| 【発明の名称】 |
眼科用剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】長濱 徹 【住所又は居所】東京都豊島区高田3丁目24番1号 大正製薬株式会社内
【氏名】大内 順子 【住所又は居所】東京都豊島区高田3丁目24番1号 大正製薬株式会社内
【氏名】宇水 剛 【住所又は居所】東京都豊島区高田3丁目24番1号 大正製薬株式会社内
【氏名】江上 文庸 【住所又は居所】東京都豊島区高田3丁目24番1号 大正製薬株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】眼科用剤に関し、詳しくは、水溶性高分子を含有する眼科用剤で、使用時の不快なべたつき感が改善され、刺激の無い眼科用剤を提供すること。
【解決手段】本発明の眼科用剤は、1.(a)水溶性高分子、(b)エタノール、(c)メントール0.005〜0.040w/v%及び(d)クロロブタノールを含有する25℃における絶対粘度が1.3〜15mPa・sであることを特徴とする眼科用剤である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)水溶性高分子、(b)エタノール、(c)メントール0.005〜0.040w/v%及び(d)クロロブタノールを含有する25℃における絶対粘度が1.3〜15mPa・sであることを特徴とする眼科用剤。 【請求項2】 (a)水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールから選ばれる1種以上である請求項1に記載の眼科用剤。 【請求項3】 水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項1に記載の眼科用剤。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、眼科用剤に関し、より具体的には、水溶性高分子を配合する使用感が改善された眼科用剤に関する。 【背景技術】 【0002】 最近では、パソコンなどの電子端末(VDT)を用いる作業ではディスプレーを注視する状態が続き、眼のかわき(ドライアイ症状)を引き起こし、それによって眼に負担がかかり、眼が疲労すると指摘されている(非特許文献1)。 【0003】 ドライアイとは、涙液の減少又は質的な異常そのものを指す場合や、涙液の量的又は質的異常により角結膜に障害を来した状態を意味する。自覚症状としては目の疲労、ゴロゴロ感、乾燥感、不快感、かすみ、かゆみ、痛み、遠近調節不良、目やに・涙の多寡などとして現れ、日常生活に大きな支障を来す疾患である。 【0004】 眼のかわき、眼の疲労やドライアイに対して、有効な薬剤や確実な治療法は無く、現在、自覚症状を軽減させる対症療法が取られている。対症療法の例としては、眼のかわきには、人工涙液と言われる点眼液等が使用されている。また眼の疲労やドライアイを緩和・改善するためには、ビタミンB2やビタミンB12等のビタミン類、タウリン、メチル硫酸ネオスチグミン等を配合した点眼液や人工涙液等が使用されている。 【0005】 眼のかわきを防ぎ、涙液の保水性を高める目的でコラーゲンペプチドを必須成分とする人工涙液が特許文献1に開示されており、涙液の粘性を高める目的で水溶性高分子を配合する人工涙液が特許文献2に開示されている。また、清涼感の持続を目的とした水溶性高分子を配合する点眼剤が特許文献3(水溶性高分子と清涼化剤の配合)や特許文献4(水溶性高分子と低級アルコールの配合)に開示されている。 【0006】 しかしながら、(a)水溶性高分子、(b)エタノール、(c)メントール及び(d)クロロブタノールを同時に含有する眼科用剤の開示はない。 【0007】 水溶性高分子を配合する眼科用剤には、特有のべたつき感があり、使用感が悪く、使用感の改善が求められていた。 【0008】 【非特許文献1】あたらしい眼科11(8),1175〜1178,1994 【特許文献1】特開平7−223966号公報 【特許文献2】特表平9−508898号公報 【特許文献3】特開2002−97129号公報 【特許文献4】特開2001−261578号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 本発明の目的は、使用時の不快なべたつき感が改善され、刺激の無い眼科用剤を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0010】 目のかわきや効果の持続化のために眼科用剤に水溶性高分子を配合されているが、水溶性高分子を配合した眼科用剤は、使用時にべたつくため使用感が悪く改善が望まれる。メントールを配合すると、清涼感を付与することでべたつきを改善することができるが、強めの清涼感を付与しないとべたつきを完全にマスキングすることが出来ないことが判明した。また、強めの清涼感を付与するために、メントールを多く配合すると刺激が生じてしまう。そこで、クロロブタノールを配合することにより、べたつき感と刺激も緩和し、更にメントールによる点眼直後の過度な清涼感をマスキングし、適度な清涼感を維持することが可能になった。更に、エタノールを配合することにより、点眼時に生じる刺激を緩和させることも見出した。また、25℃における絶対粘度が15mPa・sを超えるとべたつきが改善できないことも見出した。 【0011】 本発明者らは、上記のように鋭意研究した結果、水溶性高分子、エタノール、メントール0.005〜0.040w/v%及びクロロブタノールを同時に配合し、25℃における絶対粘度が1.3〜15mPa・sである眼科用剤が、使用時の不快なべたつき感を改善し、適切な清涼感があり、刺激の無い眼科用剤となること見出し、本発明を完成した。 【0012】 すなわち、本発明の眼科用剤は、 1.(a)水溶性高分子、(b)エタノール、(c)メントール0.005〜0.040w/v%及び(d)クロロブタノールを含有する25℃における絶対粘度が1.3〜15mPa・sであることを特徴とする眼科用剤である。 2.(a)水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールから選ばれる1種以上である上記1に記載の眼科用剤である。 3.水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである上記1に記載の眼科用剤である。 【発明の効果】 【0013】 本発明により、眼のかわき、眼の疲労やドライアイの緩和に有用であり、使用時のべたつき感が改善され、刺激の無い使用感の良い眼科用剤を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0014】 本発明で、水溶性高分子とは、眼科用剤に粘性を与える成分であり、例えば、セルロース系高分子、ビニル系高分子などであり、好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン又はポリビニルアルコールであり、最も好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。特に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのメトキシル基置換度が15〜35%が好ましい。最も好ましくは、メトキシル基置換度が27〜30%である。水溶性高分子は1種又は2種以上配合することができる。 【0015】 水溶性高分子の配合量は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、メチルセルロースの場合は、好ましくは0.01〜2.0w/v%であり、最も好ましくは0.05〜1.0w/v%である。0.01w/v%を下回ると十分に眼のかわきの緩和ができず、2.0w/v%を上回ると粘性が高くなり使用感が悪くなる。また、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールの場合は、好ましくは0.05〜10w/v%であり、最も好ましくは0.1〜5w/v%である。0.05w/v%を下回ると十分に眼のかわきの緩和ができず、10w/v%を上回ると刺激が強くなり使用感が悪くなる。 【0016】 本発明の眼科用剤の25℃における絶対粘度は、1.3〜15mPa・sである。粘度が1.3mPa・s未満であると、目標とする眼のかわきを改善する効果が得られない。また、15mPa・sを越えると、使用時にべたつきが生じる。 【0017】 エタノールの配合量は、好ましくは0.01〜1.0w/v%である。最も好ましくは、0.05〜0.5w/v%である。0.01w/v%を下回ると十分にべたつき感を改善できず、1.0w/v%を上回ると眼に刺激を与える。 【0018】 メントールの配合量は、好ましくは0.005〜0.04w/v%であり、最も好ましくは0.010〜0.035w/v%である。0.005%を下回ると十分にべたつき感を改善できず好ましい使用感を得ることができない。また0.04w/v%を上回ると使用時に強い刺激を与える。 【0019】 クロロブタノールの配合量は、好ましくは0.01〜0.4w/v%であり、最も好ましくは0.05〜0.3w/v%であり、0.01w/v%を下回ると使用時に強い刺激を与え、0.4w/v%を上回ると眼に障害を与える。 【0020】 更に、本発明の眼科用剤は、浸透圧を250〜450mOsm、pHを4.0〜9.0に調整することが好ましい。特にドライアイの緩和を目的とする場合は、浸透圧を280〜350mOsm、pHを5.0〜7.5に調整することが好ましい pH調整剤は、無機性又は有機性のどちらでも良く、例えば、ホウ酸、リン酸、クエン酸とそれらの塩や塩酸、水酸化ナトリウムなどである。 【0021】 本発明の眼科用剤には、眼科用剤の安定性に影響を与えない範囲で、必要に応じて、医薬上許容される他の成分を配合することができ、例えば、イプシロンアミノカプロン酸、グリチルリチン酸二カリウム等の抗炎症薬、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン薬、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸ナファゾリン等の血管収縮薬、塩酸ピリドキシン、リン酸リボフラビン、シアノコバラミン、パンテノール、酢酸トコフェノール、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム等のビタミン類、メチル硫酸ネオスチグミン等のピント調節薬、コンドロイチン硫酸ナトリウム、アミノエチルスルホン酸等のアミノ酸類、カンフル、ハッカ油又はユーカリ油等の清涼化剤、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等の界面活性剤、その他基剤成分として、ホウ砂、ホウ酸、塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸エステル(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等)等を挙げることができる。 【0022】 本発明で眼科用剤とは、一般の疲れ目用の点眼液、人工涙液、洗眼液等を示し、一般の疲れ目用点眼液及び人工涙液は、1日数回、1回1滴から数滴投与することができる。洗眼液は、1日数回、1回適量を使用することができる。 【0023】 以下、本発明の実施例及び試験例を示し、詳細に説明する。 【実施例1】 【0024】 ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 250mg エタノール 100mg l-メントール 28mg クロロブタノール 250mg クエン酸 10mg クエン酸ナトリウム 100mg 塩化ベンザルコニウム 5mg ホウ酸 500mg 希塩酸 適量 塩化ナトリウム 612mg 精製水 適量 ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910を約70℃に加温した精製水に分散させた後、室温に冷却し溶解させた。ここに残りの各成分を溶解し、希塩酸でpH5.2に調整して、精製水で全量を100mLにした。得られた点眼液をポリエチレンテレフタレート(PET)製点眼容器に無菌充填した。この点眼液の浸透圧は337mOsmであった。 【実施例2】 【0025】 ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 250mg エタノール 500mg l-メントール 28mg クロロブタノール 250mg クエン酸 10mg クエン酸ナトリウム 100mg 塩化ベンザルコニウム 5mg ホウ酸 500mg 希塩酸 適量 塩化ナトリウム 339mg 精製水 適量 実施例1と同様の方法で点眼液とした。この点眼液の浸透圧は337mOsmであった 【実施例3】 【0026】 メチル硫酸ネオスチグミン 5mg ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 250mg エタノール 1000mg l-メントール 28mg クロロブタノール 250mg クエン酸 10mg クエン酸ナトリウム 100mg 塩化ベンザルコニウム 5mg ホウ酸 500mg 希塩酸 適量 精製水 適量 実施例1と同様の方法で点眼液とした。この点眼液の浸透圧は329mOsmであった。 【実施例4】 【0027】 ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 100mg エタノール 100mg l-メントール 10mg クロロブタノール 100mg クエン酸 10mg クエン酸ナトリウム 100mg 塩化ベンザルコニウム 5mg ホウ酸 500mg 塩化ナトリウム 340mg 希塩酸 適量 精製水 適量 ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910を約70℃に加温した精製水に分散させた後、室温に冷却し溶解させた。ここに残りの各成分を溶解し、希塩酸でpH5.8に調整して、精製水で全量を100mLにした。得られた洗眼液をPET製容器に無菌充填した。この洗眼液の浸透圧は335mOsmであった。 【0028】 試験例 試験例1 検体として表1及び表2に示した実施例5〜16及び比較例1〜13の処方の点眼液を常法で作製して用いた。 点眼感の試験評価に健常者3名に対し、各検体の点眼液を各々2滴点眼し、点眼時のべたつき感、刺激感、清涼感をスコアー化した。各々評価項目につきスコアーを合算し、総合評価とした結果を表1及び表2に示した。 評価スコアー <べたつきのスコアー> スコアー0:べたつき感なし。 スコアー1:ほとんどべたつき感なし。 スコアー2:ややべたつき感あり。 スコアー3:べたつき感あり。 スコアー4:強いべたつき感あり。 <刺激感のスコアー> スコアー0:刺激感なし。 スコアー1:ほとんど刺激感なし。 スコアー2:やや刺激感あり。 スコアー3:刺激感あり。 スコアー4:強い刺激感あり。 <清涼感のスコアー> スコアー0:清涼感なし。 スコアー1:ほとんど清涼感なし。 スコアー2:やや清涼感あり。 スコアー3:清涼感あり。 スコアー4:強い清涼感あり。 総合評価 <べたつき・刺激感の評価基準> ◎:総スコアー 3以下 ○:総スコアー 4〜6 △:総スコアー 7〜10 ×:総スコアー 10以上 <清涼感の評価基準> ◎:総スコアー 10以上 ○:総スコアー 7〜10 △:総スコアー 4〜6 ×:総スコアー 3以下 【0029】 【表1】
【0030】 【表2】
【0031】 表1及び2において、HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロースはメトローズ60SH−4000、メトローズ60SH−10000(信越化学工業(株)製)、 HEC:ヒドロキシエチルセルロースはCF-G(住友精化(株)製)、CVP:カルボキシビニルポリマーはカーボポール980NF(NOVEON・INC製)、PVP:ポリビニルピロリドンはK30(和光純薬(株)製)、PVA:ポリビニルアルコールはゴーセノールEG−05(日本合成化学(株)製)、MC:メチルセルロースはメトローズSM−400、メトローズSM−4000(信越化学工業(株)製)を用いた。 【0032】 比較例1〜3の結果から、水溶性高分子を配合する点眼剤において、エタノール、メントール、クロロブタノールの配合が無かった際、べたつき感、刺激感が生じ、良い点眼感が得られないことが示された。 比較例4、5の結果から、メントールの配合量が0.04%を越えると、刺激感が強く生じることが示された。 比較例6、7の結果から、メントールの配合量が0.004%以下であると、清涼感を持った点眼液が得られないことが示された。 実施例6と比較例8の結果から、メントールの配合量が0.005%以上でべたつき感、刺激感が無く、清涼感のある本発明特有の効果が得られたことが示された。 実施例9と比較例10,11の結果から、粘度が15mPa・sを越えると、水溶性高分子のべたつき感を改善できないことが示された。 実施例5〜16より、点眼液の粘度が1.3〜15mPa・sでべとつき・刺激の無い点眼液が得られることが示された。 【産業上の利用可能性】 【0033】 本発明の眼科用剤は、眼のかわき、眼の疲労やドライアイの緩和に有用であり、使用時のべたつき感が改善され、刺激の無い使用感の良い点眼液、人工涙液、洗眼液として用いることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000002819 【氏名又は名称】大正製薬株式会社 【住所又は居所】東京都豊島区高田3丁目24番1号
|
| 【出願日】 |
平成17年11月25日(2005.11.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100115406 【弁理士】 【氏名又は名称】佐鳥 宗一
|
| 【公開番号】 |
特開2006−176501(P2006−176501A) |
| 【公開日】 |
平成18年7月6日(2006.7.6) |
| 【出願番号】 |
特願2005−340432(P2005−340432) |
|