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【発明の名称】 骨疾患治療用非経口投与用剤および椎体骨折治療剤の有効性評価方法
【発明者】 【氏名】小田 和健
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区久太郎町一丁目8番2号 小野薬品工業株式会社内

【氏名】南出 敏臣
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区久太郎町一丁目8番2号 小野薬品工業株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物を有効成分として含有してなる椎体骨折および/または椎体の変形増悪の予防および/または治療剤。
【請求項2】
椎体骨折が二次骨折である請求項1記載の剤。
【請求項3】
非経口投与用剤である請求項1記載の剤。
【請求項4】
静脈内投与用剤である請求項3記載の剤。
【請求項5】
体重1kgあたりの1日の静脈内投与量が約3ngないし約180ngである請求項4記載の剤。
【請求項6】
静脈内持続投与用剤である請求項4記載の剤。
【請求項7】
1回の投与時間が約0.5時間ないし約4時間である請求項6記載の剤。
【請求項8】
1日の投与回数が1回ないし3回である請求項1記載の剤。
【請求項9】
連続した投薬期間が約1週間ないし約6週間である請求項1記載の剤。
【請求項10】
連続した投薬期間が約1週間ないし約6週間であって、1日の投与回数が1回ないし3回であって、1回の投与時間が約0.5時間ないし約4時間であって、体重1kgあたりの1日の投与量が約3ngないし約180ngであるメチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物を有効成分として含有してなる椎体骨折および/または椎体の変形増悪の予防および/または治療用の静脈内持続投与用剤。
【請求項11】
連続した投薬期間が約3週間であって、1日の投与回数が2回であって、1回の投与時間が約2時間であって、体重1kgあたりの1日の投与量が約120ngである請求項10記載の剤。
【請求項12】
椎体骨のX線画像を処理し椎体高の圧潰率を数値化することを特徴とする椎体骨折および/または椎体の変形増悪の診断方法。
【請求項13】
椎体骨折モデル動物に被験物質を含有する薬剤または被験物質を含有しない薬剤を投与する工程、被験動物の椎体骨にX線を照射し画像を得る工程、得られた画像を処理し数値化する工程、得られた数値から椎体高の圧潰率を算出する工程および被験物質を含有する薬剤の投与群から得た圧潰率と被験物質を含有しない薬剤の投与群から得た圧潰率を比較する工程、椎体骨折および/または椎体の変形増悪の予防および/または治療に有効な化合物を選ぶ工程、およびその化合物を製造する工程、によって製造された化合物を含有してなる椎体骨折および/または椎体の変形増悪の予防および/または治療剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、骨疾患の治療用に非経口投与されるメチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物を含有してなる医薬および椎体骨折の診断方法に関する。とりわけ椎体骨折の治療のために、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物を有効成分として含有してなる医薬を静脈内投与する方法およびX線像から得られる椎体高の圧潰率をもとにした椎体骨折治療剤の新規な有効性評価方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
椎体骨折の多くは骨粗鬆症に起因しており、骨粗鬆症関連骨折の中で最も発生頻度が高く、高齢者の生活の質(QOL:Quality of Life)低下の要因となっている。椎体骨折のうち、疼痛を伴い臨床的に骨折と診断されるものは全体の約3分の1と少なく、それ以外は慢性的に椎体の圧潰が進行し、自覚症状がないまま変形に至り、X線学的に骨折と診断されるものである。
【0003】
これまで骨粗鬆症性椎体骨折は、神経障害を合併しない安定型の圧迫骨折が大部分であり、保存療法で容易に治癒する疾患と考えられてきたが、近年、骨折後に椎体の圧潰が重度に進行した結果、遅発性神経障害を併発し、脊柱再建術を余儀なくされる症例の報告が増加してきた(例えば、種市洋、金田清志、小熊忠教、古梶正洋著、臨床整形外科、37(4)巻、437−442頁、2002年参照)。
【0004】
また椎体骨折による変形は、新たな骨折が発生する危険性を増加させ(例えば、Lindsay R、Silverman SL、Cooper C、Hanley DA、Barton I、Broy SBら著、ザ・ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Journal of the American Medical Association)、285巻、320−323頁、2001年参照)、さらに円背を形成し身体機能に悪影響を及ぼすことで、QOLを低下させ生命予後を短縮させる(例えば、Hasserius R、Karlsson MK、Nilsson BE、Redlund-Johnell I、Johnell O著、オステオポロシス・インターナショナル(Osteoporos. Int.)、14巻、61−68頁、2003年参照)。また椎体骨折発症に伴う急性疼痛は骨折治癒により消失するが、圧潰進行により生じた椎体の変形は復元することなく残存し、慢性腰背部痛を引き起こし、運動機能低下の原因となる。このような骨粗鬆症性椎体骨折で認められる骨折後の椎体の圧潰進行は、骨折治癒の障害によって生じるものと推察されている(Kaneda K、Asano S、Hashimoto T、Satoh S、Fujiya M、スパイン(Spine)、17巻、S295−S303頁、1992年参照)。
【0005】
以上より、椎体骨折治療においては、骨折後の椎体の圧潰進行を抑制することが重要課題の一つであり、骨折治癒を促進させることで骨折後の椎体の圧潰進行を抑制することが可能であると考えられる。
【0006】
現在、椎体骨折の治療は、神経障害の合併や高度の不安定性を伴う症例を除き、安静臥床、鎮痛薬の処方、コルセットの装着等の保存療法が行われている他、新たな治療方法として損傷椎体自体を力学的に強化し修復を図る椎体形成術(Vertebroplasty)および圧迫骨折セメント固定(Kyphoplasty)と呼ばれる外科手術が行われているが、充填された生体材料が漏出して脊柱管内や椎体周囲の血管へ流入する等の重大な副作用が報告されている。
【0007】
上記の治療方法はいずれも対症療法であり、直接的に椎体骨折の治癒を促進させる治療方法ではない。また、骨粗鬆症治療薬は全身の骨密度を増加させ、骨折の発生を予防するが、骨折の治癒や骨折後の椎体の圧潰進行に対する効果は示されていない。
【0008】
このような背景から、医療現場では骨折の治癒を促進し、骨折後の椎体の圧潰を抑制する安全な薬物の開発が切望されている。
【0009】
一方、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアートは、プロスタグランジンE(PGE)受容体のサブタイプの一つであるEP4受容体に選択的な作動活性を有しており、PGEの骨形成作用はEP4受容体を介して発現すること、およびEP4受容体選択的作動薬である前記化合物が骨形成を促進する可能性があることが報告されている(特許文献1参照)。
【0010】
さらに、EP4受容体に結合する化合物は、骨量低下疾患(例えば、原発性骨粗鬆症、二次性骨粗鬆症、癌骨転移、高カルシウム血症、ページェット病、骨欠損、骨壊死等)の予防および/または治療に有用であるばかりでなく、骨の手術後の骨形成(例えば、骨折後の骨形成、骨移植後の骨形成、人工関節術後の骨形成、脊椎固定術後の骨形成、その他骨再建術後の骨形成等)の促進、治癒促進剤、また骨移植代替療法として有用であり、またその投与量について成人一人あたり1回につき1μgから100mgの範囲で1日1回から数回経口投与されるか、または1回につき0.1μgから10mgの範囲で1日1回から数回非経口投与される旨の記載はあるが(例えば、特許文献2および非特許文献1参照)、ヒトの椎体骨折の治療に有用であることや椎体の圧潰を有意に抑制する投与量等についての具体的な記載はない。
【0011】
また、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアートが椎体骨折治療を目的として臨床試験中である旨開示されているが(非特許文献2参照)、投与量等についての具体的な記載は一切ない。
【0012】
一方、脊椎椎体高のX線計測方法そのものは、骨粗鬆症の臨床研究領域において世界的に採用されている客観的なX線計測法が報告されているが、椎体骨折の治癒促進効果の証明を目的として、椎体骨折後の椎体の圧潰進行の度合い(椎体高圧潰率)を薬効評価に用いた報告はない。
【0013】
【特許文献1】国際公開第00/003980号パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/037877号パンフレット
【非特許文献1】Yoshida K、Oida H、Kobayashi T、Maruyama T、Tanaka M、Katayama T、プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、99巻、4580−4585頁、2002年
【非特許文献2】小野薬品工業株式会社ホームページ、平成13年11月9日、[平成16年12月29日検索]インターネット<URL:http://www.ono.co.jp/jp/ir_info/kaihatuhin/pdf/143h_kai.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
椎体骨折の治療は、ほとんどが対症療法であり、椎体骨折の治癒を直接促進させる方法、とりわけ椎体骨折を治療するための重要課題だと考えられる骨折後の椎体の圧潰進行を抑制する臨床上有用な医薬品は報告されていない。骨粗鬆症治療薬は全身の骨密度を増加させ、骨折の発生を予防するが、骨折の治癒や骨折後の椎体の圧潰進行に対する効果は示されていない。このようなことから医療現場では、骨折の治癒を促進し、骨折後の椎体の圧潰を抑制する安全な薬物の開発が切望されている。また、そのような骨疾患治療剤を開発する際に有用な疾患の診断方法および薬剤の有効性評価方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、骨疾患治療剤、とりわけ椎体骨折の治療剤を見出すべく鋭意検討した結果、体重1kgあたりの投与量が180ng以下の低用量のメチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアートを投与することで、ヒトの骨疾患とりわけ椎体骨折の治療において、臨床上十分に有用な効果が得られること、およびX線像から得られる椎体高の圧潰率をもとに椎体骨折を診断できること、さらには、椎体高圧潰率を評価することにより骨疾患治療剤の有効性を評価できることを初めて見出し、この知見に基づいてさらに詳細に研究を行うことにより、本発明を完成した。
【0016】
すなわち、本発明は、
[1] メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物を有効成分として含有してなる椎体骨折および/または椎体の変形増悪の予防および/または治療剤;
[2] 椎体骨折が二次骨折である前項[1]記載の剤;
[3] 非経口投与用剤である前項[1]記載の剤;
[4] 静脈内投与用剤である前項[3]記載の剤;
[5] 体重1kgあたりの1日の静脈内投与量が約3ngないし約180ngである前項[4]記載の剤;
[6] 静脈内持続投与用剤である前項[4]記載の剤;
[7] 1回の投与時間が約0.5時間ないし約4時間である前項[6]記載の剤;
[8] 1日の投与回数が1回ないし3回である前項[1]記載の剤;
[9] 連続した投薬期間が約1週間ないし約6週間である前項[1]記載の剤;
[10] 連続した投薬期間が約1週間ないし約6週間であって、1日の投与回数が1回ないし3回であって、1回の投与時間が約0.5時間ないし約4時間であって、体重1kgあたりの1日の投与量が約3ngないし約180ngであるメチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物を有効成分として含有してなる椎体骨折および/または椎体の変形増悪の予防および/または治療用の静脈内持続投与用剤;
[11] 連続した投薬期間が約3週間であって、1日の投与回数が2回であって、1回の投与時間が約2時間であって、体重1kgあたりの1日の投与量が約120ngである前項[10]記載の剤;
[12] 椎体骨のX線画像を処理し椎体高の圧潰率を数値化することを特徴とする椎体骨折および/または椎体の変形増悪の診断方法;および
[13] 椎体骨折モデル動物に被験物質を含有する薬剤または被験物質を含有しない薬剤を投与する工程、被験動物の椎体骨にX線を照射し画像を得る工程、得られた画像を処理し数値化する工程、得られた数値から椎体高の圧潰率を算出する工程および被験物質を含有する薬剤の投与群から得た圧潰率と被験物質を含有しない薬剤の投与群から得た圧潰率を比較する工程、椎体骨折および/または椎体の変形増悪の予防および/または治療に有効な化合物を選ぶ工程、およびその化合物を製造する工程、によって製造された化合物を含有してなる椎体骨折および/または椎体の変形増悪の予防および/または治療剤等に関する。
【0017】
本発明において、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアートとは、一般式(I)
【0018】
【化1】


【0019】
(式中、
【0020】
【化2】


【0021】
はα−配置を表し、
【0022】
【化3】


【0023】
はβ−配置を表す。)
で示される化合物である。
【0024】
本発明において、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物は、実質的に純粋で単一な物質であるものに限定されず、不純物(例えば、製造工程に由来する副生成物、溶媒、原料等、または分解物等)を、医薬品原薬として許容される範囲であれば含有していてもよい。医薬品原薬として許容される不純物の含有量は、その含有される不純物によって異なるが、例えば、他の考えられうる光学異性体等の類縁体は合わせて約4質量%以下、製造工程に由来する副生成物および分解物は合わせて約0.15質量%以下、水分は約5質量%以下、重金属は約20ppm以下、残留溶媒は合計約5000ppm以下であることが好ましい。
【0025】
本発明において、溶媒和物は、毒性の低い、水溶性のものが好ましく、例えば、水、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール等)等の溶媒和物が挙げられる。
【0026】
本発明において、包接化合物としては、α−、β−あるいはγ−シクロデキストリン、もしくはこれらの混合物の包接化合物が好ましく、α−シクロデキストリン包接化合物がより好ましい。メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート・α−シクロデキストリン包接化合物としてはメチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアートを約10%〜約30%含有しているのが好ましく、約18%〜約22%含有しているのがより好ましい。包接化合物にすることで、安定性が増大し、また水溶性も増すため、薬剤として使用する際好都合である。
【0027】
本発明において、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアートは同位体(例えば、H、14C、35S等)で標識されていてもよい。
【0028】
本発明において、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物は、公知の方法、例えば国際公開第00/003980号パンフレット、英国特許出願公開第1,351,238号明細書または同1,419,221号明細書等に記載された方法に従って、またはその方法を適宜改良することで製造できる。また本発明に用いる凍結乾燥品は、通常の製剤学的手法に従って、例えば、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート・α−シクロデキストリン包接化合物と糖類(例えば、結晶マルトース等)とを適量の注射用蒸留水に溶解し、所望によりpH調節剤(例えば、クエン酸と水酸化ナトリウム等)を加えてpHを約3.0乃至約6.5に調整し、さらに適量の注射用蒸留水を加えて液量を調整した後、所望により除菌フィルター(例えば、0.22μmメチルセルロースメンブレン、0.22μmナイロン66メンブレン、0.22μmポリフッ化ビニリデンメンブレン等)等を用いて濾過後、滅菌し、注射用容器(好ましくは、シリコンで内表面をコーティングしたガラスバイアル等)に、1単位形態あたりメチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアートを約2μg、約5μg、約6μg、約10μg含有するように充填し、凍結乾燥に付した後、密封することで製造することができる。これらの工程中、記載した以外の任意の過程において、一般的な注射用のアンプルやバイアル、シリンジ等と同様の滅菌操作に付すことによっても、無菌性を保持した注射用容器とすることができる。また、所望によってこれらの容器への充填の前に、防塵フィルター(例えば、0.45μmメチルセルロースメンブレン、0.45μmナイロン66メンブレン、0.45μmポリフッ化ビニリデンメンブレン等)で濾過等の操作を行ってもよい。滅菌操作に用いられる具体的な滅菌方法としては、例えば、ガス滅菌法、熱水浸漬滅菌法、熱水シャワー滅菌法、濾過滅菌法、照射滅菌法(例えば、電子線滅菌法、紫外線滅菌法、γ線滅菌法等)、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)法等が挙げられる。本発明における滅菌方法としては、例えば、濾過滅菌法や高圧蒸気滅菌法等が好ましく、特に、濾過滅菌法(孔径0.22μmのフィルターを用いた濾過滅菌法)が好ましい。
【0029】
本明細書中、「治療」とは、病態を治癒の方向へ導くいわゆる「治療」だけでなく、悪化を抑制し病態の進行をとどめる「進展抑制」も含む。
【0030】
本明細書中、「椎体高」とは、椎体の前縁高、中央高または後縁高のいずれであってもよい。
【0031】
本明細書中、「椎体の変形増悪」とは、骨折した椎体の椎体高が次第に減少する現象を指す。骨折した椎体の変形増悪は、二次骨折や神経障害発症等の二次的リスクとの関連性が疫学的に報告されており、変形増悪の予防は患者に与えるメリットが大きい。
【0032】
本明細書中、「椎体高の圧潰率」とは、骨折した椎体の椎体高の、骨折前あるいは骨折後すぐの椎体高に対する減少率を算出したもので、椎体骨折後の椎体の圧潰進行の度合いを評価する数値となる。圧潰率を算出するための椎体高は、例えば、図1中の矢印で表示した部分を計測することで得ることができる。骨折後の椎体の圧潰進行は骨折治癒の遅延により生じると考えられるので、圧潰進行の抑制は、薬剤の骨折治癒促進効果を示すこととなる。
【0033】
本明細書中、「骨折椎体の変形増悪率」とは、骨折した椎体の椎体高が薬剤の投与前と比較して20%以上減少した症例(増悪例)の発生頻度を表す。
【0034】
本明細書中、「二次骨折」(以下、「新規椎体骨折」と表現することもある。)とは、椎体骨折後に別の箇所に新たに発生した椎体骨折を指す。
【0035】
本発明において用いられる製剤としては、椎体骨折、椎体の変形増悪および/または二次骨折の予防および/または治療を目的として、患者に非経口投与できる剤形であればどのようなものであってもよいが、即効性と血中濃度管理の面を考慮して、静脈内に投与することが可能な剤形、例えば、注射剤や輸液製剤等が好ましい。注射剤や輸液製剤等の製剤に使用されるものとしては、一般的に注射剤に使用される金属塩(例えば、リン酸三ナトリウム、リン酸一水素二ナトリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等)や、pH調節剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等)の他、安定化剤、界面活性剤、緩衝剤、可溶化剤、抗酸化剤、消泡剤、等張化剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、無痛化剤、溶解剤、溶解補助剤等の、例えば、薬事日報社2000年刊「医薬品添加物辞典」(日本医薬品添加剤協会編集)等に記載されているような添加剤や、さらに、電解質類(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム等)、糖類(例えば、乳糖、マルトース、グルコース、果糖、ソルビトール、マンニトール、デキストラン等)、タンパクアミノ酸類(例えば、グリシン、アスパラギン酸、リジン等)、ビタミン類(例えば、ビタミンB、ビタミンC等)等の一般的に輸液に用いられる成分から適宜選択して用いられる。
【0036】
本発明の方法に用いられる、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物を含有してなる薬剤は、骨疾患とりわけ椎体骨折の治療に有用である。
【0037】
本発明において、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物を、骨疾患とりわけ椎体骨折等の治療のために患者に投与する方法は、患者の体重1kgあたり、1日の投与量として、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアートとして約3ngないし約180ngを非経口投与する方法であれば特に限定されないが、骨疾患とりわけ椎体骨折に対する好ましい治療効果を得るための、具体的な投与方法、投与量、投与時間、投与回数、投薬期間としては、例えば、以下に例示するもの等が挙げられる。
【0038】
投与方法は、前述したように、非経口投与する方法であれば、特に限定されないが、骨疾患とりわけ椎体骨折に対する好ましい治療効果を得るために、静脈内に投与可能な剤形、例えば、注射剤や輸液製剤等に調製して用いることが好ましい。静脈内に投与可能な剤形とすることで、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物による効果を速やかに得ることができる。さらに、このような静脈内に投与可能な剤形として調製したメチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物は、例えば、注射筒や輸液バッグ等を用いて静脈内に持続投与することによって、急激な血中濃度の上昇に伴う副作用の回避や、所望によって、血中濃度等のコントロールを行うことも可能となる。持続投与の時間は特に限定されず、また患者の容態やその他の理由によって変更しても構わないが、例えば、約0.5時間ないし約4時間、好ましくは、約1時間ないし約3時間、特に好ましくは、約2時間程度をかけて持続投与することが好ましい。
【0039】
投与量は、骨疾患とりわけ椎体骨折に対する好ましい治療効果を得るために、患者の体重によって規定することが好ましく、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物を非経口投与する場合、患者の体重1kgあたり、1日の投与量として、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアートとして、例えば、約3ngないし約180ng等を投与することが好ましい。より好ましい投与量としては、患者の体重1kgあたり、1回の投与量として、例えば、約6ngないし約90ng等が挙げられ、最も好ましい投与量としては、患者の体重1kgあたり、1回の投与量として、例えば、約12ngまたは約60ng等が挙げられる。
【0040】
投与回数は、骨疾患とりわけ椎体骨折に対する好ましい治療効果を得るために、特に限定されず、任意の回数、投薬しても構わない。また、患者の容態やその他の理由によって変更しても構わない。具体的な1日あたりの投与回数としては、例えば、1回ないし3回である。好ましい1日あたりの投与回数は、例えば、1回ないし2回であり、より好ましい1日あたりの投与回数は、例えば、2回である。
【0041】
投薬期間は、骨疾患とりわけ椎体骨折に対する好ましい治療効果を得るために、任意の日数、継続して投薬しても構わない。また所望によって適当な休薬期間をおいて、間歇的に投与しても構わない。具体的な投薬期間としては、例えば、連続した約1週間ないし約6週間等が挙げられる。好ましい投薬期間は、例えば、連続した約2週間、約3週間、約4週間または約6週間等であり、より好ましい投薬期間は、例えば、約3週間等である。
【0042】
本発明において、椎体骨折の治療のために、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物を非経口投与する好ましい方法としては、例えば、連続した約1週間ないし約6週間の投薬期間中、患者の体重1kgあたり、1日の投与量として、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアートとして約3ngないし約180ngのメチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物を、1日2回、輸液バッグ等を用いて静脈内に、約2時間程度をかけて持続投与する方法等が挙げられ、より好ましい方法としては、例えば、連続した約3週間の投薬期間中、患者の体重1kgあたり、1日の投与量として、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアートとして約120ngのメチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物を、1日2回、輸液バッグ等を用いて静脈内に、約2時間程度をかけて持続投与する方法等が挙げられる。
【0043】
本発明の方法に用いられる、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物を含有してなる薬剤は、必要に応じて他の薬剤、例えば、骨粗鬆症の予防および/または治療に用いられる薬剤、例えば、ビスホスホネート製剤、カルシウム製剤、ビタミンDもしくはD製剤、エストロゲン製剤、カルシトニン製剤、ビタミンK製剤、イプリフラボン製剤、カスパーゼ−1阻害薬、PTHrP誘導体、メタロプロテイナーゼ阻害薬、ファルネソイドX受容体作動薬および/またはEP4作動薬等を併用してもよく、さらには骨折や骨粗鬆症の疼痛改善を目的として非ステロイド性消炎鎮痛薬、局所麻酔薬および/または筋弛緩薬等を併用してもよい。
【0044】
本明細書中、ビスホスホネート製剤としては、ミノドロン酸(1−ヒドロキシ―2−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル)エチリデンビスホスホン酸、その塩またはその一水和物)、アレンドロネート(4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸(アレンドロン酸)、もしくはその一ナトリウム塩またはその三水和物)、インカドロネート(シクロヘプチルアミノメチレン−1,1−ジホスホン酸(インカドロン酸)、もしくはその二ナトリウム塩またはその一水和物)、クロドロネート(1,1−ジクロロメチレン−1,1−ジホスホン酸(クロドロン酸)、またはその二ナトリウム塩)、チルドロネート((4−クロロフェニル)チオメチレン−1,1−ジホスホン酸(チルドロン酸)、またはその二ナトリウム塩)、エチドロネート(1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸(エチドロン酸)、またはその二ナトリウム)、イバンドロネート(1−ヒドロキシ−3−(N−メチル−N−ペンチルアミノ)プロピリデン−1,1−ビスホスホン酸)、リセドロネート(1−ヒドロキシ−2−ピリジン−3−イルエチリデンジホスホン酸(リセドロン酸)、もしくはその一ナトリウム塩またはその二・五水和物)、ピリドロネート([2−(2−ピリジニル)エチリデン]−1,1−ビスホスホン酸)、パミドロネート(3−アミノ−1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ビスホスホン酸(パミドロン酸)、もしくはその二ナトリウム塩またはその五水和物)、ゾレドロネート(1−ヒドロキシ−2−(1H−イミダゾ−ル−1−イル)エチリデン−1,1−ビスホスホン酸、またはその一水和物)、オルパドロネート(3−(ジメチルアミノ)−1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ビスホスホン酸)、ネリドロネート(6−アミノ−1−ヒドロキシヘキシリデン−1,1−ビスホスホン酸)、YM175、YM529(ONO-5920)等が挙げられる。
【0045】
本明細書中、カルシウム製剤としては、塩化カルシウム(calcium chloride)、グルコン酸カルシウム(calcium gluconate)、グリセロリン酸カルシウム(calcium glycerophosphate)、乳酸カルシウム(calcium lactate)、L−アスパラギン酸カルシウム(calcium L-aspartate)、リン酸水素カルシウム(dibasic calcium phosphate)等が挙げられ、ビタミンDもしくはD製剤としては、カルシトリオール、アルファカルシドール、ファレカルシトリオール、1α,25−ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロール、ST-630、KDR、ST-630、ED-71、ロカルトロール(Ro44-7190)、タカルシトール、マキサカルシトール等が挙げられ、エストロゲン製剤としては、エストラジオール(Estradiol)、安息香酸エストラジオール(Estradiol benzoate)、エストラジオールシピオネート(Estradiol cypionate)、エストラジオールジプロピオナート(Estradiol dipropionate)、エストラジオールエナンタート(Estradiol enanthate)、エストラジオールヘキサヒドロベンゾアート(Estradiol hexahydrobenzoate)、エストラジオールフェニルプロピオナート(Estradiol phenylpropionate)、エストラジオールウンデカノアート(Estradiol undecanoate)、吉草酸エストラジオール(Estradiol valerate)、エストロン(Estrone)、エチニルエストラジオール(Ethynyl estradiol)、メストラノール(Mestranol)、エストリオール等が挙げられ、カルシトニン製剤としては、エルカトニン(elcatonin)、サケカルシトニン(salmon calcitonin;STH-32、SMC20-51)、ニワトリカルシトニン(chicken calcitonin;MCI-536)、セカルシフェロール(secalciferol)、カルシトニン(calcitonin)、TJN-135等が挙げられ、ビタミンK製剤としては、メナテトレノン(menatetrenone)、フィトナジオン(phytonadione)等が挙げられ、カスパーゼ−1阻害薬としては、プラルナカサン、ニトロフルビプロフェン等が挙げられ、PTHrP誘導体としては、RS-66271、hPTHrP等が挙げられ、ファルネソイドX受容体作働薬としては、SR-45023A等が挙げられる。
【0046】
本明細書中、非ステロイド性消炎鎮痛薬としては、例えば、サザピリン、サリチル酸ナトリウム、アスピリン、アスピリン・ダイアルミネート配合、ジフルニサル、インドメタシン、スプロフェン、ウフェナマート、ジメチルイソプロピルアズレン、ブフェキサマク、フェルビナク、ジクロフェナク、トルメチンナトリウム、クリノリル、フェンブフェン、ナプメトン、プログルメタシン、インドメタシンファルネシル、アセメタシン、マレイン酸プログルメタシン、アンフェナクナトリウム、モフェゾラク、エトドラク、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、ケトプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、チアプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン、メフェナム酸、メフェナム酸アルミニウム、トルフェナム酸、フロクタフェニン、ケトフェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカム、ナパゲルン軟膏、エピリゾール、塩酸チアラミド、塩酸チノリジン、エモルファゾン、スルピリン、ミグレニン、サリドン、セデスG、アミピロ−N、ソルボン、ピリン系感冒薬、アセトアミノフェン、フェナセチン、メシル酸ジメトチアジン、シメトリド配合剤、非ピリン系感冒薬等が挙げられる。
【0047】
本明細書中、局所麻酔薬としては、例えば、塩酸コカイン、塩酸プロカイン、リドカイン、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン等が挙げられる。
【0048】
本明細書中、筋弛緩薬としては、例えば、塩酸トリペリゾン、クロルゾキサゾン、クロルメザノン、メトカルバモール、フェンプロバメート、メシル酸プリジノール、カルバミン酸クロフェネシン、バクロフェン、塩酸エペリゾン、アフロクァロン、塩酸チザニジン、塩化アルクロニウム、塩化スキサメトニウム、塩化ツボクラリン、ダントロレンナトリウム、臭化パンクロニウム、臭化ベクロニウム等が挙げられる。
【0049】
一方、胃および腸への悪影響を軽減させるため、本発明において、ヒスタミンH受容体遮断薬、プロトンポンプ阻害薬、PGI受容体作動薬および/またはPGE受容体作動薬等を組み合わせて投与してもよい。
【0050】
本明細書中、ヒスタミンH受容体遮断薬としては、ファモチジン、シメチジン、塩酸ラニチジン、ニザチジン、塩酸ロキサチジンアセタートまたはラフチジン等が挙げられ、プロトンポンプ阻害薬としては、オメプラゾール、ランソプラゾールまたはラベプラゾールナトリウム等が挙げられ、PGI受容体作動薬としては、例えば、オルノプロスチル等が挙げられ、PGE受容体作動薬としては、エンプロスチル、ミノプロストール、サルプロストン等が挙げられる。
【0051】
以上の併用薬剤は例示であって、これらに限定されるものではない。また他の薬剤は、任意の2種以上を組み合わせて投与してもよい。その際、1つの製剤中に2種以上の成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。1つの製剤中に2種以上の成分を配合した配合剤の形態としては、例えば、1つの輸液バッグ内に本発明の薬剤と他の1種以上の薬剤を同時に含有しているように調製した配合剤等が挙げられる。別々の製剤にして投与する形態としては、例えば、本発明の持続投与用剤を投与する一方、他の併用薬剤は経口的に投与する等が挙げられる。別々の製剤にして投与する場合には、それぞれの製剤を同時に投与しても時間差をおいて投与してもよい。また、時間差をおいて投与する場合は、本発明の薬剤を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、本発明の薬剤を後に投与してもよい。また、併用する薬剤には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
【0052】
[毒性]
メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物の毒性は非常に低いものであり、特に本発明の投与方法および投与量で哺乳動物に使用する限り、重篤な副作用は認められず、十分安全であると判断できる。
【発明の効果】
【0053】
本発明におけるメチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物は骨密度改善作用および骨折治癒促進作用を有するため、それらを含有してなる非経口投与用の骨疾患とりわけ椎体骨折の治療剤は、安全で、椎体骨折後の圧潰進行を顕著に改善することができ、医薬として実に有用である。例えば、本発明のメチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアートのα−シクロデキストリン包接化合物を含有してなる静脈内持続投与用の椎体骨折の治療剤は、椎体の圧潰進行を有意に抑制し、新規椎体骨折発生頻度を低下させ、年齢や骨折型によらず有効性を示す等の臨床的有用性が認められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下に、本発明の投与方法および投与量を用いたメチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物を用いた椎体骨折に対する臨床効果を、実施例および製剤例を挙げて詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本発明の範囲を逸脱しない範囲で投与方法および投与量を変化させてもよい。
【0055】
椎体骨折の治癒促進効果の証明を目的とした試験はこれまで実施報告がなく、有効性が証明された治療もないことから、適切な評価方法について検討した。椎体骨折は治癒の定義が明確でなく、医療現場では疼痛が消失し、椎体の圧潰進行がほぼ停止した時点を目安に治癒の判定がなされている。そこで、椎体骨折の治癒促進効果は、圧潰進行の抑制を示すことで証明できると判断し、16週後時点の骨折椎体の変形増悪率および椎体高圧潰率を主要評価項目に設定した。調査期間は、多くの症例が治癒すると考えられる16週間とした。椎体高計測は骨粗鬆症臨床研究領域において世界的に採用されている客観的なX線計測法に準じて実施した。
実施例
前期第II相臨床試験として、骨粗鬆症性椎体骨折の患者を対象に、以下の条件でメチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート・α−シクロデキストリン包接化合物投与群およびプラセボ投与群による二重盲検試験を実施した。
対象者:骨粗鬆症性椎体骨折患者145名。
用法・用量:各群1日2回、各2時間点滴静脈内持続投与;
(1)メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアートとして 0.5ng/kg/min(静注速度);
(2)プラセボ。
投薬期間:3週間
症例数:
(1)メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアートとして 0.5ng/kg/min投与群:73例;
(2)プラセボ投与群:72例。
評価項目:
調査期間:16週間
<有効性評価項目>
主要評価項目
(1) 椎体高圧潰率
評価方法:X線所見により投与前後の骨折椎体高の圧潰率を評価した。圧潰率を算出するための椎体高は、図1中の矢印で表示した部分を計測することで得た。
(2) 骨折椎体の変形増悪率
評価方法:骨折椎体高が投与前と比較して20%以上減少した症例の割合を評価した。
副次評価項目
(1) 新規椎体骨折発生率(二次骨折予防効果)
評価方法:試験期間中に新たに発生した椎体骨折を評価した。
(2) 骨代謝マーカー
評価方法:血清中骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)をEIA法、血清中オステオカルシン(OC)をRIA固定法、尿中I型コラーゲン架橋N−テロペプチド(NTX)をELISA法、尿中デオキシピリジノリン(DPD)をEIA法にて測定した。
<安全性評価項目>
有害事象発現率および臨床検査値
解析:上記の主要評価項目でメチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート・α−シクロデキストリン包接化合物の静脈内持続投与による治療効果を評価した。
[結果]
結果を以下に示す。
<有効性評価項目>
投与開始16週間後の椎体高圧潰率を評価した結果、プラセボ投与群とメチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート・α−シクロデキストリン包接化合物投与群の間に統計学的な有意差が認められた(プラセボ投与群:71.9%、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート・α−シクロデキストリン包接化合物投与群:79.5%)。
<安全性評価項目>
投与開始から投与終了後2週間後に発現した有害事象の発現率は、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート・α−シクロデキストリン包接化合物投与群で91.5%、プラセボ投与群で76.1%であり、両群間に統計学的な有意差が認められた。治験薬との因果関係が否定されなかった有害事象(副作用)の発現率は、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート・α−シクロデキストリン包接化合物投与群で64.8%、プラセボ投与群で38.0%であり、両群間に統計学的な有意差が認められた。発現率が5%異常の有害事象の主たる内容は胃腸障害(下痢、悪心、軟便等)、投与局所様態変化(注射部位紅斑等)、臨床検査値異常(血圧低下等)、神経系障害(頭痛等)等であったが、その程度は多くが軽度で、投与後に無処置で速やかに消失することから臨床的に大きな問題となるものではなかった。
[考察]
椎体高圧潰率を評価することにより、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート・α−シクロデキストリン包接化合物の治療効果が判定できることが証明された。
【0056】
また、椎体骨折後の椎体高圧潰率を数週間経時的に計測する方法は、骨形成促進剤(骨折治療剤)の有効性を評価する方法として有用である。
【0057】
骨粗鬆症領域で世界的に使用されている、脊椎X線写真を用いて椎体高を計測するという既知の方法を用いて、椎体骨折後の急性期の圧潰進行を評価することで、骨関連疾患治療剤とりわけ骨形成促進剤の有効性を評価するという報告はこれまでなく、この評価方法は全く新規のものである。
メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート・α−シクロデキストリン包接化合物を含有する凍結乾燥品の製剤例1:
含量:10μg/バイアル、添加剤:乳糖
注射用水に、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート・α−シクロデキストリン包接化合物(9.4mg:メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアートとして2mg)と乳糖(10g)を加え、注射用水を用いて120mLとした。均一な溶液とした後、無菌フィルター(デュラポア製 0.22μmメンブレン)でろ過し、0.6mLずつシリコンコーティングガラスバイアルに充填した。このバイアルを−40℃以下に冷却して溶液を凍結させ、次いで約20パスカルの真空度で徐々に昇温して10℃で7時間乾燥した。その後、45℃で最終乾燥することで本発明の凍結乾燥品を製造した。凍結乾燥品の外観は、白色の塊または粉末であった。
メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート・α−シクロデキストリン包接化合物を含有する凍結乾燥品の製造例2:
含量:10μg/バイアル、添加剤:マルトース、クエン酸、水酸化ナトリウム
注射用水に、メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート・α−シクロデキストリン包接化合物(9.7mg:メチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアートとして2mg)および結晶マルトース(10g)を加え、さらにクエン酸水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを適量加えてpHを約4.0に調整し、注射用水を用いて120mLとした。均一な溶液とした後、無菌フィルター(デュラポア製 0.22μmメンブレン)でろ過し、0.6mLずつシリコンコーティングガラスバイアルに充填した。このバイアルを−40℃以下に冷却して溶液を凍結させ、次いで約20パスカルの真空度で徐々に昇温して10℃で7時間乾燥した。その後、45℃で最終乾燥することで本発明の凍結乾燥品を製造した。凍結乾燥品の外観は、白色の塊または粉末であった。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のメチル 4−{[2−((1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−{(1E,3S)−3−ヒドロキシ−4−[3−(メトキシメチル)フェニル]ブタ−1−エン−1−イル}−5−オキソシクロペンチル)エチル]チオ}ブタノアート、その溶媒和物またはそれらの包接化合物を含有してなる非経口投与用の骨疾患とりわけ椎体骨折の治療剤は、哺乳動物(ヒトおよび非ヒト動物(例えば、サル、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等))等に用いることが可能である。特に、本発明の用法・用量で、哺乳動物、好ましくはヒトに、非経口投与することによって、骨疾患とりわけ椎体骨折に対して好ましい治療効果を得ることができる。本発明の用法・用量は、椎体骨折患者の諸症状の改善効果を得るために好適である。本発明の用法は、従来知られていなかったものであり、該用法で得られる効果は著しく優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】圧潰率を算出するための椎体高を計測する部分を表示した図である。
【出願人】 【識別番号】000185983
【氏名又は名称】小野薬品工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区道修町2丁目1番5号
【出願日】 平成18年1月13日(2006.1.13)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−219485(P2006−219485A)
【公開日】 平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願番号】 特願2006−5788(P2006−5788)