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【発明の名称】 角質細胞(corneocyte)タンパク質を含有する組成物
【発明者】 【氏名】グリーン,ハワード

【氏名】ドジアン,フイリップ

【要約】 【課題】角質細胞タンパク質を含有する化粧用組成物の提供。

【解決手段】角質細胞タンパク質またはそのポリペプチド断片からなる哺乳動物の皮膚、毛および/または爪に対する局所適用に関する。タンパク質またはポリペプチドを、皮膚、毛、爪等に適用できるように設計されている香粧的に許容しうるビヒクル中にこのタンパクやポリペプチドを分散させる。有効量のタンパクまたはポリペプチドを含有する局所的香粧組成物を適用して哺乳動物の皮膚、毛または爪の上に保護層を形成する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
香粧的に許容しうるビヒクル中に少なくとも1つの角質細胞タンパク質またはポリペプチドを含むことを特徴とする哺乳動物の皮膚、毛または爪に局部適用するために適する化粧用組成物。
【請求項2】
角質細胞タンパク質は、インボルクリン、ロリクリン、コルニヒン、トリコヒアリン、サイエリンおよびプロフィラグリンよりなる群から選ばれる、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
タンパク質は組換え型法により生成される、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
タンパク質またはポリペプチドのアミノ酸配列を改変させた、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
異なるタンパク質分子間に架橋の形成を引き起こす架橋剤を更に含む請求項1記載の組成物。
【請求項6】
架橋剤は酵素である請求項5記載の組成物。
【請求項7】
酵素はトランスグルタミナーゼである、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
カルシウムイオンを更に含む請求項7記載の組成物。
【請求項9】
タンパク質はその相の一つの中に含有される連続相および不連続相を有するエマルジョンを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
エマルジョンは、異なるタンパク質分子間に共有結合の形成を引き起こす架橋剤を更に含む、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
架橋剤はタンパク質により占有されない相中に含有される、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
香粧的に許容しうるビヒクルは、クリーム、ゲル、エマルジョン、スキンオイル、マニキュア液またはローションを形成する成分を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
香粧的に許容しうるビヒクル中に皮膚、毛または爪の角質層に存在する外部に露出したタンパク質間に架橋を形成しうる架橋剤を含むことを特徴とする哺乳動物の皮膚、毛または爪に対する局部適用に適する組成物。
【請求項14】
架橋剤は、タンパク質のアミノ酸残基間に架橋を形成する外部架橋剤からなる、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
架橋剤はタンパク質の分子間に共有結合の生成を引き起こす酵素からなる、請求項13記載の組成物。
【請求項16】
酵素はトランスグルタミナーゼである、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
カルシウムイオンを更に含む請求項16記載の組成物。
【請求項18】
香粧的に許容しうるビヒクルおよび保護層を形成するために十分な量の角質細胞タンパク質またはポリペプチドを含む局部適用に適する化粧用組成物を皮膚、毛または爪に塗布することを特徴とする哺乳動物の皮膚、毛または爪の上に保護層を与える方法。
【請求項19】
タンパク質はインボルクリン、ロリクリン、コルニフィン、トリコヒアリン、サイエリンおよびプロフィルラグリンよりなる群から選ばれる請求項18記載の方法。
【請求項20】
タンパク質は、組換え型方法により生成される請求項18記載の方法。
【請求項21】
タンパク質またはポリペプチドは修飾された、請求項18記載の方法。
【請求項22】
組成物は架橋剤を更に含む請求項19記載の方法。
【請求項23】
香粧的に許容しうるビヒクルおよびそれにより保護層を形成するタンパク質またはポリペプチドの分子間に架橋の形成を引き起こしうる量の架橋剤を含む局部適用に適する化粧用組成物を皮膚、毛または爪に適用することを特徴とする哺乳動物の皮膚、毛または爪の上に保護層を与える方法。
【請求項24】
架橋剤はトランスグルタミナーゼである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
組成物はクリーム、ゲル、エマルジョン、スキンオイル、ローションまたはマニキュア液からなる請求項23記載の方法。
【請求項26】
修飾角質細胞タンパク質またはポリペプチド。
【請求項27】
角質細胞タンパク質またはポリペプチドは、インボルクリン、ロリクリン、コルニフィン、トリコヒアリン、サイエリンおよびプロフィラグリンよりなる群から選ばれる請求項26記載の修飾タンパク質またはポリペプチド。
【請求項28】
修飾は、タンパク質またはポリペプチドの少なくとも1つのアミノ酸を誘導体化することからなる請求項26記載の修飾角質細膜タンパク質またはポリペプチド。
【請求項29】
組換え型方法により生成される請求項26記載の修飾タンパク質またはポリペプチド。
【請求項30】
修飾タンパク質またはポリペプチドが、天然源のタンパク質またはポリペプチドのアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有する請求項29記載の修飾タンパク質またはポリペプチド。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は角質細胞タンパク質を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
表皮は、多数の細胞層からなる重層上皮である。表皮の主要な細胞の型はケラチノサイトである。ケラチノサイトにより、皮膚の物理的および化学的傷害に対する抵抗性および水に対する不浸透性が付与される。これらの機能は、プログラムされた細胞の死となる「角質細胞(corneocyte)」と呼ぶ、ケラチノサイトの最外層により主として行なわれる。角質細胞は、体内の他の細胞には全く見出されない特殊な被膜に囲まれたケラチンフィラメントの骨格構築からなる。この被膜は、分子間イソペプチド結合により安定化されたタンパク質(「角質細胞タンパク質」)よりなる(Rice and Green(1977),cell11:417−422)。この結合は、酵素、カルシウム活性化ケラチノサイトトランスグルタミナーゼにより導入される(Rice and Green(1979),cell18:681−694)。皮膚が老化すると、表皮はその物理的な抵抗が減少するにつれて萎縮する。
【0003】
表皮の基底層は、増殖するケラチノサイトを含む。ケラチノサイトが基底層を離れるとき、それらは終末の分化を受け始める。それらが顆粒層に達すると、ケラチノサイト内のカルシウムイオン濃度が上昇し、その結果トランスグルタミナーゼが活性化する。この段階で原形質膜の真下に位置する被膜前駆物質のタンパク質は、トランスグルタミナーゼにより架橋された(Rice and Green(1979),;Greenberge等.(1991)FASEB55:3071−3077)そして生成する被膜は、洗剤や還元剤が存在しても完全に不溶性になる(Green(1977),Cell11:405−416;Hohl(1990),Dermatologica180:201−211)。例えケラチンフィラメントがジスルフィド結合により安定化されても、洗剤と還元剤の組合せにより溶解され得るから、この被膜は皮膚の最も抵抗性のある構造である。トランスグルタミナーゼおよびその架橋体もまた、毛髪および爪の中に存在する(Rice et al.,Keratinocyte Handbook,)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本発明は、角質細胞タンパク質またはそのポリペプチド断片からなる哺乳動物の皮膚、毛および/または爪に対する局所適用に適する組成物に関する。タンパク質またはポリペプチドを、皮膚、毛または爪に有効に適用できるように設計されている香粧的に許容しうるビヒクル中にこのタンパクやポリペプチドを分散させる。有効量のタンパク質またはポリペプチドを含有する局所的香粧組成物を適用して哺乳動物の皮膚、毛または爪の上に保護層を形成する方法も本発明の目的である。
【0005】
別法として、本組成物は、角質細胞のタンパク質に対して特異的である、すなわち角質層中に既に存在する角質細胞のタンパク質の間に架橋を形成するかまたは架橋を引き起こす架橋剤を含んでもよい。架橋剤は、化学薬剤であって、タンパク質のアミノ酸側鎖中に存在する2個以上の官能基と反応し、異種タンパクのアミノ酸の間に架橋を形成するものでよい。グルタルアルデヒドのような、化学架橋剤は、それ自身一般に架橋中にとり入れられる。別のものとして、架橋剤はトランスグルタミナーゼのような酵素であってもよく、本酵素は、隣接するポリペプチドのグルタミンとリシン残基との間に架橋を生成させる。
【0006】
本発明の組成物および方法に使用するのに好ましい角質細胞タンパク質としては、インボルクリン、ロリクリン、コルニフィン、トリコヒアリン、サイエリン、プロフィラグリンおよびケラトリニンおよび/またはこれらのタンパク質のポリペプチド断片が挙げられる。タンパク質またはポリペプチドは、天然源のものまたは組換え体であってもよい。タンパク質またはポリペプチドは、必要に応じて、隣接するポリペプチド間に結合を形成する化学架橋剤または酵素を使用して架橋してもよい。場合によっては、タンパク質またはポリペプチドは、例えば、タンパク質またはポリペプチド鎖中の1個以上のアミノ酸を化学的に誘導または置換して修飾してもよい。そのような修飾により、選ばれた応用のためにタンパク質またはポリペプチドに特定の性質を付与するように設計することができる。
【0007】
好ましい実施態様では、1つ以上の角質細胞のタンパク質またはポリペプチドを含有する組成物を皮膚、毛または爪に適用してそこに保護層を形成する。そのタンパク質またはポリペプチドを架橋して保護層を形成してもよい。この目的のために、好ましくはタンパク質またはポリペプチドの分子間にイソペプチド結合の形成を誘起しうる架橋剤が組成物中に包含される。別の実施態様においては、架橋剤だけからなる組成物を適用することにより、皮膚、毛または爪の中に既に存在するタンパク質の架橋を行なう。架橋剤の存在により、皮膚の中で自然に生じる角質細胞の被膜に類似した架橋タンパク質の網目構造を生成させる。タンパク質の網目構造は皮膚、毛または爪に保護層を形成し、物理的、環境的または化学的障害から皮膚、毛または爪を保護するのに役立つ。加湿剤または日焼け止め剤のような特定の保護剤は、場合によっては化粧用組成物中に含まれてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
詳細な説明
本発明の組成物および方法に有用なタンパク質は、角質細胞およびそのポリペプチド断片を含む。好ましい角質細胞としては、例えば、インボルクリン、ロリクリン、コルニフィン、トリコヒアリン、サイエリン、プロフィルアグリンおよびケラトリニンが挙げられる。インボルクリンは、例えば、Rice and Green(1979),同;およびBanks−Schlegel and Green(1981)J.Cell Biol.,90:732−737に記述されている。ロリクリンは、例えば、Mehrel等.(1990)Cell61:1103−1112;およびSteven等.(1990)J.Struct.Biol.104:150−162に記述されている。コルニフィンは、例えば、Marvin等(1992)PNAS89:11026−11030に記述されている。トリコヒアリンは、例えば、Fietz(1990)J.Cell Biol.,110:427−436に記述されている。サイエリンは、例えば、Kvedar等.(1992)Differentiation49:195−204に記述されている。プロフィルアグリンは、例えば、Markova等(1993)Mol.and Cell Biol.,13:613−625に記述されている。ケラトリニンは、例えば、Zettergren等.(1992)PNAS81:238−242に記述されている。天然源または組換え体タンパク質またはポリペプチドが使用できる。
【0009】
組成物は、香粧的に許容しうるビヒクル中に有効量の1つ以上の角質細胞タンパク質またはポリペプチドを含む。この組成物は、哺乳動物の皮膚、毛および/または爪に対する局所適用に適するように処方される。好ましい実施態様では、組成物は更に架橋剤を含む。架橋剤は、化学的架橋剤、例えば、ポリペプチド鎖中のアミノ酸とイオン結合または共有結合を形成しうる官能基を有する二官能性または多官能性化合物でありうる。架橋剤はまた、タンパク質またはポリペプチドの分子間に結合の形成を引き起こしうる酵素でありうる。酵素は、この目的のために好ましい物質である。特に好ましい酵素は、隣接するポリペプチドのグルタミニル残基とリシル残基との間にイソペプチド結合を形成するカルシウム−活性化したケラチノサイトトランスグルタミナーゼ(以後、「トランスグルタミナーゼ」と略記する)である。トランスグルタミナーゼは好ましくは、酵素を酵素的に活性にするのに十分な濃度のカルシウムイオンと一緒に組成物に添加する。トランスグルタミナーゼと一緒にまたはそれに続いて皮膚、毛または爪に適用される角質細胞タンパク質は、皮膚、毛または爪の外層に架橋され、それにより保護層を生成するか、または角質層の保護性を高める。
【0010】
本発明の別の好ましい実施態様では、トランスグルタミナーゼを含む組成物を皮膚、毛または爪に適用する。トランスグルタミナーゼ組成物は、酵素を活性化するためにカルシウムイオン源を含有するのが望ましい。別法として、カルシウムイオンはトランスグルタミナーゼ組成物の適用後に使ってもよい。トランスグルタミナーゼの適用およびカルシウムイオンによるその活性化は皮膚、毛または爪の角質層中に存在する角質細胞タンパク質を架橋し、それにより所望の架橋層を生成する。
【0011】
トランスグルタミナーゼおよび被膜前駆物質のタンパク質は、天然源から抽出することができるがち適当な宿主細胞にてコードしているcDNAを発現させてそれらを生成することが好ましい。さまざまな宿主、例えば、細菌細胞、酵母、哺乳動物の細胞または組換え体バクロウイルス(baculovirus)で感染させた昆虫の細胞を使用して、組換え体タンパク質を製造してきた。角質細胞タンパク質をコードする遺伝子は入手可能である。例えば、ヒトのインボルクリンを(Eckert and Green,(1986)Cell46:583−589)、ヒトロリクリン(Hohl等.(1991).Biol.Chem.,266:6626−6636)、およびヒトコルニフィン(Marvin等,同.)をコードする相補的DNA(cDNA)が単離されて配列された。ヒトのケラチノサイトトランスグルタミナーゼをコードするcDNAは、Phillips等.(1990)PNASUSA87:9333−9337に記述されている。
【0012】
バクロウイルスは、本発明のタンパク質を生成するために現在好ましい宿主である。バクロウイルスは、必要ならば、タンパク質の正しいプロセシングと一緒に最高水準の組換え体タンパク質の生産を提供すると思われる。バクロウイルスを使用して組換え体タンパク質を生成する方法は、例えば、Piwnica−WormsによりCurrent Protocols in Molecular Biology,Sections 16.8〜16.11,JohnWiley and Sons,New York,N.Y.(1990)に記述されている。cDNAの発現のために最も広く使用されているバクロウイルスは、Autographa Californicaであり、カリホルニア州サンジェゴのインビトロゲン社から市販されている。この系においては、cDNAは、ポリヘドリン(polyhedrin)遺伝子中のバクロウイルス転移ベクトル中へサブクローンされる。SF9またはSF21昆虫細胞は、組換え体転移ベクトルおよび野生型ウイルス性DNAと共にコトランスフェクションされる。5〜10%の転移ベクトルがプラークの形態学により示されるように野生型ウイルスによって相同組換えを受ける。組換え体プラークは単離されて、ウイルスは大規模に生育させる。ウイルス性のポリヘドリンプロモーターの調節下に発現された遺伝子が全細胞のタンパク質の半分以上の原因となり得、組換え体タンパク質の生成速度は1mg〜500mg/lの培養物の範囲に及ぶことが報告された(Piwnica−Worms(1990),ibid)。この方法により生成された組換え体タンパク質は、例えばゲル濾過およびイオン交換クロマトグラフィーにより精製できる。
【0013】
タンパク質またはポリペプチドは、望むならば、修飾してもよい。そのような修飾としては、例えば、タンパク質またはペプチドの1個以上のアミノ酸を化学的に誘導体化すること、またはアミノ酸配列を変えることである。これらの修飾は、タンパク質またはポリペプチドに選ばれた性質を付与するために、例えば、それらを更に水溶性にしたり、または化学的、環境的または酵素的な攻撃に対し更に抵抗的にするために使用できる。例えば、選ばれたアミノ酸官能基は誘導体化および/または架橋することができ、それにより劣化に対するタンパク質の抵抗性を向上できる。
【0014】
組成物中の角質細胞タンパク質またはポリペプチドの量は、皮膚、毛または爪に保護層を与えるのに十分な量である。その量は、処方および所望の性能により変化する。一般に、約0.1〜約90重量%タンパク質またはポリペプチドの量がたいてい場合十分である。組成物が架橋剤だけを含む場合は、組成物中に含まれる架橋剤の量は、角質層中に存在する角質細胞タンパク質間に架橋の形成を引き起こすために十分な量である。トランスグルタミナーゼを使用する場合、カルシウムイオン源もまたその酵素の適用と共にまたは引き続いて使用されなければならない。
【0015】
タンパク質またはポリペプチドを含有する組成物は、皮膚、毛および/または爪に対する局所適用に適している香粧的に許容しうるビヒクルを更に含む。この目的のために、この組成物は、例えば、クリーム、ゲル、エマルジョン、液体、懸濁液、マニキュア液、スキンオイルまたはローションを得るために適合させた成分を含んでもよい。組成物中に含んでもよい成分としては、例えば、加湿剤、収れん剤、フィルム形成材料、界面活性剤、エモリエント、湿潤剤、日焼け止め剤、顔料その他のタンパク質および/または繊維が挙げられる。そのような成分の例としては、単量体のグリコール、例えば、プロピレングリコール、エチルアルコール、グリセリンおよびブチレングリコール、ポリグリセリルメタクリレート、パルミチン酸エステルおよびステアリン酸エステルの誘導体のような重合体の加湿剤のような各種ヒドロキシル化化合物、ラノリン、植物油または鉱物油、およびワックスが挙げられる。
【0016】
ビヒクルの性質は、組成物の局所投与のために選ばれた方法によって決まる。ビヒクルはそれ自身不活性でよいしまたは、それ自身の生理学的なまたは薬学的な利点を持ちうる。この目的のためのビヒクルの選択は、組成物の所望の製品形態に依存して広範囲の可能性を与える。
【0017】
本発明の目的のために、ビヒクルは、適当な濃度で皮膚、毛および/または爪の上に均等に適用および分布できる、タンパク質またはポリペプチド用の希釈剤、分散剤、または溶媒として作用しうる物質である。ビヒクルは、好ましくは皮膚上に保護層の生成を助けることができるものである。ビヒクルは、組成物の1〜99.9999%、好ましくは50〜99.5%そして理想的に90〜99%(重量)を構成しうる。
【0018】
組成物中に使用可能であるエモリエントとしては、例えば、ステアリルアルコール、モノリシノール酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ミンク油、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン−2−オール、イソセチルアルコール、パルミチン酸セチル、ジメチルポリシロキサン、セバシン酸ジ−n−ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ゴマ油、ココナツ油、落花生油、ひまし油、アセチル化ラノリンアルコール、石油、鉱油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチルが挙げられる。
【0019】
使用可能である湿潤剤としては、例えば、グリセリン、ソルビトール、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、可溶性コラーゲン、フタル酸ジブチル、ゼラチンが挙げられる。
【0020】
フィルム形成性材料としては、例えば、アクリル系重合体、ニトロセルロース重合体、酢酸エチル樹脂、酢酸ブチル樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、およびさまざまな他の重合体および共重合体を挙げることができる。
【0021】
顔料としては、例えば、二酸化チタン、雲母、酸化鉄、バリウムレーキ、カルシウムレーキ、アルミニウムレーキ、オキシ塩化ビスマス、ジルコニウムレーキおよび酸化カルシウムを挙げることができる。
【0022】
本発明の組成物に使用できる他の材料としては、溶媒、増粘剤および粉体が挙げられる。
これらの各々の例は、次のようである
【0023】
溶媒としては、水、エチルアルコール、トルエン、塩化メチレン、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、ひまし油、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルホルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランを挙げることができる。
【0024】
増粘剤としては、デンプン、アラビアガムのようなガム類、カオリンその他の粘土、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、カルボキシビニル重合体、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたは他のセルロース誘導体、モノステアリン酸エチレングリコールおよびアルギン酸ナトリウムを挙げることができる。
【0025】
粉体としては、チョーク、タルク、酸性白土、コロイド二酸化ケイ素、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキルおよび/またはトリアルキルアリールアンモニウムスメクタイトおよび化学的に変性されたケイ酸アルミニウムマグネシウムを挙げることができる。
【0026】
本発明に係る組成物は、場合によっては消費者に受容しうる使用に好ましい組成物にするために十分な量の芳香剤を含んでもよい。普通は、芳香族は組成物の約0.01〜10重量%を含む。
【0027】
タンパク質安定化剤も組成物中に含まれてもよい。例えば、皮膚はタンパク質を少なくとも部分的に壊変する天然プロテアーゼを含有する。したがって、プロテアーゼ阻害剤のようなタンパク質安定化剤の存在はタンパク質を保護できる。タンパク質安定化剤の例としては、例えば、グリセロール、エチレンジアミン四酢酸、システイン、およびα−マククログロブリン、α−アンチトリプシン、ロイプチン、ペプスタチン、アンチペイン、およびシスタチンのようなプロティナーゼ阻害剤が挙げられる。シスタチンは表皮中に天然に存在していて、この目的のために特に有用である。
【0028】
本発明の組成物は、好ましくは1つ以上の界面活性剤を含む。用語「界面活性剤」は、水−空気または水−油の界面で水の表面張力を減少させることにより、水に添加したとき、別の物質中により容易に浸透することをもたらすか、またはその表面上に広げることをもたらす界面活性剤を言う。「界面活性剤」は、水または水溶液に溶解したとき、表面張力を減少させる任意の化合物を意味する。
【0029】
この目的のための界面活性剤の選択は、この技術分野において知られている広範囲の可能性を示す。界面活性剤の好ましい例としては、次のものが挙げられる。
(i)脂肪酸の金属またはアルカノールアミン塩のようなアニオン界面活性剤、例えばラウリン酸ナトリウムおよびオレイン酸トリエタノールアミン;
アルキルベンゼンスルホン、例えばトリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネート;
硫酸アルキル、例えばラウリル硫酸ナトリウム;
アルキルエーテル硫酸塩、例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウム(2〜8EO);
スルホコハク酸塩、例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;
硫酸モノグリセリド、例えばグリセリルモノステアリン酸モノ硫酸ナトリウム;
イソチオネート、例えばナトリウムイソチオネート;
メチルタウリド、例えばIgepon T;
アシルサルコシネート、例えばナトリウムミリスチルサルコシネート;
アシルペプチド、例えばMayponsおよびLamepons;
アシルラクチレート、
ポリアルコキシル化エーテルグリコレート、例えばトリデセス−7カルボン酸;
リン酸塩、例えばジラウリルリン酸ナトリウム。
(ii)アミン塩のようなカチオン界面活性剤、例えばサパミン塩酸塩;
第四級アンモニウム塩、例えばQuaternium 5,Quaternium 31 およびQuaternium 18;
(iii)イミダゾール化合物のような両性界面活性剤、例えばMiranol;
コカミノプロピオン酸ナトリウムおよびアスパラギン誘導体のような、N−アルキルアミノ酸;
ベタイン、例えばコカミドプロピルベタイン。
(iv)脂肪酸アルカノールアミドのようなノニオン界面活性剤、例えばオレイックエタノールアミド;
エステルまたはポリアルコール、例えばSpan;
ポリグリセロールエステル、例えばC12〜C18脂肪酸および1個または数個の水酸基でエステル化されたもの;
ポリアルコキシル化誘導体、例えばポリオキシ:−ポリオキシエチレンステアレート;
エーテル、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル;
エステルエーテル、例えばTween;
アミンオキシド、例えばココナツおよびドデシルジメチルアミンオキシド。
上記の界面活性剤の2またはそれ以上の混合物が本発明に係る組成物に使用できる。
【0030】
本発明の組成物は、皮膚を構成するタンパク質成分を含んでもよい。本明細書中に使用される用語「皮膚を構成するタンパク質」は、植物または野菜源に対抗し、そして皮膚に実在する、動物または海洋源から誘導された天然タンパク質を包含する。そのような動物タンパク質としては、例えば、フィブロネクチンのような高分子糖タンパク質が挙げられる。他の有用な動物タンパク質としては可溶性コラーゲン、加水分解された動物コラーゲン、ケラチン、筋のある筋肉繊維またはそれらの抽出物、加水分解または部分的に加水分解されたエラスチン、加水分解された絹、および可溶性レチクリンが挙げられる。皮膚を構成するタンパク質成分は、単一タンパク質生成物のみならず、混合物からなりうる。
【0031】
本発明の範囲内のスキンケア組成物としては、1つ以上の収れん剤を挙げることができる。そのような薬剤としては、例えば、アルニカの花またはそれらの抽出物、低級アルキルアルコール、アメリカマンサク、ホウ酸、乳酸、メトール、樟脳、フェノールスルホン酸亜鉛、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、および塩化亜鉛または硫酸亜鉛が挙げられる。多くの目的のために、天然生成物、例えば、アルニカ抽出物は、特に、加水分解された海産タンパク質および/または例えば大麦および他の穀物から抽出できる野菜タンパク質のような、タンパク質性物質との組合せが好ましい。
【0032】
本発明の組成物は、望むならば、セルロース系皮膜形成剤を含有してもよい。セルロース系皮膜形成剤としては、海洋源から得ることができるキチンのような多糖類が挙げられる。セルロース系皮膜形成剤成分の構造は、主に単糖反復単位、キチンの場合にはN−アセチル−D−グリコサミンを含有することでムコ多糖成分の構造と区別される。
【0033】
望むならば、組成物はUV−AおよびUV−B放射線フィルター、日焼け止め剤、フリーラジカル遮断剤、ビタミン抽出物、および酸化防止剤を含有してもよい。
【0034】
上記の成分に加えて、本発明のスキンケア組成物は、香粧的に許容しうる防腐剤、消毒剤、顔料または着色剤、芳香剤、マスキング剤、および組成物の粘度を調節するための成分も含めて、水および低級アルキル、例えばC〜Cアルコールのような担体を含有してもよい。
【0035】
整髪用ローションの形の組成物は、水溶液、アルコール溶液または水/アルコール溶液のアニオン、ノニオンまたはカチオン重合体を混合してもよい。
【0036】
本発明の範囲内の組成物中のさまざまな成分の量は、広い範囲にわたって変化し得、香粧的に有効量が存在することだけが必要である。一般に、主要な加湿剤は、組成物の重量に関して約0.25〜10%、望ましくは約0.3〜5%を構成してもよい。皮膚を構成するタンパク質は、組成物の重量に関して約0.05〜8%、望ましくは約0.05〜2.0%を構成してもよい。収れん剤、例えば海洋および野菜タンパク質と組合されたアルニカは、組成物の重量に関して約0.1〜5%、好ましくは約0.1〜0.25%を構成してもよい。
【0037】
タンパク質を含有する本発明の組成物は、いくつかの異なる方法のどれにおいても人間の皮膚、毛髪および/または爪に適用できる。例えば、基質のタンパク質を含有する組成物は適用されて、架橋が望まれるならば、酵素(必要ならば、カルシウムイオンと共に)を続いて使用することができる。代わりに、架橋剤は適用に先立って組成物に添加してもよい。別の実施態様においては、組成物は、酵素(およびカルシウムイオン)が異なる層中にタンパク質の基質と別個に保持されて、2つの試薬が各々を含有する小滴として皮膚または毛に適用されて合体されてそれらの成分が融合して混合されることになるエマルジョンとして適用することができる。なお別の実施態様において、角質細胞タンパク質に対して特異な架橋剤を含有する組成物が皮膚、毛または爪に適用され、それによって皮膚、毛または爪の角質層中に既に存在する角質細胞タンパク質の架橋を引き起こす。トランスグルタミナーゼを使用するならば、カルシウム源がこの酵素の適用と一緒にまたは引き続いて適用される。
【0038】
本発明の組成物および方法は、天然の皮膚の角質層の保護能力をまねる、または高めることができる皮膚、毛または爪の上に保護層を形成しうる化粧用組成物を提供する。皮膚、毛および爪に、特に架橋した状態で天然に存在する角質細胞タンパク質の使用は、環境的損傷から皮膚および毛を保護できる抵抗層を形成することを可能にする。本発明の角質細胞タンパク質組成物は、例えば、クリームまたはローション、シャンプーまたはヘアゲル、爪のつや出しまたはマニキュア液として適用でき、またはファウンデーションメーキャップ処方箋中に含ませることができる。そのような化粧用組成物に対する模範的な処方は、例えば、
「happi」(家族および個人製品産業)新聞の処方集の項、および当業者に周知の他の情報源で容易に入手できる。
【0039】
本発明の次の実施例により更に説明する。
実施例
次の実施例において、インボルクリンを人間のケラチノサイトから抽出し、精製し、顆粒分画に架橋されるようになる能力について試験した(Simon and Green(1985)Cell40:677−683から)。
ケラチノサイト顆粒に架橋することに関する基質として比較したインボルクリンと他の細胞ゾルタンパク質
培養したケラチノサイトおよび線維芽細胞を〔35S〕標識したメチオニンの存在下に成長させ、細胞ゾルタンパク質を含有する粗抽出物を各細胞型から調製した。ケラチノサイトから調製した抽出物を免疫親和性カラムを通過させてインボルクリンを除去した。架橋を可能にする条件下に、標識した細胞ゾルタンパク質またはインボルクリンと非標識ケラチノサイト顆粒とのインキュベーション後に、顆粒を遠心分離し、調製緩衝液で2回洗浄し、そしてSDS2%とメルカプトエタノール5%の溶液で1回洗浄した。ペレットを緩衝液中に懸濁してゲル電気泳動装置の試料室へ注いだ。電気泳動後如何なる残留非架橋タンパク質も除去し、ゲルの上部を切り取って計数した。ケラチノサイトタンパク質は、ほぼ同一の親和性によってどちらかの細胞型の標識した細胞ゾルタンパク質と混合することができた(図1A)。1時間以内に、全標識済みタンパク質の約2%が顆粒分画に架橋した。
【0040】
ケラチノサイトの標識したインボルクリンを含まない細胞ゾルを次いで、ケラチノサイトの顆粒に架橋されるようになる能力について精製した標識したインボルクリンと比較した(図1B)。インボルクリンは最初は4〜5倍により効果的であって、80分以内に10%凝集体に架橋されるようになった。線維芽細胞顆粒および線維芽細胞顆粒と細胞ゾルの混合物は、インボルクリンをSDS不溶性重合体に架橋することが不可能であった。
【0041】
インボルクリンは、顆粒に架橋することにおいて他の細胞ゾルタンパク質よりも好ましかったが、優先因子はプトレシン標識化に対して観察されたものよりも小さかった。それゆえ、非標識細胞ゾルタンパク質が、架橋においてインボルクリンと競合できるかどうかを決定することは関心を引くことである。表皮ケラチン細胞の顆粒を〔35S〕インボルクリンとそして非標識インボルクリンまたはインボルクリンを含まない細胞ゾルタンパク質と共にインキュベートした。図2に見られるように、非標識インボルクリンは標識したインボルクリンと有効に競合して、標識した生成物の生成を50%以上減少させた。さらに高い濃度のインボルクリンを含まない細胞ゾルは、標識したインボルクリンの架橋に顕著な減少を及ぼさなかった。
【0042】
重合したインボルクリンを含有するより小さな凝集体の生成
インボルクリンの大きな凝集体に架橋することが、ゆっくり起こりうる。ケラチノサイトの顆粒を〔35S〕インボルクリンと30分間インキュベートしたとき、いろいろな大きさのインボルクリン含有重合体が生成することが見出された。これらの重合体の若干が可溶性のままであって、15,000×gで15分間遠心分離して顆粒から分離した。電気泳動にかけたとき、これらの重合体を含有する上澄み液は、およそ200kdおよび300kdに対応するバンドを示した。一層小さな重合体は、一般に一層豊富であった。これらのタンパク質(タイプIの重合体)は、インボルクリンのホモポリマーである。
【0043】
遠心分離した顆粒には、2種類の重合体がある。100℃のSDSを2%とメルカプトエタノールを5%含有する溶液で抽出して再遠心分離したとき、タイプIIの重合体は可溶性になり、そしてタイプIIIの重合体は沈降可能であるのに十分な大きさのままであった。タイプIIの重合体は、4時間電気泳動後でさえ5%アクリルアミドゲルに入らなかったので、400kdよりも大きい分子量を持っていた。タイプIIおよびIIIの重合体中の架橋したインボルクリンの割合は、インボルクリンの濃度にかかっている。低濃度では、標識したインボルクリン重合体の30〜50%は、タイプIIの重合体であった(図3)。標識したインボルクリンの一層高い濃度では、ほとんど全ての重合体はタイプIIIの重合体であった。これは、タイプIIの重合体がタイプIIIの前駆物質であることを示唆する。
【0044】
顆粒の架橋におけるインボルクリンの役割
トランスグルタミナーゼがCa++の導入により無傷のケラチノサイト中で活性化されるとき、細胞膜中に内在するインボルクリンのみならずタンパク質も架橋されるようになる(Simon and Green(1984)Cell36:827−834)。これらのタンパク質の架橋におけるインボルクリンの役割を試験するために、顆粒分画のタンパク質の試験管内の架橋に関するインボルクリンの影響を試験した。
【0045】
培養したケラチノサイトを〔35S〕標識したメチオニンの存在下に成長させて、標識した顆粒分画を単離した。この分画を次いで架橋条件下にインキュベートして、標識のSDS不溶性架橋物質中への混入を測定した(表1)。架橋した物質の感知できるバックグラウンドがインキュベーションに先立って存在した。この架橋は培養の間に起こり、若干の架橋した被膜が自発的に生成するとき、その数は培養の経過と共に増加した。架橋条件下の顆粒分画のインキュベーションの間に、一層多くのタンパク質が架橋されるようになった。標識した顆粒に対するインボルクリンの添加は、架橋した標識したタンパク質の量の一層の増加を生じた。同一濃度(または25倍までの高い濃度)のインボルクリンを含まない細胞ゾルタンパク質の添加は、そのような効果を持たない。これは、インボルクリン以外の可溶性タンパク質は顆粒分画のタンパク質を架橋できるが、平均の細胞ゾルタンパク質は顆粒タンパク質の架橋を促進するインボルクリンの特異な能力を共有しないことを示す。
【0046】
議論
先に示したように、ケラチノサイトの架橋した被膜は、結合した膜と細胞ゾル成分の混合物から組立てられると思われる(Rice and Green(1979)Cell18:681−684;Simon and Green(1984)ibid)。ケラチノサイトから純粋な膜分画を得ることが困難のために、この研究に使用された検定は、天然のままの顆粒を使用した。しかしながら、顆粒中に存在して架橋を受けたタンパク質は、会合された膜であることを示した(Simon and Green(1985)ibid)
【0047】
ここに証明したように、ケラチノサイトの顆粒分画は、しかし線維芽細胞から調製した類似の分画ではないが、細胞ゾルタンパク質を架橋して試験管内で凝集体を作ることができる。2種類の細胞の型の間のこの相違は、ケラチノサイトのトランスグルタミナーゼは主として顆粒に結合するが(Thacher and Rice(1983)Fed.Proc.42(7):1925 Abstr 980)、一方線維芽細胞のそれは主としてサイトゾルに結合するという事実に相関する。この相関関係は、ケラチノサイト線維芽細胞または他の細胞型のそれとは異なるトランスグルタミナーゼを有するという発見により依然としてさらに顕著にされる(Phillips et al.(1990)PNAS87:9333−9337)。SDS中で不溶性にされてポリアクリアミドゲルに入ることを不可能にされた如何なる細胞ゾルタンパク質も、顆粒分画内のタンパク質に架橋することが想定される。先に示したように、195kdおよび210kdの膜タンパク質は、Ca++に対し透過可能にされた無傷の細胞中で架橋されるようになり(Simon and Green(1984)ibid);これらのタンパク質の各々の50%以上もまた本明細書中に記載した再生系中でSDS不溶性になった。
【0048】
トランスグルタミナーゼは、プトレシンおよび他のアミンを単量体のタンパク質に結合することができる(Clark等.(1950)Arch.Biochem.Phys.,79:338−354;Folk and Chung(1973)Adv.Enzymol.38:109−191)。事実、インボルクリンが先ず同定される細胞ゾル酵素の存在下にアミン受容体として作用することはその能力によるものであった(Rice and Green(1979)ibid)。本研究は、ケラチノサイトの顆粒分画は、インボルクリンのアミン標識化を接触することが細胞ゾルよりもずっと効率的であることを示す。プトレシンとの反応において、顆粒トランスグルタミナーゼは、少なくとも80倍の率だけ平均の細胞ゾルタンパク質に対するインボルクリンよりも、基質として、好ましい。これは、若干のプトレシン標識したインボルクリンが、多分凝集体に架橋されて検出をまぬがれるから、多分過小評価である。インボルクリンのアミノ酸分析から、全残基の45%がグルタミンのグルタミン酸から構成されることが分かる(Rice and Green(1979)ibid)。他の研究は、インボルクリン分子の少なくとも一部において、ただグルタミンだけが残基の約25%について責任を持つことを示した。インボルクリンのほとんど15%が、カゼインおよびモデル基質中のグルタミン残基を架橋することの重要な隣接物であることが知られている、ロイシン残基からなる(Gorman and Folk(1984)J.Biol.Chem.,259:9007−9010)。インボルクリンが大部分の他のタンパク質よりも良好なトランスグルタミナーゼ基質であることが、多分これらに対する理由である。
【0049】
ケラチノサイトを、大きな不溶性凝集体を生成するために架橋に関してインボルクリンと他の細胞ゾルタンパク質を区別する能力について試験したとき、僅かに5またはそれ以下の係数だけであるが、それらは他のタンパク質よりもインボルクリンの方を取る。比較的低い数字についてはいくつかの説明が可能である。その一つは、試験管内で、インボルクリンはそれが架橋しなければならない顆粒タンパク質に関して厳密に置かれ得なくて、その系の真実の選択率が表わされないことである。第2の可能性は、それらの両方がトランスグルタミナーゼ活性のために必要である、特にCa++と遊離SH基の存在下に、インボルクリンが試験管内でタンパク質分解を受けることである。架橋条件下のインキュベーション後に、残留する可溶性インボルクリンは、しばしばゲル電気泳動においてぼやけバンドを生じる。分子の無傷性は、それのプトレシン受容体として作用するための能力よりも顆粒に対するタンパク質の架橋のために一層重要である。最後に、それのプトレシンに結合する能力は、インボルクリンがイソペプチド結合を形成することに関してアミン受容体として作用することを示すけれども、他の細胞ゾルタンパク質は、アミン供与体として作用しうる。この可能性は、顆粒に架橋することに関して、他の細胞ゾルタンパク質は、標識したインボルクリンに対して競合者として効果がないという事実と一致する(図2)。
【0050】
ケラチノサイト中の全細胞ゾルタンパク質の総計濃度は、インボルクリンのそれよりも約25倍高い。細胞の架橋に関してインボルクリンに対する優先係数が僅か5倍であるならば、インボルクリンは架橋した被膜に対する細胞ゾルの貢献の僅か約20%だけに責任を持つことを期待してもよかった。しかしながら、試験管内のケラチノサイト顆粒による細胞ゾルタンパク質の架橋は、約5mg/ml(約65mg/mlの細胞ゾルタンパク質濃度よりもずっと低い)のタンパク質濃度で飽和する。架橋の最高割合が、試験管内で試験した最高インボルクリン濃度(0.6mg/ml)に達しなくても、架橋したインボルクリンの量は、他の全ての細胞ゾルタンパク質に対する飽和値と等しかった。試験管内の架橋した他の細胞ゾルタンパク質とインボルクリンの割合が、無傷の細胞内でのそれらの挙動を反映するならば、被膜に対するインボルクリンの貢献は、全細胞ゾル貢献の50%よりも小さくはなかったであろう。
【0051】
ケラチノサイト中で、架橋系は著しく発達して末端分化の最終段階において血漿膜の下にある実質的な被膜を生成する。細胞ゾルタンパク質インボルクリンは、被膜の質量に貢献するだけでなくたぶん血漿膜と関連させられるであろう他のタンパク質の重合もまた促進する。他の細胞ゾルタンパク質は、この機能の中でインボルクリンを置換することはできない(表1)。このように、インボルクリンはまたは血漿膜に被膜を固定することを助けることができる。
【0052】
表1、試験管内の顆粒分画のタンパク質の架橋および試験管内のインキュベーション後の重合体の形の全〔35S〕の中のインボルクリン%の影響

インボルクリンを
実験番号 バックグ タンパク質 含まない細胞ゾル インボルクリン
ラウンド★ の添加なし タンパク質の添加 の添加
(2.0 μg) (2.0 μg)

1 4.4 7.2 7.0 11.8
2 2.0 9.3 9.2 12.5
3 0.4 8.8 8.7 11.0
4 0.8 10.4 10.5 12.9
5 1.9 7.4 10.7

★ インキュベーションに先立って無傷の細胞中で重合した。
【0053】
標識したケラチノサイトから調製しかつ50μgのタンパク質を含有する顆粒分画を、架橋条件下に30分間インキュベートした。反応が終結した後、顆粒は先ず調製緩衝液で、次いでメルカプトエタノールを含有するSDSの溶液で洗浄した。残存する未重合物質も電気泳動により取り出し、積層ゲル中に残留する重合体を計数した。EDTAまたはシスタミンのどちらかの存在下にインキュベートした対照は、バックグラウンドを越える増加を全く示さなかった。
【0054】
方法および材料
細胞の培養
ヒトのケラチノサイト(株N)を、致死的に照射した3T3細胞(Rheinwald and Green(1975)Cell6:317−330)の存在下に、Eagleの媒地とHamのF−12媒地(Ham(1965)Proc.Natl.Acad.Sci.USA53:288−293)のDulbecco−Vogt変形の3:1混合物を使用して生育させた。サブリメントは次のようであった。胎児の子牛血清、10%;ヒドロコルチゾン、0.4μg/ml;インスリン、5μg/ml;トランスフェリン、5μg/ml;トリヨードチロニン、2×10−0M;コレラゲン、10−10M;およびアデニン、1.8×10−4M(Peehl and Ham(1980)In Vitro16:526−538;Wu等.(1982)Cell31:693−703)。インキュベーション後最初の3日に、Savage and Cohen(1972)(J.Biol.Chem.,247:7609−7611)に従って調製した表皮成長因子(EGF)を培地に10ng/mlまで添加した(Rheinwald and Green(1977)(Nature265:421−424)。ヒトの線維芽細胞および3T3細胞を胎児の子牛血清10%または子牛血清10%で補なったEagleの培地のDulbecco−Vogt変形中で、それぞれ生育させた。全培養をCOを10%含有する雰囲気中で37℃でインキュベートし、培地を週に2回変えた。
【0055】
顆粒および細胞ゾルの調製
集合まで生育したケラチノサイトまたは線維芽細胞を氷冷した0.6mM HEPES、pH7.4;0.15M NaCl;0.4mg/mlウシ血清アルブミン;0.2mMフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF);10mMε−アミノカプロン酸;10mMフッ化フェニルスルホニル(PMSF);10mM EDTA;および1mM MgClで2回洗浄した。次いで懸濁液をBranson Sonifierによって6のセッティングで5回爆発させて音波壊変し、顆粒および細胞ゾルを1,000,000×gで30分間遠心分離した。線維芽細胞およびケラチノサイト顆粒を次いで調製緩衝液で2回洗浄し、30,000×gおよび15,000×gでそれぞれ遠心分離した。
【0056】
タンパク質の精製および抗血清の調製
インボルクリンをRice and Green(1979)ibid、またはEtoh等.(1986)BiochemBiophys.Res.Comm.,136:51−56のどちらかによって精製した。タンパク質の濃度をLowry等(1951),J.Biol.Chem.,193:265−275の手順により測定した。2つの方法により調製したインボルクリンのバッチは見分けがつかなかった。
抗血清を調製するために、100μgのインボルクリンを50%Freundの完全アジュバンドを含有する等張緩衝液に溶解して、ウサギに皮内注射した。50%Freud 不完全アジュバント中に50μgのインボルクリンを含有するブースター注入液を、そのあと4週間ごとに注入した。動物は、各ブースター注入後1週間で耳から採血した。
【0057】
インボルクリンを含まない細胞ゾルの調製
インボルクリンを含まない細胞ゾルを、セファロース4B(ファルマシア)に結合した抗インボルクリン抗体のカラムを使用してアフィニティクロマトグラフィーにより得た。免疫グロブリン画分を先ず、40%飽和の硫酸アンモニウムでインボルクリン抗血清を沈殿させて調製した。沈殿した免疫グロブリン画分を等張リン酸緩衝液1lに対して3回透析した。インボルクリンに対し特異的な抗体は、次いでインボルクリンに結合したセファロース4Bのカラムを使用してアフィニティクロマトグラフィにより得た。カラムは0.1M重炭酸ナトリウム1.5mlに溶解した300μgのインボルクリンを使用して調製し、そして0.1M重炭酸ナトリウムおよび0.5M塩化ナトリウムを含有する溶液に対して透析した。インボルクリン溶液は、次いで0.3gのCNBr活性化セファロースに添加し、結合は製造業者の推奨に従って行った。インボルクリン抗血清から得た免疫グロブリン画分1.0mlをインボルクリン・セファロースのカラムに1.0ml容積で添加した。コラムは次いで、0.5M NaClを含有する、pH7.5、20mM Tris−HClの6容積で洗浄した。抗インボルクリン抗体は、この洗浄で検出されなかった。特異的に結合した抗体は、次いで0.1Mグリシン−塩酸塩で溶離した。溶離液のイムノブロット分析は、抗体活性の30%が回復したことを示した。抗インボルクリン抗体カラムを調製するために、溶離した抗体(213μg)を10分以内に1M NaOHで中和して、上記のようにセファロースに結合させた。結合は67%効果的であった。
【0058】
他の細胞ゾルタンパク質からインボルクリンを分離するために、未分画細胞ゾルを抗インボルクリン抗体を含有するカラムに0.5ml容積で添加し、カラムを調製緩衝液で洗浄した。イムノブロット分析により測定したとき、このカラムは、1mgの細胞ゾルタンパク質中に含有するインボルクリンの99.98%以上を取り出すことができた。インボルクリンを0.1Mグリシン−塩酸塩、pH2.5でカラムから溶離して中和した。溶離液の電気泳動分析は、インボルクリンバンド中に存在するタンパク質は全体の95%以上の原因となることを示した。
【0059】
架橋検定
全実験を、調製緩衝液を含有する50μlの反応容積中で37℃で実施した。架橋は、10mMの最終濃度までCaClを添加して活性化した。対照は、20mM EDTAおよびCaClなし、または20mMシスタミンのどちらかを含有した。
2つの型の検定を使用した。その第1は、タンパク質に対する〔H〕プトレシンの共有架橋を測定した(Folk and Cole,(1966)Biochim.Biophys.Acta122:244−264)。外来の基質(普通に使用されるカゼインのような)は添加しなかった。受容体タンパク質は、全ての場合に、インボルクリンまたは他の細胞タンパク質であった。いくつかの実験において、全トリクロロ酢酸沈殿性物質中へのプトレシンの混入を決定した。沈殿物を10%氷冷トリクロロ酢酸で4回洗浄し、水酸化ナトリウムで溶解し、計数に先立って塩酸で再酸性化した。この検定は、凝集体中へ混入だけでなく可溶性タンパク質の両方を測定した。可溶性タンパク質だけの中へ混入するために(精製インボルクリンまたは細胞ゾルタンパク質の混合物のどちらか)、反応生成物を電気泳動させ、ゲルを固定して10%酢酸−メタノールで一夜洗浄した。ゲルは次いでEnhance(New England Nuclear)で処理し、乾燥して−70℃でX−OMat ARフィルムによってフルオログラフィーして別々のタンパク質バンドに標識付けして示すか、または各分離レーンを削除し、Econofluor(New England Nuclear)中の3%Protosol中で37℃で一夜インキュベートし、そして計数した。
【0060】
第2の架橋検定は、標識化インボルクリン、標識化細胞ゾルタンパク質、または標識化顆粒タンパク質から重合体の凝集体の生成を測定した。反応に続いて、試料はウシ血清アルブミン(BSA)を含有する調製緩衝液で2回、そして100℃の2%SDSおよび5%メルカプトエタノールで1回洗浄した。最終遠心分離後、ペレットをLaemml;試料緩衝液中に懸濁していかなる残留単量体タンパク質も30mAで約4時間5%アクリルアミドゲルを通して電気泳動させて除去した。積層ゲルおよび分離するゲルの頂部(1mm)をカットし、Protosolで処理して計数した。トランスグルタミナーゼ接触反応に対して予期されたように(Clark等.(1959)ibid;Folk and Chung(1973)ibid;Lorand等.(1978)J.Supramol.Struct.,:427−440)、架橋はカルシウムイオンの存在によって決定し、シスタミン、ヒスタミン、エタノールアミン、またはプトレシンにより阻害された。これらの架橋反応の各々に対するカルシウムの見掛けのKは、0.1〜0.2mMであった。
【0061】
同等物
本明細書に具体的に開示されたものに加えて本発明の他の実施態様およびそれらに同等であるものは、当業者には容易に明らかであろう。そのような同等物は、次の請求の範囲の範囲内に包含されることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の角質細胞タンパク質と含有する組成物は、例えば局所的香粧組成物として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】微粒子に対するインボルクリンの優先的な架橋を示すグラフであって、図1Aは、線維芽細胞(黒丸)とケラチノサイト(三角)の細胞ゾルタンパク質の架橋の比較であり;図1Bは、ケラチノサイト(三角)とインボルクリン(白丸)の細胞ゾルタンパク質の架橋の比較である。
【図2】微粒子に対する架橋において他の細胞ゾルタンパク質がインボルクリンと競争不能であることを示すグラフであり;ケラチノサイトはインボルクリンの量を増加させ乍ら(丸)および非標識インボルクリン非含有細胞ゾル(三角)と共にインキュベートした。
【図3】ケラチノサイト粒子に結合した架橋インボルクリンの洗剤溶解度を示すグラフであり;ケラチノサイト粒子はインボルクリンの量を増加させながら架橋条件下にインキュベートし、次いでドデシル硫酸ナトリウム(SDS)中で煮沸した。可溶性のタイプIIの重合体を黒丸で示し、不溶性のタイプIIIの重合体は白丸で示した。
【出願人】 【識別番号】505233251
【氏名又は名称】グリーン,ハワード
【識別番号】505233550
【氏名又は名称】ドジアン,フイリップ
【出願日】 平成17年7月20日(2005.7.20)
【代理人】 【識別番号】100066692
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓

【識別番号】100072040
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇

【識別番号】100088926
【弁理士】
【氏名又は名称】長沼 暉夫

【識別番号】100090804
【弁理士】
【氏名又は名称】歌門 章二

【公開番号】 特開2006−182756(P2006−182756A)
【公開日】 平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願番号】 特願2005−210160(P2005−210160)