| 【発明の名称】 |
製剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】ピラー・カルボ・サルベ
【氏名】マリア・トビオ・バレイラ
【氏名】ジャコブ・ヘンドリック・ベイジネン
【氏名】バスティアン・ヌイジェン
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| 【要約】 |
【課題】エクテナサイジンの安定な製剤、およびこのような製剤を製造する方法を提供すること。
【解決手段】エクテナサイジン製剤、それを調製する方法、このような製剤についての製造の物品およびキット、ならびに同製剤により増殖性疾患を治療する方法を提供している。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エクテナサイジンおよび二糖類を含む組成物。 【請求項2】 エクテナサイジンがET-743を含む、請求項1に記載の組成物。 【請求項3】 前記二糖類が、ラクトース、トレハロース、スクロース、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。 【請求項4】 前記二糖類がスクロースである、請求項3に記載の組成物。 【請求項5】 ET-743の二糖類に対する比(重量/重量)が、約1:100〜約1:1500である、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。 【請求項6】 ET-743の二糖類に対する比(重量/重量)が、約1:250〜約1:600である、請求項5に記載の組成物。 【請求項7】 ET-743の二糖類に対する比(重量/重量)が、約1:400である、請求項6に記載の組成物。 【請求項8】 緩衝剤をさらに含む、請求項1から7のいずれかに記載の組成物。 【請求項9】 前記緩衝剤が、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、グリシン/塩酸緩衝液、およびそれらの混合物から選択される、請求項8に記載の組成物。 【請求項10】 界面活性剤をさらに含む、請求項1から9のいずれかに記載の組成物。 【請求項11】 界面活性剤が、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエート、ポリオキシル40ステアレート、およびそれらの混合物から選択される、請求項10に記載の組成物。 【請求項12】 組成物が、凍結乾燥した製剤の形態である、請求項1から11のいずれかに記載の組成物。 【請求項13】 1つのバイアル中に存在し、かつある量のET-743を含む、請求項12に記載の凍結乾燥した製剤。 【請求項14】 ET-743の前記量が約250μgである、請求項13に記載の凍結乾燥した製剤。 【請求項15】 前記バイアルが、ET-743約0.25mg、スクロース約100mg、リン酸塩約6.8mgとを含む製剤を含有しており、前記リン酸塩約6.8mgがリン酸二水素カリウムとして計算される、請求項14に記載の凍結乾燥した製剤。 【請求項16】 ET-743の前記量が約1mgである、請求項13に記載の凍結乾燥した製剤。 【請求項17】 前記バイアルが、ET-743約1.0mgと、スクロース約400mgと、リン酸塩約27.2mgとを含む製剤を含有しており、前記リン酸塩27.2mgがリン酸二水素カリウムとして計算される、請求項16に記載の凍結乾燥した製剤。 【請求項18】 エクテナサイジンの凍結乾燥した製剤を含有するバイアルを作製する方法であって、エクテナサイジンと二糖類とを含むバルク溶液を凍結乾燥するステップを含む方法。 【請求項19】 エクテナサイジンがET-743である、請求項18に記載の方法。 【請求項20】 ET-743の製剤中におけるET-701の形成を減少させる方法であって、ET-743および二糖類を含むバルク溶液を凍結乾燥するステップを含む方法。 【請求項21】 凍結乾燥のためのバルク溶液を調製する方法であって、酸性媒質中にエクテナサイジンを溶解させるステップと、予め溶解させたエクテナサイジンをバルク溶液の他の成分と混合するステップと、場合によって最終溶液のpHを調節するステップとを含む方法。 【請求項22】 エクテナサイジンがET-743である、請求項21に記載の方法。 【請求項23】 静脈内注入のための溶液を調製する方法であって、凍結乾燥したエクテナサイジンおよび二糖類を含むバイアルを提供するステップと、水を加えて再構成された溶液を形成するステップと、再構成された溶液を水性系で希釈するステップとを含む方法。 【請求項24】 エクテナサイジンがET-743である、請求項23に記載の方法。 【請求項25】 請求項23に記載の方法で調製した溶液の静脈内注入を含む、癌を治療する方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、製剤に関する。より具体的には、本発明はエクテナサイジン(ecteinascidin)743などのエクテナサイジンの組成物および製剤に関する。 【背景技術】 【0002】 エクテナサイジンは同定され、構造的に特徴付けられ、かつそれらを製造する合成方法が記述されている。例えば、R.Sakai,et.al.、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89、11456〜11460頁、「Additional antitumor ecteinascidins from Caribbean tunicate;Crystal structures and activities in viva」;R.Menchaca,et.al.、2003、J.Org.Chem.68(23)、8859〜8866頁、「Synthesis of natural ecteinascidins(ET-729,ET-745,ET-759B,ET-736,ET-637,ET-594)from cyanosafracin B」;およびI.Manzanares,et.al.、2001、Curr.Med.Chem.- Anti-Cancer Agents、1、257〜276頁、「Advances in the Chemistry and Pharmacology of Ecteinascidins,A Promising New Class of Anticancer Agents」、ならびにそれらの中の参考文献を参照されたい。これらの参考文献は、エクテナサイジンについて記述している。エクテナサイジンの例は、ET-743、ET-729、ET-745、ET-759A、ET-759B、ET-759C、ET-770、ET-815、ET-731、ET-745B、ET-722、ET-736、ET-738、ET-808、ET-752、ET-594、ET-552、ET-637、ET-652、ET-583、ET-597、ET-596、ET-639、ET-641、ならびに、アセチル化形態、ホルミル化形態、メチル化形態、およびN-オキシド形態などのオキシド形態などのそれらの誘導体によりもたらされる。 【0003】 このようなエクテナサイジンの構造的特徴付けを、本明細書で再び明確に提供することはしていない。このような参考文献およびそれらの中の引用文献の中で提供される詳細な記述から、この技術におけるどんな通常の技術者も直接、本明細書で引用している情報源および関連の情報源により、このような情報を得ることが可能であるからである。 【0004】 エクテナサイジン化合物の少なくとも1種、ET-743を広範に研究しており、本明細書においてそれを具体的に参照して、本発明の特徴を例示するであろう。 【0005】 エクテナサイジン743(ET-743)は、海中の被嚢類Ecteinascidia turbinataから単離されるテトラヒドロイソキノリンアルカロイドであり、かつ下記の構造を有する: 【0006】 【化1】
【0007】 薬剤として許容される担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせて、ET-743を含む薬剤組成物が、米国特許第5256663号において特許請求されている。 【0008】 最近のET-743の概説、その化学的性質、作用の機序、ならびに前臨床的および臨床的展開は、van Kesteren,Ch.et.al.、2003、Anti-Cancer Drugs、14(7)、487〜502頁:「Yondelis(trabectedin,ET-743):the development of an anticancer agent of marine origin」、およびその中の参考文献中に見出すことができる。 【0009】 ET-743は、黒色腫と卵巣癌および乳癌とを含む、無胸腺マウス内で成長した様々なヒト腫瘍異種移植片に対する強力な抗腫瘍活性を有する。 【0010】 ET-743の臨床期I試験において、肉腫と乳癌および卵巣癌とを有する患者において有望な反応が観察された。したがって現在、この新しい医薬品は、様々な腫瘍性疾患を有する癌患者における、いくつかのII期臨床試験としての強力な研究下にある。 【0011】 参照により全体が組み込まれている国際公開第0069441号で説明されているように、ET-743は、ET-743と、マンニトールと、リン酸緩衝液とを有する無菌凍結乾燥製品として供給および貯蔵される。好ましい製剤は、塩化ナトリウムまたは他の適切な注入用賦形剤0.9%と、マンニトール250mgと共に250μgのET-743と、第一リン酸カリウム34mgと、pHを調節するリン酸とから得られる製剤である。次いでこの製剤は、静脈内注射のため再構成し、かつ希釈される。 【0012】 ET-743は、その構造的特徴により判明するように、複雑な化学成分のものである。さらに、ET-743は限定された水溶解性を示し、またその安定性、特に生体適合性の形態および製剤を予測しかつ達成するのが難しい。これらの特性は、特に医学的目的に使用しやすくしようとするET-743製剤の調製ということになると、この技術における通常のスキルおよび従来の方法論に挑戦するものとなる。このような使用は、1つまたは複数の下記の特性:生体適合性、周囲条件下でのもしくはできるだけ周囲条件に近い条件下での安定性、それと共にできる限り長い貯蔵期限、ならびに、容易に再構成されて、できるだけ長く周囲条件または周囲条件に近い条件下で安定な再構成溶液を形成することが、その特性に含まれる製剤に託されることが好ましい。 【0013】 しかし、このような製剤を調製する従来の製剤および方法論では、上記に示したものなどの望ましい特徴および特性はもたらされない。例えば、引用した、van Kesteren,Ch.らによる2003年の概説では、下記のように報告している: ET-743は限定された水溶解性を有する。しかし、pHを4に調節することにより、十分なET-743濃度に到達させることができた。水溶液におけるET-743の不安定性により、この医薬製品の貯蔵安定性を増すために凍結乾燥が必要になった。ET-743は現在、投薬量単位当り、活性物質250μgと、増量剤としてマンニトール250mgと、ET-743を可溶化するためpH 4での0.05Mリン酸緩衝液とを含有する無菌凍結乾燥製品として製剤される。この製剤は、冷蔵温度および室温における長期貯蔵では不安定であり、したがって光から保護して-15と-25℃の間で貯蔵すべきである。再構成は、注射用水5mlを添加し、次いで静脈内注射の前に普通の食塩水で希釈することにより行われる。再構成溶液は、24時間まで周囲温度で安定である。 【0014】 実際には、250μgのET-743を含有する製品は、成形バイアル中で、ET-743、マンニトール、リン酸緩衝液、および水を含有する溶液5mlを凍結乾燥することにより製造される。この溶液20mlを凍結乾燥することにより、1mgのET-743を含有する成形バイアルも製造される。 【0015】 凍結乾燥は、典型的には、溶液を凍結させるステップと、一次乾燥の期間減圧して、凍結した材料から昇華により水蒸気を除去し、半乾燥塊をもたらすステップと、二次乾燥の期間温度を上げて半乾燥塊から残留水分を除去するステップとを包含する。 【0016】 上述の従来のET-743製剤には、いくつかの不都合な点がある。それらの1つは、少なくとも18カ月の貯蔵期限を達成するため、凍結乾燥したET-743製剤を約-20℃で貯蔵して、ET-743の分解を防止しなければならない点である。 【0017】 さらに、ET-743製剤は、不純物として比較的大量のET-701を生成する問題に直面している。ET-701は、ET-743製剤の凍結乾燥過程の間また貯蔵の間に生成される主な不純物である。ET-701は、ET-743の加水分解から来るものであり、下記の構造を有する: 【0018】 【化2】
【0019】 しかし、不純物の生成は、製剤を標準化する能力を失わせまたは妨げさえする。したがって、その組成が制御されない不純物の生成により容易にかつ予測できずに変化することのない実施形態を提供する製剤および製造方法をもたらすことが望ましい。 【0020】 さらに、上述の従来のET-743製剤の方法論の他の不都合な点は、凍結乾燥した製剤を得るために、5〜20mlのオーダーの充填体積を有する比較的大量の溶液を凍結乾燥する必要がある点である。これに反して、より高い活性物質濃度を有し、そのためその結果取り扱われる体積が低減されている製剤を製造することが可能になる、ET-743のように複雑な化合物における製剤のための製造方法論を開発することが望ましいであろう。従来の方法では、5または20mlの比較的大きい充填体積という視点で、体積凍結乾燥するステップに時間およびエネルギーが必要とされる。時間およびエネルギーに加えて、特に二次乾燥の際、ET-743が分解する危険も存在する。 【0021】 抗腫瘍剤としてのET-743製剤の可能性という視点から、従来の製剤及び製造方法論では取り組んでいない、または完全に解決していない問題を解決することができる製剤を提供する必要性が存在する。これらの問題には、ET-743の安定性の問題が含まれる。ET-743製剤の実施形態は、できるだけ多くの、本明細書で参照している医学的用途用の製剤の特性を示しながら、有利な凍結乾燥性状を好ましくは示すべきであり、好ましくは容易に再構成されるべきであり、また、注入用流体について希釈する際などの希釈性性状を好ましくは示すべきである。上述の通り、ET-743製剤の実施形態は長期貯蔵で安定であるべきである。さらに、本製剤及び製造方法論は、生体適合性基準を満たすべきであり、したがって、少なくとも注入用に使用される濃度で無毒性である製剤用賦形剤の有効な使用を考慮すべきである。 【0022】 非経口用製剤における賦形剤-薬物相互作用の一般的な概説は、Akers,MJにより、Journal of Pharmaceutical Sciences、91、2002、2283〜2300中に提供されている。この参考文献は、なかんずく、凍結乾燥の文脈における本主題を含む、増量剤および凍結乾燥保護剤(lyoprotectant)に関する章を提供している。 【0023】 本発明の文脈において展開している方法論および製剤は、ET-743のほかに、他のエクテナサイジンに適用可能であると考えられる。 【非特許文献1】R.Sakai,et.al.、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89、11456〜11460頁、「Additional antitumor ecteinascidins from Caribbean tunicate;Crystal structures and activities in viva」 【非特許文献2】R.Menchaca,et.al.、2003、J.Org.Chem.68(23)、8859〜8866頁、「Synthesis of natural ecteinascidins(ET-729,ET-745,ET-759B,ET-736,ET-637,ET-594)from cyanosafracin B」 【非特許文献3】I.Manzanares,et.al.、2001、Curr.Med.Chem.- Anti-Cancer Agents、1、257〜276頁、「Advances in the Chemistry and Pharmacology of Ecteinascidins,A Promising New Class of Anticancer Agents」 【特許文献1】米国特許第5256663号 【非特許文献4】van Kesteren,Ch.et.al.、2003、Anti-Cancer Drugs、14(7)、487〜502頁:「Yondelis(trabectedin,ET-743):the development of an anticancer agent of marine origin」 【特許文献2】国際公開第0069441号 【非特許文献5】Akers,MJ、Journal of Pharmaceutical Sciences、91、2002、2283〜2300 【特許文献3】米国特許第5089273号 【特許文献4】米国特許第5478932号 【特許文献5】米国特許第5654426号 【特許文献6】米国特許第5721362号 【特許文献7】米国特許第6124293号 【特許文献8】米国特許第5149804号 【特許文献9】米国特許第09/546877号 【特許文献10】米国特許第5985876号 【特許文献11】国際公開第01/77115号 【特許文献12】国際公開第0069862号 【特許文献13】国際公開第0187895号 【特許文献14】国際公開第0236135号 【特許文献15】国際公開第0339571号 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0024】 エクテナサイジンの安定な製剤、およびこのような製剤を製造する方法を提供することが、本発明の目的である。 【0025】 ET-743の新たな安定な製剤を提供することが、本発明の特定の目的である。詳細には、より大きな貯蔵安定性を有する製剤が必要とされている。不純物の生成を避ける必要性が特に存在する。詳細には、ET-701が実質的にはない製剤の実施形態を提供することが望ましい。 【0026】 さらに、本発明の他の目的は、従来の手段により達成されたET-743濃度よりも高いET-743濃度を有するET-743製剤の調製を可能にする製造方法論の開発に関する。追加的な目的は、ET-743のような複雑な化学成分の溶解性を改良する方法の開発、結局は凍結乾燥用溶液中のET-743濃度を増し、こうして製剤を凍結乾燥する前のバイアル内の充填体積を低減させる方法の開発に関する。 【課題を解決するための手段】 【0027】 本発明により、ET-743および二糖類を含むET-743組成物、ならびにこのような組成物を調製する方法を提供する。このような組成物の好ましい実施形態は、医薬的純度のものである。 【0028】 本発明の他の実施形態は、エクテナサイジンおよび二糖類を含む組成物により提供される。 【0029】 このような組成物のいくつかの実施形態は、ET-743などのエクテナサイジンおよび二糖類を含む、凍結乾燥した製剤により提供される。このような製剤を調製する方法を提供している。 【0030】 本発明は、ET-743製剤において不純物の生成を減少させる、もしくは実質的になくしさえする方法を提供する。いくつかの実施形態には、ET-743製剤においてET-701の生成を減少させる、もしくは実質的になくしさえする方法論が含まれる。 【0031】 本発明はまた、ET-743などのエクテナサイジンの製剤をより効果的に取り扱う方法論であって、より高濃度の製剤を作る方法、および凍結乾燥した製剤を生産する場合バイアルの充填体積を減少させる方法を含む方法論をも提供する。 【0032】 本発明はまた、ET-743を含むがET-743に限定されないエクテナサイジンなどの、複雑な化学成分のもの(chemical entity)を可溶化する方法をも提供する。このような方法により、凍結乾燥用のバルク溶液としてより濃縮されたET-743溶液を製造することが可能になり、充填体積の減少につながる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0033】 発明者らは、二糖類がエクテナサイジンの製剤を安定化することを本発明の状況において見出している。ET-743を含むエクテナサイジンは、製剤中のその挙動が、他の関連のない化学物質の挙動に関して予測できない、複雑な化学成分のものである。このような挙動は、医学的基準を含む生体適合性基準を満たさなければならない製剤中に、活性物質として少なくとも1種のエクテナサイジンが含まれる場合、より一層予測するのが難しい。この点に関して、発明者らは増量剤として二糖類を使用すると、ET-743組成物の凍結乾燥過程及び貯蔵の間における不純物の生成を劇的に減少させることができる点を、さらに見出している。 【0034】 本発明の実施形態が、ET-701などの他のエクテナサイジンが実質的にない、または少なくともできる限り低いET-701の含量を有するET-743製剤を提供することである場合、その場合はET-701を、製剤中におけるその存在量を少なくとも低減させるべき不純物とみなす。 【0035】 さらに、二糖類の使用により、貯蔵条件も改良されて、冷蔵状態および室温を含む、広い温度範囲における凍結乾燥した製剤の長期間貯蔵が可能になる。本明細書で使用する、例えば「安定なET-743製剤」という表現における、用語「安定な」は、本明細書において報告する安定性特性、およびその特性の等価物、であって、従来の製剤が有していない、かつ従来の製造方法論により調製する場合には達成されない特性および等価物を満たす製剤を指す。 【0036】 本発明の実施形態の例を、ET-743などのエクテナサイジンおよび二糖類を含む、新規な薬剤として許容される組成物により提供している。 【0037】 導入部分において言及しているように、エクテナサイジンは広く記述されている。それらのエクテナサイジンは、下記の一般式(I)を有することができる: 【0038】 【化3】
【0039】 ただし、上式において、 R5はOH、アルコキシ、またはアルカノイルオキシであり、 R6は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールであり、 R12は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールであり、 R16は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールであり、 R17はOH、アルコキシ、またはアルカノイルオキシであり、 R18はOH、アルコキシ、またはアルカノイルオキシであり、 R21はH、OH、CN、または他の求核基であり、また Raは水素であり、かつRbは場合によって置換されたアミノであり、あるいは RaはRbと共に、カルボニル官能基=Oを形成し、あるいは Ra、Rb、およびそれらが結合している炭素は、テトラヒドロイソキノリン基を形成する。 【0040】 これらの化合物において、置換基は下記の指針に従って選択することができる: アルキルおよびアルコキシ基は、炭素原子1〜12個を有することが好ましい。アルキルおよびアルコキシ基のより好ましい一部類は、炭素原子1〜約6個、また最も好ましくは炭素原子1、2、3、または4個を有する。本発明の化合物においてメチル、エチルおよびイソプロピルを含むプロピルが特に好ましいアルキル基である。本発明の化合物においてメトキシ、エトキシおよびイソプロポキシを含むプロポキシが特に好ましいアルコキシ基である。アルキルおよびアルコキシ基の他のより好ましい部類は、炭素原子4〜約12個、より一層好ましくは炭素原子5〜約8個、また最も好ましくは炭素原子5、6、7、または8個を有する。本明細書で使用する用語アルキルは、特に変更しない限り、環状および非環状基の両方を指す。ただし、環状基は炭素環員少なくとも3個を含むであろう。 【0041】 本発明の化合物の好ましいアルケニルおよびアルキニル基は、1種または複数の不飽和結合、および炭素原子2〜約12個を有する。より好ましい一部類のアルケニルまたはアルキニル基は、炭素原子2〜約6個、また最も好ましくは炭素原子2、3、または4個を有する。他のより好ましい部類のアルケニルまたはアルキニル基は、炭素原子4〜約12個、より一層好ましくは炭素原子5〜約8個、また最も好ましくは炭素原子5、6、7、または8個を有する。本明細書で使用する用語アルケニルおよびアルキニルは、環状および非環状基の両方を指す。 【0042】 本発明の化合物における適切なアリール基には、別個のかつ/もしくは縮合したアリール基を含む多重環式化合物を含む、単環式および多重環式化合物が含まれる。典型的なアリール基は、1〜3個の別個の環もしくは縮合環、および6〜約18個の炭素環原子を含む。特別に好ましいアリール基には、置換されたもしくは非置換のフェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル、およびアントラシルが含まれる。 【0043】 適切なアルカノイルオキシおよびアルカノイル基は、炭素原子2〜約20個、より好ましくは炭素原子2〜約8個、さらにより好ましくは炭素原子2〜6個、一層より好ましくは炭素原子2個を有する。他の好ましい部類のアルカノイルオキシ基は、炭素原子12〜約20個、一層より好ましくは炭素原子14〜約18個、また最も好ましくは炭素原子15、16、17、または18個を有する。 【0044】 上述の基は、OR'、=O、SR'、SOR'、SO2R'、NO2、NHR'、N(R')2、=N-R'、NHCOR'、N(COR')2、NHSO2R'、CN、ハロゲン、C(=O)R'、CO2R'、OC(=O)R'(これらの基中、それぞれのR'基は、H、OH、NO2、NH2、SH、CN、ハロゲン、=O、C(=O)H、C(=O)CH3、CO2H、置換されたもしくは非置換のC1〜C12アルキル、置換されたもしくは非置換のC2〜C12アルケニル、置換されたもしくは非置換のC2〜C12アルキニル、および置換されたもしくは非置換のアリールからなる基から独立に選択される。)などの、1種または複数の適切な基により1つまたは複数の利用可能な位置で置換できる。本発明の化合物における適切なハロゲン置換基には、F、Cl、Br、およびIが含まれる。 【0045】 本発明の好ましい化合物は、一般式(I)の化合物であって、1つまたは複数の下記の定義が適用される化合物である: R5はアルカノイルオキシであり、 R6はメチルであり、 R12はメチルであり、 R16はメチルであり、 R17はメトキシであり、 R18はOHであり、 R21はH、OH、またはCNであり、また Raは水素であり、かつRbはアミド基であり、または RaはRbと共に、=Oを形成し、または Ra、Rb、およびそれらが結合している炭素は、式(II)の基を形成する: 【0046】 【化4】
【0047】 本発明についての化合物の例には、エクテナサイジン743、および例えば米国特許第5089273号、米国特許第5478932号、米国特許第5654426号、米国特許第5721362号、米国特許第6124293号、米国特許第5149804号、米国特許第09/546877号、米国特許第5985876号、および国際公開第01/77115号中に開示されている、他の1,4-架橋された縮合エクテナサイジン化合物などの天然エクテナサイジンが含まれる。 【0048】 下記の式(III)の化合物が特に好ましい: 【0049】 【化5】
【0050】 上式において、 Raは水素であり、かつRbは、Rfがアルカノイルである式-NHRf-のアミド基であり、または RaはRbと共に、=Oを形成し、または Ra、Rb、およびそれらが結合している炭素は、式(II): 【0051】 【化6】
【0052】 の基を形成し; Rdはアルカノイルであり、また R21はH、OH、またはCNである。 【0053】 アルカノイル基は、アセチルまたはより高級な、例えばC20までの基とすることができる。 【0054】 したがって、本発明の好ましい化合物には: 【0055】 【化7】
【化8】
【0056】 および異なったアシル基を有する関連の化合物が含まれる。 【0057】 ET743またはecteinascidin743としても知られる、エクテナサイジン(Ecteinascidin)743が特に好ましい。 【0058】 本発明の組成物用の適切な二糖類の例には、ラクトース、トレハロース、スクロース、およびそれらの組合せが含まれる。本発明のいくつかの実施形態において使用することができる追加的な二糖類の例には、マルトース、イソマルトース、セロビオース、イソサッカロース、イソトレハロース、ソルボース、ツラノース、メリビオース、ゲンチオビオース、およびそれらの混合物が少なくとも1つ含まれる。スクロースが、現在好ましい。 【0059】 本発明の他の実施形態において、組成物は、ET-743などのエクテナサイジン、およびラクトースのない二糖類を含む。本発明の他の実施形態において、組成物は、ET-743などのエクテナサイジン、およびトレハロースのない二糖類を含む。本発明の他の実施形態において、組成物は、ET-743などのエクテナサイジン、およびスクロースのない二糖類を含む。本発明の他の実施形態において、組成物は、ET-743などのエクテナサイジン、およびマルトースのない二糖類を含む。本発明の他の実施形態において、組成物は、ET-743などのエクテナサイジン、およびイソマルトースのない二糖類を含む。本発明の他の実施形態において、組成物は、ET-743などのエクテナサイジン、およびセロビオースのない二糖類を含む。本発明の他の実施形態において、組成物は、ET-743などのエクテナサイジン、およびイソサッカロースのない二糖類を含む。本発明の他の実施形態において、組成物は、ET-743などのエクテナサイジン、およびイソトレハロースのない二糖類を含む。本発明の他の実施形態において、組成物は、ET-743などのエクテナサイジン、およびソルボースのない二糖類を含む。本発明の他の実施形態において、組成物は、ET-743などのエクテナサイジン、およびツラノースのない二糖類を含む。本発明の他の実施形態において、組成物は、ET-743などのエクテナサイジン、およびメリビオースのない二糖類を含む。本発明の他の実施形態において、組成物は、ET-743などのエクテナサイジン、およびゲンチオビオースのない二糖類を含む。 【0060】 したがって、いくつかの実施形態において、本発明の組成物は2重量%未満、もしくは1重量%未満、もしくは0.5重量%未満、もしくは0.2重量%未満、もしくは0.1重量%未満、の少なくとも1種の、好ましくはそれぞれの、ラクトース、トレハロース、スクロース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、イソサッカロース、イソトレハロース、ソルボース、ツラノース、メリビオース、およびゲンチオビオースを含有する。 【0061】 本明細書において使用する用語「それらの混合物」および「それらの組合せ」は、用語「それらの混合物」および「それらの組合せ」に、それらに先行して根拠を提供している少なくとも2つの実体(entity)を指す。例として、しかし限定としてではなく、用語「少なくとも1つのA、B、C、およびそれらの混合物を含む製品」は、次の任意の1つ:製品中にAがある;製品中にBがある;製品中にCがある;製品中にAおよびBがある;製品中にAおよびCがある;製品中にBおよびCがある;ならびに、製品中にA、BおよびCがあるを満たす製品の実施形態を指している。 【0062】 さらに、本明細書において化学成分(chemical entitiy)に適用している「反応する(reacting)」、「形成する(forming)」、および関連する用語は、(a)化学成分それ自体、および、(b)反応媒質内にこのような成分が存在する形態における化学成分、の任意の1つを指すものと理解される。同様に、操作または反応ステップの文脈において、化学成分を名指すこと、またはその式を示すことは、あるいは、製品、製剤、およびそれらの組合せを含む、固体もしくは液体いずれかの媒質内にあるものとしてそれを名指すこと、またはその式を示すことは、本明細書において(a)成分それ自体、および、(b)媒質内にこのような成分が存在する形態における成分、の任意の1つを指す。例えば、本明細書において酸性化学成分を名指すことは、それを名指す文脈においてこのような成分であるものが存在する1つまたは複数のどんな形態をも指している。例として、しかし限定としてではなく、化学成分「塩化ナトリウム」を名指すことまたはその化学式を示すことは、本明細書において、関連する媒質内で塩化ナトリウムが存在する形態がそのようなものである場合、NaCl成分であるものそれ自体の二原子分子を指し;また、関連する媒質内で塩化ナトリウムが完全にもしくは部分的に解離している場合、解離していないかつ/または解離した化学種であって、溶媒和している、かご(cage)の一部である、他の化学種と結合しているなどのこのような媒質内の化学種を含む、化学種の集合をも指している。 【0063】 本明細書において参照しているどんな化合物も、このような特定の化合物ならびにある種の変形形態または形態を表すことを意図している。特に、本明細書において参照している化合物は非対称中心を有することができ、したがって異なる鏡像異性体の形態で存在できる。本明細書において参照している化合物のすべての光学異性体および立体異性体、ならびにそれらの混合物は、本発明の製剤および方法論の範囲内とみなされる。したがって、本明細書において参照しているどんな所与の化合物も、ラセミ化合物、1つまたは複数の鏡像異性体形態、1つまたは複数のジアステレオ異性体形態、1つまたは複数のアトロプ異性体形態、ならびにそれらの混合物の任意の1つを表すことを意図している。 【0064】 さらに、本明細書において参照している化合物は、幾何異性体(すなわちシスおよびトランス異性体)として、互変異性体として、またはアトロプ異性体として存在できる。さらに、本明細書において参照しているどんな化合物も、媒質内に存在する水和物、溶媒和物、および多形体、ならびにそれらの混合物を表すことを意図している。さらに、本明細書において参照している化合物は、同位体標識付けされた形態で存在できる。本明細書において参照している化合物のすべての幾何異性体、互変異性体、アトロプ異性体、水和物、溶媒和物、多形体、および同位体標識付けされた形態、ならびにそれらの混合物は、本発明の製剤および方法論の範囲内とみなされる。 【0065】 より簡潔な記述を提供するため、本明細書において示しているいくつかの定量的表現は、用語「約(about)」で修飾してはいない。用語「約」が明確に使用されていてもいなくても、本明細書におけるあらゆる所与の量は、実際の所与の量を指すものと理解され、また、このような所与の値についての実験的条件および/または測定条件による等価物および近似を含む、当技術分野における通常のスキルに基づき合理的に推論されるこのような所与の値への近似をも指すものとする。 【0066】 本発明の文脈における、1種または複数の活性物質は天然、半合成、または合成産のもので、それらの産物の組合せを含むものとすることができる。活性物質がET-743などのエクテナサイジンである実施形態において、ET-743は、例えばEcteinascidia属の被嚢類、好ましくはEcteinascidia turbinata種から単離した天然産のものとすることができる。ET-743は、合成または半合成産のものとすることができる。例えば、共に参照により組み込まれている国際公開第0069862号および国際公開第0187895号に参照が行われる。 【0067】 本発明の実施形態における活性物質の増量剤に対する比は、増量剤の溶解性によって決まり、また、製剤を凍結乾燥する場合、増量剤の凍結乾燥可能性によっても決まる。この比(重量/重量)は、いくつかの実施形態において約1:1、他の実施形態において約1:5、さらに他の実施形態において約1:10、とすることができると想定されるが、他の実施形態では約1:10〜約1:1の範囲にある比を例示している。他の実施形態では、約1:10〜約1:100の範囲にあるような比を有し、またさらに他の実施形態では約1:100〜約1:1500の範囲にあるような比を有すると想定される。活性化合物がET-743である場合、ET-743の増量剤に対する比(重量/重量)は、典型的には約1:100〜約1:1500、好ましくは約1:200〜約1:800、より好ましくは約1:250〜約1:600、またさらにより好ましくは約1:400である。 【0068】 凍結乾燥した材料は、通常は特定量のエクテナサイジンまたは活性化合物を入れたバイアルで提供している。活性化合物がET-743である場合、活性な量は、例えば250μgおよび1mgで例示される。 【0069】 本発明は、その意図する使用およびそのための基準について、容器が許容可能である限り、特定の容器形態および構成により制約されない。本発明の実施形態は、バイアル、好ましくは管型バイアルに入れた製剤として提供される。 【0070】 本発明の凍結乾燥した製剤を再構成しかつ希釈して、すぐに静脈内注射ができる溶液の形態である本発明の組成物を供給することができる。再構成流体の実際量は、本発明の実施形態の制約的特徴ではない。例示として、しかし限定としてではなく、本発明による凍結乾燥した製剤の実施形態は、ある体積の水により再構成される。大抵のこのような体積は、約20mlを超えず、好ましい体積は約1ml〜約15mlの範囲にあり、より好ましくは約1ml〜約10mlの範囲にあり、またさらにより好ましくは約1ml〜約4mlの範囲にある。活性物質がET-743により構成される場合、このような実施形態における再構成溶液は、500μg/mlまでの濃度のET-743を含有し、約50μg/ml、約100μg/ml、および約250μg/mlの濃度が好ましい。 【0071】 本発明の再構成された実施形態は、そのように所望される場合さらに希釈することができ、このさらなる希釈は、本発明の制約条件ではない。このさらなる希釈は、通常0.9%塩化ナトリウムまたは5%グルコースである水性系により実施することが好ましい。再構成溶液は、再構成溶液の濃度、および希釈した溶液の所望の濃度に応じて希釈されるであろう。 【0072】 本発明によるET-743製剤の実施形態は、肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、骨肉腫、卵巣癌、乳癌、黒色腫、結腸直腸癌、中皮腫、腎臓癌、子宮内膜癌、および肺癌、ならびに複数のこのような形態の癌についての状態を含む、様々な癌の治療において使用することができる。この文脈における「治療(treatment)」は、1つまたは複数の癌状態の回復(軽減)(amelioration)に導く行為を指すと理解される。本発明によるET-743製剤の実施形態は、他の治療に対し有利に反応していない難治性癌状態の治療において使用することもできる。さらに、本発明による製剤の実施形態は、臨床試験、分析試験、およびモデリング検定を含むがそれらに限定されない、実験室組織による試験において使用することができる。 【0073】 ET-743などのエクテナサイジンを含む本発明の実施形態は、注入により投与することが好ましい。注入ステップは、典型的には、例えば1〜20サイクルにわたって適正に反復できるサイクル基準で繰り返される。このサイクルには、ET-743製剤を注入する局面、ならびに通常はET-743を注入しない局面も含まれる。典型的には、サイクルは週で立案され、したがってサイクルは普通ET-743注入の局面の1週または複数週と、サイクルを完結させる1週または複数週とを含む。3週間1サイクルが好ましいが、別法として1サイクルは1〜6週間とすることができる。注入相はそれ自体、各サイクルにおける、例えば1〜72時間の、より通常には約1、3、または24時間の1回投与;あるいは、そのサイクルの注入相における毎日基準での、好ましくは1〜5時間、特に1または3時間の注入;あるいは、そのサイクルの注入相における週基準での、好ましくは1〜3時間、特に2または3時間の注入、とすることができる。各サイクルの開始時における1回投与が好ましい。注入時間は、約1、3、または24時間が好ましい。 【0074】 再構成しかつ希釈した溶液が、本発明の実施形態のよい例となる。再構成しかつ希釈した製剤を、利用可能なプロトコルを使用して、静脈内的に投与することができる。用量は、用量制限毒性(Dose Limiting Toxicity)に関する既存データを考慮している用量スケジュールにより選択されるであろう。用量制限毒性については、例えば国際公開第0069441号、国際公開第0236135号、および国際公開第0339571号、ならびにvan Kesteren,Ch.et.al.、2003、Anti-Cancer Drugs、14(7)、487〜502を参照されたい。これらの3つの国際公開特許明細書、およびこのvan Kesterenの論文は、特別な参照により組み込まれている。 【0075】 好ましい用量プロトコルには: a)サイクル間で3週間隔による24時間にわたる静脈内注入として投与される、約1.5mg/m2身体表面積; b)サイクル間で3週間隔による3時間にわたる静脈内注入として投与される、約1.3mg/m2身体表面積; c)3週間、毎週3時間にわたる静脈内注入として投与され、かつ休止1週である、約0.580mg/m2身体表面積 が含まれる。 【0076】 ET-743などのエクテナサイジンは、他の医薬品と組み合わせて使用することができる。例えば、エクテナサイジンは、他の抗腫瘍薬と一緒に投与することができる。読者は、その両方が参照により組み込まれている国際公開第0069441号および国際公開第0236135号中のリストを参照されたい。このような他の医薬品の例にはドキソルビシン、シスプラチン、パクリタキセル、カルボプラチン、PEG化リポソームドキソルビシン、ドセタキセル、カペシタビン、およびゲムシタビンが含まれる。デキサメタゾンを含む、他の作用方式を有する医薬品を使用することができる。他の医薬品の投与は、ET-743などのエクテナサイジンの投与前、投与中、または投与後とすることができる。 【0077】 ET-743などのエクテナサイジンを含有する本発明の製剤の実施形態は、エクテナサイジンと二糖類とを含むバルク溶液の形態である本発明の組成物を、凍結乾燥することにより製造することができる。通常このバルク溶液は、例えばpH約4に緩衝処理されるであろう。適切な緩衝剤には、リン酸緩衝液およびクエン酸緩衝液が含まれる。リン酸塩/クエン酸緩衝液(リン酸緩衝液とクエン酸緩衝液との混合物)、乳酸緩衝液、アスコルビン酸緩衝液、酒石/クエン酸緩衝液、重炭酸酸塩/塩酸緩衝液、酢酸緩衝液、コハク酸緩衝液、およびグリシン/塩酸緩衝液、これらの緩衝剤の混合物などの、他の可能性のある緩衝剤を、使用することができる。所望の値へのpH調節が可能な生体適合性緩衝剤が、本発明のさらなる実施形態を提供する。 【0078】 このバルク溶液中に、他の成分、例えばポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエートまたはポリオキシ40ステアレートなどの界面活性剤、が含まれることができる。他の可能性のある界面活性剤には、レシチンなどのリン脂質;Pluronic界面活性剤などのポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー;Solutol界面活性剤などの12-ヒドロキシステアリン酸のポリオキシエチレンエステル;ジアシルグリセロール、ジアルキルグリセロールなどのコレステロールのエトキシル化物;コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウムなどの胆汁酸塩;スクロースモノラウレート、スクロースモノオレエートなどのスクロースエステル;ポリビニルピロリドン(PVP);またはポリビニルアルコール(PVA)が含まれる。 【0079】 本製剤は、凍結乾燥製品を含有するバイアルとして通常供給される。しかし、この供給形態は、本発明の制約条件ではない。凍結乾燥製品を含有するバイアルを供給するため、バイアルにバルク溶液を添加し、凍結乾燥させる。本明細書において言及したように、本発明の他の目的は、凍結乾燥工程に取り掛かるまでに、溶液中のエクテナサイジン濃度を増加させ、バイアル内の充填体積を低減させるために、ET-743などのエクテナサイジンの溶解性を改良する方法を提供することである。本発明の状況において開発したこの方法論により、従来の方法論によって得られた濃度よりも高い活性物質濃度を有するバルク溶液の実施形態を製造することが可能である。したがって、マンニトールによる従来型製剤と比較して減少した充填体積が、この方法論によって得られる。この充填体積減少により、凍結乾燥ステップ中の、時間およびエネルギーの節減が可能になる。さらに、特に二次乾燥において、ET-743が分解する危険性が小さくなることもある。 【0080】 本明細書において上記で言及したように、ET-743は制約された水溶解性を有する。例えば、van Kesteren,Ch.et.al.、2003、Anti-Cancer Drugs、14(7)、487〜502頁を参照されたい。従来の方法論では、ET-743を可溶化するための、緩衝剤によるpH 4までの中間のpHの調節を提供している。このpH制御は、従来pH 4における0.05Mリン酸塩緩衝液によって達成されている。本発明の状況において、酸中でのET-743の予備溶液を生成させることにより、バルク溶液中のET-743の溶解性が改良されることを見出した。この予備溶解により、バルク溶液およびバイアル中のET-743の濃度を増加させることができ、かつバイアル内の充填体積を減少させることができる。本発明のこれらの実施形態において充填体積は、従来型製剤の充填体積に対して通常約80%減少する。例示として、しかし限定としてではなく、本発明の実施形態では、0.25mgのET-743を含有するバイアルについて充填体積1ml、また1mgのET-743を含有するバイアルについて充填体積4mlを提供する。場合によって、本発明の他の実施形態においてET-743濃度を増加させることにより、充填体積はさらに減少させることができる。 【0081】 従来の方法論は、注射用水と共にET-743、マンニトール、およびpH 4における0.05Mリン酸緩衝液を溶解することを含んでいた。この媒質中へのET-743の低い溶解性のため、バルク溶液の溶解性が制約されていた。本発明の状況において、酸溶液におけるET-743の前処理により、ET-743溶解性が改良され、より高いET-743濃度を有するバルク溶液を得ることが可能になることを、見出した。したがって、本発明は、バルク溶液内のET-743の溶解性を改良する有用な方法であって、酸性媒質中にET-743を溶解させるステップと、ET-743を有する媒質をバルク溶液中の他の成分と混合するステップと、場合によってpHを調節するステップとを含む方法を提供する。いくつかの例示的実施形態において、しかし限定せずに、リン酸緩衝液によりpH調節が達成される。酸性媒質は、緩衝性成分をまったくもしくは実質的に含有せず、通常は酸水溶液からなることが適切である。 【0082】 本発明による凍結乾燥のためのバルク溶液の例示的実施形態は、スクロースを増量剤とした、リン酸二水素カリウムおよびリン酸でpH 4に緩衝処理したET-743の溶液により提供される。 【0083】 本発明による方法論の例示的実施形態を、次のように提供する:0.1Nリン酸中にET-743を溶解する。次いで注射用水(「WFI」)と、リン酸二水素カリウムと、スクロースと、ET-743(0.1Nリン酸中に予備溶解した)とを混合する。継続する前に溶解を目視でチェックし、目視で溶解が完結していると評価する場合、溶解が完結しているとみなす。溶液のpHをチェックし、適切な酸をゆっくり添加することにより約1〜約5の範囲にある値に、より好ましくは約2〜約4.5の範囲にある値に、さらにより好ましくは約3〜約4.5の範囲にある値に、また最も好ましくは約4のpHに調節する。このような酸の好ましい実施形態はリン酸であり、その場合に好ましい濃度は約0.1Nである。pH制御のため場合によって適切な塩基を添加する。このような塩基の好ましい実施形態は、好ましくは溶液とした、水酸化カリウムであり、その場合に好ましい濃度は約0.1Nである。最後に、適切な生体適合性流体、好ましくはWFIを添加することにより体積を調節する。次いでバルク溶液を、所望の用量によってバイアルに充填する。 【0084】 本発明のいくつかの実施形態では、短縮した二次乾燥時間を用いることにより凍結乾燥を実施する。好ましいプロトコルは、約-40℃の温度まで冷却するステップと、40〜80μバールで10〜50時間一次乾燥するステップと、より低い圧力および0℃を超えて10〜50時間二次乾燥するステップとを包含する。本発明の状況における他のプロトコルでは、-40℃未満の温度までの冷却を実施する。 【0085】 本発明の実施形態は-40℃未満まで製品を冷却することによる凍結乾燥を含む。一次乾燥は、約-20℃〜約-26℃の温度、および約60μバールの圧力でおよそ15〜40時間実施する。二次乾燥は、約20℃〜約30℃の温度、および約100μバールの圧力でおよそ20〜40時間実施する。 【0086】 本発明の凍結乾燥した製剤の実施形態は、従来型製剤の貯蔵温度よりも著しく高い温度での貯蔵に適している。本発明による製剤についての貯蔵温度の例は、およそ+5℃である。これらの温度は、普通の冷蔵庫により容易に提供される。 【実施例】 【0087】 (実施例1) 本実施例は、新しい製剤8種の、従来型のET-743製剤(マンニトールによる)との安定性比較研究を開示している。本発明を例示するためにラクトースおよびスクロースを使用した。対照標準製剤は、マンニトールを使用して実施した。デキストラン(Dextran 40)およびポビドン(Kollidon 12、PVP)などの他の知られている増量剤を、比較のため試験した。いくつかの製剤では界面活性剤、ポリオキシ40ステアレート(Myrj 45)、またはポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレエート(Polysorbate 80)を使用し、またいくつかの製剤では緩衝剤を省いた。 【0088】 バルク溶液を調製し、標準化した手順で凍結乾燥した。各製剤の体積150mlを調製した: 最終溶液用のリン酸カリウムの量(1.02g)を秤量し、最終体積の90%(135ml)の水に溶解した。次いで0.1Nリン酸でpH4.0までpHを調節した。 7.85mgのET-743を、配合用ガラス容器に加え、約1時間磁気攪拌することにより2/3体積(90ml)のリン酸カリウム溶液中に溶解した(溶解は目視でチェックした。)。 1/3体積のリン酸カリウム溶液中に、増量剤および界面活性剤の量を添加し、溶解した。次いで、この溶液をET-743溶液に添加し、さらに1時間攪拌を維持した。 水によりこの溶液を最終重量とした(すべての製剤について密度1.019g/ccを採用した。)。 0.22μmセルロースフィルタを通して、この溶液を濾過した。 この溶液を25mlガラスバイアル中に5ml/バイアルで充填し、凍結乾燥工程まで20℃に保持した。 下記の表Iにより、凍結乾燥を行った: 【0089】 【表1】
【0090】 凍結乾燥後、バイアルを密封した。このバイアルを冷凍された領域(-20℃)に移した。 【0091】 各バイアルについての組成は下記(表II)の通りであり、凍結乾燥の間、水が蒸発するのが認められた。 【0092】 【表2】
【0093】 【表3】
【0094】 安定性試験は、温度5±3℃で実施した。 【0095】 5℃、3カ月間における製剤9種の純度の評価を、表IIIおよび図1に示している。より高い安定性を呈する製剤(対照標準、スクロース、ラクトース、ET-poly80sacc)の場合、安定性試験を9カ月まで延長し、またラクトースおよびスクロースの場合、それらの高い安定性のため安定性試験を12カ月までも延長した。表IIIおよび図2におけるデータは、スクロースおよびラクトースを含有する製剤が、2%に過ぎない純度低下によって、改良された安定性を示したことを示す。この純度低下は、他の試験した製剤で観察された低下よりも極めて少ない。 【0096】 【表4】
【0097】 【表5】
【0098】 表IVおよび図3に示すように、対照標準製剤の主な劣化生成物、ET-701は、スクロースまたはラクトースが存在する状態でET-743を製剤する場合、劇的に低減された。 【0099】 【表6】
【0100】 本発明の文脈において、二糖類が、マンニトールに比較してET-743の安定性を改良することが見出された。このような二糖類の実施形態には、ラクトース、スクロース、およびそれらの混合物が含まれる。二糖類を含む製剤の安定性も、デキストランおよびポビドンなどの他の従来の増量剤を含有する他の製剤と比較して、改良されている。本発明による二糖類製剤の実施形態は、5℃で少なくとも12カ月安定であることが測定された。本発明による製剤の実施形態は、従来の製剤の純度に対して極めて低い不純物含量を有する。したがってET-701の存在量が低下している。本発明の実施形態は、Polysorbate 80などの少なくとも1種の界面活性剤を含む。これらの実施形態では、有利なET-743溶解性性状および安定化特性を呈している。しかし、少なくとも1種の界面活性剤の存在は、本発明の限定的特徴ではなく、他の実施形態ではこのような1種または複数の薬剤が含まれない。 【0101】 (実施例2) この研究の目的は、ET-743の標準的製剤の安定性を、新しい製剤5種と比較することであった。この研究では、+5℃で製剤の安定性を評価した。 【0102】 試験した製剤の組成は下記(表V)の通りであり、凍結乾燥手順の間、水が蒸発するのが認められた: 【0103】 【表7】
【0104】 下記の特別なプロトコルを使用して、バルク溶液を調製し、かつ凍結乾燥を実施した: 製剤ETtreal、ETP80treal、および対照標準 各製剤の重量100gを下記の通り調製した: 最終溶液用のリン酸カリウムの量を秤量し、最終体積の90%(90ml)の水に溶解した。次いで0.1Nリン酸でpH4.0までpHを調節した。 ET-743の量(5.0mg)を、配合用ガラス容器に加え、約1時間磁気攪拌することにより2/3体積(60ml)のリン酸カリウム溶液中に溶解した(溶解は目視でチェックした。)。 1/3体積のリン酸カリウム溶液中に、増量剤および界面活性剤の量を添加し、溶解した。次いで、この溶液をET-743溶液に添加し、さらに1時間攪拌を維持した。 水によりこの溶液を最終重量とした。 0.22μmセルロースフィルタを通して、この溶液を濾過し、IPC用の濾過の前に分取量を採取した。 この溶液を25mlバイアル中に5ml/バイアルで充填し、凍結乾燥工程まで-20℃に保持した。 【0105】 製剤ETP80saco250、ETP80treal250、ETP80trealgly250 各製剤の重量30gを下記の通り調製した: 最終溶液用のリン酸カリウムまたはグリシンの量を秤量し、最終体積の90%(27ml)の水に溶解した。次いで0.1Nリン酸または0.1N塩酸でpH4.0までpHを調節した。 Polysorbate 80の量を秤量し、1/3体積の緩衝溶液中に添加した。 ET-743の量(7.5mg)を、配合用ガラス容器に加え、約1時間磁気攪拌することにより2/3体積(60ml)のリン酸カリウム溶液中に溶解した(溶解は目視でチェックした。)。 2/3体積の緩衝溶液中に、増量剤の量を添加し、溶解した。次いで、この溶液をET-743溶液に添加し、10分間攪拌を維持した。 水によりこの溶液を最終重量とした。 0.22μmセルロースフィルタを通して、この溶液を濾過した。 この溶液を10mlバイアル中に1ml/バイアルで充填し、凍結乾燥工程まで-20℃に保持した。 【0106】 下記の表VIにより、全製剤6種における凍結乾燥工程を実施した: 【0107】 【表8】
【0108】 凍結乾燥後、バイアルを密封した。このバイアルを冷凍された領域(-20℃)に移した。 【0109】 安定性試験は、温度5±3℃で実施した。 【0110】 すべての製剤は、5℃において対照標準製剤よりも安定であった。新たな製剤間に重要な差異はまったく認められなかった。表VIIは、試験中の製剤のクロマトグラフィーによるET-743純度を開示している。 【0111】 【表9】
【0112】 (実施例3) 6種の製剤ET-NF A、ET-NF B、ET-NF C、ET-NF D、ET-NF E、およびET-NF Fを製造し、異なる温度におけるさらなる安定性の研究に使用した。 【0113】 増量剤としてスクロースおよびラクトースを選択した。2つの異なる緩衝液:クエン酸ナトリウム0.1M緩衝液pH4、およびリン酸カリウム0.05M緩衝液pH4を使用した。バルク溶液における2つの異なるET-743濃度:0.250mg/mlおよび0.100mg/ml、で試験した。充填体積(4ml対10ml)に応じて2つの異なる凍結乾燥サイクルを用いた。各製剤について、少なくともバイアル125本のバッチを製造した。 【0114】 各バイアルについてのバルク溶液の組成は下記(表VIII)の通りであり、凍結乾燥手順の間、水が蒸発するのが認められた: 【0115】 【表10】
【0116】 下記の特別なプロトコルを使用して、バルク溶液を調製し、かつ凍結乾燥を実施した: 製剤ET-NF A、ET-NF B、およびET-NF F 約0.2Mクエン酸2Lの調製:クエン酸76.96gを2Lメスフラスコ内で溶解し、この溶液を注射用水で最終体積とした。クエン酸溶液の最終モル濃度は0.183Mであった。 約0.2Mクエン酸ナトリウム2Lの調製:クエン酸ナトリウム117.64gを2Lメスフラスコ内で溶解し、この溶液を注射用水で最終体積とした。クエン酸溶液の最終モル濃度は0.175Mであった。 約0.1M pH4クエン酸緩衝液4Lの調製:0.2Mクエン酸溶液1125mLを、0.2Mクエン酸ナトリウム溶液875mLと共に4Lメスフラスコで溶解した。この溶液を注射用水で最終体積とした。溶液のpHをチェックし、pH4に調節した。クエン酸緩衝液の最終モル濃度は0.089Mであった。 143.83mgのET-743を、配合用ガラス容器に加え、約1時間磁気攪拌することにより、所要全体積の約80%の0.1Mクエン酸緩衝液中に溶解した(溶解は目視でチェックした。)。 次いでスクロースまたはラクトース量(製剤AおよびBスクロース55g、製剤Fラクトース27.5g)を添加し、溶解するまで約1時間のさらなる時間、この混合物を攪拌した。 pHをチェックした後、0.1M pH4クエン酸緩衝液を添加することによりこの溶液を最終重量とした。製剤Aについては、クエン酸でpH4に再調節する必要があった。最終溶液の密度:1.04g/l。最終重量572mg。 0.22μmPVDFフィルタを通して、この溶液を濾過した。 この溶液を、自動ポンプおよび3.2mmシリコーン製白金硬化管を使用し、25mlガラスバイアル中に充填した。標準的充填体積は4mlであった。規則正しい間隔で充填体積をチェックし(それぞれバイアル15本)、必要に応じて充填体積を調節した。 充填後、凍結乾燥用栓を施し、5℃で凍結乾燥装置内に装填した。 下記の表IXにより凍結乾燥工程を実施した: 【0117】 【表11】
【0118】 バイアルを密封した。最終照合調整を行った。バイアルを冷凍された領域(-20℃)に移した。 【0119】 製剤ET-NF C、およびET-NF D 約0.2Mクエン酸1Lの調製:クエン酸38.48gを1Lメスフラスコ内で溶解し、この溶液を注射用水で最終体積とした。クエン酸溶液の最終モル濃度は0.183Mであった。 約0.2Mクエン酸ナトリウム1Lの調製:クエン酸ナトリウム58.82gを1Lメスフラスコ内で溶解し、この溶液を注射用水で最終体積とした。クエン酸ナトリウム溶液の最終モル濃度は0.175Mであった。 約0.1M pH4クエン酸緩衝液2Lの調製:0.2Mクエン酸溶液850mLを、0.2Mクエン酸ナトリウム溶液650mLと共に2Lメスフラスコで溶解した。この溶液を注射用水で最終体積とした。溶液のpHをチェックし、pH4に調節した。クエン酸緩衝液の最終モル濃度は0.089Mであった。 141.21mgのET-743を、配合用ガラス容器に加え、約1時間磁気攪拌することにより、所要全体積の約80%の0.1Mクエン酸緩衝液中に溶解した(溶解は目視でチェックした。)。 次いでスクロースまたはラクトース量(135g)を添加し、溶解するまで約1時間のさらなる時間、この混合物を攪拌した。 pHをチェックした後、0.1M pH4クエン酸緩衝液を添加することによりこの溶液を最終重量とした。pHの再調節は必要がなかった。最終溶液の密度:1.04g/l。最終重量1404mg。 0.45μmPVDFフィルタを通して、この溶液を濾過した。 この溶液を、自動ポンプおよび3.2mmシリコーン製白金硬化管を使用して、25mlガラスバイアル中に充填した。標準充填体積は10mlであった。規則正しい間隔で充填体積をチェックし(それぞれバイアル15本)、必要に応じて充填体積を調節した。 充填後、凍結乾燥用栓を施し、5℃で凍結乾燥装置内に装填した。 以前の、製剤ET-NF A、ET-NF B、およびET-NF F(表IX)についてのように、凍結乾燥工程を実施した。 バイアル内での体積が大きいため、提案したサイクルでは十分な凍結乾燥を実施できず、圧潰(collapse)が生じた。新たに製造するのを避けるため、すべてのバイアルを精製水10mlにより再構成し、いくつかの再構成した溶液の純度プロフィルをチェックし、栓を二孔付き栓に取り替え、また下記の新たなサイクルを利用した(表X): 【0120】 【表12】
【0121】 凍結乾燥後バイアルを密封した。最終照合調整を行った。バイアルを冷凍された領域(-20℃)に移した。 【0122】 製剤ET-NF E 141.21mgのET-743を、配合用ガラス容器に加え、約1時間磁気攪拌することにより、wfi(注射用水)1080mlに1Nリン酸3,240mLを加えたものに溶解した(溶解は目視でチェックした。)。 スクロース(135g)およびリン酸カリウム(9.18g)の量を添加し、分子が全部溶解するまで約1時間のさらなる時間、この混合物を攪拌した。 pHをチェックし、1Nリン酸でpH4に再調節した後、注射用水を添加することによりこの溶液を最終重量とした。最終溶液の密度:1.04g/l。最終重量1404mg。 0.45μmPVDFフィルタを通して、この溶液を濾過した。 この溶液を、自動ポンプおよび3.2mmシリコーン製白金硬化管を使用し、25mlガラスバイアル中に充填した。標準充填体積は10mlであった。規則正しい間隔で充填体積をチェックし(それぞれバイアル15本)、必要に応じて充填体積を調節した。 充填後、凍結乾燥用栓を施し、5℃で凍結乾燥装置内に装填した。 以前の、製剤ET-NF A、ET-NF B、およびET-NF F(表IX)についてのように、凍結乾燥工程を実施した。 バイアル内での体積が大きいため、提案したサイクルでは十分な凍結乾燥を実施できず、圧潰が生じた。新たに製造するのを避けるため、すべてのバイアルを精製水10mlにより再構成し、いくつかの再構成した溶液の純度プロフィルをチェックし、栓を二孔付き栓に取り替え、また、製剤ET-NF C、およびET-NF D(表X)の場合のように、新たなサイクルを利用した。 凍結乾燥後バイアルを密封した。最終照合調整を行った。バイアルを冷凍された領域(-20℃)に移した。 【0123】 すべての場合に所望のET-743濃度に達し、また不純物プロフィルは製剤間で類似していた。製造の間(濾過前および濾過後、または充填後)、ET-743濃度および不純物プロフィルの差異は観察されなかった。バルク溶液の色は、ラクトースを含有する製剤では幾分黄色を帯びていた。 【0124】 示したプロトコルに従って、最初に4ml充填または10ml充填による製剤を凍結乾燥した。4ml充填による製剤は正しく凍結乾燥されたが、10ml充填による製剤は圧潰した。二次乾燥における圧力変動により、圧潰および凍結乾燥ケーキの沸騰を示した。製剤ET-NF C、ET-NF D、およびET-NF Eのバイアルを、精製水10mlにより再構成した。製剤の純度プロフィルをチェックした。バルク溶液と比較して純度プロフィルにおける変化がなかったので、表示した修正凍結乾燥サイクルを使用して、バイアルを再凍結乾燥することに決定した。記述したように凍結乾燥したバッチでは、いくらかの底部収縮を除いて、圧潰がなく良好な態様が得られた。 【0125】 バイアルのET-743含量は、仕様(95%〜105%)以内であった。不純物プロフィルは製剤間で類似性を示し、これらのプロフィルはバルク溶液の不純物と同等である。残留水分含量は2%以下であり、最大値は10ml充填の製剤の値であった。 【0126】 再構成溶液のpHは、すべての場合にpH4とpH4.2の間であった。溶液は、目に見える異物または沈殿がなく、透明かつ無色であった。再構成時間は全製剤で同様であり、30秒未満であった。 【0127】 (実施例4) この研究の目的は、異なった温度条件下での1mg/バイアルによる異なった製剤ET-NF A、ET-NF B、ET-NF C、ET-NF D、ET-NF E、およびET-NF FにおけるET-743の安定性を調査することであった。 【0128】 実施例3により、各製剤ET-NF A、ET-NF B、ET-NF C、ET-NF D、ET-NF E、およびET-NF Fのバイアル130本、1mg ET-743/バイアル、のバッチを製造した。 【0129】 温度5℃、25℃/65%RH、および40℃/70%RHで、安定性試験を実施した。 【0130】 図4および表XIは、5℃における貯蔵中の新たな製剤のET-743純度の評価を、従来型製剤(ET-743、マンニトール、およびリン酸緩衝液を含有する)3種と比較して示している。 【0131】 【表13】
【0132】 【表14】
【0133】 図6および表XIIは、25℃/65%RHにおける貯蔵中の新たな製剤のET-743純度の評価を、従来型製剤(ET-743、マンニトール、およびリン酸緩衝液を含有する)3種と比較して示している。 【0134】 【表15】
【0135】 【表16】
【0136】 図8および表XIIIは、40℃/70%RHにおける貯蔵中の新たな製剤のET-743純度の評価を、従来型製剤(ET-743、マンニトール、およびリン酸緩衝液を含有する)3種と比較して示している。 【0137】 【表17】
【0138】 さらに、図5および表XIVは、5℃における貯蔵中の新たな製剤のET-701不純物の生成を、従来型製剤(ET-743、マンニトール、およびリン酸緩衝液を含有する)3種と比較して示している。 【0139】 【表18】
【0140】 【表19】
【0141】 図7および表XVは、25℃/65%RHにおける貯蔵中の新たな製剤のET-701不純物の生成を、従来型製剤(ET-743、マンニトール、およびリン酸緩衝液を含有する)3種と比較して示している。 【0142】 【表20】
【0143】 【表21】
【0144】 これらの図に示したように、新たな製剤の安定性は、従来型製剤の安定性よりも高かった。さらに、従来型製剤の主な劣化生成物、ET-701は新たな製剤では劇的に低減された。 【0145】 (実施例5) さらなる安定性研究のために、増量剤としてのスクロースに基づく、新たな製剤3種を使用した。これらの新たな製剤は、バルク溶液中のリン酸緩衝液モル濃度(0.05M対0.1M)および充填体積(10ml対4ml)において、または換言するとET-743濃度において、異なっている。 【0146】 それぞれのこれらの製剤のバイアル少なくとも50本のバッチの製造について記述している。バイアル当りの配合の説明の概要は、下記の通りであり(表XVI)、凍結乾燥手順の間、水分が蒸発するのが認められる: 【0147】 【表22】
【0148】 製剤ET-NF-GおよびET-NF-Iについて体積240mlを下記の通り調製した: 62.76mgのET-743を、配合用ガラス容器に加え、約1時間磁気攪拌することにより、wfi 192mlに1Nリン酸(NF Gについて576μl、NF Iについて816μl)を加えた溶液中に溶解した(溶解は目視でチェックした。)。 スクロース(24g)およびリン酸カリウム(NF Gについて1.63g、NF Iについて3.26g)の量を添加し、溶解するまで約1時間のさらなる時間、この混合物を攪拌した。 pHをチェックし必要な場合1Nリン酸でpH4.00に再調節した後、注射用水を添加することによりこの溶液を最終重量とした。最終溶液の密度:1.04g/l。最終重量249.6mg。0.45μmPVDFフィルタを通して、この溶液を濾過した。 この溶液を、自動ポンプおよび3.2mmシリコーン製白金硬化管を使用し、25mlガラスバイアル中に充填した。標準充填体積は4mlであった。規則正しい間隔で充填体積をチェックし(それぞれバイアル15本)、必要な場合調節した。 充填後、凍結乾燥用栓を施し、バイアルを5℃で凍結乾燥装置内に装填した。 下記のパラメータ(表XVII)により、凍結乾燥工程を実施した。 【0149】 【表23】
【0150】 凍結乾燥後バイアルを密封した。最終照合調整を行った。バイアルを冷凍された領域(-20℃)に移した。 【0151】 製剤ET-NF-Hの体積600mlを下記の通り調製した: 62.76mgのET-743を、配合用ガラス容器に加え、約1時間磁気攪拌することにより、wfi 480mlに1Nリン酸1.44mlを加えた溶液中に溶解した(溶解は目視でチェックした。)。 スクロース(60g)およびリン酸カリウム(8.16g)の量を添加し、溶解するまで約1時間のさらなる時間、この混合物を攪拌した。 pHをチェックし必要な場合1Nリン酸でpH4.00に再調節した後、注射用水を添加することによりこの溶液を最終重量とした。最終溶液の密度:1.04g/l。最終重量624g。 0.45μmPVDFフィルタを通して、この溶液を濾過した。 この溶液を、自動ポンプおよび3.2mmシリコーン製白金硬化管を使用し、25mlガラスバイアル中に充填した。標準充填体積は10mlであった。規則正しい間隔で充填体積をチェックし(それぞれバイアル15本)、必要な場合調節した。 充填後、凍結乾燥用栓を施し、バイアルを5℃で凍結乾燥装置内に装填した。 下記のパラメータ(表XVIII)により、凍結乾燥工程を実施した。 【0152】 【表24】
【0153】 凍結乾燥後バイアルを密封した。最終照合調整を行った。バイアルを冷凍された領域(-20℃)に移した。 【0154】 ET-743含量は、仕様(95%〜105%)以内であった。不純物プロフィルは、すべての製剤について類似性を示し、これらのプロフィルはバルク溶液の不純物と同等であった。残留水分含量は2%未満であり、10ml充填の製剤について最高値であった。 【0155】 再構成溶液のpHは、すべての場合にpH4とpH4.28の間であった。溶液は、目に見える異物または沈殿がなく、透明かつ無色であった。再構成時間は全製剤で同様であり、30秒未満であった。 【0156】 貯蔵温度40℃/70%RHで3カ月間、安定性試験を実施した。 【0157】 図9および表XIXは、40℃/70%RHにおける貯蔵中の新たな製剤のET-743純度の評価を示している。 【0158】 【表25】
【0159】 さらに、図8では、安定性データを、従来型製剤(ET-743、マンニトール、およびリン酸緩衝液を含有する)と比較して示している。 【0160】 実施例4および5で得られた結果は、増量剤として二糖類を含むすべての製剤が、増量剤としてマンニトールを含有する従来型の製剤よりも安定であることを示している。製剤ET-NF-Gが好ましい製剤である。 【0161】 本発明による実施形態を、種々の貯蔵期間(3カ月、6カ月、および9カ月の貯蔵期間を含む)による、複数の貯蔵条件(温度-20℃、4℃、および25℃/60%RHを含む)下の貯蔵後に試験した。検定結果は、-20℃における9カ月の貯蔵後に少なくとも99.5%のET-743が残留し、4℃における9カ月の貯蔵後に少なくとも99%のET-743が残留し、また25℃/60%RHにおける9カ月の貯蔵後に少なくとも97%のET-743が残留することを示した。ET-701、ET-745、および他の不純物を含む全不純物は、25℃/60%RHにおける9カ月の貯蔵後に、1.66%を超えなかった。さらに、ET-701不純物のレベルは、前記貯蔵条件の9カ月後に0.21%を超えなかった。 【0162】 引用したすべての参考文献は、参照によりそれらの全体を本明細書に組み込んでいる。本発明の特徴および利点は、本明細書において提供した開示に照らして明らかである。本開示に基づき、種々の条件および使用についての修正および適応を行うことができ、したがって実施形態は本発明の範囲内で生じるものである。 【図面の簡単な説明】 【0163】 【図1】5℃における6カ月貯蔵後のET-743純度評価を示す、比較安定性研究のグラフである。 【図2】5℃における12カ月後のET-743純度評価を示す、比較安定性研究のグラフである。 【図3】5℃で9カ月間貯蔵した異なった製剤におけるET-701不純物生成を示すグラフである。 【図4】5℃で3カ月間貯蔵した新たな製剤および3バッチの対照標準製剤の、比較ET-743純度%評価を示すグラフである。 【図5】5℃で3カ月間貯蔵した異なった製剤におけるET-701不純物生成を示すグラフである。 【図6】25℃/65%RHで3カ月間貯蔵した新たな製剤および3バッチの対照標準製剤の、比較ET-743純度%評価を示すグラフである。 【図7】25℃/65%RHで3カ月間貯蔵した異なった製剤におけるET-701不純物生成を示すグラフである。 【図8】3カ月間40℃/70%RHで貯蔵した新たな製剤の、比較ET-743純度%評価を示すグラフである。 【図9】3カ月間40℃/70%RHで貯蔵した新たな製剤の、比較ET-743純度%評価を示すグラフである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】505404208 【氏名又は名称】ファルマ・マール・ソシエダード・アノニマ・ソシエダード・ウニペルソナール
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| 【出願日】 |
平成17年10月28日(2005.10.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064908 【弁理士】 【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100089037 【弁理士】 【氏名又は名称】渡邊 隆
【識別番号】100108453 【弁理士】 【氏名又は名称】村山 靖彦
【識別番号】100110364 【弁理士】 【氏名又は名称】実広 信哉
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| 【公開番号】 |
特開2006−124393(P2006−124393A) |
| 【公開日】 |
平成18年5月18日(2006.5.18) |
| 【出願番号】 |
特願2005−315321(P2005−315321) |
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