| 【発明の名称】 |
腫瘍治療剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】小西 淳二
【氏名】阪原 晴海
【氏名】張 美麗
【氏名】姚 正生
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| 【要約】 |
【課題】腫瘍細胞表面に存在するレクチンと結合して腫瘍への高い集積能を示すリガンドを見いだし、該リガンドに放射性核種を結合する事により、腫瘍の診断・治療に有用な放射性診断剤及び治療剤を提供すること。
【解決手段】腫瘍表面に存在するレクチンと特異的に結合する分子がN−アセチルグルコサミンまたはマンノースである糖蛋白よりなり、さらに糖蛋白としてアビジンが好適に用いられる。In−111、Tc−99m等で放射能標識された前記糖蛋白あるいはアビジンよりなる腫瘍診断剤及びIn−111、I−131等で放射能標識された前記糖蛋白あるいはアビジンよりなる腫瘍治療剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 レクチンと特異的に結合する分子を有する糖蛋白を有効成分として含有する腫瘍治療剤。 【請求項2】 レクチンと特異的に結合する部分がN−アセチルグルコサミンまたはマンノースである糖蛋白質よりなる請求項1記載の腫瘍治療剤。 【請求項3】 糖蛋白がアビジンである請求項1または2記載の腫瘍治療剤。 【請求項4】 放射能標識された請求項1から3のいずれかに記載の腫瘍治療剤。 【請求項5】 放射能標識されたビオチンに、アビジンを結合した請求項3の腫瘍治療剤。 【請求項6】 In−111、I−131またはI−125より選ばれる1つで放射能標識された請求項4または5のいずれかに記載の腫瘍治療剤。 【請求項7】 請求項1ないし6記載の糖蛋白の腫瘍治療剤としての使用。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明はヒト及び動物の腫瘍を診断・治療するための放射性医薬品に関する。 【背景技術】 【0002】 ヒト及び動物体内に生じた腫瘍を診断するため、腫瘍に集積する物質と放射性核種を結合した医薬品の開発が進められている。放射性核種は細胞にとって有害であるため、正常部位へは集積せず、腫瘍細胞のみに結合してそのまま長時間集積する事が医薬品として望ましい。腹腔内腫瘍のために全身性の化学療法、腹腔内化学療法、外部からの粒子線治療、腔内への放射性コロイドの点滴注入などの処置がレーシーら(例えば、非特許文献1参照)により試みられてきたが十分な効果を示すアプローチではなかった。 【0003】 放射性核種、化学治療剤や毒素を結合した抗腫瘍モノクロナル抗体を使った標的療法は腫瘍特異性が高く、正常細胞への毒性を抑え、腫瘍に対する毒性を強くすることができた。なかでも放射能標識した抗体を用いた腹腔内腫瘍の治療の試みが動物や患者に対して有効であった。しかしながら、血中放射能や正常組織での放射能標識物の非特異的取り込みが高かった為に、治療のための放射能投与には限界があった。 【0004】 腫瘍細胞の表面にはレクチンが存在し、レクチンに結合したリガンドは細胞内に移行する事がロタン等(例えば、非特許文献2参照)により報告されている。レクチンは糖結合性蛋白であり、結合価が2価以上で動植物細胞を凝集し、多糖類や複合糖質を沈降させる。その結合特異性は単糖やオリゴ糖を用いた阻止試験で規定できるとされており、種々のレクチンが知られている。腫瘍表面のレクチンを特異的に認識する物質は腫瘍管理のために有望であると言えるが、十分にイメージングできるほど高い取り込みを示す効果的な物質は報告されていない。 【0005】 【非特許文献1】Lacy et al;Management of malignant ascites, Surg.Gynecol.Obstet., 159:397-412頁、1984年 【非特許文献2】R. Lotan; Lectins in Cancer cells, Annals NewYork Academy Science, 551:385-398 頁、1988年 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明は、腫瘍細胞表面に存在するレクチンと結合し、腫瘍表面から腫瘍細胞内部へ移行できるリガンドが腫瘍の診断・治療に有用なキャリアーとなることを期待されながらも、適当なリガンドが見いだされていなかった状況に鑑み、レクチンと結合して腫瘍への高い集積能を示すリガンドを見いだし、当該リガンドに放射性核種を結合する事により、腫瘍の診断・治療に有用な放射性診断剤及び治療剤を提供する事を目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 かかる課題を達成するため、本発明者らは鋭意研究を行った結果、腫瘍表面のレクチンと結合できる分子を有する糖蛋白を見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発明はレクチンと特異的に結合する分子を有する糖蛋白を有効成分として含有する腫瘍診断剤または治療剤である。本発明の他の態様は、レクチンと特異的に結合する分子がN−アセチルグルコサミンまたはマンノースである糖蛋白よりなり、さらに糖蛋白としてアビジンが好適に用いられる。本発明の他の態様はIn−111、Tc−99mまたはI−123より選ばれる1つで放射能標識された前記糖蛋白あるいはアビジンよりなる腫瘍診断剤またはIn−111、I−131またはI−125より選ばれる1つで放射能標識された前記糖蛋白あるいはアビジンよりなる腫瘍治療剤である。 【発明の効果】 【0008】 腫瘍の治療は、腫瘍細胞だけでなく正常細胞にとっても有害な成分を使用するため、腫瘍に対し高い特異性を有する薬剤が求められていた。本発明のアビジンまたはアビジンのレクチン結合部位を有する物質は、腫瘍表面のレクチンとの特異性が高いので放射性物質を結合することで、腫瘍を標的とした治療を行うことが可能であり、また高い標的能力は腫瘍部分のイメージングに極めて有用である。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 本発明の腫瘍診断剤または治療剤はレクチンと特異的に結合する分子を有する糖蛋白を有効成分としてなる。特に、レクチンと結合する分子は、好ましくは末端のN−アセチルグルコサミンまたはマンノースであり、糖蛋白としては前記の両社を併せ持つ、高度に糖化されたアビジンが好ましい。マウス腹腔内腫瘍によるアビジンおよびアビジンの誘導体の取り込みを糖鎖を有しないストレプトアビジン、炭水化物を有しないニュートラアビジンおよびN−アセチルグルコサミンとマンノースの両者を併せ持つアビジンをインビトロの実験で比較したところ、アビジンの取り込みが最も大きく、細胞数106 個において18.2〜47.2%であったのに対し、ストレプトアビジンでは4〜4.5%、ニュートラアビジンでは2.6〜4.8%であった。即ち、アビジンは腫瘍表面に発現するレクチンと最も強く結合すると考えられる。 【0010】 さらに、レクチンと結合したアビジンが腫瘍内部へ移行すれば放射性アイソトープ、薬物等の診断または治療用薬剤のキャリアーとして有望である。そこでアビジンと特異的に結合することが知られており、その解離定数が10-15 Mと極めて低いことから、種々の生化学的研究に使用されている(ヒラーらY.Hiller et al; Biotin binding to avidin, Oligosaccharaido side chainnot required for ligand association; Biochem. J., 248:167-171 頁、1978年)ビオチンを用いて以下の実験を行った。 【0011】 インビボの実験において、アビジンを投与した後、ビオチンを投与する時、それらの投与間隔が短い内はアビジン−ビオチン結合物と同様の蓄積を示す。アビジンが腫瘍表面のレクチンと結合しているので後から投与したビオチンが腫瘍表面のアビジンと結合し、結果として同様の蓄積をもたらす。しかしながら、アビジンとビオチンの投与間隔が長くなるにつれてアビジン−ビオチン結合物を投与した場合のような蓄積は示さなくなる。これは、アビジンと結合したレクチンが時間の経過とともに腫瘍内へ移行するためであり、腫瘍内部に移行したアビジンはもはやビオチンと結合することができず、このために腫瘍への蓄積を示さなくなるためであると考えられる。このように、レクチンと結合し、腫瘍内部に移行することができるアビジンの性質は、腫瘍診断剤、腫瘍治療剤によって極めて有利である。 【0012】 アビジンと放射性核種との結合物は、キレート剤を介してアビジンに結合させるか、反応性の高い放射性核種含有化合物をアビジンに結合させるか、または放射性核種をキレート剤を介してビオチンと結合させたものにアビジンを結合させることによって得られる。診断剤として用いられる核種としては、In−111、Tc−99m、In−123好適であるが、Cu−64、Ga−67なども使用可能である。治療剤として用いられる核種としてはIn−111、I−131、I−125が好適であるが、H−3、C−14、Cu−67、Re−186、Re−188、Y−90なども使用可能である。 【0013】 ビオチンをIn−111で標識する場合は、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)−ビス(ビオシチンアミド)を緩衝液等に溶解し、In−111イオンを含む溶液を混合することで調製できる。ビオチンをTc−99mで標識する場合は、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)−ビス(ビオシチンアミド)を緩衝液等に溶解し、適当な酸化還元電位を有する塩化第一スズのごとき還元剤を加え、Tc−99mイオンを含む過テクネチウム酸溶液を混合する常套の方法により調製できる。アビジンをI−131標識するには、例えば荒野ら(J. Med. Chem. 34:2609-2618 頁、1994年) の方法に従い、N−サクシニミジル3ー(トリ−n−ブチルスタニル)ベンゾエートを合成し、これをザルツスキーら(M. R. Zalutsky et al;Appl Radiat. Isot., 38/12:1051-1055 頁、1987年) の方法を用いて、ハロゲン交換反応によりI−131を結合させた後、アビジンと結合させればよい。 【0014】 その他の放射性核種とアビジンまたはビオチンとの結合はそれぞれに適した交換反応やキレート形成性化合物を選択して用いることにより、適宜得ることが可能である。放射性核種標識結合物を放射性診断剤または放射性治療剤として供する場合は、上述した方法によって調製される標識物をさらにHPLC法による精製に付して不純物および未反応のインジウムイオン、沃素イオン、過テクネチウム酸イオンを取り除いた後に使用してもよい。 【0015】 放射能標識ビオチンとアビジンの結合物を腫瘍移植マウスの腹腔に注射し、ガンマカメラで撮像すると、腫瘍における取り込みは2時間から24時間において観察された。腫瘍臓器を取り出してガンマカメラで撮像すると腫瘍での高い放射能レベルが観察され、生体分布データと矛盾しない結果となった。腫瘍細胞をマウス腹腔に移植し、放射能標識アビジンを投与したグループと放射能標識しないアビジンを投与したグループに分けて腫瘍細胞の重量と白血球数の変化を調べたところ、放射能標識したアビジンを用いたマウスのグループは放射能標識していないグループと比較して腫瘍重量は明らかに減少したが、白血球数はどちらのグループにも有意な減少は見られなかった。したがって、本発明の治療剤は白血球の不要な破壊なしに腫瘍を治療することができる。 【0016】 放射性核種結合物は薬学的に許容される担体と混合することにより、放射性診断剤または放射性治療剤に調製することができる。かかる担体としては、薬学的に許容されるアスコルビン酸、p−アミノ安息香酸などの安定化剤、水性緩衝液等のpH調製剤、D−マンニトールなどの賦型剤、および放射化学的純度を改良するのに役立つクエン酸、酒石酸、マロン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコヘプトン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、これらの担体と共に用事調製用キットの形態でも本発明の放射性診断剤、放射性治療剤は提供が可能である。本発明の糖蛋白、望ましくはアビジンまたはその誘導体の放射性核種との結合物を含有してなる放射性診断剤または放射性治療剤は腹腔内投与、胸腔内投与、皮下(局所)注射、動脈注射のほか、静脈注射等の一般的に用いられる非経口的手段により投与される。その投与量は患者の体重、年齢、適当な放射性イメージング装置および対象疾患状態等の諸条件を考慮し、イメージングおよび治療が可能と考えられる放射能が決定される。 【0017】 ヒトを対象とする場合、Tc−99mで標識した結合物を用いた診断剤の投与量はTc−99mの放射能として37MBq〜1110MBqの範囲であり、好ましくは185MBq〜1110MBqである。I−123、In−111の場合、も同様の範囲で使用可能である。また、I−131で標識した化合物を用いた治療剤の場合は、I−131の放射能として37MBq〜3700MBqの範囲であり、好ましくは1110MBq〜3700MBqの範囲である。 【実施例】 【0018】 (実施例1) 腫瘍モデルの確立 SHIN3(卵巣ガン細胞系)、LS180、LoVo(結腸ガン細胞系)、およびAOI(肺ガン細胞系)の細胞を、10%の胎児牛血清、0.03%L−グルタミン酸とともにRPMI1640培養液中で培養した。対数増殖期細胞(subconfluent)はカルシウム、マグネシウムの無い0.02%EDTAを含むリン酸緩衝液を使って収穫した。メスのBALB/C nu/nuマウスに、0.2mlの燐酸緩衝液に入れた3×106 のLS180、LoVo、1×107 のSHIN3,AOIを注射したところ、11から25日後に腫瘍が発現した。腫瘍重量は0.1から0.5mgであった。 【0019】 (実施例2) (1)ビオチンのIn−111標識 3μgのDTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)−ビス(ビオシチンアミド)を0.3Mトリス塩酸緩衝液pH7.0に溶解し、18.5MBqのIn−111とともに室温で30分間インキュベートした。放射能の99%以上が固定化アビジンゲルに結合したため、In−111標識アビジンは精製なしに用いた。 【0020】 (2)アビジンのI−131直接標識 荒野ら(J. Med. Chem., 34:2609-2618頁、1994年) の方法に従い、N−サクシニミジル3ー(トリ−n−ブチルスタニル)ベンゾエートを合成し、これをザルツスキーら(M. R. Zalutsky et al;Appl Radiat.Isot., 38/12:1051-1055頁、1987年) の方法を用いて、ハロゲン交換反応によりI−131を結合させた後、アビジンと結合させて得た。 【0021】 アビジンのビオチンを介した放射能標識アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジンを放射能標識したビオチンと分子量比3−10:1で混合し、30分間放置して結合した。結合しなかった放射能標識ビオチンはファルマシア社製PD10カラムによるクロマトグラフィーで除去した。 【0022】 (実施例3) インビトロでの反応性 実施例1で確立したSHIN3、LS180、LoVo細胞とアビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジンとの反応性を調べた。放射能標識したアビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジンは5.7×46mmの微小遠心管中で100μlの燐酸緩衝液になん通りかの腫瘍細胞数とともに1時間インキュベートし、10,000×gで遠心した後、上澄を吸引除去した。細胞に結合した放射能の割合はオートウエルガンマカウンタ(アロカ製ARC300)で測定した。その結果を図1に示す。図1によると、アビジンはストレプトアビジン、ニュートラアビジンよりも腫瘍に対する結合性が明らかに高い。 【0023】 (実施例4) 生体分布 生体分布の実験は、ビオチンを介して放射能標識したアビジンを投与した場合(1ステップ法)と、アビジンを投与した後、放射能標識したビオチンを投与した場合(2ステップ法)の2通りを行った。 【0024】 (1ステップ法) ビオチンを介してIn−111標識したアビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジンを、実施例1で得た腫瘍移植マウスに注射した。放射能の分布はグループあたり4から5匹のマウスについて2−24時間後に測定した。アビジンによる結果を表1に示す。表1ではアビジンは腫瘍に効果的に蓄積し、非腫瘍組織からは速やかに消失している。比較のためLS180を用いた腫瘍移植マウスに放射能標識ビオチンを結合させたアビジン、ストレプトアビジンおよびニュートラアビジンを投与し、2時間後の放射能分布を調べた結果を表2に示す。 【0025】 (表1) 腹腔内腫瘍移植マウスへの放射能標識アビジンの生体分布 【0026】 【表1】
(各々、4〜5匹のマウスでの臓器1g当たりの放射能量又は比の平均値土標準 偏差) 【0027】 (表2) 腹腔内腫瘍(LS180)移植マウスへの放射能標識アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジンの生体分布(投与2時間後) 【0028】 【表2】
(各々、4〜5匹のマウスでの臓器1g当たりの放射能量又は比の平均値土標準 偏差) 【0029】 (2ステップ法) LS180の腫瘍移植マウスに標識していないアビジン300μgを注射し、1−24時間後にIn−111標識ビオチン0.3μgを注射した。LS180腫瘍移植マウスの1群については、アビジンを注射せず、In−111標識ビオチンのみを注射した。ビオチンを注射して2時間後グループあたり4ー5匹のマウスを殺して放射能分布を測定したところ結果を表3に示す。正常組織、腫瘍組織ともにアビジンを注射してから放射能標識ビオチンを投与するまでの時間が長くなるに従って、腫瘍での放射能は減少した。次に示すように内因性ビオチンの影響は僅かである。アビジンが腫瘍に対して特異的に結合しているにも拘らずアビジン注射後24時間に投与されたビオチンの分布がアビジンを投与していない場合のビオチンの分布と類似しているのは、アビジンが腫瘍に内部移行した可能性が高い。 【0030】 (表3) 腹腔内腫瘍(LS180)移植マウスへアビジンを予備標的した後、放射能標識したビオチンを投与した場合の、ビオチン投与後2時間の放射能分布 【0031】 【表3】
(各々、4〜5匹のマウスでの臓器1g当たりの放射能量又は比の平均値土標準 偏差) 【0032】 (参考例) 内因性ビオチンの影響 抗ヒト結腸癌モノクロナル抗体MLS128の5mg/mlの濃度でリン酸緩衝液に溶解し、9μgのNHS−LC−ビオチン(ピアス社製)と共に4℃で2時間インキュベートして、ビオチン化抗体を得た。結合しなかったビオチンはファルマシア社製PD10カラムにて除去した。300μgのビオチン化抗体を腫瘍移植マウス腹腔内に予備投与した後、50μgのストレプトアビジンを腹腔内に投与し、その24時間後に放射能標識したビオチン抗体を投与した場合でも、ビオチンは腫瘍に結合した。これは内因性ビオチンの影響が僅かであることを示している。 【0033】 (実施例5) シンチグラム 画像解析のため、3.7μgの放射能標識アビジンをSHIN3腫瘍移植マウス腹腔に注射した。ピンホールコリメータを装着したサール社製ガンマカメラ(Searle Radiographics Inc;PHO/GANMA LFOB)を用い、アビジン投与の2時間後と24時間後にマウスを麻酔して得た画像を図2および図3に示した。また図4には臓器を取り出して並べた状態のシンチグラムを示す。2時間後、24時間後とも良好な腫瘍蓄積が観察された。また、腫瘍での放射能蓄積は臓器を取り出して観察した場合にいっそう明かとなり、生体分布との一致が見られた。 【0034】 (実施例6) 治療効果1 SHIN3腫瘍細胞1×107 個をヌードマウスの腹腔に投与し、2日後および4日後に11.1MBq,9.25MBqのIn−111標識アビジン(100μg)を注射した。細胞移植の13日後および18日後にマウスを殺し、腫瘍重量と白血球数を測定した。放射能標識していないアビジンを同量注射したマウスを比較のために使用した。結果を表4に示す。検定はtテストを用いた。放射能標識していないアビジンよりも、放射能標識したアビジンを用いた方が明らかに腫瘍重量を減らした(危険率0.02%)。一方、白血球数には違いがなく、不要な破壊は起こしていない(危険率0.3%)。 【0035】 (表4) In−111−アビジン投与による腫瘍の重量と白血球数 【0036】 【表4】
【0037】 (実施例7) 治療効果2 SHIN3腫瘍細胞1×107 をヌードマウスの腹腔に投与し、2日後および7日後に11.1MBqのI−131標識アビジン(100μg)を注射した。腫瘍と血液での放射能取り込みは、30分後それぞれ45.8、0.71%ID/g、24時間後では15.2,0.05%ID/gであった。細胞移植の18日後マウスを殺し、腫瘍重量を測定した。放射能標識していないアビジンを同量注射したマウスを比較のために使用した。結果を表5に示す。検定はtテストを用いた。放射能標識していないアビジンよりも、放射能標識したアビジンを用いた方が明らかに腫瘍重量を減らした(危険率3%)。 【0038】 (表5) マウス腹腔への腫瘍細胞移植後、I−131−アビジン処置までの日数による腫瘍重量の変化 【0039】 【表5】
【産業上の利用可能性】 【0040】 腫瘍の治療は、腫瘍細胞だけでなく正常細胞にとっても有害な成分を使用するため、腫瘍に対し高い特異性を有する薬剤が求められていた。本発明のアビジンまたはアビジンのレクチン結合部位を有する物質は、腫瘍表面のレクチンとの特異性が高いので放射性物質を結合することで、腫瘍を標的とした治療を行うことが可能であり、また高い標的能力は腫瘍部分のイメージングに極めて有用である。 【図面の簡単な説明】 【0041】 【図1】アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジンと腫瘍細胞SHIN3、LS180、LoVoの腫瘍細胞数を変化させた場合の結合率を示す図である。 【0042】 【図2】SHIN3腫瘍移植マウスに、In−111を標識したビオチンを結合したアビジンを投与後、2時間の全身シンチグラムを示す写真(生物の形態)である。 【0043】 【図3】SHIN3腫瘍移植マウスに、In−111を標識したビオチンを結合したアビジンを投与後、24時間の全身シンチグラムを示す写真(生物の形態)である。 【0044】 【図4】SHIN3腫瘍移植マウスに、In−111を標識したビオチンを結合したアビジンを投与後、24時間の腫瘍臓器をとりだしたシンチグラムを示す写真(生物の形態)である。 【符号の説明】 【0045】 SP−−−脾臓 I−−−−腸間 L−−−−肝臓 ST−−−胃 K−−−−腎臓 T−−−−腫瘍
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| 【出願人】 |
【識別番号】000230250 【氏名又は名称】日本メジフィジックス株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年11月30日(2005.11.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093285 【弁理士】 【氏名又は名称】久保山 隆
【識別番号】100113000 【弁理士】 【氏名又は名称】中山 亨
【識別番号】100119471 【弁理士】 【氏名又は名称】榎本 雅之
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| 【公開番号】 |
特開2006−117685(P2006−117685A) |
| 【公開日】 |
平成18年5月11日(2006.5.11) |
| 【出願番号】 |
特願2005−345063(P2005−345063) |
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