| 【発明の名称】 |
化粧料用リポソーム |
| 【発明者】 |
【氏名】小田 洋 【住所又は居所】兵庫県尼崎市大浜町1−56 日本油脂株式会社内
【氏名】溝口 亜紗子 【住所又は居所】兵庫県尼崎市大浜町1−56 日本油脂株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】無色、無臭、経時安定性の良い(分散性良好、色、臭気の発生のないこと)、べたつき感がなく、肌のなめらかさを持続する化粧料用リポソーム、およびそのリポソームを用いた化粧料を提供する。
【解決手段】リポソームの膜構成成分がホスファチジルコリン含量90重量%以上、ヨウ素価0.1以下である水素添加大豆リン脂質を含有し、リポソームの平均粒径が100〜500nmであることを特徴とする化粧料用リポソームおよび化粧料。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リポソームの膜構成成分がホスファチジルコリン含量90重量%以上、ヨウ素価0.1以下である水素添加大豆リン脂質を含有し、リポソームの平均粒径が100〜500nmであることを特徴とする化粧料用リポソーム。 【請求項2】 リポソームの粒度分布のχ2値が3以下であることを特徴とする請求項1記載の化粧料用リポソーム。 【請求項3】 膜構成成分として、さらにステロール類を含有することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の化粧料用リポソーム。 【請求項4】 アシルアミノ酸系界面活性剤を0.2〜4重量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧料用リポソーム。 【請求項5】 アシルアミノ酸系界面活性剤がアシルサルコシネートである請求項4記載の化粧料用リポソーム。 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化粧料用リポソームを乾燥して得られる、水分が3重量%以下であることを特徴とする化粧料用粉末リポソーム。 【請求項7】 1価のアルカリ金属塩を膜構成成分100重量%に対して20重量%以下含有することを特徴とする請求項6記載の化粧料用粉末リポソーム。 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の化粧料用リポソームまたは化粧料用粉末リポソームを0.01〜20重量%含有することを特徴とする化粧料。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、経時的に安定で、色やにおいなどの変化のない、べたつき感がなく肌のなめらかさが持続する化粧料用リポソーム、化粧料用粉末リポソーム、およびそのリポソームを用いた化粧料に関する。 【背景技術】 【0002】 リポソームは、生体膜の主要構成成分であるリン脂質の二分子膜からなるナノサイズの閉鎖小胞体であり、古くからその皮膚浸透機能などが注目されており医薬品、化粧品などに使用されている。 一方、近年化粧品分野では消費者の安全性嗜好の高まりから、合成系原料から天然系原料のニーズが高まっており、天然の界面活性剤、保湿剤であるリン脂質からなるリポソームの機能が注目を浴びている。 従来リポソームの天然系原料としては、卵黄由来または大豆由来のリン脂質が知られているが、近年では消費者は天然系原料においても、動物性原料より植物性原料を好む傾向にあり、植物由来成分である大豆リン脂質からなるリポソームが求められている。しかしながら、天然リン脂質を原料とした従来のリポソームは、色や臭いが悪く、また経時安定性も悪かったため、クリームやジェル等のゲル状あるいは粘性の高い形態での使用しかできず、臭いを防ぐ為には香料の添加等が必要であった。そのため、無香料、微香性化粧料には適用が難しく、安定性にも問題があるため化粧水、乳液等の使用にも使用しづらいものであった。 このため、リポソームの安定性を改良する方法として、水素添加度を調節することによりリポソームのpH安定性が向上し、経時安定性へとつながる(例えば特許文献1)ことや、リポソーム膜構成成分や膜構成物質であるリン脂質を規定するなどの方法で安定性を改善したものが報告されている。 リポソームの膜構成成分としては、ホスファチジルコリンとリゾホスファチジルコリンとホスファチジン酸の組み合わせ(例えば特許文献2または3)など、すでに種々の組み合わせが報告されている。 【0003】 また、アミノ酸をリポソーム保存液に添加することにより凝集抑制する(例えば特許文献4)など、リポソームの安定性を増加する方法についても報告されている。 しかしながら、これまで報告されている例は、リポソームの安定性の改良に関する物のみであり、その使用は制限されていた。化粧品として幅広く適用するには、物性として、1)無色、2)無臭、3)経時安定性(分散性良好、色、においの発生がない)、使用感として、4)べたつき感のないこと、5)肌のなめらかさの持続性、を満たす必要があるが、これまでこれらを満足するリポソームは得られていなかったのが実状である。 【0004】 【特許文献1】特開昭63−96193号公報 【特許文献2】特開昭64−29319号公報 【特許文献3】特開平5−239号公報 【特許文献4】特開平2−273539号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明は、これらの問題点を解決した、無色、無臭、経時安定性の良い(分散性良好、色、臭気の発生のないこと)、べたつき感がなく、肌のなめらかさを持続する化粧料用リポソーム、およびそのリポソームを用いた化粧料を提供するものである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者らは、使用感の優れた安定なリポソームを得るべく鋭意研究した結果、リポソームの安定性において、リポソームを構成するリン脂質が大きく関与していることがわかった。 本発明のリポソームは、高純度水素添加リン脂質を使用して、配合組成および粒径を限定することにより、保存安定性がよく、感触のよいリポソームとなることを見出した。 すなわち、本発明は以下に示されるものである。 (1) リポソームの膜構成成分がホスファチジルコリン含量90重量%以上、ヨウ素価0.1以下である水素添加大豆リン脂質を含有し、リポソームの平均粒径が100〜500nmであることを特徴とする化粧料用リポソーム。 (2)リポソームの粒度分布のχ2値が3以下であることを特徴とする前記の化粧料用リポソーム。 (3) 膜構成成分として、さらにステロール類を含有することを特徴とする前記の化粧料用リポソーム。 (4) アシルアミノ酸系界面活性剤を0.2〜4重量%含有することを特徴とする前記の化粧料用リポソーム。 (5) アシルアミノ酸系界面活性剤がアシルサルコシネートである前記の化粧料用リポソーム。 (6) 前記の化粧料用リポソームを乾燥して得られる、水分が3重量%以下であることを特徴とする化粧料用粉末リポソーム。 (7) 1価のアルカリ金属塩を膜構成成分100重量%に対して20重量%以下含有することを特徴とする前記の化粧料用粉末リポソーム。 (8) 前記の化粧料用リポソームまたは化粧料用粉末リポソームを0.01〜20重量%含有することを特徴とする化粧料。 【発明の効果】 【0007】 本発明の化粧料用リポソームは、無色、無臭、経時安定性の良い(分散性良好、色、臭気の発生のないこと)、べたつき感のない、肌のなめらかさを持続するものであり、化粧料に配合することにより保湿性の高い、使用感のよい化粧料とすることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 本発明の化粧料用リポソームは、膜構成成分がホスファチジルコリン含量90重量%以上、ヨウ素価0.1以下である水素添加大豆リン脂質を含有し、リポソームの平均粒径が100〜500nmであることを特徴とする化粧料用リポソームである。 水素添加大豆リン脂質のホスファチジルコリン含量は90重量%以上であり、好ましくは95重量%以上である。これらの水素添加大豆リン脂質は、ホスファチジルコリン含量が90重量%未満のとき、例えば酸性リン脂質などの存在により、二分子膜が弱くなり、加水分解を促進し、色、においなどの劣化が生じることがある。さらには、ホスファチジルコリン含量の低下によりホスファチジルコリン含量が90重量%以上のときにはないべたつき感を生じてしまう。 水素添加大豆リン脂質のヨウ素価は0.1以下、好ましくは0.05以下である。ヨウ素価が0.1以下であると、色、においなどのリポソームの劣化が抑制される。 膜構成成分に水素添加大豆リン脂質は50〜100重量%配合することが好ましく、60〜80重量%配合することがより好ましい。 【0009】 本発明におけるリポソームは、平均粒径100〜500nmであることが好ましく、150〜350nmであることがさらに好ましい。高純度水素添加大豆リン脂質からなるリポソームは、リン脂質の分散力が弱いため、リポソーム調製時に十分に水和され、安定なリポソームを形成することが必要であるが、平均粒径500nmを超えるリポソームでは分散安定性が十分でなく、沈殿、凝集を生じやすい。また、平均粒径100nm未満のリポソームでは、リポソームの曲率が高くなり、二分子膜構造にゆがみが生じやすいため、沈殿、凝集を生じやすくなる。 本発明の化粧料用リポソームを用いた化粧料の使用感は、リポソームの粒径と関係しており、平均粒径100〜500nmであるものは、塗布時にべたつき感がなく、肌のなめらかさを感じ、洗浄後もしっとり感を残して肌のなめらかさを持続するものである。平均粒径が500nmを超える場合には、塗布後、肌にざらつきを感じ、肌のなめらかさをなくしてしまい、平均粒径100nm未満の場合、リポソームの粒子感がなくなり、べたつき感を感じる。 また、本発明のリポソームは粒度分布のχ2値が3以下であることが望ましい。χ2値は1に近いほどキュームラント法における信頼性が高いといえ、χ2値が3より大きい場合、粒度分布は多分散の傾向にある。χ2値が3より大きい場合で、平均粒子径が100〜500nmであった場合でも大きな粒子や小さな粒子が混在していることとなり、凝集や沈殿を生じやすい。また、感触においても、混在する大きな粒子により、さらさらとした感触を抑制してしまうことがある。本発明における経時安定性がよく、べたつき感のない、さらさらとした感触であるリポソームは、平均粒径が100〜500nmであり、より好ましくは粒度分布のχ2値が3以下となるものである。 平均粒径およびχ2値は、NICOMP粒度分布計(MODEL370)を用いて動的光散乱を測定することによって求められる。 本発明のリポソームは、NICOMP粒度分布計において、希釈溶剤を水とし、リポソームを十分に希釈して、Vesicleモードで測定を行った時、得られるGaussian分布の平均粒径(体積換算)は100〜500nmであり、さらに好ましくはχ2値が3以下である。また、測定の際は、リポソームの変形や歪みを生じさせないように、調製したリポソームの浸透圧と希釈溶剤の浸透圧をそろえた方がよい。 【0010】 本発明の化粧料用リポソームは、リポソームの膜構成物質として、ステロール類を配合することにより、膜の流動性を抑制し、さらに経時安定性を高めることができる。ステロール類としては、例えば、コレステロール、フィトステロール、ジヒドロコレステロール、ステアリン酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル等が挙げられる。好ましくは、コレステロール、フィトステロール、ステアリン酸コレステリルである。 本発明において、ステロール類は、膜構成成分の50重量%以下含有することができ、さらに好ましくは20〜40重量%である。ステロール類が50重量%より多くなると、リポソームの膜が不安定となり経時安定性が悪くなる傾向にある。 【0011】 本発明において、さらに安定なリポソームを得るには、リポソームの膜構成成分として、アシルアミノ酸系界面活性剤を0.2〜4重量%含有することができる。本発明は、リポソームの膜構成成分として、アシルアミノ酸系界面活性剤を配合することにより、リポソームの分散安定性を改良し、経時安定性の優れたリポソームとなることを見出した。 これらのアシルアミノ酸系界面活性剤は、通常化粧料に用いられるものであれば、特には限定されず、具体的には、グルタミン酸、タウリン、グリシン、サルコシン、アラニン、メチルアラニンなどのアミノ酸の炭素数10〜22の脂肪酸アミドのナトリウム、カリウム、トリエタノールアミンより選ばれる塩であることが好ましく、特に、サルコシンの炭素数12〜18の脂肪酸アミドがリポソームの分散安定性に好ましく、炭素数12の脂肪酸アミドがさらに好ましい。また、塩としてナトリウム、カリウムが好ましく、特にナトリウム塩が好ましい。 アシルアミノ酸系界面活性剤の添加量が重量比0.2重量%未満であった場合、リポソームの分散安定性への効果が十分でない可能性がある。また、4重量%を超える場合には、リポソームの二分子膜が弱くなり、二分子膜中のリン脂質のアシル基が加水分解されやすいため、経時安定性が低下する。 これまで述べてきたように、本発明の化粧料用リポソームは、膜構成成分として、ホスファチジルコリン含量90重量%以上、ヨウ素価0.1以下である水素添加大豆リン脂質を含有するものであり、必要に応じステロール類、さらにはアシルアミノ酸系界面活性剤を含有することができる。このとき、各成分の合計量は100重量%となるように配合される。また、通常膜構成成分に添加される上記以外の成分を含有していても良い。 【0012】 本発明における水素添加大豆リン脂質は、天然大豆由来のリン脂質を高度に精製して得られるものである。水素添加大豆リン脂質は、大豆リン脂質を水とヘキサンやアルコールなどと2相分配により抽出精製してから水素添加をすることにより得ることができる。また、水素添加された大豆リン脂質をアセトンやアルコールなどの溶媒を用いて晶析精製してもよいし、液相クロマトグラフィーなどにより分離精製しても得ることができる。 【0013】 本発明の化粧料用リポソームには、上記成分の他に、通常化粧料として配合される成分として、水性成分、アルコール、油剤、界面活性剤、粉体、水溶性高分子、動植物由来の天然エキス、各種の栄養成分、保湿剤、細胞賦活剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、香料、無機塩、各種薬剤等を本発明の性能を妨げない範囲で配合することができ、また、その製造方法は、通常化粧料を製造する方法であり、とくには限定されない。これらの原料、成分は、リポソームの内水相でも外水相でも、またその両側にあってもさしつかえなく、また膜の内部にあってもよい。 本発明の化粧料に用いるリポソームは、リン脂質と上記配合成分を公知の技術により混合し、超音波処理法、フレンチプレス法、逆相蒸発法、界面活性剤法、エクストルージョン法、カルシウム−EDTAキレート法、凍結融解法、また、真空乳化機、高圧ホモミキサー、マイクロフルイダイザー、マントンゴーリンなどの乳化機で処理することにより得ることもできる。また、これらのリポソームをフィルターやゲルろ過などのサイジング操作により、粒子径のそろったリポソームを選択的に得ることができ、さらにリポソームの安定性を高めることもできる。 本発明におけるリポソームは、平均粒径100〜500nmであり、粒径が安定性や感触にも影響を与えるため、粒径をそろえた方が好ましく、特に粒度分布のχ2値が3以下となるリポソームを得るためには、エクストルーダーを使用してサイジングすることが好ましい。具体的には、水和したリン脂質またはリポソームを加温した後、エクストルーダーを用いて加圧下でセルロースやポリカーボネートなどのフィルターを通過させる方法である。温度は50〜90℃の範囲が好ましく、より好ましくは60〜80℃である。50℃未満では、リン脂質の流動性が乏しいことからフィルターを通過させてもリポソームを形成しないことがある。また、フィルターの通過性が悪くなり、生産効率が悪くなることがある。90℃を超えるとリン脂質の分解がより起こりやすくなるだけでなく、エネルギー的に非効率である。圧力はフィルターを通過させるのに必要十分な値であればいくらでも構わないが、装置の耐圧性の問題から、通常3MPa以下で行うことが多い。フィルターの材質は、リポソームの粒径をそろえるために、孔径が均一で揃っているポリカーボネート製を用いるのがより好ましい。また、平均粒径100〜500nmのリポソームを得るためには、孔径が100〜500nmのフィルターが好ましい。このようなエクストルーダーを用いたサイジングを2回以上繰り返し行うことで、より粒径の揃ったリポソームを得ることができるようになる。 【0014】 本発明のリポソームは、このまま用いてもよいし、水分3重量%以下に乾燥させ、粉末リポソームとしてもよい。本発明の粉末リポソームは、その保存中に色、においなどの劣化が起こりにくく、乾燥状態で高い安定性を有する。さらには、粉末リポソームを水溶液などで水和させることにより、乾燥前の高安定な使用感の良いリポソームを再度得ることができ、水和後も高い経時安定性を有するので、適用範囲の広い化粧品原料とすることができる。 本発明における粉末リポソームは、乾燥後、水分が3重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。水分が3重量%を超える場合には、吸湿して固まりとなってしまい、水へ再水和しにくくなる。 本発明における粉末リポソームは、公知の技術で作製することができる。粉末リポソームは、本発明の化粧料用リポソームをサイジング後、凍結乾燥や噴霧乾燥することにより、乾燥させて得られるものである。本発明の化粧料用リポソームを粉末リポソームとする際、本発明のリポソーム以外の原料、成分を含んでいてもさしつかえない。これらの原料、成分としては、代表的には糖類が挙げられる。糖類を含むと、粉末リポソームを水や水溶液などと混ぜるときに、容易に分散、溶解し、さらには乾燥前のリポソームの粒径を維持することができる。糖としては通常化粧料などで使用されている糖であれば特段の限定は受けず使用することができ、トレハロース、スクロース、エリスリトール、マルトース、グルコース、キシリトース、ラクトース、ガラクトース、フルクトースなどが例示できる。好ましくはトレハロース、スクロース、エリスリトールである。この場合、粉末リポソームの原料である、本発明のリポソームの膜構成成分と糖類の比率は重量比で、2/1〜1/20が好ましく、1/1〜1/8がさらに好ましい。さらに好ましくは、1/2〜1/6である。糖類以外では、各種の栄養成分、酸化防止剤、保湿剤、細胞賦活剤などが挙げられる。これらの原料、成分は、リポソームの内水相でも外水相でも、またその両側にあってもさしつかえない。 粉末リポソームの代表的な製造方法としては、凍結乾燥や噴霧乾燥が挙げられる。例えば、本発明のリポソームにスクロース、トレハロースなどの糖類を添加して、このリポソームを凍結乾燥や噴霧乾燥することにより、粉末リポソームを得ることができる。糖類を配合すると、乾燥時にリポソーム構造の破壊が生じにくくなり、粉末リポソームの水和時に、乾燥前と同様のリポソームを得ることができる。 また、本発明のリポソームは、乾燥時に1価のアルカリ金属塩を膜構成成分100重量%に対して20重量%以下、好ましくは10重量%以下含有することにより、粉末リポソームの水和性を向上させることができる。1価のアルカリ金属塩とは、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、などであり、ナトリウム塩が好ましく、さらには塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムがさらに好ましい。1価のアルカリ金属塩を膜構成成分100重量%に対して20重量%を超えて含有すると水和後の安定性が悪くなる傾向があり、リポソームが凝集しやすくなることがある。 【0015】 本発明における化粧料用リポソームまたは化粧料用粉末リポソームは化粧料に配合して用いることができる。 本発明の化粧料用リポソームは、化粧料の原料として広範なものに使用でき、例えば、化粧水などの低粘性のものから、クリームなどの高粘性の化粧料などがあげられる。本発明のリポソームは安定性が良好であるため、低粘性の化粧水に配合しても問題がない。本発明のリポソームを配合する場合、膜構成成分が0.01〜20重量%の範囲であるように化粧料に用いることが好ましく、0.1〜5重量%の範囲がさらに好ましい。0.01重量%未満である場合、本発明のリポソームの特徴である、肌のなめらかさや保湿性の効果が表れにくく、また、本発明のリポソームは20重量%を配合することで十分にその効果を発揮することができるので、これを越えての配合はコスト的に問題がある。 本発明の粉末リポソームは、化粧水やジェル、クリームだけでなく、口紅やファンデーションなどのメイクアップ化粧料に配合することもできるし、さらには、粉末リポソームを水和させてから化粧料へ配合することもできる。これらの粉末リポソームは、膜構成成分が0.01〜20重量%の範囲であるように、化粧料に使用することが好ましく、0.1〜5重量%の範囲がさらに好ましい。粉末リポソームにおいても、膜構成成分の配合が0.01重量%未満である場合、本発明のリポソームの特徴である、肌のなめらかさや保湿性の効果が表れにくく、また、本発明のリポソームは20重量%を配合することで十分その効果を発揮することができるので、これを越えての配合はコスト的に問題がある。 本発明の化粧料用リポソームまたは化粧料用粉末リポソームを含有する化粧料は、べたつき感がなく、塗布後に肌のなめらかさを感じるといった使用感を感じることができる。 【実施例】 【0016】 次に本発明について実施例を挙げて説明する。なお、配合量はすべて重量%である。 実施例1〜7および比較例1〜6 実施例および比較例については、表1に示すリン脂質を使用し、表2および表3に記載の配合のリポソームを作製し、以下の項目について評価を行い、結果も表2〜3に示した。なお、リポソームの膜構成成分は、表2および表3における成分1〜4である。 <評価項目> 平均粒径、粒度分布のχ2値、保存安定性(リポソームの安定性、色・においの変化)、使用感(べたつき感のなさ、肌のなめらかさ、保湿性) 【0017】 【表1】
【0018】 実施例1 表2に示す所定量の配合成分1〜6を60℃で加熱融解した後、所定量の成分7(精製水)を添加し、60℃で30分間撹拌を行った。この分散液をポリカーボネート膜の孔径0.1μmのフィルターによりエクストルージョンを行い、実施例1のリポソームを得た。 実施例2〜7 実施例2〜7は、実施例1と同様の方法で行った。また、エクストルージョンは、実施例2、5、6、7においては0.2μm、実施例3、4においては0.3μmの孔径のポリカーボネート膜を使用し、種々のサイズのリポソームを得た。 【0019】 比較例1 表3に示す所定量の配合成分1〜6を60℃で加熱融解した後、所定量の成分7(精製水)を添加し、60℃で30分間撹拌を行った。サイジング操作を行わず、この分散液での安定性の評価を行った。 比較例2〜6 比較例2〜6は、実施例1と同様の方法で行った。また、エクストルージョンは、比較例3、4、6においては0.2μm、比較例2、5においては0.1μmの孔径のポリカーボネート膜を使用し、種々のサイズのリポソームを得た。 【0020】 《評価項目》 〔平均粒径、粒度分布のχ2値〕 リポソームの粒径および粒度分布のχ2値は、動的光散乱法(NICOMP MODEL 370A、Particle Sizing Systems社製)で測定を行った。 リポソーム液を脂質濃度0.1%以下になるよう水で希釈したサンプル650μLをガラスチューブ(BOROSILICATE ガラス、6×50mm)に入れ、NICOMP粒度分布計により15分間の動的光散乱の測定を行い、VesicleモードにおけるGaussian分布の平均粒径(体積換算)とχ2値の測定を行った。 〔保存安定性〕 実施例1〜7、比較例1〜6のリポソーム液を透明なガラスバイアルへ入れ密封系とし、40℃の恒温槽に静置して、凝集の有無、色およびにおいの変化について調べた。それぞれの評価は以下の基準に従って行った。 〔凝集の有無〕 40℃の恒温槽に静置しておいたサンプルを、その外観変化を目視にて観察し、以下の基準Aに従い、判定した。○を効果があると判定した。 <基準A> ○:3カ月以上凝集が認められない △:1ヵ月までは、変化が認められないが、その後凝集が見られた。 ×:2週間で凝集が認められた。 〔色の評価〕 40℃の恒温槽に静置しておいたサンプルを、その外観変化を目視にて観察し、以下の基準Bに従い、判定した。○を効果があると判定した。 <基準B> 経時安定性における色の評価 ○:白色の透明溶液もしくは乳白色の懸濁液 △:淡黄色透明溶液もしくは黄色味を帯びた乳白色懸濁液 ×:黄色の透明溶液もしくは黄色の懸濁液 〔においの評価〕 40℃の恒温槽に静置しておいたサンプルのにおいについて、以下の基準Cに従い、判定した。○を効果があると判定した。 <基準C> 経時安定性におけるにおいの評価 ○:ほとんど特異臭を認めない △:わずかに特異臭を感じる ×:特異臭を感じる 【0021】 〔使用感の評価〕 実施例1〜7、比較例1〜6のリポソーム液を皮膚に塗布した際の使用感(べたつき感のなさ、肌のなめらかさ)について、パネル10名により下記の5段階にて評価し、さらにその平均点を基準Dに従い、判定した。また、保湿性においては、皮膚に1日2回1ヶ月塗布した後、下記の5段階にて評価し、さらにその平均点を基準Dに従い、判定した。◎または○を効果があると判定した。 <評価> 5点:非常に良好 4点:良好 3点:普通 2点:不良 1点:非常に不良 <基準D> ◎:平均点4.5点以上 ○:平均点3.5点以上4.5点未満 △:平均点2.5点以上3.5点未満 ×:平均点2.5点未満 【0022】 【表2】
【0023】 【表3】
【0024】 実施例1〜7のリポソームはすべての性能を満足するものであった。 比較例1および比較例2のリポソームは粒径が本発明の範囲から外れており、さらにχ2値が3以上であったため、リポソームの安定性が悪く、感触の劣るものとなった。比較例3〜6のリポソームは、使用したリン脂質の純度やヨウ素価が本発明におけるリン脂質の範囲外であるため、リポソームの安定性、また感触に劣るものであった。特に比較例5は、粒径も本発明の範囲から外れているため、安定性および感触の面で劣ったものとなった。 〔効果の持続の評価〕 本発明のリポソームにおける、べたつき感のない、肌のなめらかさを持続する効果を確認するために、実施例2のリポソーム液を、比較例6のリポソーム液と共に評価を行った。 <検査方法> 20〜40代の10名の女性パネルにて洗顔後、就寝前に、25℃の恒温室内で、試料リポソーム液を左右の頬部にそれぞれ2mLずつ塗布し、下記の評価項目にて相対評価を行った。また、翌朝についても、洗浄後、25℃の恒温室内において相対評価を行った。5段階の一対比較法により2種のサンプルを比較した。結果は表4に人数で示す。 <評価項目> 肌ざわりの良さ、べたつき感のなさ、肌のしっとり感、肌のなめらかさ 【0025】 【表4】
【0026】 実施例2のリポソーム液は比較例6のリポソーム液に比べ、使用時だけでなく翌朝洗浄後においても、感触や肌への効果の優れたものとなり、効果の持続性があることが確認できた。 実施例8〜12、比較例7〜9 表1に示されるような純度のリン脂質を用いて、実施例、比較例のリポソーム液に最終濃度がトレハロース4重量%となるように配合し、さらに塩化ナトリウムを表5に示した量だけ配合して凍結乾燥を行い、粉末リポソームとした。粉末リポソームの水和性および保存安定性について、以下の項目について評価した。 《評価項目》 粉末リポソームの水和性、粉末リポソームの保存安定性、水和リポソームの安定性 【0027】 実施例8 表2に示す所定量の実施例1の配合成分1〜6を60℃で加熱融解した後、最終濃度がトレハロース4重量%(膜構成成分100重量%に対し、79.2重量%)となるようにトレハロースを溶解させた成分7(精製水)を添加し、60℃で30分間撹拌を行った。この分散液をポリカーボネート膜の孔径0.1μmのフィルターによりエクストルージョンを行い、リポソームを得た後、凍結乾燥を行い、実施例8の粉末リポソームを得た。 実施例9〜10、比較例7〜8 実施例8と同様にして、実施例2、5、比較例1、5の各配合成分を用いてトレハロースを配合したリポソームを得た後、凍結乾燥を行い、それぞれの粉末リポソームを得た。 実施例11 表2に示す所定量の実施例2の配合成分1〜6を60℃で加熱融解した後、最終濃度がトレハロース4重量%(膜構成成分100重量%に対し199.0重量%)、塩化ナトリウム0.02重量%(膜構成成分100重量%に対し1重量%)となるようトレハロースおよび塩化ナトリウムを溶解させた成分7(精製水)を添加し、60℃で30分間撹拌を行った。この分散液をポリカーボネート膜の孔径0.2μmのフィルターによりエクストルージョンを行い、リポソームを得た後、凍結乾燥を行い、実施例11の粉末リポソームを得た。 実施例12 表2に示す所定量の実施例5の配合成分1〜6を60℃で加熱融解した後、最終濃度がトレハロース4重量%(膜構成成分100重量%に対し363.6重量%)、塩化ナトリウム0.08重量%(膜構成成分100重量%に対し8重量%)となるようトレハロースおよび塩化ナトリウムを溶解させた成分7(精製水)を添加し、60℃で30分間撹拌を行った。この分散液をポリカーボネート膜の孔径0.2μmのフィルターによりエクストルージョンを行い、リポソームを得た後、凍結乾燥を行い、実施例12の粉末リポソームを得た。 比較例9 表2に示す所定量の比較例4の配合成分1〜6を60℃で加熱融解した後、最終濃度がトレハロース4重量%(膜構成成分100重量%に対し111.1重量%)、塩化ナトリウム1.08重量%(膜構成成分100重量%に対し30重量%)となるようトレハロースおよび塩化ナトリウムを溶解させた成分7(精製水)を添加し、60℃で30分間撹拌を行った。この分散液をポリカーボネート膜の孔径0.2μmのフィルターによりエクストルージョンを行い、リポソームを得た後、凍結乾燥を行い、比較例9の粉末リポソームを得た。 【0028】 《評価項目》 表5に示すリポソームについて下記の評価を行い、その結果も表5に示した。 1)粉末リポソームの水和性 〔水和性の評価〕 粉末リポソームをスクリュー管の中に入れ、膜構成成分が1%となるよう水を加え、手で振とうし水和性について、基準Eに従い、判定した。◎または○を効果があると判定した。 <基準E> ◎:良好、1〜2回の振とうですべてが分散する ○:3〜5回の振とうですべて分散し、塊がない ×:6〜10回振とうしてすべて分散し、塊がない ××:10回振とうしても塊が残る 2)粉末リポソームの保存安定性 粉末リポソームをアルミ袋に保存し、40℃恒温槽に静置し、1週間、1ヶ月、3ヵ月後に色・においの変化について確認した。 〔色の評価〕 40℃の恒温槽に静置しておいたサンプルを、その外観変化を目視にて観察し、以下の基準Fに従い、判定した。○を効果があると判定した。 <基準F> 経時安定性における色の評価 ○:白色の粉末または固形 △:淡黄色もしくは黄色味を帯びた粉末または固形 ×:黄色の粉末または固形 〔においの評価〕 40℃の恒温槽に静置しておいたサンプルのにおいについて、以下の基準Cに従い、判定した。○を効果があると判定した。 <基準C> 経時安定性におけるにおいの評価 ○:ほとんど特異臭を認めない △:わずかに特異臭を感じる ×:特異臭を感じる 【0029】 3)再水和リポソームの安定性 再水和後リポソームにおいて、再水和後のリポソームを40℃に静置しておき、色・においの変化を評価した。その際、40℃1週間静置した粉末リポソームを水和させて、再水和リポソームとした。 〔色の評価〕 40℃に静置しておいたサンプルを、その外観変化を目視にて観察し、以下の基準Bに従い、判定した。○を効果があると判定した。 <基準B> 経時安定性における色の評価 ○:白色の透明溶液もしくは乳白色の懸濁液 △:淡黄色透明溶液もしくは黄色味を帯びた乳白色懸濁液 ×:黄色の透明溶液もしくは黄色の懸濁液 〔においの評価〕 40℃に静置しておいたサンプルのにおいについて、以下の基準Cに従い、判定した。○を効果があると判定した。 <基準C> 経時安定性におけるにおいの評価 ○:ほとんど特異臭を認めない △:わずかに特異臭を感じる ×:特異臭を感じる 【0030】 〔使用感の評価〕 実施例8〜12、比較例7〜9のリポソーム液を皮膚に塗布した際の使用感(べたつき感のなさ・肌のなめらかさ)について、パネル10名により下記の5段階にて評価し、さらにその平均点を基準Dに従い、判定した。また、保湿性においては、皮膚に1日2回1ヶ月塗布した後、下記の5段階にて評価し、さらにその平均点を基準Dに従い、判定した。◎または○を効果があると判定した。 <評価> 5点:非常に良好 4点:良好 3点:普通 2点:不良 1点:非常に不良 <基準D> ◎:平均点4.5点以上 ○:平均点3.5点以上4.5点未満 △:平均点2.5点以上3.5点未満 ×:平均点2.5点未満 【0031】 【表5】
【0032】 実施例のリポソームはすべての性能を満足するものであった。また、実施例11および12のリポソームは、塩化ナトリウムが添加されているため、水和性の非常に良いものとなった。 比較例7のリポソームは、平均粒径が大きいため、再水和後の保存安定性が悪いものとなり、1ヶ月で沈殿が生じ、さらに、感触の劣るものとなった。比較例8および9のリポソームは、リン脂質純度が低いため、においの劣ったものとなった。さらに、凍結乾燥前の粒径が小さいため安定性が悪く、再水和したときに凝集して粒径が大きいものとなった結果、感触の面でも劣ったものとなった。また、比較例9のリポソームは、塩化ナトリウムが膜構成成分に対し30重量%と多く添加されているため、復水後の安定性が極めて悪くなり沈殿を生じた。 【0033】 実施例13〜15、比較例10〜12 実施例1および比較例4のリポソーム液、実施例9および比較例8の粉末リポソームを用いて、表6に示す化粧水、表8に示すファンデーションを作製し、下記の評価を行なった。 〔化粧水の製造法〕 1) 表6に示す成分8(精製水)に成分1、2、6を室温にて溶解する。 2) さらに成分3〜5、7を溶解させ、1)に混合可溶化する。 〔ファンデーションの製造法〕 1) 表8に示す成分1〜5を80℃に加温し、よく混練りして6を加えて希釈する。 2) 1)に成分8〜11を加え、分散させ、成分7(精製水)を徐々に加えて乳化し、撹拌冷却してファンデーションを得る。 【0034】 〔使用感の評価〕 実施例13〜15、比較例10〜12の化粧料を皮膚に塗布した際の使用感(べたつき感のなさ・肌のなめらかさ)について、パネル10名により下記の5段階にて評価し、さらにその平均点を基準Dに従い、判定した。また、保湿性においては、皮膚に1日2回1ヶ月塗布した後、下記の5段階にて評価し、さらにその平均点を基準Dに従い、判定した。◎または○を効果があると判定した。 <評価> 5点:非常に良好 4点:良好 3点:普通 2点:不良 1点:非常に不良 <基準D> ◎:平均点4.5点以上 ○:平均点3.5点以上4.5点未満 △:平均点2.5点以上3.5点未満 ×:平均点2.5点未満 【0035】 【表6】
【0036】 【表7】
【0037】 実施例13および14の化粧水はすべての性能を満足するものであった。 比較例10および11の化粧水は、純度の低いリポソームを使用しているため、べたつき感および肌のなめらかさについての効果が十分に発揮されなかった。 【0038】 【表8】
【0039】 【表9】
【0040】 実施例15のファンデーションはすべての性能を満足するものであった。 比較例12のファンデーションは、純度の低いリポソームを使用しているため、べたつき感および肌のなめらかさについての効果が十分に発揮されなかった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004341 【氏名又は名称】日本油脂株式会社 【住所又は居所】東京都渋谷区恵比寿四丁目20番3号
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| 【出願日】 |
平成17年9月28日(2005.9.28) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2006−124378(P2006−124378A) |
| 【公開日】 |
平成18年5月18日(2006.5.18) |
| 【出願番号】 |
特願2005−282019(P2005−282019) |
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