| 【発明の名称】 |
歯科用寒天印象材の保管方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 公彦 【住所又は居所】東京都板橋区蓮沼町76番地1号 株式会社ジーシー内
【氏名】安蒜 正雄 【住所又は居所】東京都板橋区蓮沼町76番地1号 株式会社ジーシー内
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| 【要約】 |
【課題】容器内の歯科用寒天印象材を使い切るまでの間に、保存液を取り替える必要が少なく、更に冷蔵保存も必要としない優れた歯科用寒天印象材の保管方法を提供する。
【解決手段】容器内に、グレープフルーツ種子抽出物を0.05から5.0重量%含有し、炭酸水素ナトリウムによりPHを6.5から8.0の範囲に調整された水溶液を保管液として歯科用寒天印象材を収納することを特徴とする歯科用寒天印象材の保管方法とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 容器内に、グレープフルーツ種子抽出物を0.05から5.0重量%含有し、炭酸水素ナトリウムによりPHを6.5から8.0の範囲に調整された水溶液を保管液として歯科用寒天印象材を収納することを特徴とする歯科用寒天印象材の保管方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、歯科臨床において印象採得に使用する歯科用寒天印象材を細菌汚染から容易に且つ長期間防ぐことが可能な歯科用寒天印象材の保管方法に関する。 【背景技術】 【0002】 歯科医療で用いられる歯科用印象材の中で、寒天をベースとした歯科用寒天印象材(水性コロイド印象材)は生体に対する毒性が無いことや、口腔内組織を過度に刺激しない温度で流動性のあるゾルとなり必要な微細部を残らず精密に再現できる歯科用印象材である。 【0003】 一般的には、複数の歯科用寒天印象材(通常はスティック状)が保存液である水に浸された状態で容器に収納され販売される。そして歯科医院では、保管している容器から歯科用寒天印象材を取り出して使用し、歯科用寒天印象材を取り出した後の容器は速やかに蓋を閉めて保管される。 【0004】 このとき、使用された後の歯科用寒天印象材が再び元の容器に戻されることはないが、歯科用寒天印象材を取り出す際に容器の蓋を開くことによって空気中に多く存在している浮遊細菌が容器内に侵入してしまうことは避けられない。そして歯科用寒天印象材のベースとなる寒天は、細菌学の分野では優れた培地として活用されているほど細菌繁殖に適した材料であるから極めて容易に容器内に残った全ての歯科用寒天印象材が細菌に汚染され腐敗してしまうことになる。 【0005】 従来では、歯科用寒天印象材の成分として各種の抗菌剤を含有させた例もあるが(例えば、特許文献1及び2参照。)、保存液である水に対しては効果が低く、保存液の腐敗による悪臭等が発生してしまう虞があった。 【0006】 そこで、次亜塩素酸ソーダ等の化学的作用を有する薬剤を保存液である水に含ませておく手段が容易に考えられるが、歯科用寒天印象材の主成分である寒天は海草由来の安定性の低い有機物であるので、反応性を有する化学物質では容易に劣化・分解を促進してしまうために歯科用寒天印象材を安定して保存する目的には全く適していなかった。 【0007】 従って、従来では歯科用寒天印象材及び保存液の腐敗を避けるために、容器を一度開けた後は全ての歯科用寒天印象材を使い切るまで容器内の水を少なくとも2〜3日に1回は新鮮な水と取り替え続けることが歯科医院に要求されていた。これは非常に面倒なことで歯科医師や歯科診療スタッフの大きな負担になっていた。また、夏場等腐敗の進みやすい時期には、更に容器ごと冷蔵庫に保管して腐敗を遅らせる等の処置も必要になることもあった。これは保管の手数が増えるばかりでなく歯科用寒天印象材に温度をかけて軟化させる作業への負担にもなっていた。 【0008】 【特許文献1】特開平1−100110号公報 【特許文献2】特開平4−346906号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 そこで本発明は、容器内の歯科用寒天印象材を使い切るまでの間に水を取り替える必要が少なく、更に冷蔵保存も必要としない歯科用寒天印象材の保管方法を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、歯科用寒天印象材の保存液として、グレープフルーツ種子抽出物と炭酸水素ナトリウムとが含有されpHが中性付近に調整された水溶液を保存液として用いると従来技術の問題点を解決できることを究明して本発明を完成したのである。 【0011】 即ち本発明は、容器内に、グレープフルーツ種子抽出物を0.05から5.0重量%含有し、炭酸水素ナトリウムによりPHを6.5から8.0の範囲に調整された水溶液を保管液として歯科用寒天印象材を収納することを特徴とする歯科用寒天印象材の保管方法である。 【発明の効果】 【0012】 本発明に係る歯科用寒天印象材の保管方法は、容器内の歯科用寒天印象材を使い切るまでの間は水を取り替える必要が少なく、更に冷蔵保存も必要としない歯科用寒天印象材の保管方法であり歯科治療に貢献するところ非常に大なるものである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0013】 本発明に使用するグレープフルーツ種子抽出物はミカン科グレープフルーツ(Citrus paradisi MACF.)の種子から水やエタノール等で抽出して得られ、主成分は脂肪酸及びフラボノイドである。そしてグレープフルーツ種子抽出物は生体に対する安全性と殺菌作用及びその有効性は従来から広く知られている。しかし、一方でグレープフルーツ種子抽出物のpHは4以下であり有機酸とほぼ同程度の酸性度であり、グレープフルーツ種子抽出物をそのまま用いると歯科用寒天印象材の劣化が進んでしまうので後述する炭酸水素ナトリウムによって中和する。 【0014】 本発明に使用する保存液は、水を主成分とする保存液であり、水としては蒸留水や脱イオン水等が最も好ましいが塩素等を微量に含む水道水であっても構わない。この水にグレープフルーツ種子抽出物を0.05〜5.0重量%の濃度で含有する。0.05重量%未満では細菌に対して繁殖を抑える効果が得られず、5.0重量%を超えて配合しても効果は向上しない。 【0015】 本発明に使用する保存液は更に炭酸水素ナトリウムを含む。その濃度は使用するグレープフルーツ種子抽出物の濃度により異なり、保存液のpHを6.5〜8.0の範囲に調整する量で適宜配合される。pHがこの範囲内にないと保管中に歯科用寒天印象材が劣化してしまう虞がある。 【0016】 従来からグレープフルーツ種子抽出物は酸性域で使用するのが有効と考えられており、実際にクエン酸等と組み合わせて殺菌作用を増進させることが行われてきた。そのためグレープフルーツ種子抽出物を中和した状態で使用する研究は進んでいなかった。しかし、本発明者らの研究により、中和状態でも、特に炭酸水素ナトリウムにて中和せしめるとグレープフルーツ種子抽出物の殺菌効果を失わせることなく、歯科用寒天印象材を劣化させることもないことを見出したのである。また、炭酸水素ナトリウムは、胃腸薬として使用されている他、クッキーのふくらし粉としても利用されている等安全性が高く、常温で安定しているので歯科用寒天印象材の保存液としては最適なのである。 【0017】 以下に本発明に係る歯科用寒天印象材の保管方法の実施例及び比較例を示す。なお、グレープフルーツ種子抽出物としては(商品名 Desfan−100,ミツバ貿易製)、柿渋抽出物としては(商品名 パンシルBA,リリース科学工業社製)を用いた。 【実施例1】 【0018】 実施例1 市販の歯科用寒天印象材(商品名:アローマロイド,販売ジーシー社、製造オムニコ社)の90本入りシリンジタイプの容器を開封し、容器中の水を全て捨ててから歯科用寒天印象材が隠れるまでグレープフルーツ種子抽出物0.1重量%、炭酸水素ナトリウム0.05重量%を添加した蒸留水を保存液(pH6.8)として使用した。開始から4,8,12,19,23,27日目にそれぞれ30秒間蓋を開き、また、開始から15日目には保存液の交換を行い室内で保管した。 【0019】 30日目に歯科用寒天印象材を100℃にて10分間ボイルし、その後60℃で20分以上係留してから専用のシリンジを用いて押出し試験を行なった。そのときの歯科用寒天印象材の流動性と臭いを確認した。 【実施例2】 【0020】 グレープフルーツ種子抽出物4重量%、炭酸水素ナトリウム0.7重量%を添加した水道水を保存液(pH7.0)として使用した以外は実施例1と同様に歯科用寒天印象材を保管し、保管後の流動性と臭いを確認した。 【実施例3】 【0021】 グレープフルーツ種子抽出物3重量%、炭酸水素ナトリウム1.2重量%を添加した蒸留水を保存液(pH7.2)として使用した以外は実施例1と同様に歯科用寒天印象材を保管し、保管後の流動性と臭いを確認した。 【実施例4】 【0022】 グレープフルーツ種子抽出物0.3重量%、炭酸水素ナトリウム0.12重量%を添加した水道水を保存液(pH7.2)として使用した以外は実施例1と同様に歯科用寒天印象材を保管し、保管後の流動性と臭いを確認した。 〈比較例1〉 【0023】 水道水(pH7.0)を保存液として使用し、15日目の交換時も水道水を用いた以外は実施例1と同様に歯科用寒天印象材を保管し、保管後の流動性と臭いを確認した。 〈比較例2〉 【0024】 グレープフルーツ種子抽出物1重量%を添加した水道水を保存液(pH4.0)として使用した以外は実施例1と同様に歯科用寒天印象材を保管し、保管後の流動性と臭いを確認した。 【0025】 30日後の押出し試験による寒天の流動性、臭いを比較した結果を表1に纏めて示す。 【0026】 【表1】
【0027】 実施例及び比較例から明らかなように本発明に係る歯科用寒天印象材の保管方法は、グレープフルーツ種子抽出物を添加することにより保存性が著しく向上することが分かる。しかしながら、比較例2の結果が示すようにグレープフルーツ種子抽出物を単に添加しただけでは腐敗しなかったものの、歯科用寒天印象材として重要なコシの強さが低下して押出し時の流動性が高くなった。これはグレープフルーツ種子抽出物の酸性により、主成分である寒天が劣化したことによると考えられる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000181217 【氏名又は名称】株式会社ジーシー 【住所又は居所】東京都板橋区蓮沼町76番1号
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| 【出願日】 |
平成16年12月24日(2004.12.24) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2006−176462(P2006−176462A) |
| 【公開日】 |
平成18年7月6日(2006.7.6) |
| 【出願番号】 |
特願2004−373106(P2004−373106) |
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