| 【発明の名称】 |
皮膚疾患治療剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】篠田 直樹 【住所又は居所】奈良県生駒市高山町8916番−16 参天製薬株式会社内
【氏名】細井 一弘 【住所又は居所】奈良県生駒市高山町8916番−16 参天製薬株式会社内
【氏名】生頼 敏己 【住所又は居所】奈良県生駒市高山町8916番−16 参天製薬株式会社内
【氏名】平井 慎一郎 【住所又は居所】奈良県生駒市高山町8916番−16 参天製薬株式会社内
【氏名】井本 兼史 【住所又は居所】奈良県生駒市高山町8916番−16 参天製薬株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】5−[4−(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンまたはその塩の新たな医薬用途を探索すること。
【解決手段】5−[4−(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンまたはその塩は、皮膚刺激性試験およびアトピー性皮膚炎試験において優れた治療効果および予防効果を発揮するので、接触性皮膚炎、乾皮症、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の治療剤または予防剤として有用である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 5−[4−(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンまたはその塩を有効成分として含有する皮膚疾患の治療剤または予防剤。 【請求項2】 皮膚疾患が接触性皮膚炎、乾皮症またはアトピー性皮膚炎である請求項1記載の皮膚疾患の治療剤または予防剤。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、5−[4−(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンまたはその塩を有効成分として含有する接触性皮膚炎、乾皮症、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の治療剤または予防剤に関する。 【背景技術】 【0002】 皮膚は、人体の表面を蔽い、外界との境となっている。皮膚の疾患としては、例えば接触性皮膚炎、乾皮症、アトピー性皮膚炎などが挙げられる。接触性皮膚炎は、皮膚に接触する外界物質の機械的刺激、化学的刺激などに起因して生じる皮膚の炎症であり、乾皮症は、皮脂および汗の分泌が減退し、皮膚が乾燥して粗ぞうとなり光沢を失う症状である。また、アトピー性皮膚炎は、食物アレルギー、家塵、ダニなどが原因となってアトピー素因の個体に発生する湿疹様変化であり、重篤化すると感染症に罹患しやすくなる。このような皮膚疾患を患った場合、自然治癒による回復を待っていたのでは長期を要し、また、かゆみや痛みも継続することから、疾患部位に治療剤を投与するなどして積極的に皮膚疾患の治癒を促進させることが望ましい。 【0003】 一方、特許文献1には、5−[4−(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンは優れた血糖下降作用を有し、糖尿病、高血糖症、糖尿病合併症、高脂血症などのインスリン抵抗性に起因する疾病や骨関節炎、リウマチ性関節炎などの炎症性疾患の治療薬として有効であることが開示され、また、特許文献2および特許文献3には、上記化合物の塩酸塩の溶解性が、そのフリー体(塩を形成していない化合物)よりも顕著に改善される結果、優れた経口吸収性を発揮することが開示されている。 【0004】 しかしながら、上記化合物の接触性皮膚炎、乾皮症、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患に対する薬理作用を検討する報告はない。 【特許文献1】特許第2976885号公報 【特許文献2】特開2001−39976号公報 【特許文献3】特開2002−220336号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 5−[4−(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンおよびその塩の新たな医薬用途を探索することは非常に興味ある課題である。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者等は、上記化合物の新たな医薬用途を探索すべく鋭意研究を行ったところ、皮膚刺激性試験およびアトピー性皮膚炎試験において、上記化合物が皮膚疾患に対して優れた改善効果および予防効果を発揮することを見出し、本発明に至った。 【0007】 すなわち、本発明は、5−[4−(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオンまたはその塩を有効成分として含有する接触性皮膚炎、乾皮症、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の治療剤または予防剤である。 【0008】 本発明の5−[4−(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(以下「本化合物」という)は、下記化学構造式[1]で示される縮合複素環化合物である。本化合物の塩は、医薬として許容される塩であれば特に制限はなく、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸との塩、酢酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸等の有機酸との塩などが挙げられる。より好ましい塩は、塩酸塩である。また、本化合物の第四級アンモニウム塩も本発明における塩に包含される。さらに、本化合物に幾何異性体または光学異性体が存在する場合には、それらの異性体も本発明の範囲に含まれる。なお、本化合物は水和物および溶媒和物の形態をとっていてもよい。 【化1】
【0009】 本発明における皮膚疾患としては、例えば接触性皮膚炎、乾皮症、アトピー性皮膚炎などが挙げられる。 【0010】 本発明の皮膚疾患の治療剤または予防剤は、汎用されている技術を用いて製剤化することができる。その製剤形態としては、軟膏剤、ゼリー剤、パップ剤、貼付剤、ローション剤、クリーム剤、スプレー剤、エアゾール剤、硬膏剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤などを例示でき、また、適当な溶剤を選定することにより、液剤としても使用できる。また、皮膚疾患の治療剤または予防剤を調製するために、その剤形に応じて充填剤、賦形剤、基剤、崩壊剤、増量剤、結合剤、皮膜剤、滑沢剤、着色剤、pH調整剤、可溶化剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤、防腐剤、界面活性剤、抗酸化剤、分散剤、乳化剤、溶解剤、溶解補助剤などを添加できる。 【0011】 上記製剤用の担体としては、例えば、白色ワセリン、流動パラフィン、ゲル化炭化水素、セチルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、コーンスターチ、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プラスティベースハイドロフィリック、ゼラチン、デキストリン、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、メトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルエーテル、ビニルピロリドンを構成成分とする重合体・共重合体、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、塩化ベンザルコニウム、オリーブ油、ツバキ油、ダイズ油等の油脂類、乳糖、水などが挙げられる。 【0012】 本発明の皮膚疾患の治療剤または予防剤は、疾患部位や疾患の程度に応じて各種の形態で投与できる。例えば外用剤として使用する場合は、本剤を皮膚などの所要部位(患部)に直接塗布、噴霧または貼付することが望ましい。 【0013】 本発明の皮膚疾患の治療剤または予防剤の投与量は、症状、年令、剤型等を考慮して適宜選択でき、本化合物およびその医薬として許容される塩類が、通常1日当たりいずれも0.001〜5000mg、好ましくは0.01〜1000mg、1回または数回に分けて、投与される。 【発明の効果】 【0014】 後述する皮膚刺激性予防効果試験の結果から明らかなように、5−[4−(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(本化合物)は、刺激性物質による皮膚反応発現に対して優れた抑制作用を示し、その作用効果は比較化合物である5−[p−[(1−メチルシクロヘキシル)メトキシ]ベンジル]−2,4−チアゾリジンジオン(シグリタゾン)よりも優れている。また、皮膚刺激性改善効果試験の結果より、皮膚に本化合物を塗布すれば、表皮剥離の発現を効果的に改善できる。このように、本化合物は、皮膚疾患の治療効果および予防効果を有し、その効果は対照薬剤であるシグリタゾンよりも優れていることが明らかとなった。 【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 以下に、製剤例および薬理試験の結果を示すが、これらの例は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。 【0016】 [薬理試験] (1)紅斑を指標とする皮膚刺激性予防効果試験 モルモット(Hartley)の側腹部被毛を剃毛して1匹につき2ヶ所の塗布部位を形成し、一方に白色ワセリンを、他方に5−[4−(6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン(本化合物)の1%軟膏(本化合物1%+白色ワセリン99%)を1日2回開放塗布した。その翌日、各塗布部位に刺激性物質である10%ラウリル硫酸ナトリウム軟膏を開放塗布し、誘発される皮膚反応(紅斑)を指標として皮膚刺激性の予防効果を検討した。比較として、本化合物の代わりに、チアゾリジンジオン骨格を有する既知化合物である5−[p−[(1−メチルシクロヘキシル)メトキシ]ベンジル]−2,4−チアゾリジンジオン(以下、「比較化合物」とする)の1%軟膏を1日2回開放塗布し、その他の点は上記と同様に操作した。 【0017】 紅斑を指標として10%ラウリル硫酸ナトリウム軟膏塗布後より経時的(26時間後、48時間後、72時間後)に皮膚反応の観察を行い、Draize法(J. Pharmacol. Exp. Ther., 83: 377-390 (1944))の皮膚反応判定基準に準じ、各群の皮膚反応を評価した。具体的な判定基準は、下記の通りである。 【0018】 判定基準 0:紅斑なし 1:目視で確認できる程度のごく軽度の紅斑 2:明らかな紅斑 3:中等度から強い紅斑 4:深紅色の強い紅斑に軽い痂皮を形成 【0019】 表1に、紅斑を指標とする皮膚刺激性予防効果試験の結果を示す。また、図1は、10%ラウリル硫酸ナトリウム軟膏塗布26時間後の1%本化合物軟膏の塗布部位と白色ワセリンの塗布部位の紅斑の程度の差を示す写真である。この写真から、1%本化合物軟膏の塗布部位(左側)より白色ワセリンの塗布部位(右側)の方における紅斑が著しいことがわかる。 【0020】 なお、表中の平均値は1群各4例の平均値であり、紅斑スコアーが低いほど、皮膚刺激性の予防効果が大きいことを示す。 【表1】
【0021】 [結果] 本化合物を用いて皮膚を前処置すれば、ラウリル硫酸ナトリウムによる皮膚刺激作用を顕著に抑制し、その作用は比較化合物よりも優れていた。 【0022】 (2)表皮剥離を指標とする皮膚刺激性予防効果試験 紅斑を指標とする皮膚刺激性予防効果試験と同様の実験操作を行った後、10%ラウリル硫酸ナトリウム軟膏塗布後より経時的(48時間後、72時間後)に表皮の観察を行い、各群の表皮剥離の発現頻度を評価した。 【0023】 表2に、表皮剥離を指標とする皮膚刺激性予防効果試験の結果を示す。なお、表中の発現頻度は1群各4例の結果である。 【表2】
【0024】 [結果] 本化合物を用いて皮膚を前処置すれば、ラウリル硫酸ナトリウム塗布後の表皮剥離を顕著に抑制し、その作用は比較化合物よりも優れていた。 【0025】 (3)表皮剥離を指標とする皮膚刺激性改善効果試験 モルモット(Hartley)の側腹部被毛を剃毛して1匹につき2ヶ所の塗布部位を形成し、各塗布部位に刺激性物質である10%ラウリル硫酸ナトリウム軟膏を開放塗布した。その翌日に、一方に白色ワセリンを、他方に1%本化合物軟膏(本化合物1%+白色ワセリン99%)を1日2回開放塗布した。10%ラウリル硫酸ナトリウム軟膏塗布後より経時的(48時間後、72時間後)に表皮の観察を行い、各群の表皮剥離の発現頻度を評価した。 【0026】 表3に、表皮剥離を指標とする皮膚刺激性改善効果試験の結果を示す。なお、表中の発現頻度は1群各4例の結果である。 【表3】
【0027】 [結果] 本化合物を用いて皮膚を後処置すれば、ラウリル硫酸ナトリウム塗布後の表皮剥離を抑制した。 【0028】 (4)アトピー性皮膚炎試験 アトピー性皮膚炎に対する改善効果は、以下に示すNagaiらの手法(J. Pharmacol. Exp. Ther., 283: 321-327 (1997))に修正を加えた方法で評価した。 【0029】 週に1回(火曜日)、4週間にかけて5回、マウスの両耳介の両面に0.15%DNFB溶液25μLを塗布して皮膚炎を惹起した。1%本化合物軟膏(本化合物1%+白色ワセリン99%)、白色ワセリンを初回DNFB塗布の前日から5回目塗布前日までの間、週5回(月曜日から金曜日)、計21回、マウス耳介の片面あたり25μLずつ両耳介の両面に塗布することにより投与した。5回目のDNFB溶液塗布直後、マウスに0.2%Evans Blue溶液を尾静脈より注射し、色素尾静脈注射2時間後(塗布2時間後)、色素漏出部位であるマウスの耳介を摘出し、色素抽出液にて色素を抽出した。ついで、抽出した色素の吸光度を測定し、得られた吸光度より漏出色素量を算出することにより皮膚炎に対する本化合物の作用を評価した。 【0030】 表4に、5回目DNFB塗布2時間後の漏出色素量の平均値および漏出色素量抑制率を示す。 【0031】 漏出色素量抑制率=(1−[本化合物軟膏群の漏出色素量]÷[白色ワセリン群の漏出色素量])×100 【表4】
【0032】 [結果] 本化合物を用いて皮膚を処置した群におけるDNFB塗布後の漏出色素量は、白色ワセリン群に比べて著しく減少するので、本化合物はアトピー性皮膚炎の治療剤および予防剤として有用である。 【0033】 [製剤例] 本発明の代表的な製剤例を以下に示す。 【0034】 処方例1(軟膏A−1) 1g中 本化合物 10mg 流動パラフィン 200mg 白色ワセリン 適量 【0035】 本化合物の添加量を変えることにより、濃度が0.01%(w/w)(軟膏A−2)、0.1%(w/w)(軟膏A−3)、3%(w/w)(軟膏A−4)、10%(w/w)(軟膏A−5)の軟膏を調製できる。 【0036】 処方例2(軟膏B−1) 1g中 本化合物 10mg アスコルビン酸 2mg 流動パラフィン 200mg 白色ワセリン 適量 プラスティベースハイドロフィリック 適量 【0037】 本化合物の添加量を変えることにより、濃度が0.01%(w/w)(軟膏B−2)、0.1%(w/w)(軟膏B−3)、3%(w/w)(軟膏B−4)、10%(w/w)(軟膏B−5)の軟膏を調製できる。 【図面の簡単な説明】 【0038】 【図1】図1は紅斑を指標とする皮膚刺激性予防効果試験の結果を示す写真であって、10%ラウリル硫酸ナトリウム軟膏塗布26時間後のモルモット皮膚の1%本化合物軟膏の塗布部位(左側)と白色ワセリンの塗布部位(右側)における紅斑の程度の差を示すものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000177634 【氏名又は名称】参天製薬株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市東淀川区下新庄3丁目9番19号
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| 【出願日】 |
平成17年8月26日(2005.8.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083149 【弁理士】 【氏名又は名称】日比 紀彦
【識別番号】100060874 【弁理士】 【氏名又は名称】岸本 瑛之助
【識別番号】100079038 【弁理士】 【氏名又は名称】渡邊 彰
【識別番号】100069338 【弁理士】 【氏名又は名称】清末 康子
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| 【公開番号】 |
特開2006−182758(P2006−182758A) |
| 【公開日】 |
平成18年7月13日(2006.7.13) |
| 【出願番号】 |
特願2005−245107(P2005−245107) |
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