| 【発明の名称】 |
抗癌性組成物およびそれを含有する食品 |
| 【発明者】 |
【氏名】山本 光章
【氏名】児玉 洋
【氏名】宮島 徹
【氏名】原田 敬一郎
【氏名】眞弓 久則
【氏名】渡邊 光彦
|
| 【要約】 |
【課題】癌細胞の増殖を抑制することができる抗癌性組成物を提供する。
【解決手段】腐植土の水性溶媒抽出液を含む抗癌性組成物、およびそれを含有する食品により、課題を解決する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 腐植土の水性溶媒抽出液を有効成分として含むことを特徴とする抗癌性組成物。 【請求項2】 腐植土の水性溶媒抽出液が、pH2.0〜3.0であり、ミネラルとしてカルシウム、鉄、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウムおよびケイ素を含有し、硫黄を1000〜1200 ppm含有することを特徴とする、請求項1に記載の抗癌性組成物。 【請求項3】 腐植土の水性溶媒抽出液が、 (1) 腐植土と水性溶媒の混合物を、pHが2.8以下、電気伝導度が400 mV以上になるまで攪拌および静置を繰り返し、 (2) 固形物を除去し、 (3) 得られた上清を周囲温度で長期間静置し、 (4) ろ過する 工程により得られるものである、請求項1または2に記載の抗癌性組成物。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗癌性組成物を含有することを特徴とする食品。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、腐植土から抽出された水性溶媒抽出液を有効成分として含むことを特徴とする抗癌作用を有する組成物、ならびにそれを含有する食品および医薬品に関する。 【背景技術】 【0002】 腐植土とよばれる土壌は、湿地帯や海底から得られ、動植物プランクトンの遺体などが堆積し、その組織的形状がみられない状態まで腐植されたものであることが知られている。腐植土にはフルボ酸、フミン酸や各種のミネラルが多く含まれている。また、腐植土から抽出された抽出液は殺菌作用を有することが知られており、従来、殺菌消臭剤などとして用いられていた。 【特許文献1】特開平7−492号公報 【特許文献2】特開平10−59861号公報 【特許文献3】特開平11−29423号公報 【特許文献4】特開平5−192666号公報 【特許文献5】特開平6−87752号公報 【特許文献6】特開昭63−84618号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 本発明者らは、腐植土から水性溶媒を用いて抽出した抽出液が、癌細胞の増殖を抑制する作用を有することを見出して、本発明を完成した。 【課題を解決するための手段】 【0004】 本発明は、腐植土の水性溶媒抽出液を有効成分として含む抗癌性組成物である。 本発明は、また、上記抗癌性組成物を含有する食品である。 本明細書において、「抗癌性」とは、癌細胞の増殖を抑制することができることを意味する。 【発明の効果】 【0005】 本発明の抗癌性組成物は、癌細胞の増殖を抑制することができるので、該組成物を直接、またはこれを含有する食品もしくは医薬を摂取することにより、癌を予防することができ、人体の健康を維持増進することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0006】 本発明において、腐植土の水性溶媒抽出液は、腐植土を水性溶媒で抽出して得られるものである。 腐植土とは、動植物プランクトンの遺体が堆積して微生物による分解を受けて生成した腐植物質を主体とするものである。この腐植物質は、微生物による分解、代謝などが繰り返されて形成されたものであり、種々の有機物、ミネラルなどを含むことが知られている。 本発明において用いられる腐植土は特に限定されないが、湿地帯の土壌表面から5〜30 mに存在する土壌、海底表面から0.5〜250 mに存在する土壌などを好ましく用いることができる。 【0007】 水性溶媒としては、水;希塩酸のような酸性水溶液;水性エタノールのような水性アルコールを用いることができる。水は、塩素を除去したものが好ましい。塩素を除去する方法としては特に限定されないが、常温で数日間放置する方法、アスコルビン酸などの還元剤を用いる方法、活性炭などの吸着剤を用いる方法などが挙げられる。水性溶媒のpHは特に限定されないが、pH6.0〜8.0の範囲のものが好ましく、より好ましくはpH 6.3〜7.5の範囲である。 【0008】 腐植土の水性溶媒抽出液を得る方法は特に限定されないが、以下の工程(1)〜(4)を含む方法が好ましい。 (1) 腐植土と水性溶媒の混合物を、pHが2.8以下、電気伝導度が400 mV以上になるまで処理し、 (2) 固形物を除去し、 (3) 得られた上清を周囲温度で長期間静置し、 (4) ろ過する。 【0009】 上記の工程(1)では、まず、水槽などの容器中で、腐植土に対して5〜10倍量(重量比)の水性溶媒を、攪拌しながら腐植土に加えて、懸濁物を得る。 次いで、得られた懸濁物を、周囲温度で処理する。本明細書において、周囲温度とは、20〜45℃、好ましくは25〜40℃、より好ましくは28〜35℃の温度である。 上記の処理は、攪拌および静置を繰り返すことにより行うのが好ましい。攪拌は、容器の底部に沈殿した腐植土が水性溶媒中に拡散される程度に行えばよく、連続的または断続的のいずれであってもよい。この処理は、懸濁物を静置して得られた上清のpHが2.8以下、電気伝導度が約400 mV以上および温度が28℃以上の状態が1週間以上続くまで行うことが好ましい。このような状態は、通常、腐植土と水性溶媒とを混合してから約3〜5週間で得ることができる。この工程においては、所望により窒素源、リン源等の栄養源を添加することができる。 【0010】 工程(2)において固形物を除去する方法としては、腐植土と液体とを分離して腐植土を除去することができる方法であれば特に限定されないが、静置、遠心分離などにより行うことができる。静置する方法は、懸濁物を25〜35℃で150〜240時間程度静置して腐植土を沈殿させた後に、上清だけを取得する。より確実に固形物を除去するために、さらに布などを用いて浮遊物を除去してもよい。このようにして得られる上清は、pH 2.5〜3.0程度である。 【0011】 工程(3)は、得られた上清を周囲温度で長期間静置することにより行われる。長期間とは、180〜500日間程度であればよく、好ましくは300〜400日間程度である。この放置の間、温度は一定であってもよいし、変動してもよい。通常、25〜35℃の温度で30〜60日間保持し、5〜15℃の温度で30〜60日間保持すると、抗癌性組成物に用いるのにより好ましい腐植土の水性溶媒抽出液を得ることができる。 【0012】 上記の期間静置した液を、さらに(4)ろ過することにより、腐植土の水性溶媒抽出液を得ることができる。ろ過は、液中の浮遊物を除去できる程度であればよく、例えば孔径40〜100μm、および10〜40μmの2種類のメンブレンフィルターを用いて行うことができる。 【0013】 上記の方法により得られる腐植土の水性溶媒抽出液は、pH 2.0〜3.0、および電気伝導度が350〜500 mVの薄茶色の実質的に無臭の液体である。 また、この腐植土の水性溶媒抽出液は、凍結乾燥後の重量が、腐植土の水性溶媒抽出液100 mlあたり0.5〜1 gであり、DAX-8樹脂カラムを通して吸着される成分(フルボ酸)の凍結乾燥後の重量が、腐植土の水性溶媒抽出液100 mlあたり0.001 g以下である。 【0014】 上記の腐植土の水性溶媒抽出液は、1リッター中に以下の各成分を含有するものが好ましい。 カルシウム 200〜300 ppm 硫黄 1000〜1500 ppm 鉄 10〜50 ppm 亜鉛 1〜8 ppm 銅 0.1〜1 ppm ナトリウム 80〜100 ppm マンガン 5〜10 ppm マグネシウム 80〜100 ppm アルミニウム 300〜400 ppm ケイ素 30〜40 ppm ニッケル 0.1〜1 ppm ストロンチウム 0.5〜5 ppm イットリウム 0.1〜1 ppm リチウム 0.1〜1 ppm 【0015】 さらに、上記の腐植土の水性溶媒抽出液は、ホウ素、ランタン、スカンジウム、セレンなどを微量含むことができる。 これらの各成分は、高周波誘導分析装置(ICP)を用いて測定することができる。 【0016】 上記の腐植土の水性溶媒抽出液は、前記の方法により製造した後、適当な容量になるまで濃縮して用いることができる。濃縮の程度としては、水分が残存していれば特に限定されず、例えば濃縮前の容量の90%以下、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下になるまで濃縮して用いることができる。 【0017】 上記の腐植土の水性溶媒抽出液は、そのままの状態で、濃縮して、または適当な媒体で希釈して、本発明の抗癌性組成物とすることができる。希釈に用いる媒体としては、人体に無害であり、本発明の組成物の抗癌性を損なわないものであれば特に限定されず、水を用いることが好ましい。 【0018】 抗癌性組成物には、抗癌性を損なわない範囲で保存剤(例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸)、着色剤、香料などの添加物を添加することができる。 【0019】 本発明の抗癌性組成物の摂取量としては、該組成物が人体に無害であるので特に限定されないが、該組成物として1日当たり10〜60 ml程度摂取すれば、癌を予防し、健康を維持増進することができる。 【0020】 本発明の抗癌性組成物を医薬として用いる場合は、そのままの状態で、濃縮して、または適当な媒体で希釈して、液剤の形態で使用することができる。 【0021】 上記の医薬製剤は通常の医薬液剤に添加される添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤としては、医薬的に許容される添加剤、例えば懸濁化剤(例えばソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン水添加食用脂)、乳化剤(例えばレシチン、ソルビタンモノオレエートまたはアラビアゴム)、非水性賦形剤(例えばアーモンド油、分画ココヤシ油またはグリセリン、プロピレングリコールまたはエチルアルコールのようなアルコール類の油性エステル)、保存剤、着色剤または香料などが挙げられる。 【0022】 本発明の抗癌性組成物を含む食品としては、特に限定されず、通常の食品のほか、通常の食品より積極的な意味での保健、健康維持・増進などを目的とする食品、例えば健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメントまたは特定保健用食品などが挙げられる。このような保健、健康維持・増進などを目的とする食品としては、例えば液体または半固形もしくは固形の製品、具体的には散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの形態が挙げられるが、特に液体の形態が好ましい。 【0023】 通常の食品としては、例えば飲料類(コーヒー、ジュース、茶飲料のような清涼飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、炭酸飲料など);発酵食品類(パン、味噌など);麺類(うどん、パスタなど);菓子類(ゼリー、ようかん、ヨーグルトなど);加工品類(スープ、カレー、牛丼、雑炊、味噌汁など);調味料類(ドレッシング、旨味調味料など)が挙げられる。 本発明の抗癌性組成物を含む通常の食品は、上記のような食品の製造工程において、あるいは最終製品に、本発明の組成物を混合または塗布、噴霧などにより添加して製造することができる。 【実施例】 【0024】 実施例1 本発明に用いる腐植土の水性溶媒抽出液を用いて、マウス由来腫瘍細胞株L1210に対する抗腫瘍作用を調べた。 腐植土の水性溶媒抽出液の製造方法 長崎県の土壌表面から20 mの地点で採取した腐植土に、pH 6.5の脱塩素水を攪拌しながら添加し、周囲温度で30日間、1日に2回攪拌しながら放置した。その後、この懸濁物を静置して上清を得て、これを布でろ過して浮遊物を除き、周囲温度で365日間静置した。なお、この期間の周囲温度の最高温度は30℃、最低温度は10℃であった。得られた上清を孔径50μmおよび25μmのハウジング式フィルター(キュノ社製)でろ過して、腐植土の水性溶媒抽出液を得た。得られた腐植土の水性溶媒抽出液のpHは2.8±0.05 (堀場製作所社製のpH計9620型で測定)であり、電気伝導度は400 mV以上(堀場製作所社製の電気伝導度測定計9382-10D型で測定)であった。また、得られた腐植土の水性溶媒抽出液100 ml当たりの凍結乾燥重量は0.65 gであり、DAX-8樹脂カラム(スペルコ社製)に吸着した成分の凍結乾燥後の重量は、0.0002 gであった。 この腐植土の水性溶媒抽出液を高周波誘導分析装置(ICP、パーキンエルマー社製)により測定した結果を、表1に示す。 【0025】 【表1】
【0026】 抗腫瘍作用の試験方法 上記のようにして得られた腐植土の水性溶媒抽出液を、脱塩素水道水で3%および10% (v/v)となるように希釈した。また、コントロールとして、脱塩素水道水を用いた。これらを、雌のDBA2マウス(8週齢、平均体重20 g)に18日間連続で飲水投与した後、DBA2マウス白血病由来株化細胞L1210を5×105 細胞/ 0.1 mlで背部皮下に接種した。腫瘍の増殖を13日間観察し、腫瘍の長径(mm)および短径(mm)を測定して、長径(mm)×短径(mm)の式から腫瘍の大きさを算出した。なお、腫瘍の大きさの観察期間中も継続してコントロール、ならびに3%および10% (v/v)の腐植土の水性溶媒抽出液希釈液をそれぞれ投与した。 【0027】 結果 マウス由来腫瘍細胞株L1210を接種した後の腫瘍の大きさを測定した結果を、図1に示す。この図から明らかなように、コントロールの水道水を投与したマウスでは、マウス由来腫瘍細胞株L1210を接種後7日目に肉眼で腫瘍の増殖が認められ、13日目まで腫瘍の大きさは継続的に増大した(n=6)。 3%の腐植土の水性溶媒抽出液希釈液を投与したマウスでは、マウス由来腫瘍細胞株L1210を接種後9日目に腫瘍の形成が観察され、13日目まで腫瘍の大きさは継続的に増大したが、コントロールに比べて腫瘍の大きさは有意に小さかった(スチューデントのt検定、n=5)。なお、マウス由来腫瘍細胞株L1210を接種後13日目の腫瘍の大きさは、3%の腐植土の水性溶媒抽出液希釈液を投与したマウスでは、コントロールの約40%であった。 また、10%の腐植土の水性溶媒抽出液を投与したマウスにおける腫瘍の大きさは、コントロールと比較して有意な差が見られなかった。 【0028】 実施例2 実施例1で得られた腐植土の水性溶媒抽出液を、うどんの製造工程において混合して、うどんを製造した。 【産業上の利用可能性】 【0029】 本発明の抗癌性組成物、ならびにこれを含有する食品および医薬は抗癌性を示し、さらに人体に無害であるので、毎日摂取することにより癌を予防することができ、人体の健康を維持増進することができる。 【図面の簡単な説明】 【0030】 【図1】図1は、腐植土の水性溶媒抽出液の投与による、マウス由来腫瘍細胞株L1210の増殖の抑制作用を示すグラフである。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】502333895 【氏名又は名称】株式会社マリネックス 【識別番号】000205627 【氏名又は名称】大阪府 【識別番号】504380851 【氏名又は名称】株式会社日本フミン物質応用研究所
|
| 【出願日】 |
平成16年10月12日(2004.10.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065248 【弁理士】 【氏名又は名称】野河 信太郎
|
| 【公開番号】 |
特開2006−111537(P2006−111537A) |
| 【公開日】 |
平成18年4月27日(2006.4.27) |
| 【出願番号】 |
特願2004−297828(P2004−297828) |
|