| 【発明の名称】 |
免疫抱合体II |
| 【発明者】 |
【氏名】ヴォルフガング ヘルツァー
【氏名】イルカ フォン ヘーゲン
【氏名】ヴォルフガング シュトリットマッター
【氏名】ジークフリート マック
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| 【要約】 |
【課題】標的腫瘍細胞に対して特異的にエフェクター細胞を誘引可能な、エフェクター細胞の走化性を高く誘導する能力、また、エフェクター細胞の活性化により、腫瘍細胞に対する細胞毒性を誘起する高い能力を有し、低毒性標的腫瘍療法に適するサイトカイン−抗体免疫抱合体の提供。
【解決手段】ヒトEGFレセプター分子に特異的なモノクローナル抗体またはそのフラグメントと、ケモカイン・ファミリー、好ましくは、C−X−C ファミリーから選択される一つのケモカイン分子、例えば、インターロイキン8(IL−8)とからなる免疫抱合体とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上皮増殖因子レセプター(EGFR)の抗原エピトープを有する腫瘍細胞に対するモノクローナル抗体またはそのフラグメントおよび該抗体または抗体フラグメントと融合するケモカインタンパク質からなる免疫抱合体。 【請求項2】 ケモカインが、C−X−C ファミリーから選択される ことを特徴とする請求項1に記載の免疫抱合体。 【請求項3】 ケモカインがIL−8である 請求項2に記載の免疫抱合体。 【請求項4】 抗体が抗体重鎖の可変部、定常部のCH1ドメインおよび適当な軽鎖から本質的になるFabフラグメントまたはF(ab’)2フラグメントである 請求項1から3のいずれかに記載の免疫抱合体(抗体−CH1抱合体)。 【請求項5】 抗体が抗体重鎖の可変部、定常部のCH1およびCH2ドメインおよび適当な軽鎖から本質的になる抗体フラグメントである 請求項1から3のいずれかに記載の免疫抱合体(抗体−CH2抱合体)。 【請求項6】 抗体が抗体重鎖の可変部、定常部のCH1、CH2およびCH3ドメインおよび適当な軽鎖から本質的になる抗体フラグメントである 請求項1から3のいずれかに記載の免疫抱合体(抗体−CH3抱合体)。 【請求項7】 抗体が抗体重鎖の可変部、適当な軽鎖ならびに重鎖および軽鎖に結合するポリペプチド配列から本質的になる 請求項1から3のいずれかに記載の免疫抱合体(抗体−Fv抱合体)。 【請求項8】 抗体/抗体フラグメントと生物学的に活性のリガンドとの間のDNA制限部位を推定できるアミノ酸(配列)を含んでなり、該制限部位が完全な融合構築体中で唯一特異である ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の免疫抱合体。 【請求項9】 抗体/抗体フラグメントと生物学的に活性のリガンドとの間のリンカーペプチドを含んでなる 請求項1から7のいずれか1項に記載の免疫抱合体。 【請求項10】 抗体または抗体フラグメントがネズミ、ヒト化またはキメラMAb425に由来する 請求項1から8のいずれか1項に記載の免疫抱合体。 【請求項11】 MAb425−CH1−IL−8、MAb425−CH2−(NcoI)−IL−8、MAb425−CH2−(BclI)−IL−8、MAb425−Fv−IL−8およびMAb425−CH3−IL−8からなる群から選択される免疫抱合体。 【請求項12】 請求項1から10のいずれか1項に記載の免疫抱合体の調製法であって、 抗体または抗体フラグメントおよび生物活性を有するリガンドをそれぞれコードするDNA配列を所望融合DNA配列と相補的なオリゴヌクレオチドを用いて一本鎖DNA上に融合させて、得られる構築体を発現ベクターに導入してそれで宿主細胞を形質転換して、その宿主細胞を栄養溶液中で培養して、融合タンパク質を発現することからなる調製法。 【請求項13】 請求項1から10のいずれか1項に記載の少なくとも一つの免疫抱合体および生物学的に容認し得る担体を含んでなる薬剤組成物。 【請求項14】 腫瘍を標的とした薬物の調製のための請求項1から10項のいずれか1項に記載の免疫抱合体の使用。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、腫瘍関連標的エレメント、最も好ましくは、ヒト上皮増殖因子レセプター(EGFR)などのヒト腫瘍細胞上で優先的に発現される分子を優先的に認識するモノクローナル抗体またはそのフラグメントとケモカインタンパク質グループ、好ましくは、C−X−C ファミリーから選択された生物活性を有するリガンドからなる新規融合タンパク質に関する。得られる融合タンパク質は、特異的標的細胞または組織に生物活性を有するリガンドを運ぶために用いることができる。新規の免疫抱合体(Immunoconjugate)は、腫瘍の治療に使用することができる。 【背景技術】 【0002】 多様な治療概念が癌患者の治療のために用いられてきた。これまで、悪性細胞上で発現される細胞表面分子を特異的にまたは選択的に認識するモノクローナル抗体を用いて臨床試験が行われてきた。このアプローチのねらいは、癌細胞を排除するために抗体依存性細胞性細胞毒性(ADCC)または補体媒介細胞毒性を誘導することである。第二のアプローチは、免疫応答のサイトカイン媒介活性化である。サイトカイン誘導抗腫瘍活性は次のようなもので媒介され得る。すなわち、 1)腫瘍増殖に対するサイトカインの直接的細胞毒性/細胞制圧効果 2)LAK活性または単球/顆粒球媒介細胞毒性などの腫瘍抗原非特異的メカニズム 3)CD4およびCD8陽性T細胞によって媒介される腫瘍抗原特異的免疫応答 この場合、腫瘍に対する全身的免疫は動物モデルにおいて観察された。 【0003】 しかし、サイトカインの大量投与の細胞毒性および腫瘍部位での存在の不充分さから、標的腫瘍療法のコンセプトが導かれる。標的腫瘍療法の原理は、腫瘍関連抗原に特異的なモノクローナル抗体のような標的分子と生物学的に活性のエフェクター分子との物理的結合に基づいている。標的分子によるエフェクター分子の運搬によって、腫瘍中のサイトカインの濃度が上昇し、最大要求量を減少させ得ることが期待される。動物モデルにおいて、腫瘍内注射またはトランスフェクトさせた腫瘍細胞の分泌のいずれかによってサイトカインを腫瘍部位に存在させることによって腫瘍を退行させ得ることが示された(総説として、Colombo and Forni, Immunology Today, 15, 48-51, 1994を参照されたい)。これらの系では、サイトカインは腫瘍の増殖は阻害しないが、迅速で有効な抗腫瘍反応を活性化することができる。したがって、エフェクター分子と標的エレメントとの物理的組み合わせは、生物活性を有するリガンドの周辺部での存在を減らして、腫瘍内での利用を促進する手段を意味する。さらに、単一腫瘍細胞またはミクロ転移もまた、これらの分子の標的となり得る。 【0004】 抗体特異性標的法のための生物活性リガンドは、直接にまたは標的細胞に対して致死的環境をつくり出すことによって標的細胞の破壊を誘導しなければならない。これは、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−7、IL−10、IL−13、IFN、TNFαまたはCSFなどのサイトカインによって達成され得る。これらのサイトカインは、抗腫瘍効果を直接的にあるいは宿主の防護機構を活性化することによって発揮することが示された(Mire-Sluis, TIBTECH, 11, 74-77, 1993; Columbo et al., Cancer Res., 52, 4853-4857, 1992; Thomas and Balkwill, Pharmac. Ther., 52, 307-330, 1991)。 【0005】 しかし、これらサイトカインのほとんどはエフェクター細胞を活性化するが、皆無または微弱の走化能しか示さない。そのため、腫瘍組織における適量のエフェクター細胞が存在しなければ抗腫瘍活性は弱いと考えられる。 【0006】 しかし、ケモカインは多くのエフェクター細胞に走化性であって、したがって腫瘍部位におけるこれらの存在を強めて、次に種々のエフェクター細胞機能を誘導する(例えば、Miller and Krangel (1992), “Biology and Biochemistry ofthe Chemokines: A Novel Family of Chemotactic and Inflammatory Cytokines”, Critical Reviews in Immunology, 12, 17を参照されたい)。 【0007】 IL−8、MIP2α(GRO−βとしても知られる)およびMIP2β(GRO−γ)は、C−X−Cケモカイン・スーパーファミリー(スモール・サイトカイン・スーパーファミリーまたはインタークリンとしても知られる)に属する。これらは走化因子として作用して、エフェクター細胞機能を活性化し、したがって、最適エフェクター分子であることを示している。このC−X−Cケモカイン・ファミリーは、最近特徴づけされた小タンパク質(8〜10kD)の一群で、20〜50%のアミノ酸配列相同性を示し、走化性および炎症促進活性を有する。 【0008】 IL−8は、確立された立体構造を有し(Clore et al., Biochemistry, 29,1689-1696, 1990)、いくつかのCXCケモカインと N末端ELR部分を共有する。CXCケモカイン間の配列相同性から、立体構造がきわめて類似することが予測される。これはMCAF/MCP−1についてすでに示された(Gronenbornand Clore, Prot. Eng., 4, 263-269, 1991)。 【0009】 溶液では、IL−8は安定な二量体を形成し(Clore et al., Biochemistry, 29, 1689-1696, 1990)、F(ab’)IL−8融合タンパク質を二つのIL−8モノマーの相互作用によって二量体化して二価の免疫抱合体を形成することが可能である。これは融合タンパク質の抗原との相互作用を強めると考えられる。 【0010】 これまでに記述されたC−X−C群はいずれも、主に好中顆粒球上の作用する。遺伝子は染色体4上に位置している。この群には、PF4、血小板塩基性タンパク質、hIP10、IL−8、MIP2αおよびMIP2βがある。これらタンパク質の好中球への影響は、走化能、脱顆粒およびレスピラトリー・バーストである(Sherry and Cerami, Current Opinion in Immunology, 3, 56-60, 1991; Oppenheim et al., Annu. Rev. Immunol., 9, 617-648, 1991; Miller and Krangel, Critical Reviews in Immunology, 12, 17-46, 1992; Clark-Lewis et al., J. Biol. Chem., 266, 23128-23134, 1991)。 【0011】 ケモカインのC−C・ファミリーに密接に関連したものは主に単球に作用する。遺伝子は全て染色体17に位置している。これらタンパク質はLD78、Act−2、MCAF、1309およびRANTESである。これら分子は単球への強い走化能を示す(Matsushima et al., Chem. Immunol., 51, 236-265, 1992; Oppenheimet al., Annu. Rev. Immunol., 9, 617-648, 1991)。 【0012】 上皮増殖因子(EGF)は、表皮および上皮細胞のミトゲンであるポリペプチドホルモンである。EGFが感受性細胞と相互作用するときには、これは膜レセプター(EGFR)に結合する。EGFRは、約170kDの貫膜糖タンパク質であって、cerb−Bプロトオンコジーン(癌原遺伝子)の遺伝子産物である。 【0013】 ネズミ・モノクローナル抗体MAb425はヒトA431癌腫細胞系(ATCC CRL 1555)に対してつくられたもので、EGFRの外側ドメイン上のポリペプチドエピトープに結合することが見出だされた。これはEGFの結合を阻害し、インビトロで腫瘍細胞毒性を媒介し、インビトロで上皮および結腸直腸癌腫由来の細胞系の腫瘍細胞増殖を抑制することが見出だされた(Rodeck et al., Cancer Res., 47, 3692, 1987)。MAb425のヒト化されたキメラは、WO92/15683から公知である。 【特許文献1】国際公開第92/15683号パンフレット 【非特許文献1】Colombo and Forni, Immunology Today, 15, 48-51, 1994 【非特許文献2】Mire-Sluis, TIBTECH, 11, 74-77, 1993 【非特許文献3】Columbo et al., Cancer Res., 52, 4853-4857, 1992 【非特許文献4】Thomas and Balkwill, Pharmac. Ther., 52, 307-330, 1991 【非特許文献5】Miller and Krangel (1992), “Biology and Biochemistry ofthe Chemokines: A Novel Family of Chemotactic and Inflammatory Cytokines”, Critical Reviews in Immunology, 12, 17 【非特許文献6】Clore et al., Biochemistry, 29,1689-1696, 1990 【非特許文献7】Gronenbornand Clore, Prot. Eng., 4, 263-269, 1991 【非特許文献8】Sherry and Cerami, Current Opinion in Immunology, 3, 56-60, 1991 【非特許文献9】Oppenheim et al., Annu. Rev. Immunol., 9, 617-648, 1991 【非特許文献10】Miller and Krangel, Critical Reviews in Immunology, 12, 17-46, 1992 【非特許文献11】Clark-Lewis et al., J. Biol. Chem., 266, 23128-23134, 1991 【非特許文献12】Matsushima et al., Chem. Immunol., 51, 236-265, 1992 【非特許文献13】Oppenheimet al., Annu. Rev. Immunol., 9, 617-648, 1991 【非特許文献14】Rodeck et al., Cancer Res., 47, 3692, 1987 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0014】 このように、本発明の目的は、腫瘍細胞表面のEGFR抗原特異性エピトープおよびそれらのエフェクター細胞に対して高い走化能を有する生物学的に活性のリガンドからなり、低毒性標的腫瘍療法を可能にするような抗体またはそれらのフラグメントをつくり出すことであった。したがって、この免疫抱合体は、同様のサイトカイン−抗体免疫抱合体の改善を意味し、これは腫瘍溶解能に関しては同様に効果的であるが、その走化的性質から特異的部位にエフェクター細胞を誘引する能力に関してはそうではない。 【課題を解決するための手段】 【0015】 本発明は、モノクローナル抗体の部分、少なくとも抗原認識部位またはEGFRのエピトープを認識する完全なモノクローナル抗体を、ケモカイン群、好ましくはC−X−C ファミリーから選択された生物活性を有するリガンド、とくにIL−8と組み合わせた融合タンパク質に関する。これらの融合タンパク質をコードする構築体は、組み換えDNA技術によって作出される。融合タンパク質は、抗体重鎖の可変部と定常部のCH1ドメイン(CH1抱合体、Fabフラグメント)および適当な軽鎖、または抗体重鎖の可変部と定常部のCH1およびCH2ドメイン、または抗体重鎖の可変部と定常部のCH1、CH2およびCH3ドメインを、生物学的に活性のリガンドとそれぞれ融合して含んでいる。適当な軽鎖との共発現によって、抗原保有細胞を標的として、生体の特異的部位へ活性リガンドを運搬するような融合タンパク質を作出することができる。 【0016】 同様に、ケモカインを抗体のFvフラグメントのC末端と融合させることによって別の免疫抱合体を得ることができる。この場合、重鎖および軽鎖は、抗原結合部位の正しい折り畳みを確実にするために両エレメントが適当なリンカー配列によって組み合わされた一つのポリペプチド中に発現される。異なる構築体を図1に示す。 【0017】 免疫抱合体の発現の結果、二機能を合わせた新たな分子ができる。これらは、第一に抗原保有細胞(EGFR)を標的とし、第二に活性リガンドを生体の特異的部位に運搬する。これらリガンドは、強力な走化性誘因物質であって、分子を活性化して、エフェクター細胞の腫瘍部位浸潤および続いての腫瘍の破壊を起し得る。 【0018】 本発明の免疫抱合体を用いることによって、顕著な一般毒性を呈することなくメラノーマ、神経膠腫および癌腫などの腫瘍を検出して治療することができる。 【0019】 このように、本発明の目的は、上皮増殖因子レセプター(EGFR)の抗原エピトープを保有する腫瘍細胞に対するモノクローナル抗体またはそのフラグメント、および該抗体または抗体フラグメントに融合したケモカインタンパク質リガンドからなる免疫抱合体を提供することである。 【0020】 C−X−CおよびC−C ケモカインなどの異なるグループのケモカインがある。 【0021】 したがって、本発明による好ましい実施態様においては、ケモカインタンパク質は、C−X−C ファミリーから選択される。 【0022】 C−X−C ファミリーの中では、IL−8が本発明の好ましい実施態様である。 【0023】 したがって、本発明の目的は、ケモカインタンパク質がC−X−C ファミリーから選択され、好ましくはインターロイキン8(IL−8)である免疫抱合体を提供することである。 【0024】 本発明に使用可能な抗体は、全抗体またはそのフラグメントである。適当なフラグメントは、Fv、FabまたはF(ab’)2(本発明においては、CH1抗体フラグメントと称する)、CH3およびCH2抗体フラグメントである(図1)。好ましい実施態様は、Fv、CH1、CH2およびCH3抗体フラグメントである。 【0025】 したがって、本発明の目的は、抗体が、本質的に抗体重鎖の可変部、定常部のCH1ドメインおよび適当な軽鎖からなるFabフラグメントまたはF(ab’)2フラグメントである免疫抱合体(抗体−CH1抱合体)、抗体が、本質的に抗体重鎖の可変部、定常部のCH1およびCH2ドメインおよび適当な軽鎖からなる抗体フラグメントである別の免疫抱合体(抗体−CH2抱合体)、抗体が、抗体重鎖の可変部、定常部のCH1、CH2およびCH3ドメインおよび適当な軽鎖からなる完全な抗体である別の免疫抱合体(抗体−CH3抱合体)、最後に、抗体が、本質的に、抗体重鎖の可変部、適当な軽鎖、ならびに軽鎖と重鎖をつなぐポリペプチド配列からなる、さらなる免疫抱合体(抗体−Fv抱合体)を提供することである。 【0026】 本発明による免疫抱合体は、適宜、抱合体の標的エピトープへの最適結合を確実にするために、例えば特異的リンカーペプチドの導入を可能にするような制限部位を、抗体(フラグメント)とケモカインタンパク質との間に包含していてもよい。適当なリンカーペプチドおよびそれらの導入法は、当業者に広く公知であり、以下に記述される。本発明において、制限部位は、特定のDNA構築体において、単一特異となるように選択される。好ましい制限部位は、NcoIおよびBclIである。 【0027】 したがって、本発明のさらなる目的は、抗体/抗体フラグメントと生物学的に活性のリガンドとの間に、DNA制限部位をもたらし得るアミノ酸(配列)を含んでなる免疫抱合体を提供することである。該制限部位は完全融合構築体内で単一特異である。 【0028】 本発明のさらなる目的は、抗体/抗体フラグメントと生物学的に活性のリガンドとの間に、リンカーペプチドを含んでなる免疫抱合体を提供することである。 【0029】 原理的には、腫瘍細胞表面のEGFレセプターに対する全ての抗体が適している。しかし、モノクローナル抗体425が好ましい実施態様である。 【0030】 さらに、本発明の目的は、抗体または抗体フラグメントがネズミ、ヒト化またはキメラMAb425に由来し、好ましくはMAb425−CH1−IL8、MAb425−CH2−(NcoI)−IL8、MAb425−CH2−(BclI)−IL8、MAb25−Fv−IL8、MAb425−CH3−IL−8からなる群から選択されることを特徴とする免疫抱合体を提供することである。 【0031】 さらに、本発明の目的は上記、下記および請求の範囲に定義した免疫抱合体の製造法を提供することであって、抗体または抗体フラグメントと生物活性を有するリガンドをコードするDNA配列物とを所望の融合DNA配列に相補的なオリゴヌクレオチドを用いて一本鎖DNA上で互いに融合させて、得られる構築体を発現ベクターに導入して、これで宿主生物を形質転換させて、この宿主細胞を栄養溶液中で培養して、融合タンパク質を発現させることによって行われる。 【0032】 本発明の免疫抱合体は治療的使用に適している。 【0033】 したがって、本発明の目的は、上述した、以下で説明する、あるいは、請求の範囲に定義される、少なくとも一つの免疫抱合体および生物学的に容認し得る担体を含んでなる薬剤組成物を提供することである。 【0034】 本発明の目標は、標的エレメントとしてのモノクローナル抗体および走化性および活性化の性質を有するエフェクター分子としてのケモカインIL−8からなる融合タンパク質を作出することである。 【0035】 IL−8および他のケモカイン(MIPなど)がN末端を抗体部分などの追加のアミノ酸によってブロックされた場合に、その生物活性が保持されることを初めて示すことができた。したがって、この分子は、エフェクター細胞がEGFレセプター陽性腫瘍細胞であって、系内で活性化されるような標的腫瘍療法において有用であると考えられる。 【0036】 MAb425重鎖およびIL−8タンパク質をコードするcDNAを分子生物学的方法および適当な発現系において発現されたタンパク質によって融合され得ること、およびEGFレセプター結合能が融合タンパク質において保存されることを示すことができた(図2)。 【0037】 IL−8の主標的細胞は好中顆粒球であって、次の三つの生物学的機能を有する。 ・走化性勾配に沿った走化性移動 ・予め産生されたタンパク分解酵素を伴う貯蔵顆粒の放出 ・スーパーオキシドアニオンの即時産生(レスピラトリー・バースト) したがって、MAb425/NcoI/IL−8およびMAb425/BclI/IL−8融合タンパク質について、その走化能、MPO放出およびスーパーオキシド放出の誘導に関して調べた。 【0038】 さらに、本発明の融合タンパク質(例えば、MAb425/NcoI/IL−8およびMAb425/BclI/IL−8)は、走化能、MPO放出およびスーパーオキシド放出の誘導を引き起こすことを示すことができた。図3の結果は、両融合タンパク質が、組み換えIL−8の範囲でヒト好中球に対して走化性であることを示している(図4)。二価の形状に組み立てなければならない、MAb425/NcoI/IL−8およびMAb425/BclI/IL−8融合タンパク質に加えて、一価のF(ab’)−IL−8融合タンパク質が作出され、これは大腸菌中で発現されて精製された。図5は、F(ab’)−IL−8融合タンパク質がMAb425F(ab’)と比較した場合にヒト好中球に対して走化性であって、したがって大腸菌中で発現されて精製されることを示す。 【0039】 MAb425/BclI/IL−8融合タンパク質は、遊離のIL−8と比較して、かなり強いスーパーオキシド放出能を有する(図6)。MAb425/NcoI/IL−8融合タンパク質の活性は、より低いが、その値は対照値よりは有意に高い(図6)。MAb425単独では活性を示さない。全試験は、単一では無活性のシトカラシンBをエンハンサー物質として用いて行った(データ表示なし)。 【0040】 両融合タンパク質はミエロペルオキシダーゼ(MPO)放出を誘導するが、MAb425/NcoI/IL−8融合タンパク質はMAb425/BclI/IL−8融合タンパク質よりも活性である(図7)。全データは、トリトン溶解細胞のデータに従って計算し、これを100%酵素含量とする。全データはシトカラシンBをエンハンサー物質として用いて得られた。 【0041】 高度に保存されたE−L−R・モチーフを有するIL−8分子のN末端部分が、レセプター結合およびシグナルトランスダクションに要求されることが以前に明らかにされた。IL−8の立体構造は、両N末端が露出構造中にあるホモ二量体である。N末端が追加のアミノ酸によってブロックされる場合に、IL−8の生物活性が阻害される可能性があった。したがって、制限部位(NcoI/BclI)を二つのcDNA間に導入してリンカーペプチドを導入し、それによって、N末端のアクセス能を修復した。 【0042】 両エレメントの化学的カップリングのような融合タンパク質作出のための他のアプローチでは、バッチ間で変動するおそれのある不確かな構築体が得られた。加えて、化学的カップリングではリガンドの二次構造が破壊されるとかアクセス不能のためにレセプター結合に関してほとんどのタンパク質が不活性であるという状態を生じ得る。これに対して、本発明のアプローチでは、ほとんど無制限で再現可能な質で発現され得る確定した構造の融合タンパク質を作出することができる。 【0043】 要約すると、本発明による融合タンパク質は次のような性質を有する。 ・EGFR陽性細胞に結合する。 ・走化能を誘起する。 ・MPOおよびスーパーオキシドの放出を誘導する。 ・系内での腫瘍溶解を誘発する。 【0044】 したがって、本発明の免疫抱合体は、腫瘍の治療に適している。 【発明を実施するための最良の形態】 【0045】 一般的注記 本出願に記述されている、全ての微生物、細胞系、プラスミド、プロモーター、耐性マーカー、複製開始点、制限部位またはベクターの他のフラグメントは、市販されているか、あるいは一般に入手可能である。とくに記載がない限り、これらは例として使用されるのみであって、本発明に必須ではなく、それぞれ他の適当な手段および生物学的材料によって置き換えることができる。 【0046】 本発明に必須の方法技術を以下に詳細に記述する。詳記されない他の方法技術は、当業者によく知られた公知の標準法または引用参考文献および特許出願明細書および標準的文献に記載のある方法技術である(例えば、“Antibodies、 A Laboratory Manual”, Harlow, Lane, Cold Spring Harbor, 1988)。 【0047】 モノクローナル抗体 MAb425は、ヒトA431癌腫細胞系(ATCC CRL 1555)に対するIgG1ネズミ・モノクローナル抗体である。MAb425は、ヒトEGFレセプターの外側ドメインのポリペプチドエピトープと結合し、EGFの結合と競合する。MAb425は、インビトロで腫瘍細胞毒性を媒介することおよびインビトロで類表皮腫および結腸直腸癌腫由来細胞系の腫瘍細胞増殖を抑制することが見出だされた(Rodeck et al., Cancer Res, 47, 3692, 1987)。ヒト化およびキメラ型MAb425は、WO92/15683に開示されている。 【0048】 ケモカイン ケモカインをコードするcDNAは、British Biotechnology Limited (ヒトIL−8 BBG44, Herrmann Biermann GmbH, Bad Nauheim、独国)から購入するか、またはサイトカイン産生ヒト細胞系U937(ATCC CRL 1593)から分離されるmRNAから作出する。ケモカイン産生細胞からの全RNAを、RNAzol(WAK-Chemie,独国)を製造者の指示にしたがって用いて分離した。次いでRNAをcDNAに転写して、公表されたDNA配列から推定した適当なプライマーを用いてPCR増幅した。 【0049】 ベクター pUC19は一連の多重コピー数大腸菌プラスミドクローニングベクターのひとつであって、pBR322およびM13mp19の部分を含む。pUC19は、誘導性細菌性lacプロモーター−オペレーターおよびそれに続く多クローニング部位を含む(Yanisch-Perron et al., Gene, 33, 103-109, 1985)。pUCベクターは、市販されている(例えば、New England Biolabsなど)。 【0050】 pBluescriptKS/SK+およびKS/SK-ファージミド・ベクターはpUC19に由来する。ベクターは市販されている(Stratagene,ハイデルベルグ)。原核細胞発現ベクターはpSW1ベクター(Ward et al., Nature, 341, 544-546, 1989)に基づき、これはpUC19ベクターに由来する。pSW1は、Erwinia carotovoraからの細菌性pelB遺伝子のリーダーペプチドをコードする配列を含む(Lei et al., J.Bact., 169, 4379-4383, 1987)。外来性DNAを、pelBリーダー配列の後に、読み枠を揃えて導入して、ペリプラズム中へのタンパク質の発現を行わせることができる。 【0051】 真核細胞発現ベクターpHCMV(Gillies et al., Cell, 33, 717, 1983)は、シミアン(アカゲザル)ウイルス40(SV40)の複製開始点およびヒト・サイトメガウイルスのプロモーターおよびエンハンサー領域を含む。プロモーター/エンハンサー領域の後には、発現されるべき遺伝子導入のためのマルチ・クローニング部位が続く。このベクターにおいて、MAb425重鎖可変部のキメラ型およびCH2ドメインの末端でケモカインと融合したcγ1CH2領域とを組合わせて、MAb425重鎖融合タンパク質がつくり出された。この融合Ig鎖を適当な軽鎖と組み合わせることによって一価の抗原結合領域を形成して、免疫抱合体に組み立てることができ、これを、さらに会合させて、標的抗原に特異的な二価の免疫抱合体を産生するができる。重鎖および軽鎖用の構築体は、一つの、または別々のベクター中に導入することができる。 【実施例】 【0052】 融合タンパク質の真核細胞における発現 Fab425−ケモカイン融合タンパク質発現のための真核細胞発現ベクターの構築 PCR手法によるMAb425およびケモカインの融合: ヒトcγ1定常部を、pUC19にBamHI/BamHIフラグメントとして挿入した。cγ1定常部は二つのSacII部位を含む。一つは5’BamHI部位の40bp下流の5’イントロンに位置し、もう一つは5’BamHI部位の580bp下流で、CH3ドメイン開始部の140bp上流に位置している。二番目のSacII部位は、さらなるサブクローニングに適しており、したがって、最初のSacII部位を、アダプターを用いてSnaBI部位を導入することによって破壊した。この構築物(ΔSacII cγ1)において、SacII部位の下流のフラグメントは容易に交換され得る。 【0053】 ヒトIL−8をpUC18ベクター(BglII/EcoRI)から切り出して、pBluescriptSK+(Stratagene GmbH,ハイデルベルグ)(SmaI/EcoRI)に、BglIIおよびSmaI部位が除去されるように挿入した。ΔSacII cγ1クローンのSacII/XbaIフラグメントをpBluescriptSK+に挿入した。両遺伝子を適当なプライマーを用いてPCR手法で増幅した。 【0054】 ΔSacII cγ1用 3’プライマー:CH2ドメインの末端配列およびNcoI部位 5’プライマー:逆配列決定プライマー IL−8用 3’プライマー:汎用配列決定プライマー 5’プライマー:Ncol部位およびIL−8の開始配列 産物を切断して、SK+SacII/EcoRIと結合させる。得られたペプチド配列において、CH2ドメインのC末端リジンをメチオニンに変え、IL−8部分のN末端セリンをグリシンに変える。 【0055】 二つのポリペプチド間の接合部に新たに創られる配列は以下の通りである。 【0056】 5' AAA GCC ATG GGT GCT 3' Lys Ala Met Gly Ala cγ1CH2 <= =>IL−8(2−72) 同様の操作をプライマー(表1)を用いて行い、二つの遺伝子間にBclI部位を導入した。得られる融合遺伝子は、BclI部位を、cγ1定常部遺伝子とIL−8遺伝子間に有し、CH2ドメインの全配列、二つの追加のアミノ酸(バリン、イソロイシン)をコードし、そして最初の二つのアミノ酸(セリン、アラニン)を含まないIL−8の配列をコードする。 【0057】 二つのポリペプチド間の接合部に新たに創られる配列は以下の通りである。 【0058】 5' GCC AAA GTG ATC AAA GAA 3' Ala Lys Val Ile Lys Glu cγ1CH2 <= =>IL−8(3−72) PCRによる生成物を、SacIIおよびEcoRI制限部位を用いてSK+にサブクローニングした。真核細胞発現のために、これら融合遺伝子をpHCMVベクターにクローニングした。 表1 【0059】 【表1】
【0060】 免疫抱合体の真核細胞における発現 真核細胞における免疫抱合体の発現には、重鎖および軽鎖を含むベクターDNAの宿主細胞への導入が要求される。種々の異なる方法、例えば電気穿孔法、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム、リポフェクチンまたはプロトプラスト融合などが記述されている。免疫抱合体をコードする組み換えDNA配列がその細胞型においてmRNAに正しく転写される限り、いかなる宿主細胞型を用いてもよい。宿主細胞としては、免疫グロブリンを産生しないマウスミエローマ細胞、例えば、Sp2/0−AG14(ATCC CRL 1581)、P3X63Ag8.653(ATCC CRL 1580)、またはハムスター細胞、例えば、CHO−K1(ATCC CCL61)、またはCHO/DHFR−(ATCC CRL 9096)、またはBHK−21(ATCC CCL 10)が用いられる。過渡的発現には、COS−1(ATCC CRL 1650)またはCOS−7(ATCC CRL 1651)を用いてもよい。 【0061】 免疫抱合体の過渡的発現 発現ベクターpHCMVは、アカゲザルウイルス40(SV40)の複製開始点を含む。細胞系COS−7は、開始点欠失SV40ウイルスで形質転換されたアカゲザル細胞系CV−1から誘導されたものである。したがって、SV40複製開始点を含むプラスミドは増幅されて、免疫抱合体の産生が向上すると考えられる。上清を72時間後に集めて、EGF−レセプター結合およびケモカイン濃度についてELISAによって調べた。 【0062】 免疫抱合体の恒常的発現 免疫抱合体の発現のための組み換え構築体を含むベクターを、適当な宿主細胞に導入する。重鎖および軽鎖構築体を同一または別々のベクターに入れることができる。後者の場合は、両ベクターはネオマイシン耐性またはデヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)などの同一の選択マーカーまたは二つの異なる選択マーカーを両ベクターの選択検出のために含ませればよい。DHFRマーカーの選択は、CHO/DHFR-などのDHFR陰性細胞系においてのみ可能である。混合細胞集団を、EGF−レセプター特異性ELISAを用いて免疫抱合体の発現について分析する。陽性モノクローナルについてのさらなる選択を限定希釈クローニングによって行う。 【0063】 MAb425ケモカイン免疫抱合体の精製 宿主細胞によって産生されたMAb425免疫抱合体を集めて、例えば標的抗原、抗サイトカイン抗体または抗イディオタイプ抗体などを用いるアフィニティークロマトグラフィーなどの適当な方法によって精製することができる(例えば、Harlow, Lane, 前出(“Antibodies, A Laboratory Manual”, Harlow, Lane, Cold Spring Harbor, 1988))。 【0064】 本発明では、精製は、標準法(例えば、Kostelny et al., J. Immunol., 148, 1547, 1992)によって、MAb425から創出された抗イディオタイプ抗体によって達成された。 【0065】 純粋なFv免疫抱合体を得るために、タンパク質発現に適する大腸菌株を発現プラスミドによって形質転換させた(以下を参照されたい)。細胞をOD578=0.5になるまで増殖させて、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)(1mM)で誘導した。細胞を一晩増殖させて、上清および細胞を回収した。上清を標準法で調製した抗MAb425抗イディオタイプカラムに供する。カラムを0.5M NaCl−リン酸塩緩衝溶液で洗浄して、結合したタンパク質を100mMグリシン−0.5M NaClを用いてpH2.5で溶出した。溶出された液を2.5Mトリス(pH8.0)で直ちに中和した。MAb425−CH1−IL−8を含むフラクションを集めて、濃縮して、PBSに対して透析した。 【0066】 Fab425−ケモカインおよびFv−ケモカイン融合タンパク質発現のための原核細胞発現ベクターの構築 FvフラグメントをGlockshuberら(Biochemistry 29, 1362-1367, 1990)の記述にしたがって作出した。軽鎖、ならびに重鎖Fdフラグメント、またはFvフラグメントをコードするDNA配列を、pSW1ベクターのマルチプル・クローニング部位に導入した。成熟型の軽鎖コード配列、および重鎖成熟コード配列、およびFvコード配列は、細菌性pelB遺伝子のリーダーペプチドの後に位置する。重鎖コード配列は、NcoI(3’末端)部位を含む。ケモカインをコードするcDNAをPCRによって修飾して、NcoI(5’末端)およびNotI(3’末端)またはEcoRI(Fv融合のため)制限部位を導入した。読み枠を揃えて、ケモカイン遺伝子を重鎖のCH1ドメインまたはFvフラグメントに直接に融合させた。別法として、(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)x(xは1〜4の数値)などのリンカーペプチドをCH1ドメインとケモカイン遺伝子との間に導入することができる。これらのリンカーおよびそれらの調製法については文献で公知である(例えば、Curtis et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 88, 5809, 1991)。 【0067】 これらのベクターによって、機能的F(ab’)(=CH1)およびFvケモカイン融合タンパク質の大腸菌における効率的な発現が可能になる。軽鎖および重鎖−ケモカイン融合タンパク質は、誘導性lacプロモーターのコントロール下にある単一のジシストロンメッセンジャーRNA(Skerra and Plueckthun, Science, 242, 1038-1040, 1988)上に位置する。したがって、Fab/Fv−融合タンパク質の発現は、培養条件の要求に従って誘導することができる。両タンパク質のジシストロンメッセンジャーRNAからの翻訳は等量のFd−ケモカイン融合タンパク質および軽鎖の合成にくみするので、その結果、機能性Fab/Fv−融合タンパク質への正しい組立の確率が大きくなる。二つのポリペプチドは大腸菌のペリプラズム中に分泌され、ここで折り畳み、ジスルフィド結合の形成および機能性Fab425−CH1/Fv融合タンパク質への組立がなされる。細菌培養の延長によって、大腸菌の外膜が部分的に透過性となり、タンパク質は培養培地中に分泌される。 【0068】 MAb425免疫抱合体の結合特性 MAb425免疫抱合体の結合特性を、EGFレセプター特異性ELISAによって決定した。すなわち、マイクロタイタープレートを、精製EGFレセプターを用いて4℃で一晩被覆した。プレートを、融合タンパク質を含む上清または非抱合MAbフラグメントを含む上清ともにインキュベートした。プレートを洗浄して非結合物質を除去してから、ペルオキシダーゼと抱合させたヤギ抗ヒトIgGおよびIgM(重鎖および軽鎖)、次いで基質とともにインキュベートすることによって、EGFレセプターに結合した抗体を検出した。結合したEGFレセプター特異性タンパク質の量を490nmで測定して決定した。 【0069】 MAb425−IL−8免疫抱合体の生物学的活性 エフェクター細胞の単離 生物学的活性を決定するために、新鮮ヒト末梢血好中顆粒球を健康な供血者からの全血からHaslettら(Am. J. Pathol., 119, 101-110, 1985)が既述した方法で分離した。血漿を遠心分離して、赤血球をデキストラン沈澱によって分離して、最後に、リンパ球および白血球をパーコール勾配遠心分離によって分離した。分離した好中球を直ちに使用した。 【0070】 走化能の決定 走化性の決定はFalkら(J. Immunol. Methods, 33, 239-247, 1980)の記述に従って行った。すなわち、48ウェル・ボイデンチャンバーおよび5μmメンブレンを用いた。精製した好中球を、DMEM培地(DMEM、1%ペニシリン、1%ストレプトマイシン、10%FCS、2mM L−グルタミン、1mM ピルビン酸ナトリウム、10mM HEPES)に1×106細胞/mlの濃度で再懸濁した。下方のウェルに上清または対照上清を含む融合タンパク質を入れて、メンブレンで被覆して、最後に上方のウェルに細胞懸濁液を加える。37℃で30分間インキュベーションした後、メンブレンを除去して、2%グルタルジアルデヒド中で10分間固定した。次いで、メンブレンに付着した細胞をウェイゲルトの鉄ヘマトキシリン(シグマ診断薬)中で3分間染色した。メンブレンに結合した細胞数を顕微鏡下で決定した。 【0071】 好中球における酵素放出誘導能の決定 免疫抱合体の好中球での顆粒放出誘導能を評価するために、上清中のミエロペルオキシダーゼ活性をモニターした(Henson et al., J. Immunol., 121, 851, 1978)。アッセイは、96ウェル・マイクロタイタープレート中で5×105細胞/ウェルを用いて行った。刺激剤とともにインキュベート(37℃)した後、プレートを遠心分離して、無細胞上清を別の96ウェル・マイクロタイタープレートに移した。無細胞上清をジアニシジン(基質として)とともにインキュベートして、吸光度を492nmで測定した。陽性の対照として、FMLPを10-7M濃度で用いた。全酵素含量を決定するために、トリトンを用いて、刺激剤なしの細胞を溶解した。活性を全酵素含量(溶解)に対するパーセントとして算出した。 【0072】 スーパーオキシド放出能の決定 チトクロムCをO2-で還元して、その吸光度を変化させる。吸光度の変化は、スパーオキシド活性の推定のための有用なマーカーとなる。アッセイはGuthrieら(J. Exp. Med., 160, 1656-1671, 1984)の記述に従って、5×105細胞/ウェルを用いて96ウェル・マイクロタイタープレート中で行った。刺激剤およびチトクロムCとともにインキュベートした後、プレートを遠心分離して、上清の吸光度を550nmで決定した。 【0073】 さらなる免疫抱合体 上記のようにして、ケモカイン成分としてMIP−2αおよびMIP−2βを含んでなる抗EGFR−CH1、−CH2、−CH3および−Fv免疫抱合体(制限部位およびリンカーを有するもの/有しないもの)を調製して試験した。これらの構築体は、IL−8誘導体と同様の性質を示す。 【0074】 免疫抱合体の治療的使用 本発明の免疫抱合体は、治療のためにヒト患者に投与することができる。したがって、本発明の目的は、上記および請求項に記載の少なくとも一つの融合タンパク質を活性組成分として、一つまたはそれ以上の薬剤学的に容認し得る担体、賦形剤または希釈剤とともに含んでなる薬剤調製物を提供することにある。 【0075】 通常、本発明の免疫抱合体は静脈注射によってまたは非経口的に投与される。一般に、免疫抱合体の投与量範囲は、所望の腫瘍抑制および腫瘍溶解効果が得られるに十分の量である。投与量は、患者の年齢、状態、性別、病気の程度に依存し、1日当たり1回またはそれ以上の投与において、0.1mg/kg〜200mg/kg、好ましくは0.1mg/kg〜100mg/kg/投与用量の範囲で、1日または数日間の投与とすることができる。 【0076】 非経口的投与のための調製物には、滅菌水性溶液または非水性溶液、懸濁液および乳濁液が含まれる。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、オレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルおよび当業者に公知のこれらの目的に適した他の溶媒があげられる。本発明の免疫抱合体は、生理学的に容認し得る担体からなる組成物において使用することができる。それら適当な担体の例としては、生理食塩水、PBS、リンゲル溶液または乳酸リンゲル溶液があげられる。保存剤および他の添加剤、例えば抗生物質、抗酸化剤およびキレート剤などを薬剤調製物に加えることも可能である。 【0077】 本発明の薬剤調製物は、メラノーマ、神経膠腫および癌腫、さらに血液腫瘍および固形腫瘍を含むあらゆる種類の腫瘍の治療に適している。 【0078】 (図面および表についての説明) 表1 真核細胞発現のための融合タンパク質を作出するための、NcoIまたはBclI部位を生成するためのPCRに使用するプライマーの配列を示す。 【0079】 図1 抗体−サイトカイン免疫抱合体のモデルを示す説明図である。 C=サイトカイン;VH=重鎖可変部;VL=軽鎖可変部;CH=重鎖定常部;CL=軽鎖定常部 図2 COS−7トランスフェクション上清中のMAb425を、抗EGF−R ELISAによって示した図である。 四角:MAb425−CH3上清 三角:MAb425−CH2−(NcoI)−IL−8上清 逆三角:MAb425−CH2−(BclI)−IL−8上清 丸:pHCMV上清 横軸:上清に対する希釈倍率 縦軸:490nmにおける吸光度 図3 COS−7トランスフェクション上清による走化性の誘導を示す図である。 カラム1:対照 DMEM/PS カラム2:非希釈pHCMV上清 カラム3:MAb425−CH3上清 1:14希釈(EGF−R−ELISAの結果による) カラム4:MAb425−CH3上清 1:28希釈(EGF−R−ELISAの結果による) カラム5:非希釈MAb425−CH2−(BclI)−IL−8上清(1.76×10-10モル/L*) カラム6:MAb425−CH2−(BclI)−IL−8上清 1:2希釈 カラム7:非希釈MAb425−CH2−(NcoI)−IL−8上清(2.0×10-10モル/L*) カラム8:MAb425−CH2−(NcoI)−IL−8上清 1:2希釈 * IL−8濃度をELISA(アメルシャム)によって決定 縦軸:計数フィールド当たりの細胞数 図4 精製IL−8による走化性の誘導を示す図である。 縦軸:計数フィールド当たりの細胞数 横軸:IL−8濃度(モル/L) 図5 MAb425−CH1−IL−8(大腸菌)による走化性の誘導を示す図である。 丸:大腸菌中で発現されたMAb425−CH1−IL−8 四角:大腸菌中で発現されたMAb425−F(ab’) 三角:対照デュルベッコ培地/BSA 縦軸:計数フィールド当たりの細胞数 横軸:濃度(モル/L) 図6 COS−7トランスフェクション上清によるスーパーオキシド放出の誘導を示す図である。 カラム1:非刺激細胞 カラム2:IL−8 10-7M カラム3:非希釈MAb425−CH2−(NcoI)−IL−8上清(2.0×10-10モル/L*) カラム4:非希釈MAb425−CH2−(BclI)−IL−8上清(1.76×10-10モル/L*) カラム5:非希釈MAb425−CH3上清(0 モル/L*) * IL−8濃度は、ELISA(アメルシャム)によって決定した。 縦軸:550nmにおける吸光度 図7 COS−7トランスフェクション上清によるMPO放出の誘導を示す図である。 カラム1:非刺激細胞 カラム2:シトカラシンB刺激細胞 カラム3:IL−8 10-7M カラム4:非希釈MAb425−CH3上清 カラム5:MAb425−CH3上清1:2希釈 カラム6:非希釈MAb425−CH2−(NcoI)−IL−8上清 カラム7:MAb425−CH2−(NcoI)−IL−8上清 1:2希釈 カラム8:非希釈MAb425−CH2−(BclI)−IL−8上清 カラム9:MAb425−CH2−(BclI)−IL−8上清 1:2希釈 縦軸:全MPO量(100%)と比較した%MPO活性 [配列表] (1)一般的情報 (i)出願者 (A)名称:メルク・パテントGmbH (B)町名:フランクフルター・ストリート250 (C)都市:ダルムシュタット (E)国名:ドイツ(F)郵便番号(ZIP):64271 (G)電話:49−6151−727022 (I)テレファックス:49−6151−727191 (ii)発明の名称:免疫抱合体II (iii)配列の数:8 (iv)コンピュータ解読型 (A)媒体:フロッピーディスク (B)コンピュータ:IBM・PC互換機 (C)オペレーティング・システム:PC−DOS/MS−DOS (D)ソフトウェア:PetentIn Release #1.0、バージョン#1.30(EPO) (2)配列ID番号1に関する情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:17塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:cDNA (iii)仮定:無 (iv)アンチセンス:無 (v)フラグメント型:N末端 (vi)起源: (A)生物:c−ガンマ1 5’プライマー (B)菌株:大腸菌 (xi)配列:配列ID番号1: CAGGAAACAG CTATGAC 17 (2)配列ID番号2に関する情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:30塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:cDNA (iii)仮定:無 (iv)アンチセンス:無 (v)フラグメント型:N末端 (vi)起源: (A)生物:c−ガンマ1 3’プライマー (B)菌株:大腸菌 (xi)配列:配列ID番号2: TGATCCATGG CTTTGGAGAT GGTTTTCTCG 30 (2)配列ID番号3に関する情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:27塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:cDNA (iii)仮定:無 (iv)アンチセンス:無 (v)フラグメント型:N末端 (vi)起源: (A)生物:IL−8 5’プライマー (B)菌株:大腸菌 (xi)配列:配列ID番号3: GATCTACCTG CCATGGGTGC TAAAGAA 27 (2)配列ID番号4に関する情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:17塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:cDNA (iii)仮定:無 (iv)アンチセンス:無 (v)フラグメント型:N末端 (vi)起源: (A)生物:IL−8 3’プライマー (B)菌株:大腸菌 (xi)配列:配列ID番号4: GTAAAACGAC GGCCAGT 17 (2)配列ID番号5に関する情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:17塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:cDNA (iii)仮定:無 (iv)アンチセンス:無 (v)フラグメント型:N末端 (vi)起源: (A)生物:c−ガンマ1 5’プライマー (B)菌株:大腸菌 (xi)配列:配列ID番号5: CAGGAAACAG CTATGAC 17 (2)配列ID番号6に関する情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:30塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:cDNA (iii)仮定:無 (iv)アンチセンス:無 (v)フラグメント型:N末端 (vi)起源: (A)生物:c−ガンマ1 3’プライマー (B)菌株:大腸菌 (xi)配列:配列ID番号6: CGCGTGATCA CTTTGGCTTT GGAGATGGTT 30 (2)配列ID番号7に関する情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:30塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:cDNA (iii)仮定:無 (iv)アンチセンス:無 (v)フラグメント型:N末端 (vi)起源: (A)生物:IL−8 5’プライマー (B)菌株:大腸菌 (xi)配列:配列ID番号7: CTCGTGATCA AAGAACTTAG ATGTCAATGC 30 (2)配列ID番号8に関する情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:17塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)分子の種類:cDNA (iii)仮定:無 (iv)アンチセンス:無 (v)フラグメント型:N末端 (vi)起源: (A)生物:IL−8 3’プライマー (B)菌株:大腸菌 (xi)配列:配列ID番号8: GTAAAACGAC GGCCAGT 17 【産業上の利用可能性】 【0080】 本発明の免疫抱合体は治療的使用に適している。本発明の免疫抱合体は、腫瘍の治療に適している。 【図面の簡単な説明】 【0081】 【図1】抗体−サイトカイン免疫抱合体のモデルを示す説明図である。 【図2】COS−7トランスフェクション上清中におけるMAb425を、抗EGF−R ELISAによって示した図である。 【図3】COS−7トランスフェクション上清による走化性の誘導を示す図である。 【図4】精製IL−8による走化性の誘導を示す図である。 【図5】MAb425−CH1−IL−8(大腸菌)による走化性の誘導を示す図である。 【図6】COS−7トランスフェクション上清によるスーパーオキシド放出の誘導を示す図である。 【図7】COS−7トランスフェクション上清によるMPO放出の誘導を示す図である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591032596 【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング 【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung 【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
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| 【出願日】 |
平成17年11月17日(2005.11.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100123788 【弁理士】 【氏名又は名称】宮崎 昭夫
【識別番号】100106138 【弁理士】 【氏名又は名称】石橋 政幸
【識別番号】100120628 【弁理士】 【氏名又は名称】岩田 慎一
【識別番号】100127454 【弁理士】 【氏名又は名称】緒方 雅昭
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| 【公開番号】 |
特開2006−117684(P2006−117684A) |
| 【公開日】 |
平成18年5月11日(2006.5.11) |
| 【出願番号】 |
特願2005−332965(P2005−332965) |
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