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【発明の名称】 フィルムコーティング組成物、その皮膜および錠剤
【発明者】 【氏名】近藤 博之
【住所又は居所】静岡県浜松市新都田一丁目2番2号 フロイント産業株式会社浜松事業所内

【氏名】菖蒲 智之
【住所又は居所】静岡県浜松市新都田一丁目2番2号 フロイント産業株式会社浜松事業所内

【氏名】関川 富士夫
【住所又は居所】静岡県浜松市新都田一丁目2番2号 フロイント産業株式会社浜松事業所内

【氏名】小笠原 利近
【住所又は居所】静岡県浜松市新都田一丁目2番2号 フロイント産業株式会社浜松事業所内

【要約】 【課題】可塑剤を用いなくても、粘着性が改善され、フィルムコーティング性が良好となり、かつ錠剤の臭気を充分に遮蔽でき、酸素遮蔽効果にも優れるフィルムコーティング組成物、その皮膜、および錠剤同士が付着することなく、臭いが少なく、長期保存可能な安定な錠剤を提供する。

【解決手段】ポリビニルアルコールとタルクとを含有し、タルクの含有量が、フィルムコーティング組成物固形分(100質量%)中50〜86質量%であるフィルムコーティング組成物;該フィルムコーティング組成物からなる皮膜;および、該皮膜を有する錠剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコールとタルクとを含有するフィルムコーティング組成物であり、
タルクの含有量が、フィルムコーティング組成物固形分(100質量%)中50〜86質量%である、フィルムコーティング組成物。
【請求項2】
可塑剤を含有しない、請求項1に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項3】
重合度の異なるポリビニルアルコールを2種以上含有し、
ポリビニルアルコールのうち少なくとも1種が、重合度が1000以下のポリビニルアルコールであり、
重合度が1000以下のポリビニルアルコールの割合が、全ポリビニルアルコール(100質量%)のうち50質量%以下である、請求項1に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項4】
脂肪酸エステル類をさらに含有し、
脂肪酸エステル類の含有量が、フィルムコーティング組成物固形分(100質量%)中25質量%以下である、請求項1に記載のフィルムコーティング組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のフィルムコーティング組成物からなる皮膜。
【請求項6】
請求項5に記載の皮膜を有する錠剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤のフィルムコーティングに用いられるフィルムコーティング組成物、該フィルムコーティング組成物からなる皮膜、および該皮膜を有する錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤には、苦みの緩和、臭いの遮蔽、酸素の遮蔽、防湿等を目的として、通常、高分子化合物を用いたフィルムコーティングが施されている。この高分子化合物としては、酸素遮蔽性、防湿性に優れたポリビニルアルコールが注目されている。しかし、ポリビニルアルコールは曳糸性が強いため、その水溶液を用いたスプレーコーティングが困難である。また、ポリビニルアルコールは粘着性が強いため、錠剤同士が付着するという問題もある。
【0003】
フィルムコーティング性に優れ、粘着性が抑えられたフィルムコーティング組成物としては、ポリビニルアルコールと水溶性ポリオキシエチレン類(ポリエチレングリコール等)とを含有するフィルムコーティング組成物(特許文献1)、ポリビニルアルコールと、可塑剤(ポリエチレングリコールまたはグリセリン)と、組成物中9〜45質量%のタルクとを含有するフィルムコーティング組成物(特許文献2)が知られている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載のフィルムコーティング組成物は、ポリエチレングリコール等を含有するため、錠剤に含まれる臭気成分が透過しやすい傾向にあり、臭気成分の遮蔽効果に乏しく、また、錠剤に含まれる薬剤または食品との相互作用が懸念され、使用できる錠剤に制限がある。特許文献2に記載のフィルムコーティング組成物もまた、可塑剤を含有するため、臭気成分の遮蔽効果に乏しく、また、錠剤に含まれる薬剤または食品との相互作用が懸念され、使用できる錠剤に制限がある。
【特許文献1】特開平8−59512号公報
【特許文献2】特表2003−509339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明の目的は、可塑剤を用いなくても、粘着性が改善され、フィルムコーティング性が良好となり、かつ錠剤の臭気成分を充分に遮蔽でき、酸素遮蔽効果にも優れるフィルムコーティング組成物、その皮膜、および該皮膜を有する錠剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフィルムコーティング組成物は、ポリビニルアルコールとタルクとを含有し、タルクの含有量が、フィルムコーティング組成物固形分(100質量%)中50〜86質量%であることを特徴とするものである。
本発明のフィルムコーティング組成物は、可塑剤を含有しないことが好ましい。
【0007】
本発明のフィルムコーティング組成物は、重合度の異なるポリビニルアルコールを2種以上含有し、ポリビニルアルコールのうち少なくとも1種が、重合度が1000以下のポリビニルアルコールであり、重合度が1000以下のポリビニルアルコールの割合が、全ポリビニルアルコール(100質量%)のうち50質量%以下であることが好ましい。
本発明のフィルムコーティング組成物は、脂肪酸エステル類をさらに含有し、脂肪酸エステル類の含有量が、フィルムコーティング組成物固形分(100質量%)中25質量%以下であることが好ましい。
【0008】
本発明の皮膜は、本発明のフィルムコーティング組成物からなるものである。
本発明の錠剤は、本発明の皮膜を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフィルムコーティング組成物、およびその皮膜は、可塑剤を用いなくても、粘着性が改善され、フィルムコーティング性が良好となり、かつ錠剤の臭気成分を充分に遮蔽でき、酸素遮蔽効果にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ポリビニルアルコールとしては、医薬品のフィルムコーティングに用いられるポリビニルアルコールが挙げられ、医薬品添加物規格で規定されたポリビニルアルコール(完全けん化物)および/またはポリビニルアルコール(部分けん化物)が好ましい。また、ポリビニルアルコールとしては、平均重合度300〜2400、けん化度78〜96モル%の部分けん化物がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの市販品としては、(株)クラレ製のポバール各種、日本合成化学工業(株)のゴーセノール各種等が挙げられる。
【0011】
ポリビニルアルコールの含有量は、フィルムコーティング組成物固形分(100質量%)中、14〜50質量%が好ましく、25〜50質量%がより好ましく、29〜49質量%がさらに好ましく、33〜49質量%が特に好ましい。ポリビニルアルコールの含有量を14質量%以上とすることにより、臭気成分の遮蔽効果が充分に発揮される。ポリビニルアルコールの含有量を50質量%以下とすることにより、粘着性が改善され、フィルムコーティング性が良好となる。本発明におけるフィルムコーティング組成物固形分とは、皮膜形成の際に揮発する水等の揮発分を除く成分を意味する。
【0012】
ポリビニルアルコールとして、重合度の異なるポリビニルアルコールを2種以上含有していてもよい。この場合、ポリビニルアルコールのうち少なくとも1種が、重合度が1000以下のポリビニルアルコールであることが好ましい。重合度が1000以下のポリビニルアルコールを含有することにより、重合度1000を超えるポリビニルアルコールのみを含有する場合に比べ、フィルムコーティング性がさらに良好となる。重合度が1000以下のポリビニルアルコールの割合は、全ポリビニルアルコール(100質量%)のうち50質量%以下が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。重合度が1000以下のポリビニルアルコールの割合を50質量%以下とすることにより、得られる皮膜の臭気成分の遮蔽効果および酸素遮蔽効果を充分に確保しつつ、フィルムコーティング性がさらに良好となる。
【0013】
タルクとしては、医薬品または食品の添加剤として用いられるタルクが挙げられ、日本薬局方で規定されたタルクが好ましい。
タルクの含有量は、フィルムコーティング組成物固形分(100質量%)中、50〜86質量%であり、50〜75質量%が好ましく、51〜71質量%がより好ましく、51〜67質量%が特に好ましい。タルクの含有量を50質量%以上とすることにより、粘着性が改善され、フィルムコーティング性が良好となる。タルクの含有量を86質量%以下とすることにより、臭気成分の遮蔽効果が充分に発揮される。
【0014】
ポリビニルアルコールに対するタルクの相対的比率については、ポリビニルアルコール100質量部に対し、タルク100〜600質量部が好ましく、100〜300質量部がより好ましく、102〜250質量部がさらに好ましく、105〜200質量部が特に好ましい。ポリビニルアルコールに対するタルクの比率が上記範囲内であれば、フィルムコーティング性が良好となり、かつ臭気成分の遮蔽効果が充分に発揮される。
【0015】
粘着性を抑制する無機化合物としては、タルクの他に、無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、沈降炭酸カルシウム等の無機化合物が挙げられるが、粘着性の抑制にはタルクが最良である。タルクを除く無機化合物は、フィルムコーティング組成物における含有量を多くすれば、粘着性の抑制効果を発揮する。しかし、タルクを除く無機化合物をフィルムコーティング組成物に過剰に添加すると、得られる皮膜の表面状態が粗雑になる。そのため、皮膜の平滑さが損なわれる、皮膜の上に印刷を施す際、明瞭な印字ができない等の問題が生じる。タルクを除く無機化合物は、タルクの作用を妨げない範囲であれば、タルクと併用してもよい。
【0016】
本発明のフィルムコーティング組成物は、皮膜の外観を損なうことなく、さらにフィルムコーティング性を向上させるために、脂肪酸エステル類を含有してもよい。脂肪酸エステル類を含有することにより、粘着性が改善され、フィルムコーティング性がさらに良好となる。また、得られる皮膜は、臭気成分の遮蔽効果および酸素遮蔽効果を充分に有し、かつ表面状態は平滑である。
脂肪酸エステル類の含有量は、フィルムコーティング組成物固形分(100質量%)中、25質量%以下が好ましく、0.5〜25質量%がより好ましい。
粘着性を抑制する有機化合物としては、脂肪酸エステル類の他に、レシチンを用いることができるが、特有の色、味、臭いを有するため添加量は少量に限られる。
【0017】
本発明のフィルムコーティング組成物には、上述の添加剤の他に、フィルムコーティングに通常用いられる他の添加剤を加えてもよい。他の添加剤としては、植物抽出色素等の着色剤;酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素等の隠蔽剤等が挙げられる。
他の添加剤の含有量は、フィルムコーティング組成物固形分(100質量%)中、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
【0018】
本発明のフィルムコーティング組成物には、可塑剤が実質的に含まれないことが好ましく、可塑剤が全く含まれないことが特に好ましい。「可塑剤が実質的に含まれない」とは、可塑剤の含有量が、臭気成分の透過を助長しない範囲の量であり、かつ錠剤に含まれる薬剤または食品と相互作用を起こさない範囲の量であることを意味し、具体的には、フィルムコーティング組成物固形分(100質量%)中、5質量%未満である。
【0019】
ポリビニルアルコールと相溶性のある可塑剤としては、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリエチレングリコールエーテル、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
【0020】
本発明の皮膜は、本発明のフィルムコーティング組成物を水に加えてコーティング液とし、コーティング装置を用いて基剤上にコーティングして形成されるものである。
コーティング液中のフィルムコーティング組成物固形分の濃度は、5〜30質量%が好ましい。
コーティング装置としては、連続通気式コーティング装置、流動層コーティング装置、パンコーター等が挙げられる。
【0021】
本発明の錠剤は、本発明の皮膜を有するものである。なお、本発明の錠剤は、腸溶性の高分子化合物等からなる皮膜を有する錠剤の表面に、本発明の皮膜を有するものでもよい。また、本発明の皮膜を有する錠剤の表面に、腸溶性の高分子化合物等からなる皮膜を形成してもよい。
錠剤のベースとなる素錠としては、薬剤または食品と、必要に応じて添加される添加剤とを含むものが挙げられる。
本発明は、素錠が臭気を伴う成分を含む場合に特に有効である。臭気を伴う成分としては、にんにくオイル、桂皮油(シナモン油)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)ドコサヘキサエン酸(DHA)、メントール、マスタードオイル、わさびフレーバー、塩酸エチルシステイン等が挙げられる。
【0022】
本発明は、素錠が酸化劣化を伴う成分を含む場合にも有効である。酸化劣化を伴う成分としては、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、リノール酸、リノレン酸等の油脂類;リコピン、カロチン、チアミン塩酸塩、リボフラビン、シアノコバラミン、アスコルビン酸等のビタミン類;バリン、アルギニン、ロイシン、イソロイシン等のアミノ酸類が挙げられる。
フィルムコーティング組成物からなる皮膜の量は、通常、素錠100質量部に対して、約2〜30質量部である。
【0023】
以上説明した本発明のフィルムコーティング組成物にあっては、タルクの含有量が、フィルムコーティング組成物固形分(100質量%)中50質量%以上であるため、ポリビニルアルコールの曳糸性が抑えられ、結果、可塑剤を用いなくても、フィルムコーティング組成物からなるコーティング液を用いたコーティングが可能となる。また、タルクの含有量が、フィルムコーティング組成物固形分(100質量%)中50質量%以上であるため、得られる皮膜の粘着性が抑えられ、該皮膜を有する錠剤同士が付着することがない。また、タルクの含有量が、フィルムコーティング組成物固形分(100質量%)中50〜86質量%であるため、錠剤の臭気成分を充分に遮蔽できる。また、口腔内で速やかに崩壊、溶解するチュアブル錠において、素錠中に揮発性の矯味矯臭効果の成分を配合した場合、保管中の成分の減少が抑えられ、口腔内における効果を長時間持続できる。さらに、本発明の皮膜は、ポリビニルアルコールからなる皮膜であるので、酸素遮蔽性、防湿性に優れ、錠剤の長期保存が可能となる。
【実施例】
【0024】
〔実施例1〕
水94.0質量部に、重合度1700、けん化度87〜89モル%のポリビニルアルコール(以下、PVA−1700と記す。)3.0質量部(固形分中50質量%)、タルク((株)勝光山工業所製、ビクトリライト)3.0質量部(固形分中50質量%)を加え、60℃に加温しながら撹拌して、コーティング液を調製した。
【0025】
臭気成分の遮蔽性を評価するために、以下の臭気のある素錠(以下、臭気錠と記す。)を用意した。
臭気錠:にんにくオイル(食品添加物)を二酸化ケイ素に吸着させ、これを、乳糖、コーンスターチ、結晶セルロース、およびステアリン酸マグネシウムからなる混合粉とともに直接打錠した錠剤(9mmφ、10R)。
【0026】
連続通気式コーティング装置(フロイント産業(株)製、ハイコーターラボ)に、臭気錠330gを仕込み、乾燥皮膜中のポリビニルアルコールが、素錠100質量部に対して3質量部となるように、素錠にコーティング液をスプレーした。コーティングの可否、スプレー速度、作業時間、および得られた皮膜を有する臭気錠についての臭気成分の遮蔽効果を表1に示す。
【0027】
〔実施例2〕
水91.0質量部に、PVA−1700 3.0質量部(固形分中33質量%)、タルク6.0質量部(固形分中67質量%)を加え、60℃に加温しながら撹拌して、コーティング液を調製した。
実施例2のコーティング液について、実施例1と同様にしてコーティングを実施した。コーティングの可否、スプレー速度、作業時間、および得られた皮膜を有する臭気錠についての臭気成分の遮蔽効果を表1に示す。
【0028】
〔実施例3〕
水85.0質量部に、PVA−1700 3.0質量部(固形分中20質量%)、タルク12.0質量部(固形分中80質量%)を加え、60℃に加温しながら撹拌して、コーティング液を調製した。
実施例3のコーティング液について、実施例1と同様にしてコーティングを実施した。コーティングの可否、スプレー速度、作業時間、および得られた皮膜を有する臭気錠についての臭気成分の遮蔽効果を表1に示す。
【0029】
〔実施例4〕
水79.0質量部に、PVA−1700 3.0質量部(固形分中14質量%)、タルク18.0質量部(固形分中86質量%)を加え、60℃に加温しながら撹拌して、コーティング液を調製した。
実施例4のコーティング液について、実施例1と同様にしてコーティングを実施した。コーティングの可否、スプレー速度、作業時間、および得られた皮膜を有する臭気錠についての臭気成分の遮蔽効果を表1に示す。
【0030】
〔実施例5〕
水85.0質量部に、PVA−1700 2.0質量部、重合度500、けん化度87〜89モル%のポリビニルアルコール(以下、PVA−500と記す。)1.0質量部(全ポリビニルアルコールの含有量:固形分中20質量%、PVA−500の割合:全ポリビニルアルコールのうち33質量%)、タルク12.0質量部(固形分中80質量%)を加え、60℃に加温しながら撹拌して、コーティング液を調製した。
実施例5のコーティング液について、実施例1と同様にしてコーティングを実施した。コーティングの可否、スプレー速度、作業時間、および得られた皮膜を有する臭気錠についての臭気成分の遮蔽効果を表1に示す。
【0031】
〔実施例6〕
水85.0質量部に、PVA−1700 1.5質量部、PVA−500 1.5質量部(全ポリビニルアルコールの含有量:固形分中20質量%、PVA−500の割合:全ポリビニルアルコールのうち50質量%)、タルク12.0質量部(固形分中80質量%)を加え、60℃に加温しながら撹拌して、コーティング液を調製した。
実施例6のコーティング液について、実施例1と同様にしてコーティングを実施した。コーティングの可否、スプレー速度、作業時間、および得られた皮膜を有する臭気錠についての臭気成分の遮蔽効果を表1に示す。
【0032】
〔実施例7〕
水83.5質量部に、PVA−1700 2.0質量部、PVA−500 1.0質量部(全ポリビニルアルコールの含有量:固形分中18質量%、PVA−500の割合:全ポリビニルアルコールのうち33質量%)、タルク12.0質量部(固形分中73質量%)、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬(株)製、DKエステル F−70)1.5質量部(固形分中9質量%)を加え、60℃に加温しながら撹拌して、コーティング液を調製した。
実施例7のコーティング液について、実施例1と同様にしてコーティングを実施した。コーティングの可否、スプレー速度、作業時間、および得られた皮膜を有する臭気錠についての臭気成分の遮蔽効果を表1に示す。
【0033】
〔比較例1〕
水94.9質量部に、PVA−1700 3.0質量部(固形分中59質量%)、タルク2.1質量部(固形分中41質量%)を加え、60℃に加温しながら撹拌して、コーティング液を調製した。
比較例1のコーティング液について、実施例1と同様にしてコーティングを実施した。コーティングの可否、スプレー速度、作業時間、および得られた皮膜を有する臭気錠についての臭気成分の遮蔽効果を表1に示す。
【0034】
〔比較例2〕
水94.9質量部に、PVA−1700 1.0質量部、PVA−500 2.0質量部(全ポリビニルアルコールの含有量:固形分中59質量%、PVA−500の割合:全ポリビニルアルコールのうち67質量%)、タルク2.1質量部(固形分中41質量%)を加え、60℃に加温しながら撹拌して、コーティング液を調製した。
比較例2のコーティング液について、実施例1と同様にしてコーティングを実施した。コーティングの可否、スプレー速度、作業時間、および得られた皮膜を有する臭気錠についての臭気成分の遮蔽効果を表1に示す。
【0035】
〔比較例3〕
水93.7質量部に、PVA−1700 3.0質量部(固形分中47.6質量%)、タルク2.7質量部(固形分中42.9質量%)、ポリエチレングリコール6000(三洋化成工業(株)製、マクロゴール6000)(以下、PEG6000と記す。)0.6質量部(固形分中9.5質量%)を加え、60℃に加温しながら撹拌して、コーティング液を調製した。
比較例3のコーティング液について、実施例1と同様にしてコーティングを実施した。コーティングの可否、スプレー速度、作業時間、および得られた皮膜を有する臭気錠についての臭気成分の遮蔽効果を表1に示す。
【0036】
〔比較例4〕
ポリビニルアルコール以外の高分子化合物として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業(株)製、TC−5(RW))(以下、HPMCと記す。)を用意した。水94.0質量部に、HPMC6.0質量部を加え、攪拌してコーティング液を調製した。
比較例4のコーティング液について、実施例1と同様にしてコーティングを実施し、乾燥皮膜中のHPMCが、素錠100質量部に対して3質量部となるように、素錠にスプレーした。コーティングの可否、スプレー速度、作業時間、および得られた皮膜を有する臭気錠についての臭気成分の遮蔽効果を表1に示す。
【0037】
【表1】


【0038】
表中、コーティングの可否については、スプレー速度を最低条件(1g/min)にしたにもかかわらず、作業中に錠剤のピッキングおよびブロッキングが発生する場合を×と評価し、そうでないものを○と評価した。臭気成分の遮蔽効果については、ボランティア6名による官能試験を行い、臭気を感じた人数が1人以下の場合を○、5人以上の場合を×と評価した。
【0039】
(1)フィルムコーティング性:
ポリビニルアルコールを用いた場合、フィルムコーティング組成物固形分中のタルクの含有量が41質量%である比較例1ではコーティングができなかった。タルクの含有量が固形分中50〜86質量%である実施例1〜7では、コーティングは可能であった。
【0040】
(2)臭気成分の遮蔽効果:
実施例1〜7のコーティング液の皮膜を有する臭気錠については、臭気を感じると評価した人はいなかった。それに対し、比較例2〜4のコーティング液の皮膜を有する臭気錠、および皮膜のない臭気錠は、臭気を感じると評価した人が5人以上いた。
【0041】
(3)生産機におけるフィルムコーティング性:
連続通気式コーティング装置(フロイント産業(株)製、ハイコーター100N)に、乳糖、コーンスターチ、およびステアリン酸マグネシウムからなる混合粉を打錠した錠剤(8mmφ、10R)を50kg仕込み、乾燥皮膜中のポリビニルアルコールが、素錠100質量部に対して3質量部になるように、素錠に実施例3、実施例5、実施例7のコーティング液をスプレーした。スプレー速度、および作業時間を表2に示す。
【0042】
【表2】


【0043】
実施例5のように、重合度が1000以下のポリビニルアルコールを用いること、また、実施例7のように、さらにショ糖脂肪酸エステルを添加することで、フィルムコーティング性が、さらに向上した。
【0044】
(4)酸素遮蔽効果:
酸素遮蔽効果を評価するため、以下の酸化劣化が起こる素錠(以下、酸化劣化錠と記す。)を用意した。
酸化劣化錠:リノール酸をデキストリンに吸着させ、これを、ソルビトール、結晶セルロース、二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムからなる混合粉とともに直接打錠した錠剤(8mmφ、10R)。
【0045】
連続通気式コーティング装置(フロイント産業(株)製、ハイコーターラボ)に、酸化劣化錠を330g仕込み、乾燥皮膜中のポリビニルアルコールが、素錠100質量部に対して3質量部になるように、素錠に実施例3、実施例5、比較例2、比較例3のコーティング液をスプレーした。スプレー速度、および作業時間は表1と同様の結果となった。
【0046】
実施例3、実施例5、比較例2および比較例3で得られた皮膜を有する酸化劣化錠、および皮膜のない酸化劣化錠を、40℃に設定した恒温器内に開封状態で保存した。そして、酸化劣化錠中のリノール酸の過酸化物価を経時的に測定し、過酸化物価が20を超えるまでの期間を評価した。結果を表3に示す。過酸化物価測定法は、衛生試験法・注解(日本薬学会編)に準拠して行った。
【0047】
【表3】


【0048】
実施例3、実施例5では、過酸化物価の増加が認められず、酸素の遮蔽効果が良好であった。それに対し、比較例2および素錠では6日目に過酸化物価が20を超える結果となった。また、PEG6000を添加した比較例3では、素錠より速い4日目に過酸化物価が20を超え、PEG6000とリノール酸との相互作用が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のフィルムコーティング組成物は、医薬品、健康食品、食品等の錠剤の皮膜として有用であり、特に、臭気成分を含む錠剤、および可塑剤との相互作用が懸念される成分を含む錠剤の皮膜として有用である。
【出願人】 【識別番号】000112912
【氏名又は名称】フロイント産業株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿六丁目8番1号
【出願日】 平成17年11月28日(2005.11.28)
【代理人】 【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄

【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義

【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子

【公開番号】 特開2006−188490(P2006−188490A)
【公開日】 平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願番号】 特願2005−341790(P2005−341790)