トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 化粧料キットおよびこれを用いるスキンケア方法
【発明者】 【氏名】岡戸 道子
【住所又は居所】東京都中央区日本橋3丁目6番2号 株式会社コーセー本社内

【氏名】中野 恵介
【住所又は居所】東京都北区栄町48番18号 株式会社コーセー研究本部内

【氏名】紺野 美奈子
【住所又は居所】東京都北区栄町48番18号 株式会社コーセー研究本部内

【要約】 【課題】弱酸性の化粧料に含まれる薬効成分を、皮膚吸収促進剤の分解や変質による臭いの問題を生じさせることなく、効率よく皮膚中に浸透させることができる手段を提供すること。

【解決手段】弱酸性であり、薬効成分を含有する第1の化粧料と、アルカリ性であり、皮膚吸収促進剤としての不飽和脂肪酸を含有する第2の化粧料とを含む化粧料キット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弱酸性であり、薬効成分を含有する第1の化粧料と、弱アルカリ性であり、皮膚吸収促進剤として不飽和脂肪酸を含有する第2の化粧料とを含む化粧料キット。
【請求項2】
第1の化粧料のpHが4.5〜6.5である請求項第1項記載の化粧料キット。
【請求項3】
第1の化粧料に含まれる薬効成分が、水溶性薬効成分である請求項第1項または第2項記載の化粧料キット。
【請求項4】
第2の化粧料のpHが7.5〜9.5である請求項第1項ないし第3項の何れかの項記載の化粧料キット。
【請求項5】
不飽和脂肪酸が、炭素数12〜22で、不飽和結合の数が1〜3のものである請求項第1項ないし第4項の何れかの項記載の化粧料キット。
【請求項6】
不飽和脂肪酸が、オレイン酸である請求項第1項ないし第5項の何れかの項記載の化粧料キット。
【請求項7】
弱酸性であり、薬効成分を含有する第1の化粧料を皮膚に塗布し、次いで、弱アルカリ性であり、皮膚吸収促進剤としての不飽和脂肪酸を含有する第2の化粧料を皮膚に塗布することを特徴とするスキンケア方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料キットおよび当該化粧料キットを用いるスキンケア方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、スキンケア用化粧料には美白、保湿、老化防止等の目的で様々な薬効成分が配合されているが、この薬効成分の皮膚吸収性が悪い場合には、当該薬効成分の皮膚吸収性を高める目的で皮膚吸収促進剤が配合されている。
【0003】
しかしながら、皮膚吸収促進剤の中には、スキンケアに最適な弱酸性の化粧料では不安定になるものがあり、その様なものを配合した化粧料では、皮膚吸収促進剤が分解、変質し、例えば、臭い等の問題が生じることがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、弱酸性の化粧料に含まれる薬効成分を、皮膚吸収促進剤の分解や変質による臭いの問題を生じさせることなく、効率よく皮膚中に浸透させることができる手段の提供が求められており、本発明はそのような技術の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、薬効成分と皮膚吸収促進剤を別々に製剤化することにより、弱酸性条件下で分解する皮膚吸収促進剤も利用可能となることを見出した。より詳しくは、弱酸性である第1の化粧料に薬効成分を、弱酸性で分解、変質する不飽和脂肪酸を、皮膚吸収促進剤として弱アルカリ性である第2の化粧料に分けてそれぞれ配合し、これら化粧料をキットとすることにより、第1の化粧料に含まれる美白、保湿、老化防止等の目的で配合される薬効成分を効率よく皮膚中に浸透させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、弱酸性であり、薬効成分を含有する第1の化粧料と、弱アルカリ性であり、皮膚吸収促進剤としての不飽和脂肪酸を含有する第2の化粧料とからなる化粧料キットを提供するものである。
【0007】
また、本発明は、上記第1の化粧料を皮膚に塗布し、次いで、第2の化粧料を塗布することを特徴とするスキンケア方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化粧料キットは、弱酸性の第1の化粧料に薬効成分を、弱アルカリ性の第2の化粧料に皮膚吸収促進剤としての不飽和脂肪酸を配合し、使用時に順次塗布ないし適用することにより、これまで弱酸性条件で不安定で、化粧料に配合し難かった不飽和脂肪酸を皮膚吸収促進剤として利用することが可能となった。
【0009】
従って、本発明の化粧料キットは、弱酸性の第1の化粧料に含まれる薬効成分を効率よく皮膚中に浸透させることができるものであり、新しいタイプの2剤形化粧料として利用可能なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の化粧料キットは、弱酸性で、薬効成分を含有する第1の化粧料と、弱アルカリ性で、皮膚吸収促進剤である不飽和脂肪酸を含有する第2の化粧料とから構成される2剤形のものである。
【0011】
本発明の化粧料キットに用いられる第1の化粧料は、弱酸性であること以外は、従来の美白、保湿、老化防止等の目的の薬効成分が配合されている化粧料と同様に調製することができる。ここで弱酸性とは、pHが4.5〜7.0のことをいい、好ましくはpHが4.5〜6.5のことをいう。
【0012】
第1の化粧料の調製は、より具体的には、美白、保湿、老化防止等、所望の薬効を有する薬効成分を、化粧品の分野において使用されている化粧料用担体ないしは添加剤と組み合わせ、そのpHを弱酸性とし、最終的に常法により乳液状、水性ゲル状、クリーム状等の目的とする化粧品形態とすることにより行われる。
【0013】
この第1の化粧料に配合される薬効成分としては、特に限定されないが、グリチルリチン酸および/またはその誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル塩、アスコルビン酸硫酸エステル塩、アスコルビン酸グルコシド等のアスコルビン酸および/またはその誘導体、アルブチン等の水溶性薬剤、ヨクイニン、カンゾウ、チヤ、イザヨイバラ、ダイズ、米等、またはそれらの発酵物の水または水溶性溶媒の抽出液もしくは水蒸気蒸留により得られる水溶性薬効成分が好ましい。また、第一の化粧料には、化粧料に通常使用される化粧料用担体や添加剤等の各種の成分、即ち、水、低級アルコール、多価アルコール、油性成分、界面活性剤、増粘剤、粉体、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、色素、香料等を 本発明の効果を損なわない範囲で適宜加えることができる。
【0014】
一方、第2の化粧料は、弱アルカリ性であり、皮膚吸収促進剤である不飽和脂肪酸を含有する以外は、従来公知の化粧料に準じて製造される。ここで弱アルカリ性とはpHが7.0〜9.5をいい、好ましくはpHが7.5〜9.5のことをいう。
【0015】
この、第2の化粧料に含有される不飽和脂肪酸は、炭素数が12〜22で、不飽和結合の数が1〜3であるものが好ましく、更に、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が好ましく、特にオレイン酸が好ましい。これらの不飽和脂肪酸は弱酸性条件下では不安定であり、分解ないし変質して臭い等が生じるが、弱アルカリ条件下では安定なものである。
【0016】
第2の化粧料の調製は、具体的には、上記不飽和脂肪酸を、化粧品の分野において使用されている化粧料用担体ないしは添加剤と組み合わせ、そのpHを弱アルカリ性とし、最終的に常法により乳液状、水性ゲル状、クリーム状等の目的とする化粧品形態とすることにより行われる。第2の化粧料の製造に使用される化粧料用担体や添加剤等も、基本的には第1の化粧料の製造に用いられるものと同様であるが、弱アルカリ性となることを考慮して選択する必要がある。また、第2の化粧料中に、第1の化粧料中に配合したのとは別の薬効成分を配合することも可能である。この第2の化粧料の形態としては、経皮吸収促進性を高めるため、乳液状、水性ゲル状、クリーム状等のマッサージ化粧料、乳液状、水性ゲル状、クリーム状等のパック、化粧水および/または乳液を含浸させたシートが好ましい。
【0017】
かくして得られる本発明の化粧料キットは通常の化粧料と同様に美白、保湿、老化防止等のスキンケアに使用することができる。この本発明の化粧料キットをスキンケアに用いる場合には、各化粧料を順次別々あるいは同時に皮膚に塗布すればよいが、第1の化粧料に配合される薬効成分を効果的に皮膚中へ浸透させるには、まず、第1の化粧料を皮膚に塗布し、次いで、第2の化粧料を皮膚に塗布することが好ましい。第1の化粧料と第2の化粧料を塗布する間隔は5分以内が好ましい。
【実施例】
【0018】
以下に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
【0019】
実 施 例 1
化粧料キット(1):
下記成分および製法により、美容液である第1の化粧料と、クリームである第2の化粧料を組み合わせた化粧料キットを得た。
【0020】
(1)第1の化粧料(美容液)
(成分) (%)
1.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 2
2.セスキオレイン酸ソルビタン 1
3.メチルパラベン 0.1
4.セトステアリルアルコール 0.2
5.ワセリン 0.2
6.ステアリン酸硬化ヒマシ油 0.6
7.流動パラフィン 1
8.メドウフォーム油 0.5
9.メチルポリシロキサン 0.2
10.水素添加大豆リン脂質 1
11.グリセリン 6
12.精製水 残量
13.1,3−ブチレングリコール 13
14.水酸化ナトリウム 0.025
15.エデト酸二ナトリウム 0.01
16.精製水 8
17.カルボキシビニルポリマー 0.15
18.香料 適量
19.ヨクイニン抽出液(薬効成分(保湿)) 1
20.アルブチン(薬効成分(美白)) 2
【0021】
(製法)
A:成分(17)を70℃に加熱した成分(12)の一部で膨潤する。
B:成分(11)〜(16)を70℃で加熱溶解する。
C:成分(1)〜(10)を70℃で加熱溶解後、Bに添加し、乳化する。
D:CにAを添加し、混合する。
E:Dを室温まで冷却後、成分(18)〜(20)をDに添加し、混合し、美容液を得
た(pH5.9)。
【0022】
(2)第2の化粧料(クリーム状パック)
(成分) (%)
1.ステアリン酸 1.5
2.親油型モノステアリン酸グリセリン 1
3.セトステアリルアルコール 3
4.ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 0.5
5.ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.5
6.2−エチルヘキサン酸セチル 5
7.ワセリン 7
8.キャンデリラワックス 3
9.ジペンタエリスリット脂肪酸エステル 3
10.メチルポリシロキサン 0.1
11.メチルパラベン 0.1
12.オレイン酸 0.2
13.グリセリン 3
14.1,3−ブチレングリコール 15
15.精製水 残量
16.トリエタノールアミン 0.8
17.カルボキシビニルポリマー 0.1
18.香料 適量
【0023】
(製法)
A:成分(13)〜(16)を70℃で加熱溶解する。
B:成分(1)〜(12)を70℃に加熱後、Aに添加し、乳化する。
C:成分(17)を70℃に加熱した成分(15)の一部で膨潤した後、Bに添加し、
混合する。
D:成分(18)をCに添加し、混合した後、室温まで冷却後、クリームを得た(pH
8.1)。
【0024】
試 験 例 1
化粧料キットの評価(1):
実施例1で製造した化粧料キットについて、以下の方法で使用し、その保湿効果を調べた。この結果も下に示す。
(1)使用方法:
第1の化粧料である美容液を肌に塗布し、なじませた。その後すぐに第2の化粧料であるクリーム状パックを肌に塗布し、3分間放置させることによりなじませた。
(2)評価方法:
上記の使用方法により本発明の化粧料キットを2週間使用した後の肌の保湿感を15名の専門パネルにより以下の基準によって評価した。
<評価基準>
有効:肌の保湿効果が非常にある
やや有効:肌の保湿効果がややある
無効:肌の保湿効果がない
(3)使用結果:
本発明の化粧料キットを使用し、評価した結果を表1に示した。本発明の化粧料キットにより、優れた肌の保湿効果が得られた。
【表1】


【0025】
実 施 例 2
化粧料キット(2):
下記成分および製法により、化粧水である第1の化粧料と、乳液である第2の化粧料を組み合わせた化粧料キットを得た。
【0026】
(1)第1の化粧料(化粧水)
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
2.モノイソステアリン酸ソルビタン 0.1
3.テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 0.6
4.エタノール 10
5.香料 適量
6.精製水 残量
7.クエン酸 適量
8.クエン酸ナトリウム 適量
9.エデト酸二ナトリウム 0.1
10.グリセリン 10
11.チヤ抽出液(薬効成分(保湿)) 1
12.アスコルビン酸グルコシド(薬効成分(美白)) 2
【0027】
(製法)
A:成分(1)〜(5)を均一に溶解する。
B:成分(6)〜(12)を均一に溶解する。
C:AをBに添加し、化粧水を得た(pH5.5)。
【0028】
(2)第2の化粧料(乳液状パック)
(成分) (%)
1.ステアリン酸 1.2
2.親油型モノステリン酸グリセリン 0.3
3.ベヘニルアルコール 0.5
4.ジペンタエリスリット脂肪酸エステル 1
5.モノステアリン酸ソルビタン 0.6
6.モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 0.6
7.メチルパラベン 0.15
8.流動パラフィン 3.5
9.ホホバ油 0.1
10.オレイン酸 0.1
11.トリエタノールアミン 0.8
12.グリセリン 5
13.精製水 残量
14.1,3−ブチレングリコール 14
15.キサンタンガム 0.01
16.香料 適量
【0029】
(製法)
A:成分(15)を70℃に加熱した成分(13)の一部で膨潤する。
B:成分(11)〜(14)を70℃に加熱溶解する。
C:成分(1)〜(10)を70℃に加熱溶解後、Bに添加し、乳化する。
D:CにAを添加し、混合する。
E:Dを室温まで冷却後、成分(16)を添加し、乳液を得た(pH8.1)。
【0030】
試 験 例 2
化粧料キットの評価(2):
実施例2で製造した化粧料キットについて、以下の方法で使用し、その保湿効果を調べた。この結果も下に示す。
(1)使用方法:
第1の化粧料である化粧水を肌に塗布し、なじませた。その後すぐに第2の化粧料である乳液状パックを肌に塗布し、3分間放置させることによりなじませた。
(2)評価方法:
上記の使用方法により本発明の化粧料キットを2週間使用した後の肌の保湿感を15名の専門パネルにより以下の基準によって評価した。
<評価基準>
有効:肌の保湿効果が非常にある
やや有効:肌の保湿効果がややある
無効:肌の保湿効果がない
(3)使用結果:
本発明の化粧料キットを使用し、評価した結果を表2に示した。本発明の化粧料キットにより、優れた肌の保湿効果が得られた。
【表2】


【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の化粧料キットは、美白、保湿、老化防止等の目的で化粧料中に配合された薬効成分を効率よく皮膚中に浸透させることができるものである。
【0032】
従って、本発明の化粧料キットは、美白、保湿、老化防止等の各種スキンケアを目的とする新しい形態の化粧品として、好適に用いることができるものである。

以 上
【出願人】 【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
【住所又は居所】東京都中央区日本橋3丁目6番2号
【出願日】 平成16年12月24日(2004.12.24)
【代理人】 【識別番号】100086324
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 信夫

【公開番号】 特開2006−176474(P2006−176474A)
【公開日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願番号】 特願2004−374008(P2004−374008)