| 【発明の名称】 |
コラーゲン産生能向上剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】湯浅 勲
【氏名】小島 明子
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| 【要約】 |
【課題】コラーゲン産生量を向上させるコラーゲン産生能向上剤並びに該コラーゲン産生能向上剤を含有する化粧用組成物を提供すること。また、コラーゲン産生能を向上させる化合物を効率よくスクリーニングする方法を提供すること。
【解決手段】線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を有効成分とするコラーゲン産生能向上剤並びに該コラーゲン産生能向上剤を含有する化粧用組成物。並びに、細胞内グルタチオン量を指標とすることを特徴とするコラーゲン産生能向上化合物のスクリーニング方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を有効成分とする皮膚の線維芽細胞におけるコラーゲン産生能向上剤。 【請求項2】 細胞内グルタチオン量を指標として線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を選別することを特徴とするスクリーニング方法によって得られる化合物を有効成分とする皮膚の線維芽細胞におけるコラーゲン産生能向上剤。 【請求項3】 (1)細胞又は細胞培養物に被験化合物を接触させ、細胞内グルタチオン量を測定する工程、(2)(1)における測定値を被験化合物と接触させない対照における測定値と比較する工程、(3)(2)の結果に基づいて、線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を選別する工程を有するスクリーニング方法によって得られる化合物を有効成分とする皮膚の線維芽細胞におけるコラーゲン産生能向上剤。 【請求項4】 線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物が、ジエチレントリアミン五酢酸(Diethylenetriamine penta-acetic acid)、テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン(Tetrakis(2-pyridylmethyl)ethylenediamine)及び1−アセトキシチャビコールアセテート(1-acetoxychavicol acetate)からなる群から選ばれる1以上の化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のコラーゲン産生能向上剤。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のコラーゲン産生能向上剤を含有する化粧用組成物。 【請求項6】 細胞内グルタチオン量を指標として線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を選別することを特徴とする皮膚の線維芽細胞におけるコラーゲン産生能向上化合物のスクリーニング方法。 【請求項7】 (1)細胞又は細胞培養物に被験化合物を接触させ、細胞内グルタチオン量を測定する工程、(2)(1)における測定値を被験化合物と接触させない対照における測定値と比較する工程、(3)(2)の結果に基づいて、線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を選別する工程を有する皮膚の線維芽細胞におけるコラーゲン産生能向上化合物のスクリーニング方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、皮膚の線維芽細胞におけるコラーゲン産生能を向上させ、皮膚の張り、艶や保湿機能を維持及び/又は改善する作用を有するコラーゲン産生能向上剤、並びに該コラーゲン産生能向上剤を含有する化粧用組成物に関する。更に、コラーゲン産生能を向上させる化合物を効率よくスクリーニングする方法に関する。 【背景技術】 【0002】 皮膚の表皮及び真皮は、表皮細胞、線維芽細胞、及びコラーゲン等の細胞外マトリクスにより構成されており、これら皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことによって、皮膚の保湿機能や柔軟性、弾力性等が確保され、張りや艶のあるみずみずしい肌の状態が維持される。ところが、紫外線の照射や乾燥等の外的因子の影響、又は加齢によって、細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲンの産生量が減少すると、皮膚の保湿機能や弾力性が低下し、皮膚の張りや艶が失われ、荒れ、シワ等の皮膚の老化症状を呈するようになる。 【0003】 このため、皮膚の張り、艶の維持や皮膚の保湿機能の改善等を含む皮膚の老化防止及び/又は改善を目的として、皮膚のコラーゲン量を増加させる化粧品の開発が進められてきた。例えば、真皮マトリクス成分安定作用やコラーゲン合成を刺激する作用を有する成分として、アスコルビン酸等を含有させたものなどが報告されている(特許文献1、2及び3等参照)。 【0004】 しかし、従来の化粧品の多くは、コラーゲン量の分解を抑制することによって皮膚のコラーゲン量を維持するものであった。 【特許文献1】特開2004−075646号公報 【特許文献2】特開平11−246333号公報 【特許文献3】特開平11−322577号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明は、コラーゲン産生能を向上させる化合物を有効成分とし、皮膚の老化防止及び/又は改善等に有用なコラーゲン産生能向上剤を提供すること、並びに該コラーゲン産生能向上剤を含有し、皮膚の老化防止及び/又は改善用として好適な化粧用組成物を提供することを主な目的とする。また、コラーゲン産生能を向上させる化合物を効率よくスクリーニングする方法を提供することを主な目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者は、上記課題を解決することを主な目的として、検討を重ねた結果、線維芽細胞内グルタチオン量の減少がコラーゲン産生量の増加と関連していることを見出し、更に鋭意検討を重ねて本発明を完成するに至った。 【0007】 即ち、本発明は、以下のコラーゲン産生能向上剤、化粧用組成物並びにスクリーニング方法に関する。 【0008】 項1:線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を有効成分とする皮膚の線維芽細胞におけるコラーゲン産生能向上剤。 【0009】 項2:細胞内グルタチオン量を指標として線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を選別することを特徴とするスクリーニング方法によって得られる化合物を有効成分とする皮膚の線維芽細胞におけるコラーゲン産生能向上剤。 【0010】 項3:(1)細胞又は細胞培養物に被験化合物を接触させ、細胞内グルタチオン量を測定する工程、(2)(1)における測定値を被験化合物と接触させない対照における測定値と比較する工程、(3)(2)の結果に基づいて、線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を選別する工程を有するスクリーニング方法によって得られる化合物を有効成分とする皮膚の線維芽細胞におけるコラーゲン産生能向上剤。 【0011】 項4:線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物が、ジエチレントリアミン五酢酸(Diethylenetriamine penta-acetic acid)、テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン(Tetrakis(2-pyridylmethyl)ethylenediamine)及び1−アセトキシチャビコールアセテート(1-acetoxychavicol acetate)からなる群から選ばれる1以上の化合物である項1〜3のいずれかに記載のコラーゲン産生能向上剤。 【0012】 項5:項1〜4のいずれかに記載のコラーゲン産生能向上剤を含有する化粧用組成物。 【0013】 より詳細には、項1〜4のいずれかに記載のコラーゲン産生能向上剤を含有する、皮膚の老化防止及び/又は改善用化粧用組成物。 【0014】 項6:細胞内グルタチオン量を指標として線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を選別することを特徴とする皮膚の線維芽細胞におけるコラーゲン産生能向上化合物のスクリーニング方法。 【0015】 項7:(1)細胞又は細胞培養物に被験化合物を接触させ、細胞内グルタチオン量を測定する工程、(2)(1)における測定値を被験化合物と接触させない対照における測定値と比較する工程、(3)(2)の結果に基づいて、線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を選別する工程を有する皮膚の線維芽細胞におけるコラーゲン産生能向上化合物のスクリーニング方法。 【0016】 以下、本発明について更に詳細に説明する。 【0017】 コラーゲン産生能向上剤 本発明のコラーゲン産生能向上剤は、線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を有効成分とする。 【0018】 線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物とは、線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる方向へ作用する化合物であれば、何ら限定されることなく、グルタチオンの前駆体の発現量を減少させる化合物や、グルタチオンの合成酵素を阻害する作用を有する化合物等も含まれる。 【0019】 線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を選定する方法及び手段は特に限定されないが、例えば、細胞内グルタチオン量を指標として線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を選別することを特徴とするスクリーニング方法、或いは、(1)細胞又は細胞培養物に被験化合物を接触させ、細胞内グルタチオン量を測定する工程、(2)(1)における測定値を被験化合物と接触させない対照における測定値と比較する工程、(3)(2)の結果に基づいて線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を選別する工程を有するスクリーニング方法等を用いることができる。 【0020】 具体的に本発明のコラーゲン産生能向上剤の有効成分となる線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物、言い換えると、コラーゲン産生能向上化合物には、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸(Diethylenetriamine penta-acetic acid, DTPA)、テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン(Tetrakis(2-pyridylmethyl)ethylenediamine, TPEN)及び1−アセトキシチャビコールアセテート(1-acetoxychavicol acetate, ACA)などが含まれる。 【0021】 これらの化合物は、合成により製造されるものでもよく、天然物の抽出物に含まれるものであってもよい。 【0022】 本発明のコラーゲン産生能向上剤において、線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物は、1種のみ用いてもよく、または2種以上用いてもよい。 【0023】 また、本発明のコラーゲン産生能向上剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、他のコラーゲン産生促進剤、コラーゲン産生増強剤、コラーゲン代謝賦活剤又はコラーゲン分解抑制剤等を配合することができる。 【0024】 本発明のコラーゲン産生能促進剤は、皮膚の線維芽細胞におけるコラーゲンの産生能を顕著に向上させる作用を有し、顔面、ボディ、頭髪等、種々の部位に適用できる。 【0025】 化粧用組成物 本発明の化粧用組成物は、上記コラーゲン産生能向上剤を含有することを特徴とする。 【0026】 本発明の化粧用組成物における、コラーゲン産生能向上剤の配合割合は、適用部位や適用対象の年齢や特性、化合物の種類、及び/又は化粧用組成物の形態等によって適宜設定し得る。 【0027】 具体的に、コラーゲン産生能向上剤の有効成分となる線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物がDTPAの場合、DTPAの濃度が組成物全体に対して10〜50μM程度、TPENの場合、TPENの濃度が組成物全体に対して0.1〜10μM程度、またACAの場合、ACAの濃度が組成物全体に対して0.1〜1.0μM程度となるような割合で配合することが、低濃度でありながら顕著なコラーゲン産生能向上作用が奏される点で好ましい。 【0028】 本発明の化粧用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分、例えば、美白剤、保湿剤、殺菌・抗菌剤、収斂剤、紫外線吸収剤等を適宜配合することができる。 【0029】 また、本発明の化粧用組成物は、所望に応じて、適当な形態、例えば、液状、乳液状、クリーム状、粉末状、顆粒状等に適宜調製することができる。 【0030】 また、本発明の化粧用組成物を用いて、化粧水、ローション、トニック、乳液、クリーム、軟膏、パック、口紅、入浴剤、整髪料等の各種化粧品や化粧料を、常法に従って製造することもできる。 【0031】 本発明のコラーゲン産生能促進剤を含有する化粧用組成物は、皮膚の線維芽細胞におけるコラーゲンの産生能を顕著に向上させる作用を有し、皮膚の老化防止及び/又は改善用、皮膚のハリ、艶の維持改善用又は皮膚の保湿機能の維持改善用などとして、顔面、ボディ、頭髪等の種々の部位に適用できる。 【0032】 スクリーニング方法 本発明のスクリーニング方法は、本発明のコラーゲン産生能向上剤の有効成分となる化合物、言い換えると、コラーゲン産生能向上化合物を効率良くスクリーニングする方法である。 【0033】 本発明のスクリーニング方法は、コラーゲン産生能向上化合物の選別のために、細胞内グルタチオン量を指標とすること、又は細胞内グルタチオン量を測定乃至評価することを特徴とする。 【0034】 具体的に、本発明のスクリーニング方法の一つとしては、 細胞内グルタチオン量を指標として線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を選別することを特徴とするコラーゲン産生能向上化合物のスクリーニング方法が挙げられる。 【0035】 該スクリーニング方法において、細胞内グルタチオン量は指標の一つとして用いられるものであり、化合物の体内動態や安全性に関する値等の他の指標を加えることもできる。 【0036】 また、該指標は、細胞内グルタチオン量自体だけでなく、基準化合物との比較値や他のファクタ−を併せて演算したものなど、拡張された指標であってもよい。 【0037】 また、本発明のスクリーニング方法の一つとして、 (1)細胞又は細胞培養物に被験化合物を接触させ、細胞内グルタチオン量を測定する工程、(2)(1)における測定値を被験化合物と接触させない対照(コントロール)における測定値と比較する工程、(3)(2)の結果に基づいて、線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を選別する工程を有するコラーゲン産生能向上化合物のスクリーニング方法も挙げられる。 【0038】 細胞又は細胞培養物における細胞の種類等は特に限定されないが、例えば、肝星細胞や、ガン細胞等が挙げられる。 【0039】 細胞又は細胞培養物に、被験化合物を接触させる方法も特に限定されないが、例えば、被験化合物を細胞の培地へ添加する方法や、共培養等が挙げられる。 【0040】 細胞内グルタチオン量を測定する方法や手段も特に限定されないが、例えば、HPLCを用いる方法や、吸光度測定法等が挙げられる。 【0041】 被験化合物を接触させた群とコントロールとの比較に際しては、細胞内グルタチオン量の減少の有無だけでなく、減少の程度や減少の速度等も考慮することができる。 【0042】 本発明のスクリーニング方法において、線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物やコラーゲン産生能向上化合物を選定する際は、細胞内グルタチオン量に基づく評価に加えて、更に被験化合物の体内薬物動態や安全性等の、被験化合物の他の特性を適宜考慮することができる。 【0043】 本発明のスクリーニング方法において選別される線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物としては、具体的には、ジエチレントリアミン五酢酸(Diethylenetriamine penta-acetic acid, DTPA)、テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン(Tetrakis(2-pyridylmethyl)ethylenediamine, TPEN)及び1−アセトキシチャビコールアセテート(1-acetoxychavicol acetate, ACA)などが挙げられる。 【0044】 本発明のスクリーニング方法によって、皮膚の繊維芽細胞におけるコラーゲン産生能を向上させる化合物を効率良く得ることができる。そして、そのように得られるコラーゲン産生能向上化合物は、本発明のコラーゲン産生能向上促進剤並びに化粧用組成物の有効成分として利用できる。 【発明の効果】 【0045】 本発明のコラーゲン産生促進剤は、線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物を有効成分とするものであり、他の化合物に比べて極めて低い濃度で、顕著に、皮膚の線維芽細胞におけるコラーゲン産生能を向上させる作用を有する。これにより、本発明のコラーゲン産生促進剤は、皮膚の線維芽細胞におけるコラーゲンの産生能を顕著に向上させる作用を有し、皮膚の老化防止及び/又は改善、具体的には、皮膚のハリ、艶の維持改善又は皮膚の保湿機能の維持改善等において有効な作用を奏する。 【0046】 そして、本発明のコラーゲン産生能促進剤を含有する化粧用組成物は、皮膚の線維芽細胞におけるコラーゲンの産生能を顕著に向上させる作用を有し、皮膚の老化防止及び/又は改善用、具体的には、皮膚のハリ、艶の維持改善用又は皮膚の保湿機能の維持改善用などとして、有効に利用できる。 【0047】 更に、本発明のスクリーニング方法によれば、コラーゲン産生能向上化合物を効率良く得ることができる。本発明のスクリーニング方法によって得られる化合物は、コラーゲン産生能向上促進剤並びに化粧用組成物の有効成分として利用できる。よって、本発明のスクリーニング方法は、コラーゲン産生能向上剤並びにそれを含有する化粧用組成物の開発において有用に利用できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0048】 以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【実施例】 【0049】 1.線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物のスクリーニング 以下のような実験を行なって、線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物のスクリーニングを行なった。 【0050】 (1)まず、肝星細胞を用いて、スクリーニングを行なった。雄ラット(Male Wister rats, 日本エスエルシー)から分離した肝星細胞を、抗生物質(ペニシリン10 5U/l及びストレプトマイシン500 mg/l)を添加した10% FBS(fetal bovine serum)を含むDMEM培地1.5 ml中で2日間前培養した後、FBSを含まない新しいDMEM培地で更に18時間培養した。その後、被験化合物を添加して、24時間培養した。その後、25 mM Tris-HCl(pH7.4)溶液500μlを用いて細胞を回収し、100,000×gで30分間遠心分離した。上清(480μl)に0.56M Borate Buffer(pH 10.4)溶液500μl及びO−フタルアルデヒド(O-phthalaldehyde)溶液73μlを加え、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、細胞内グルタチオン量を測定した。HPLCの測定において、カラムはODS Crestpak C18S(日本分光株式会社))を用いた。溶出は、移動相A(30 mM sodium acetate)及び移動相B(92.3%メタノール/7%アセトニトリル)を用いたグラジェント溶出により行なった。観測は、O−フタルアルデヒド誘導体について、励起波長230 nm、吸収波長444 nmで行なった。 【0051】 この結果、ジエチレントリアミン五酢酸(Diethylenetriamine penta-acetic acid, DTPA)、テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン(Tetrakis(2-pyridylmethyl)ethylenediamine, TPEN)が細胞内グルタチオン量を減少させることがわかり、これらの化合物を、線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物として選定した。 【0052】 (2)次に、マウス由来エールリッヒ腹水ガン細胞(Ehrlich-Lettre Ascites strain E、大日本製薬株式会社)を用いてスクリーニングを行なった。マウス由来エールリッヒ腹水ガン細胞(Ehrlich ascites tumor cells)を10%FBSを含むイーグルMEM培地(Eagle's minimum essential medium)に浮遊させ、37℃、CO2インキュベーター内で3〜4日間培養した。次に細胞数を1×106 /mlになるように調整し、新しい培地で再び培養した後、被験化合物を培地に加えて24時間培養した。その後、5-スルホサリチル酸2%溶液を用いて細胞を回収し、3000 rpmで10分間遠心分離した。得られた上清を細胞内グルタチオン量の評価に用いた。またコントロールとして、培地とDMSOと細胞のみで構成されたものを用いた。線維芽細胞内グルタチオン量の評価は、5,5'−ジチオ−ビス−2−ニトロ安息香酸(5,5'−dithio−bis−2−nitrobenzoic acid)を添加して20分後、412 nmで吸光度を測定した。 【0053】 この結果、1−アセトキシチャビコールアセテート(1-acetoxychavicol acetate, ACA)が細胞内グルタチオン量を減少させることがわかり、この化合物を、線維芽細胞内グルタチオン量を減少させる化合物として選定した。 【0054】 2.コラーゲン産生能の評価 上記のスクリーニングによって得られた化合物のコラーゲン産生能向上作用を調べるために、以下の実験を行なった。 【0055】 (1)試料の作成 ヒト正常皮膚由来線維芽細胞(CCD-1059SK、大日本製薬株式会社)を、10%FBS(fetal bovine serum)を含むEMEM培地で3〜6回継代培養した。次いで、細胞数が1×106個になるようにカルチャースライド(Culture slide:Falcon社製)に調製し、10%FBSを含むEMEM培地で24時間培養して、細胞をスライドに固定させ、更に、細胞周期を合わせるためにEMEM培地のみで24時間培養した。その後、10%FBSを含むEMEM培地に交換し、同時に被験化合物を添加して24時間培養して、以下に示す各サンプル群を調製した。また、コントロールとして被験化合物を添加しない群、ポジティブコントロールとして、ビタミンC(VC)添加群を調製した。 【0056】 <サンプル群> 1)コントロール群 2)DTPA 10μM添加群 3)DTPA 50μM添加群 4)ACA 1μM添加群 5)TPEN 1μM添加群 6)VC 114μM添加群(ポジティブコントロール) 【0057】 (2)コラーゲンの産生量の測定 (1)で調製した1)〜6)のサンプル群について、次の手順により、コラーゲンの産生量を免疫組織化学的に解析した。 【0058】 カルチャースライドをPBS溶液で5分間、3回洗浄した後、4%パラホルムアルデヒド溶液を添加して4℃で一晩静置し、サンプルを固定した。0.1%Triton-Xを含むPBS溶液で5分間、3回洗浄後、3%H2O2溶液で5分間、内因性peroxidaseのブロッキングを行なった。次いで、10%標準ヤギ血清(normal goat serum)を用いて5分間、非特異的反応のブロッキングを行なった。その後、抗ラットI型コラーゲン抗体(Anti-rat type I collagen 抗体(LSL社製)200倍希釈液)を用いて一次抗体の反応を60分間行なった。PBS溶液で5分間、3回洗浄した後、ビオチン標識ヤギ抗ウサギ免疫グロブリン抗体(Biotinylated Goat anti-rabbit immunogloblins抗体(DAKO社製)400倍希釈液)を用いて二次抗体の反応を30分間行なった。PBS溶液で5分間、3回洗浄した後、酵素溶液(Horseradish peroxidase-labelled streptavidine-biotine complex(DAKO社製)400倍希釈液)による反応を30分間行なった。PBS溶液で5分間、3回洗浄した後、DAB(3,3-diaminobenzidin tetra-hydrocheloride)溶液を5分間反応させ、peroxidase発色反応を行なった。PBS溶液で5分間、3回洗浄した後、水溶性封入剤で封入して、標本を作製した。得られた標本における陽性反応(I型コラーゲンの発現)箇所における染色強度を、NIH imageソフトを用いて定量化し、画像解析によりI型コラーゲンの産生量を解析した。 【0059】 得られたコラーゲン産生量の解析結果を表1並びに図1及び図2に示す。 【0060】 表中の値は、コントロールを100としたときの各サンプルの染色強度(1スライドにつき細胞20個について測定して平均した値)の割合として、表した。 【0061】 【表1】
【0062】 その結果、表1並びに図1及び図2に示されるように、上記スクリーニングで得られた化合物であるDTPA、ACA、TPENの全てについて、コラーゲン産生量が顕著に向上していることが確認された。また、ポジティブコントロールとして用いたVCに比べて、極めて低濃度で、顕著なコラーゲン産生能向上作用を奏することが確認された。 【産業上の利用可能性】 【0063】 本発明によれば、コラーゲン産生量を増加させるコラーゲン産生能向上剤が提供される。また、本発明によれば、皮膚の老化防止及び/又は改善用として好適な化粧用組成物が提供される。また、本発明によれば、コラーゲン産生能向上剤の有効成分となる化合物を、効率よくスクリーニングする方法が提供される。本発明のスクリーニング方法は、コラーゲン産生能向上剤及び化粧用組成物の開発に有効に利用できる。 【図面の簡単な説明】 【0064】 【図1】実施例において得られたヒト由来線維芽細胞のI型コラーゲン染色像の結果を示す図面である。 【図2】実施例における画像解析によって定量化されたI型コラーゲンの産生量をグラフ化した図面である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】801000061 【氏名又は名称】財団法人大阪産業振興機構
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| 【出願日】 |
平成16年11月29日(2004.11.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065215 【弁理士】 【氏名又は名称】三枝 英二
【識別番号】100076510 【弁理士】 【氏名又は名称】掛樋 悠路
【識別番号】100129665 【弁理士】 【氏名又は名称】木村 順子
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| 【公開番号】 |
特開2006−151860(P2006−151860A) |
| 【公開日】 |
平成18年6月15日(2006.6.15) |
| 【出願番号】 |
特願2004−343641(P2004−343641) |
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