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【発明の名称】 イチョウ葉抽出物含有組成物
【発明者】 【氏名】高垣 欣也
【住所又は居所】福岡県福岡市博多区博多駅前2丁目19番27号 株式会社東洋新薬内

【要約】 【課題】イチョウ葉抽出物の有する生理活性が増強された組成物を提供すること。

【解決手段】本発明は、イチョウ葉抽出物と、イチョウ以外の植物から得られるプロアントシアニジンとを含む組成物を提供する。好ましくは、プロアントシアニジンがプロシアニジンである。さらに好ましくは、プロアントシアニジンが松樹皮由来である。本発明の組成物は、イチョウ葉抽出物が有する生理活性(例えば、血流改善作用および体脂肪低減作用)が増強されている。この生理活性増強効果は、経口投与および経皮投与のいずれにおいても得られる。本発明の組成物は、例えば、飲料としても利用でき、外用剤としても利用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イチョウ葉抽出物と、イチョウ以外の植物から得られるプロアントシアニジンとを含む、組成物。
【請求項2】
前記プロアントシアニジンが、プロシアニジンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記プロアントシアニジンが、松樹皮由来である、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、イチョウ葉抽出物と、イチョウ以外の植物から得られるプロアントシアニジン(proanthocyanidin)とを含む組成物に関する。この組成物は、イチョウ葉抽出物の製造時に大幅に消失するプロアントシアニジンを外来の成分として添加することにより、イチョウ葉抽出物の生理活性が増強されている。
【背景技術】
【0002】
イチョウ葉の抽出物は、血管拡張作用、血行改善作用、これらに伴う細胞賦活作用、育毛作用などの多くの生理作用を有することが報告されており、欧州、特にドイツにおいて医薬品として用いられている。イチョウ葉抽出物には、一般に、アレルギー物質であるギンコール酸などの有害物質が含まれている。そのため、イチョウ葉抽出物の製造方法においては、これらの有害物質を除去する工程を含む種々の方法が採用されている(例えば、特許文献1〜4)。
【0003】
しかし、上記方法の有害物質を除去する工程、例えば、アルカリによる分解処理は、同時にイチョウ葉抽出物の有効成分をも除去する。特に、イチョウ葉に含まれるプロアントシアニジンの一種であるプロデルフィニジンは、過去に有害物質とみなされていたこともあり、処理後に得られるイチョウ葉抽出物にはほとんど含有されていない。
【特許文献1】特許第2503107号明細書
【特許文献2】特公平7−25687号公報
【特許文献3】特公平7−76176号公報
【特許文献4】特許第2717178号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来のイチョウ葉抽出物では、イチョウ葉が有する生理活性を十分に発揮していないという問題に対して、生理活性が増強されたイチョウ葉抽出物含有組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、イチョウ葉抽出物と、プロアントシアニジン、特にイチョウ以外の植物から得られるプロアントシアニジンとを組み合わせることにより、イチョウ葉抽出物が有する生理活性が増強されることを見出して本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明の組成物は、イチョウ葉抽出物と、イチョウ以外の植物から得られるプロアントシアニジンとを含む。
【0007】
好ましい実施態様においては、上記プロアントシアニジンは、プロシアニジンである。
【0008】
更に好ましい実施態様においては、上記プロアントシアニジンは、松樹皮由来である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、イチョウ葉抽出物とイチョウ以外の植物から得られるプロアントシアニジンとを組み合わせることにより、例えば、血流改善作用や体脂肪低減作用などのイチョウ葉抽出物が有する生理活性が増強される。特に、イチョウ葉抽出物と松樹皮抽出物とを含む組成物が好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のイチョウ葉抽出物、イチョウ以外の植物から得られるプロアントシアニジン、および必要に応じてその他の成分を含む組成物(以下、単に組成物という)について説明する。なお、以下に説明する構成は、本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができることは当業者に明らかである。
【0011】
(イチョウ葉抽出物)
本発明の組成物に含まれるイチョウ葉抽出物は、当業者が通常用いる方法で得られるイチョウ葉抽出物であればよく、特に制限されない。一般的には、イチョウの緑葉を乾燥、粉末化し、水あるいはエタノール、アセトン、酢酸エチルなどの有機溶媒で抽出し、さらにアルカリ処理または吸着剤処理により、有害物質(ギンコール酸、アルキルフェノールなど)を除去して得られる。安全性の面から、ギンコール酸およびアルキルフェノールの含有量はいずれも好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下である。
【0012】
上記イチョウ葉抽出物には、一般にフラボノイド配糖体(ケンフェロール、ケルセチン、イソラムネチンなど)、テルペノイド(テルペンラクトン)、シキミ酸、カルボン酸などの生理活性物質が含まれている。特にフラボノイド配糖体およびテルペノイドは、血管拡張作用、血小板凝集作用、抗炎症作用、血流改善作用などの優れた生理活性を有する。イチョウ葉抽出物は、上記有害物質除去工程で残存したプロアントシアニジンとしてプロデルフィニジンを含有していてもよい。
【0013】
上記イチョウ葉抽出物は、その生理活性を十分に発揮するために、フラボノイド配糖体を10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは15質量%〜60質量%含有する。
【0014】
(プロアントシアニジン)
本発明の組成物には、イチョウ以外の植物から得られるプロアントシアニジンが含まれる。本明細書において、プロアントシアニジンとは、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群をいう。プロアントシアニジンは、抗酸化作用などの種々の活性を有することが知られている。このようなプロアントシアニジンとしては、イチョウ葉抽出物には含有されないプロアントシアニジン、例えば、プロシアニジン、プロペラルゴニジンなどが挙げられる。好ましくはプロシアニジンである。プロシアニジンとは、プロアントシアニジンのうち、酸分解によりシアニジンのみを生じる化合物群をいう。
【0015】
本発明の組成物に含まれるプロアントシアニジンは、重合度の低い縮重合体を多く含むことが好ましい。重合度の低い縮重合体としては、重合度が2〜30の縮重合体(2〜30量体)が好ましく、重合度が2〜10の縮重合体(2〜10量体)がより好ましく、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)がさらに好ましい。この重合度が2〜4の縮重合体を、オリゴメリック・プロアントシアニジン(oligomeric proanthocyanidin;OPC)という。プロアントシアニジン、特にOPCは、ポリフェノールの一種で、植物が作り出す強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果物の皮もしくは種の部分に集中的に含まれている。プロアントシアニジン、特にOPCは、具体的には、ブドウ、松の樹皮、ピーナッツの薄皮、ニセアカシアの果実、コケモモ、ブルーベリー、イチゴ、アボガド、大麦、小麦、大豆、黒大豆、カカオなどに含まれている。また、西アフリカのコーラナッツ、ペルーのラタニアの根にも、OPCが含まれることが知られている。OPCは、ヒトの体内では、生成することのできない物質である。
【0016】
特に、OPC含有量が高いプロアントシアニジンまたはOPC含有量が高いプロアントシアニジンを含む抽出物を用いると、重合度の高いプロアントシアニジン(OPC含有量が低いもの)を用いた場合と対比して、優れた血流改善効果が得られる。
【0017】
OPCは、抗酸化物質であるため、摂取することによりガン・心臓病などの成人病の危険率を低下する効果、関節炎・アトピー性皮膚炎・花粉症などのアレルギー体質の改善効果、コラーゲンの酸化または分解の阻害効果などが得られる。さらに抗酸化効果のほか、血管の強度や弾力性を回復させる効果;血中コレステロールおよびLDLを低下させる効果;高血圧症患者に対して血圧を低下させる効果;コレステロールが付着することを防止する効果;活性酸素によって分解されたビタミンEを再生させる効果;ビタミンEの増強剤としての効果などが得られることが知られている。また、OPCは、体内でのビタミンCの吸収や体内での持続力を飛躍的に向上させ、相乗的に体内の抗酸化力を高める作用も有する。
【0018】
本発明の組成物に含有されるプロアントシアニジンとしては、上記植物の樹皮、果実、もしくは種子の粉砕物、またはこれらの抽出物のような食品原料を使用することができる。これらの中で、上記の植物抽出物を用いることが好ましく、特に、松樹皮からの抽出物(松樹皮抽出物)が好適に用いられる。松樹皮は、プロアントシアニジンの中でもOPCに富むため、本発明においてプロアントシアニジンの原料として好ましく用いられる。
【0019】
以下、OPCを豊富に含む松樹皮抽出物を例に挙げて、プロアントシアニジンを主成分とする抽出物の調製方法を説明する。
【0020】
松樹皮抽出物としては、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、カナダのケベック地方アネダなどのマツ目に属する植物の樹皮の抽出物が好ましく用いられる。中でも、フランス海岸松(Pinus Martima)の樹皮抽出物が好ましい。
【0021】
フランス海岸松は、南仏の大西洋沿岸の一部に生育している海洋性松をいう。このフランス海岸松の樹皮は、プロアントシアニジン、有機酸、ならびにその他の生理活性成分などを含有し、その主要成分であるプロアントシアニジンに、活性酸素を除去する強い抗酸化作用があることが知られている。
【0022】
松樹皮抽出物は、上記の松樹皮を水または有機溶媒で抽出して得られる。水を用いる場合には、好ましくは温水または熱水が用いられる。抽出に用いる有機溶媒としては、食品あるいは薬剤の製造に許容される有機溶媒が用いられ、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および1,1,2−トリクロロエテンが挙げられる。これらの水および有機溶媒は単独で用いてもよいし、組合わせて用いてもよい。特に、熱水、含水エタノール、および含水プロピレングリコールが好ましく用いられる。
【0023】
松樹皮からプロアントシアニジンを抽出する方法は、特に限定されない。例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法などが用いられる。
【0024】
超臨界流体抽出法は、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)などが用いられ、二酸化炭素が好ましく用いられる。
【0025】
超臨界流体抽出法は、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程および目的成分と超臨界流体とを分離する分離工程からなる。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、または吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
【0026】
抽出は、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることが可能となる。
【0027】
本発明の組成物においてプロアントシアニジンとして代表的に用いられる上記の原料植物からの抽出物(特に松樹皮抽出物)は、上述のとおり、重合度が低い縮重合体、特にOPCを多く含むものが好ましい。OPCを好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上含有するプロアントシアニジンまたは植物抽出物が好適に用いられる。このようなプロアントシアニジンとして、松樹皮抽出物が好ましく用いられる。
【0028】
また、松樹皮抽出物の場合は、イチョウ葉抽出物の生理活性を増強する作用が強い点で、抽出物中のプロアントシアニジン含有量が、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。このような松樹皮抽出物は、例えば、プロアントシアニジンを95質量%以上含む松樹皮抽出物に比べて、イチョウ葉抽出物の生理活性を高めることができる。
【0029】
原料植物由来のプロアントシアニジン、特に植物抽出物には、OPCとともにカテキン(catechin)類が含まれることが好ましい。カテキン類とは、ポリヒドロキシフラバン−3−オールの総称である。カテキン類としては、(+)−カテキン(狭義のカテキンといわれる)、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、アフゼレキンなどが知られている。天然物からは、上記の(+)−カテキンの他、ガロカテキン、アフゼレキン、ならびに(+)−カテキンまたはガロカテキンの3−ガロイル誘導体が単離されている。
【0030】
カテキン類には、発癌抑制効果、動脈硬化予防効果、脂肪代謝異常の抑制効果、血圧上昇の抑制効果、血小板凝集抑制効果、抗アレルギー効果、抗ウイルス効果、抗菌効果、虫歯予防効果、口臭防止効果、腸内細菌叢正常化効果、活性酸素やフリーラジカルの消去効果、抗酸化効果などがあることが知られている。また、カテキン類には、血糖の上昇を抑制する抗糖尿病効果があることが知られている。また、カテキン類は、単独では水溶性が乏しく、その生理活性が低いが、OPCの存在下で水溶性が増すと同時に、活性化する性質があり、OPCとともに摂取することで効果的に作用する。
【0031】
カテキン類は、上記原料植物抽出物に、5質量%以上含有されていることが好ましい。より好ましくは、OPCを20質量%以上含有する原料植物抽出物に、カテキン類が5質量%以上含有されるように調製される。例えば、松樹皮抽出物のカテキン類含量が5質量%未満の場合、カテキン類含量が5質量%以上となるように添加してもよい。カテキン類を5質量%以上含有し、かつOPCを20質量%以上含有する松樹皮抽出物を用いることが最も好ましい。
【0032】
(その他の成分)
本発明の組成物に必要に応じて含まれ得るその他の成分としては、アスコルビン酸またはその誘導体、血流を改善し得る成分、添加剤などが挙げられる。
【0033】
上記アスコルビン酸またはその誘導体は、本発明のOPCの効果をより効率よく発揮させる目的で含有され得る。本発明の組成物に含有されるアスコルビン酸としては、食品添加物として用いられるアスコルビン酸またはその誘導体、例えば、アスコルビン酸グリコシド、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸マグネシウムなどが用いられる。アスコルビン酸を豊富に含む天然素材(例えば、レモン、オレンジ、アセロラなどの果実由来の天然素材、あるいは、ブロッコリー、メキャベツ、ピーマン、コマツナ、カリフラワーなどの野菜由来の天然素材)も、本発明においてアスコルビン酸として用いることができる。
【0034】
アスコルビン酸を上記OPCとともに摂取すると、アスコルビン酸の吸収率や生理活性の持続性が高くなることが知られている。本発明の組成物は、血管の保護、特に血管の柔軟性と強度の増強や血中のコレステロールを低下させる目的で、アスコルビン酸またはその誘導体を含むことが好ましい。特に、アスコルビン酸は、血管だけでなくあらゆる組織の構成タンパク質であるコラーゲンの合成を促進する作用、ストレス(特に、酸化ストレス)を軽減する作用、抗血栓作用、および免疫力を高める作用があることが知られているため、血管保護や血液の流動性の改善効果だけでなく、生体内全体の組織を改善する効果が得られる。
【0035】
上記血流を改善し得る成分としては、例えば、黒酢や梅肉およびそれらのエキス、タマネギ、ニンニクなどに含まれる含硫有機化合物またはその抽出物、ダッタン、キチン・キトサンおよびその誘導体、グルコサミン塩およびその誘導体、ヘスペリジン、ケルセチンまたはルチンおよびこれらの誘導体、ビタミンB群、ビタミンE、ビタミンKなどのビタミン類、水溶性食物繊維などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
特に、血糖値、血中脂質、および高血圧を抑制する作用、抗血栓作用、血中のコレステロールを低下させる作用などを増強する目的には、上記含硫有機化合物、ビタミンK、ビタミンE、キチン・キトサンおよびその誘導体が用いられ得る。血管の保護作用および抗酸化作用の増強のためには、ヘスペリジン、ケルセチン、ルチン、およびこれらの誘導体が用いられ得る。
【0037】
上記添加剤としては、例えば、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、滑沢剤、湿潤剤、懸濁剤、着色料、香料、食品添加物、調味料などが挙げられる。本発明の組成物は、例えば、ローヤルゼリー、ビタミン、プロテイン、卵殻カルシウムなどのカルシウム、レシチン、クロレラ末、アシタバ末、モロヘイヤ末などの栄養成分を含んでいてもよく、あるいはステビア末、抹茶パウダー、レモンパウダー、はちみつ、還元麦芽糖、乳糖、糖液などを含んでいてもよい。
【0038】
(本発明の組成物)
本発明における組成物は、イチョウ葉抽出物、イチョウ以外の植物から得られるプロアントシアニジン、および必要に応じてその他の成分を含有する。特にイチョウ葉抽出物と松樹皮抽出物とを含む組成物が好適である。本発明の組成物は、経口投与および経皮投与のいずれにおいても、イチョウ葉抽出物の持つ生理活性、例えば血流改善作用を増強する。これらの増強された生理活性は、イチョウ葉抽出物単独、あるいはプロアントシアニジン単独に比べて特に優れている。
【0039】
本発明の組成物中のイチョウ葉抽出物の含有量は特に制限されないが、組成物中に好ましくは0.0001質量%〜50質量%、より好ましくは0.001質量%〜30質量%である。また、イチョウ葉抽出物の成人の一日あたりの経口摂取量が、10mg〜500mg、好ましくは20mg〜400mgとなるように用いることで、イチョウ葉抽出物の持つ生理活性を得ることができる。また、経皮投与の場合は、局所的に塗布することが可能であるため、一回当たりに0.0001質量%〜10質量%、好ましくは0.001質量%〜5質量%となるように調整した外用剤の形態とし、これを塗布することで効果を得ることができる。
【0040】
本発明の組成物中のイチョウ以外の植物から得られるプロアントシアニジンの含有量は特に制限されない。好ましくは、イチョウ葉抽出物1質量部に対して、乾燥質量で0.1質量部〜100質量部、好ましくは1質量部〜70質量部の割合とすることにより、イチョウ葉より除去された成分を補うことができ、また、イチョウ葉の持つ生理活性を増強することができる。
【0041】
本発明の組成物中に、アスコルビン酸またはその誘導体が含有される場合は、その含有量に特に制限はない。好ましくは、プロアントシアニジンとアスコルビン酸またはその誘導体とが質量比で1:0.1〜50、より好ましくは1:0.2〜20となるように、本発明の組成物に含有される。
【0042】
本発明の組成物は、上記の各成分に対して当業者が通常行う加工方法により、各種の形状に調製することができる。例えば、イチョウ葉抽出物および松樹皮抽出物に賦形剤などを加えて、錠剤もしくは丸剤などの形状に成形してもよく、あるいは、散剤の形態や、ハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル剤、ガム、粉末状、顆粒状、ティーバッグ状、飴状、液体、ペースト状などの形態としてもよい。
【0043】
本発明の組成物の摂取方法は、特に限定されない。本発明の組成物は、その形状または好みに応じて、そのまま飲食しても良いし、水、湯、牛乳などに溶いて飲んでも良いし、あるいは成分を浸出させたものを飲んでも良い。
【0044】
本発明の組成物を経皮投与する場合、例えば、外用剤として利用される。外用剤としては、軟膏や化粧水、化粧クリーム、乳液、パック、ジェル、ヘアートニック、シャンプー、口紅、シップなどの当業者が用いる形態が挙げられる。
【実施例】
【0045】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明がこれらの実施例により制限されないことはいうまでもない。
【0046】
(実施例1:錠剤の製造)
プロシアニジンを40質量%以上(OPCとして20質量%以上)含有し、かつカテキンを5質量%以上含有する松樹皮のエタノール抽出物(株式会社東洋新薬製)、イチョウ葉抽出物(丸善製薬株式会社)、結晶セルロース、ショ糖エステル、二酸化ケイ素、および卵殻カルシウムを、以下の表1に記載の量(質量部)で含む錠剤(1錠当たり、約200mg)を製造した。これを食品1とする。
【0047】
(実施例2:錠剤の製造)
既知の方法(特開昭61−136491号公報)を用いて、実施例1で用いた松樹皮抽出物からプロシアニジンの2量体を分離した。松樹皮抽出物の代わりに、上記プロシアニジンの2量体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして錠剤を製造した。これを食品2とする。
【0048】
(比較例1:錠剤の製造)
松樹皮抽出物の代わりに、茶抽出物(太陽化学社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして錠剤を製造した。これを食品3とする。
【0049】
(比較例2:錠剤の製造)
松樹皮抽出物を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして錠剤を製造した。これを食品4とする。
【0050】
(比較例3:錠剤の製造)
イチョウ葉抽出物を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして錠剤を製造した。これを食品5とする。
【0051】
(血流改善効果の評価)
上記の食品1〜5を用いて、血流改善効果の評価を以下のようにして行った。まず、1群6名のボランティアの血流量を測定した(摂取前の血流量とする)。次いで、各群のボランティアに上記食品1〜5をそれぞれ1錠摂取させ、摂取1時間後に再度血流量を測定した(摂取後の血流量とする)。なお、血流量の測定は、血流計(レーザー血流画像化装置PIM II;Sweden Permied社)を用いて右前腕部の皮下の血流量を測定することによって行った。摂取後の血流量の値と摂取前の血流量の値との差を算出し、血流改善効果を評価した。結果を表1に示す。表の値は、平均値±標準誤差であり、平均値が大きいほど、血流量が多いことを示す。
【0052】
【表1】


【0053】
表1より、食品1および2を摂取した群は、イチョウ葉抽出物およびプロアントシアニジンのいずれか一方しか含まない食品3〜5に比べて血流量が増加していることがわかる。このことは、イチョウ葉抽出物とプロアントシアニジンとを含む場合、イチョウ葉抽出物の持つ生理活性が増強されたことを示す。特に、精製したプロシアニジンではなく、松樹皮抽出物をそのまま用いた食品1が高い血流改善効果を示した。したがって、松樹皮抽出物とイチョウ葉抽出物とを含むことにより、イチョウ葉抽出物の生理活性がさらに高められることが分かる。
【0054】
(体脂肪の低減効果および脂質吸収抑制効果に関する検討)
(1)試験飼料の調製
標準飼料(MF飼料、オリエンタル酵母工業株式会社)に、実施例1で使用したイチョウ葉抽出物、松樹皮抽出物(プロアントシアニジンを70質量%含有、OPCを40質量%含有、株式会社東洋新薬社製)、牛脂、およびグラニュー糖を添加して、イチョウ葉抽出物を2質量%、松樹皮抽出物を2質量%、牛脂を40質量%、およびグラニュー糖を9質量%含有する飼料を調製した。これを試験飼料1とする。
【0055】
イチョウ葉抽出物を添加しなかったこと以外は、上記試験飼料1の調製と同様にして、松樹皮抽出物を2質量%、牛脂を40質量%、およびグラニュー糖を9質量%含有する飼料を調製した。これを比較飼料1とする。
【0056】
松樹皮抽出物の代わりに、茶抽出物(太陽化学社製)を添加したこと以外は、上記試験飼料1の調製と同様にして、イチョウ葉抽出物を2質量%、茶抽出物を2質量%、牛脂を40質量%、およびグラニュー糖を9質量%含有する飼料を調製した。これを比較飼料2とする。
【0057】
松樹皮抽出物を添加しなかったこと以外は、上記試験飼料1の調製と同様にして、イチョウ葉抽出物を2質量%、牛脂を40質量%、およびグラニュー糖を9質量%含有する飼料を調製した。これを比較飼料3とする。
【0058】
イチョウ葉抽出物および松樹皮抽出物を添加しなかったこと以外は、上記試験飼料1の調製と同様にして、牛脂を40質量%およびグラニュー糖を9質量%含有する飼料を調製した。これを比較飼料4(対照飼料)とする。
【0059】
(2)マウスの準備
7週齢の雌性のICR系マウス35匹に標準飼料(MF飼料、オリエンタル酵母工業株式会社)を与えて1週間馴化した。次に、群間の平均体重が均一となるようにしたこと以外はランダムに、1群7匹の5群に分けた。
【0060】
(3)飼料摂取後の体重増加率、皮下脂肪、内臓脂肪、および中性脂肪の測定
各群のマウスに、試験飼料1および比較飼料1〜4をそれぞれ自由摂取させた。自由摂取開始から25日目に体重を測定した。得られた体重値から、以下の式1を用いて体重増加率(%)を算出した。
【0061】
【数1】


【0062】
次いで、皮下脂肪量を実験動物用X線CT(商品名:LATheata、アロカ社製)を用いて測定した。さらに、各群のマウスの眼底より採血し、血中の中性脂肪値を、中性脂肪測定キット(トリグリセライドG−テストワコー、和光純薬株式会社製)を用いて測定した。また、採血後、マウスを屠殺して解剖を行い、後腹膜脂肪および子宮周囲脂肪を摘出して合計の重量(内臓脂肪量)を測定した。結果を表2に併せて示す。
【0063】
【表2】


【0064】
表2の結果から、イチョウ葉抽出物と松樹皮抽出物とを含有する試験飼料1を摂取した群は、比較飼料1〜4を摂取した群に比べて、内臓脂肪量および皮下脂肪量が少なかった。このことから、本発明の組成物が、優れた内臓脂肪や皮下脂肪などの体脂肪の蓄積抑制効果または体脂肪の低減効果を有することが分かる。また、試験飼料1においては、体重の増加が抑制される傾向がみられた。
【0065】
さらに、イチョウ葉抽出物と松樹皮抽出物とを含有する試験飼料1においては、特に血中の中性脂肪が低く、血中のトリグリセライド低減効果にも優れていることがわかる。これは、イチョウ葉および松樹皮抽出物の脂質吸収抑制効果が相乗的に作用することによって血中の中性脂肪が低減したものと考えられる。
【0066】
(実施例3:飲料の製造)
下記の配合量で本発明の組成物である飲料(500mL)を製造した:
<配合成分(単位は質量%)>
イチョウ葉抽出物 0.004
松樹皮抽出物 0.02
アスコルビン酸ナトリウム 0.016
果糖 0.3
オレンジ果汁 1.0
【0067】
(実施例4:化粧水の製造)
下記の配合量で化粧水(外用剤)を調製した。なお、この化粧水を塗布して血流改善効果を調べたところ、表皮の血流改善効果が認められた:
<配合成分(単位は質量%)>
イチョウ葉抽出物 0.01
松樹皮抽出物 0.30
エチルアルコール 20.00
1,3−ブチレングリコール 10.00
アラントイン 0.20
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、イチョウ葉抽出物とイチョウ以外の植物から得られるプロアントシアニジンとを含む組成物は、イチョウ葉抽出物の有する生理活性(例えば、血流改善作用および体脂肪低減作用)が増強されている。この生理活性増強効果は、経口投与および経皮投与のいずれにおいても得られる。本発明の組成物は、食品、化粧品などとして有用である。
【出願人】 【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
【住所又は居所】福岡県福岡市博多区博多駅前2丁目19番27号 九勧リクルート博多ビル6階
【出願日】 平成17年9月12日(2005.9.12)
【代理人】 【識別番号】100104673
【弁理士】
【氏名又は名称】南條 博道

【公開番号】 特開2006−111617(P2006−111617A)
【公開日】 平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願番号】 特願2005−263931(P2005−263931)