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【発明の名称】 p38MAPキナーゼ阻害剤を有効成分とする掻痒治療剤
【発明者】 【氏名】加藤 雅智
【住所又は居所】奈良県生駒市高山町8916−16 参天製薬株式会社内

【氏名】小田 知子
【住所又は居所】奈良県生駒市高山町8916−16 参天製薬株式会社内

【氏名】椎 大介
【住所又は居所】奈良県生駒市高山町8916−16 参天製薬株式会社内

【要約】 【課題】p38MAPキナーゼ阻害剤の新たな薬理効果(医薬用途)を見い出すこと。

【解決手段】本発明のp38MAPキナーゼ阻害剤は、優れた掻痒抑制効果を有するので、眼掻痒、皮膚掻痒、全身性掻痒などあらゆる掻痒の治療剤として有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
p38MAPキナーゼ阻害剤を有効成分として含有する掻痒治療剤。
【請求項2】
4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール、trans−4−[4−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メトキシ−4−ピリミジニル)−1H−イミダゾール−1−イル]シクロヘキサノール、4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メチルスルフィニルフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾールおよびそれらの塩の少なくとも一種を有効成分として含有する掻痒治療剤。
【請求項3】
掻痒が眼掻痒である請求項1または2記載の掻痒治療剤。
【請求項4】
剤型が液剤である請求項1〜3のいずれかに記載の掻痒治療剤。
【請求項5】
液剤が点眼剤である請求項4記載の掻痒治療剤。
【請求項6】
点眼剤中の有効成分の濃度が0.01〜3%(w/v)である請求項5記載の掻痒治療剤。
【請求項7】
剤型が外用剤である請求項1〜3のいずれかに記載の掻痒治療剤。
【請求項8】
外用剤が軟膏である請求項7記載の掻痒治療剤。
【請求項9】
軟膏が眼軟膏である請求項8記載の掻痒治療剤。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、p38MAPキナーゼ阻害剤を有効成分とする掻痒治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
痒みは、皮膚や粘膜の表皮−真皮接合部に存在する痒み受容器が、伝達物質(掻痒惹起物質)により刺激され、その刺激が中枢神経に伝えられ、痒みとして感じられている。痒みを誘発させる伝達物質としては、例えばヒスタミン、血小板活性化因子、キニン、胆汁酸塩、サブスタンスP、プロスタグランジンなどが広く知られている。アレルギー的要因による痒みは、マスト細胞などから遊離されるヒスタミンなどの伝達物質が関与していると推察され、抗アレルギー剤よりも抗ヒスタミン剤が強力な効果を示すことが知られている。
【0003】
掻痒としては、例えば人間や動物に生じる眼掻痒、皮膚掻痒、耳鼻掻痒、全身性掻痒などが知られている。眼掻痒は、異物(花粉、ほこり、ダニ、カビ、ペットの毛、コンタクトレンズ、化粧品など)や眼の乾燥、外傷などが原因となって、目、まぶた、まぶたの縁などが痒くなる疾患であり、また、目を掻くことにより結膜が充血し、結膜を傷つけることもある。このように、掻痒は患者の日常生活のQuality of lifeを低下させるだけでなく、掻くことで症状をより悪化させる原因にもなっている。
【0004】
一方、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(p38MAPキナーゼ)は、アポトーシス機構を仲介する酵素の一つであり、サイトカイン抑制性抗炎症薬に結合するタンパク質として知られている。特許文献1には、4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾールや4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メチルスルフィニルフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール等の化合物は、慢性関節リウマチ、骨関節炎、通風性関節炎などの炎症性サイトカイン介在疾患の治療に有効であることが記載され、また、特許文献2には、trans−4−[4−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メトキシ−4−ピリミジニル)−1H−イミダゾール−1−イル]シクロヘキサノール等の化合物は、乾癬性関節炎、慢性関節リウマチ、日焼け、結膜炎などの炎症性サイトカイン介在疾患の治療に有効であることが記載されている。特許文献3には、p38MAPキナーゼ阻害作用を有する置換イミダゾール化合物は、リウマチ様関節炎、炎症性腸疾患、敗血症性ショック、骨粗鬆症などの炎症性サイトカイン介在疾患に有用であることが記載されている。
【0005】
しかし、これらの特許文献では、p38MAPキナーゼ阻害作用を有する化合物の掻痒抑制作用については全く検討されていない。
【特許文献1】特開2002−97189号公報
【特許文献2】特表2000−503304号公報
【特許文献3】特表2001−522357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、p38MAPキナーゼ阻害剤は、医薬として種々の薬理効果を有するが、さらに新たな薬理効果として痒みに対する有効性を見い出すことは興味ある課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、p38MAPキナーゼ阻害剤の新たな医薬用途を探索すべく鋭意研究を行なったところ、ヒスタミン惹起モデルおよび血小板活性化因子惹起モデルを用いた眼掻痒抑制試験において、p38MAPキナーゼ阻害剤が末梢神経終末に直接的に作用して,神経細胞における痒み信号の伝達を制御することにより、優れた掻痒抑制作用を発揮することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) p38MAPキナーゼ阻害剤を有効成分として含有する掻痒治療剤、
(2) 4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール、trans−4−[4−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メトキシ−4−ピリミジニル)−1H−イミダゾール−1−イル]シクロヘキサノール、4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メチルスルフィニルフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾールおよびそれらの塩の少なくとも一種を有効成分として含有する掻痒治療剤、
(3) 掻痒が眼掻痒である前記(1)または(2)記載の掻痒治療剤、
(4) 剤型が液剤である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の掻痒治療剤、
(5) 液剤が点眼剤である前記(4)記載の掻痒治療剤、
(6) 点眼剤中の有効成分の濃度が0.01〜3%(w/v)である前記(5)記載の掻痒治療剤、
(7) 剤型が外用剤である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の掻痒治療剤、
(8) 外用剤が軟膏である前記(7)記載の掻痒治療剤、
(9) 軟膏が眼軟膏である前記(8)記載の掻痒治療剤
である。
【0009】
本発明において、医薬として許容される塩類は、特に制限はなく、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸との塩、酢酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸等の有機酸との塩、また、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム等のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属との塩などが挙げられる。より好ましい塩は、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩である。また、第四級アンモニウム塩、水和物および溶媒和物も本発明の医薬として許容される塩類に包含される。さらに、幾何異性体、光学異性体、互変異性体、多形体なども本発明の範囲に含まれる。
【0010】
本発明において、p38MAPキナーゼ阻害剤は、p38MAPキナーゼ阻害活性を有する化合物であれば特に制限されず、例えば特開2002−97189号公報、特表2000−503304号公報、特表2001−522357号公報、特表2003−535023号、特表2001−506266号公報、特表平9−508123号公報、国際公開第01/56553号公報、国際公開第93/14081号公報、国際公開第01/35959号公報、国際公開第03/68229号公報、国際公開第03/85859号公報、特表2002−534468号公報、特表2001−526222号公報、特表2001−526223号公報、米国特許第6344476号明細書、国際公開第03/99811号公報、国際公開第03/99796号公報、特表2004−506042号公報、国際公開第04/60286号公報、特表2002−363179号公報、特表2004−107358号公報、米国特許第5670527号明細書、米国特許第6096753号明細書、国際公開第01/42189号公報、国際公開第00/31063号公報などの特許公報に記載された化合物が挙げられ、好ましくは4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール(SB−202190)、trans−4−[4−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メトキシ−4−ピリミジニル)−1H−イミダゾール−1−イル]シクロヘキサノール(SB−239063)、4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メチルスルフィニルフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール(SB−203580)、4−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メトキシピリミジン−4−イル)−1−(ピペリジン−4−イル)イミダゾール(SB−242235)、4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−1−ブチニル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジル)イミダゾール(RWJ−67657)、4−(4−フルオロフェニル)−1−(ピペリジン−4−イル)−5−(4−ピリジル)イミダゾール(HEP−689)、(S)−2−(2−アミノ−3−フェニルプロピルアミノ)−1−メチル−5−(2−ナフチル)−4−(4−ピリジル)ピリミジン−6−オン(AMG−548)、2−クロロ−4−(4−フルオロ−2−メチルアニリノ)−2’−メチルベンゾフェノン(EO−1606)、3−(4−クロロフェニル)−5−(1−ヒドロキシアセチルピペリジン−4−イル)−4−(ピリミジン−4−イル)ピラゾール(SD−06)、5−(2,6−ジクロロフェニル)−2−(2,4−ジフルオロフェニルチオ)ピリミド[3,4−b]ピリダジン−6−オン(VX−745)、4−アセチルアミノ−N−tert−ブチルベンズアミド(CPI−1189)、N−[3−tert−ブチル−1−(4−メチルフェニル)ピラゾール−5−イル)−N’−[4−(2−モルホリノエトキシ)−1−ナフチル]ウレア(Dramapimod)、2−ベンズアミド−4−[2−エチル−4−(3−メチルフェニル)チアゾール−5−イル]ピリジン(TAK−715)、SCIO−469、VX−702、GSK−681323、PS−540446、SC−80036、AVE−9940、RO−320−1195、SB−281832、SCIO−323、KC−706、Semapimodである。
【0011】
痒みは、末梢神経終末に存在する痒み受容器が、ヒスタミンなどの伝達物質(掻痒惹起物質)により刺激され、神経細胞が興奮することにより、その刺激が中枢神経に伝えられ、痒みとして感じられる。一方、神経細胞におけるMAPキナーゼ経路の機能が注目されるようになり、電気的な興奮によってもMAPキナーゼが活性化することが知られている。そこで、p38MAPキナーゼ阻害剤が、知覚神経などの痒みに関与する末梢神経に作用し、痒みの伝達を抑制するのではないかとの仮説を立て、p38MAPキナーゼ阻害剤として知られている代表的な化合物を用いて検証した。
【0012】
本発明による掻痒治療剤は、後述するヒスタミン惹起モデルおよび血小板活性化因子惹起モデルを用いた眼掻痒抑制試験の結果から明らかなように、末梢神経終末に直接的に作用して、神経細胞における痒み信号の伝達を制御するので、あらゆる要因による痒みに対して優れた掻痒抑制効果を発揮する。したがって、人間および動物に生じる眼掻痒、皮膚掻痒、耳鼻掻痒、全身性掻痒などの掻痒に対して治療・抑制効果を奏することが期待できる。特に好ましくは、眼掻痒の治療剤として用いられる。
【0013】
本発明における眼掻痒は、花粉、ほこり、ダニ、カビ、ペットの毛、コンタクトレンズ、化粧品、眼外傷などが原因となって、目、まぶた、まぶたの縁などが痒くなる疾患であり、眼掻痒には様々な要因により発症するものが含まれる。
【0014】
本発明による掻痒治療剤は、必要に応じて、医薬として許容される添加剤を加え、汎用されている技術を用いて単独製剤または配合製剤に製剤化することができる。
【0015】
また、本発明による掻痒治療剤は、非経口でも、経口でも投与することができる。経口剤としては、例えば、内服用液剤(例えば、エリキシル剤、シロップ剤、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤)、内服用固形剤(例えば、錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、丸剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル、ゼラチンカプセル、マイクロカプセルを含む)、散剤、顆粒剤、トローチ剤)等が挙げられる。非経口剤としては、例えば、液剤(例えば、注射剤(皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、点滴剤等)、点眼剤(例えば、水性点眼剤(水性点眼液、水性懸濁点眼液、粘性点眼液、可溶化点眼液等)、非水性点眼剤(非水性点眼液、非水性懸濁点眼液等))等)、外用剤(例えば、軟膏(眼軟膏等)、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、発布剤、リニメント剤等)、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、点鼻剤、坐剤(例えば、直腸坐剤、膣坐剤)等が挙げられる。これらの製剤は、速放性製剤、徐放性製剤などの放出制御剤であってもよい。これらの製剤は公知の方法、例えば日本薬局方に記載の方法等により調製することができる。
【0016】
経口剤としての内服用液剤は、例えば、有効成分を一般的に用いられる希釈剤(例えば、精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化されることにより調製される。内服用液剤はさらに湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
【0017】
経口剤としての内服用固形剤は、例えば、有効成分を賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(例えば、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合し、常法に従って調製される。内服用固形剤は、必要によりコーティング剤(例えば、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよい。コーティング層は2層以上でもよい。
【0018】
非経口剤としての外用剤は公知の方法または通常使用されている処方により調製される。例えば、軟膏剤は有効成分を基剤に研和、または溶融させて調製される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(例えば、アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(例えば、ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(例えば、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(例えば、ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(例えば、親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(例えば、ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(例えば、ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるものが単独でまたは2種以上を混合して用いられる。軟膏剤はさらに保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0019】
ゲル剤は、例えば有効成分を基剤に溶融させて調製される。ゲル基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、低級アルコール(例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等)、ゲル化剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、中和剤(例えば、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、界面活性剤(例えば、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ガム類、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるものが単独でまたは2種以上を混合して用いられる。ゲル剤はさらに保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0020】
クリーム剤は、例えば有効成分を基剤に溶融または乳化させて調製される。クリーム基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸エステル、低級アルコール、炭化水素類、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、高級アルコール(2−ヘキシルデカノール、セタノール等)、乳化剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸エステル類等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるものが単独でまたは2種以上を混合して用いられる。クリーム剤はさらに保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0021】
湿布剤は、例えば有効成分を基剤に溶融させ、練合物とし支持体上に展延塗布して調製される。湿布基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、増粘剤(例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース等)、湿潤剤(例えば、尿素、グリセリン、プロピレングリコール等)、充填剤(例えば、カオリン、酸化亜鉛、タルク、カルシウム、マグネシウム等)、水、溶解補助剤、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるものが単独でまたは2種以上を混合して用いられる。湿布剤はさらに保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0022】
貼付剤は、例えば有効成分を基剤に溶融させ、支持体上に展延塗布して調製される。貼付剤用基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高分子基剤、油脂、高級脂肪酸、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるものが単独でまたは2種以上を混合して用いられる。貼付剤はさらに保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0023】
リニメント剤は、例えば有効成分を水、アルコール(例えば、エタノール、ポリエチレングリコール等)、高級脂肪酸、グリセリン、セッケン、乳化剤、懸濁化剤等から選ばれるものが単独でまたは2種以上に溶解、懸濁または乳化させて調製される。リニメント剤はさらに保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0024】
噴霧剤およびスプレー剤は、公知または通常使用されている処方により調製される。これらは例えば、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。
【0025】
吸入剤は、エアロゾル剤、吸入用粉末剤又は吸入用液剤を包含する。吸入用液剤は用時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁させて使用する形態であってもよい。吸入用液剤は、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(例えば、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(例えば、カリボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤などを必要に応じて使用して調製される。吸入用粉末剤は、滑沢剤(例えば、ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(例えば、デンプン、デキストリン等)、賦形剤(例えば、乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤などを必要に応じて使用して調製される。吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(例えば、アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
【0026】
非経口剤としての注射剤は溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、例えば有効成分を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。注射剤はさらに安定剤、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。注射剤は最終工程において滅菌を経て調製するか無菌操作法によって調製することが好ましく、無菌の固形剤の場合は、例えば凍結乾燥品を調製し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
【0027】
本発明による掻痒治療剤を眼掻痒治療剤として用いるために好ましい投与剤型は、点眼剤、眼軟膏、錠剤等であり、より好ましくは点眼剤または眼軟膏である。これらは汎用されている技術を用いて調製することができる。例えば、点眼剤は、添加物として、等張化剤、緩衝剤、pH調節剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、保存剤等を適宜配合することにより調製できる。また、pH調節剤、増粘剤、分散剤などを添加し、薬物を懸濁化させることによって、安定な点眼剤を得ることもできる。
【0028】
等張化剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ソルビトール、マンニトール等を挙げることができる。
【0029】
緩衝剤としては例えば、リン酸、リン酸塩、クエン酸、酢酸、ε-アミノカプロン酸等を挙げることができる。
【0030】
pH調節剤としては、例えば塩酸、クエン酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ酸、ホウ砂、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を挙げることができる。
【0031】
可溶化剤としては、例えばポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、マクロゴール4000等を挙げることができる。
【0032】
増粘剤、分散剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を、また、安定化剤としては、例えばエデト酸、エデト酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0033】
保存剤(防腐剤)としては、例えば汎用のソルビン酸、ソルビン酸カリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール等が挙げられ、これらの保存剤を組み合わせて使用することもできる。
【0034】
本発明による掻痒治療剤が点眼剤である場合、pHを4.0〜8.5に設定することが望ましく、浸透圧比を1.0付近に設定することが望ましい。
【0035】
掻痒治療剤として用いる場合の有効成分の投与量は症状、年令、剤型等によって適宜選択できるが、経口剤は、好ましくは1mg〜100mg、より好ましくは5mg〜30mgを1日1〜数回(例えば、1〜3回)投与すればよい。点眼剤は好ましくは0.001〜10%(w/v)、より好ましくは0.01〜3%(w/v)の濃度のものを1回量1〜数滴を1日1〜数回(例えば、1〜8回)点眼すればよい。また、眼軟膏は好ましくは0.001〜10%(w/w)、より好ましくは0.01〜3%(w/w)の濃度のものを1日1〜数回(例えば、1〜4回)塗布すればよい。
【0036】
もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。
【発明の効果】
【0037】
眼掻痒抑制試験を実施したところ、4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール 塩酸塩、trans−4−[4−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メトキシ−4−ピリミジニル)−1H−イミダゾール−1−イル]シクロヘキサノール、4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メチルスルフィニルフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール 塩酸塩などのp38MAPキナーゼ阻害剤は、ヒスタミン惹起モデルまたは血小板活性化因子惹起モデルにおいて優れた掻痒抑制効果を発揮するので、眼掻痒、皮膚掻痒、全身性掻痒などあらゆる掻痒の治療剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、薬理試験および製剤例を示すが、これらの例は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0039】
[薬理試験]
ヒスタミン惹起モデルおよび血小板活性化因子惹起モデルを用いて、p38MAPキナーゼ阻害剤の眼掻痒抑制作用を検討した。なお、p38MAPキナーゼ阻害剤は、その代表例として、4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール 塩酸塩(以下「化合物A」とする)、trans−4−[4−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メトキシ−4−ピリミジニル)−1H−イミダゾール−1−イル]シクロヘキサノール(以下「化合物B」とする)、4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メチルスルフィニルフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール 塩酸塩(以下「化合物C」とする)を用いた。
【0040】
(1)ヒスタミン惹起モデルに対する眼掻痒抑制作用
(実験方法)
化合物Aを5.0% Tween80/生理食塩液に0.1%(W/V)の濃度に溶解し、化合物Bを5.0% Tween80/生理食塩液に0.1% (W/V)の濃度に懸濁して、各被験化合物溶液を調製した。
【0041】
各被験化合物溶液を5週齢の雄性Hartley系モルモットの両眼にそれぞれ10 μL/眼ずつ点眼投与し、その15分後にも同一濃度の各被験化合物溶液を点眼投与した(合計2回)。なお、コントロールとして、5.0% Tween80/生理食塩液を用いた。
【0042】
つぎに、2回目の各被験化合物溶液の点眼投与から15分後に、ヒスタミン1.0%(W/V)を溶解した生理食塩液を上記モルモットの両眼にそれぞれ10 μL/眼ずつ点眼投与して眼引っ掻き行動を誘発した。
【0043】
ヒスタミン点眼後のモルモットの行動をビデオ撮影し、1眼ごとに後肢で眼を引っ掻く一連の行動の回数をカウントすることにより眼掻痒を評価した。表1に、ヒスタミン投与後30分間の眼引っ掻き回数(平均値)および眼引っ掻き行動抑制率(平均値)を示す。なお、例数は各8眼である。
【0044】
眼引っ掻き行動抑制率(%)=100−[被験化合物の眼引っ掻き回数]÷[コントロールの
眼引っ掻き回数]×100
【表1】


【0045】
(実験結果)
表1より、化合物A、化合物Bを点眼投与した場合のモルモットの眼引っ掻き回数は、コントロールに比べて著しく減少したので、p38MAPキナーゼ阻害剤は優れた眼掻痒抑制効果を有することが確認された。
【0046】
(2)血小板活性化因子惹起モデルに対する眼掻痒抑制作用
(実験方法)
血小板活性化因子惹起眼掻痒評価モデルは既報の加藤らの方法に従った(J Ocul Pharmacol Ther 2003; 19: 315-324)。化合物Cを超純水に0.01%および0.1%(W/V)の濃度に溶解し、得られた溶液を5週齢の雄性Hartley系モルモットの両眼にそれぞれ10 μL/眼ずつ点眼投与した。その15分後にも同一濃度の化合物C溶液を点眼投与した(合計2回)。なお、コントロールとして超純水を用いた。
【0047】
2回目の化合物C溶液の点眼投与から15分後に、血小板活性化因子0.1%(W/V)を溶解した生理食塩液を上記モルモットの両眼に10 μL/眼ずつ点眼投与して眼引っ掻き行動を誘発した。
【0048】
血小板活性化因子点眼後のモルモットの行動をビデオ撮影し、1眼ごとに後肢で眼を引っ掻く一連の行動の回数をカウントすることにより、眼掻痒を評価した。表2に、血小板活性化因子投与後30分間の眼引っ掻き回数(平均値)および眼引っ掻き行動抑制率(平均値)を示す。なお、例数は各8眼である。


【表2】


【0049】
(実験結果)
表2より、化合物Cを点眼投与したモルモットの眼引っ掻き回数は、コントロールに比べて著しく減少したので、血小板活性化因子惹起モデルにおいてもp38MAPキナーゼ阻害剤は眼掻痒抑制作用を発揮することが確認された。
【0050】
[製剤例]
本発明に用いられる代表的な製剤例を以下に示す。
【0051】
1.点眼剤
以下の処方の点眼剤を汎用される方法を用いて調製する。
【0052】
処方例1
100ml中
化合物A 100mg
濃グリセリン 500mg
ポリソルベート80 1000mg
リン酸二水素ナトリウム二水和物 適量
1N水酸化ナトリウム 適量
塩酸 適量
滅菌精製水 適量
【0053】
処方例1と同様にして、化合物Aを100ml中に10mg、50mg、1000mg含有する点眼剤を調製することができる。
【0054】
2.眼軟膏
以下の処方の眼軟膏を汎用される方法を用いて調製する。
【0055】
処方例2
100g中
化合物C 200mg
流動パラフィン 10g
白色ワセリン 適量
【0056】
処方例2と同様にして、化合物Cの添加量を適宜変えることにより、種々の濃度の眼軟膏を調製できる。


【出願人】 【識別番号】000177634
【氏名又は名称】参天製薬株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市東淀川区下新庄3丁目9番19号
【出願日】 平成17年12月6日(2005.12.6)
【代理人】 【識別番号】100083149
【弁理士】
【氏名又は名称】日比 紀彦

【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助

【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 彰

【識別番号】100069338
【弁理士】
【氏名又は名称】清末 康子

【公開番号】 特開2006−188496(P2006−188496A)
【公開日】 平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願番号】 特願2005−351392(P2005−351392)