〔ここで、Yは酸素原子;硫黄原子;−NR13−;又は−NR13−SO2−(R13は水素原子;アルキル基;アラルキル基;水酸基;アルコキシ基;アリール基;又はアミノ保護基を示す。)を示し、pは0又は1を示し、R12は水素原子;置換されていてもよいアルケニル基;置換されていてもよいアルキニル基;置換されていてもよいシクロアルキル基;置換されていてもよいアリール基;置換されていてもよいアラルキル基;アダマンチル基;シクロアルキリデンアミノ基;置換されていてもよく、かつ窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する複素環基;又は水酸基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する複素環基、及びアミノ基(該アミノ基は、アルキル基、アリール基、アラルキル基及びアミノ保護基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアルキル基を示す。〕を示す。〕で表される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含有することを特徴とする癌転移抑制剤。 【請求項2】 Rが低級アルキル基で置換されていてもよいピペラジニル基、低級アルキル基で置換されていてもよいピペリジル基またはアミノ基(当該アミノ基は、低級アルキル基で置換されていてもよい)であり; Aが直鎖のアルキレン基であり; Xが酸素原子、硫黄原子、−NH−または−CH2−であり; Mがアリーレン基であり; R1、R2、R3およびR4が、同一または異なってそれぞれ、水素原子(但し、R1、R2、R3およびR4の少なくとも一つは水素原子ではない。);水酸基;ハロゲン原子または−O−CO−R11’(ここで、R11’はアミノ基、アシルオキシ基およびベンジルオキシカルボニル基からなる群から選ばれる置換基で置換されてもよい低級アルキル基;または低級アルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)であり; R5が水素原子であり; mが1であり; R6がフェニル基であり; R7が−COO−R12’(ここで、R12’は水素原子;アラルキル基;アダマンチル基;シクロアルキリデンアミノ基;低級アルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基;低級アルキル基で置換されていてもよいピペリジル基;又は水酸基、低級アルコキシ基、低級アルコキシ低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ピペラジニル基および低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアルキル基を示す。)である、請求項1記載の癌転移抑制剤。 【請求項3】 式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩が、(-)-エチル N-{3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシ-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]ベンゾイル}-L-フェニルアラニネートまたはその薬理学的に許容される酸付加塩である、請求項1記載の癌転移抑制剤。 【請求項4】 式(I)で表される化合物の薬理学的に許容される酸付加塩が、(-)-エチル N-{3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシ-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]ベンゾイル}-L-フェニルアラニネート・二塩酸塩である、請求項1記載の癌転移抑制剤。 【請求項5】 式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩が、炎症性サイトカイン産生阻害作用を有するものである、請求項1〜4のいずれかに記載の癌転移抑制剤。 【請求項6】 炎症性サイトカインが腫瘍壊死因子(TNF)−α、インターロイキン(IL)−1β、IL−6、IL−8またはそれらの組み合わせである、請求項5記載の癌転移抑制剤。 【請求項7】 炎症性サイトカインがTNF−α、IL−6またはそれらの組み合わせである、請求項6記載の癌転移抑制剤。 【請求項8】 癌転移が、組織障害、出血、虚血状態またはそれらの組み合わせにより惹起される癌転移である、請求項1〜7のいずれかに記載の癌転移抑制剤。 【請求項9】 癌転移が、手術侵襲により惹起される癌転移である、請求項1〜7のいずれかに記載の癌転移抑制剤。 【請求項10】 抗癌剤と組み合わせて使用することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の癌転移抑制剤。 【請求項11】 静脈内注射製剤の剤形である、請求項1〜10のいずれかに記載の癌転移抑制剤。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、癌転移抑制剤に関する。さらに詳細には、サイトカイン産生阻害作用を有する後掲の式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含有することを特徴とする癌転移抑制剤に関する。 【背景技術】 【0002】 癌治療における大きな難問は外科術後の転移に起因する再発であり、従って、癌転移を抑制することが、癌療法の重要な課題となっている。 癌転移は、癌細胞の原発巣から離脱と周辺組織への浸潤から始まり、遠隔臓器への定着、増殖による転移巣の形成に至るまでの、種々の複雑な反応から成り立っている。 癌細胞が原発巣から離脱してもその周辺には各種の細胞外マトリックスが存在し、移動を妨げている。しかし、癌細胞は自分自身あるいは間質の細胞が産生する各種のプロテアーゼを利用しながら細胞外マトリックス構造を分解し、移動していく。この様にして原発巣から遊離した癌細胞は、血管系に侵入し遠隔臓器に運ばれ、血管内皮膜に接着、浸潤して、遠隔組織に生着し増殖する。 従ってこのような一連の反応のいずれかを阻害するために、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤や細胞接着阻害剤などが癌転移抑制剤として開発されているが、いまだ癌転移抑制のための有効な手段とはなっていない。 【0003】 また、癌患者の外科手術による侵襲に伴い誘導される高サイトカイン血症、活性酸素による血管内皮障害、アポトーシス、接着因子発現、免疫抑制物質の誘導などの種々の炎症性生体反応が、患者に免疫能の低下、Th1/2バランスの異常をもたらし、腫瘍側要因としても血管新生、接着、増殖を促進して、結果的に癌の転移・増殖が進行することが報告されている(非特許文献1参照)。 このような背景のもと、自己血輸血、栄養療法、炎症性サイトカイン抗体(非特許文献2参照)、ステロイド剤(非特許文献3〜5参照)等の投与、BRM(Biological response modifiers)療法などにより、外科侵襲に伴う生体反応を軽減して、癌転移を抑制しようとする試みが行なわれている。 しかしながら、ステロイド(副腎皮質ホルモン)は、宿主免疫活性の低下を介して血行性転移を促進する可能性も指摘されており(非特許文献6参照)、また、BRM製剤でも炎症反応を助長する可能性もある。このように、外科侵襲に伴う炎症性反応と免疫抑制などによるその軽減のバランスをどのようにとればよいかは十分理解できておらず、その対策が確立できているとは言い難い。 【0004】 一方、特許文献1及び2には、IL−8、IL−1、IL−6、TNF−α及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)などの炎症性サイトカインの産生を強く阻害するアミド化合物が記載されており、炎症性疾患の予防・治療に有効であることが開示されているが、当該アミド化合物の癌転移抑制に対する効果については記載されていない。 【特許文献1】米国特許第6174887号明細書 【特許文献2】国際公開第97/08133号パンフレット 【非特許文献1】Biotherapy,2000年,第14巻第1号,p.1−4. 【非特許文献2】Oncologia,1993年,第26巻第2号,p.169−176. 【非特許文献3】Surgery Frontier,1994年,第1巻,p.14−22. 【非特許文献4】日本消化器外科学会誌,1994年,第27巻,p.2191. 【非特許文献5】Biotherapy,1998年,第12巻第12号,p.1591−1598. 【非特許文献6】日本外科学会雑誌,1988年,第89巻第10号,p.1692−1698. 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明の目的は、優れた癌転移抑制効果を示す医薬を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、サイトカイン産生阻害活性を有する後記化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩が、意外にも、優れた癌転移抑制効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は以下のとおりである。 [1]式(I) 【0007】 【化1】
【0008】 〔式中、Rは置換されていてもよい窒素含有非芳香族複素環基;水酸基;Ra;Raで置換されたアルコキシ基;Raで置換されたアルキルチオ基;又はRaで置換されたアルキルアミノ基〔ここで、Raはアミノ基、グアニジノ基、アミジノ基、カルバモイル基、ウレイド基、チオウレイド基、ヒドラジノ基、ヒドラジノカルボニル基又はイミノ基(これらの基は、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基及びアミノ保護基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい)である〕を示し; Aは置換されていてもよく、かつ鎖中に1又は2以上の二重結合又は三重結合を有していてもよい直鎖又は分岐状のアルキレン基;又は単結合を示し; Xは酸素原子;硫黄原子;シクロアルキレン基;窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する2価の芳香族複素環基;−SO−;−SO2−;−C=C−;−C≡C−;−CO−;−COO−;−OOC−;−CS−;−COS−;−O−CO−O−;−NH−CO−NH−;−NH−CS−NH−;−NH−C(=NH)−NH−;−NR8−;−NR8CO−;−CONR8−;−NR8SO2−;−SO2NR8−;−NR8−COO−;−OOC−NR8−;又は−CR9R10−〔ここで、R8は水素原子;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;アラルキル基;又はアミノ保護基を示し、R9及びR10は同一又は異なって、水素原子;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;又はアラルキル基を示す〕を示し; Mはアリーレン基;シクロアルキレン基;又は窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有し、かつ縮合環を形成してもよい2価の複素環基を示し; R1、R2、R3、R4は同一又は異なってそれぞれ、水素原子(但し、R1、R2、R3およびR4の少なくとも一つは水素原子ではない。);水酸基;ハロゲン原子;アルコキシ基;メルカプト基;アルキルチオ基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アリールオキシカルボニル基;アシル基;水酸基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアルキル基;アルキル基、アリール基、アラルキル基及びアミノ保護基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアミノ基;又は−O−CO−R11〔ここで、R11は置換されていてもよいアルコキシ基;置換されていてもよいアリール基;置換されていてもよいシクロアルキル基;置換されていてもよいアリールオキシ基;置換されていてもよいアラルキルオキシ基;置換されていてもよいアルキルチオ基;置換されていてもよいアリールチオ基;又はアルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシ基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、低級アルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子及び、低級アルキル基又はアシル基で置換されていてもよいアミノ基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアルキル基を示す。〕を示し; R5は水素原子;ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基;置換されていてもよいアラルキル基;又はアミノ保護基を示し; mは0又は1〜6から選ばれる整数を示し; R6は置換されていてもよいアリール基;置換されていてもよいシクロアルキル基;置換されていてもよい低級アルキル基;置換されていてもよい低級アルコキシ基;置換されていてもよい低級アルキルチオ基;低級アルキル基、アリール基、アラルキル基及びアミノ保護基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアミノ基;又は置換されていてもよく、かつ窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する複素環基を示し; R7は水素原子;置換されていてもよいアルキル基;置換されていてもよいアリール基;置換されていてもよく、かつ窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する芳香族複素環基;又は−CO(Y)PR12〔ここで、Yは酸素原子;硫黄原子;−NR13−;又は−NR13−SO2−(R13は水素原子;アルキル基;アラルキル基;水酸基;アルコキシ基;アリール基;又はアミノ保護基を示す。)を示し、pは0又は1を示し、R12は水素原子;置換されていてもよいアルケニル基;置換されていてもよいアルキニル基;置換されていてもよいシクロアルキル基;置換されていてもよいアリール基;置換されていてもよいアラルキル基;アダマンチル基;シクロアルキリデンアミノ基;置換されていてもよく、かつ窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する複素環基;又は水酸基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する複素環基、及びアミノ基(該アミノ基は、アルキル基、アリール基、アラルキル基及びアミノ保護基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアルキル基を示す。〕を示す。〕で表される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩〔以下、これらを合せて化合物(I)ともいう。〕を有効成分として含有することを特徴とする癌転移抑制剤。 【0009】 [2]Rが低級アルキル基で置換されていてもよいピペラジニル基、低級アルキル基で置換されていてもよいピペリジル基またはアミノ基(当該アミノ基は、低級アルキル基で置換されていてもよい)であり; Aが直鎖のアルキレン基であり; Xが酸素原子、硫黄原子、−NH−または−CH2−であり; Mがアリーレン基であり; R1、R2、R3およびR4が、同一または異なってそれぞれ、水素原子(但し、R1、R2、R3およびR4の少なくとも一つは水素原子ではない。);水酸基;ハロゲン原子または−O−CO−R11’(ここで、R11’はアミノ基、アシルオキシ基およびベンジルオキシカルボニル基からなる群から選ばれる置換基で置換されてもよい低級アルキル基;または低級アルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。)であり; R5が水素原子であり;mが1であり; R6がフェニル基であり; R7が−COO−R12’(ここで、R12’は水素原子;アラルキル基;アダマンチル基;シクロアルキリデンアミノ基;低級アルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基;低級アルキル基で置換されていてもよいピペリジル基;水酸基、低級アルコキシ基、低級アルコキシ低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ピペラジニル基および低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアルキル基を示す。)である、上記[1]記載の癌転移抑制剤。 【0010】 [3]化合物(I)が、(-)-エチル N-{3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシ-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]ベンゾイル}-L-フェニルアラニネートまたはその薬理学的に許容される酸付加塩である、上記[1]記載の癌転移抑制剤。 [4]化合物(I)が、(-)-エチル N-{3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシ-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]ベンゾイル}-L-フェニルアラニネート・二塩酸塩である、上記[1]記載の癌転移抑制剤。 [5]化合物(I)が、炎症性サイトカイン産生阻害作用を有するものである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の癌転移抑制剤。 [6]炎症性サイトカインが腫瘍壊死因子(TNF)−α、インターロイキン(IL)−1β、IL−6、IL−8またはそれらの組み合わせである、上記[5]記載の癌転移抑制剤。 [7]炎症性サイトカインがTNF−α、IL−6またはそれらの組み合わせである、上記[6]記載の癌転移抑制剤。 [8]癌転移が、組織障害、出血、虚血状態またはそれらの組み合わせにより惹起される癌転移である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の癌転移抑制剤。 [9]癌転移が、手術侵襲により惹起される癌転移である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の癌転移抑制剤。 [10]抗癌剤と組み合わせて使用することを特徴とする、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の癌転移抑制剤。 [11]静脈内注射製剤の剤形である、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の癌転移抑制剤。 【発明の効果】 【0011】 化合物(I)は、特に外科手術後に産生が亢進する炎症性サイトカイン、例えばTNF−α、IL−1β、IL−6、IL−8等の産生量を抑制することにより外科侵襲による炎症性反応を改善し、その結果として、癌転移を効果的に抑制する。したがって、化合物(I)を含有する本発明の薬剤は、安全性の高い優れた癌転移抑制剤となり得る。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 以下、本発明について詳細に説明する。 本発明の癌転移抑制剤は、有効成分として化合物(I)を含有する。化合物(I)は、特許文献1または2に記載の方法で製造することができる。 【0013】 式(I)において、Rは、置換されていてもよい窒素含有非芳香族複素環基;水酸基;Ra;Raで置換されたアルコキシ基;Raで置換されたアルキルチオ基;又はRaで置換されたアルキルアミノ基〔ここで、Raはアミノ基、グアニジノ基、アミジノ基、カルバモイル基、ウレイド基、チオウレイド基、ヒドラジノ基、ヒドラジノカルボニル基又はイミノ基(これらの基は、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基及びアミノ保護基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい)である〕を表し、好ましくは、低級アルキル基で置換されていてもよいピペラジニル基、低級アルキル基で置換されていてもよいピペリジル基、低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基である。 【0014】 Aは置換されていてもよく、かつ鎖中に1又は2以上の二重結合又は三重結合を有していてもよい直鎖又は分岐状のアルキレン基;又は単結合を表し、好ましくは、直鎖のアルキレン基である。 【0015】 Xは酸素原子;硫黄原子;シクロアルキレン基;窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する2価の芳香族複素環基;−SO−;−SO2−;−C=C−;−C≡C−;−CO−;−COO−;−OOC−;−CS−;−COS−;−O−CO−O−;−NH−CO−NH−;−NH−CS−NH−;−NH−C(=NH)−NH−;−NR8−;−NR8CO−;−CONR8−;−NR8SO2−;−SO2NR8−;−NR8−COO−;−OOC−NR8−;又は−CR9R10−〔ここで、R8は水素原子;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;アラルキル基;又はアミノ保護基を、R9、R10は同一又は異なって、水素原子;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;又はアラルキル基を示す〕を表し、好ましくは酸素原子、硫黄原子、−NH−又は−CH2−である。 【0016】 Mはアリーレン基;シクロアルキレン基;又は窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有し、かつ縮合環を形成してもよい2価の複素環基を表し、好ましくはアリーレン基である。 【0017】 R1、R2、R3、R4は同一又は異なってそれぞれ、水素原子(但し、R1、R2、R3およびR4の少なくとも一つは水素原子ではない。);水酸基;ハロゲン原子;アルコキシ基;メルカプト基;アルキルチオ基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アリールオキシカルボニル基;アシル基;水酸基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアルキル基;アルキル基、アリール基、アラルキル基及びアミノ保護基から選ばれる置換基で置換されていてもよいアミノ基;又は−O−CO−R11〔ここで、R11は置換されていてもよいアルコキシ基;置換されていてもよいアリール基;置換されていてもよいシクロアルキル基;置換されていてもよいアリールオキシ基;置換されていてもよいアラルキルオキシ基;置換されていてもよいアルキルチオ基;置換されていてもよいアリールチオ基;又はアルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシ基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、低級アルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子及び、低級アルキル基又はアシル基で置換されていてもよいアミノ基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアルキル基を示す。〕を表し、好ましくは、水素原子(但し、R1、R2、R3およびR4の少なくとも一つは水素原子ではない。);水酸基;ハロゲン原子;又は−O−CO−R11’〔ここで、R11’はアミノ基、アシルオキシ基及びベンジルオキシカルボニル基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい低級アルキル基;低級アルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。〕である。 【0018】 R5は水素原子;ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基;置換されていてもよいアラルキル基;又はアミノ保護基を表し、好ましくは水素原子である。 【0019】 mは0又は1〜6から選ばれる整数を表し、好ましくは1である。 【0020】 R6は置換されていてもよいアリール基;置換されていてもよいシクロアルキル基;置換されていてもよい低級アルキル基;置換されていてもよい低級アルコキシ基;置換されていてもよい低級アルキルチオ基;低級アルキル基、アリール基、アラルキル基及びアミノ保護基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアミノ基;又は置換されていてもよく、かつ窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する複素環基を表し、好ましくはフェニル基である。 【0021】 R7は水素原子;置換されていてもよいアルキル基;置換されていてもよいアリール基;置換されていてもよく、かつ窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する芳香族複素環基;又は−CO(Y)pR12〔ここで、Yは酸素原子;硫黄原子;−NR13−;又は−NR13−SO2−(R13は水素原子;アルキル基;アラルキル基;水酸基;アルコキシ基;アリール基;又はアミノ保護基を示す。)を示し、pは0又は1を示し、R12は水素原子;置換されていてもよいアルケニル基;置換されていてもよいアルキニル基;置換されていてもよいシクロアルキル基;置換されていてもよいアリール基;置換されていてもよいアラルキル基;アダマンチル基;シクロアルキリデンアミノ基;置換されていてもよく、かつ窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する複素環基;又は水酸基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する複素環基、及びアミノ基(該アミノ基は、アルキル基、アリール基、アラルキル基及びアミノ保護基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい)からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアルキル基を示す。〕を表し、好ましくは、−COO−R12’〔ここで、R12’は水素原子;アラルキル基;アダマンチル基;シクロアルキリデンアミノ基;低級アルキル基で置換さてもよいシクロヘキシル基;低級アルキル基で置換さてもよいピペリジル基;水酸基、低級アルコキシ基、低級アルコキシ低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ピペラジニル基、及び低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよいアルキル基を示す。〕である。 【0022】 「アルコキシ基」とは、炭素数1〜6個の直鎖又は分岐状のアルコキシ基を意味し、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ネオヘキシルオキシ基等が挙げられる。好ましくは炭素数1〜4個の直鎖又は分岐状のアルコキシ基であり、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基である。RのRaで置換されたアルコキシ基の「アルコキシ基」は、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などの直鎖のアルコキシ基であり、特にメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜4個の直鎖のアルコキシ基が好ましい。 【0023】 「低級アルコキシ基」とは、炭素数1〜4個の直鎖又は分岐状のアルコキシ基を意味し、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。 【0024】 「アルキルチオ基」とは、炭素数1〜6個の直鎖又は分岐状のアルキルチオ基を意味し、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、tert−ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、イソヘキシルチオ基、ネオヘキシルチオ基等が挙げられる。RのRaで置換されたアルキルチオ基の「アルキルチオ基」は、好ましくはメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基などの直鎖のアルキルチオ基であり、特にメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基などの炭素数1〜4個の直鎖のアルキルチオ基が好ましい。 【0025】 「低級アルキルチオ基」とは、炭素数1〜4個の直鎖又は分岐状のアルキルチオ基を意味し、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基等が挙げられる。 【0026】 「アルキルアミノ基」とは、炭素数1〜6個の直鎖又は分岐状のモノアルキルアミノ基又はジアルキルアミノを意味し、具体的にはメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、tert−ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、イソヘキシルアミノ基、ネオヘキシルアミノ基等が挙げられ、好ましくはメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基などの直鎖のアルキルアミノ基である。特に好ましくは炭素数1〜4個の直鎖のアルキルアミノ基であり、具体的にはメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基等である。 【0027】 「窒素含有非芳香族複素環基」とは、少なくとも1個の窒素原子を有し、硫黄原子又は酸素原子を有していてもよい3〜7員の非芳香族複素環基を意味し、これらはベンゼン環と縮合していてもよい。具体的にはアジリジニル基、チアゼチジニル基、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、モルホリニル基、モルホリノ基、オキサジニル基、チアジニル基、ピペラジニル基、ピペリジル基、ピペリジノ基、ジオキサゼピニル基、チアゼピニル基、ジアゼピニル基、パーヒドロジアゼピニル基、アゼピニル基、パーヒドロアゼピニル基、インドリニル基、イソインドリニル基等が挙げられる。好ましくはアジリジニル基、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピラゾリジニル基、モルホリニル基、モルホリノ基、ピペラジニル基、ピペリジル基、ピペリジノ基、パーヒドロアゼピニル基であり、特に好ましくはピロリジニル基、モルホリノ基、ピペラジニル基、ピペリジル基、ピペリジノ基である。 【0028】 「アルキル基」とは、炭素数1〜6個の直鎖又は分岐状のアルキル基を意味し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基等が挙げられる。 【0029】 「低級アルキル基」とは、炭素数1〜4個の直鎖又は分岐状のアルキル基を意味し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。 【0030】 「ハロゲン原子」とは、具体的にはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。 【0031】 「ハロゲン化低級アルキル基」とは、前記の低級アルキル基にハロゲン原子が置換したものである。具体的にはフルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ジフルオロエチル基、ジクロロエチル基、ペンタトリフルオロエチル基、トリクロロエチル基、フルオロプロピル基等が挙げられ、好ましくは、フルオロメチル基、クロロメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基である。 【0032】 「シクロアルキル基」とは、炭素数3〜7個のシクロアルキル基を意味し、具体的にはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられ、好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素数5又は6個のシクロアルキル基である。 【0033】 「アラルキル基」とは、前記のアルキル基に後記のアリール基が置換したものであって、具体的にはベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、ナフチルメチル基等が挙げられ、好ましくはベンジル基、フェネチル基である。 【0034】 「アラルキルオキシ基」とは、前記のアラルキル基を有するアラルキルオキシ基であり、具体的にはベンジルオキシ基、ベンズヒドリルオキシ基、トリチルオキシ基、フェネチルオキシ基、3−フェニルプロピルオキシ基、2−フェニルプロピルオキシ基、4−フェニルブチルオキシ基、ナフチルメトキシ基等が挙げられる。好ましくはベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基である。 【0035】 「アラルキルオキシカルボニル基」とは、前記のアラルキル基を有するアラルキルオキシカルボニル基であり、具体的にはベンジルオキシカルボニル基、ベンズヒドリルオキシカルボニル基、トリチルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基、3−フェニルプロピルオキシカルボニル基、2−フェニルプロピルオキシカルボニル基、4−フェニルブチルオキシカルボニル基、ナフチルメトキシカルボニル基等が挙げられる。好ましくはベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基である。 【0036】 「アリール基」とは、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等を意味し、好ましくはフェニル基、ナフチル基である。 「アリールオキシ基」とは、前記のアリール基を有するアリールオキシ基であり、具体的にはフェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。 【0037】 「アリールオキシカルボニル基」とは、前記のアリール基を有するアリールオキシカルボニル基であり、具体的にはフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等が挙げられる。 【0038】 「アリールチオ基」とは、前記のアリール基を有するアリールチオ基であり、具体的にはフェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。 【0039】 「アミノ保護基」とは、通常用いられる保護基であり、アミノ基を諸反応から保護するものであれば特に限定されない。具体的には、アシル基(例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、オキサリル基、スクシニル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、2−ブロモアセチル基、2−ヨードアセチル基、2,2−ジクロロアセチル基、2,2,2−トリクロロアセチル基、2,2,2−トリフルオロアセチル基、フェニルアセチル基、フェノキシアセチル基、ベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、4−ニトロベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、アダマンチルカルボニル基、フタロイル基等);アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2−クロロエトキシカルボニル基、2−ヨードエトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロ−tert−ブトキシカルボニル基、ベンズヒドリルオキシカルボニル基、ビス−(4−メトキシフェニル)メトキシカルボニル基、フェナシルオキシカルボニル基、2−トリメチルシリルエトキシカルボニル基、2−トリフェニルシリルエトキシカルボニル基、フルオレニル−9−メトキシカルボニル基等);アルケニルオキシカルボニル基(例えば、ビニルオキシカルボニル基、2−プロペニルオキシカルボニル基、2−クロロ−2−プロペニルオキシカルボニル基、3−メトキシカルボニル−2−プロペニルオキシカルボニル基、2−メチル−2−プロペニルオキシカルボニル基、2−ブテニルオキシカルボニル基、シンナミルオキシカルボニル基等);アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基、4−ブロモベンジルオキシカルボニル基、2−クロロベンジルオキシカルボニル基、3−クロロベンジルオキシカルボニル基、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、2−ニトロベンジルオキシカルボニル基、4−ニトロベンジルオキシカルボニル基、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基等);低級アルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等);アルキレンビス(ジアルキルシリル)基(例えば、エチレンビス(ジメチルシリル)基、プロピレンビス(ジメチルシリル)基、エチレンビス(ジエチルシリル)基等);アルキルチオカルボニル基(例えば、メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、tert−ブチルチオカルボニル基等);アラルキルチオカルボニル基(例えば、ベンジルチオカルボニル基等);ホスホリル基(例えば、ジシクロヘキシルホスホリル基、ジフェニルホスホリル基、ジベンジルホスホリル基、ジ−(4−ニトロベンジル)ホスホリル基、フェノキシフェニルホスホリル基等);ホスフィニル基(例えば、ジエチルホスフィニル基、ジフェニルホスフィニル基等)等が挙げられる。 【0040】 「鎖中に1又は2以上の二重結合又は三重結合を有していてもよい直鎖又は分岐状のアルキレン基」とは、炭素数1〜10個の直鎖又は分岐状の鎖中に1又は2以上の二重結合又は三重結合を有していてもよいアルキレン基を意味し、具体的にはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ジメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、エチルエチレン基、プロピルエチレン基、イソプロピルエチレン基、メチルペンタメチレン基、エチルヘキサメチレン基、ジメチルエチレン基、メチルトリメチレン基、ジメチルトリメチレン基、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ペンタジエニレン基、ヘキセニレン基、ヘキサジエニレン基、ヘキサトリエニレン基、ヘプテニレン基、ヘプタジエニレン基、ヘプタトリエニレン基、オクテニレン基、オクタジエニレン基、オクタトリエニレン基、オクタテトラエニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、メチルプロピニレン基等が挙げられる。好ましくはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ペンタジエニレン基、ヘキセニレン基、ヘキサジエニレン基、ヘキサトリエニレン基、ヘプテニレン基、ヘプタジエニレン基、ヘプタトリエニレン基、オクテニレン基、オクタジエニレン基、オクタトリエニレン基、オクタテトラエニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基等の直鎖のアルキレン基であり、特に好ましくはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基等の炭素数1〜8個の直鎖のアルキレン基である。 【0041】 「窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する2価の芳香族複素環基」とは、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する5又は6員の2価の芳香族複素環基を意味し、具体的にはテトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、テトラジン環、トリアジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピリジン環等の2価の基が挙げられる。好ましくは5員の2価の芳香族複素環基であり、具体的にはテトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピロール環、フラン環、チオフェン環の2価の基である。特に好ましくはオキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環の2価の基である。 【0042】 「シクロアルキレン基」とは、炭素数3〜7個のシクロアルキレン基、即ち2価のシクロアルキル基を意味し、具体的にはシクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基等が挙げられる。好ましくは炭素数5又は6個のシクロアルキレン基であり、具体的にはシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基である。 【0043】 「アリーレン基」とは、具体的にはフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、ビフェニレン基等が挙げられ、好ましくはフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基である。 【0044】 「窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有し、かつ縮合環を形成してもよい2価の複素環基」とは、具体的にはジオキソラン環、ジチオール環、ピロリジン環、モルホリン環、オキサジン環、ピペラジン環、ピペリジン環、ピロリン環、イミダゾリジン環、イミダゾリン環、ピラゾリジン環、ピラゾリン環、チアトリアゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、テトラジン環、トリアジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピリジン環、フロイソオキサゾール環、イミダゾチアゾール環、チエノイソチアゾール環、チエノチアゾール環、イミダゾピラゾール環、シクロペンタピラゾール環、ピロロピロール環、チエノチオフェン環、チアジアゾロピリミジン環、チアゾロチアジン環、チアゾロピリミジン環、チアゾロピリジン環、オキサゾロピリミジン環、オキサゾロピリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾピラジン環、プリン環、ピラゾロピリミジン環、イミダゾピリジン環、ベンゾイミダゾール環、インダゾール環、ベンゾオキサチオール環、ベンゾジオキソール環、ベンゾジチオール環、インドリジン環、インドリン環、イソインドリン環、フロピリミジン環、フロピリジン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、チエノピリミジン環、チエノピリジン環、ベンゾチオフェン環、シクロペンタオキサジン環、シクロペンタフラン環、ベンゾオキサジン環、ベンゾチアジン環、キナゾリン環、ナフチリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾピラン環、ピリドピリダジン環、ピリドピリミジン環等の2価の複素環基が挙げられる。好ましくはピペラジン環、ピペリジン環、ピリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環の2価の複素環基である。 【0045】 「アルコキシカルボニル基」とは、炭素数2〜7個の直鎖又は分岐状のアルコキシカルボニル基を意味し、具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、イソヘキシルオキシカルボニル基、ネオヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられ、好ましくはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜5個の直鎖又は分岐状のアルコキシカルボニル基である。 【0046】 「低級アルコキシカルボニル基」とは、炭素数2〜5個の直鎖又は分岐状のアルコキシカルボニル基を意味し、具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等が挙げられ、好ましくはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基である。 【0047】 「アシル基」とは、具体的にはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、カプロイル基、イソカプロイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、グリセロイル基、トロポイル基、ベンジロイル基、サリチロイル基、アニソイル基、バニロイル基、ベラトロイル基、ピペロニロイル基、プロトカテクオイル基、ガロイル基等が挙げられ、好ましくはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基である。 【0048】 「アシルオキシ基」とは、前記のアシル基を有するアシルオキシ基であり、具体的にはホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、カプロイルオキシ基、イソカプロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、プロピオロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、イソクロトノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基、トルオイルオキシ基、ヒドロアトロポイルオキシ基、アトロポイルオキシ基、シンナモイルオキシ基、フロイルオキシ基、グリセロイルオキシ基、トロポイルオキシ基、ベンジロイルオキシ基、サリチロイルオキシ基、アニソイルオキシ基、バニロイルオキシ基、ベラトロイルオキシ基、ピペロニロイルオキシ基、プロトカテクオイルオキシ基、ガロイルオキシ基等が挙げられ、好ましくはホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基である。 【0049】 「窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する複素環基」とは、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する3〜7員の複素環基を意味し、具体的にはアジリジニル基、オキシラニル基、アゼチル基、アゼチジニル基、オキセタニル基、チアトリアゾリル基、テトラゾリル基、ジチアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ジオキソラニル基、ピロリル基、ピロリジニル基、フラニル基、チエニル基、テトラジニル基、ジチアジアジニル基、チアジアジニル基、トリアジニル基、モルホリニル基、モルホリノ基、オキサジニル基、チアジニル基、ピペラジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピペリジル基、ピペリジノ基、ピリジル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジオキサゼピニル基、ジアゼピニル基、アゼピニル基等が挙げられる。好ましくは5又は6員の複素環基であり、具体的にはチアトリアゾリル基、テトラゾリル基、ジチアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ジオキソラニル基、ピロリル基、ピロリジニル基、フラニル基、チエニル基、テトラジニル基、ジチアジアジニル基、チアジアジニル基、トリアジニル基、モルホリニル基、モルホリノ基、オキサジニル基、チアジニル基、ピペラジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピペリジル基、ピペリジノ基、ピリジル基、ピラニル基、チオピラニル基であり、R6では、特に好ましくはピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピペラジニル基、ピペリジル基、ピペリジノ基、ピリジル基である。R12では、特に好ましくはピロリル基、ピペラジニル基、ピペリジル基、ピペリジノ基、ピリジル基である。 【0050】 「窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する芳香族複素環基」とは、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する5又は6員の芳香族複素環基を意味し、具体的にはテトラゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、テトラジニル基、トリアジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピリジル基等が挙げられる。好ましくは5員の芳香族複素環基であり、具体的にはテトラゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基である。特に好ましくはオキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基である。 【0051】 「アルコキシアルコキシ基」とは、炭素数1〜6個の直鎖又は分岐状のアルコキシ基で置換された炭素数1〜6個の直鎖又は分岐状のアルコキシ基を意味し、具体的にはメトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、イソプロポキシメトキシ基、ブトキシメトキシ基、イソブトキシメトキシ基、sec−ブトキシメトキシ基、tert−ブトキシメトキシ基、ペンチルオキシメトキシ基、イソペンチルオキシメトキシ基、ネオペンチルオキシメトキシ基、tert−ペンチルオキシメトキシ基、ヘキシルオキシメトキシ基、イソヘキシルオキシメトキシ基、ネオヘキシルオキシメトキシ基、tert−ヘキシルオキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、イソプロポキシエトキシ基、ブトキシエトキシ基、イソブトキシエトキシ基、sec−ブトキシエトキシ基、tert−ブトキシエトキシ基、ペンチルオキシエトキシ基、イソペンチルオキシエトキシ基、ネオペンチルオキシエトキシ基、tert−ペンチルオキシエトキシ基、ヘキシルオキシエトキシ基、イソヘキシルオキシエトキシ基、ネオヘキシルオキシエトキシ基、tert−ヘキシルオキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基、エトキシプロポキシ基、プロポキシプロポキシ基、イソプロポキシプロポキシ基、ブトキシプロポキシ基、イソブトキシプロポキシ基、sec−ブトキシプロポキシ基、tert−ブトキシプロポキシ基、ペンチルオキシプロポキシ基、イソペンチルオキシプロポキシ基、ネオペンチルオキシプロポキシ基、tert−ペンチルオキシプロポキシ基、ヘキシルオキシプロポキシ基、イソヘキシルオキシプロポキシ基、ネオヘキシルオキシプロポキシ基、tert−ヘキシルオキシプロポキシ基、メトキシブトキシ基、エトキシブトキシ基、プロポキシブトキシ基、イソプロポキシブトキシ基、ブトキシブトキシ基、イソブトキシブトキシ基、sec−ブトキシブトキシ基、tert−ブトキシブトキシ基、ペンチルオキシブトキシ基、イソペンチルオキシブトキシ基、ネオペンチルオキシブトキシ基、tert−ペンチルオキシブトキシ基、ヘキシルオキシブトキシ基、イソヘキシルオキシブトキシ基、ネオヘキシルオキシブトキシ基、tert−ヘキシルオキシブトキシ基、メトキシペンチルオキシ基、エトキシペンチルオキシ基、プロポキシペンチルオキシ基、イソプロポキシペンチルオキシ基、ブトキシペンチルオキシ基、イソブトキシペンチルオキシ基、sec−ブトキシペンチルオキシ基、tert−ブトキシペンチルオキシ基、ペンチルオキシペンチルオキシ基、イソペンチルオキシペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシペンチルオキシ基、ヘキシルオキシペンチルオキシ基、イソヘキシルオキシペンチルオキシ基、ネオヘキシルオキシペンチルオキシ基、tert−ヘキシルオキシペンチルオキシ基、メトキシヘキシルオキシ基、エトキシヘキシルオキシ基、プロポキシヘキシルオキシ基、イソプロポキシヘキシルオキシ基、ブトキシヘキシルオキシ基、イソブトキシヘキシルオキシ基、sec−ブトキシヘキシルオキシ基、tert−ブトキシヘキシルオキシ基、ペンチルオキシヘキシルオキシ基、イソペンチルオキシヘキシルオキシ基、ネオペンチルオキシヘキシルオキシ基、tert−ペンチルオキシヘキシルオキシ基、ヘキシルオキシヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシヘキシルオキシ基、ネオヘキシルオキシヘキシルオキシ基、tert−ヘキシルオキシヘキシルオキシ基等が挙げられる。好ましくは炭素数1〜4個の直鎖又は分岐状のアルコキシ基で置換された炭素数1〜4個の直鎖又は分岐状のアルコキシ基であり、具体的にはメトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、イソプロポキシメトキシ基、ブトキシメトキシ基、イソブトキシメトキシ基、sec−ブトキシメトキシ基、tert−ブトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、イソプロポキシエトキシ基、ブトキシエトキシ基、イソブトキシエトキシ基、sec−ブトキシエトキシ基、tert−ブトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基、エトキシプロポキシ基、プロポキシプロポキシ基、イソプロポキシプロポキシ基、ブトキシプロポキシ基、イソブトキシプロポキシ基、sec−ブトキシプロポキシ基、tert−ブトキシプロポキシ基、メトキシブトキシ基、エトキシブトキシ基、プロポキシブトキシ基、イソプロポキシブトキシ基、ブトキシブトキシ基、イソブトキシブトキシ基、sec−ブトキシブトキシ基、tert−ブトキシブトキシ基である。 【0052】 「低級アルコキシ低級アルコキシ基」とは、炭素数1〜4個の直鎖又は分岐状のアルコキシ基で置換された炭素数1〜4個の直鎖又は分岐状のアルコキシ基であり、具体的にはメトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、イソプロポキシメトキシ基、ブトキシメトキシ基、イソブトキシメトキシ基、sec−ブトキシメトキシ基、tert−ブトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、イソプロポキシエトキシ基、ブトキシエトキシ基、イソブトキシエトキシ基、sec−ブトキシエトキシ基、tert−ブトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基、エトキシプロポキシ基、プロポキシプロポキシ基、イソプロポキシプロポキシ基、ブトキシプロポキシ基、イソブトキシプロポキシ基、sec−ブトキシプロポキシ基、tert−ブトキシプロポキシ基、メトキシブトキシ基、エトキシブトキシ基、プロポキシブトキシ基、イソプロポキシブトキシ基、ブトキシブトキシ基、イソブトキシブトキシ基、sec−ブトキシブトキシ基、tert−ブトキシブトキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基である。 【0053】 「アルケニル基」とは、炭素数2〜6個の直鎖又は分岐状のアルケニル基を意味し、具体的にはアリル基、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−メチル−1−ブテニル基、クロチル基、1−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−メチル−2−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基等が挙げられる。 【0054】 「アルキニル基」とは、炭素数2〜6個の直鎖又は分岐状のアルキニル基を意味し、具体的にはプロパルギル基、2−ブチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、2−ペンチニル基、1−メチル−3−ペンチニル基、1−メチル−4−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基等が挙げられる。 【0055】 「シクロアルキリデンアミノ基」とは、具体的にはシクロプロピリデンアミノ基、シクロブチリデンアミノ基、シクロペンチリデンアミノ基、シクロヘキシリデンアミノ基、シクロヘプチリデンアミノ基等が挙げられ、好ましくはシクロペンチリデンアミノ基、シクロヘキシリデンアミノ基である。 【0056】 「置換されていてもよい窒素含有非芳香族複素環基」の「置換されていてもよい」とは、1〜3個の置換基により置換されていてもよいことを意味し、該置換基は同一又は異なっていてもよい。また置換基の位置は任意であって特に限定されるものではない。置換基の具体例としては、前述の低級アルキル基;前述のハロゲン化低級アルキル基;前述のシクロアルキル基;前述のアラルキル基;前述のアリール基;前述のアミノ保護基等が挙げられる。好ましくは低級アルキル基、アミノ保護基である。 【0057】 「置換されていてもよく、かつ鎖中に1又は2以上の二重結合又は三重結合を有していてもよい直鎖又は分岐状のアルキレン基」の「置換されていてもよい」とは、1又は2個以上の置換基で置換されていてもよいことを意味し、当該置換基は、同一又は異なっていてもよい。置換基の具体例としては、前述のハロゲン原子;水酸基;アミノ基(前述の低級アルキル基、前述のハロゲン化低級アルキル基、前述のシクロアルキル基、前述のアラルキル基、前述のアリール基及び前述のアミノ保護基からなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。);前述の低級アルコキシ基;前述のアラルキル基;前述のシクロアルキル基等である。 【0058】 R11における「置換されていてもよいアルコキシ基」及び「置換されていてもよいアルキルチオ基」の「置換されていてもよい」とは、1又は2個以上の置換基により置換されていてもよいことを意味し、該置換基は同一又は異なっていてもよく、また置換基の位置は任意であって特に限定されるものではない。置換基の具体例としては、前述のハロゲン原子;前述の低級アルコキシ基;前述のアルキルチオ基;アミノ基(前述の低級アルキル基又は前述のアシル基で置換されていてもよい);カルボキシル基;前述のアルコキシカルボニル基;前述のアシル基;前述のアシルオキシ基;前述のアリール基;前述のアリールオキシ基;前述のアリールチオ基;前述のアリールオキシカルボニル基;前述のアラルキルオキシ基;前述のアラルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。好ましくはアミノ基;低級アルコキシ基;ハロゲン原子;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アラルキルオキシカルボニル基である。 【0059】 R11における「置換されていてもよいアリール基」、「置換されていてもよいシクロアルキル基」、「置換されていてもよいアリールオキシ基」、「置換されていてもよいアラルキルオキシ基」及び「置換されていてもよいアリールチオ基」の「置換されていてもよい」とは、環上に1〜3個の置換基を有していてもよいことを意味し、該置換基は同一又は異なっていてもよく、また置換基の位置は任意であって特に限定されるものではない。置換基の具体例としては、前述の低級アルキル基;前述のハロゲン原子;前述の低級アルコキシ基;前述のアルキルチオ基;アミノ基(前述の低級アルキル基又は前述のアシル基で置換されていてもよい);カルボキシル基;前述のアルコキシカルボニル基;前述のアシル基;前述のアシルオキシ基;前述のアリール基;前述のアリールオキシ基;前述のアリールチオ基;前述のアリールオキシカルボニル基;前述のアラルキルオキシ基;前述のアラルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。好ましくは低級アルキル基;アミノ基;低級アルコキシ基;ハロゲン原子;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アラルキルオキシカルボニル基であり、特に好ましくは低級アルキル基である。 【0060】 R5における「置換されていてもよいアラルキル基」の「置換されていてもよい」とは、アリール基上に1〜3個の置換基を有していてもよいことを意味し、該置換基は同一又は異なっていてもよく、また置換基の位置は任意であって特に限定されるものではない。置換基の具体例としては、前述の低級アルキル基;前述の低級アルコキシ基;前述のアシル基;アミノ基(前述の低級アルキル基又は前述のアシル基で置換されていてもよい);前述のアルコキシカルボニル基;前述のアリールオキシカルボニル基;前述のアリールオキシ基;前述のアルキルチオ基;前述のアリールチオ基;前述のアリール基;前述のハロゲン原子等が挙げられる。好ましくは低級アルキル基;低級アルコキシ基;ハロゲン原子であり、特に好ましくは低級アルキル基である。 【0061】 R6における「置換されていてもよい低級アルキル基」、「置換されていてもよい低級アルコキシ基」及び「置換されていてもよい低級アルキルチオ基」の「置換されていてもよい」とは、1又は2個以上の置換基により置換されていてもよいことを意味し、該置換基は同一又は異なっていてもよく、また置換基の位置は任意であって特に限定されるものではない。置換基の具体例としては、前述のハロゲン原子;水酸基;前述のアルコキシ基;前述のアリールオキシ基;アミノ基(前述の低級アルキル又は前述のアシル基で置換されていてもよい);メルカプト基;前述のアルキルチオ基;前述のアリールチオ基;カルボキシル基;前述のアルコキシカルボニル基;前述のアリールオキシカルボニル基;カルバモイル基;前述のハロゲン化低級アルキル基;スルファモイル基;シアノ基;ニトロ基;アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基等);アルキルスルフィニル基(例、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基等);アリールスルホニル基(例、フェニルスルホニル基等)等が挙げられる。好ましくはハロゲン原子;水酸基;アルコキシ基;アミノ基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基である。 【0062】 R6における「置換されていてもよいアリール基」、「置換されていてもよいシクロアルキル基」及び「置換されていてもよく、かつ窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する複素環基」の「置換されていてもよい」とは、1又は2個以上の置換基により置換されていてもよいことを意味し、該置換基は同一又は異なっていてもよく、また置換基の位置は任意であって特に限定されるものではない。置換基の具体例としては、前述の低級アルキル基;前述のハロゲン原子;水酸基;前述のアルコキシ基;前述のアリールオキシ基;アミノ基(前述の低級アルキル基又は前述のアシル基で置換されていてもよい);メルカプト基;前述のアルキルチオ基;前述のアリールチオ基;カルボキシル基;前述のアルコキシカルボニル基;前述のアリールオキシカルボニル基;カルバモイル基;前述のハロゲン化低級アルキル基;スルファモイル基;シアノ基;ニトロ基;アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基等);アルキルスルフィニル基(例、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基等);アリールスルホニル基(例、フェニルスルホニル基等);等が挙げられる。好ましくは低級アルキル基;ハロゲン原子;水酸基;アルコキシ基;アミノ基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基である。 【0063】 R7における「置換されていてもよいアルキル基」の「置換されていてもよい」とは、1又は2個以上の置換基により置換されていてもよいことを意味し、該置換基は同一又は異なっていてもよく、また置換基の位置は任意であって特に限定されるものではない。置換基の具体例としては、水酸基;前述の低級アルコキシ基;メルカプト基;前述の低級アルキルチオ基;カルボキシル基;前述の低級アルコキシカルボニル基;ハロゲン原子;アミノ基(前述の低級アルキル基又は前述のアシル基で置換されていてもよい)等が挙げられる。好ましくは水酸基;ハロゲン原子;低級アルコキシ基である。 【0064】 R7における「置換されていてもよいアリール基」及び「置換されていてもよく、かつ窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する芳香族複素環基」の「置換されていてもよい」とは、環上に1〜3個の置換基を有していてもよいことを意味し、該置換基は同一又は異なっていてもよく、また置換基の位置は任意であって特に限定されるものではない。置換基の具体例としては、前述の低級アルキル基;水酸基;前述の低級アルコキシ基;メルカプト基;前述の低級アルキルチオ基;カルボキシル基;前述の低級アルコキシカルボニル基;ハロゲン原子;アミノ基(前述の低級アルキル基又は前述のアシル基で置換されていてもよい);等が挙げられる。好ましくは水酸基;低級アルキル基;ハロゲン原子;低級アルコキシ基である。 【0065】 R12における「置換されていてもよいアルケニル基」及び「置換されていてもよいアルキニル基」の「置換されていてもよい」とは、1又は2個以上の置換基により置換されていてもよいことを意味し、該置換基は同一又は異なっていてもよく、また置換基の位置は任意であって特に限定されるものではない。置換基の具体例としては、水酸基;前述のアルコキシ基;カルボキシル基;前述のアルコキシカルボニル基;前述のアシルオキシ基;アミノ基(前述のアラルキル、前述のアリール基、前述のアラルキル基又は前述のアミノ保護基で置換されていてもよい)等が挙げられる。好ましくは水酸基;アルコキシ基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アシルオキシ基である。 【0066】 R12における「置換されていてもよいシクロアルキル基」、「置換されていてもよいアリール基」及び「置換されていてもよく、かつ窒素原子、硫黄原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のヘテロ原子を有する複素環基」の「置換されていてもよい」とは、環上に1〜3個の置換基を有していてもよいことを意味し、該置換基は同一又は異なっていてもよく、また置換基の位置は任意であって特に限定されるものではない。置換基の具体例としては、水酸基;前述の低級アルコキシ基;メルカプト基;前述の低級アルキルチオ基;カルボキシル基;前述の低級アルコキシカルボニル基;前述の低級アルキル基;アミノ基(前述の低級アルキル基で置換されていてもよい);前述のハロゲン原子;カルバモイル基;シアノ基;前述のアシル基;ニトロ基;スルファモイル基;アルコキシチオカルボニル基;チオアルカノイル基;アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等);アゾメチン基(前述の低級アルキル基、前述のアリール基又は前述のアラルキル基で置換されていてもよい);アルコキシアミノ基(例、メトキシアミノ基、イソプロポキシアミノ基等);ヒドラジノ基(前述の低級アルキル基、前述のアリール基又は前述のアラルキル基で置換されていてもよい);アミノオキシ基(前述の低級アルキル基、前述のアリール基又は前述のアラルキル基で置換されていてもよい);アルキルスルフィニル基(例、メチルスルフィニル基等)等が挙げられる。好ましくは水酸基;低級アルキル基;ハロゲン原子;低級アルコキシ基;アミノ基;カルボキシル基である。 【0067】 R12における「置換されていてもよいアラルキル基」の「置換されていてもよい」とは、アリール基上に1〜3個の置換基を有していてもよいことを意味し、該置換基は同一又は異なっていてもよく、また置換基の位置は任意であって特に限定されるものではない。置換基の具体例としては、前述の低級アルキル基;前述の低級アルコキシ基;前述のアシル基;アミノ基(前述の低級アルキル基又は前述のアシル基で置換されていてもよい);前述のアルコキシカルボニル基;前述のアリールオキシカルボニル基;前述のアリールオキシ基;前述のアルキルチオ基;前述のアリールチオ基;前述のアリール基;前述のハロゲン原子等が挙げられる。好ましくは低級アルキル基;低級アルコキシ基;ハロゲン原子である。 【0068】 化合物(I)における酸付加塩としては、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、硝酸)又は有機酸(例えば、シュウ酸、マレイン酸、フマール酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、酢酸、乳酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、安息香酸、吉草酸、マロン酸、ニコチン酸、プロピオン酸)とから形成される酸付加塩が挙げられる。本発明の好ましい酸付加塩は、塩酸との塩であり、さらに好ましくは二塩酸塩である。 【0069】 化合物(I)には、不斉炭素に基づく1又は2以上の立体異性体が存在し得る。本発明は、当該異性体及びその混合物をも包含する。さらに、化合物(I)の水和物、薬理的に許容される有機溶媒(例えば、エタノール等)との溶媒和物、並びにプロドラッグも本発明に包含される。 【0070】 「プロドラッグ」とは、化学的又は代謝的に分解し得る基を有し、生体に投与された後、元の化合物に復元して本来の薬効を示す本発明化合物の誘導体であり、共有結合によらない複合体及び塩を含む。 化合物(I)のプロドラッグとしては、化合物(I)のカルボキシル基が、エチル基、ピバロイルオキシメチル基、1−(アセチルオキシ)エチル基、1−(エトキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル基、カルボキシルメチル基、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチル基、フェニル基、o−トリル基等で修飾された化合物;化合物(I)の水酸基が、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、ジメチルカルバモイル基、スルホ基で修飾された化合物;化合物(I)のアミノ基が、ヘキシルカルバモイル基、3−メチルチオ−1−(アセチルアミノ)プロピルカルボニル基、1−スルホ−1−(3−エトキシ−4−ヒドロキシフェニル)メチル基、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチル基等で修飾された化合物等が挙げられる。 【0071】 化合物(I)は、好ましくは、式(II) 【0072】 【化2】
【0073】 で表される(-)-エチル N-{3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシ-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]ベンゾイル}-L-フェニルアラニネート(すなわち、N-{3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシ-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]ベンゾイル}-L-フェニルアラニン エチルエステル)又はその薬理学的に許容される酸付加塩〔以下、合わせて化合物(II)ともいう。〕である。 【0074】 さらに好ましくは、化合物(I)は、式(II-a) 【0075】 【化3】
【0076】 で表される、(-)-エチル N-{3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシ-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]ベンゾイル}-L-フェニルアラニネート 二塩酸塩(すなわち、N-{3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシ-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]ベンゾイル}-L-フェニルアラニン エチルエステル 二塩酸塩)〔以下、化合物(II−a)ともいう。〕である。 【0077】 化合物(I)は、動物(例えば、ラット、マウス、ブタ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、サル、ヒト等の哺乳動物)において、外科侵襲などに伴う組織障害、出血、虚血状態などにおいて産生が促進される各種炎症性サイトカイン(例えば、TNF−α、IL−1β、IL−6、IL−8、GM−CSF等)の産生を効果的に抑制することにより、術後に誘導される各種炎症性反応を効果的に抑制することができる。 したがって、化合物(I)を有効成分として含有する本発明の薬剤は、癌患者における組織障害、出血、虚血状態またはその組み合わせを伴う臨床症状、特に外科侵襲に伴う種々の炎症性反応により亢進される癌転移を抑制することができ、癌転移に起因する術後の再発を予防することができる。 特に、本発明の化合物(I)は炎症性サイトカイン産生のシグナル経路の上流を直接に阻害しており、当該炎症性反応を効果的に抑制することができるので、本発明の薬剤は、他の抗炎症剤と比較しても、優れた癌転移抑制剤および癌再発予防剤となり得る。 なお、癌転移は主として、リンパ行性転移、血行性転移、接触性転移及び播種性転移の4通りの経路により生じるが、本発明の癌転移抑制剤は、これらの何れにも適用可能である。 【0078】 本発明の癌転移抑制剤に適用される原発癌の種類は特に限定されず、国際疾病分類第10版(ICD−10)に基づきコード番号C00〜D09、D37〜D48のいずれかに分類される全ての疾病に適用可能であり、例えば、口唇、口腔および咽頭の癌(口唇口腔癌、咽頭癌等)、消化器の癌(食道癌、胃癌、大腸癌、肝癌、胆道癌、膵癌等)、呼吸器および胸腔内臓器の癌(肺癌等)、乳房の癌(乳癌等)、女性性器の癌(卵巣癌、子宮癌等)、男性性器の癌(睾丸腫瘍、前立腺癌等)、尿路の癌(腎癌、膀胱癌等)、骨および関節軟骨の癌(骨肉腫等)、中皮および軟部組織の癌(軟部肉腫等)、リンパ組織、造血組織および関連組織の癌(悪性リンパ腫、白血病等)、皮膚の黒色腫およびその他の癌(皮膚癌等)、眼、脳および中枢神経系のその他の部位の癌(脳腫瘍等)、甲状腺およびその他の内分泌腺の癌(甲状腺癌等)、部位不明確、続発部位および部位不明の癌(原発不明癌等)などまたはそれらの少なくとも2種以上の組み合わせに対する適用が挙げられる。かかる原発癌の好ましい例としては、大腸癌である。 また、本発明の癌転移抑制剤により抑制することができる転移巣の部位も特には限定されず、例えば、口唇、口腔、咽頭、消化器(食道、胃、大腸、肝、胆道、膵等)、呼吸器および胸腔内臓器(肺等)、乳房、女性性器(卵巣、子宮等)、男性性器(睾丸、前立腺等)、尿路(腎、膀胱等)、骨、関節軟骨、中皮、軟部組織、リンパ組織、造血組織、皮膚、中枢神経系(眼、脳等)、内分泌腺(甲状腺等)などが挙げられる。かかる転移巣の部位の好ましい例としては、肺である。 【0079】 化合物(I)は、癌転移抑制のために動物(例えば、ラット、マウス、ブタ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、サル、ヒト等の哺乳動物、好ましくヒト(雄性および雌性))に常法により投与することが出来る。化合物(I)はそのまま投与することも出来るが、好ましくは、医薬組成物として投与される。当該医薬組成物は、化合物(I)を1又は2以上の薬理学的に許容される担体又は賦形剤と共に含有し、さらに他の治療剤及び/又は成分を含んでいてもよい。担体又は賦形剤は、他の成分と両立することができ、無毒性のものであればよい。 【0080】 化合物(I)を有効成分として含有する医薬組成物として用いる場合には、通常、薬理学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、増量剤、崩壊剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、乳化剤、芳香剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味剤、溶解補助剤及び/又はその他の添加剤(例えば、水、植物油、アルコール(例、エタノール又はベンジルアルコール)、ポリエチレングリコール、グリセロールトリアセテート、ゼラチン、ラクトース、炭水化物(でんぷん等)、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ラノリン、白色ワセリン等)と混合して、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、坐剤、注射剤、点眼剤、液剤、カプセル剤、トローチ剤、エアゾール剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤等の剤形の医薬組成物とすることが出来る。 【0081】 経口投与では、微紛又は顆粒の形態で、希釈剤、分散剤及び/又は表面活性剤を含んでいてもよく、例えば、水中、シロップ中、乾燥状態でのカプセルもしくは分包中、懸濁剤を含んでもよい非水性溶液もしくは懸濁液中、又は結合剤及び滑剤を含んでいてもよい錠剤中に存在していてもよい。甘味剤、矯味剤、保存剤(例えば、抗菌性保存剤)、懸濁剤、粘稠剤及び/又は乳化剤も医薬組成物中に存在していてもよい。 【0082】 非経口投与では、医薬組成物は液剤又は懸濁剤の剤形であり、化合物(I)及び精製水を含有することが出来る。液剤又は懸濁剤に含まれていてもよい成分としては、保存剤(例えば、抗菌性保存剤)、緩衝剤、それらの溶液及び混合物が挙げられる。医薬組成物の成分は、1以上の機能を発揮してもよい。医薬組成物は、一用量又は複数用量の容器、例えば、シールされたバイアル及びアンプルに入れ凍結乾燥状態で保存することができ、使用前に殺菌された液状担体(例えば、水や生理食塩水)に添加すればよい。好ましい態様としては、化合物(I)は、D−マンニトールと共に含有する凍結乾燥製剤として製剤される。凍結乾燥製剤は、好ましくは使用前に生理食塩水で希釈される。 【0083】 化合物(I)を含有する医薬組成物は、医薬分野で周知の方法〔例えば、ガナロ(Gennaro)ら、「レミントンの製薬科学」1990年、第18版、マック出版(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing Co., 1990)、特に第8章「医薬製剤とその製造(Part 8: Pharmaceutical Preparations and their Manufacture)」〕に記載の方法によって、調製することが出来る。当該方法は化合物(I)を医薬組成物の他の成分と共に会合させる工程を含む。 【0084】 本発明の癌転移抑制剤は、幾つかの適当な方法で投与することができ、投与ルートは特に限定されないが、経口、口腔内、鼻腔内、経皮、注射、徐放、制御放出、イオン導入(iontophoresis)、超音波導入(sonophoresis)が挙げられる。注射は特に限定されないが、静脈内(intravenous)、筋肉内(intramuscular)、皮下(subcutaneous)、腹腔内(intraperitoneal)、髄腔内(intraspinal)、クモ膜下内(intrathecal)、脳室内(intracerebroventricular)、動脈(intraarterial)内、その他の注射ルート等の非経口ルートが挙げられる。非経口投与では、医薬組成物を液状又は非液状の殺菌した注射製剤とすることができ、好ましくは、静脈内注射製剤である。 【0085】 化合物(I)の適切な投与量は、癌患者のタイプや症状、投与経路、性差、体重等により変化する。成人の経口投与の場合、例えば、化合物(I)(特に化合物(II)又は(II-a))の1日の用量として、通常約0.01〜1,000mg(例えば、約0.05mg、約0.1mg、約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、又はその範囲)であり、好ましくは約0.1〜100mgである。 化合物(I)(特に化合物(II)又は(II-a))が成人に静脈内投与される場合、例えば、1日の用量として、通常、約0.01〜100mg/kg(例えば、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、約1mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kg、約90mg/kg、約95mg/kg、又はその範囲)であり、好ましくは約0.01〜50mg/kgであり、一回又は数回(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10回又はそれ以上)に分けて投与することが出来る。あるいは、化合物(I)(特に化合物(II)又は(II-a))は、期間(例えば、数時間から一日又はそれ以上)を選択して、持続静脈内投与してもよい。持続投与の一日総投与量は、通常、非持続静脈内投与で使用される一日投与量と同じである。 【0086】 本発明の癌転移抑制剤は、癌転移を効果的に抑制するために適切な時期に投与される。例えば、外科手術の後に体内に残存した癌細胞が別の臓器に転移することによっておこる癌の再発に対しては、当該外科手術の前乃至その後に予防的に投与しておくことが好ましい。具体的には、外科手術の約1日前から外科手術の約2時間後まで(例えば、外科手術の約24時間前、外科手術の約23時間前、外科手術の約22時間前、外科手術の約21時間前、外科手術の約20時間前、外科手術の約19時間前、外科手術の約18時間前、外科手術の約17時間前、外科手術の約16時間前、外科手術の約15時間前、外科手術の約14時間前、外科手術の約13時間前、外科手術の約12時間前、外科手術の約11時間前、外科手術の約10時間前、外科手術の約9時間前、外科手術の約8時間前、外科手術の約7時間前、外科手術の約6時間前、外科手術の約5時間前、外科手術の約4.5時間前、外科手術の約4時間前、外科手術の約3.5時間前、外科手術の約3時間前、外科手術の約2.5時間前、外科手術の約2時間前、外科手術の約1.75時間前、外科手術の約1.5時間前、外科手術の約1.25時間前、外科手術の約1時間前、外科手術の約50分前、外科手術の約40分前、外科手術の約30分前、外科手術の約20分前、外科手術の約10分前、外科手術とおよそ同時、外科手術の約5分後、外科手術の約10分後、外科手術の約15分後、外科手術の約20分後、外科手術の約25分後、外科手術の約30分後、外科手術の約40分後、外科手術の約50分後、外科手術の約1時間後、外科手術の約1.25時間後、外科手術の約1.5時間後、外科手術の約1.75時間後、外科手術の約2時間後、又はその範囲)の間に1回若しくは数回に分けて、又は持続的に投与することができる。なお、化合物(I)(特に化合物(II)又は(II-a))は血中で速やかに消失する性質を有するので、かかる場合において本発明の癌転移抑制剤は持続投与されるのが好ましく、その際並行して炎症性サイトカインの血中濃度をモニターし、その有効な減少が観察された時点で投与を中断、再び増加傾向が観察されたら投与を再開するのが更に好ましい。 また、既に癌転移を発症した患者に対しても、症状の悪化の防止ないしは症状の軽減などを目的として、本発明の癌転移抑制剤を投与することができる。 さらには、外科手術を施さない癌患者(例えば、抗癌剤による治療を受けている癌患者)に対しても、疾患の経過において癌転移が予め推定される場合(例えば、組織障害、出血、虚血状態などの発現が見込まれる場合)には、本発明の癌転移抑制剤を投与することができる。 【0087】 本発明の癌転移抑制剤は、化合物(I)を単独で使用することもできるが、他の抗癌剤と組み合わせて使用(併用)することにより、さらに効果的に癌転移および再発を抑えることができる。かかる併用においては、抗癌剤による癌増殖抑制と化合物(I)による癌転移抑制とのそれぞれの作用が相加的に癌患者に対する効果をもたらすことが期待されるほか、抗癌剤の種類によっては、その癌増殖抑制以外の作用(例えば、抗癌剤自体が有する組織障害、出血、虚血状態等の惹起作用)を化合物(I)がサイトカイン産生阻害やその他の活性を介して抑制し、結果的に抗癌剤の副作用を低減できる可能性も期待される。 【0088】 化合物(I)と組み合わせて使用される抗癌剤としては、特に限定されず、公知の抗癌剤から選択すればよく、例えば、アルキル化剤(シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ブスルファン、ニムスチン、MCNU等)、代謝拮抗剤(メトトレキサート、6−メルカプトプリン、シトシン・アラビノシド、BHAC、5−フルオロウラシル、テガフール、UFT、HCFU、ドキシフルウリジン、塩酸ゲムシタビン等)、抗生物質(アクチノマイシンD、ダウノマイシン、ドクソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン、アクラシノマイシンA、マイトマイシンC、ブレオマイシン等)、植物アルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、エトポシド、ドセタキセル、パクリタキセル、塩酸イリノテカン等)、インターフェロン(インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ等)、その他の抗癌剤(L−アスパラギナーゼ、シスプラチン、DTIC等)などまたはそれらの少なくとも2種以上の組み合わせが挙げられる。 【0089】 化合物(I)と他の抗癌剤とを組み合わせて使用するとは、化合物(I)と他の抗癌剤とが単一製剤として製剤化されたもの、ならびに、化合物(I)と他の抗癌剤とが別個に製剤化して組み合わせたもの(例えば、商業用パッケージ、キット等)のいずれもが含まれる。 化合物(I)と抗癌剤を併用する場合の投与形態としては、例えば、(1)化合物(I)と抗癌剤とを含有する組成物、即ち、単一の製剤としての投与、(2)化合物(I)と抗癌剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)化合物(I)と抗癌剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与(例えば化合物(I)、抗癌剤の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)、(4)化合物(I)と抗癌剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)化合物(I)と抗癌剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば化合物(I)、抗癌剤の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。 なお、併用する抗癌剤の剤型、投与方法、投与量等は、上記で例示された化合物(I)の剤型、投与方法、投与量等から、使用する抗癌剤に適したものを適宜選択すればよい。 【0090】 ヒトを含む動物の外科手術後に惹起される炎症性サイトカイン(例えば、IL−1β、IL−6、IL−8、インターフェロン(IFN)−γ、TNF−α等)の産生亢進を伴う炎症性反応が、癌転移を促進していることが知られている。従って、本発明は、これら炎症性サイトカインの産生阻害作用を有する化合物(I)を投与することにより、1又は2以上(例えば、2、3、4、5、又はそれ以上)の炎症性サイトカインの産生を阻害して、炎症性反応を軽減することにより、癌転移を抑制して、癌の再発を予防する医薬、すなわち、特定の炎症性サイトカイン産生阻害剤を含有する癌転移抑制剤および癌再発予防剤を提供するものである。産生が阻害される炎症性サイトカインは、好ましくは、TNF−α、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−10、顆粒球コロニー刺激因子(GM−CSF)であり、より好ましくは、IL−6、IL−8、TNF−α又はその組み合わせである。さらには、2以上の炎症性サイトカイン(例えば、3以上、4以上、5以上)の産生が組み合わされて阻害される態様が最も好ましい。 【実施例】 【0091】 以下、本発明の有用性を示すため、試験例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。評価試験は、化合物(I)として(-)-エチル N-{3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシ-4-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]ベンゾイル}-L-フェニルアラニネート 二塩酸塩〔化合物(II−a)〕、癌細胞としてColon26−L5(マウス結腸癌細胞株、北海道大学第一外科佐藤博士より恵与)、動物として雄性BALB/cマウス(日本SLC)を用いて行った。 【0092】 試験例1:癌細胞増殖に対する効果の評価 Colon26-L5細胞を24穴プレートに1×103/wellで播種し、化合物(II−a)を0.1、1および10μMになるように添加した後(各n=5)、24時間培養した。培養終了後に、WST−1を用いて450nmで吸光度を測定することにより、細胞増殖に対する本化合物の影響を検討した。結果を図1に示す。化合物(II−a)は各濃度において、癌細胞増殖に対して影響を及ぼさなかった。 【0093】 試験例2:手術侵襲による炎症性サイトカイン産生に対する阻害作用の評価 BALB/cマウス(6週齢)を正常群(N群という、n=2)、コントロール群(C群という、n=5)および化合物(II−a)投与群(J群という、n=5×2)に群分けした。全ての動物をエーテル投与により麻酔した。N群およびC群にはベヒクルとして5%マンニトール水溶液(0.2mL)、J群には化合物(II−a)の5%マンニトール水溶液を10mg/kgおよび100mg/kgの用量(0.2mL)で腹腔内投与した。投与2時間後、C群およびJ群のマウスの虫垂および肝臓を切除した。手術の6時間後採血を行い、ELISA法により血中IL−6濃度を定量した。結果を図2に示す。N群においてはIL−6の産生は観察されず、虫垂および肝臓切除による侵襲によりIL−6産生が誘導された(C群)。化合物(II−a)投与により、IL−6産生は濃度依存的に阻害された(J群)。 【0094】 試験例3:手術侵襲による癌転移に対する抑制作用の評価 BALB/cマウス(6週齢)を、コントロール群(C群という)、J群、SS群およびSS+J群(n=7−8×4)に群分けし、全ての動物をエーテル投与により麻酔した。 全ての動物にColon26−L5細胞(1.5×104個)を尾静脈投与し、14日後に犠牲死させ、肺を摘出した。摘出した肺の表面の結節数を肉眼的に数えた。各群には、以下の処置を行なった。 C群:癌細胞投与の2時間前および6時間後、ベヒクルとして5%マンニトール水溶液(0.2mL)を腹腔内投与した。 J群:癌細胞投与の2時間前および6時間後、化合物(II−a)の5%マンニトール水溶液を100mg/kgの用量(0.2mL)で腹腔内投与した。 SS群:癌細胞投与の直後に虫垂および肝臓の切除を行い、癌細胞投与の2時間前および6時間後、ベヒクルとして5%マンニトール水溶液(0.2mL)を腹腔内投与した。 SS+J群:癌細胞投与の直後に虫垂および肝臓の切除を行い、癌細胞投与の2時間前および6時間後、化合物(II−a)の5%マンニトール水溶液を100mg/kgの用量(0.2mL)で腹腔内投与した。 各群の結節数を図3に示す。外科手術侵襲により、SS群はC群より大幅に結節数が増加し、外科手術侵襲により癌転移が促進されていることが示唆された。外科手術をしていないJ群においては、化合物(II−a)投与による結節数の抑制は認められなかったが、外科侵襲を受けたSS+J群では、結節数がSS群に比べ有意に抑制された。 【0095】 以上の結果より、手術侵襲により癌転移が促進され、化合物(I)投与により、亢進された癌転移が抑制されることが分った(試験例3)。 化合物(I)は癌細胞増殖に対する直接の阻害作用を有さず(試験例1)、また、手術侵襲により産生される炎症性サイトカインの産生を阻害すること(試験例2)、および、手術侵襲がなく、炎症性サイトカインの産生が誘導されていないと考えられる群(試験例3のJ群)の癌転移を抑制しないことから、化合物(I)は、外科侵襲により患者に誘導される炎症性反応を、炎症性サイトカイン産生を阻害することにより抑え、その結果として癌転移を抑制していると考えられる。 【0096】 製剤例1:静脈内注射製剤(凍結乾燥製剤) 1)化合物(II−a) 1 mg 2)D−マンニトール 10 mg 3)グリシン 10 mg 4)ポリソルベート80 0.1mg 合計 21.1mg 1)〜4)を水に溶かし、バイアルに充填した。薬液を充填したバイアルを凍結乾燥することにより静脈内注射製剤を製造した。 【図面の簡単な説明】 【0097】 【図1】癌細胞増殖に及ぼす化合物(II−a)の効果を示すグラフである(試験例1) 【図2】手術侵襲の炎症性サイトカイン(IL−6)産生に対する影響およびその産生に対する化合物(II−a)の影響を示すグラフである(試験例2)。 【図3】手術侵襲の癌転移に対する影響およびその癌転移に対する化合物(II−a)の影響を示すグラフである(試験例3)。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004569 【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年2月23日(2005.2.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080791 【弁理士】 【氏名又は名称】高島 一
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| 【公開番号】 |
特開2006−232707(P2006−232707A) |
| 【公開日】 |
平成18年9月7日(2006.9.7) |
| 【出願番号】 |
特願2005−48063(P2005−48063) |
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