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【発明の名称】 酸化染毛剤除去用のリンス剤
【発明者】 【氏名】今牧 宏之

【要約】 【課題】毛髪や頭皮に付着した余分な染料を除去できるだけではなく、毛髪の風合いを滑らかに保つことができ、しかも、毛髪中に残留している過酸化水素を速やかに分解除去することのできる酸化染毛剤除去用のリンス剤を提供する。

【解決手段】カタラーゼ及び界面活性剤を含有する酸化染毛剤除去用のリンス剤であって、前記界面活性剤は、両性界面活性剤であることを特徴とする酸化染毛剤除去用のリンス剤。また、前記両性界面活性剤は、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、または、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインであることを特徴とする酸化染毛剤除去用のリンス剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カタラーゼ及び界面活性剤を含有する酸化染毛剤除去用のリンス剤。
【請求項2】
界面活性剤は、両性界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載の酸化染毛剤除去用のリンス剤。
【請求項3】
両性界面活性剤は、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、または、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインであることを特徴とする請求項2に記載の酸化染毛剤除去用のリンス剤。
【請求項4】
両性界面活性剤の濃度が0.5W/V%以上2.0W/V%以下であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の酸化染毛剤除去用のリンス剤。
【請求項5】
カタラーゼの濃度が1.0W/V%以上5.0W/V%以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の酸化染毛剤除去用のリンス剤。
【請求項6】
防腐剤を含有することを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の酸化染毛剤除去用のリンス剤。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化染毛剤を洗い流す際に使用されるリンス剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
永久染毛剤に分類される酸化染毛剤(「ヘアカラー」と呼ばれる場合もある)は、酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とを混合するタイプのものが一般的である。この酸化染毛剤の原理を簡単に説明すると、第1剤中の酸化染料には、パラフェニレンジアミンや硫酸トルエン−2,5−ジアミン等の染料中間体、およびレゾルシン、メタフェニレンジアミン等の調色剤が目的の発色に応じて組み合わせて配合されている。第1剤と第2剤とを混合すると、第2剤に含有される酸化剤(例えば過酸化水素)が、第1剤に含有されるアルカリ剤により活性化される。活性化された酸化剤によって、毛髪中のメラニン色素が分解されて脱色されるとともに、第1剤に含有される酸化染料の反応を促進することによって、染料の分子を毛髪中で酸化重合させて発色させるというものである。
【0003】
酸化染毛剤を用いて染毛を行った後は、酸化染料の発色反応が過度に進行するのを防ぐために、あるいは活性化した過酸化水素によって毛髪が傷んでしまうことを防ぐために、この酸化染毛剤を水やぬるま湯等を用いて毛髪から洗い流す必要がある。このとき、毛髪の風合いを滑らかに保つ成分や、頭皮や毛髪に付着した余分な染料を乳化により除去するための界面活性剤が配合された化粧料(リンス剤、あるいはリムーバーなどと呼ばれる)が用いられる場合がある(特許文献1を参照)。また、毛髪中に残存する過酸化水素を速やかに分解除去するために、過酸化水素分解酵素の一種であるカタラーゼを配合した「頭髪用化粧料」が従来から公知である(特許文献2を参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−34619号公報
【特許文献2】特開平8−175935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、酸化染毛剤を洗い流す際に使用されるリンス剤(以下、「酸化染毛剤除去用のリンス剤」あるいは単に「リンス剤」と称する場合がある)は、毛髪や頭皮に付着した余分な染料を洗浄・除去するだけではなく、毛髪の風合いを滑らかに保ち、しかも過酸化水素を速やかに除去して毛髪を傷めないようにするという高い機能性を有することが要求されている。しかしながら、これらの要求を十分に満たすことのできるリンス剤は未だ存在していなかった。
そこで本発明は、毛髪や頭皮に付着した余分な染料を除去できるだけではなく、毛髪の風合いを滑らかに保つことができ、しかも、毛髪中に残留している過酸化水素を速やかに分解除去することのできる酸化染毛剤除去用のリンス剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、酸化染毛剤除去用のリンス剤の成分として界面活性剤及びカタラーゼを配合することによって、それら両成分の相乗的な効果が得られることを見出して、以下の発明を完成した。
(1)カタラーゼ及び界面活性剤を含有する酸化染毛剤除去用のリンス剤。
(2)界面活性剤は、両性界面活性剤であることを特徴とする上記(1)に記載の酸化染毛剤除去用のリンス剤。
(3)両性界面活性剤は、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、または、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインであることを特徴とする上記(2)に記載の酸化染毛剤除去用のリンス剤。
(4)両性界面活性剤の濃度が0.5W/V%以上2.0W/V%以下であることを特徴とする上記(2)または上記(3)に記載の酸化染毛剤除去用のリンス剤。
(5)カタラーゼの濃度が1.0W/V%以上5.0W/V%以下であることを特徴とする上記(1)から上記(4)のうちいずれか1項に記載の酸化染毛剤除去用のリンス剤。
(6)防腐剤を含有することを特徴とする上記(1)から上記(5)のうちいずれか1項に記載の酸化染毛剤除去用のリンス剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、毛髪や頭皮に付着した余分な染料を除去できるだけではなく、毛髪の風合いを滑らかに保つことができ、しかも、毛髪中に残留している過酸化水素を速やかに分解除去することのできる酸化染毛剤除去用のリンス剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のリンス剤は、酸化染毛剤を用いて毛髪の染色処理を行った後に、その毛髪に付着している酸化染毛剤を洗い流す際に使用されるリンス剤である。本発明のリンス剤は、余分な染料を除去するとともに毛髪の風合いを滑らかに保つための界面活性剤と、過酸化水素を分解・除去するためのカタラーゼとを含有している。
【0009】
本発明のリンス剤に含有される界面活性剤とは、親水性部分と親油性部分とを一分子中に有する物質全般のことを指している。リンス剤に含有される界面活性剤は、アニオン性界面活性剤(陰イオン性界面活性剤)、カチオン性界面活性剤(陽イオン性界面活性剤)、両性界面活性剤(両イオン性界面活性剤)、及びノニオン性界面活性剤(非イオン性界面活性剤)のうちいずれを使用することも可能である。また、これらのうち2種以上を組み合わせて使用することも可能である。これらの界面活性剤の中では、両性界面活性剤を使用するのが最も好ましい(この点については後述する)。
【0010】
アニオン性界面活性剤としては、特に制限するものではないが、例えば、ラウリル硫酸エステルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等のスルホコハク酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸等のリン酸エステル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム等のアミドエーテルサルフェ−ト、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン等のアシルアミノ酸型アニオン性界面活性剤、脂肪酸ナトリウム等の石鹸型アニオン性界面活性剤、等を使用することができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等のアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド等のアルキルアミン、等を使用することができる。
両性界面活性剤としては、例えば、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のアルキルアミドベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のアルキルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド等のアルキルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等のアルキルスルホベタイン、等を使用することができる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド等のアルキロールアミド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、モノラウリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル、モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、等を使用することができる。
【0011】
本発明のリンス剤に含有されるカタラーゼとは、生体内に存在する酵素の一種であり、過酸化水素を水及び酸素に分解する触媒としてよく知られているものである。本発明に使用するカタラーゼは、その由来や製法、種類等は特に制限するものではないが、動植物や微生物等から公知の方法を用いて抽出・精製されたカタラーゼを使用することができる。例えば、Micrococcus lyzodeicticusの産生する酵素を精製することにより得られたカタラーゼを使用することができる。
【0012】
本発明のリンス剤には、界面活性剤、カタラーゼ以外にも、必要に応じて他の成分を配合することができる。例えば、水、溶剤、着色成分、芳香成分、保湿成分、防腐剤等を配合することができる。
【0013】
本発明のリンス剤は、第1剤と第2剤とを混合して使用するタイプの一般的な酸化染毛剤だけではなく、その他のタイプの酸化染毛剤に対しても適用することが可能である。例えば、3液混合型の酸化染毛剤に対しても本発明のリンス剤を適用することができる。要するに、酸化剤として過酸化水素が含有されている染毛剤であれば、その種類や名称や性状等を問わず、本発明のリンス剤を適用できる可能性がある。
【0014】
以下、種々の実験の結果を示すことによって、本発明のリンス剤の特徴及びその効果について詳細に説明する。
1.〔カタラーゼ濃度と過酸化水素分解能〕
カタラーゼの濃度と過酸化水素分解能との相関を調べるために、カタラーゼを精製水にて段階的に希釈して、その希釈したカタラーゼの過酸化水素分解能を測定した。過酸化水素分解能は、1.2%の過酸化水素水溶液に対して等量のカタラーゼ溶液を作用させて、この過酸化水素水溶液の分解率によって測定した。この実験には、Micrococcus lyzodeicticus由来のカタラーゼ(力価50,000U/g、ナガセケムテックス(株)製、商品名「レオネット」)を使用した。なお、本明細書中に記載した他の実験においても、同じ種類のカタラーゼを使用した。実験結果を表1に示す。この実験結果により、カタラーゼの濃度が高くなるにつれて過酸化水素分解能が高くなり、カタラーゼの濃度が1.0(W/V%)以上になると、ほぼ100%に近い過酸化水素分解能が得られることが判明した。つまり、本発明のリンス剤において、カタラーゼの濃度は、1.0(W/V%)以上とするのが好ましいことが判明した。
【0015】
【表1】


【0016】
2.〔カタラーゼ濃度と乳化力〕
カタラーゼの濃度と、カタラーゼによる酸化染毛剤の乳化力との相関を調べるために、カタラーゼを精製水にて段階的に希釈して、その希釈したカタラーゼによって酸化染毛剤を乳化してその脱離力を測定した。なお、ここでいう「乳化力」とは、染毛剤の分野において用いられている用語であって、ヘアカラーリング後残留している染毛剤に水、ぬるま湯、リンス剤等を加えて揉み込むことにより、毛髪の表面に付着している余分な色素や地肌に染着してしまった色素を除去する力のことを指している。また、「乳化」とは、染毛剤に水、ぬるま湯、リンス剤、シャンプー剤等を加えて混ぜることを指している。ただし、これらの用語は、界面活性剤の作用によりエマルジョンが生成する一般的な意味での「乳化」のことを指している場合もある。
【0017】
乳化力を評価するための実験方法について具体的に説明すると、まず、市販されている酸化染毛剤の第1剤と第2剤とを1:1の割合で混合した後に、この混合した酸化染毛剤を人の前腕内側部の3箇所に塗布した。このとき、酸化染毛剤は、ほぼ同じ肌色を有する3箇所を選んで塗布した。酸化染毛剤を塗布してから20分間放置した後、3箇所のうち2箇所については、1.0(W/V%)及び5.0(W/V%)のカタラーゼ水溶液にて各々30秒間ずつ揉み込み乳化を行った後に、酸化染毛剤を水で洗い流した。3箇所のうち残りの1箇所については、揉み込み乳化は行わず、そのまま水で洗い流した。
酸化染毛剤をよく水で洗い流した後に、酸化染毛剤が染着した3箇所の皮膚の色を色差計にて測定した。色差計は、(株)カラーテクノシステム製「COLOR JS 555」を使用した(以下の実験でも同じ色差計を使用した)。また、色差計によって皮膚の色を測定するだけではなく、これら3箇所の皮膚の色を目視によって観察した。色差計による測定結果を表2に示す。
【0018】
【表2】


【0019】
表2中のdEとは色差のことであり、酸化染毛剤を塗布していない基準箇所における皮膚の色との差を数値化して表したものである。また、表2中のdLとは明度差のことであり、酸化染毛剤を塗布していない基準箇所における皮膚の明るさとの差を数値化して表したものである。dEの値が小さいほど、皮膚の色は「薄く」、元の皮膚の色に近いということである。また、dLの値が大きいほど、皮膚の色が「明るく」、値が0(ゼロ)に近いほど、元の皮膚の色に近いということである。
表2に示す結果からわかるように、酸化染毛剤を水のみで洗い流すよりも、カタラーゼ水溶液によって揉み込み乳化を行ってから洗い流す方が、皮膚の色が「薄く」かつ「明るく」なることが判明した。なお、このような結果は、目視によっても確認することができた。このような結果となったのは、カタラーゼによって酸化染毛剤に含有される過酸化水素の分解・除去が行われることによって、皮膚に付着している染料の過剰な酸化重合による発色が抑えられたことが原因であると考えられる。
また、カタラーゼ濃度が1.0(W/V%)と5.0(W/V%)とでは大きな差が見られないが、1.0(W/V%)の場合の方が、皮膚の色が「薄く」かつ「明るく」なることが判明した。これは、カタラーゼ水溶液の酸化染毛剤に対する乳化力を高めるためには、カタラーゼの濃度が高ければ高いほどよいというわけではなく、カタラーゼの濃度が1.0(W/V%)以上5.0(W/V%)以下の範囲であれば最も高い効果を得ることができることを示すものである。つまり、本発明のリンス剤において、カタラーゼの濃度は、1.0(W/V%)以上5.0(W/V%)以下とするのが好ましいことが判明した。
【0020】
3.〔界面活性剤の種類と乳化力〕
界面活性剤の種類と、界面活性剤の酸化染毛剤に対する乳化力との相関を調べるために、表3に示すアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤の4種類の界面活性剤を用いて、上述の2.〔カタラーゼ濃度と乳化力〕と同様の実験を行った。
【0021】
【表3】


【0022】
すなわち、表3に示す4種類の界面活性剤をそれぞれ精製水にて1.0(W/V%)に希釈して、この希釈した界面活性剤によって、人の前腕内側部の4箇所に塗布した酸化染毛剤の揉み込み乳化をそれぞれ約30秒間行った。
界面活性剤による揉み込み乳化を行ってから酸化染毛剤をよく水で洗い流した後に、酸化染毛剤が染着した4箇所の皮膚の色を色差計にて測定するとともに、これら4箇所の皮膚の色を目視にて観察した。色差計による測定結果を表4に示す。
【0023】
【表4】


【0024】
表4に示す結果からわかるように、4種類の界面活性剤の中では、両性界面活性剤の効果が最も高かった。すなわち、両性界面活性剤によって揉み込み乳化を行った場合が、皮膚の色が最も「薄く」かつ「明るく」なることが判明した。なお、このような結果は、目視によっても確認することができた。つまり、酸化染毛剤を乳化により除去するためには、4種類の界面活性剤のうち、両性界面活性剤を選択するのが最も効果的であることが判明した。
【0025】
4.〔界面活性剤とカタラーゼの併用による乳化力〕
つぎに、界面活性剤あるいはカタラーゼをそれぞれ単独で用いるのでなく、界面活性剤とカタラーゼの両方を混合した液を用いて、上述の2.〔カタラーゼ濃度と乳化力〕と同様の実験を以下に示す手順に従って行った。
まず、界面活性剤の濃度が1.0(W/V%)であり、かつ、カタラーゼの濃度が1.0(W/V%)である混合液を作成した。界面活性剤としては、表5に示す5種類の界面活性剤を使用した。
【0026】
【表5】


【0027】
表5に示す5種類の界面活性剤(NO.1〜NO.5)とカタラーゼとの混合液によって、人の前腕内側部の5箇所に塗布した酸化染毛剤の揉み込み乳化をそれぞれ約30秒間行った。揉み込み乳化を行ってから酸化染毛剤をよく水で洗い流した後に、酸化染毛剤が染着した5箇所の皮膚の色を色差計にて測定するとともに、これら5箇所の皮膚の色を目視にて観察した。また、対照実験として、両性界面活性剤が単独で配合されている液(濃度1.0W/V%)と、カタラーゼが単独で配合されている液(濃度1.0W/V%)を用いてそれぞれ同様の実験を行った。色差計による測定結果を表6に示す。
【0028】
【表6】


【0029】
表6に示す結果からわかるように、界面活性剤もしくはカタラーゼをそれぞれ単独で使用するよりも、界面活性剤とカタラーゼとを混合して使用する方が、全般的に皮膚の色が「薄く」なり、かつ、「明るく」なることが判明した。このような結果は、目視によっても確認することができた。つまり、界面活性剤及びカタラーゼは、それぞれ単独で使用しても酸化染毛剤に対する乳化力が高まるのであるが、これら2つの成分を混合することによって、酸化染毛剤に対する乳化力がさらに高まる効果があることが判明した。
また、表6に示す結果からわかるように、乳化によって皮膚に染着した色素を除去する能力は、カタラーゼとカチオン性界面活性剤の組み合わせが高いといえるが、最も効果が高いのは、カタラーゼと両性界面活性剤の組み合わせであることが判明した。
【0030】
5.〔毛髪の感触評価〕
以下の手順にしたがって、毛髪に塗布した酸化染毛剤をリンス剤によって乳化後に水で洗い流す際の毛髪の「感触」を評価した。また、酸化染毛剤を洗い流した後の毛髪の「すべりやすさ」及び「なめらかさ」を測定した。
【0031】
まず、感触評価用に準備した人毛毛束に対して、市販の酸化染毛剤の第1剤と第2剤とを1:1の割合で混合して塗布した後に、この人毛毛束を20分間放置し、この人毛毛束に塗布した酸化染毛剤をリンス剤により揉み込み乳化を行って水で洗い流した。この人毛毛束を水で洗い流すときの感触を、熟練の実験者による「手の感覚」によって評価した。
つぎに、人毛毛束を水で洗い流してからタオルドライ及びドライヤーによる乾燥を行い、この人毛毛束から数本の毛髪を取り出して、この毛髪の「すべりやすさ」及び「なめらかさ」を摩擦感テスター(「KES−SE」;カトーテック(株)製)によりそれぞれ測定した。この摩擦感テスターとは、スライドガラス上に並べられた毛髪のサンプルをステージ上に固定して、この毛髪のサンプルをステージと一緒に移動させるとともに、このときに毛髪に対して接触している接触子との間に作用する摩擦力を連続的に測定することによって、毛髪の平均摩擦係数(MIU)と摩擦係数の変動(MMD)を測定することのできる装置である。本実験では、平均摩擦係数を毛髪の「すべりやすさ」として測定した。摩擦係数の変動を毛髪の「なめらかさ」として測定した。
【0032】
本実験に使用するリンス剤としては、上記表5に示す5種類の界面活性剤をそれぞれ1.0(W/V%)の濃度で含有する水溶液と、それら5種類の界面活性剤1.0(W/V%)とカタラーゼ1.0(W/V%)との混合液、の10種類を調製した。
また、対照実験として、酸化染毛剤を塗布した人毛毛束を水洗のみで洗い流した場合、及び、酸化染毛剤を塗布した人毛毛束をカタラーゼ1.0(W/V%)のみを含有する水溶液によって乳化後に洗い流した場合、のそれぞれについて、同様に実験を行った。実験結果を表7に示す。
【0033】
【表7】


【0034】
表7中における感触評価の各記号の意味は、以下の通りである。
×・・・不良(指通りが悪く、引っかかり感等がある)。
△・・・普通。
○・・・良好。
◎・・・極めて良好(指通りが良く、抵抗感をほとんど感じない)。
また、「すべりやすさ」及び「なめらかさ」は、酸化染毛剤を塗布した人毛毛束を水のみで洗い流した場合(NO.11)をブランク値(=100)としたときの相対値である。これらの値が小さい方が、「すべりやすさ」、「なめらかさ」ともに良好であることを示す。
【0035】
表7に示す結果からわかるように、界面活性剤もしくはカタラーゼをそれぞれ単独で使用するよりも、界面活性剤とカタラーゼとを混合して使用する方が、毛髪の感触や風合いが向上する傾向があることが判明した。特に、両性界面活性剤とカタラーゼとを混合した場合は、他の種類の界面活性剤と比較すると、格段に毛髪の感触が向上することが判明した。つまり、リンス剤によって酸化染毛剤を乳化した後に、その乳化された酸化染毛剤を水で洗い流す際の指通りを良好にし、毛髪を乾かした後の風合いを滑らかにするためには、当該リンス剤の成分として、両性界面活性剤とカタラーゼの組み合わせを選択するのが最も効果的であることが判明した。
【0036】
6.〔カタラーゼの経時安定性〕
カタラーゼの経時安定性について調べるために、以下のような実験を行った。
まず、実験用の試料として、界面活性剤1.0(W/V%)、カタラーゼ1.0(W/V%)、防腐剤としてパラベン0.1(W/V%)、及び精製水を含有する水溶液を調製した。界面活性剤としては、以下の表8に示す7種類の界面活性剤を使用した。また、対照実験のための試料として、カタラーゼ及びパラベン0.1(W/V%)含有する水溶液を調製した。調製した8種類の水溶液について、調製した直後の過酸化水素分解能を測定するとともに、この8種類の水溶液を遮光した状態で室温下において60日間放置した後に、それぞれの水溶液の過酸化水素分解能を再度測定した。過酸化水素分解能は、1.2%の過酸化水素水溶液に対して等量のカタラーゼ溶液を作用させて、この過酸化水素水溶液の分解率によって測定した。実験結果を表9に示す。
【0037】
【表8】


【0038】
【表9】


【0039】
表9に示す結果からわかるように、カタラーゼ単独であっても、あるいは、カタラーゼと界面活性剤とを混合した場合であっても、調製直後から60日間経過した後の過酸化水素分解能は半分以下に低下してしまうのであるが、両性界面活性剤の場合は例外であり、カタラーゼと両性界面活性剤とを混合した溶液については、60日間経過した後であっても、過酸化水素分解能がほとんど低下しないことが判明した。これは、両性界面活性剤がカタラーゼの安定化剤的に働いたことが原因ではないかと推測される(なお、この推測は、本発明の範囲を何ら制限するものではない)。つまり、リンス剤の成分として、カタラーゼ及び両性界面活性剤を配合することによって、カタラーゼの経時安定性が高まり、リンス剤としての製品価値が飛躍的に高まることが判明した。
【0040】
7.〔両性界面活性剤の濃度とカタラーゼの経時安定性〕
以下の手順にしたがって、両性界面活性剤の濃度とカタラーゼの経時安定性との関係について調べた。
まず、実験用の試料として、カタラーゼ1.0(W/V%)、両性界面活性剤、パラベン0.1(W/V%)、及び精製水を含有する水溶液を調製した。両性界面活性剤としては、表8のNO.6の両性界面活性剤(商品名「ソフタゾリンCL」)を使用した。この両性界面活性剤の量を調節することによって、両性界面活性剤の濃度が0.5(W/V%)〜20.0(W/V%)の間で段階的に異なる複数種類の試料を調製した。濃度の異なる複数種類の試料について、調製直後、調製直後から20日後、40日後、60日後における試料の過酸化水素分解能をそれぞれ測定した。なお、実験は、試料を遮光した状態に置いて行うとともに、試料を室温下に置いた条件と、試料を40℃の恒温槽に置いた条件の2種類の温度条件で行った。過酸化水素分解能は、1.2%の過酸化水素水溶液に対して等量のカタラーゼ溶液を作用させて、この過酸化水素水溶液の分解率によって測定した。
【0041】
【表10】


【0042】
表10に示す結果からわかるように、試料を40℃の恒温槽に置いた条件では、両性界面活性剤の濃度が3.0(W/V%)以上になると、過酸化水素分解能が著しく低下することが判明した。また、両性界面活性剤の濃度が0.5(W/V%)以上2.0(W/V%)以下の範囲では、過酸化水素分解能がほとんど低下しないことが判明した。つまり、本発明のリンス剤において、カタラーゼとともに配合する両性界面活性剤の濃度は、0.5(W/V%)以上2.0(W/V%)以下の範囲であることが最も好ましいことが判明した。
【0043】
8.〔酸性領域でのカタラーゼの安定性〕
以下の手順にしたがって、酸性領域でのカタラーゼの安定性を調べるための実験を行った。このような実験を行うのは、カタラーゼはpH5.0以下の酸性領域で急速に失活することが知られており、酸性領域の過酷な条件下における安定性を確保することが重要だからである。
まず、実験用の試料として、カタラーゼ1.0(W/V%)、両性界面活性剤1.0(W/V%)、パラベン0.1(W/V%)、及び精製水を含有する水溶液を調製した。両性界面活性剤としては、表8に示す3種類の両性界面活性剤を使用した。すなわち、表8のNO.5の両性界面活性剤(商品名「ソフタゾリンCPB」)、NO.6の両性界面活性剤(商品名「ソフタゾリンCL」)、及びNO.7の両性界面活性剤(商品名「カチナールAOC」)を使用した。調製した3種類の試料について、クエン酸等を用いてこの試料をpH5.0付近に調節した後、調製直後、20日後、及び40日後における試料の過酸化水素分解能をそれぞれ測定した。なお、実験は、試料を室温下で遮光した状態に置いて行った。過酸化水素分解能は、1.2%の過酸化水素水溶液に対して等量のカタラーゼ希釈液を作用させて、この過酸化水素水溶液の分解率によって測定した。実験結果を表11に示す。
【0044】
【表11】


【0045】
表11に示す結果からわかるように、pH5.0付近という過酷条件では、両性界面活性剤として「ソフタゾリンCL」もしくは「ソフタゾリンCPB」を使用した場合の過酸化水素分解能が高く、カタラーゼの経時安定性に優れていることが判明した。つまり、本発明のリンス剤に配合する両性界面活性剤としては、これらの主要成分、すなわち、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、及び/または、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインを選択することが好ましいことが判明した。
【0046】
以上説明したように、本発明のリンス剤によれば、毛髪や頭皮に付着した余分な染料を効果的に除去することができる。また、毛髪をリンス剤で揉み込んだ後に水で洗い流す際の指通りが良好であり、毛髪を乾かした後の風合いが滑らかになるとともに、毛髪中に残留している過酸化水素を速やかに分解除去することによって、毛髪の損傷を効果的に防止することが可能になる。また、本発明のリンス剤は、カタラーゼの経時的な安定性が優れており、製造後に長い期間が経過したとしても、過酸化水素分解能が低下しにくいという効果がある。さらに、本発明のリンス剤は、pH5.0付近という過酷な環境下でもカタラーゼが失活せず、過酸化水素分解能が失われにくいという効果がある。したがって、本発明のリンス剤によれば、ユーザーからの様々な要求を満足させることが可能であり、極めて商品価値の高い酸化染毛剤除去用のリンス剤を実現することができる。
【出願人】 【識別番号】399104992
【氏名又は名称】株式会社サンコール
【出願日】 平成16年12月24日(2004.12.24)
【代理人】 【識別番号】100064344
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 英彦

【識別番号】100087907
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 鉄男

【識別番号】100095278
【弁理士】
【氏名又は名称】犬飼 達彦

【識別番号】100125106
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 隆

【公開番号】 特開2006−176477(P2006−176477A)
【公開日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願番号】 特願2004−374064(P2004−374064)