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【発明の名称】 油性ゲル状組成物
【発明者】 【氏名】増渕 祐二
【住所又は居所】東京都北区栄町48番18号 株式会社コーセー研究本部内

【要約】 【課題】従来、油性ゲル状組成物は多種多岐にわたり、良好なゲル化特性を示し、化粧品等に適用されるものが知られていたものの、これらには、耐高温性で、伸延性に富み、かつきしみ感のない物性をあわせ有するものではなく、化粧料に用いる場合には満足するものではなかった。本発明の課題は前述の欠点が解消された、即ち、高温において安定性を保持し、きしみ感を有さない、かつ伸び広がりのよい化粧料用油性ゲル状組成物及びそれを含む化粧料を提供することにある。

【解決手段】油剤に、薄片状微細結晶からなる管状の塩基性炭酸マグネシウム(内径0.5〜5μm、外径1〜10μm、長径10〜50μm)を0.15〜15重量%を配合して化粧料用油性ゲル状組成物をうる。これを配合して、油性化粧料、水中油型乳化化粧料、油中水型乳化化粧料等の化粧料を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油剤に、薄片状微細結晶からなる管状の塩基性炭酸マグネシウムをゲル化剤として配合することを特徴とする油性ゲル状組成物。
【請求項2】
管状の塩基性炭酸マグネシウムが、内径0.5〜5μm、外径1〜10μm、長径10〜50μmであることを特徴とする請求項1記載の油性ゲル状組成物。
【請求項3】
管状の塩基性炭酸マグネシウムを0.15〜15質量%を配合することを特徴とする油性ゲル状組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の油性ゲル状組成物を配合することを特徴とする化粧料。
【請求項5】
油性ゲル状組成物を、1〜99質量%を配合することを特徴とする請求項4記載の化粧料。
【請求項6】
化粧料が、油性化粧料、水中油型乳化化粧料又は油中水型乳化化粧料であることを特徴とする、請求項4又は5記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、薄片状微細結晶からなる管状の塩基性炭酸マグネシウムをゲル化剤として配合することを特徴とする油性ゲル状組成物及び該油性ゲル状組成物を配合した化粧料に関し、更に詳細には、高温での安定性に優れ、きしみ感がなく、伸び広がりに優れた油性ゲル状組成物及び該油性ゲル状組成物を配合する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲルとは、ゾル(コロイド溶液)がゼリー状に固化したものをいい、多量の水などの液体成分あるいは空隙を含むことが多いが、系全体にわたる支持構造をもち、その形状を保っている。ゾル中に分散しているコロイド粒子の間には引力が作用していて、多くのゾルは構造粘性を示すが、濃度がさらに高くなると粒子が互いにつながって3次元の網状または蜂の巣のような構造をとるようになり分散系は固体状のゲルに変わるものであり(例えば、非特許文献1参照)、油性ゲル状組成物は、ペースト、クリーム、ゼリー等の油分を含む液体含有量の広範囲なものを指し、化粧料の分野においても、常温で液体状を呈する油性の化粧料基剤をゲル化することにより、化粧料としての形態を多様化しかつより使用しやすくしている。
【0003】
従来、ゲル化剤としてステアリン酸ナトリウムを用いて油脂を媒介として調製される油性ゲル状組成物(例えば、特許文献1参照)や、化粧料用油性基材にN−アシルアミノ酸アミド又はN−アシルアミノ酸アミン塩を配合したことを特徴とするゲル状化粧料組成物(例えば、特許文献2参照)や、12−ヒドロキシステアリン酸、1%分散水溶液のpHが7.0以上を示す化合物であって、無機化合物または分子内にカルボキシル基を有する有機化合物のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、及び液状油性成分を含有することを特徴とする固形化粧料(例えば、特許文献3参照)が知られている。
【0004】
また、ショ糖脂肪酸ジエステルとイオン性界面活性物質とを含有することを特徴とする増粘ゲル化剤(例えば、特許文献4参照)や、親水性球状無水ケイ酸を特定量配合させた唇用油性化粧料(例えば、特許文献5参照)や、特定の重合度を有するデキストリン脂肪酸エステルからなり、保湿性、乳化性、付着性、分散性に優れたゲル化剤(例えば、特許文献6参照)や、ワックス、液状又は半固形油等からなる口紅組成物において、親油性ゲル化剤として、金属石鹸、親油化ベントナイト、アミノ酸誘導体等を用いること(例えば、特許文献7参照)や、透明で適度な粘性をもつゲルを形成する油ゲル化剤として、ジイソステアリルリン酸金属塩からなる油ゲル化剤及びこれを含有する化粧料(例えば、特許文献8参照)や、高い安全性、安定性を示し、良好な使用性を得ることができる、マルチトールモノ脂肪酸エステル、多価アルコール、及び液状油を含む増粘ゲル化剤組成物(例えば、特許文献9参照)が知られている。
【0005】
さらに、フッ素の有する機能をもち、各種条件下において安定で、他の溶剤との相溶性にも優れた、含フッ素エーテル化合物からなるゲル化剤(例えば、特許文献10参照)や、油中水型エマルジョンをベースとする化粧品組成物において、炭化水素油、HLBの異なる2種類の界面活性剤、シリコーンで被覆された顔料粒子、及びクレー等の油ゲル化剤を含んでなる耐水性、持ちの良さ、耐移り性を有する組成物(例えば、特許文献11参照)や、水膨潤性粘土鉱物と第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤と常温液体の脂肪酸とを混合して得られるゲル化剤(例えば、特許文献12参照)や、チタンアルコキシド又はその油性溶液もしくは分散液に、分子内に孤立電子対を有する原子及び/又は極性基を有する有機化合物の1種又は2種以上、或いはさらに加水分解抑制剤の1種又は2種以上と、水を添加して加水分解して得られる酸化チタンの油性分散体、及びこれより分散媒を除去した後乾燥して得られる親油性酸化チタン粉体より成る群から選択した1種又は2種以上と、カルボキシル基,式 -X-COOH(Xは炭素数1〜30の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基)で表されるカルボキシアルキレン基,ヒドロキシフェニル基及びリン酸基より成る群から選択される1種又は2種以上の官能基を2個以上有するオルガノポリシロキサン誘導体より選択した1種又は2種以上を含有して成る増粘ゲル化剤組成物であって、化粧品にも適用でき、デカメチルシクロペンタシロキサンとの混合では、良好なゲルが形成され、−5℃,25℃及び50℃で3カ月間保存しても安定な組成物(例えば、特許文献13参照)や、化粧料、医薬品等に好適に適用され、他配合成分の制限を受けることなく、油分(ジメチルポリシロキサンや環状シリコーンなどの液状の油分)を安定してゲル化することができる特定構造のシリコーン誘導体(例えば、特許文献14)が知られている。また、各種のフィラーや担体として用いられる、薄片状微細結晶からなる柱状又は管状の凝集粒子である塩基性炭酸マグネシウム及びその製造方法(例えば、特許文献15、特許文献16参照)が知られている。
【0006】
一方、薄片状微細結晶からなる管状の塩基性炭酸マグネシウムをゲル化剤として配合する油性ゲル状組成物は知られていなかった。
【0007】
【特許文献1】特開昭55−141243号公報
【特許文献2】特公昭53−27776号公報
【特許文献3】特開平5−238915号公報
【特許文献4】特開平7−26245号公報
【特許文献5】特開平7−48227号公報
【特許文献6】特開平8−277302号公報
【特許文献7】特開平9−110641号公報
【特許文献8】特開平9−208446号公報
【特許文献9】特開平9−328673号公報
【特許文献10】特開平10−175901号公報
【特許文献11】特開平11−5714号公報
【特許文献12】特開平11−43665号公報
【特許文献13】特開2001−200160号公報
【特許文献14】特開2004−182697号公報
【特許文献15】特開2003−306325号公報
【特許文献16】特開2004−59378号公報
【非特許文献1】長倉三郎外5名著「岩波 理化学辞典 第5版」 176頁、1998年12月25日 第5版第3刷、株式会社岩波書店発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、油性ゲル状組成物は多種多岐にわたり、良好なゲル化特性を示し、化粧品等に適用されるものが知られていたものの、これらには、耐高温性で、伸延性に富み、かつきしみ感のない物性をあわせ有するものではなく、化粧料に用いる場合には満足するものではなかった。本発明の課題は前述の欠点が解消された、すなわち、高温において安定性を保持し、きしみ感を有さない、かつ伸び広がりのよい油性ゲル状組成物及びそれを含む化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、化粧料に配合される油性ゲル化剤について研究を進め、鋭意研究の結果、薄片状微細結晶からなる管状の塩基性炭酸マグネシウムに優れたゲル化剤としての機能、すなわち高温において安定性を保持し、きしみ感を有さない、かつ伸び広がりのよいという特性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、(1)油剤に、薄片状微細結晶からなる管状の塩基性炭酸マグネシウムをゲル化剤として配合することを特徴とする油性ゲル状組成物や、(2)管状の塩基性炭酸マグネシウムが、内径0.5〜5μm、外径1〜10μm、長径10〜50μmであることを特徴とする上記(1)記載の油性ゲル状組成物に関する。
【0011】
また本発明は、(3)管状の塩基性炭酸マグネシウムを0.15〜15質量%を配合することを特徴とする油性ゲル状組成物や、(4)上記(1)〜(3)のいずれか記載の油性ゲル状組成物を配合することを特徴とする化粧料に関する。
【0012】
さらに本発明は、(5)油性ゲル状組成物を、1〜99質量%を配合することを特徴とする上記(4)記載の化粧料や、(6)化粧料が、油性化粧料、水中油型乳化化粧料又は油中水型乳化化粧料であることを特徴とする、上記(4)又は(5)記載の化粧料に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の薄片状微細結晶からなる管状の塩基性炭酸マグネシウムをゲル化剤として配合した油性ゲル状組成物や、該油性ゲル状組成物を配合した化粧料は、高温で安定性であり、きしみ感がなく、伸び広がりのよいことなど顕著な効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明で用いられる薄片状微細結晶からなる管状の塩基性炭酸マグネシウムは、内部に空洞を持つ円筒状である。その大きさは、内径0.5〜5μm、外径1〜10μm、長径10〜50μm、であるもの、特に内径0.5〜2μm、外径1〜5μm、長径10〜30μmであるものがゲル化能の点で好ましい。更に、BET法により求めた比表面積が120〜160m/g、水銀圧入法により求めた細孔容積が8000〜11000m/g、JIS K−5101により求めた吸油量が110〜140mL/100gであるものが好ましい。このような管状の塩基性炭酸マグネシウムは、市販品として塩基性炭酸マグネシウムである、マグチューブ Mg Tube(日鉄鉱業株式会社製)を用いることができる。マグチューブ Mg Tube の形状は図1及び図2の顕微鏡写真により示される形状であり、内径0.5〜2μm、外径1〜5μm、長径10〜30μmである。
【0015】
上記管状の塩基性炭酸マグネシウムがゲル化する油剤としては、動物油、植物油、合成油等の起源を問わず、炭化水素油類、エステル油類、脂肪酸類、シリコーン油類、フッ素系油類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、ポリイソブチレン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール等のエステル類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0016】
本発明の油性ゲル状組成物における、管状の塩基性炭酸マグネシウムの配合量は、特には限定されないが、0.1〜15質量%(以下単に「%」と略する場合がある)が好ましく、より好ましくは0.5〜10%である。0.1%より少ないとゲル化しにくい場合があり、15%以上では、高温安定性はよいが、皮膚に適用した場合には滑らかに伸びないなど進展性が劣る場合がある。また、本発明における油性ゲル状組成物の調製方法は、特に限定されないが、例えば、油剤に管状の塩基性炭酸マグネシウムを添加、混合分散する方法等が挙げられる。また、混合分散機器も、特に限定されないが、例えば、ディスパーミキサー、ロールミル、高粘度ミキサー、万能攪拌機、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。
【0017】
そして、本発明において油性ゲル状組成物は、化粧料用油性ゲル状組成物として有利に用いることができる。例えば、化粧料用油性ゲル状組成物とする場合、油性ゲル状組成物を収容した容器(本体)や、該容器(本体)の包装体(外箱)や、該包装体(外箱)中に収められた説明書や、パンフレット・チラシ等の宣伝物に、化粧料用であることを表示することができる。
【0018】
本発明の化粧料としては、上記本発明の油性ゲル状組成物が配合されたものであれば特に制限されないが、該油性ゲル状組成物の他に、通常、化粧料に使用される成分、例えば、粉体、界面活性剤、油ゲル化剤、水性成分、紫外線吸収剤、水溶性高分子、トリメチルシロキシケイ酸等の油溶性被膜形成剤、パラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール等の防腐剤、ビタミン類、美容成分、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
本発明の油性ゲル状組成物の化粧料における配合量は、1〜99%が好ましい。
【0019】
粉体としては、通常、化粧料に用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、酸化チタン、黒色酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、有機顔料被覆マイカチタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ポリウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロースパウダー、N−アシルリジンパウダー等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン含有シリカ、酸化亜鉛含有シリカ等の複合粉体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0020】
油剤としては、通常、化粧料に用いられる油剤であれば特に限定されない。具体的には、パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャトロプシュワックス、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素系類、カルナウバロウ、ミツロウ、ラノリンワックス、キャンデリラ等の天然ロウ類、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ホホバ油、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル等のエステル類、ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、モクロウ等の油脂類、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、N−ラウロイルーL−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のアミノ酸誘導体類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、高級脂肪酸変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0021】
界面活性剤としては、通常、化粧料に用いられる油剤であれば特に限定されない。具体的には、グリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン等の非イオン性界面活性剤類、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩等の陰イオン性界面活性剤類、アルキルアミン塩、ポリアミンおよびアルカノイルアミン脂肪酸誘導体、アルキルアンモニウム塩、脂環式アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤類、レシチン、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0022】
油ゲル化剤としては、本発明の油性ゲル状組成物に加えて、化粧料に通常用いられるものであれば特に限定されない。具体的には、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0023】
水性成分としては、通常、化粧料に用いられるものであれば特に限定されない。具体的には、水や、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液を挙げることができ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0024】
紫外線吸収剤としては、通常、化粧料に用いられるものであれば特に限定されない。具体的には、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリアニリノ−パラ−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン等のベンゾフェノン系、サリチル酸−2−エチルヘキシル等のサリチル酸系、パラジヒドロキシプロピル安息香酸エチル等のPABA系、4−tert−4’−メトキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0025】
水溶性高分子としては、通常、化粧料に用いられるものであれば特に限定されない。具体的には、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体類、アルギン酸ソーダ、カラギーナン、クインスシードガム、寒天、ゼラチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム等の天然高分子類、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステル,ポリビニルピロリドン等の合成高分子類等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0026】
本発明の化粧料としては、ファンデーション、白粉、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ、コンシラー、口紅、マスカラ等のメーキャップ化粧料、日焼け止め料、乳液、バニシングクリーム,マッサージクリーム、クレンジングクリーム等のスキンケア化粧料等が挙げられる。
【0027】
本発明の化粧料の形態は、固形状、スティック状、クリーム状、多層状等が挙げられる。また、本発明の化粧料の剤型は、粉体化粧料、油性化粧料、水中油型乳化化粧料、油中水型乳化化粧料、水系化粧料、溶剤型化粧料等が挙げられる。なお、本発明の効果が顕著に発揮される化粧料は、油性化粧料、水中油型乳化化粧料及び油中水型乳化化粧料である。
【0028】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【0029】
(実施例1〜6及び比較例1〜10)
〔油性ゲル状組成物〕
表1に示す組成の油性ゲル状組成物を調製し、形成された各組成物に対して「高温安定性」、「きしみ感のなさ」、「伸びの良さ」の各項目について以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、及びゲル粘度の結果を表1に示す。
なお、ゲル粘度(mPa・s)の測定方法は、25℃に保管した試料をビスメトロンVDA型粘度計(芝浦システム株式会社製)にて、ローター3号、6rpm、60秒後読み値に係数(200)を掛けてゲル粘度(mPa・s)を求めた。
(ゲルの調製方法)
成分4〜8(5種類の油分)の各々に、成分1(実施例のゲル化剤)及び成分2,3(比較例のゲル化剤)をそれぞれ添加し、三本ロールミルにて混合分散した。
【0030】
【表1】


【0031】
評価方法:「高温安定性」
実施例及び比較例の油性ゲル状組成物を50℃で1ヶ月保存し、形状を目視観察し、以下の判定基準により評価を行った。
評価基準及び判定基準
[形状変化] [評点]
変化なし :◎
僅かに変化あり :○
明らかに変化がある :△
分離、廃液が認められる :×
評価方法:「きしみ感のなさ」、「伸びの良さ」
実施例及び比較例の油性ゲル状組成物を20名の化粧品専門パネルにより、前腕内側部に塗布してもらい、そのときの使用感について各自が以下の評価基準に従って7段階評価し、油性ゲル状組成物毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
評価基準
(評価) (内容)
6 : 非常に良い
5 : 良い
4 : やや良い
3 : 普通
2 : やや悪い
1 : 悪い
0 : 非常に悪い。
判定基準
(評点の平均点) (評価)
5.0以上 :◎(非常に良好)
3.5以上5.0未満 :○(良好)
1.0以上3.5未満 :△(普通)
1.0未満 :×(不良)
【0032】
表1に示すように、本発明において、ゲル化剤として、管状の塩基性炭酸マグネシウムを用いたことにより、比較例で用いた親水性無水ケイ酸や疎水性無水ケイ酸を用いた油性ゲル状組成物に比して、高温安定性、きしみ感のなさ、伸びの良さの点で顕著に優れていることがわかる。さらに、ゲル粘度(mPa・s)×10(25℃)についても、疎水性無水ケイ酸の4.6が最も高いが、本発明では、最低でも6.90を示し、油性ゲル組成物として適切に機能することがわかる。
【0033】
(実施例7〜11及び比較例11〜19)
〔リップクリーム〕
表2に示した組成のリップクリームを調製した。
(製造方法)
A:成分1〜6、成分1〜4、又は成分1〜4と6を混合する。
B:Aに成分7(実施例のゲル化剤)及び成分8〜10(比較例のゲル化剤)をそれぞれ添加し、三本ロールミルにて油分とゲル化剤とを混合分散する。
C:Bをチューブに充填して、リップクリームを得た。
【0034】
【表2】


【0035】
「高温安定性」、「きしみ感のなさ」、「伸びの良さ」の各項目について以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を表3に示した。
【0036】
評価方法:「高温安定性」
実施例及び比較例の油性ゲル状組成物を50℃で1ヶ月保存し、形状を目視観察し、以下の判定基準により評価を行った。
評価基準及び判定基準
[形状変化] [評点]
変化なし :◎
僅かに変化あり :○
明らかに変化がある :△
分離、廃液が認められる :×
評価方法:「きしみ感のなさ」、「伸びの良さ」
実施例及び比較例のリップクリームを20名の化粧品専門パネルに使用してもらい、その時の使用感について各自が以下の評価基準に従って7段階評価し、リップクリーム毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
評価基準
(評価) (内容)
6 : 非常に良い
5 : 良い
4 : やや良い
3 : 普通
2 : やや悪い
1 : 悪い
0 : 非常に悪い。
判定基準
(評点の平均点) (評価)
5.0以上 :◎(非常に良好)
3.5以上5.0未満 :○(良好)
1.0以上3.5未満 :△(普通)
1.0未満 :×(不良)
【0037】
【表3】


【0038】
表2及び表3から明らかなとおり、本発明は、油性組成物のゲル化剤として、管状の塩基性炭酸マグネシウムを用いたことにより、親水性無水ケイ酸を用いた比較例11〜13、疎水性無水ケイ酸を用いた比較例14〜16に比して、評価項目の全てにおいて顕著に優れ、また、球状炭酸マグネシウムを用いた比較例17〜19に比し、使用中の伸びの良さでは、同等であるが、きしみ感のなさにおいてより優れており、高温度安定性においては、比較例17〜19では、分離、廃液が認められているのであって、この点でも、本発明のものは、極めて優れたゲル化剤といえる。
【0039】
(実施例12)
〔ゲル状オイルクレンジング〕
(成分) (%)
1.トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 12.0
2.流動パラフィン 28.9
3.コメヌカ油 35.0
4.メチルフェニルポリシロキサン 5.0
5.管状塩基性炭酸マグネシウム 10.0
6.テトラオレイン酸POE(30)ソルビット 9.0
7.香料 0.1
(製造方法)
A:成分1〜4を混合する。
B:Aに成分5〜7を添加し、三本ロールミルにて混合分散する。
C:Bをチューブに充填して、ゲル状オイルクレンジングを得た。
【0040】
(実施例13)
〔スティック状コンシーラー〕
(成分) (%)
1.パラフィンワックス 10.0
2.キャンデリラロウ 3.0
3.ポリエチレンワックス 2.0
4.トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 15.0
5.メチルフェニルポリシロキサン 10.0
6.酢酸液状ラノリン 15.0
7.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 5.0
8.酸化チタン 20.0
9.酸化鉄 3.0
10.マイカ 残量
11.管状塩基性炭酸マグネシウム 7.0
12.防腐剤 適量
【0041】
(製造方法)
A:成分1〜7を100℃にて混合溶解する。
B:Aに成分8〜12を90℃にて均一に混合する。
C:Bを3本ローラーにて処理する。
D:Cを脱泡し、85℃にてカプセルに溶解充填後、4℃にて冷却しスティック状のコンシーラーを得た。
【0042】
(実施例14)
〔水中油型乳化ファンデーション〕
(成分) (%)
1.ステアリン酸 0.5
2.セタノール 1.0
3.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン 0.8
4.セスキオレイン酸ソルビタン 0.4
5.2−エチルヘキサン酸セチル 5.0
6.流動パラフィン 5.0
7.管状塩基性炭酸マグネシウム 3.0
8.グリセリン 3.0
9.1,3−ブチレングリコール 5.0
10.アルキル変性カルボキシビニルポリマー 0.1
11.アクリル酸アルキル共重合体 1.0
12.トリエタノールアミン 0.5
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
14.精製水 残量
15.フッ素化合物処理酸化チタン 4.0
16.フッ素化合物処理タルク 1.0
17.フッ素化合物処理ベンガラ 0.5
18.フッ素化合物処理黄酸化鉄 1.5
19.フッ素化合物処理黒酸化鉄 0.1
【0043】
(製造方法)
A:成分5〜7を均一分散し、油性ゲル状組成物を得る。
B:Aに成分1〜3を加えて75℃にて均一に加熱混合する。
C:成分4、8、9に成分15〜19を混合し、3本のローラーにて均一分散する。
D:Cに成分10〜14を加え、75℃にて均一に加熱混合する。
E:DにBを添加して、乳化する。
F:Eを冷却する。
G:Fを容器に充填して、水中油型乳化ファンデーションを得た。
【0044】
(実施例15)
〔油中水型乳化ファンデーション〕
(成分) (%)
1.ジメチルポリシロキサン 20.0
2.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
3.部分架橋ポリエーテル変性シリコーン 2.0
4.2−エチルヘキサン酸グリセリル 6.0
5.流動パラフィン 4.0
6.管状塩基性炭酸マグネシウム 10.0
7.ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1.5
8.シリコーン処理酸化チタン 4.0
9.シリコーン処理タルク 1.0
10.シリコーン処理マイカ 1.0
11.シリコーン処理ベンガラ 0.5
12.シリコーン処理黄酸化鉄 1.5
13.シリコーン処理黒酸化鉄 0.1
14.精製水 残量
15.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
16.1,3−ブチレングリコール 3.0
17.グリセリン 2.0
18.香料 適量
【0045】
(製造方法)
A:成分1〜6を均一分散し、油性ゲル状組成物を得る。
B:Aに成分7〜13を加えて、3本ローラーにて処理する。
C:Bに成分14〜18を添加して、乳化する。
D:Cを容器に充填して、油中水型乳化ファンデーションを得た。
【0046】
(実施例16)
〔非水系マスカラ〕
(成分) (%)
1.ロジン酸ペンタエリスリット 10.0
2.キャンデリラロウ樹脂 2.0
3.パルミチン酸デキストリン 3.0
4.セレシン 4.0
5.ミツロウ 3.0
6.大豆リン脂質 0.5
7.軽質イソパラフィン 残量
8.トリメチルシロキシケイ酸 2.0
9.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 3.0
10.炭酸プロピレン 1.0
11.軽質流動イソパラフィン 30.0
12.管状塩基性炭酸マグネシウム 10.0
13.フッ素化合物処理黒酸化鉄 5.0
14.フッ素化合物処理タルク 10.0
【0047】
(製造方法)
A:成分1〜8を110℃にて均一に加熱溶解する。
B:成分9〜12を均一分散し、油性ゲル状組成物を得る。
C:AにBを加え、均一混合する。
D:Cに成分13〜14を加え、均一混合する。
E:Dを3本ローラーにて処理する。
F:Eを容器に充填して、非水系マスカラを得た。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の管状塩基性炭酸マグネシウムを示す顕微鏡写真である。
【図2】本発明の管状塩基性炭酸マグネシウムの断面を撮影した顕微鏡写真である。
【出願人】 【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
【住所又は居所】東京都中央区日本橋3丁目6番2号
【出願日】 平成17年5月27日(2005.5.27)
【代理人】 【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀

【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次

【識別番号】100123168
【弁理士】
【氏名又は名称】大▲高▼ とし子

【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也

【公開番号】 特開2006−124369(P2006−124369A)
【公開日】 平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願番号】 特願2005−154920(P2005−154920)