| 【発明の名称】 |
小腸でのリンの過剰吸収を抑制可能とする乳酸菌含有組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】黒田 章夫
【氏名】宮本 賢一
【氏名】大竹 久夫
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| 【要約】 |
【課題】プロバイオティクスにより小腸からの過剰なリン吸収を抑制可能とする技術を提供する。
【解決手段】本発明にかかる乳酸菌含有組成物は、吸収したリンをポリリン酸として菌体内に蓄積するポリリン酸蓄積乳酸菌を生菌として含有している。具体的な菌株は特に限定されないが、例えば、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティスJCM1251株またはビフィドバクテリウム・ブレビJCM1273株を挙げることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生存している乳酸菌を含有する乳酸菌含有組成物であって、 上記乳酸菌は、吸収したリンをポリリン酸として菌体内に蓄積するポリリン酸蓄積乳酸菌であることを特徴とする乳酸菌含有組成物。 【請求項2】 上記ポリリン酸蓄積乳酸菌は、菌体から抽出される総タンパク質量当りのポリリン酸量は10.00nmol/mg以上であることを特徴とする請求項1に記載の乳酸菌含有組成物。 【請求項3】 上記菌株が、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティスJCM1251株(Bifidobacterium adolescentis:JCM no.1251)またはビフィドバクテリウム・ブレビJCM1273株(Bifidobacterium breve:JCM no.1273)であることを特徴とする請求項1または2に記載の乳酸菌含有組成物。 【請求項4】 食品または医薬品の形態にあることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の乳酸菌含有組成物。 【請求項5】 上記食品が乳製品であることを特徴とする請求項4に記載の乳酸菌含有組成物。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、乳酸菌含有組成物に関するものであり、特に、ポリリン酸として菌体内に蓄積する乳酸菌を含有しており、プロバイオティクス等への応用が可能な乳酸菌含有組成物に関するものである。 【背景技術】 【0002】 結石は、体内で分泌物の成分が石のように固まった異物であり、結石そのものが粘膜を刺激したりして痛みを起こすだけでなく、体内の分泌物の通路を結石が塞ぐことになるため、さまざまな症状を引き起こす。 【0003】 一般に、結石が生じやすい部位は胆道および尿路で、それぞれ胆石(症)および尿路結石(症)と呼称される。このうち、尿路結石は、カルシウムを主成分とするものが最も多く、カルシウムはシュウ酸塩、リン酸塩として存在する。他の成分としては、リン酸マグネシウムアンモニウム等のマグネシウム化合物、尿酸および尿酸塩等が挙げられる。すなわち、尿路結石の主成分は、カチオンから見た場合にはカルシウムおよびマグネシウムが多く含まれていることになるが、アニオンから見た場合には、シュウ酸塩およびリン酸塩が多く含まれていることになる。 【0004】 尿路結石の原因は明確には突き止められていないが、食生活や遺伝は原因の一つであると考えられている。また、幾つかの疾患や代謝異常が原因となる場合も存在している。例えば、腎臓疾患を持つ患者(腎臓疾患患者)はリン酸塩を含む結石が生じやすい。 【0005】 腎臓は血液中の老廃物をろ過し、尿に排泄するという機能を有しており、もちろん尿中にリンをどれだけ排泄するかも調節している。したがって、腎臓疾患患者はリンを十分に排泄できないため血中のリン濃度が増加する。その結果、カルシウム/リン積の増大を招き、全身の異所性石灰化により、血管の閉塞等が起因となり、透析患者の死亡率が増大する。さらに、血中リンは最新の透析技術を用いても、十分に除去することができないので、リンの摂取を抑制するために厳しい食事制限を受ける必要がある。それゆえ、腎臓疾患患者は透析によって余分なリンを除く必要が生じるだけでなく、リンの摂取を抑制するため厳しい食事制限を受ける必要が生じる。もちろん、腎臓疾患等の疾患を発症しない場合でも、食生活等によりリン酸塩を含む結石が生じる場合も多い。 【0006】 そのため、小腸からの過剰なリン吸収を抑制することは、結石症を含めた各種疾患の予防に有効となる。小腸からのリン吸収を抑制する技術としては、例えば、リンを吸着する化学物質を用いる技術等が知られている(例えば、非特許文献1〜4参照)。 【0007】 ところで、腸内細菌の中でも乳酸菌は善玉菌といわれ、食品用途だけでなく医薬関連用途にも広く応用されている。例えば、乳酸菌を含有する乳製品(ヨーグルトや発酵乳飲料等)は既に多くの商品が流通している。また、免疫力向上、悪玉菌の除去を目的として乳酸菌を投与する技術も知られている(例えば、非特許文献5・6参照)。特に、最近では、病気の予防として乳酸菌を摂取することはプロバイオティクスと呼ばれており、各種機能性食品の分野で非常に注目され、研究も進んでいる。 【非特許文献1】Kinugasa E, Ito H. Nippon Rinsho. 2004 May;62 Suppl 5:379-83 【非特許文献2】Shaheen FA, Akeel NM, Badawi LS, Souqiyyeh MZ. Efficacy and safety of sevelamer. Comparison with calcium carbonate in the treatment of hyperphosphatemia in hemodialysis patients. Saudi Med J. 2004 Jun;25(6):785-91 【非特許文献3】Almirall J, Lopez T, Vallve M, Ruiz A, Llibre J, Betriu A Safety and efficacy of sevelamer in the treatment of uncontrolled hyperphosphataemia of haemodialysis patients. Nephron Clin Pract. 2004;97(1):c17-22 【非特許文献4】Hutchison AJ. Improving phosphate-binder therapy as a way forward. Nephrol Dial Transplant. 2004 Mar;19 Suppl 1:i19-24 【非特許文献5】Delzenne N, Cherbut C, Neyrinck A. Prebiotics: actual and potential effects in inflammatory and malignant colonic diseases. Curr Opin Clin Nutr Metab Care. 2003 Sep;6(5):581-6 【非特許文献6】Anti-carcinogenicity of probiotics and prebiotics. Curr Issues Intest Microbiol. 2000 Mar;1(1):13-24 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 しかしながら、上記プロバイオティクスの分野においては、消化器系疾患の発症対策、食中毒対策、アレルギー疾患対策、歯周病対策等で成果を挙げている例が報告されているが、小腸からのリン吸収を抑制することによる結石症対策等については、全く報告が見られない。 【0009】 また、リンを吸着する化学物質を用いてリン吸収を抑制する技術に関しては様々な研究開発が行われているが、この技術は、プロバイオティクスのように「食品」を利用する技術ではないので、例えば、上述した腎臓疾患患者の食事制限を緩和する用途に応用するには容易ではないと考えられる。 【0010】 本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、プロバイオティクスにより小腸からの過剰なリン吸収を抑制可能とする技術を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0011】 本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、リンは、リン酸の形では細胞膜を透過しうるので細胞(菌体)内にそれほどリンを蓄積することはできないが、ポリリン酸の形では細胞内に良好に蓄積されることに着目し、本発明者により独自に確立された、菌体内にリンを高蓄積する大腸菌の株のスクリーニング法を利用することで、リンを高蓄積する乳酸菌の株が存在することを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。 【0012】 すなわち、本発明にかかる乳酸菌含有組成物は、生存している乳酸菌を含有する乳酸菌含有組成物であって、上記乳酸菌は、吸収したリンをポリリン酸として菌体内に蓄積するポリリン酸蓄積乳酸菌であることを特徴としている。 【0013】 上記乳酸菌含有組成物においては、菌体から抽出される総タンパク質量当りのポリリン酸量は10.00nmol/mg以上であることが好ましい。上記ポリリン酸蓄積乳酸菌は特に限定されるものではないが、例えば、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティスJCM1251株またはビフィドバクテリウム・ブレビJCM1273株を挙げることができる。 【0014】 本発明にかかる乳酸菌含有組成物は、食品または医薬品の形態にあることが好ましく、上記食品としては、例えば、乳製品を挙げることができる。 【発明の効果】 【0015】 本発明にかかる乳酸菌含有組成物は、以上のように、数ある乳酸菌の中から見出された、ポリリン酸を蓄積する乳酸菌の株を含有させる構成を備えている。この菌株はポリリン酸を蓄積するため菌体のリン含量が高くなる。それゆえ、この菌株を小腸内で活躍させることで、腸内細菌叢(腸内フローラ)を改善し、摂取された食物から効率良くリンを除去することが可能となる。しかも、用いられる菌株は乳酸菌としては既に知られているものであるため、経口摂取しやすく、かつ、生体に負荷が与えられることを回避することも可能である。そのため、例えば、腎臓疾患患者の食事制限を緩和する用途に応用しやすいという利点も有する。このように、本発明によれば、プロバイオティクスによりリンの過剰吸収をより良好に抑制することができるという効果を奏する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。 【0017】 (I)本発明で用いられる乳酸菌およびそのスクリーニング方法 本発明にかかる乳酸菌含有組成物は、吸収したリンをポリリン酸として菌体内に蓄積する乳酸菌(説明の便宜上、ポリリン酸蓄積乳酸菌と称する)を生存状態で含有するものである。なお、ポリリン酸は、リン酸が高エネルギーリン酸結合により千個程度直鎖状に結合した化合物であり、生体内で唯一の無機ポリマーである。 【0018】 本発明で用いられるポリリン酸蓄積乳酸菌は、平均的な乳酸菌に比べて菌体内に蓄積するポリリン酸の量が多いものであれば特に限定されるものではない。具体的には、一般的な乳酸菌であるLactobacillus属の乳酸菌では、菌体から抽出される総タンパク質量当りのポリリン酸量は10.00nmol/mg未満である。それゆえ、本発明において用いられるポリリン酸蓄積乳酸菌は、少なくとも10.00nmol/mg以上のポリリン酸を菌体内に蓄積可能とするものであればよい。 【0019】 本発明におけるポリリン酸蓄積乳酸菌として好適に用いることができる菌株としては特に限定されるものではなく、上記の条件、すなわち、少なくとも10.00nmol/mg以上のポリリン酸を菌体内に蓄積可能とするものであれば、どのような属の乳酸菌であってもよい。一般に、乳酸菌としては、ラクトバチルス(Lactobacillus)属等の乳酸桿菌、ラクトコッカス(Lactococcus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ロイコノストク(Leuconostoc)属等の乳酸球菌、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属等のビフィズス菌等が挙げられるが、これら属に限定されるものではなく、ポリリン酸の蓄積量に基づいて選択される。 【0020】 より具体的な例を挙げると、例えば、後述する実施例に示すように、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の菌株、すなわち、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティスJCM1251株(Bifidobacterium adolescentis:JCM no.1251)またはビフィドバクテリウム・ブレビJCM1273株(Bifidobacterium breve:JCM no.1273)を挙げることができる。これら菌株は、少なくとも10.00nmol/mg以上のポリリン酸を菌体内に蓄積可能とするという条件を満たしており、特に、B. breve JCM1273株は、一般的に用いられるLactobacillus乳酸菌と比較しても、40倍以上の含有量でポリリン酸を蓄積可能とすることが明らかとなった。それゆえ、これら菌株は、本発明にかかる乳酸菌含有組成物に対して好ましく利用することができる。なお、本発明で用いるポリリン酸蓄積乳酸菌は、1種類の菌株のみを用いてもよいが、2種類以上の菌株を組み合わせて用いてもよい。 【0021】 本発明で用いられるポリリン酸蓄積乳酸菌は、後述する実施例に示すように、本発明者らによって確立されたポリリン酸キナーゼ(PPK)を利用するポリリン酸の定量方法を用いてスクリーニングすることができる。 【0022】 PPKは、次式に示すように、アデノシン三リン酸(ATP)からポリリン酸とアデノシン二リン酸(ADP)を合成するが、その合成反応は可逆的である。つまり、一定量のポリリン酸に対して過剰量のADPとPPKとを加えると、ポリリン酸は全てATPに変換される。そこで、候補菌株からポリリン酸を抽出して上記逆反応により得られるATP濃度を測定することで、ポリリン酸を定量することができる。 【0023】 【化1】
【0024】 具体的には、候補菌株を培養し、集菌した菌体からポリリン酸を抽出し、得られたポリリン酸に対して過剰のADPおよびPPKを加える。これにより、上記逆反応によりポリリン酸がATPに変換されるので、このATPの量を定量することにより、菌体に蓄積されるポリリン酸量を測定することが可能となる。 【0025】 なお、ポリリン酸量の蓄積をより厳密に評価するためには、上述したように総タンパク質量当りのポリリン酸量を算出することが好ましい。そこで、同一のサンプルからポリリン酸量とともに総タンパク質量も定量しておくことが特に好ましい。総タンパク質量の定量は公知の方法に従えばよく特に限定されるものではない(例えば、実施例参照)。 【0026】 (II)乳酸菌含有組成物 本発明にかかる乳酸菌含有組成物は、上述したポリリン酸蓄積乳酸菌を含有するものであればよく、その他の成分については、その用途に応じて適宜好適なものを選択することが可能であり、特に限定されるものではない。 【0027】 本発明にかかる乳酸菌含有組成物に含まれるポリリン酸蓄積乳酸菌は、生存しているもの、すなわち生菌であればよく、その形態は特に限定されるものではない。したがって、ポリリン酸蓄積乳酸菌は、一般的な培養により得られる定常状態の生菌であってもよいし、常法により凍結乾燥して調製した生菌粉末であってもよい。また、生菌数は特に限定されるものではないが、経口摂取した状態で小腸まで生存したまま到達させることを考慮すれば、乳酸菌1g当り106 個以上生菌していることが好ましい。 【0028】 上述したように、ポリリン酸蓄積乳酸菌としては、1種類の菌株のみでもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよいが、さらに、本発明にかかる乳酸菌含有組成物には、ポリリン酸蓄積乳酸菌以外の乳酸菌が併用されてもよい。後述するように、本発明では、小腸におけるリンの過剰吸収を抑制することを主たる目的としているが、本目的とともに他の目的を同時に達成する場合には、それに適した乳酸菌を選択して併用すればよい。 【0029】 本発明では、少なくともポリリン酸蓄積乳酸菌は経口摂取した状態で小腸まで生存したまま到達させる必要がある。そのため、生菌を小腸まで到達させるための公知の技術を適用することができる。このような技術としては、例えば、公知の乳酸菌コーティング技術等を用いることができる。 【0030】 本発明にかかる乳酸菌含有組成物は、後述するように医薬品または食品として用いることができる。それゆえ、当該乳酸菌含有組成物には、医薬品や食品に利用される公知の添加剤を添加することができる。このような添加剤としては特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、固形形態の場合、賦形剤、結合剤、崩壊剤、コーティング剤、滑沢剤等を挙げることができる。 【0031】 上記賦形剤としては、具体的には、例えば、白糖、乳糖、マンニトール、グルコース等の単糖・オリゴ糖類;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、部分α化デンプン等のデンプン類;等を挙げることができるが特に限定されるものではない。 【0032】 上記結合剤としては、具体的には、例えば、キトサン、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、グアーガム、アラビアゴム、寒天等のデンプン以外の多糖類;トラガント、ゼラチン、グルテン等の天然高分子類;ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、酢酸ビニル樹脂等の合成高分子;等を挙げることができるが特に限定されるものではない。 【0033】 上記崩壊剤としては、具体的には、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、部分α化デンプン等のデンプン類;等を挙げることができるが特に限定されるものではない。 【0034】 上記滑沢剤としては、具体的には、例えば、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、コロイダルシリカ、含水二酸化ケイ素、ワックス類、硬化油等を挙げることができるが特に限定されるものではない。 【0035】 上記コーティング剤としては、具体的には、例えば、ジメチルアミノエチルメタアクリレート・メタアクリル酸共重合体、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アクリル酸エチル・メタアクリル酸共重合体、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体、エチルセルロース等の水不溶性高分子;メタアクリル酸・アクリル酸エチル共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート等の腸溶性高分子;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の水溶性高分子;等を挙げることができるが特に限定されるものではない。 【0036】 また、本発明にかかる乳酸菌含有組成物が液状形態の場合には、添加剤として、例えば、水、ショ糖、ソルビット、果糖などの糖類;ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類;p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤;等を含有させることができる。 【0037】 本発明にかかる乳酸菌含有組成物の形態は特に限定されるものではなく、その用途や目的等に応じて適切な形態を選択することができる。本発明は、小腸におけるリンの過剰吸収の抑制を目的としているため、基本的に経口投与に適した形態が好ましく選択される。このような形態としては、具体的には、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、トローチ剤、シロップ剤、ゼリー剤等を挙げることができるが特に限定されるものではない。これらの形態は、公知の製造技術により実現することができる。 (III)本発明の利用 本発明にかかる乳酸菌含有組成物は、主として、リンの過剰吸収を抑制するためのプロバイオティクス用途として好適に利用することができる。 【0038】 例えば、腎臓疾患患者の中でも、慢性腎不全の患者は腎臓のろ過能力が正常時の30%以下となる。そのため、リンを十分排泄することができず、血中のリン濃度が増加する。血中のリン濃度の増加は、尿路結石等の結石症を生じさせるだけでなく、骨折な動脈硬化を引き起こしやすくなる。そこで、上記患者は透析、食事療法、薬物療法を行わなければならない。 【0039】 これに対して、本発明では、既に食品や医薬品として応用されている乳酸菌を利用してリンの過剰吸収を抑制する。そのため、透析、食事療法、薬物療法等よりも患者に対して与える負荷を軽減することができる。また、負荷が軽減されるということは、健康状態であってもリンの過剰吸収により各種疾患を発症する可能性があるような場合に、簡便な予防方法として採用することが可能となる。 【0040】 したがって、本発明にかかる乳酸菌含有組成物は、食品または医薬品の形態にあることが好ましい。すなわち、本発明にかかる乳酸菌含有組成物からなる医薬品または食品もまた本発明に含まれる。 【0041】 本発明にかかる乳酸菌含有組成物の投与(摂取)対象は、上述したように、腎臓疾患患者やリンの過剰吸収を予防したい健常者等のヒトが挙げられるが、もちろんこれに限定されるものではなく、ペットや家畜等の動物に対しても投与する、または摂取させることができる。本発明にかかる乳酸菌含有組成物の投与量は特に限定されるものではなく、投与対象者の状態や、投与目的、投与方法等に応じて適宜設定すればよい。一般に、乳酸菌をプロバイオティクス用途で用いる場合、成人に対して生菌数で1日1×106 個以上、好ましくは1×108 〜1×1012個の範囲内となる量を、必要に応じて1日1回または数回に分けて投与すればよい。もちろんこの範囲を外れてもよいことは言うまでもない。 【0042】 本発明にかかる乳酸菌含有組成物を医薬品として用いる場合、前述したように、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、トローチ剤、シロップ剤、ゼリー剤等の公知の固形製剤として用いればよく、液状製剤として用いてもよい。また、本発明にかかる乳酸菌含有組成物を食品として用いる場合は、その具体的な形態は特に限定されるものではなく、例えば、サプリメントとして用いる場合には、上記医薬製剤の形態と同様で用いることができる。 【0043】 また、上記食品は、自然流動食、半消化態栄養食もしくは成分栄養食、またはドリンク剤等の加工形態とすることもできる。さらに、上記食品は、各種飲料やミネラルウォーターに用時添加する易溶性製剤としてもよい。本発明にかかる食品としては、例えば、菓子類、発酵食品、乳製品、果汁飲料、清涼飲料等の形態が挙げられるが、特に限定されるものではない。代表的な例としては、ヨーグルトまたは発酵乳飲料等の乳製品を挙げることができる。 【0044】 本発明にかかる乳酸菌含有組成物は食品そのものであってもよいが、食品とは別個に添加剤として準備されていてもよい。つまり、上記食品は、例えば、医師の食事箋に基づく栄養士の管理の下に、病院給食の調理の際に、任意の食品に対して、本発明にかかる乳酸菌含有組成物を加え、その場で調製した食品の形態で患者に与えることもできる。この場合、あらかじめ食品に添加してもよいし、摂取時に食品に添加してもよい。 【実施例】 【0045】 本発明について、実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、菌株および培地、並びに調製試薬としては次のものを用いた。 【0046】 〔用いた菌株〕 本実施例で用いた菌株は次の通りである。何れの菌株も理化学研究所から入手した。 Lactobacillus plantrum:JCM no.1055(JCM1055株) Lactobacillus plantrum:JCM no.1057(JCM1057株) Bifidobacterium bifidum:JCM no.1209(JCM1209株) Bifidobacterium adolescentis:JCM no.1251(JCM1251株) Bifidobacterium breve:JCM no.1273(JCM1273株) なお、上記各菌株の対数増殖期および定常期について事前に検討したところ、B. bifidum JCM1209株の対数増殖期が13時間、定常期が68時間であり、それ以外の菌株は何れも対数増殖期が9時間、定常期が35時間であった。 【0047】 〔用いた培地〕 Lactobacillus属の菌株はMRS培地で培養し、Bifidobacterium属の菌株はBifidobacterium培地で培養した。MRS培地の組成を表1に、Bifidobacterium培地の組成を表2に示す。また、各培地は、MRS培地の場合pH6.0〜6.5に、Bifidobacterium培地の場合pH6.8に調整し、オートクレーブにより滅菌した。さらに、Bifidobacterium培地については、オートクレーブ後、アスコルビン酸ナトリウムを0.1重量%、L−システインを0.05重量%となるように添加した。 【0048】 【表1】
【0049】 【表2】
【0050】 〔ポリリン酸蓄積量測定用に調製した試薬〕 実施例および比較例において、ポリリン酸蓄積量を測定するために調製したGITC溶液、ヌクレアーゼ溶液およびPPK緩衝液の組成を表3に示す。なお、下記の試薬以外は市販の試薬またはキットを用い、実施例中に記載している。 【0051】 【表3】
【0052】 〔実施例〕 上記5種類の菌株をそれぞれ37℃で振盪培養し、対数増殖期および定常期の培養液(トータルOD:0.3)を得た。各培養液を300μl分取し、遠心分離(15,000 rpm×5分)により菌体を集菌した。得られたペレットを−80℃に保持し、その後室温に置くことにより凍結融解処理を行った。この凍結融解処理は6回繰り返した。凍結融解後の沈殿に350μlのGITC溶液(表3)を加えて菌体を溶解し、90℃で2分間保温した。得られた菌体溶解液を、超音波処理を3分間行うことにより完全に破砕した。得られたサンプルのうち、50μlを後のタンパク質量測定用に分取した。 【0053】 残りのサンプルは90℃で2分間保温し、10μlの10%SDSおよび300μlの99.5%エタノールを加え、ボルテックスにてよく混合した後、90℃で2分間保温した。サンプル溶液に3μlのグラスミルク(Gene Clean KIT II, BIO101)を加え、良く混合した後、氷中に5分間保持した。その後、遠心分離(12,000rpm×10秒)によりグラスミルクを沈殿させた後、300μlのNEW WASH液(Gene Clean KIT II, BIO101)により2回洗浄を行った。その後、50μlのヌクレアーゼ溶液(表3)を添加、混合し、37℃で15分間保持して核酸を完全に分解した。 【0054】 核酸分解後のサンプルに対して、150μlのGITC溶液(表3)および150μlの99.5%エタノールを加えて混合し、遠心分離してグラスミルクを沈殿させた。その後、200μlのNEW WASH液で2回洗浄し、得られた沈殿に100μlの蒸留水を加えて混合し、90℃で2分間保温し、続いて、遠心分離(15,000rpm×3分)することにより上清を得た。 【0055】 得られた上清を4μl分取し、これに、2μlの0.5mM ADP、3μlの3.3×PPK緩衝液(表3)を混合し、精製PPKを1μl加え、37℃で30分間保温した。その後、ATPバイオルミネセンスキットCLSII(ベーリンガーマンハイム)を用いてATP量を定量(測定)し、培養液300μl中のポリリン酸量W1 (nmol)として換算した。その結果を表4に示す。 【0056】 また、タンパク質量測定用に分取した50μlのサンプルを、プロテインアッセイ(BIORAD)原液を5倍に希釈した溶液1mlに対して加えて混合し、波長595nmの吸光度(OD)を測定した。この値を標準タンパク質(1g/l BSA)系列より換算して、培養液300μl中のタンパク質量W2 (mg)を定量した。その結果を表4に示す。さらに、タンパク質量W2 に対するポリリン酸量W1 (W1 /W2 ,nmol/mg)を算出し、表4に示す。 【0057】 【表4】
【0058】 表4の結果から明らかなように、B. breve JCM1273株は、他の菌株に比べて103 倍近い含量でポリリン酸を蓄積することが明らかとなった。それゆえ、例えば、本菌株をプロバイオティクスで使用することにより、小腸で吸収されるリンを軽減することが可能となる。 【0059】 なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。 【産業上の利用可能性】 【0060】 以上のように、本発明では、菌体内にポリリン酸を蓄積する乳酸菌を用いるため、これを含有する組成物を摂取し、小腸まで到達させた場合、小腸内でリンを吸収・蓄積することが可能となり、小腸によるリンの過剰吸収を抑制することが可能となる。そのため、本発明は、リンの過剰吸収を抑制する用途のプロバイオティクスに応用することが可能であり、各種機能性食品や医薬品等の分野に広く応用することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】504136568 【氏名又は名称】国立大学法人広島大学 【識別番号】304020292 【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
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| 【出願日】 |
平成16年12月22日(2004.12.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080034 【弁理士】 【氏名又は名称】原 謙三
【識別番号】100113701 【弁理士】 【氏名又は名称】木島 隆一
【識別番号】100116241 【弁理士】 【氏名又は名称】金子 一郎
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| 【公開番号】 |
特開2006−176450(P2006−176450A) |
| 【公開日】 |
平成18年7月6日(2006.7.6) |
| 【出願番号】 |
特願2004−372082(P2004−372082) |
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