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【発明の名称】 動物由来抽出組成物とその製造方法および化粧料組成物
【発明者】 【氏名】谷坂 圭造
【住所又は居所】大阪府八尾市二俣2丁目22番地 新田ゼラチン株式会社大阪工場内

【氏名】小泉 聖子
【住所又は居所】大阪府八尾市二俣2丁目22番地 新田ゼラチン株式会社大阪工場内

【要約】 【課題】従来における胎盤抽出物とその製造方法における問題点を解消し、従来の胎盤抽出物とは異なる動物原料を用いて、従来の胎盤抽出物と同等であるかより優れた機能を備えた上で感染症に対する安全性が高い動物組織からの抽出組成物を提供する。

【解決手段】動物の組織から抽出される有効成分を含む組成物であって、前記動物が、ヨシキリザメ、ネズミザメなどの板鰓類に含まれる魚であり、前記魚の雌の子宮を含む組織から抽出されてなる動物由来抽出組成物であり、化粧料組成物等に使用したときに、従来の哺乳類から得られる胎盤抽出物と遜色のない機能を発揮できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の組織から抽出される有効成分を含む組成物であって、
前記動物が、板鰓類に含まれる魚であり、
前記魚の子宮を含む組織から抽出されてなる
動物由来抽出組成物。
【請求項2】
前記魚が、ヨシキリザメ、メジロザメ、シュモクザメ、ドチザメ、オシザメ、トラザメを含むメジロザメ目、キクザメ、ツノザメ、オロシザメを含むツノザメ目、ノコギリザメを含むノコギリザメ目、カスザメを含むカスザメ目、テンジクザメ目、ラプカを含むカグラザメ目、ネコザメを含むネコザメ目、ネズミザメ、オナガザメ、ウバザメ、ミズワニを含むネズミザメ目、アカエイ、イトマキエイを含むエイ目から選択されるサメあるいはエイの雌である
請求項1に記載の動物由来抽出組成物。
【請求項3】
前記魚が、前記メジロザメ目および前記ネズミザメ目から選択されるサメの雌である
請求項2に記載の動物由来抽出組成物。
【請求項4】
前記魚が、ヨシキリザメおよびネズミザメから選択されるサメの雌である
請求項3に記載の動物由来抽出組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の動物由来抽出組成物を製造する方法であって、
前記動物を解体して前記子宮を含む組織を取り出す工程(a)と、
前子宮を含む組織に抽出処理を施し、得られた抽出液から子宮抽出組成物を回収する工程(b)と
を含む動物由来抽出組成物の製造方法。
【請求項6】
前記工程(b)が、凍結融解、水抽出、熱水抽出、酸抽出、アルカリ抽出、および、酵素処理からなる群から選ばれる抽出処理を含む
請求項5に記載の動物由来抽出組成物の製造方法。
【請求項7】
前記工程(b)が、
前記子宮を含む組織からなる抽出原料を、脱脂・脱灰・脱臭する工程(b−1)と、
前工程(b−1)を終えた抽出原料を、細断する工程(b−2)と、
前工程(b−2)を終えた抽出原料を、−200〜160℃の範囲、0.5〜240時間の範囲において抽出処理を行う工程(b−3)とを含む
請求項5または6に記載の動物由来抽出組成物の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜4の何れかに記載の動物由来抽出組成物を含有する化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、動物由来抽出組成物およびその製造方法に関し、詳しくは、皮膚の健全化機能などを有し、化粧品の添加剤などに利用される、動物の組織から抽出される成分を含む組成物と、このような動物由来抽出組成物を製造する方法と、このような動物由来抽出組成物を用いた化粧料組成物とを対象にしている。
【背景技術】
【0002】
ウシなどの家畜が出産時に排出する胎盤から抽出される胎盤抽出物(プラセンタあるいはプラセンタエキスと呼ばれることもある)が、人間の肌などを生理的に健全化させる機能を有することが知られている。
そこで、胎盤抽出物を化粧品に配合しておくことで、美肌効果や老化防止効果、保湿機能などを高める技術が種々提案されている。皮膚用医薬品に配合することも行われている。
例えば、特許文献1には、ブタやウマの胎盤を加水分解して得られる水溶性成分が、化粧料組成物として有用であることが示されている。
【特許文献1】特開2002−212046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記したような胎盤抽出物の原料動物として、ウシやブタ、ウマ、ヒツジなどの家畜を使用する場合、家畜を経由して人間に感染する各種感染症の問題がある。
例えば、狂牛病として知られるBSEは、ウシの脳や脊髄組織に病原体が存在するとされており、母体と胎児との間で各種物質のやり取りを果たす胎盤にも病原体が侵入し、胎盤抽出物を介して人間にも感染する可能性が心配されている。ブタやウマ、ヒツジなどの家畜も、人間と同じ哺乳類に属し、人間との接触が多い動物であるため、人間に対して感染性の高い感染症の病原体を有している可能性がある。
そのため、胎盤抽出物の製造においては、前記した感染症などの病原体や原因物質を、厳密に除去する処理を行わなくてはならない。それでも、前記したBSEの原因物質とされる特定タンパク質などを完全に除去することは難しいとされている。また、有害と考えられる物質を完全に除去しようとすると、胎盤に含まれている有用な物質や成分までが除去されてしまうことになり、得られた胎盤抽出物は、あまり効果のないものとなる。
【0004】
本発明の課題は、前記した従来における胎盤抽出物とその製造方法における問題点を解消し、従来の胎盤抽出物とは異なる動物原料を用いて、従来の胎盤抽出物と同等であるかより優れた機能を備えた上で感染症に対する安全性が高い動物組織からの抽出組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる動物由来抽出組成物は、動物の組織から抽出される有効成分を含む組成物であって、前記動物が、板鰓類に含まれる魚であり、前記魚の子宮を含む組織から抽出されてなる。
〔胎盤と子宮〕
従来、胎盤抽出物の原料動物としては、ウシやブタなどの哺乳類が使用され、それ以外の動物を使用することは知られていなかった。
しかし、哺乳類以外の動物にも、胎盤あるいは胎盤に類似する組織を有する動物が存在する。例えば、ヨシキリザメは、胎生であり、懐胎時には胎盤を有している。
【0006】
胎盤は、動物の体内において、子宮の内壁で母体組織と結合した状態で存在し、母体と胎児との間で各種の物質交換を行っており、出産時に胎児とともに母体組織から分離されて排出される。胎盤に含まれる有効成分と同じ成分あるいは類似の機能を有する成分が、子宮組織にも存在している。
〔板鰓類の魚〕
本発明では、目的とする有効成分を抽出するための原料動物として、前記ヨシキリザメを含む板鰓類の魚を用い、抽出原料として、子宮を含む組織を用いる。
板鰓類は、一般にサメ・エイ類と呼ばれる魚である。分類学的には、脊椎動物門、軟骨魚綱、板鰓類(あるいは亜綱)に分類される。但し、板鰓類の魚には、胎生、卵胎生、卵生の何れの魚も存在する。また、胎盤を有する種類と胎盤を有しない種類がある。何れの場合も、子宮に相当する組織を有する魚であれば使用できる。
【0007】
具体的には、板鰓類として、ヨシキリザメ、メジロザメ、シュモクザメ、ドチザメ、オシザメ、トラザメを含むメジロザメ目、キクザメ、ツノザメ、オロシザメを含むツノザメ目、ノコギリザメを含むノコギリザメ目、カスザメを含むカスザメ目、テンジクザメ目、ラプカを含むカグラザメ目、ネコザメを含むネコザメ目、ネズミザメ、オナガザメ、ウバザメ、ミズワニを含むネズミザメ目から選択されるサメが挙げられる。アカエイ、イトマキエイを含むエイ目に属するエイが挙げられる。勿論、子宮を有する必要があるから、雌の魚を使用する。上記板鰓類のうち、ヨシキリザメ、イタチザメなどは、懐胎時に胎盤を有し、ネズミザメ、ウバザメなどは胎盤を有しないが、何れも子宮に相当する組織は有している。
【0008】
従来、サメを、フカヒレやカマボコ原料などの食材としてだけでなく、健康食品や機能性食品の原料に利用することが知られている。例えば、サメの軟骨や、肝油、肝臓エキスなどが知られている。これら食材等の用途では、比較的に入手が容易な種類のサメであれば、特に種類を限定して使用することは行われていない。本発明の場合も、これらの従来用途に利用されていたサメを使用できる場合がある。
〔動物由来抽出組成物の製造〕
抽出原料として前記特定の魚の子宮を含む組織を用いる以外は、基本的には、通常の動物組織からの抽出組成物の製造技術が適用できる。従来における哺乳類由来の胎盤抽出組成物の製造技術を転用することもできる。
【0009】
〔抽出原料〕
前記板鰓類の魚を漁獲し、そのうち子宮を有する雌の魚を解体して、子宮あるいは子宮を含む組織を取り出す。
子宮組織は、板鰓類の魚体のうち、動物学的に子宮組織に分類される部位あるいは器官部分である。子宮には、胎盤が含まれている場合もあるし、胎盤を含まない場合もある。また、板鰓類の魚における子宮組織は、哺乳類における子宮組織と完全に同じではないが、解剖学的に子宮あるいは子宮に相当すると判断される組織を、子宮あるいは子宮組織と呼び、抽出原料として使用することができる。
【0010】
従来、胎盤抽出物の原料とされていたウシなどの家畜の胎盤は、出産時に体内から排出された胎盤が利用できる。しかし、一般には養殖されていないサメなどの魚の場合は、出産時に排出される胎盤を取得するのは困難である。養殖している魚であっても、出産時に水中に散逸したり他の魚に食べられたりすると、胎盤を得ることが難しい。大型の家畜から得られる胎盤に比べて、通常の魚から得られる胎盤の量は少なく、抽出できる有効な成分も少なくなる。
そこで、漁獲された魚を解体して、子宮を取得する方法が好ましい。子宮であれば、胎盤のみを取得するのに比べて、十分に大量の原料が得られる。子宮にも、胎盤と共通する有効成分が十分に含まれている。前記した軟骨や肝油を取得するのに利用されるサメ原料から、さらに子宮を取り出すことができれば、資源の有効利用が図れる。
【0011】
生体内において、子宮は周囲の組織と一体的に結合されて存在しているので、子宮のみを明確に分離して取得できない場合がある。その場合は、子宮が含まれるように、その周辺の組織までを取得するようにしてもよい。子宮周辺組織にも、子宮と同様の有効成分が含まれている可能性がある。また、子宮の全体ではなく、一部だけを取り出して用いることもできる。例えば、胎盤部分あるいは胎盤の周辺部分だけを選択して取り出して使用することも、勿論可能である。
抽出原料を抽出処理に使用する前には、不要な部位の削除や、血液その他の体液の除去などを行うことができる。
【0012】
〔抽出処理〕
基本的には、一般的な動物組織から有用成分を抽出するのに適した抽出技術が適用される。従来の胎盤抽出組成物における抽出処理と共通する技術も採用できる。
具体的には、以下の工程を組み合わせることができる。
<脱脂・脱灰・脱臭工程>
抽出原料に含まれる脂分および灰分成分を除去する。また、臭いの元になる成分も除去する。
基本的には、通常の動物組織に対する脱脂・脱灰・脱臭処理と共通する技術が適用できる。
【0013】
脱脂工程では、原料中の脂分を除去し、脱灰工程では、原料中の無機分を除去する。具体的な処理方法としては、酸やアルカリによる処理が採用できる。
脱臭工程では、原料中の尿素をアンモニアに変え、このアンモニアを除去することで脱臭する。具体的な処理方法としては、水洗・ウレアーゼ・加熱の併用による脱臭処理が採用できる。
脱脂・脱灰・脱臭工程で、酸やアルカリ、その他の処理剤を使用した場合、処理後に中和工程や水洗工程を行うことができる。
<細断工程>
抽出原料を細断しておくことで、抽出工程における抽出効率を向上させることができる。
【0014】
基本的には、通常の動物組織に対する細断処理と共通する技術が適用できる。細断装置としては、一般的な粉砕装置やミンチ装置、細断装置が使用できる。乾式および湿式の何れでもよい。湿式のほうが、効率的で、抽出原料の変質や損傷も少ないことが多い。
通常、細断後の抽出原料が、差渡し長で2〜50mmの範囲になる程度に細断しておくことが望ましい。細断時に発生する熱の影響を避けるために、氷を供給したり冷却器を作動させたりすることによって、処理原料の温度が過剰に上がらないようにしておくことが望ましい。例えば、処理温度を0〜60℃に調整しておくことができる。
<pH調整工程>
抽出工程の前に、抽出原料のpHを適切に調整しておくことで、目的の有用物質が抽出され易くできる。
【0015】
具体的な処理工程や処理条件は、一般的な抽出技術におけるpH調整処理と共通する技術が適用できる。
pH調整剤として、塩酸、酢酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどが挙げられる。抽出原料あるいは目的とする有効成分に悪影響を与え難い材料が望ましい。
調整するpHは、原料や抽出条件などによっても異なり、目的とする有効成分が良好に抽出できるように、適切なpH範囲に調整することが望ましい。
<抽出処理>
抽出原料が分散された液に対して抽出処理を行い、抽出原料に含まれる目的物質を液中に取り出す。
【0016】
基本的には、通常の抽出処理技術が適用される。具体的には、凍結融解、水抽出、熱水抽出、酸抽出、アルカリ抽出および酵素処理などが挙げられる。
抽出溶媒としては、抽出処理の方法によっても異なるが、水のほか、エタノール、プロピレンアルコール、1,3−ブチレングリコールなどの有機溶媒などが挙げられる。複数の溶媒を組み合わせた混液も使用できる。
抽出温度は、抽出方法によって適切な温度範囲が異なるが、一般的には、0〜160℃の範囲に設定される。通常、4℃程度から、常圧下における溶媒の沸点までの範囲に設定される。酵素処理の場合は、酵素の種類によって異なる適切な狭い温度範囲に設定するのが普通である。
【0017】
抽出時間も、抽出方法によって異なるが、通常は、0.5〜240時間の範囲に設定できる。抽出処理を、温度を変えて複数段階で実施することもできる。例えば、低い温度から徐々に温度を挙げながら、所定時間毎に抽出液を取り出すことができる。水などの溶媒を取り換えたり追加供給したりしながら抽出処理を進めることもできる。
<酵素処理工程>
抽出原料に酵素を作用させることで、目的の有効成分を不要物から分離させて、抽出され易くすることができる。
具体的には、通常の抽出技術における酵素処理技術が適用できる。
【0018】
処理に用いる酵素として、タンパク分解酵素が使用できる。「タンパク分解酵素」とは、ペプチド結合の加水分解を触媒する酵素の総称であり、ペプチターゼあるいはプロテアーゼと呼ばれている。ペプチタ−ゼは、狭義のペプチターゼとプロテイナーゼとに分類される。ペプチタ−ゼ(プロテアーゼ)は、作用形式により、エキソペプチターゼとエンドペプチターゼとに分類される。これとは別に、酸性・中性・アルカリ性プロテアーゼに分類することもできる。エキソペプチターゼとして、アミノペプチターゼ、ジペプチターゼ、ジペプチジルペプチターゼ、トリペプチジルペプチターゼ、カルボキシペプチタ−ゼが例示できる。エンドペプチターゼとして、セリンエンドペプチターゼ(セリンプロテアーゼ、トリプシン、キモトリプシン)、システインエンドペプチターゼ(システインプロテアーゼ、チオールプロテアーゼ、パパイン)、アスパラギン酸エンドペプチタ−ゼ(酸性プロテアーゼ、ペプシン)、メタロエンドペプチタ−ゼ(金属プロテアーゼ、カルボキシペプチターゼ)が例示できる。
【0019】
酵素処理の前にも、処理効果を高めるために適切なpH調整を行っておくことができる。
<回収工程>
抽出工程で得られた子宮抽出組成物を含む溶液から、固形の不要物を除去し、水溶性の子宮抽出組成物を回収することができる。
基本的には、一般的な抽出後の回収技術が適用できる。例えば、フィルタ濾過、遠心分離などが適用できる。
濾過処理を行う場合、目的とする子宮抽出組成物の有効成分を溶液中に溶解させておくために、予めpH調整を行っておくことが有効である。
【0020】
<その他の工程>
子宮抽出組成物を含む溶液は、そのままで子宮抽出組成物製品として利用することもできるが、通常の抽出技術で採用される各種の処理工程を加えることもできる。
例えば、溶液を濃縮する濃縮工程や殺菌工程などが挙げられる。イオン交換樹脂、活性炭、透析、限外濾過などを利用して、脱臭・脱色などの精製処理を行うこともできる。
〔子宮抽出組成物〕
上記の方法で得られる子宮抽出組成物は、単独の化合物からなるものではなく、複数の物質が混在する組成物である。具体的な存在物質を厳密に特定することは困難であるが、以下の成分が含まれているものと推定できる。
【0021】
蛋白質、コラーゲン、多糖類、ペプチド、アミノ酸、ビタミン、その他の栄養素、さらには、各種の生理活性物質が挙げられる。これらの成分は主として水溶性物質である。
前記したように、人間を含む哺乳類の胎盤から抽出された胎盤抽出組成物には、化粧品や医薬品に対して、各種の有用な機能を付与できる有効成分が含まれていることが知られている。動物分類学的には哺乳類と大きく離れていると考えられる板鰓類の魚から得られた子宮抽出組成物も、従来の胎盤抽出組成物と同等の機能を有する。このことは、基本的には、従来の胎盤抽出組成物と共通する有効成分や同機能の有効成分が含まれているものと推定できる。
【0022】
勿論、微量成分については、哺乳類由来の胎盤抽出組成物との間に違いがある。また、各種成分の含有割合についても、厳密には違っている場合がある。粘度や溶解性、pHなどの化学的および物理的特性についても、基本的には、哺乳類由来の胎盤抽出組成物と共通しているが、厳密には違いがある。
なお、板鰓類の魚であっても、胎生、卵胎生、卵生の違い、胎盤の有無、子宮の構造形態など、魚の種類によって、子宮抽出組成物の含有成分に違いが生じる。但し、何れの場合も、基本的な機能や有効成分は共通している。
〔子宮抽出組成物の利用〕
通常の胎盤抽出組成物と同様の各種形態で同様の用途に利用することができる。
【0023】
従来、哺乳類由来の胎盤抽出組成物あるいは動物組織由来の抽出組成物が利用されていた用途であれば利用可能である。具体的用途として、化粧品用途、医薬品用途、食品用途が挙げられる。化粧品用途として、肌用化粧料、毛髪用化粧料がある。医薬品用途として、皮膚用医薬品がある。食品用途として、各種健康食品あるいは機能性食品に利用できる。
使用時の形態は、用途に合わせて、溶液、クリーム、乾燥粉末、錠剤などが挙げられる。
子宮抽出組成物の機能は、基本的には、通常の哺乳類由来の胎盤抽出組成物と共通している。例えば、細胞の活性化や免疫力の向上、新陳代謝の活発化などがある。肌用化粧品に用いたときに肌の老化防止、美白、保湿などに有用である。薬理的作用として、抗炎症作用、代謝活性化作用、免疫賦活作用などが期待できる。
【0024】
<化粧料組成物>
化粧料組成物を用いる化粧品として、コールドクリームや乳液などの肌に付ける基礎化粧品のほか、口紅などの皮膚用化粧品、整髪料などの髪用化粧品、洗顔料、アフターシェーブローション、その他、子宮抽出組成物が有する機能が有効に作用する各種化粧品に使用できる。
化粧品の具体的処方は、通常の各種化粧品と共通する技術が適用できる。各種文献に記載された化粧品処方において、そこで使用されている胎盤抽出組成物その他の有効成分の代わりに、本発明の子宮抽出組成物を使用することができる。具体例として、前記特開2002−212046号公報に開示された化粧品処方において、各処方の胎盤抽出組成物を本発明の子宮抽出組成物に置き換えた処方が採用できる。
【0025】
美白効果、老化防止効果、保湿効果などに優れた子宮抽出組成物に加えて、老化防止効果や保湿効果などに優れた水溶性コラーゲンやコラーゲンペプチド(加水分解コラーゲン)を組み合わせれば、化粧料組成物として、より優れた機能を発揮させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる動物由来抽出組成物は、抽出原料の供給源として、サメなどを含む板鰓類の魚を用い、この魚の子宮を含む組織を用いる。その結果、ウシなどの哺乳類を原料に用いた場合における感染症の心配が解消される。また、従来、一部が食材などに利用されるだけで、大部分は商品価値がなく廃棄されていたサメ等を活用して、商品価値を大いに高め、海洋資源を有効利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の動物由来抽出組成物となる、具体的な子宮抽出組成物の製造例とその特性を評価した結果を示す。
〔子宮抽出組成物の製造〕
−実施例1−
漁獲されたヨシキリザメの雌を入手した。子宮部分を切除分離して約600gの子宮原料を得た。ヨシキリザメは、胎盤を有するサメであり、子宮原料には、胎盤が含まれている。
子宮原料40gを、常法により脱脂および脱灰した。ついで、包丁などで予備的に細断したあと、等量の水を加え、細断装置でさらに細かく細断した。得られた細断原料の分散液に酢酸を加えてpH4.8に調整した。pH調整された原料分散液に対し、80℃で2時間かけて加熱抽出処理を行った。処理後に得られた抽出液を、水酸化ナトリウムを加えてpH7.2に調整した。pH調整された抽出液を、段階濾過して、最終的に濾過寸法0.45μmで濾過し、濾過液に含まれる子宮抽出組成物60mL(固形分1.5%)を得た。
【0028】
−実施例2−
漁獲されたネズミザメの雌を入手した。ネズミザメは、胎盤を持たないサメである。子宮部分を切除分離して約3kgの子宮原料を得た。
子宮原料180gを、常法により脱脂および脱灰した。ついで、包丁などで予備的に細断したあと、等量の水を加え、細断装置でさらに細かく細断した。得られた細断原料の分散液に酢酸を加えてpH5.0に調整した。pH調整された原料分散液に対し、80℃で2時間かけて加熱抽出処理を行った。処理後に得られた抽出液を、水酸化ナトリウムを加えてpH7.0に調整した。pH調整された抽出液を、段階濾過して、最終的に濾過寸法0.45μmで濾過し、濾過液に含まれる子宮抽出組成物250mL(固形分3.2%)を得た。
【0029】
−実施例3−
実施例1と同じヨシキリザメの雌から得られた子宮原料40gを用い、実施例1と同じ処理を経て、細断原料を得た。
得られた細断原料の分散液に塩酸を加えてpH2.2に調整した。pH調整された原料分散液に対し、ペプシン(和光純薬社製)を200mg添加し、55℃で2時間かけて酵素処理を行った。処理後に得られた抽出液を、水酸化ナトリウムを加えてpH6.9に調整した。pH調整された抽出液を、段階濾過して、最終的に濾過寸法0.45μmで濾過し、濾過液に含まれる子宮抽出組成物60mL(固形分3.2%)を得た。
【0030】
−実施例4−
実施例1と同じヨシキリザメの雌から得られた子宮原料40gを用い、実施例1と同じ処理を経て、細断原料を得た。
得られた細断原料の分散液に塩酸を加えてpH7.0に調整した。pH調整された原料分散液に対し、アクチナーゼE(科研ファルマ社製)を50mg添加し、55℃で2時間かけて酵素処理を行った。処理後に得られた抽出液を、水酸化ナトリウムを加えてpH7.0に調整した。pH調整された抽出液を、段階濾過して、最終的に濾過寸法0.45μmで濾過し、濾過液に含まれる子宮抽出組成物60mL(固形分3.6%)を得た。
【0031】
−比較例1−
ブタの胎盤を入手し、実施例1と同様の工程を経て、胎盤抽出物を得た。
具体的には、胎盤原料75gを、常法により脱脂および脱灰した。ついで、包丁などで予備的に細断したあと、等量の水を加え、細断装置でさらに細かく細断した。得られた細断原料の分散液に酢酸を加えてpH5.0に調整した。pH調整された原料分散液に対し、80℃で2時間かけて加熱抽出処理を行った。処理後に得られた抽出液を、水酸化ナトリウムを加えてpH6.9に調整した。pH調整された抽出液を、段階濾過して、最終的に濾過寸法0.45μmで濾過し、濾過液に含まれる子宮抽出組成物45mL(固形分2.5%)を得た。
【0032】
〔性能評価〕
得られた子宮抽出組成物(実施例1〜4)と、子宮抽出組成物(比較例1)に対して、以下の試験を行った。
以下の試験のうち、阻害活性試験は何れも、酵素活性を50%阻害するのに必要な濃度の値:IC50(mg/ml)を測定した。その他、具体的な測定装置や測定の手順は、常法にしたがった。
チロシナーゼ阻害活性:測定値が小さいほど、チロシナーゼ阻害活性が高く、美白効果に優れていると評価される。
【0033】
メラニン合成阻害活性:測定値が小さいほど、メラニン阻害活性が高く、肌の美白効果に優れていると評価される。
コラゲナーゼ阻害活性:測定値が小さいほど、コラゲナーゼ阻害活性が高く、皮膚の老化防止効果に優れていると評価される。
コラーゲン合成促進活性:コラーゲン合成を、抽出組成物を添加した培地と非添加の培地とで行い、非添加培地に対する添加培地におけるコラーゲン合成量の促進程度で示す。具体的には、コラーゲン合成量を測定し、非添加培地を1.0としたときの倍率を算出する。この倍率が高いほど、コラーゲン合成促進活性が高く、皮膚の再生効果に優れていると評価される。
【0034】
細胞増殖活性:皮膚を構成する細胞である「線維芽細胞」を、抽出組成物を添加した培地と非添加の培地とで7日間培養し、細胞増殖の促進活性を評価した。非添加培地を1.0としたときの倍率で示す。この倍率が大きいほど、皮膚の再生効果に優れていると評価できる。
<測定結果>
各試験の結果を下表に示す。
【0035】
【表1】


【0036】
【表2】


【0037】
<評価>
(1) 実施例1、2の子宮抽出組成物は、共通する抽出方法で抽出された比較例の胎盤抽出組成物に比べて、チロシナーゼ阻害活性、コラゲナーゼ阻害活性については、格段に優れている。細胞増殖活性も同等以上である。したがって、これらの特性に基づく各種の機能や効果については、十分に有効であると評価できる。
(2) 実施例1、2のコラーゲン合成促進活性は比較例と同等であり、メラニン阻害活性は比較例よりも少し劣るが、実用的に十分に有効な特性値である。
(3) 以上の各特性を総合的に評価すれば、実施例1,2の子宮抽出組成物は、比較例の従来品(胎盤抽出組成物)に比べて、同等かより優れた性能を発揮できるものと評価できる。
【0038】
(4) 実施例3、4は、酵素処理を採用した場合であり、いくつかの特性は比較例より優れ、その他の特性は比較例よりも劣る。しかし、何れの特性値も、化粧品などに有効な機能を付与するには十分に有用であると考えられる。
〔化粧品の処方例〕
本発明の子宮抽出組成物が有する特性を良好に発揮できる化粧品の処方を例示する。
各成分の配合量は、重量部で示す。各処方において、子宮抽出組成物液と表記している成分に、実施例1の子宮抽出組成物1.0重量%含有水溶液を用いる。
<処方例1:乳液>
スクワラン:8.0部、ホホバ油:7.0部、セチルアルコール:1.5部、グリセリンモノステアレート:2.0部、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル:3.0部、ポリオキシエチレン(20)ソオルビタンモノオレート:2.0部、1,3-ブチレングリコール:1.0部、グリセリン:2.0部、子宮抽出組成物液:5.0部、水溶性コラーゲン:2.0部、防腐剤(パラオキシ安息香酸エステル):適量、精製水または白樺樹液:各成分の合計量を100としたときの残余。
【0039】
<処方例2:化粧水>
子宮抽出組成物液:10.0部、水溶性コラーゲン:5.0部、加水分解コラーゲン:2.5部、ヒアルロン酸又はコンドロイチン硫酸溶液5.0部、香料(レモン水):適量、防腐剤(フェノキシエタノール):適量、精製水または白樺樹液:各成分の合計量を100としたときの残余。
<処方例3:コールドクリーム>
サラシミツロウ:11.0部、流動パラフィン:22.0部、ラノリン:10.0部、オリーブ油:5.0部、カミツレ油:5.0部、パーム油:5.0部、ホウ砂:0.5部コトジツノマタ抽出液、(エタノール:1,3-ブチレングリコール=1:1抽出溶媒):2.0部、オウバク抽出液(エタノール:1,3-ブチレングリコール=1:1抽出溶媒):2.0部、カバノキ抽出液(エタノール:1,3-ブチレングリコール=1:1抽出溶媒)2.0部、液状シア脂:1.0部、子宮抽出組成物液5.0部、水溶性コラーゲン:2.0部、加水分解コラーゲン:1.0部、防腐剤(アクリノール)0.1部、香料(セージ水):適量、精製水または白樺樹液:各成分の合計量を100としたときの残余。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の動物由来抽出組成物は、例えば、化粧水などの肌に付ける化粧料に配合しておくことができる。動物由来原料として哺乳類の胎盤を使用することによる感染症の心配を軽減でき、胎盤が有する生理的な肌の健全化作用などと同等の機能が有効に発揮され、老化防止効果や美肌効果が達成できる。
【出願人】 【識別番号】000190943
【氏名又は名称】新田ゼラチン株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区桜川4丁目4番26号
【出願日】 平成17年2月23日(2005.2.23)
【代理人】 【識別番号】100073461
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 武彦

【公開番号】 特開2006−232693(P2006−232693A)
【公開日】 平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願番号】 特願2005−46945(P2005−46945)