| 【発明の名称】 |
コラーゲンペプチド組成物とその製造方法、化粧料組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】谷坂 圭造 【住所又は居所】大阪府八尾市二俣2丁目22番地 新田ゼラチン株式会社大阪工場内
【氏名】肥塚 正博 【住所又は居所】大阪府八尾市二俣2丁目22番地 新田ゼラチン株式会社大阪工場内
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| 【要約】 |
【課題】従来のコラーゲンペプチドが有する問題点を解消し、コラーゲンペプチドが本来有する優れた機能を損なうことなく、皮膚用の化粧品や医薬品に配合して使用したときの使用感にも優れたコラーゲンペプチドの組成物を提供する。
【解決手段】コラーゲンの分解物であるコラーゲンペプチドの組成物であって、分子量400以上、3000未満のペプチドを60〜100重量%と、分子量400未満のペプチドを25重量%未満と、分子量3000以上のペプチドを15重量%未満とからなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コラーゲンの分解物であるコラーゲンペプチドの組成物であって、 分子量400以上、3000未満のペプチドを60〜100重量%と、 分子量400未満のペプチドを25重量%未満と、 分子量3000以上のペプチドを15重量%未満と からなるコラーゲンペプチド組成物。 【請求項2】 重量平均分子量600〜1800である 請求項1に記載のコラーゲンペプチド組成物。 【請求項3】 前記コラーゲンが、魚鱗由来コラーゲンおよび動物アキレス腱由来コラーゲンからなる群から選ばれるコラーゲンである 請求項1または2に記載のコラーゲンペプチド組成物。 【請求項4】 請求項1〜3に記載のコラーゲンペプチド組成物を製造する方法であって、 コラーゲン含有原料として、魚鱗および動物アキレス腱からなる群から選ばれ、油脂分0.3%未満のコラーゲン含有原料を準備する工程(a)と、 前記コラーゲン含有原料に、アルカリ処理を施す工程(b)と、 前記アルカリ処理を終えた原料に温度20〜80℃でプロテアーゼを用いて酵素処理を行って、コラーゲンペプチド組成物を得る工程(c)と を含むコラーゲンペプチド組成物の製造方法。 【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載のコラーゲンペプチド組成物を含む 化粧料組成物。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、コラーゲンペプチド組成物とその製造方法、化粧料組成物に関し、詳しくは、動物の結合組織などに含まれるコラーゲンを分解して得られるペプチドの組成物と、このようなコラーゲンペプチド組成物を製造する方法と、コラーゲンペプチド組成物を用いた化粧料組成物とを対象にしている。 【背景技術】 【0002】 コラーゲンペプチドが、皮膚用化粧品や医薬品の成分として有効であることは既に知られている。また、飲料などの食品に添加され、健康増進機能を向上させるためにも利用されている。 コラーゲンペプチドが配合された皮膚用化粧品や皮膚用医薬品は、皮膚の表面にコラーゲンペプチドによる保湿機能を付与するだけでなく、コラーゲンペプチドが皮膚の内部に浸透して、皮膚細胞の機能を向上できることが報告されている。ペプチドの分子量や分子量分布が、上記のような機能に影響を与えることも知られている。 コラーゲンペプチドの製造技術としては、一般的な動物原料からのコラーゲンの抽出技術およびコラーゲンの分解技術が適用される。 【0003】 例えば、特許文献1には、コラーゲン原料をコラゲナーゼ酵素で特異的に分解して、分子量1000以下で抗原性のない、アミノ酸配列が(Gly−X−Y)n:n=1〜3のペプチドが大部分を占めるコラーゲンペプチドを製造する技術が示されている。得られたコラーゲンペプチドは、食物アレルギーの予防や治療、骨治療、骨代謝改善、創傷治癒などの有効であるとされている。 特許文献2には、コラーゲン成分をシステインプロテアーゼ酵素で分解して、トリペプチドやジペプチドを多く含むコラーゲンペプチドを製造する技術が示されている。得られたコラーゲンペプチドは、コラーゲン産生促進作用、骨芽細胞増殖促進作用、骨強化作用および皮膚賦活作用を有するとされている。 【特許文献1】特許第3146251号公報 【特許文献2】特開2004−244369号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 従来、皮膚用の化粧品や医薬品に好適な皮膚への浸透性に優れたコラーゲンペプチドは、分子量が300未満程度のトリペプチドやジペプチドであると考えられていた。そのため、コラーゲンペプチドの製造技術としては、前記したトリペプチドやジペプチドのような低分子量成分が出来るだけ効率的に得られる製造条件を見出すべく、研究開発が進められていた。 ところが、従来のコラーゲンペプチドを用いた皮膚用の化粧品や医薬品は、皮膚に付けたときの使用感があまり良くないという問題があった。 例えば、特許文献1に記載されているような、トリペプチドを主に含む溶液は、皮膚につけたときに直ちに流れ落ちてしまったり拡がってしまったりして、所定の部位に充分に付着させることが困難である。皮膚に沿って滑らかに伸びるという感触に乏しいものとなり、使用感が良くない。 【0005】 化粧品を調製する際に、コラーゲンペプチドの他に粘性調整剤や増粘剤などを加えて、皮膚に付けたときの伸び性や使用感を向上させることも考えられるが、有効成分であるコラーゲンペプチドの配合量が相対的に少なくなるため、目的とする機能が十分に発揮されなくなる。増粘剤などがコラーゲンペプチドの皮膚への浸透機能などを阻害することもある。 本発明の課題は、前記した従来のコラーゲンペプチドが有する問題点を解消し、コラーゲンペプチドが本来有する優れた機能を損なうことなく、皮膚用の化粧品や医薬品に配合して使用したときの使用感にも優れたコラーゲンペプチドの組成物を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明にかかるコラーゲンペプチド組成物は、コラーゲンの分解物であるコラーゲンペプチドの組成物であって、分子量400以上、3000未満のペプチドを60〜100重量%と、分子量400未満のペプチドを25重量%未満と、分子量3000以上のペプチドを15重量%未満とからなる。 〔コラーゲンペプチド組成物〕 基本的には、コラーゲンの分解物であって、ペプチドの概念に含まれる物質の集合からなる。 ペプチドは、2個以上のアミノ酸がペプチド結合したものである。2個のアミノ酸からなるものをジペプチド、3個のアミノ酸からなるものをトリペプチドと呼ぶ。また、10個以上のアミノ酸からなるものをポリペプチド、10個未満のアミノ酸からなるものをオリゴペプチドと呼ぶこともある。アミノ酸の結合数が多いほど、ペプチドの分子量が大きくなる。例えば、トリペプチドの分子量は、約300、ポリペプチドの分子量は、1000以上になる。但し、結合しているアミノ酸の組み合わせが違えば、同じトリペプチドでも、分子量が違ってくることがある。 【0007】 コラーゲンペプチドは、抽出分解の原料となったコラーゲン含有原料の違いによって区別されることがある。例えば、牛骨由来コラーゲンペプチド、鮭皮由来コラーゲンペプチドなどと呼ばれる。その中で、油脂分や不純物の少ない魚鱗由来コラーゲンペプチドおよび動物アキレス腱由来コラーゲンペプチドが好ましい。動物アキレス腱由来コラーゲンペプチドの中でも、鳥類アキレス腱由来コラーゲンペプチドあるいはダチョウアキレス腱由来コラーゲンペプチドが好ましい。 ペプチド組成物は、アミノ酸の結合数が特定個数のペプチドのみで構成されている必要はなく、アミノ酸の結合数および組み合わせに関わらず様々なペプチドが含まれていて、組成物の全体として特定の分子量分布条件を満足するものである。 【0008】 ペプチド組成物の分子量分布は、常法により測定できる。例えば、HPLC法(High Performance Liquid Chromatography)が採用される。 分子量分布は、分子量400以上、3000未満のペプチドを60〜100重量%と、分子量400未満のペプチドを25重量%未満と、分子量3000以上のペプチドを15重量%未満とからなる。分子量400以上、1500未満のペプチドが55〜100重量%であることが望ましい。分子量400未満のペプチドが15重量%未満であることが望ましく、10重量%未満であることがより好ましい。分子量3000以上のペプチドが10重量%未満であることが望ましく、5重量%未満であることがより好ましい。 【0009】 分子量400以上、3000未満のペプチドが充分な割合で含まれることによって、ペプチド組成物が配合された化粧品などを皮膚につけたときの載りあるいは伸びを適切な状態にできる。皮膚への浸透性や細胞機能の向上効果など、ペプチドが有する機能も実用的に充分に優れたものとなる。分子量400未満のペプチドが多過ぎると、ペプチド組成物を含む化粧品は、しっとり感や保湿感がほとんどなく、単なる水と変わらないような感触になってしまう。分子量3000以上のペプチドが多過ぎると、ペプチド組成物を含む化粧品は、べたべたとして気持ちが悪い感触を与える。皮膚への浸透性や細胞機能向上効果なども悪くなる。 【0010】 上記のような分子量分布を備えた上で、コラーゲンペプチド組成物の重量平均分子量を、600〜1800に設定することができる。重量平均分子量が大き過ぎると、皮膚に付けたときに伸び難くなる。皮膚浸透機能なども低下する。重量平均分子量が小さ過ぎると、皮膚に付けたときに皮膚に保持され難く使用感が悪くなる。 コラーゲンペプチド組成物は、コラーゲンペプチド以外の不純物は、出来るだけ含まれないことが望ましい。不純物として、抽出原料に含まれる成分、例えば、油脂や色素、ムコ多糖類などが挙げられる。製造過程で混入する不純物もある。 化粧品や医薬品に使用する場合、配合するペプチド溶液に油脂分が多く含まれると、色が悪くなり、原料に由来する魚臭や動物臭が強く出てしまい、肌につけたときに不快感を与える。そのため、後述するコラーゲン含有原料として、油脂分ができるだけ含まれないものが好ましい。 【0011】 コラーゲンペプチド組成物の純度は、製造原料の選択や製造条件の設定、精製処理などにより、必要な純度条件まで高めることができる。 コラーゲンペプチド組成物は、通常、水溶液の状態で提供される。他の溶媒の溶液として提供することもできる。コラーゲンペプチド組成物の粉末や顆粒などの固形状態で提供することもできる。 コラーゲンペプチド組成物を水溶液にしたときの透明度が、出来るだけ高いものが化粧品などに適したものになる。具体的には、光線透過率90%(波長400nm)以上のものが好ましい。 【0012】 〔コラーゲンペプチド組成物の製造〕 基本的には、通常のコラーゲンペプチドの製造技術が適用できる。 特定の分子量分布条件を満足するコラーゲンペプチド組成物を得るには、予め製造されたコラーゲンペプチドを、狭い分子量範囲毎に分画し、この分画されたコラーゲンペプチドを、所定の配合割合で組み合わせることができる。しかし、このような方法は研究試験レベルでの実施は可能であっても、工業的生産にはあまり適していない。 工業的生産に適した方法として、以下に示す各工程を含む方法が採用できる。 <コラーゲン含有原料の準備工程(a)> コラーゲン含有原料として、魚鱗および動物アキレス腱からなる群から選ばれ、油脂分0.3%未満のコラーゲン含有原料を準備することが好ましい。油脂分の少ない原料は、化粧品や医薬品に使用したときに、油脂分に由来する不快な臭いをなくせる。 【0013】 魚鱗としては、コラーゲン組織を含有する魚鱗であれば、魚種や鱗の部位などは特に限定されない。例えば、魚種として、泉鯛、ナイルパーチ、コイ、草魚、赤松鯛、イトヨリダイ、タラなどが挙げられる。鱗が多く、魚体から分離して回収し易い魚種が取り扱い易い。鱗に含まれるコラーゲン組織が豊富な魚種や、鱗に含まれる不要成分が少ない魚種の鱗が好ましい。 魚鱗は、魚体あるいは皮から分離した状態で使用する。魚鱗に付着した汚れや夾雑物を除去するために、水洗などの洗浄工程を行っておくことが望ましい。水洗工程を複数回繰り返すことで、汚れや夾雑物を十分に除去しておくことが好ましい。脱脂処理を行って油脂分を除去しておくこともできる。脱灰処理で、リンやカルシウムなどの無機物を除去しておくこともできる。 【0014】 動物アキレス腱は、動物の結合組織の中でもコラーゲン組織の含有率が高い。油脂などの不純物も少ない。アキレス腱を取り出す動物としては、牛、豚などの哺乳類、鶏、七面鳥、ダチョウなどの鳥類が用いられる。牛等の哺乳類は、BSE感染の問題があるのに対し、鳥類にはそのような問題がない。大型鳥類である七面鳥やダチョウは、取り出せるアキレス腱の量も多く、工業的生産に適している。 動物アキレス腱の場合も、魚鱗と同様に、水洗処理や脱脂処理、脱灰処理を行って、油脂分などの不要物を充分に除去しておくことが望ましい。 油脂分0.3%未満のコラーゲン含有原料を用いることで、高純度で高性能なコラーゲンペプチド組成物を効率的に得ることができる。コラーゲンペプチドを抽出したあとの濾過や精製の処理作業が容易になる。 【0015】 なお、次のアルカリ処理工程に送るコラーゲン含有原料は、できるだけ、コラーゲン組織が分断されていない状態のものが好ましい。そのため、微細粒への粉砕処理などは行わない。粉砕処理を行うと、アルカリ処理後の水洗が困難になり、精製作業に手間がかかることになる。通常、魚鱗の場合は、個別の鱗のまま、アキレス腱の場合も取り出したままのものを使用すればよい。 <アルカリ処理工程(b)> 基本的には、通常のコラーゲン製造あるいはコラーゲンペプチド製造において採用されるアルカリ処理と共通する技術が適用できる。 【0016】 アルカリ処理は、コラーゲン含有原料からコラーゲンペプチドが抽出され易いように、原料の組織を膨潤状態にしたり、コラーゲンと組織の結合を切断したり、原料に含まれる蛋白質や多糖類などの不純物を除去したりする機能がある。 アルカリ処理液には、消石灰(水酸化カルシウム)を含む石灰液や、硫酸ナトリウムを含む水酸化ナトリウム溶液などが使用できる。このようなアルカリ処理液に、前工程で粉砕された粉砕原料を投入し、所定の期間浸漬しておく。処理液のpHは12.0以上に設定できる。 アルカリ処理液として、硫酸ナトリウムを含む水酸化ナトリウム溶液は、処理性能に優れている。アルカリ処理液の水酸化ナトリウム濃度を、0.3〜6%程度に設定できる。硫酸ナトリウム濃度は、10〜20%程度に設定できる。 【0017】 アルカリ処理液の温度は、15〜30℃に設定することができる。処理期間は、5〜20日間に設定できる。処理中に、処理液を撹拌したり、取り換えたりすることも行える。 アルカリ処理が終われば、水洗処理や中和処理を行うことができる。水洗処理は、原料に付着したアルカリ成分を除去する。アルカリ処理の処理液から取り出した原料を、撹拌しながら大量の水で洗浄すればよい。中和処理は、無機酸などで原料に付着したアルカリ成分を中和する。水洗処理で除去できなかったアルカリ成分を中和できる。中和処理のあとで、さらに水洗処理を行って、中和に使用された過剰の酸を除去することができる。 <酵素処理工程(c)> アルカリ処理を終えた原料に酵素処理を行って、目的の分子量分布を備えたコラーゲンペプチド組成物を得ることができる。 【0018】 基本的には、通常のペプチド製造における酵素を用いた抽出処理と共通する。コラーゲン含有原料を酵素と接触させて、コラーゲンの分子をペプチド段階まで分解させる。その後、必要に応じて、固液分離処理を行って、抽出液に溶解した水溶性のコラーゲンペプチド組成物を回収する。 酵素処理を施す前に、コラーゲン含有原料を裁断あるいは粉砕しておくことができる。コラーゲン含有原料の粒径を細かくすることで、酵素処理が効率的に行える。 酵素としては、コラーゲン分子のペプチド結合を切断する機能を有する酵素であればよい。通常、蛋白質分解酵素あるいはプロアテーゼと呼ばれる酵素である。プロアテーゼには、コラゲナーゼやシステインプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼなどが含まれる。また、プロテアーゼを、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼおよびアルカリ性プロテアーゼに分類することもある。これらの各種プロテアーゼを、単独あるいは複数種類を組み合わせて使用することができる。 【0019】 コラゲナーゼは、コラーゲン分子のアミノ酸配列のうち、グリシン(Gly)のアミノ基側を特異的に切断する機能を有する。そのため、コラゲナーゼで酵素処理されて得られるコラーゲンペプチド組成物は、Glyを先頭にするトリペプチドあるいはジペプチドが多くなり、前記した特定の分子量分布条件を備えたコラーゲンペプチド組成物は得られ難い。但し、酵素処理の一部にコラゲナーゼを用いることはできる。 システインプロテアーゼには、植物由来のキモパパイン、パパイン、プロメライン、フィシン、動物由来のカテプシン、カルシウム依存性プロテアーゼなどが知られている。何れか1種の酵素だけを用いても良いし、複数の酵素を組み合わせて酵素処理を行うこともできる。システインプロテアーゼは、コラゲナーゼのような特異的分解機能は有しない。酵素処理の処理環境や処理条件を適切に設定することで、目的の分子量分布を有するコラーゲンペプチド組成物が得られる。コラゲナーゼに比べて、経済的に入手でき、取り扱いが容易で、目的とする分子量分布を有するペプチド組成物の生産効率が高い。工業的生産には、コラゲナーゼよりもシステインプロテアーゼが好ましい。 【0020】 トリプシン、キモトリプシンなどのセリンプロテアーゼ、ペプシン、カテプシンDなどのアスパラギン酸プロテアーゼも、コラゲナーゼに比べて特異的分解機能は少ない。 処理温度を20〜80℃に設定する。好ましくは、35〜80℃に設定できる。処理温度が低過ぎると、酵素の機能が十分に発揮されず、目的の分子量分布も得られ難い。処理温度が高過ぎると、酵素によるコラーゲンの分解が進み過ぎて、やはり目的の分子量分布が達成し難い。 処理時間を1〜48時間に設定する。処理時間が短くては処理効果が得られない。処理時間が長過ぎても、処理効果は上がらないとともに、コラーゲンの分解が進み過ぎる。 【0021】 <コラーゲンペプチド組成物の回収> 本発明の目的とするコラーゲンペプチド組成物は、酵素処理後の処理液に溶けた水溶性物質として含まれている。コラーゲンペプチド組成物水溶液には、目的のコラーゲンペプチド組成物の他には、不純物はほとんど含まれていない。 したがって、得られたコラーゲンペプチド組成物水溶液を、そのまま製品とすることもできる。また、必要に応じて、各種の精製処理を行って、より高純度の製品を得ることもできる。精製処理としては、通常のコラーゲンペプチド製造技術で採用されている各種の固液分離処理を行うことで、コラーゲンペプチド組成物の水溶液と、固形の不要物とを分離することができる。固液分離処理としては、濾過処理、遠心分離処理などが挙げられる。 【0022】 通常は、酵素処理を終えた処理液に、活性炭などによる比較的に簡単な精製処理を行うだけで、十分に純度が高く、無色・無臭のコラーゲンペプチド組成物を含む水溶液製品を得ることができる。 <その他の工程> 通常のコラーゲンペプチド製造技術において採用されている各種の処理工程や加工技術を、必要に応じて組み合わせることができる。 例えば、抽出工程のあとで、濾過工程、精製工程、濃縮工程などを行うことができる。それらの処理工程の使用装置や処理条件は、通常のコラーゲンペプチド製造と同様の技術が適用できる。 【0023】 〔コラーゲンペプチド組成物の使用〕 基本的には、通常のコラーゲンペプチドあるいはその組成物と同様の用途や使用形態で使用できる。 例えば、化粧品用途、医薬品および部外品用途、医療用性体材料用途、細胞培養用基質用途、食品用途などが挙げられる。 化粧品用途に使用される化粧料組成物は、化粧品そのものである場合と、化粧品を製造する際の原料あるいは中間製品である場合とを含む。化粧料組成物は、通常、コラーゲンペプチド組成物を含む水溶液である。 【0024】 化粧料組成物には、コラーゲンペプチド組成物以外の成分を含むこともできる。例えば、ペプチドよりも分子量が大きな水溶性コラーゲンやゼラチン、コラーゲンなどを組み合わせることができる。複数のコラーゲン成分を組み合わせることで、コラーゲンペプチド組成物だけでは得られない機能や特性を発揮できる場合がある。 その他の配合成分としては、使用目的や要求機能によって任意に設計することができる。例えば、水溶性コラーゲンや、ヒアルロン酸などのムコ多糖類やその塩などを配合することで、コラーゲンペプチド組成物による保湿機能をより高めることができる。その他、一般的な化粧料の添加材料として、各種油脂類やアルコール類、植物生薬類、動物性成分、顔料、紫外線吸収/遮断剤、香料、安定剤などが挙げられる。 【0025】 化粧料組成物を用いる化粧品として、コールドクリームや乳液、化粧水などの肌に付ける基礎化粧品のほか、口紅などの皮膚用化粧品、整髪料などの髪用化粧品、洗顔料、アフターシェーブローション、その他、コラーゲンペプチド組成物が有する機能が有効な各種化粧品に使用できる。 化粧品の具体的処方は、通常のコラーゲン利用化粧品と共通する技術が適用できる。各種文献に記載された化粧品処方において、そこで使用されているコラーゲンの代わりに、本発明のアルカリ処理コラーゲンを使用することができる。具体例として、特開2003−327599号公報に開示された化粧品処方を適用することができる。 【0026】 医薬品用途に使用される医薬用組成物として、皮膚用軟膏やクリーム、皮膚創傷回復塗剤などに、コラーゲンペプチド組成物を用いることができる。コラーゲンペプチド組成物以外の配合成分は、医薬用組成物の目的や薬効などに合わせて、適宜に設定できる。 【発明の効果】 【0027】 本発明にかかるコラーゲンペプチド組成物は、特定の分子量分布を有することで、そのような分子量分布条件から外れる従来のコラーゲンペプチド組成物に比べて、皮膚用の化粧品や医薬品などとして、皮膚に付けて使用するような用途に使用したときに、伸びが良く、しかも、過剰に流れたり拡がったりせず、べたつき感がなく、しっとり感が高い使用性能に優れたものとなる。しかも、コラーゲンペプチドが本来有している皮膚浸透性や細胞機能向上効果などは、トリペプチド未満の低分子量のペプチドに比べて、実用的に遜色のない優れた性能を発揮できる。 本発明の製造方法では、特定の原料にアルカリ処理および酵素処理を行うことで、前記のような特定の分子量分布条件を満足するコラーゲンペプチド組成物が、効率的に生産性良く製造できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0028】 コラーゲンペプチド組成物の具体的製造例とその性能を評価した結果を示す。 〔実施例1〕 <原料の準備> 原料として、湿重量で10kgの新鮮なダチョウ・アキレス腱を用いた。 原料に対して、15℃以下の水で水洗する処理を3回繰り返した。次いで、10%塩化ナトリウム水溶液50Lに原料を加えて24時間撹拌したあと、原料を分離する操作を、3回繰り返すことで、血液などの夾雑物を除去した。得られたダチョウ・アキレス腱を、5%エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム(EDTA)水溶液50Lに加えて24時間撹拌したあと、ダチョウ・アキレス腱を分離する操作を、2回繰り返すことで、リン酸カルシウムなどの無機物を除去した。その後、水洗を行い、約5℃のエタノール20Lにダチョウ・アキレス腱を加えて24時間撹拌したあと、ダチョウ・アキレス腱を分離し水洗することで、脱脂処理を行った。 【0029】 これらの作業を経て、前処理済みダチョウ・アキレス腱(湿重量6.7kg、乾燥重量1.9kg、油脂分含有量0.05重量%)を得た。 <アルカリ処理> 乾燥重量2kgの前処理済みダチョウ・アキレス腱を、20%硫酸ナトリウムを含む1N水酸化ナトリウム溶液20Lに浸漬し、20℃で10日間保持して、アルカリ処理を施した。 アルカリ処理のあと、精製水約100Lで水洗して、アルカリ分を除去した。 <酵素処理> アルカリ処理済みダチョウ・アキレス腱を、裁断機で1cm以下に粉砕したあと、湿重量の2倍の精製水を加えた。さらに、パパイン(天野エンザイム社製)20gを加え、50℃に保温し、撹拌機で撹拌しながら、24時間かけて酵素反応を行わせた。 【0030】 酵素反応が十分に行われた後、80℃で60分維持して、酵素を失活させた。 <精製処理> 前工程で得られたコラーゲンペプチド組成物を含有する水溶液を、活性炭処理したあと、濾紙による濾過処理を行って、活性炭を除去した。 その結果、最終的に、コラーゲンペプチド溶液40L(濃度7.1%)が得られた。アルカリ処理を行う前のコラーゲン原料に対して、収率90.8%であった。 コラーゲンペプチド溶液に、濃度が5%になるように精製水を加え、濃度5%のコラーゲンペプチド溶液を得た。 【0031】 〔比較例1〕 実施例1において、アルカリ処理工程を省いた以外は、酵素処理および精製処理など同じ製造工程を経て、コラーゲンペプチド溶液を得た。 コラーゲンペプチド溶液40L(濃度2.1%)が得られた。アルカリ処理を行う前のコラーゲン原料に対する収率26.9%であった。 〔比較例2〕 実施例1において、酵素処理で用いる酵素を、パパインからコラゲナーゼに置き換えた以外は、実施例1と同じ製造工程で、コラーゲンペプチド溶液を得た。 【0032】 コラーゲンペプチド溶液40L(濃度7.5%)が得られた。アルカリ処理を行う前のコラーゲン原料に対する収率95.9%であった。 〔比較例3〕 実施例1において、アルカリ処理を行わず、酵素処理にはコラゲナーゼを用いた以外は、実施例1と同じ製造工程で、コラーゲンペプチド溶液を得た。 コラーゲンペプチド溶液40L(濃度7.2%)が得られた。アルカリ処理を行う前のコラーゲン原料に対する収率92.1%であった。 〔実施例2〕 実施例1において、原料として、湿重量で10kgの新鮮な鯛の鱗を用いた以外は、実施例1と共通する製造工程を経て、鯛鱗を原料とするコラーゲンペプチド溶液を得た。 【0033】 その結果、最終的に、コラーゲンペプチド溶液40L(濃度7.1%)が得られた。アルカリ処理を行う前のコラーゲン原料に対して、収率90.8%であった。 コラーゲンペプチド溶液に、濃度が5%になるように精製水を加え、濃度5%のコラーゲンペプチド溶液を得た。 〔比較例4〕 実施例2において、アルカリ処理工程を省いた以外は、酵素処理および精製処理など同じ製造工程を経て、コラーゲンペプチド溶液を得た。 コラーゲンペプチド溶液40L(濃度2.4%)が得られた。アルカリ処理を行う前のコラーゲン原料に対する収率30.1%であった。 【0034】 〔比較例5〕 実施例2において、酵素処理で用いる酵素をコラゲナーゼに置き換えた以外は、実施例2と同じ製造工程で、コラーゲンペプチド溶液を得た。 コラーゲンペプチド溶液40L(濃度7.3%)が得られた。アルカリ処理を行う前のコラーゲン原料に対する収率93.8%であった。 〔比較例6〕 実施例2において、アルカリ処理を行わず、酵素処理にはコラゲナーゼを用いた以外は、実施例2と同じ製造工程で、コラーゲンペプチド溶液を得た。 【0035】 コラーゲンペプチド溶液40L(濃度7.2%)が得られた。アルカリ処理を行う前のコラーゲン原料に対する収率92.6%であった。 〔化粧品の製造〕 各実施例および比較例で得られたコラーゲンペプチド溶液を用いて、下記の処方で化粧品を製造した。コラーゲンペプチド溶液の濃度は、何れも5%になるように、濃縮あるいは希釈により調整した。化粧品は、肌につける化粧水である。何れのコラーゲンペプチドでも、化粧品の製造には特に問題はなかった。 <化粧品の配合> コラーゲンペプチド溶液(濃度5%) 90重量% 1,3−ブチレングリコール 5重量% パラオキシ安息香酸メチル 0.1重量% 水 4.9重量% 〔性能評価〕 <分子量分布、平均分子量> 各実施例および比較例で得られたコラーゲンペプチド溶液に対して、HPLCによる分子量分布および平均分子量の測定を行った。 【0036】 HPLCの測定条件は、カラム:トーソー社製TskGEL、G2500PWXL(カラム温度25℃)、溶離液:45%アセトニトリル(0.1%TFA)、流速0.5mL/min、検出器:UV218nmであった。 平均分子量の測定は、トーソー社製、GPC−8020を用いた。 <色、臭い> コラーゲンペプチド溶液を、目視観察して、色と臭いを評価した。 <化粧品の官能試験> モニター(年齢23〜53才の12名)による化粧品の官能試験を行った。 【0037】 臭い:化粧品を嗅いだときの、臭いを判定した。また、化粧品を肌につけ、その後、化粧品を拭い取ってから、肌に残った臭いを判定した。臭いが無い場合を良、臭いが有る場合を不良と判定した。 べたつき感:肌につけて、べたつき感を判定した。べたつき感が無いまたは少なく不快感がない場合を良、べたつき感が強く不快感がある場合を不良と判定した。 しっとり感:肌につけて、しっとり感を判定した。しっとり感が有る場合を良、しっとり感が無い場合を不良と判定した。 各項目について、12名中で良と判定した人の数で評価した。 【0038】 〔試験結果〕 試験結果を下記表1〜3に示す。表1の分子量分布区分において、「<」は未満、「>=」は以上を意味する。 【0039】 【表1】
【0040】 【表2】
【0041】 【表3】
【0042】 <評価> (1) 実施例1、2のコラーゲンペプチド組成物は、分子量400〜3000のペプチドが大部分を占め、分子量400未満および3000以上にペプチドは少量しか含まれていない。特に、分子量400〜1500のペプチドが最も多く含まれている。 これに対し、比較例1〜3、4〜6のコラーゲンペプチド組成物は、分子量400未満あるいは3000以上のペプチドがかなり大量にふくまれている。 (2) 比較例1、4では、アルカリ処理を経ずに、システインプロテアーゼ(パパイン)による酵素処理を行ったために、分子量の大きなペプチドしか得られなかったものと推定できる。動物臭いのもとになる高分子量の不純物が残ってしまっている。化粧品に使用したときに、べたつき感が強くなり、しっとり感も劣る。 【0043】 (3) 比較例2、5では、酵素処理にコラゲナーゼを用いたので、分子量が小さなトリペプチドなどが多く含まれることになった。そのために、化粧品に使用したときに、しっとり感が良くないという欠点が生じている。 (4) 比較例3、6では、アルカリ処理を経ずに、コラゲナーゼによる酵素処理を行っている。分子量分布については、比較例2、5と大きな違いはないが、臭いが残ってしまった。前記比較例1、4の結果と合わせれば、アルカリ処理を行うことが、コラーゲンペプチド組成物の無臭化に有効であることが判る。 〔化粧品処方〕 以下に示す具体的処方で、コラーゲンペプチド組成物が配合された化粧品を製造することができた。コラーゲンペプチドとして、実施例1または実施例2のコラーゲンペプチド組成物の水溶液で用いた。何れも、本発明の効果が良好に発揮できた。 【0044】 <化粧品処方例1:化粧水> コラーゲンペプチド(濃度5%):20.0部、水溶性コラーゲン、ヒアルロン酸又はコンドロイチン硫酸溶液:5.0部、香料(レモン水):適量、防腐剤(フェノキシエタノール):適量、海洋深層水または白樺樹液:各成分の合計量を100部としたときの残部。 【産業上の利用可能性】 【0045】 本発明のコラーゲンペプチド組成物は、例えば、肌につける皮膚用化粧品に配合しておくことができる。皮膚用化粧品を肌につけたときに、速やか、かつ、滑らかに伸びて、肌を薄く均一に覆うことができる。使用感として、しっとりとした心地よい感触を与えることができる。皮膚への浸透性が高く、皮膚の保湿機能を高めたり、細胞機能の向上を達成したりすることができる。製造が容易で経済的に生産できるので、皮膚用化粧品の商品価値を高めることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000190943 【氏名又は名称】新田ゼラチン株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市浪速区桜川4丁目4番26号
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| 【出願日】 |
平成16年11月26日(2004.11.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100073461 【弁理士】 【氏名又は名称】松本 武彦
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| 【公開番号】 |
特開2006−151847(P2006−151847A) |
| 【公開日】 |
平成18年6月15日(2006.6.15) |
| 【出願番号】 |
特願2004−342644(P2004−342644) |
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