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【発明の名称】 (メタ)アクリルアミドホスフェートベースの自己エッチング歯科材料
【発明者】 【氏名】ノルベルト モシュナー

【氏名】アイリス ラムパルス

【氏名】フランク ツォイナー

【氏名】ウルリッヒ ザルツ

【氏名】アンジェラ ミュッケ

【氏名】イョルク ツィマーマン

【氏名】イョルク アンガーマン

【氏名】フォルカー ラインベルガー

【要約】 【課題】ラジカル重合により硬化し、加水分解安定性である歯科材料を提供すること。

【解決手段】一般式(I)の、少なくとも1種の(メタ)アクリルアミドホスフェートを含有する重合性歯科材料であって、ここで、Rは、HまたはCHであり;Rは、Hまたはアルキル基であり;RおよびR3’は、互いに独立して、脂肪族基、芳香族基、脂環式基、脂肪族芳香族基または複素環式基であり、これらの基の炭素鎖には、O、S、CONR、OCONHが介在し得るか、あるいはRとRまたはR3’とは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式環を形成し;Rは、H、アルキル、アリール、アラルキルもしくは二環式基であり;p=0の場合、nは、1〜4の整数であり、p≠0の場合、nは、1または2であり;mは、1〜4の整数であり;pは、0〜4の整数であり;Xは、OまたはSである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性歯科材料であって、該歯科材料は、以下の一般式(I):
【化1】


の、少なくとも1種の(メタ)アクリルアミドホスフェートを含有することを特徴とし、該一般式(I)において、
は、HまたはCHであり;
は、HもしくはC〜Cアルキル基であるか、またはRが結合している窒素原子およびRもしくはR3’に属する1つ以上の原子と一緒になって、複素環式環を形成し;
およびR3’は、互いに独立して、m+nもしくはn+pの原子価を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族C〜C50基、m+nもしくはn+pの原子価を有する芳香族C〜C18基、またはm+nもしくはn+pの原子価を有する、脂環式、脂肪族芳香族もしくは複素環式のC〜C18基であり、ここで、該基の炭素鎖には、O、S、CONR、OCONHが介在し得るか、あるいはRおよびR3’は、Rに属する1つ以上の原子およびRが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式環を形成し、p=0の場合、R3’は、Hであり;
は、H、C〜C10アルキル、C〜C12アリール、C〜C10アラルキルもしくは二環式C〜C12基であり;
p=0の場合、nは、1、2、3または4であり、そして
p≠0の場合、nは、1または2であり;
mは、1、2、3または4であり;
pは、0、1、2、3または4であり;
Xは、OまたはSである、
歯科材料。
【請求項2】
は、Hとは異なる、請求項1に記載の歯科材料。
【請求項3】
前記可変物のうちの少なくとも1つが、以下の意味:
は、Hおよび/またはCHであり、ここで、m>1の場合、R基は、異なる意味を有し得る;
は、HもしくはC〜C20基であるか、またはRは、Rが結合している窒素原子およびRもしくはR3’に属する1つ以上の原子と一緒になって、複素環式環、好ましくは、1個の窒素原子および4個〜7個の炭素原子を有する環、特に、ピペリジンジイル環を形成する;
およびR3’は、互いに独立して、m+nもしくはn+pの原子価を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族C〜C10基、m+nもしくはn+pの原子価を有する芳香族C〜C10基、またはm+nもしくはn+pの原子価を有する、脂環式C〜C基もしくは脂肪族芳香族C〜C12基であり、ここで、該基の炭素鎖には、Oが介在し得るか、あるいはRおよび/またはR3’は、Rに属する1つ以上の原子およびRが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式環、好ましくは、1個の窒素原子および4個〜7個の炭素原子を有する環、特に、ピペリジンジイル環を形成し、p=0の場合、Rは、Hである;
は、H、C〜Cアルキル、またはCアリールである;
p=0の場合、nは、1または2であり、そして
p≠0の場合、nは、1である;
mは、1または2である;
pは、0、1、2または3である;
Xは、Oである、
のうちの1つを有する、請求項1または2のうちのいずれか1項に記載の歯科材料。
【請求項4】
前記可変物のうちの少なくとも1つが、以下の意味:
は、HまたはCHである;
は、HもしくはC〜Cアルキル基であるか、またはRは、Rが結合している窒素原子およびRに属する1つ以上の原子と一緒になって、ピペリジンジイル環を形成する;
は、m+nの原子価を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族C〜C基であるか、あるいはRは、Rに属する1つ以上の原子およびRが結合している窒素原子と一緒になって、ピペリジンジイル環を形成し、非常に特に好ましくは、Rは、Cアルキレン基である;
3’は、Hである;
は、H、またはC〜Cアルキルである;
nは、1である;
mは、1または2である;
pは、0である;
Xは、Oである、
のうちの1つを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯科材料。
【請求項5】
溶媒をさらに含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯科材料。
【請求項6】
溶媒として、水、または水と混和性の溶媒と水との混合物を含有する、請求項5に記載の歯科材料。
【請求項7】
少なくとも1種の、酸ではないラジカル重合性モノマーをさらに含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の歯科材料。
【請求項8】
前記酸ではないモノマーとして、モノ(メタ)アクリル化合物、メシチル(メタ)アクリレート、1−(アルコキシメチル)アクリル酸、2−(エトキシメチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、N−一置換アクリルアミド、N−二置換アクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−一置換メタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N−ビニルピロリドンおよびアリルエーテルの群からの1種以上のモノマーを含有する、請求項7に記載の歯科材料。
【請求項9】
前記酸ではないモノマーとして、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸とジイソシアネートからのウレタン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、架橋ピロリドン、1,6−ビス(3−ビニル−2−ピロリドニル)−ヘキサン、ビスアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドおよびエチレンビスアクリルアミド、ビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジエチル−1,3−ビス(アクリルアミド)−プロパン、1,3−ビス(メタクリルアミド)−プロパン、1,4−ビス(アクリルアミド)−ブタンならびに1,4−ビス(アクリロイル)−ピペラジンの群からの1種以上のモノマーを含有する、請求項7または8に記載の歯科材料。
【請求項10】
ラジカル重合のための、少なくとも1種の開始剤をさらに含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の歯科材料。
【請求項11】
少なくとも1種の充填剤をさらに含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の歯科材料。
【請求項12】
以下の成分:
a)0.5重量%〜95重量%の、式(I)に従う(メタ)アクリルアミドホスフェート
b)0.01重量%〜15重量%の開始剤、
c)0重量%〜80重量%の酸ではないラジカル重合性モノマー、
d)0重量%〜95重量%の溶媒、
e)0重量%〜20重量%の充填剤、
を含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の歯科材料。
【請求項13】
f)0.01重量%〜10重量%の、1種以上のさらなる添加剤、
をさらに含有する、請求項12に記載の歯科材料。
【請求項14】
歯科用接着剤または歯科用セメントの製造における、請求項1〜13のいずれか1項に記載の歯科材料の使用。
【請求項15】
エナメル質−ぞうげ質接着剤の製造における、請求項14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、高い加水分解耐性を有する(メタ)アクリルアミドホスフェートに関し、これは、特に、自己エッチング歯科材料(例えば、接着剤、コーティング材料および複合材料)のための接着成分として、適切である。
【背景技術】
【0002】
最近、自己エッチングする自己調整(self−conditioning)ぞうげ質−エナメル質接着剤は、保存修復学において次第に使用されてきている。これらの接着剤は、ほとんどが、酸官能基を有する接着モノマー、1種以上の酸ではないコモノマー、溶媒、重合開始剤、および必要に応じて、さらなる添加剤を含有するように、構築される。重合性接着モノマーとして適切なものは、とりわけ、一方ではラジカル重合の間に高い反応性を示し、他方では硬い歯の物質を十分に迅速に調整し得る、酸モノマーである。このような酸モノマーの公知の例は、カルボン酸メタクリレート(例えば、4−MET(4−メタクリロイルオキシエチルオキシカルボニルフタル酸)、MAC−10(10−メタクリロイルオキシデシルマロン酸))または酸メタクリレートホスフェート(例えば、MD(リン酸二水素10−メタクリロイルオキシデシル)もしくはMEP(リン酸二水素2−メタクリロイルオキシエチル)):
【0003】
【化2】


である。
【0004】
これに関して、酸ジメタクリレートがまた、公知であり、これらは、PMDM(1molのピロメリト酸無水物と2molのメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとの付加生成物)またはGDMP[リン酸二水素(1,3−ジメタクリロイルオキシ)−プロプ−2−イル]と同様に、それらの架橋特性に起因して高い重合活性により、特徴付けられる:
【0005】
【化3】


水が、ほとんどの場合において、溶媒または共溶媒として、エナメル質−ぞうげ質接着剤において使用される。なぜなら、水は、硬い歯の物質のぬれを促進するからである。しかし、メタクリレートのエステル結合は、酸性の水性条件下で加水分解されることが公知である。このモノマーの加水分解を介して、対応する接着剤は、その機能を失い、そしてその接着効果は、経時的に、明らかに低下する。従って、酸モノマーは、水なしで、他の接着剤成分からほとんど分離されて貯蔵される。これらの酸モノマーは、使用の直前に水性部分と混合されるか、または歯の表面に別々に塗布されるかの、いずれかである。全ての成分を1つの組成物として合わせる、加水分解安定性の接着剤が調製され得る場合、非常に有利である。
【0006】
加水分解安定性のアクリルリン酸は、特許文献1および特許文献2から公知である。これらの特許文献において、重合性(メタ)アクリル基は、エーテル結合、チオエーテル結合、または炭素−炭素結合を介して、その分子の基に結合される。
【0007】
特許文献3は、(メタ)アクリルアミドリン酸ベースの歯科材料を開示し、この歯科材料は、リン酸基と反応性二重結合との間の比較的長鎖の架橋に起因して、高い加水分解安定性および改良された接着特性を有すると記載されている。
【0008】
特許文献4および特許文献5は、酸基を含む(メタ)アクリルアミドベースの自己エッチングする自己調整歯科接着剤を開示する。スルホン酸基およびリン酸基を含むモノマーが、好ましい。これらの化合物は、苦労して合成することによってしか得られ得ない。
【0009】
硬化性組成物は、特許文献6から公知であり、この組成物は、重合性の有機リン酸化合物またはホスホン酸化合物で処理された充填剤を含有する。この組成物は、酸モノマーをさらに含有し得る。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0909761号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10234326号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1169996号明細書
【特許文献4】国際公開第03/035013号パンフレット
【特許文献5】国際公開第03/013444号パンフレット
【特許文献6】独国特許出願公開第0333503号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ラジカル重合によって硬化され得、同時に、高い重合傾向を示し、室温で水の存在下で加水分解に対して非感受性であり、従って、貯蔵安定性であり、そして硬い歯の物質をエッチングし得る、歯科材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明により、以下が提供される:
(項目1)
重合性歯科材料であって、上記歯科材料は、以下の一般式(I):
【0012】
【化4】


の、少なくとも1種の(メタ)アクリルアミドホスフェートを含有することを特徴とし、上記一般式(I)において、
は、HまたはCHであり;
は、HもしくはC〜Cアルキル基であるか、またはRが結合している窒素原子およびRもしくはR3’に属する1つ以上の原子と一緒になって、複素環式環を形成し;
およびR3’は、互いに独立して、m+nもしくはn+pの原子価を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族C〜C50基、m+nもしくはn+pの原子価を有する芳香族C〜C18基、またはm+nもしくはn+pの原子価を有する、脂環式、脂肪族芳香族もしくは複素環式のC〜C18基であり、ここで、上記基の炭素鎖には、O、S、CONR、OCONHが介在し得るか、あるいはRおよびR3’は、Rに属する1つ以上の原子およびRが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式環を形成し、p=0の場合、R3’は、Hであり;
は、H、C〜C10アルキル、C〜C12アリール、C〜C10アラルキルもしくは二環式C〜C12基であり;
p=0の場合、nは、1、2、3または4であり、そして
p≠0の場合、nは、1または2であり;
mは、1、2、3または4であり;
pは、0、1、2、3または4であり;
Xは、OまたはSである、
歯科材料。
(項目2)
は、Hとは異なる、項目1に記載の歯科材料。
(項目3)
上記可変物のうちの少なくとも1つが、以下の意味:
は、Hおよび/またはCHであり、ここで、m>1の場合、R基は、異なる意味を有し得る;
は、HもしくはC〜C20基であるか、またはRは、Rが結合している窒素原子およびRもしくはR3’に属する1つ以上の原子と一緒になって、複素環式環、好ましくは、1個の窒素原子および4個〜7個の炭素原子を有する環、特に、ピペリジンジイル環を形成する;
およびR3’は、互いに独立して、m+nもしくはn+pの原子価を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族C〜C10基、m+nもしくはn+pの原子価を有する芳香族C〜C10基、またはm+nもしくはn+pの原子価を有する、脂環式C〜C基もしくは脂肪族芳香族C〜C12基であり、ここで、上記基の炭素鎖には、Oが介在し得るか、あるいはRおよび/またはR3’は、Rに属する1つ以上の原子およびRが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式環、好ましくは、1個の窒素原子および4個〜7個の炭素原子を有する環、特に、ピペリジンジイル環を形成し、p=0の場合、R3’は、Hである;
は、H、C〜Cアルキル、またはCアリールである;
p=0の場合、nは、1または2であり、そして
p≠0の場合、nは、1である;
mは、1または2である;
pは、0、1、2または3である;
Xは、Oである、
のうちの1つを有する、項目1または2のうちのいずれか1項に記載の歯科材料。
(項目4)
上記可変物のうちの少なくとも1つが、以下の意味:
は、HまたはCHである;
は、HもしくはC〜Cアルキル基であるか、またはRは、Rが結合している窒素原子およびRに属する1つ以上の原子と一緒になって、ピペリジンジイル環を形成する;
は、m+nの原子価を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族C〜C基であるか、あるいはRは、Rに属する1つ以上の原子およびRが結合している窒素原子と一緒になって、ピペリジンジイル環を形成し、非常に特に好ましくは、Rは、Cアルキレン基である;
3’は、Hである;
は、H、またはC〜Cアルキルである;
nは、1である;
mは、1または2である;
pは、0である;
Xは、Oである、
のうちの1つを有する、項目1〜3のいずれか1項に記載の歯科材料。
(項目5)
溶媒をさらに含有する、項目1〜4のいずれか1項に記載の歯科材料。
(項目6)
溶媒として、水、または水と混和性の溶媒と水との混合物を含有する、項目5に記載の歯科材料。
(項目7)
少なくとも1種の、酸ではないラジカル重合性モノマーをさらに含有する、項目1〜6のいずれか1項に記載の歯科材料。
(項目8)
上記酸ではないモノマーとして、モノ(メタ)アクリル化合物、メシチル(メタ)アクリレート、1−(アルコキシメチル)アクリル酸、2−(エトキシメチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、N−一置換アクリルアミド、N−二置換アクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−一置換メタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N−ビニルピロリドンおよびアリルエーテルの群からの1種以上のモノマーを含有する、項目7に記載の歯科材料。
(項目9)
上記酸ではないモノマーとして、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸とジイソシアネートからのウレタン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、架橋ピロリドン、1,6−ビス(3−ビニル−2−ピロリドニル)−ヘキサン、ビスアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドおよびエチレンビスアクリルアミド、ビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジエチル−1,3−ビス(アクリルアミド)−プロパン、1,3−ビス(メタクリルアミド)−プロパン、1,4−ビス(アクリルアミド)−ブタンならびに1,4−ビス(アクリロイル)−ピペラジンの群からの1種以上のモノマーを含有する、項目7または8に記載の歯科材料。
(項目10)
ラジカル重合のための、少なくとも1種の開始剤をさらに含有する、項目1〜9のいずれか1項に記載の歯科材料。
(項目11)
少なくとも1種の充填剤をさらに含有する、項目1〜10のいずれか1項に記載の歯科材料。
(項目12)
以下の成分:
a)0.5重量%〜95重量%の、式(I)に従う(メタ)アクリルアミドホスフェート
b)0.01重量%〜15重量%の開始剤、
c)0重量%〜80重量%の酸ではないラジカル重合性モノマー、
d)0重量%〜95重量%の溶媒、
e)0重量%〜20重量%の充填剤、
を含有する、項目1〜11のいずれか1項に記載の歯科材料。
(項目13)
f)0.01重量%〜10重量%の、1種以上のさらなる添加剤、
をさらに含有する、項目12に記載の歯科材料。
(項目14)
歯科用接着剤または歯科用セメントの製造における、項目1〜13のいずれか1項に記載の歯科材料の使用。
(項目15)
エナメル質−ぞうげ質接着剤の製造における、項目14に記載の使用。
(項目16)
歯科用接着剤または歯科用セメントとしての、項目1〜13のいずれか1項に記載の歯科材料の使用。
(項目17)
エナメル質−ぞうげ質接着剤としての、項目16に記載の使用。
【0013】
(摘要)
重合性歯科材料であって、この歯科材料は、以下の一般式(I):
【0014】
【化5】


の、少なくとも1種の(メタ)アクリルアミドホスフェートを含有することを特徴とし、ここで、Rは、HまたはCHであり;Rは、HもしくはC〜Cアルキル基であるか、またはRが結合している窒素原子およびRもしくはR3’に属する1つ以上の原子と一緒になって、複素環式環を形成し;RおよびR3’は、互いに独立して、m+nもしくはn+pの原子価を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族C〜C50基、m+nもしくはn+pの原子価を有する芳香族C〜C18基、またはm+nもしくはn+pの原子価を有する、脂環式、脂肪族芳香族もしくは複素環式のC〜C18基であり、ここで、これらの基の炭素鎖には、O、S、CONR、OCONHが介在し得るか、あるいはRおよびR3’は、Rに属する1つ以上の原子およびRが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式環を形成し、p=0の場合、R3’は、Hであり;Rは、H、C〜C10アルキル、C〜C12アリール、C〜C10アラルキルもしくは二環式C〜C12基であり;p=0の場合、nは、1、2、3または4であり、そしてp≠0の場合、nは、1または2であり;mは、1、2、3または4であり;pは、0、1、2、3または4であり;Xは、OまたはSである。
【発明の効果】
【0015】
ラジカル重合により硬化し、加水分解安定性である歯科材料が、提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
上記目的は、本発明によって、少なくとも1種の、以下の一般式(I)の(メタ)アクリルアミドホスフェート:
【0017】
【化6】


またはそのピロリン酸エステルを含有する、重合性歯科材料によって達成される。
【0018】
一般式(I)において、
は、HまたはCHであり;
は、HもしくはC〜Cアルキル基であるか、またはRが結合している窒素原子およびRもしくはR3’に属する1つ以上の原子と一緒になって、複素環式環を形成し;
およびR3’は、互いに独立して、m+nもしくはn+pの原子価を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族C〜C50基、m+nもしくはn+pの原子価を有する芳香族C〜C18基、またはm+nもしくはn+pの原子価を有する、脂環式、脂肪族芳香族もしくは複素環式のC〜C18基であり、ここで、これらの基の炭素鎖には、O、S、CONR、OCONHが介在し得るか、あるいはRおよびR3’は、Rに属する1つ以上の原子およびRが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式環を形成し、p=0の場合、R3’は、Hであり;
は、H、C〜C10アルキル、C〜C12アリール、C〜C10アラルキルもしくは二環式C〜C12基であり;
p=0の場合、nは、1、2、3または4であり、そして
p≠0の場合、nは、1または2であり;
mは、1、2、3または4であり;
pは、0、1、2、3または4であり;
Xは、OまたはSである。
【0019】
は、好ましくは、Hではない。
【0020】
脂肪族芳香族(araliphatic)基またはアラルキル基とは、芳香族基と脂肪族基との両方を含む基を意味する。脂肪族芳香族基の代表的な例は、ベンジレン基−Ph−CH−であり、これは、芳香族であるフェニレン基と、脂肪族であるメチレン基とを含む。
【0021】
他の基および/または原子が介在している炭素鎖とは、これらの他の基または原子が、炭素鎖内に挿入されている(すなわち、両側で炭素原子に結合されている)炭素鎖であると理解される。従って、これらの基または原子は、末端位置を占めてはならない。いくつかの基または原子が、炭素原子内に組み込まれる場合、これらは、各場合において、少なくとも1つの炭素原子によって、互いから分離されなければならない。「炭素鎖」は、環状の分子基を意味しない。この炭素鎖に組み込まれる基および/または原子の総数は、その鎖中の炭素原子の数より少なくとも1だけ小さい。
【0022】
上記式(I)における可変物は、以下の好ましい意味を、互いに独立して有し得る:
は、Hおよび/またはCHであり、ここで、m>1の場合、R基は、異なる意味を有し得る;
は、HもしくはC〜C20基であるか、またはRは、Rが結合している窒素原子およびRもしくはR3’に属する1つ以上の原子と一緒になって、複素環式環、好ましくは、1個の窒素原子および4個〜7個の炭素原子を有する環、特に、ピペリジンジイル(piperidinyl)環を形成する;
およびR3’は、互いに独立して、m+nもしくはn+pの原子価を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族C〜C10基、m+nもしくはn+pの原子価を有する芳香族C〜C10基、またはm+nもしくはn+pの原子価を有する、脂環式C〜C基もしくは脂肪族芳香族C〜C12基であり、ここで、これらの基の炭素鎖には、Oが介在し得るか、あるいはRおよび/またはR3’は、Rに属する1つ以上の原子およびRが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式環、好ましくは、1個の窒素原子および4個〜7個の炭素原子を有する環、特に、ピペリジンジイル(piperidinyl)環を形成し、p=0の場合、R3’は、Hである;
は、H、C〜Cアルキル、またはCアリールである;
p=0の場合、nは、1または2であり、そして
p≠0の場合、nは、1である;
mは、1または2である;
pは、0、1、2または3である;
Xは、Oである。
【0023】
上記式(I)の可変物の、非常に特に好ましい意味は、以下である:
は、HまたはCHである;
は、HもしくはC〜Cアルキル基であるか、またはRは、Rが結合している窒素原子およびRに属する1つ以上の原子と一緒になって、ピペリジンジイル(piperidinyl)環を形成する;
は、m+nの原子価を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族C〜C基であるか、あるいはRは、Rに属する1つ以上の原子およびRが結合している窒素原子と一緒になって、ピペリジンジイル(piperidinyl)環を形成し、非常に特に好ましくは、Rは、Cアルキレン基である;
3’は、Hである;
は、H、またはC〜Cアルキルである;
nは、1である;
mは、1または2である;
pは、0である;
Xは、Oである。
【0024】
いくつかの可変物、特に、全ての可変物が、好ましい意味のうちの1つ、特に、特に好ましい意味のうちの1つを有する、式(I)の化合物が、本発明に従って、特に適切である。
【0025】
一般式(I)の、本発明に従う(メタ)アクリルアミドホスフェート(p=0;R3’=H;n=1)は、例えば、3段階で、反応性(メタ)アクリル酸誘導体(塩化物、無水物、エステル、酸)と、アミノアルカノールとから出発して、調製され得る。反応性(メタ)アクリル酸誘導体およびモノアミノアルカノールは、市販されている。ポリアミノアルコール(m>1、R=アルキル、アリールなど)は、例えば、ポリハロゲンアルコールと、大過剰の脂肪族アミンまたは芳香族アミンとの反応によって、得られる(B.J.GajおよびD.R.Moore,Tetrahedron Lett.23(1967)2155)。
【0026】
【化7】


具体例:
【0027】
【化8】


さらに、ジアミノアルコール(m=2、n=1、R=アルキル、アリールなど)は、脂肪族アミンまたは芳香族アミンと、エピクロロヒドリンとの反応によって、得られ得る(B.J.GajおよびD.R.Moore,Tetrahedron Lett.23(1967)2155)。
【0028】
具体例:
【0029】
【化9】


ポリアミノポリオール(m、n>1)の調製が可能なのは、ポリアミンとエポキシドとの反応である。
【0030】
具体例:
【0031】
【化10】


第一の反応工程において、反応性(メタ)アクリル酸誘導体(R=H、CH;R’=ハロゲン、O−CO−CR=CH、Oアルキル、OH)が、アミド結合を連結するための有機化学から公知の方法(Methoden der Organischen Chemie,HOUBEN−WEYL 第E5巻、1985、Georg Thieme Verlag、941 ff頁を参照のこと)を使用して、アミノアルカノールと反応して、(メタ)アクリルアミドアルコールを生成する。
【0032】
【化11】


この目的で、m=n=1の場合、反応性(メタ)アクリル酸誘導体は、一級(R=H)モノアミノアルカノールまたは二級(R=アルキル、アリール)モノアミノアルカノールと反応し、m>1、n=1の場合、一級(R=H)ポリアミノアルカノールまたは二級(R=アルキル、アリール)ポリアミノアルカノールと反応し、m=1、n>1の場合、一級(R=H)アミノポリオールまたは二級(R=アルキル、アリール)アミノポリオールと反応し、そしてm>1、n>1の場合、一級(R=H)ポリアミノポリオールまたは二級(R=アルキル、アリール)ポリアミノポリオールと反応する。
【0033】
対応する酸塩化物は、好ましくは、等モル当量の塩基の存在下で使用される。
【0034】
具体例:
【0035】
【化12】


第二段階において、(メタ)アクリルアミドアルコールは、n当量のホスホリル化合物(好ましくは、クロロリン酸ジメチル(R=CH))と反応する(Y.Xu.,G.D.Prestwich,J.Org.Chem.67(2002)7158)。
【0036】
【化13】


具体例:
【0037】
【化14】


第三段階において、アルコキシ基ORの選択的加水分解が起こる。好ましくは、リン酸ジメチル(R=CH)が使用され、ここで、切断が、ブロモトリメチルシランを用いて行われる(Y.Xu.,G.D.Prestwich,J.Org.Chem.67(2002)7158)。
【0038】
【化15】


具体例:
【0039】
【化16】


本発明による、式(I)の(メタ)アクリルアミドホスフェートの好ましい例は、以下である:
【0040】
【化17】


【0041】
【化18】


【0042】
【化19】


【0043】
【化20】


本発明による、式(I)の(メタ)アクリルアミドホスフェートは、強酸であり、そして水、または水と極性溶媒(例えば、アセトン、エタノール、アセトニトリルまたはテトラヒドロフラン(THF))との混合物に、非常によく溶ける。これらの(メタ)アクリルアミドホスフェートは、リン酸と匹敵する程、エナメル質およびぞうげ質をエッチングし得る。
【0044】
式(I)の(メタ)アクリルアミドホスフェートは、水性の酸条件下で、室温で、長期間にわたって、加水分解安定性である。本発明の文脈において、水中、または水と水混和性溶媒との混合物中において、約20重量%の濃度および約2.0のpH値において、37℃で少なくとも6週間安定である(すなわち、10%未満、好ましくは、5%未満が加水分解する)化合物が、加水分解安定性であると記載される。
【0045】
本発明による(メタ)アクリルアミドホスフェートの高い加水分解安定性に起因して、室温で貯蔵安定性である、水と他の加水分解安定性化合物との混合物が、これらの(メタ)アクリルアミドホスフェート)から調製され得る。これらの混合物は、式(I)の(メタ)アクリルアミドホスフェートの構造および濃度に依存して、約0.5と3.0との間のpH値を示し、従って、硬い歯の物質(エナメル質およびぞうげ質)の表面をエッチングし得る。従って、これらの混合物は、特に、歯科の分野のための接着剤またはセメントとして、非常に具体的には、自己エッチングエナメル質−ぞうげ質接着剤として、適切である。3個(m+p=3)、非常に特に好ましくは、2個(m+p=2)の重合性(メタ)アクリルアミド基を含む、(メタ)アクリルアミドホスフェートが、特に有利である。
【0046】
本発明による歯科材料はまた、好ましくは、式(I)の(メタ)アクリルアミドホスフェートに加えて、溶媒、特に好ましくは、水または水と水混和性溶媒との混合物を含有する。好ましい水混和性溶媒は、アセトン、エタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、およびこれらの混合物のような、極性溶媒である。
【0047】
さらに、本発明による歯科材料はまた、1種以上の酸ではないラジカル重合性モノマー(例えば、一官能性、または好ましくは、多官能性の、(メタ)アクリル化合物)を含有し得る。一官能性(メタ)アクリル化合物とは、1つの(メタ)アクリル基を有する化合物を意味し、多官能性(メタ)アクリル化合物とは、2つ以上、好ましくは、2個〜3個の(メタ)アクリル基を有する化合物を意味する。
【0048】
好ましい一官能性(メタ)アクリル化合物は、加水分解安定性である、モノ(メタ)アクリレート(例えば、メシチル(メタ)アクリレート)、または2−(アルコキシメチル)アクリル酸(例えば、2−(メトキシメチル)アクリル酸、2(ヒドロキシメチル)アクリル酸)、N−一置換アクリルアミドもしくはN−二置換アクリルアミド(例えば、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドもしくはN−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド)、N−一置換メタクリルアミド(例えば、N−エチルメタクリルアミドもしくはN−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド)、およびまた、N−ビニルピロリドンまたはアリルエーテル、ならびにこれらの物質の混合物である。上に列挙されたモノマーは、室温で液体であるか、または低融点(すなわち、これらのモノマーは、60℃未満の融点を有する)であり、従って、希釈剤として使用され得る。
【0049】
好ましい多官能性(メタ)アクリレートは、例えば、加水分解安定性である、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸とジイソシアネート(例えば、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートもしくはイソホロンジイソシアネート)とからのウレタン、架橋ピロリドン(例えば、1,6−ビス(3−ビニル−2−ピロリドニル)−ヘキサン)、もしくはビスアクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミドもしくはエチレンビスアクリルアミド)、またはビス(メタ)アクリルアミド(例えば、N,N’−ジエチル−1,3−ビス(アクリルアミド)−プロパン、1,3−ビス(メタクリルアミド)−プロパン、1,4−ビス(アクリルアミド)−ブタンもしくは1,4−ビス(アクリロイル)−ピペラジン)(これらは、対応するジアミンと、(メタ)アクリル酸塩化物との反応によって合成され得る)である。残りの化合物は、ほとんどが、市販されている。多官能性(メタ)アクリレートは、重合の間、その重合性基の数に起因して、架橋剤として働く。これらの物質の混合物、および一官能性(メタ)アクリレートとの混合物もまた、適切である。
【0050】
ラジカル重合を開始する目的で、この歯科材料は、好ましくは、開始剤、特に好ましくは、光重合開始剤を含有する。
【0051】
ベンゾフェノン、ベンゾインおよびこれらの誘導体、またはα−ジケトンもしくはそれらの誘導体(例えば、9,10−フェナントレンキノン、1−フェニル−プロパン−1,2−ジオン、ジアセチルまたは4,4−ジクロロベンジル)が、好ましくは、光重合開始剤として使用される。カンファーキノンおよび2,2−メトキシ−2−フェニル−アセトフェノン、ならびに特に、α−ジケトンが、特に好ましくは、還元剤としてのアミン(例えば、4−(ジメチルアミノ)−安息香酸エステル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチル−sym−キシリジンまたはトリエタノールアミン)と組み合わせて使用される。
【0052】
酸化還元開始剤の組み合わせ(例えば、過酸化ベンゾイルと、N,N−ジメチル−sym−キシリジンまたはN,N−ジメチル−p−トルイジンとの組み合わせ)が、重合を室温で行うための開始剤として、使用される。さらに、過酸化物と還元剤(例えば、アスコルビン酸、バルビツレートまたはスルフィン酸)とからなる酸化還元系もまた、特に適切である。
【0053】
さらに、本発明による歯科材料には、力学特性を改善する目的で、または粘度を調整する目的で、有機粒子または無機粒子を充填され得る。好ましい無機粒子充填剤は、非晶質の球状の酸化物ベースの材料(例えば、ZrOおよびTiO、ならびにSiO、ZrOおよび/またはTiOの混合酸化物)、ナノ粒子充填剤あるいは微細充填剤(例えば、発熱性ケイ酸または沈殿ケイ酸)、ならびにミニ充填剤(例えば、0.01μm〜1μmの平均粒径を有する、石英、ガラスセラミックまたはガラス粉末)、およびX線不透過性充填剤(例えば、三フッ化イッテルビウム、またはナノ粒子酸化チタン(V)もしくは硫酸バリウム)である。
【0054】
エナメル質−ぞうげ質接着剤として使用するための歯科材料は、好ましくは、充填剤として、ナノ粒子(主要粒径1nm〜100nm)の酸化物(ZrOおよびTiO、またはSiO、発熱性ケイ酸もしくは沈殿シリカ、ZrOおよび/もしくはTiOの混合酸化物)ベースの非晶質球状材料、およびX線不透過性ナノ粒子充填剤(例えば、三フッ化イッテルビウム、酸化チタン(V)もしくは硫酸バリウム)を含有する。
【0055】
本発明にしたがって使用される、式(I)の(メタ)アクリルアミドホスフェートの自己調整効果を得る目的で、この(メタ)アクリルアミドホスフェートが、充填剤に適用されないことが、必須である。なぜなら、リン酸基が、このプロセスにおいて、この充填剤の表面に結合するからである。
【0056】
さらに、本発明による組成物は、さらなる添加剤(例えば、安定化剤、矯味矯臭剤、抗菌剤、フッ化物イオン放出添加剤、光学ホワイトニング剤、可塑剤またはUV吸収剤)を含有し得る。
【0057】
式(I)の(メタ)アクリルホスフェートは、歯科材料の調製のため、特に、歯科目的の接着剤、コーティング材料および複合材料の調製のために、特に適切である。
【0058】
式(I)の(メタ)アクリルホスフェートは、歯科用接着剤および自己接着固定セメントの調製のため、特に、エナメル質−ぞうげ質接着剤の調製のために、非常に特に適切である。このような接着剤およびセメントは、硬い歯の物質への非常に良好な接着によって特徴付けられ、そして湿った条件下で、加水分解安定性である。
【0059】
本発明によれば、以下の成分を含有する歯科材料が、特に好ましい:
a)0.5重量%〜95重量%、好ましくは、10重量%〜60重量%、そして特に好ましくは、15重量%〜50重量%の、式(I)に従う(メタ)アクリルアミドホスフェート
b)0.01重量%〜15重量%、特に好ましくは、0.1重量%〜8.0重量%の、ラジカル重合のための開始剤、
c)0重量%〜80重量%、好ましくは、0重量%〜60重量%、そして特に好ましくは、10重量%〜50重量%の、酸ではないモノマー、
d)0重量%〜95重量%、好ましくは、0重量%〜80重量%、そして特に好ましくは、20重量%〜60重量%の溶媒、
e)0重量%〜20重量%の充填剤。
【0060】
充填剤の量は、特に、この歯科材料の所望される用途に依存する。接着剤としての用途については、0重量%〜20重量%の重点剤が好ましく、そしてセメントとしての用途については、20重量%〜75重量%の充填剤が、好ましい。
【0061】
他の添加剤およびアジュバントが、必要に応じて、0.01重量%〜10重量%の量で使用される。
【0062】
他に示されない限り、全ての百分率は、材料の総質量に関連する。
【0063】
本発明は、実施例を参照して、以下でより詳細に説明される。
【実施例】
【0064】
(実施例1:リン酸モノ−(1−アクリロイル−ピペリジン−4−イル)エステル(APP))
【0065】
【化21】


(第一段階:1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)プロペノン)
10.11g(0.10mol)の4−ヒドロキシピペリジンを、60mlの2M NaOHに溶解した。この溶液を、室温で10分間攪拌し、次いで、0℃まで冷却した。9.96g(0.11mol)のアクリル酸塩化物と、20mgの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)との、60mlのクロロホルム中の溶液を、2時間以内に0℃で滴下した。この添加の完了後、その透明な黄色の反応混合物を、0℃で1時間攪拌し、次いで、氷浴を取り除き、そしてこの混合物を、室温でさらに3時間攪拌した。有機相と水相とを分離した。この水相を、NaClで飽和させ、そして100mlのクロロホルムで5回抽出した。合わせた有機相を、NaSOで乾燥し、濾過し、20mgのBHTの添加後にロータリーエバポレーターで濃縮し、そして高減圧下で乾燥させた。その黄色がかった油状物を、5mlの酢酸エチルに溶解し、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、0.035mm〜0.070mm、酢酸エチル)によって精製した。25mgのBHTの添加後、その溶媒をロータリーエバポレーターで濃縮し、そして高減圧下で乾燥させた。4.35g(28.0mmol、28%)の黄色がかった油状物が得られ、これは、冷蔵庫に貯蔵すると、固化して、黄色がかった固体を形成した。
【0066】
【化22】


【0067】
(第二段階:リン酸(1−アクリロイル−ピペリジン−4−イル)エステル−ジメチルエステル)
2.60g(18.0mmol)のクロロリン酸ジメチル、2.33g(15.0mmol)の1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン1−イル)−プロペノン、10mgのヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)および10mgのBHTを、アルゴン下で、50mlのジクロロメタンに溶解し、そして氷浴中で−5℃まで冷却した。2.36g(21.0mmol)のtert酪酸カリウムを、攪拌しながら添加した。攪拌を、氷中で冷却しながら30分間行った。この溶液は、褐色がかった色に変化した。次いで、この氷浴を取り除き、そしてこの混合物を、室温で4時間攪拌した。次いで、50mlの飽和NHCl水溶液を添加した。この混合物を、10分間攪拌し、次いで、相を分離した。水相を、50mlのジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機相を、NaSOで乾燥し、濾過し、20mgのBHTの添加後にロータリーエバポレーターで濃縮し、そして高減圧下で乾燥させた。この褐色油状物を、5mlのジクロロメタンに溶解し、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、0.035mm〜0.070mm、塩化メチレン/エタノール 98:2)によって精製した。その溶出物を、20mgのBHTの添加後にロータリーエバポレーターで濃縮し、そして高減圧下で乾燥させた。3.02g(11.5mmol、76%)の赤褐色油状物が得られた。
【0068】
【化23】


【0069】
(第三段階:リン酸モノ−(1−アクリロイル−ピペリジン−4−イル)エステル)
1.32g(5.0mmol)のリン酸ジメチル−[4−(N−アクリロイル)−ピペリジル]エステルおよび10mgのBHTを、アルゴン下で、5mlのジクロロメタンに溶解した。1.68g(11.0mmol)のブロモトリメチルシランを滴下した。この添加の完了後、その透明な黄色がかった溶液を、室温で4時間攪拌した。揮発性化合物の除去のために、その溶液を、45℃で45分間排気した。その油状の黄色残渣を、5mlのメタノールと混合した。その透明な黄色がかった溶液を、室温で18時間攪拌し、次いで、ロータリーエバポレーターで濃縮し、そして高減圧下で乾燥させた。その非常に粘性の黄色がかった油状物を、10mlのジクロロメタンと混合し、そして室温で攪拌した。淡黄色がかった固体が形成された。この固体を濾別し、そして減圧乾燥キャビネット内で乾燥させた。このプロセスを、10mlずつの酢酸エチルおよびアセトンを用いて繰り返した。その白色固体を、5mlのi−プロパノールと混合し、そして室温で18時間攪拌した。この懸濁物を濾過し、そしてその濾液を、ロータリーエバポレーターで濃縮し、そして高減圧下で乾燥させた。0.31g(1.3mmol;26%)の白色固体が得られた。
【0070】
【化24】


【0071】
(実施例2:リン酸二水素1,3−ビス−(N−アクリロイル−N−プロピル−アミノ)−プロパン−2−イル(BAPAPP))
【0072】
【化25】


(第一段階:1,3−ビス−(N−アクリロイル−N−プロピル−アミノ)−2−ヒドロキシプロパン)
17.43g(0.100mol)の1,3−ビス−(プロピルアミノ)−プロパン−2−オールを、110ml(0.220mol)の2N苛性ソーダ溶液と混合し、そして室温で10分間攪拌した。この混合物を、0℃まで冷却した。19.46g(0.215mol)のアクリル酸塩化物と20mgのBHTとの、120mlのクロロホルム中の溶液を、0℃で3時間30分以内に滴下した。この添加の完了後、その反応混合物を、0℃で、2時間30分攪拌した。有機相と水相とを分離した。その水相を、NaClで飽和させ、そして80mlの塩化メチレンで5回抽出した。合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、20mgのBHTの添加後にロータリーエバポレーターで濃縮し、そして高減圧下で乾燥させた。粗生成物を、2回のカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、0.035mm〜0.070mm、酢酸エチル)によって精製した。11.92g(42.2mmol;42%)の純粋な生成物が、黄色がかった油状物として得られた。
【0073】
【化26】


【0074】
(第二段階:リン酸1,3−ビス−(N−アクリロイル−N−プロピル−アミノ)−プロパン−2−イルジメチル)
2.60g(18.0mmol)のクロロリン酸ジメチル、4.24g(15.0mmol)の1,3−ビス−(N−アクリロイル−N−プロピル−アミノ)−2−ヒドロキシプロパン、20mgのMEHQおよび20mgのBHTを、アルゴン下で、80mlのジクロロメタンに溶解し、そして氷浴中で−5℃まで冷却した。2.36g(21.0mmol)のtert−酪酸カリウムを、攪拌しながら添加した。この混合物を氷冷し、そして30分間攪拌した。この溶液は、わずかに黄色がかった色に変化した。次いで、氷浴を取り除き、そしてこの混合物を、室温で4時間攪拌した。次いで、80mlの飽和NHCl水溶液を添加した。この混合物を、10分間攪拌し、次いで、相を分離した。その水相を、80mlのジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機相を、NaSOで乾燥し、濾過し、30mgのBHTの添加後にロータリーエバポレーターで濃縮し、そして高減圧下で乾燥させた。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、0.035mm〜0.070mm、酢酸エチル/アセトン 90:10→80:20)によって精製した。2.74g(11.6mmol;50%)の黄色がかった油状物が得られた。
【0075】
(第三段階:リン酸二水素1,3−ビス−(N−アクリロイル−N−プロピル−アミノ)−プロパン−2−イル)
1.17g(3.0mmol)のリン酸1,3−ビス−(N−アクリロイル−N−プロピル−アミノ)−プロパン−2−イルジメチルおよび10mgのBHTを、アルゴン下で、5mlのジクロロメタンに溶解した。1.01g(6.6mmol)のブロモトリメチルシランを滴下した。この添加の完了後、この透明な黄色がかった溶液を、室温で3時間攪拌した。揮発性化合物を除去する目的で、この溶液を、45℃で45分間排気した。その油状の黄色残渣を、5mlのメタノールと混合し、そしてその透明な黄色がかった溶液を、室温で18時間攪拌した。その溶液を、ロータリーエバポレーターで濃縮し、そして高減圧下で乾燥させた。1.21g(3.3mmol;111%)のわずかに黄色がかった泡状物が得られた。
【0076】
(実施例3:リン酸モノ−(1−アクリロイル−ピペリジン−4−イル)エステルの加水分解安定性の試験)
O/EtOH−d(1:1)中200ppmの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールで安定化させた、実施例1からのリン酸モノ−(1−アクリロイル−ピペリジン−4−イル)エステルの20%溶液を調製し、これを、37℃で貯蔵し、そしてH−NMR分光法によって試験した。3ヶ月間の貯蔵時間後、H−NMRスペクトルに、変化は見られなかった。
【0077】
(実施例4:(メタ)アクリルアミドホスフェート(MAP)ベースの光硬化性接着剤の調製)
ウシの歯のぞうげ質へのぞうげ質接着を試験する目的で、以下の組成を有する接着剤を調製した(値は重量%)。
【0078】
【表1】


1)BAPAPP=実施例2からのモノマー
2)A=リン酸[1−(メタクリロイルアミノ)プロピル]
3)B=6−(N−アクリロイルアミノ)ヘキサン−1−オール
4)C=N,N’−ジエチル−1,3−プロピレン−ビスアクリルアミド
5)APP=実施例1からのモノマー
6)D=D,L−2−(アクリロイルアミノ)コハク酸
7)E=N(5−ヒドロキシ−ペンチル)メタクリルアミド
8)F=Aerosil−HO混合物。
【0079】
ウシの歯を、ぞうげ質とプラスチックとが同一面に位置するように、プラスチックシリンダーに包埋した。これらの試験片を研磨した後に、上記処方の接着剤の層を、マイクロブラシで30秒間、ぞうげ質の表面に擦り込み、送風機で穏やかに吹き付け、そしてAstralis 7光重合ランプ(Ivoclar Vivadent AG)で20秒間照射した。次いで、市販の歯科用充填複合材料(Tetric(登録商標)Ceram,Ivoclar Vivadent AG)を、接着剤層に塗布し、そしてAstralis 7ランプで40秒間硬化させた。次いで、これらの試験片を、37℃で24時間、水中で貯蔵し、そしてISO指針「ISO 1994−ISO TR 11405:Dental Materials Guidance on Testing of Adhesion to Tooth Structure」に従って、接着せん断強度を測定した。
【出願人】 【識別番号】501151539
【氏名又は名称】イフォクレール ヴィヴァデント アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Ivoclar Vivadent AG
【住所又は居所原語表記】Bendererstr.2 FL−9494 Schaan Liechtenstein
【出願日】 平成17年12月20日(2005.12.20)
【代理人】 【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策

【識別番号】100062409
【弁理士】
【氏名又は名称】安村 高明

【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹

【公開番号】 特開2006−176522(P2006−176522A)
【公開日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願番号】 特願2005−367242(P2005−367242)