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【発明の名称】 皮膚外用剤、皮膚症状の改善方法、皮膚症状の診断方法、ガレクチン7発現促進物質のスクリーニング方法
【発明者】 【氏名】上林 博明
【住所又は居所】東京都墨田区本所一丁目3番7号 ライオン株式会社内

【氏名】田中 良昌
【住所又は居所】東京都墨田区本所一丁目3番7号 ライオン株式会社内

【氏名】小竹 由紀
【住所又は居所】東京都墨田区本所一丁目3番7号 ライオン株式会社内

【要約】 【課題】皮膚症状を改善する皮膚外用剤、皮膚症状の改善方法、皮膚症状の診断方法、および皮膚症状の改善に用いて有効なガレクチン7発現促進物質のスクリーニング方法を提供する。

【解決手段】皮膚中のガレクチン7の存在量を増大させる成分を有効成分として含有させて皮膚外用剤を調製する。前記ガレクチン7の存在量を増大させる成分として、ガレクチン7そのものと、皮膚に接触することによって皮膚中のガレクチン7の発現量を増大させる作用を有するガレクチン7発現促進物質と、これらの混合物とが、好ましく用いられる。係る皮膚外用剤を皮膚に塗布して皮膚症状の改善を図る。また、皮膚中のガレクチン7の存在量を測定することにより皮膚症状の程度を診断する。さらに、選択候補物質を皮膚に接触させた後のガレクチン7の存在量を、接触前の皮膚中のガレクチン7の存在量と比較し、そのガレクチン7の存在量の増加が有意であるか否かを選択基準とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚中のガレクチン7の存在量を増大させる成分を有効成分として含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
前記皮膚中のガレクチン7の存在量を増大させる成分がガレクチン7であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記皮膚中のガレクチン7の存在量を増大させる成分が皮膚に接触することによって皮膚中のガレクチン7の発現量を増大させる作用を有するガレクチン7発現促進物質であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
前記皮膚中のガレクチン7の存在量を増大させる成分が、ガレクチン7と、皮膚に接触することによって皮膚中のガレクチン7の発現量を増大させる作用を有するガレクチン7発現促進物質とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
アトピー性皮膚炎改善外用剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
敏感肌改善外用剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
皮膚中のガレクチン7の存在量を増大させる成分を皮膚症状のある皮膚に接触させることによって前記皮膚症状を改善することを特徴とする皮膚症状の改善方法。
【請求項8】
前記皮膚中のガレクチン7の存在量を増大させる成分としてガレクチン7を用いることを特徴とする請求項7に記載の皮膚症状の改善方法。
【請求項9】
前記皮膚中のガレクチン7の存在量を増大させる成分として皮膚に接触することによって皮膚中のガレクチン7の発現量を増大させる作用を有するガレクチン7発現促進物質を用いることを特徴とする請求項7に記載の皮膚症状の改善方法。
【請求項10】
前記皮膚中のガレクチン7の存在量を増大させる成分として、ガレクチン7と、皮膚に接触することによって皮膚中のガレクチン7の発現量を増大させる作用を有するガレクチン7発現促進物質とを同時に用いることを特徴とする請求項7に記載の皮膚症状の改善方法。
【請求項11】
前記皮膚症状がアトピー性皮膚炎であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一つに記載の皮膚症状の改善方法。
【請求項12】
前記皮膚症状が敏感肌であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一つに記載の皮膚症状の改善方法。
【請求項13】
皮膚中のガレクチン7の存在量を測定することにより皮膚症状の程度を診断することを特徴とする皮膚症状の診断方法。
【請求項14】
前記皮膚症状がアトピー性皮膚炎であることを特徴とする請求項13に記載の皮膚症状の診断方法。
【請求項15】
前記皮膚症状が敏感肌であることを特徴とする請求項13に記載の皮膚症状の診断方法。
【請求項16】
皮膚に接触することによって皮膚中のガレクチン7の発現量を増大させる作用を有するガレクチン7発現促進物質のスクリーニング方法であって、
選択候補物質を皮膚に接触させた後のガレクチン7の存在量を、接触前の皮膚中のガレクチン7の存在量と比較し、そのガレクチン7の存在量の増加が有意であるか否かを選択基準とすることを特徴とするガレクチン7発現促進物質のスクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、アトピー性皮膚炎、敏感肌にみられるような、慢性的なざらつき、かさつき、湿疹、鱗屑などの乾燥状態や炎症状態、皮膚バリア機能低下に起因する刺激の感じやすさなどの皮膚症状を改善するために用いて好適な皮膚外用剤、前記皮膚症状の改善方法、前記皮膚症状の診断方法、および前記皮膚症状の改善に用いて有効なガレクチン7発現促進物質のスクリーニング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、アトピー性皮膚炎や敏感肌と称される皮膚に特徴的に認められる乾燥、ざらつき、かさつき、湿疹、鱗屑、易刺激性など、慢性的な表皮バリア機能低下に起因する肌のトラブルを予防・改善・治癒するため、様々な皮膚外用剤が提案されている。例えば、尿素(下記特許文献1)、セラミド(下記特許文献2)、アミノ酸誘導体(下記特許文献3)、ヘパリン類似物質(下記特許文献4)、ビタミンE(下記特許文献5)などの化合物や植物抽出物(下記特許文献6および7)など、保湿効果があるとされる成分の外用が試みられてきた。
【0003】
また、前記皮膚症状を改善するものではないが、真皮の繊維芽細胞の増殖を促進することを目的にガレクチンの1種又は2種以上を含有することを特徴とする皮膚外用剤も開示されている(下記特許文献8)。
【0004】
【特許文献1】特開昭61−30567号公報
【特許文献2】特開平11−302155号公報
【特許文献3】特開2000−143486号公報
【特許文献4】特開2000−302660号公報
【特許文献5】特開2002−293735号公報
【特許文献6】特開2000−44481号公報
【特許文献7】特開平10−114650号公報
【特許文献8】特開平9−216833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1から7に開示された成分は、アトピー性皮膚炎や敏感肌などの皮膚症状を、ある程度改善する効果が認められるものの、角層柔軟化作用や、バリア機能回復、水分保持作用において、必ずしも満足できるものではなかった(アレルギ−、52巻、12号、1101−1103頁、2003年)。
また、上記特許文献8で開示されている技術内容は、真皮の繊維芽細胞の増殖を促進することにより、しわや弾力低下等の老化症状の改善効果、及び創傷治癒効果を発揮させようというものであり、その有効成分の一部としてガレクチンの1種または2種以上を含有させている。すなわち、この特許文献8は、ガレクチンがアトピー性皮膚炎や敏感肌などが発症する表皮における症状に適用可能であるか否かには関心がなく、そのことは、この特許文献8には開示も示唆もされていない。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、アトピー性皮膚炎、敏感肌にみられるような、慢性的なざらつき、かさつき、湿疹、鱗屑などの乾燥状態や炎症状態、皮膚バリア機能低下に起因する刺激の感じやすさなどの皮膚症状を改善するために用いて好適な皮膚外用剤、前記皮膚症状の改善方法、前記皮膚症状の診断方法、および前記皮膚症状の改善に用いて有効なガレクチン7発現促進物質のスクリーニング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明者らは、敏感肌やアトピー肌について、主なトラブルや症状の出現する表皮を中心に皮膚科学的に検討した。その結果、本発明者らは、生体中に複数種の存在が確認されているガレクチンのうちガレクチン7と呼称される一種が皮膚上に特異的に存在しており、このガレクチン7の存在量が皮膚症状により変化することを知見するに至った。
【0008】
ガレクチンは、動物の代表的レクチンで、糖蛋白質や糖脂質のβ−ガラクトシド構造を含む糖鎖に特異的に結合することにより、発生、分化、形態形成などの多彩な調節的役割を果す可溶性蛋白質である(免疫学辞典(第2版) 東京化学同人 2001)。現在、ガレクチンとしては10種類以上が知られ、プロト型、タンデムリピート型、キメラ型の3つの型に分類されているが、本発明者らが注目するに至ったガレクチン7は、分子量が約14,000のプロト型に属するものである。このガレクチン7は、上皮組織、特に層構造をもつ表皮に特異的に発現しており、細胞接着能の制御や、細胞間相互作用、創傷治癒、アポトーシスに関与する可能性が報告されている(ファルマシア 36(9) 812 (2000))。
【0009】
今回、本発明者らは、アトピー性様皮膚炎のモデル動物であるNC/Ngaマウスやアトピー性皮膚炎を呈する人の皮膚と、自分の肌が敏感肌であると申告する人の皮膚を、2D−DIGE法やICAT法、DNAアレイ法によって、網羅的に解析した結果、10種類以上知られるガレクチンファミリーの中で、ガレクチン7の発現のみが、皮膚健常者と比較すると、これら疾患を有する人の皮膚で特異的に減少していることを知見した。この知見により、皮膚症状を呈する人の皮膚に人工的にガレクチン7を増大させてやれば、皮膚症状が改善されることが期待された。そこで、まず、ガレクチン7そのものを少量皮膚外用剤に配合し、この皮膚外用剤を皮膚症状を呈する皮膚に塗布したところ、皮膚症状が改善されることが確認された。
【0010】
本発明者らは、さらに研究を進めたところ、ガレクチン7そのものではなく、皮膚に塗布等により接触させると、皮膚中のガレクチン7の発現量を増大させ得る物質(以下、ガレクチン7発現促進物質と記す)が存在することを知見するに至った。したがって、前記ガレクチン7そのものを皮膚に補充する方法と別に、前記ガレクチン7発現促進物質を皮膚外用剤に配合し、この皮膚外用剤を皮膚症状を呈する皮膚に塗布したところ、皮膚症状が改善されることが確認された。さらに、ガレクチン7そのものの配合と、ガレクチン7発現促進物質の配合とを同時に行った皮膚外用剤を用いた場合でも、皮膚症状改善効果は良好であった。
【0011】
また、前記ガレクチン7の存在量の変化が皮膚症状に相関していることが知見されたため、皮膚中のガレクチン7の存在量を測定することによって、皮膚症状の程度を診断することが可能になる。さらに、前記ガレクチン7発現促進物質の存在を知見するに至った経緯に基づいて、ガレクチン7発現促進物質のスクリーニングを行うことが可能になる。
【0012】
本発明は、前述の知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明に係る皮膚外用剤は、皮膚中のガレクチン7の存在量を増大させる成分を有効成分として含有することを特徴とする。この皮膚中のガレクチン7の存在量を増大させる成分としては、ガレクチン7そのものと、皮膚に接触することによって皮膚中のガレクチン7の発現量を増大させる作用を有するガレクチン7発現促進物質と、そして、これらの混合物とが、好ましく用いられる。
【0013】
また、本発明に係る皮膚症状の改善方法は、皮膚中のガレクチン7の存在量を増大させる成分を皮膚症状のある皮膚に接触させることによって前記皮膚症状を改善することを特徴とする。この方法では、前記皮膚中のガレクチン7の存在量を増大させる成分として、ガレクチン7そのものと、前記ガレクチン7発現促進物質と、これらの混合物とが、好適に用いることができる。
【0014】
また、本発明に係る皮膚症状の診断方法は、皮膚中のガレクチン7の存在量を測定することにより皮膚症状の程度を診断することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明に係るガレクチン7発現促進物質のスクリーニング方法は、皮膚に接触することによって皮膚中のガレクチン7の発現量を増大させる作用を有するガレクチン7発現促進物質のスクリーニング方法であって、選択候補物質を皮膚に接触させた後のガレクチン7の存在量を、接触前の皮膚中のガレクチン7の存在量と比較し、そのガレクチン7の存在量の増加が有意であるか否かを選択基準とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の皮膚外用剤は、アトピー性皮膚炎や敏感肌と称される皮膚に特徴的に認められる乾燥、ざらつき、かさつき、湿疹、鱗屑、易刺激性など、慢性的な表皮バリア機能低下に起因する肌のトラブルの予防・改善・治癒に極めて有効であり、副作用も認められず、使用感も良好である。また、本発明の皮膚症状の改善方法は、前記本発明の皮膚外用剤を用いて行われるために、アトピー性皮膚炎や敏感肌などの皮膚症状を高度に改善することができ、しかも副作用を生じることもない。また、本発明の皮膚症状の診断方法は、皮膚中のガレクチン7の存在量を測定し、健常時のガレクチン7存在量と比較するだけの簡易な方法なので、患者に負担をかけることなく、容易に実施でき、病的状態だけでなく、前病的状態をも診断することができ、予防措置の要不要を判別することに寄与可能である。さらに、本発明のガレクチン7発現促進物質のスクリーニング方法によれば、より安価で、より安全性の高い皮膚外用剤の有効成分を選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
本発明のアトピー性皮膚炎の皮膚外用剤は、ガレクチン7およびガレクチン7発現促進物質の少なくともいずれか一方を含有することを特徴とする。前記皮膚外用剤は、アトピー性皮膚炎や敏感肌などの皮膚症状において特異的に低下したガレクチン7を皮膚中に補うことになり、該皮膚外用剤の使用により、皮膚中のガレクチン7の存在量が増大することになる。したがって、本発明の皮膚外用剤は、アトピー性皮膚炎や敏感肌と称される皮膚に特徴的に認められる乾燥、ざらつき、かさつき、湿疹、鱗屑、易刺激性など、慢性的な表皮バリア機能低下に起因する肌のトラブルの予防、改善、治癒に極めて有効であり、副作用も認められず、使用感も良好である。
【0018】
本発明で用いるガレクチン7は、遺伝子組替え技術を利用して、所定の核酸配列を合成したり、組替え体を作成したりして、所定のペプチドを得ることが出来る。この遺伝子組替えは、例えば、「新生化学実験講座1遺伝子研究法II」東京化学同人社(1986)や、「遺伝子工学実験ノ−ト上下巻」羊土社(1997)などにある方法や、そこに引用される方法などによって行うことが出来る。しかし、遺伝子組替えは日々の技術開発によって改変法も多く、ここに記載した方法に限定されるわけではない。
【0019】
前記皮膚外用剤において、前記ガレクチン7発現促進物質は皮膚内のガレクチン7の発現量を増加させ、結果としてアトピー性皮膚炎で特異的に低下したガレクチン7を皮膚に補うため、ガレクチン7を外用した場合と同様の効果が得られる。
【0020】
前記ガレクチン7発現促進物質としては、例えば、酪酸、コンカナバリンA、カルシウムイムノフォアA23187等が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、本発明のスクリ−ニング方法でスクリ−ニングされる物質、例えば、植物抽出物や海藻抽出物、菌由来物質などの天然物、化学合成化合物、遺伝子組替え産物などを用いても良い。
【0021】
前記ガレクチン7、もしくはガレクチン7発現促進物質は、そのまま皮膚外用基剤(水溶性基剤、乳剤、クリ−ム基剤、軟膏、ロ−ション、化粧水、乳液など)に配合してもよいし、また、マイクロカプセルやリポソーム等に封入しても、どのような形態でもかまわない。
【0022】
本発明の皮膚外用剤中の前記ガレクチン7、もしくはガレクチン7発現促進物質の配合割合としては、皮膚外用剤全量に対して、0.0001〜10質量%(以下、単に「%」という。)とすることが好ましく、特に好ましくは0.001〜5%が望ましい。この配合割合が、0.0001%未満では、本発明の効果が十分に発揮され難く、一方、10%を超えて配合しても、顕著な効果の向上は認められないものとなる。
【0023】
また、本発明には、前記の必須成分であるガレクチン7、もしくはガレクチン7発現促進物質に加え、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で添加剤を併用することができる。このような添加剤には、美白、しわ改善、血行促進、皮脂コントロール、ニキビ予防、肌荒れ防止、抗炎症、保湿剤等の効果を発現するものが包含される。
【0024】
前記美白物質としては、例えば、レチノイン酸、エラグ酸、ハイドロキノンおよびその誘導体、コウジ酸、L−アスコルビン酸およびその誘導体、胎盤抽出物、ルシノール等が挙げられ、特に、エラグ酸、アルブチン、コウジ酸、および水溶性プラセンタエキスが望ましい。
【0025】
前記しわ改善物質としては、例えば、パントテン酸、パントテン酸誘導体およびその塩、コエンザイムA、酸化型コエンザイムAおよびその塩、レチノイン酸、ビタミンA、ビタミンA誘導体およびその塩、海藻抽出物、ヒアルロン酸およびその塩、天然保湿成分(NMF成分)、アミノ酸およびアミノ酸誘導体、α−ヒドロキシ酸等が挙げられる。
【0026】
前記皮脂コントロ−ル物質としては、例えば、油溶性甘草エキス、クマセバエキス、シタンエキス、ウスベニアオイエキス、センブリエキス、イヌエンジュエキス、ビタミンA、ビタミンA誘導体、レチノイン酸等が挙げられる。
【0027】
前記抗炎症物質および肌荒れ防止物質としては、例えば、アラントイン、グリチルレチン酸およびその誘導体、グリチルリチン酸およびその誘導体、尿素、塩化リゾチーム、グアイアズレン、γ−オリザノール等が挙げられる。
【0028】
前記ニキビ予防・改善物質としては、例えば、サリチル酸、ピロクトンオラミン、ビタミンA、ビタミンA誘導体、レチノイン酸、感光素、油溶性甘草エキス、クマセバエキス、シタンエキス、ウスベニアオイエキス等が挙げられる。
【0029】
前記保湿剤としては、グリセリン、尿素、ヒアルロン酸およびその塩、NMF成分、アミノ酸およびアミノ酸誘導体、セラミド、ヘパリン誘導体、ビタミンE、ビタミンC、海藻抽出物等が挙げられる。
【0030】
本発明の皮膚症状の診断方法は、皮膚中のガレクチン7の存在量を測定することにより皮膚状態を診断することを特徴とする。ガレクチン7の皮膚中の存在量を測定することを特徴とする本発明の皮膚症状の診断方法は、病的な皮膚状態から健常範囲にあるが皮膚が幾分痛んだ状態まで複数の段階に対応するガレクチン7の存在量を相関データとして活用する構成が好適である。
本発明のスクリーニング方法は、候補物質を皮膚に作用させる前後の皮膚中のガレクチン7の存在量を測定し、候補物質を皮膚に作用させた後の皮膚中にガレクチン7が有意に増大していることを選択基準とすることを特徴とする。
以上のような診断方法およびスクリーニング方法を用いて、診断用測定キットやスクリーニング用測定キットを作成することもできる。
【0031】
前記皮膚症状の診断方法およびガレクチン7発現促進物質スクリーニング方法において、タンパクの測定には、ELISA法、RIA法、FIA法、ウエスタンブロティング法、抗体アレイ法、免疫染色法などを利用できる。また、発現遺伝子の測定法には、PCR法、ノーザンブロッィング法、DNAアレイ法、In situハイブリダイゼ−ション法などが利用できる。
【0032】
前記アトピー性皮膚炎診断方法およびスクリーニング方法における検出法には、プライマー、プローブ、抗体などを含むが、特に限定されることはなく、さらに別の試薬を組みあわせることも可能である。
【0033】
また、本発明のスクリーニング法でスクリーニングされる物質は、特に限定されないが、例えば、植物抽出物や海藻抽出物、菌由来物質などの天然物、化学合成化合物、遺伝子組替え産物などが挙げられる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
【0035】
(試験例1)アトピー性皮膚炎におけるガレクチン7の特異的減少
アトピー性皮膚炎のモデル動物であるNc/Ngaマウス(日本チャールスリバー株式会社製)は、1%2,4,6−トリニトロ塩化ベンゼン(TNCB)の塗布によって重度の皮膚炎を発症させた(参考文献:Tsukuba T.et.al.,J.Biochem.,134,893−902,2003)。処理期間終了後の発症群(N=4)と同週齢基剤塗布群(N=4)の皮膚は、標準細胞溶解バッファーへ溶解し、得られたタンパク成分を蛍光標識2次元ディファレンシャルゲル電気泳動法によって展開した後、その発現差異をDecyder Differential Analysis Software Ver.5.0で網羅的に解析した(Ettan DIGE簡易マニュアル、アマシャムバイオサイエンス株式会社製)。その中で、もっとも変化率の高かったスポット(変化率2.3倍減少、危険率0.003%)を質量分析計Ettan MALDI−ToF Pro(アマシャムバイオサイエンス株式会社製)で解析したところ、ガレクチン7であることが判明した。
【0036】
本発明の皮膚外用剤を、軟膏(実施例1)、クリーム(実施例2)、乳液(実施例3)、水溶性基材(実施例4)の各剤型に以下の通り調製した。
【0037】
(調製例1)ガレクチン7の調製
本発明のガレクチン7は遺伝子組み換え技術によりヒトガレクチン7のDNA配列(Madsen, P. etal.,1995,J. Biol. Chem. 270,5823−5829)を大腸菌により発現させたものを用いた。
【0038】
(実施例1)
(軟膏)
表1に示す油層成分および水層成分を別々に70℃で加熱した後、混合し、乳化した。これを冷却しながら途中で香料を加えてさらに室温まで冷却し、軟膏に調製した。
【0039】
【表1】


【0040】
(実施例2)
(クリ−ム)
表2に示す油層成分および水層成分を別々に70℃で加熱した後、混合し、乳化した。これを冷却しながら途中で香料を加えてさらに室温まで冷却し、クリ−ムに調製した。
【0041】
【表2】


【0042】
(実施例3)
(乳液)
表3に示す油層成分および水層成分を別々に70℃で加熱した後、混合し、乳化した。これを冷却しながら途中で香料を加えてさらに室温まで冷却し、乳液に調製した。
【0043】
【表3】


【0044】
(実施例4)
(水溶性基剤)
表4に示す油層成分および水層成分を別々に70℃で加熱した後、混合し、乳化した。これを冷却しながら途中で香料を加えてさらに室温まで冷却し、水溶性基剤を調製した。
【0045】
【表4】


【0046】
(実施例5および比較例1)
成人アトピー患者20名に、実施例1で示した本発明の皮膚外用剤(軟膏)を、1日1回、湿疹の認められる皮膚部位に塗布した(実施例5)。また、別の成人アトピー患者20人には、プラセボ群として、実施例1で示した皮膚外用剤の組成から、ガレクチン7を除いた組成で試験を実施した(比較例1)。各皮膚外用剤塗布の4週間から8週間経過後、各患者につき、全般的な皮膚状態の変化を総合判断し、有効性を以下の5段階の評価法で評価した。得られた結果は表5に記載した。
【0047】
(有効性の評価基準)
1:極めて有効
2:有効
3:やや有効
4:無効
5:悪化
【0048】
【表5】


【0049】
(試験結果)
表5に示すように、本発明の皮膚外用剤の有効性は、有効以上の評価が60%得られ、プラセボの15%と比較して、有効性が高いことがわかった。なお、使用期間中に皮膚に、本発明の皮膚外用剤の副作用と思われる異常が認められた患者はおらず、外用には全く安全なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明にかかる皮膚外用剤および皮膚症状の改善方法は、アトピー性皮膚炎や敏感肌などの皮膚症状に特徴的に認められる皮膚の乾燥、ざらつき、かさつき、湿疹、鱗屑、易刺激性など、慢性的な表皮バリア機能低下に起因する肌のトラブルの予防、改善、治癒に極めて有効であり、副作用も認められず、使用感も良好である。または、本発明の皮膚症状の診断方法はアトピー性皮膚炎や敏感肌などの皮膚症状の診断に有効であり、本発明のスクリーニング方法は本発明におけるガレクチン7発現促進物質のスクリーニングに有効である。
【出願人】 【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
【住所又は居所】東京都墨田区本所1丁目3番7号
【出願日】 平成16年12月28日(2004.12.28)
【代理人】 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明

【公開番号】 特開2006−182744(P2006−182744A)
【公開日】 平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願番号】 特願2004−380975(P2004−380975)