| 【発明の名称】 |
吸入用組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】チエル・イヨーラン・エーリク・ベツクストリヨーム
【氏名】カール・マグヌス・ウーロヴ・ダールベツク
【氏名】ペーテル・エドマン
【氏名】アン・シヤーロツト・ビルイツト・ヨーハンソン
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| 【要約】 |
【課題】医療的に有用なペプチド及びタンパク質の送達のための方法及び組成物を提供する。
【解決手段】薬学的に活性のポリペプチド及び患者の下部気道において前記ポリペプチドの全身系吸収を増強するエンハンサー化合物の混合物を含有する医薬組成物であって、前記混合物は乾燥粉末の形体であり、ここでポリペプチド及びエンハンサーの全量の少なくとも50%は約10ミクロンより小さいか又は等しい直径をもつ一次粒子からなり、前記一次粒子は場合により凝塊形成されている医薬組成物;及びそのような組成物をもつ送達する方法を提供する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)薬学的に活性のポリペプチド及び(b)患者の下部気道においてポリペプチドの全身系吸収を増強するエンハンサー化合物を溶解した溶液を作り; 溶媒を前記溶液から除去して、前記ポリペプチド及び前記エンハンサー化合物を含有する乾燥固体を収得し;そして 前記乾燥固体を微粉砕して、粉末を作る; ことからなる、医薬乾燥粉末組成物の製造方法。 【請求項2】 (a)薬学的に活性のポリペプチド及び(b)患者の下部気道においてポリペプチドの吸収を増強するエンハンサー化合物を乾燥混合し;そして 得られる混合物を微粉化する; ことからなる、請求項1に記載の医薬乾燥粉末組成物の製造方法。 【請求項3】 ポリペプチドを含有する第一の微粉化調製物及び患者の肺においてポリペプチドの吸収を増強するエンハンサー化合物を含有する第二の微粉化調製物を作り;そして 前記第一及び第二の微粉化調製物を混合する ことからなる、医薬乾燥粉末組成物の製造方法。 【請求項4】 下部気道において薬学的に活性のポリペプチドの増強された全身系吸収を伴う、請求項1に記載された医薬乾燥粉末組成物の製造におけるエンハンサーの使用。 【請求項5】 ポリペプチドがポリペプチドホルモンである、請求項4に記載の使用。 【請求項6】 前記ホルモンがバソプレッシン、バソプレッシン類似体、デスモプレッシン、グルカゴン、コルチコトロピン(ACTH)、ゴナドトロフィン(黄体形成ホルモン、又はLHRH)、カルシトニン、インスリンのC−ペプチド、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒト成長ホルモン(hGH)、成長ホルモン(HG)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、オキシトシン、コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)、ソマトスタチン類似体、ゴナドトロピンアゴニスト類似体(GnRHa)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)、チロキシン放出ホルモン(TRHrh)、濾胞刺激ホルモン(FSH)、又はプロラクチンである、請求項5に記載の使用。 【請求項7】 エンハンサーが界面活性剤である、請求項4に記載の使用。 【請求項8】 エンハンサーが胆汁酸塩である、請求項4に記載の使用。 【請求項9】 エンハンサーがタウロコール酸ナトリウムである、請求項8に記載の使用。 【請求項10】 エンハンサーがアシルカルニチンである、請求項4に記載の使用。 【請求項11】 エンハンサーがアルキルグリコシドである、請求項4に記載の使用。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は医療的に有用なペプチド及びタンパク質の送達のための方法及び組成物に関する。 【背景技術】 【0002】 発明の背景 組換え体DNA技術の出現はペプチドベース型薬剤のリストの急速な拡大をもたらしたが、ペプチドベース型療法の大きな欠点、すなわち、一般にペプチドベース型薬剤はそれが血流に到達しうる以前に消化管内の酵素により速やかに分解されるため、経口的に有効量を投与することができないという事実がこの分野の可能性の完全な実現を著しく妨げている。関係するポリペプチドをそのような酵素に対して比較的抵抗性となるように変えることができなければ、薬物を送達する唯一の実際的な方法は静脈内、筋肉内又は皮下注射のような非経口経路ということのようである。その他の非経口経路(例えば、鼻、頬又は直腸膜を通過するか、又は肺を経由する)による投与は限られた成功しかおさめていない。 【発明の開示】 【0003】 発明の要約 ペプチド又はタンパク質(以後まとめてポリペプチドと称する)を適当なエンハンサーと組み合わせ、そして適当な粒子寸法の粉末の形体で肺に導入すると、それは下部気道において上皮細胞の層を通過する吸収により容易に肺循環に入ることを見いだした。これは粉末状ポリペプチド/エンハンサーの正確な用量を、口腔及び咽喉とは対照的に下部気道において付着が最大になる粒子寸法で分配する吸入装置から粉末を吸入することにより都合よく達成される。(引用を容易にするため、ポリペプチド及びエンハンサーは以後まとめて「活性化合物」と称する)。この肺への優先的な送達(delivery)を達成するためには、可及的多量の活性化合物が約10μmより小さい(例えば、0.01〜10μm、理想的には1〜6μm)直径の粒子からなっているべきである。好ましい実施態様においては、吸入装置から出る活性化合物の全量の少なくとも50%(好ましくは少なくとも60%、一層好ましくは少なくとも70%、なお一層好ましくは少なくとも80%、そして最も好ましくは少なくとも90%)は所望の直径の範囲内の粒子からなる。 【0004】 従って、本発明は活性化合物(A)薬学的に活性のポリペプチド及び(B)患者の下部気道(好ましくは肺)においてポリペプチドの全身系吸収を増強するエンハンサー化合物の混合物を含有する医薬組成物であって、前記混合物は吸入に適する乾燥粉末の形体であり、ここで活性化合物(A)及び(B)の全量の少なくとも50%は約10ミクロンより小さいか又は等しい直径をもつ一次粒子からなる前記医薬組成物を含む。この一次粒子はそのまま詰められてもよく、又は場合により凝塊形成させ、次いでこれが患者の気道に入る前に実質的に解凝集されてもよい。この組成物は、もちろん必要に応じて他の薬学的活性剤、他のエンハンサー、及び薬理学的に許容される希釈剤又は担体のような賦形剤を含有してよい。従って、本発明の治療用製剤は前記活性化合物のみを含有してもよく、又はその他の物質例えば薬学的に許容される担体を含有してもよい。この担体の大部分は直径が約10ミクロンより小さい粒子からなり、その結果得られる粉末の少なくとも50%は全体として直径が約10ミクロンより小さい場合により凝塊形成された一次粒子からなることがあり;もしくはこの担体は大部分がずっと大きな粒子(「粗粒子」)からなり、その結果活性化合物と前記担体との間に「順序付けられた混合物」が形成されることもある。相互作用性混合物又は接着性混合物としても知られる順序付けられた混合物においては、微小薬剤粒子(本発明においては活性化合物)が粗い賦形剤粒子(本発明においては薬学的に許容される担体)の表面にかなり均一に分布している。このような場合、活性化合物は順序付けられた混合物の形成前、凝塊形成されていないのが好ましい。粗粒子は20ミクロンを超え、例えば60ミクロンを超える直径であってよい。この下限より上では、粗粒子の直径に決定的な重要さはなく、所望により特定の製剤の実際の要件に応じていろいろな粗粒子の寸法を使用することができる。順序付けられた混合物において粗粒子は同じ寸法である必要はないが、しかし順序付けられた混合物の範囲内で粗粒子は同様の寸法であるのが都合がよい。好ましくは、粗粒子の直径は60〜800ミクロンである。 【0005】 ポリペプチドは全身系送達が望まれる小ないし中の寸法の、すなわち約40kDまでの分子量の医療的又は診断的に有用なペプチド又はタンパク質のいずれであってもよい。本発明による改良されたポリペプチド吸収の機構は一般にすべてのそのようなポリペプチドに適用可能であり、そして適用されるべきであるが、その吸収が改善される程度はポリペプチドの分子量と物理化学的性質及び使用する特定のエンハンサーによって変化することかありうる。30kDまでの分子量のポリペプチド、例えば25kDまで又は20kDまで、そしてとりわけ15kDまで又は10kDまでの分子量のポリペプチドが本発明に最も有用であろうと期待される。所望のポリペプチドのいずれも、本発明における特定のエンハンサーとの組み合わせによる使用について、本明細書に記述のインビボ又はインビトロアッセイにより容易に試験することができる。 【0006】 本発明の組成物に使用するエンハンサー化合物はポリペプチドの下部気道の上皮を通過し、そして体循環に入る吸収を増強するいずれの化合物であってもよい。「吸収を増強する」とはエンハンサーの存在下において体循環へ吸収されるポリペプチドの量がエンハンサーのない場合より多いことを意味する。エンハンサーの存在下で吸収されるポリペプチドの量が有意に多い(p<0.05)のが好ましい。本発明への使用の可能なエンハンサーの適合性は、いずれも本明細書に記述されたインビボ又はインビトロアッセイにより容易に評価することができる。 【0007】 本発明により吸収されるポリペプチドの量はエンハンサーのない場合に吸収される量の少なくとも150%であるのが好ましい。好ましい実施態様においては、エンハンサーの存在下におけるポリペプチドの吸収はない場合に対して少なくとも2倍であり、より好ましくは3倍であり、最も好ましくは4倍である。 【0008】 エンハンサーは好ましくは脂肪酸の塩、胆汁酸塩、胆汁酸誘導体、アルキルグリコシド、シクロデキストリン又はリン脂質のような界面活性剤である。エンハンサーは、例えば脂肪酸のナトリウム、カリウム又は有機アミンの塩であってよく、そしてこの脂肪酸はカプリン酸又は炭素原子数10〜14のその他の脂肪酸であるのが好ましい。好ましいエンハンサーはカプリン酸ナトリウムである。ポリペプチドのエンハンサーに対する比率は約9:1から約1:1の間で変化するのが好ましい。1:1より大きいエンハンサーの比率はおそらくより低い比率と同じように又はよりよく取り込みを増強するであろうが、エンハンサーの使用量は所望の増強の水準を実現するための必要量より多くすべきではなく、なぜなら過剰のエンハンサーは局所炎症のような好ましくない副作用を引き起こしうるからである。 【0009】 患者に本発明の医薬組成物を吸入させることにより、薬学的に活性のポリペプチドを全身的に投与する方法であって、ここで活性化合物の全量の少なくとも50%が患者の気道に入る際に約10ミクロンより小さいか又は等しい直径の粒子からなる前記方法も本発明の範囲内にある。これは好ましくは患者が粉末を吸入する吸入装置の使用により達成される。粉末組成物が一次粒子の凝塊の形体である場合、この装置は患者により粉末が装置より吸入される際凝塊の実質的な解凝集を引き起こし、その結果粉末が患者の気道に入る前大部分の凝塊が約10ミクロンより小さいか又は等しい直径の粒子に破砕される設計になっているのが好ましい。この解凝集は装置の内部で起こるものであり、通常は吸入の力により装置内に発生する空気の乱流により誘発される。凝塊は一般に順序付けられた混合物中では形成されていないのが好ましい。順序付けられた混合物の場合、活性化合物は好ましくは吸入時、吸入装置中の機械的手段又は単純に吸入の作用のいずれかにより、又はその他の手段により、大粒子から解離され、活性化合物はその後に下部気道にそして担体粒子は口腔内に付着する。 【0010】 吸入装置は好ましくは単一用量乾燥粉末吸入器であるが、代わりに多重用量乾燥粉末吸入器でもよい。 【0011】 本発明は吸入による投与に適する医薬組成物の製造方法をも含む。一つのそのような方法においては、最初に(a)薬学的に活性のポリペプチド及び(b)患者の下部気道においてポリペプチドの全身系吸収を増強するエンハンサー化合物を溶解した溶液を作る。次に溶媒を溶液から除去してポリペプチド及びエンハンサーを含有する乾燥固体を収得し、そして乾燥固体を微粉化して粉末を作る。第二のそのような方法は(a)薬学的に活性のポリペプチド及び(b)エンハンサー化合物の乾燥混合、そして得られる混合物の微粉化を含む。さらに第三の適当な方法はポリペプチドを含有する第一の微粉化調製物及びエンハンサー化合物を含有する第二の微粉化調製物を作り、そして2つの微粉化調製物を一緒に混合する段階を含む。順序付けられた混合物が望まれる場合でなくて、担体を含有させる場合、これを溶液に添加するか、又は微粉化の前に薬学的に活性のポリペプチドの乾燥混合物に添加してよく、又は微粉化された担体をその他の微粉化された成分と乾燥混合してもよい。順序付けられた混合物を作る場合は、微粉化されたポリペプチド及びエンハンサーを適当な担体と混合する。 【0012】 図面の簡単な説明 図1は培養上皮細胞の単層を通過する指標化合物(マンニトール)の移動に対する種々の濃度のカプリン酸ナトリウムエンハンサーの効果を示すグラフであり、 図2はポリペプチドの存在下において、培養上皮細胞の単層を通過する指標化合物(マンニトール)の移動に対する種々の濃度のカプリン酸ナトリウムエンハンサー(カプリン酸ナトリウム:ポリペプチド1:3(重量比))の効果を示すグラフであり、 図3はポリペプチド単独、90:10の比率でカプリン酸ナトリウムを併用するポリペプチド、及び75:25の比率でカプリン酸ナトリウムを併用するポリペプチドを吸入後の時間の関数として示す血漿中ポリペプチド濃度を示すグラフである。 【0013】 詳細な説明 本発明の好ましい実施態様のいくつかを以下に概括的に説明する。 ポリペプチド ポリペプチドは好ましくはインスリン以外のペプチドホルモン、例えばバソプレッシン、バソプレッシン類似体、デスモプレッシン、グルカゴン、コルチコトロピン(ACTH)、ゴナドトロフィン(黄体形成ホルモン、又はLHRH)、カルシトニン、インスリンのC−ペプチド、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒト成長ホルモン(hGH)、成長ホルモン(HG)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、オキシトシン、コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)、ソマトスタチン類似体、ゴナドトロピンアゴニスト類似体(GnRHa)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)、チロキシン放出ホルモン(TRHrh)、濾胞刺激ホルモン(FSH)、及びプロラクチンである。 【0014】 その他の可能性あるポリペプチドにはその薬学的効果を全身系に発揮する成長因子、インターロイキン、ポリペプチドワクチン、酵素、エンドルフィン、糖タンパク質、リポタンパク質、反び血液凝固カスケードに関わるポリペプチドが含まれる。小ないし中の寸法で、比較的水溶性が高く、そして約pH3からpH8の等電点をもつポリペプチドのすべてではないにしても大部分は本発明の方法により有効に送達できるものと期待される。 【0015】 エンハンサー 吸収エンハンサーの使用は、ポリペプチド単独では肺を経由する吸収が不十分であるため決定的に重要なことである。使用するエンハンサーは下部気道内面の上皮細胞を通過して隣接する肺脈管構造に入る吸収を増強するように作用する化合物のいずれであってもよい。このエンハンサーは下記の数種の可能な機構のいずれかによりこの効果を達成することができる。 【0016】 (1)上皮細胞間の緊密な結合に構造的変化をもたらすことによるポリペプチドの超細胞透過性(paracellular permeability)の増強。 (2)膜のタンパク質又は脂質成分との相互作用又はその抽出、及びそれにより膜の完全状態を乱すことによるポリペプチドの経細胞透過性(transcellular permeability)の増強。 (3)ポリペプチドの水溶液中の溶解度を増加させるエンハンサーとポリペプチドとの相互作用。これはインスリン凝集塊(二量体、三量体、六量体)の形成を妨げるか、又はエンハンサーミセル中でポリペプチド分子を可溶化すると起こりうる。 (4)肺胞及び肺の通路(passage)の裏側の粘液障壁の粘度を下げるか又は溶解し、それによりポリペプチドが直接吸収されるように上皮表面を露出させる。 【0017】 エンハンサーは上述の単一の機構のみにより、又は2つ以上のそれにより機能するであろう。上述の数種の機構で作用するエンハンサーは1つ又は2つの機構のみを使用するエンハンサーよりポリペプチドの有効な吸収をいっそう促進するように思われる。 【0018】 例えば、界面活性剤は上述の4つの機構のすべてにより作用すると考えられるエンハンサーの一種である。界面活性剤は親油性及び親水性部分の両方をもち、これら2つの性質の間の均衡が変化する両親媒性分子である。もし分子が極めて親油性であると、物質の水中の溶解度が低いためその有用性は限定されるであろう。しかしながら、親水性部分が圧倒的に優勢であると、分子の界面活性特性は極めて小さいであろう。従って、界面活性剤が有効であるためには十分な溶解度と十分な表面活性との間の適当な均衡を突き当てなければならない。 【0019】 重要でありうるその他の界面活性剤の特性は肺のpH値(約7.4)における界面活性剤の正味電荷である。pH7.4においてはポリペプチドによっては負の正味電荷をもつ。この結果分子間に静電斥力が生じ、これはその結果凝集を妨げ、それにより溶解度を増加させるであろう。界面活性剤が負に荷電している場合も、それはポリペプチドと例えば疎水的に相互作用することが可能であり、ポリペプチド分子の間に付加的な斥力が生じるであろう。そのような場合アニオン界面活性剤は単量体状態におけるポリペプチドの安定化を援けることにより吸収を増強する追加の利点(生理的pHにおいて中性又は正味正の電荷を有するそれと比較して)を有するであろう。 【0020】 本発明の方法においてエンハンサーとして有用な可能性のある数種の化合物を下の実施例2に記述するようにラットで試験を行った。既知の吸収増強特性をもつか、又は本発明の方法に使用する候補になりそうな物理的性質をもつ他の物質は、通常の熟練者であればインビボアッセイ、又は実施例1記述されたインビトロアッセイで容易に試験することができる。 【0021】 2つ又はそれより多くのエンハンサー物質の組み合わせも満足な結果を得ることが可能である。本発明の方法においてそのような組み合わせの使用は本発明の範囲内のことと考えられる。 【0022】 本発明の方法に有用なエンハンサーはポリペプチド吸収の有効な増強と共に、(1)使用濃度において毒性がないこと及び(2)良好な粉末特性、すなわち固体状態で粘着性又はろう様の粘極性がない性質を併わせもつ。所定の物質の毒性は標準の手段、例えばInt. J.Pharm., 65 (1990), 249〜259に記述されたMTTアッセイにより検査することができる。所定の物質の粉末特性は物質の公開されたデータから、又は経験的に確認することができる。 【0023】 1つの極めて有望な種類のエンハンサーは脂肪酸の塩である。炭素鎖長10(すなわちカプリン酸ナトリウム)、12(ラウリン酸ナトリウム)及び14(ミリスチン酸ナトリウム)の飽和脂肪酸のナトリウム塩が本発明の方法において良好な性能を示すことを認めた。炭素鎖長が約10より短いと界面活性剤の表面活性は低過ぎ、そして鎖長が約14より長いと脂肪酸の水中の溶解度が減少してその有用性を制限する。 【0024】 下部気道においてポリペプチドの吸収を増強する物質で本発明において最も好ましいのはカプリン酸ナトリウムである。 【0025】 異なる対イオンが飽和脂肪酸塩の水中の溶解度を変化させることがあり、そのため10〜14以外の炭素長をもつエンハンサーが特定の上述のエンハンサーより有利になることさえある。不飽和脂肪酸の塩も有用でありうるものであり、なぜならそれらは飽和脂肪酸の塩より水溶性であり、従って後者より長い鎖長としてなおかつポリペプチド吸収の満足なエンハンサーとして必要な溶解度を保持することができるからである。 【0026】 試験した胆汁酸塩及び胆汁酸誘導体(ウルソデオキシコール酸、タウロコール酸、グリココール酸、及びタウロジヒドロフシジン酸のナトリウム塩)はすべて肺におけるポリペプチド吸収を有効に増強した。 【0027】 リン脂質もエンハンサーとしての試験を行った。一本鎖リン脂質(リゾホスファチジルコリン)は有効なエンハンサーであるが、2つの二本鎖リン脂質(ジオクタノイルホスファチジルコリン及びジデカノイルホスファチジルコリン)はそうでないことが見いだされた。これは二本鎖リン脂質がその一本鎖対応物質より水中の溶解度がはるかに低い事実で説明されよう。しかしながら、より短い鎖長の二本鎖リン脂質はその長鎖対応物より大きな溶解度をもち、本発明のエンハンサーとして使用されるであろうから、一本鎖及び二本鎖リン脂質のいずれも使用できると期待することは妥当である。 【0028】 グリコシドの一つ、オクチルグリコピラノシドを本発明のエンハンサーとして試験し、若干の吸収増強活性をもつことを認めた。他のアルキルグリコシド、例えばチオグルコピラノシド及びマルトピラノシドも本発明の方法における吸収増強活性を示すことが期待しうるであろう。 【0029】 シクロデキストリン及びその誘導体は鼻での吸収を有効に増強し、そして肺においても同様に機能するであろう。ジメチル−β−シクロデキストリンを試験し、吸収増強効果をもつことを認めた。 【0030】 その他の有用な可能性のある界面活性剤はサリチル酸ナトリウム、5−メトキシサリチル酸ナトリウム、そして天然に存在する界面活性剤例えばグリチルリチン酸の塩、サポニン配糖体及びアシルカルニチンである。 【0031】 イオン性エンハンサー(例えば上記アニオン界面活性剤)については対イオンの性質が重要であろう。選択された特定の対イオンはエンハンサー又はエンハンサーを含有する任意の製剤の粉末特性、溶解性、安定性、吸湿性、及び局所/全身毒性に影響しうる。それは併用したポリペプチドの安定性及び/又は溶解性に影響しうるであろう。一般に、1価金属カチオン例えばナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム及びセシウムはアニオンエンハンサーの対イオンとして有用であろうと期待される。アンモニア及び有機アミンはカルボン酸部分をもつアニオンエンハンサーとの使用に適すると期待されるその他の種類のカチオンをなす。そのような有機アミンの例はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルエチルアミン、ベタイン、エチレンジアミン、N, N−ジベンジルエチルテトラアミン、アルギニン、ヘキサメチレンテトラミン、ヒスチジン、N−メチルピペリジン、リジン、ピペラジン、スペルミジン、スペルミン反びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む。 【0032】 肺におけるポリペプチド吸収の有効な増強が試験した若干のエンハンサーで認められたので、より多くのものにもこのように機能することが見いだされるかも知れないという期待がある。澱粉微小球は鼻粘膜を経て送達されるポリペプチドの生物学的利用能を有効に増強するものであり、本発明の方法におけるエンハンサーとして試験を行った。それらは本明細書で使用する動物モデルおいて肺経路を経る送達にあまり役立たないことが判明したが、これは主として技術的な困難さによると考えられ、それらが解決されれば、肺経路による送達に成功するかも知れない。 【0033】 キレート化剤はカルシウムイオンを結合することにより作用すると信じられている一種のエンハンサーである。カルシウムイオンは細胞間間隙の寸法の維持に役立ち、その上ポリペプチドの溶解度を減少させるので、これらのイオンの結合は、理論的に、ポリペプチドの溶解度そしてポリペプチドの超細胞透過性の両方を増加させるであろう。試験した一キレート化剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のナトリウム塩は試験したラットモデルにおけるインスリンの吸収の増強に関しては無効であることが判明したが、他のカルシウムイオン結合性キレート化剤はより有効であることが証明されるかも知れない。 【0034】 ポリペプチド及びエンハンサーの比率 ポリペプチドとエンハンサーとの相対的比率は必要により変化させることができる。吸入されたポリペプチドの有効な吸収を可能にするためには十分量のエンハンサーが存在しなけれぱならないが、しかしながらエンハンサーの量はそれにより生じる副作用の危険を最小にするためできるだけ低く保たれなけばならない。各々の特定のポリペプチド/エンハンサーは最適の比率を決定するために試験しなければならないが、良好なポリペプチドの吸収を達成するため、ポリペプチド/エンハンサー混合物の10%以上はエンハンサーでなければならないと思われる。大部分のエンハンサーについて、エンハンサーの比率は15%以上又は20%以上であるべきであり、そして好ましくは25%及び50%の間であろう。各々のポリペプチド/エンハンサー(又はポリペプチド/エンハンサー/希釈剤)の好ましい比率は薬理技術分野における通常の熟練者であれば最適投与量の効果的な首尾一貫した送達、副作用の最小化、及び良好な吸収速度のような基準に基づいて、標準的方法により容易に決定することができる。 【0035】 さらに別の成分が製造の作業に求められることはないが、所望により含有させてよい。例えば、所定のポリペプチド/界面活性剤配合物の単一用量を構成する粉末量は薬学的に許容される希釈剤で粉末を希釈することにより増量することができる(例えば、設計上単位用量当たり大量の粉末を必要とする吸入装置で使用する場合)。処理を容易にするため又は製剤の粉末特性又は安定性を改良するため、その他の添加物を含有させてもよい。口腔及び咽喉に不可避的に付着する一定割合の粉末が吸入装置からある用量が送達されたことの肯定的なフィードバックを患者に与えるように役立つ着香剤を添加することができる。このような添加剤はいずれも次のような性質をもたなければならない。すなわち(a)それは安定でありそしてポリペプチドとエンハンサーの安定性に不利な影響を与えない;(b)それはポリペプチドの吸収に不利に干渉しない;(c)それは製薬技術分野で理解されている意味において良好な粉末特性をもつ;(d)それは吸湿性でない;そして(e)それは使用濃度において気道で副作用を示さないことである。有用な種類の添加剤は単糖、二糖、及び多糖、糖アルコール、反び他のポリオール:例えば、ラクトース、グルコース、ラフィノース、メレチトース、ラクチトール、マルチトール、トレハロース、スクロース、マンニトール、及び澱粉を含む。ラクトース及びグルコースのような還元糖はタンパク質と複合体を作る傾向があるので、ラフィノース、メレチトース、ラクチトール、マルチトール、トレハロース、スクロース、マンニトール、反び澱粉のような非還元糖が本発明の使用に好ましい添加剤であろう。そのような添加剤はいずれの場合も全製剤の0%(すなわち無添加)から100%近くまで占めてよい。 【0036】 好ましい実施態様においては、本発明は薬学的に活性のポリペプチド及び下部気道において前記ポリペプチドの吸収を増強する物質の治療用製剤であって、この製剤は少なくとも50%量が(a)約10ミクロンより小さい直径の粒子又は(b)前記粒子の凝塊からなる吸入に適する乾燥粉末製剤の形体である製剤を提供するものであり;別の好ましい実施態様においては、本発明は薬学的に活性のポリペプチド及び下部気道において前記ポリペプチドの吸収を増強する物質、及び薬学的に許容される担体からなる治療用製剤であって、この製剤は少なくとも50%量が(a)約10ミクロンより小さい直径の粒子又は(b)前記粒子の凝塊からなる吸入に適する乾燥粉末の形体である製剤を提供するものであり;そしてさらに別の好ましい実施態様においては、本発明は活性化合物(A)薬学的に活性のポリペプチド及び(B)下部気道において前記ポリペプチドの吸収を増強する物質(ここで活性化合物(A)及び(B)の全量の少なくとも50%は約10ミクロンより小さい直径の粒子からなる)、及び薬学的に許容される担体からなる治療用製剤であって、この製剤は活性化合物と薬学的に許容される担体との間で順序付けられた混合物が形成されうる吸入に適する乾燥粉末製剤の形体である前記治療用製剤を提供する。 【0037】 上述の粉末製剤は慣用技術を使用するいくつかの方法により製造することができる。たいていの場合、精製されたポリペプチドは商業的な供給源から入手することができる。もしくは、関心のあるポリペプチドを天然の供給源から標準的生化学的方法を使用して精製することができ、又はポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含みそして適当な発現制御配列がそれに連結されるように遺伝子操作された原核又は真核細胞の発現により得ることができる(所望のペプチド又はタンパク質を例えば乳汁中に作るように遺伝子操作された形質転換動物を含む)。そのような方法はこの技術分野で一般的である(例えば、Sambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989年刊)が参照される)。ペプチド(すなわち、30又はそれより少ないアミノ酸残基を含むポリペプチド)は既知の化学的方法により簡単に合成することができる。 【0038】 上述の吸収エンハンサーも一般に商業的供給源から入手し、又は公知の方法により製造することができる。イオン性エンハンサーについては、付随する対イオンを所望により、標準のイオン交換法により他のイオンに置き換えることができる。 【0039】 上述の粉末製剤の製造においては、一般に工程のある段階において粉末を適当な粉砕機例えばジェットミルにかけ、下部気道における最大付着に適当な粒子寸法の一次粒子とするように微粉砕することが必要である。例えば、ポリペプチド及びエンハンサー粉末を乾燥混合し、次いで得られる物を微粉化することができ、又は物を別々に微粉化し、その後に混合してもよい。混合する化合物が異なる物理的性質例えば硬度反び脆性をもち、微粉砕に対する抵抗性が変化する場合、それらを適当な粒子寸法に粉砕するには異なる圧力を必要とすることがある。従って、ー緒に微粉化すると一方の成分の得られる粒子寸法は不満足なことかありうる。このような場合は異なる成分を別々に微粉化し、その後にそれらを混合するのが好都合であろう。 【0040】 最初に成分を適当な溶媒例えば水に溶解して分子レベルでの混合を行うことも可能である。この手順はpH値を望ましい水準例えばポリペプチドの吸収を改善する水準に調節することも可能にする。pH3.0から8.5までの吸入用製品の薬学的に許容される限界を考慮に入れることが必要であり、なぜならこれらの限界を超える製品は気道の炎症及び収縮を誘発しうるからである。粉末を得るには、ポリペプチドの生物活性を保持する方法で溶媒を除かなければならない。適当な乾燥方法は真空濃縮、開放乾燥、噴霧乾燥及び凍結乾燥を含む。数分以上にわたって40℃を超える温度は一般に避けるべきであり、これはポリペプチドによっては若干の分解が起こりうるからである。乾燥段階に続いて、固体物質は必要により粉砕して粗粉末とし、さらに必要によっては微粉化することができる。 【0041】 所望により、微粉化した粉末はそれを所定の吸入装置に充填する前に流れ特性を改善するために処理することができ、例えば乾式粒状化により優れた取り扱い特性をもつ球形凝塊にすることができる。そのような場合、装置は凝塊が装置を出る前に実質的に解凝集され、その結果患者の気道に入る粒子は大部分が望ましい寸法の範囲内にあることを保証するように設計されているのが望ましい。順序付けられた混合物が望まれる場合、活性化合物は所望により特定の寸法の範囲内にある粒子を得るため、例えば微粉化による処理をほどこすことができる。担体についても、例えば所望の寸法及び特定の表面対重量比のような所望の表面特性、又はある種の丈夫さを獲得するため、そして順序付けられた混合物における最適の接着力を確実にするために処理をほどこすことができる。順序付けられた混合物のそのような物理的要件はよく知られており、前記要件を満たす順序付けられた混合物を得るための種々な手段についても同様であり、そして特定の状況に応じて当業者が容易に決定することができる。 【0042】 好ましい吸入装置は次のような設計上の特徴をもつのが望ましい。すなわち、粉末の湿気からの防護及び偶発的大用量の危険のないこと;さらに下記の可及的多くをもつのが望ましい:粉末の光線に対する保護;広い流速間隔における高い呼吸可能画分(respirable fraction)及び高い肺付着;用量及び呼吸可能画分の低い変動;マウスピース中の粉末の低い滞留−これは多重用量吸入器では特に重要であり、この場合マウスピース中にポリペプチドが滞留すると分解され、次いでその後の服用分と一緒に吸入されることになる;吸入器表面への低い付着;用量の大きさにおける融通性;及び低い吸入抵抗性である。吸入器は好ましくは単一用量吸入器であるが、多用量吸入器、例えば多重用途のための多用量、呼吸作動、乾燥粉末吸入器も使用することができる。好ましくは使用する吸入器は単一使用のための単位用量、呼吸作動、乾燥粉末吸入器である。 【0043】 ポリペプチド及び種々のエンハンサーを含有する数種の乾燥粉末製剤を製造し、そしてインビボアッセイにより試験した。その結果を下記に説明する。ポリペプチド/エンハンサー併用剤の試験に有用なインビトロアッセイについても説明する。 【実施例】 【0044】 実施例1:本発明に対する特定のポリペプチドの有用性を測定するためのインビトロ方法 上皮細胞系CaCo-2(American Type Culture Collection (ATCO), Rockville, MD, USAを経由して入手可能)を使用する標準のインビトロアッセイ法を、肺において肺血液供給から肺胞を分離する機能を果たす上皮細胞層のモデルとして、上皮細胞単層を横切る指標物質の移動を促進する種々のエンハンサー化合物の能力を評価するために開発した。 【0045】 このアッセイにおいては、エンハンサー及びポリペプチド又は他の指標物質を水溶液中に種々の割合及び/又は濃度に溶解し、そして細胞単層の頂点側にほどこす。37℃、相対湿度95%で60分間インキュベーション後、細胞の基部側方の指標物質の量を、例えば放射能で標識付けした指標物質を使用し測定する。 【0046】 試験したエンハンサーであるカプリン酸ナトリウムについては、基部側方に現れる指標物質(マンニトール、分子量360)の量は、少なくともカプリン酸ナトリウム16mMまでは使用するエンハンサーの濃度に依存する(図1)。これはポリペプチドインスリンをエンハンサー/マンニトール混合物に添加した場合(カプリン酸ナトリウム:インスリン1:3(重量))でさえ事実である(図2)。このカプリン酸ナトリウムの濃度(16mM)は2つの低分子量ペプチド、インスリン(分子量5734)及びバソプレッシン(分子量1208)の細胞単層を横切る吸収を促進することも認められた。単層を横切って通過したインスリンの量はカプリン酸ナトリウム16mMが存在する場合、エンハンサー不存在の場合の2倍であり、単層を横切って吸収されたバソプレッシンの量はエンハンサー不存在の場合の量の10〜15倍に増加した。 【0047】 対照的に、チトクロームC(分子量12,300)、炭酸デヒドラターゼ(分子量30,000)及びアルブミン(分子量69,000)のようなより大きいタンパク質については、カプリン酸ナトリウム16mMまで試験した場合、移動率に増加は認められなかった。より高濃度のカプリン酸ナトリウムは細胞の透通性をさらに増加させ、より大きなポリペプチドの移動を可能にすることが期待される;しかしながら、カプリン酸ナトリウムにありうる細胞毒性はこの特別なエンハンサーを実質的に高濃度で使用することを妨げるであろう。 【0048】 その他のエンハンサーにもより大きなポリペプチドの移動を可能するものがあろうが、これらについても任意の所望のポリペプチド/エンハンサーの組み合わせについて、本発明の方法における有用性を迅速に試験するための選別手段として使用することができるこの上皮細胞透過性のインビトロモデルで試験することができるであろう。 【0049】 実施例2:本発明に有用なエンハンサーの選別方法 表1に示す各の化合物をラットモデルを使用してそのポリペプチド(インスリン)の取り込みを増強する能力について試験した。インスリンを使用した結果は他のポリペプチドの吸収を増強するエンハンサーの能力の指標と見做される。 【0050】 いろいろの形体のインスリン;すなわち組換え体ヒト、半合成ヒト又はウシインスリンを種々の試験において使用した。各製剤は上述のように、インスリン/エンハンサー又はインスリン/エンハンサー/ラクトース溶液を乾燥しそして処理して吸入用粉末を作った。粉末をラットに吸入により投与し、その後ラットの血中グルコース水準をインスリン取り込みの指標として監視した。この濃度をエンハンサーのないインスリン製剤を吸入したラットから得られた対応する値と比較した。 【0051】 同じインビトロモデル系は、任意の与えられたペプチド又はタンパク質につき、エンハンサーを組み合わせた所望のペプチド又はタンパク質を含有する製剤を同じ吸入方法で送達し、そして試験動物の体循環における所望のペプチド又はタンパク質の濃度を検査することにより(例えば、与えられたペプチド又はタンパク質に適する標準のイムノアッセイ又は生化学的検査法により)、本発明の方法における有用性を試験するために使用することができる。 【0052】 【表1】
【0053】 実施例3:本発明による治療用製剤 ヒト成長ホルモン(hGH, 分子量22kD, 供給源:LillyのHumatrope, 3部)をカプリン酸ナトリウム(1部)と混合した。混合物をRetsh機械式ミルで粉砕して質量中央径6.7μmの粒子寸法にした。 得られた粉末をラットに気管内投与し、そしてhGHの取り込みを同じ比率のhGH及びマンニトールからなりそして上記と同じように製造した質量中央径9.6μmの粉末のそれと比較した。 結果はカプリン酸ナトリウムを含有する製剤におけるhGHの取り込みがエンハンサーのない製剤における取り込みと比較して改良されていることを示した。 【0054】 実施例4:ポリペプチドインスリンを含有する製剤 インスリンは本明細書においては本発明による他のポリペプチドの指標として使用する。 生合成ヒトインスリン(53g)はAirfilco Jet Mill (商標、Airfilco Process Plant Limited)を使用し、加圧窒素(供給圧力7バール、チェンバー圧力5バール)を用いて2.4μmの質量中央径に微粉砕した。 カプリン酸ナトリウム(170g)はAirfilco Jet Mill (商標)を使用し、加圧窒素(供給圧力5バール、チェンバー圧力3バール)を用いて1.6μmの質量中央経に微粉砕した。 【0055】 微粉砕した生合成ヒトインスリン(45g)及びカプリン酸ナトリウム(14.26g)を次の手順により乾燥混合した。すなわちインスリンの半分を幅1mmのふるいで2つの部屋に分割されており、各々の部屋には金属製環が取り付けられて混合反び撹桂を肋けるようになっている容積4.4リットルの混合用円筒からなる混合装置に添加した。カプリン酸ナトリウム及び最後に残りのインスリンを添加した。混合用円筒を閉じ、180度回転し、そしてモーターを備えた振塗装置に取り付けた。モーターを回転させ、そしてすべてのインスリン及びカプリン酸ナトリウムがふるいを通過するまで、約2分間振塗を続けた。モーターの回転を止めそして混合用円筒を180度回転し、再び振畳装置に取り付け、そして再度の振塗をすべての粉末がふるいを通過するまで行った。この手順をさらに8回繰り返して合計約20分の混合時間を与えた。 【0056】 このようにして得られた製剤を5匹のイヌに、1U/kgの投与水準で吸入により投与し、そして投与後種々の時点において血漿インスリン水準を測定した。 【0057】 得られた結果を、上述のように2.4μmの質量中央径に微粉砕した生合成インスリンを5匹のイヌに同じようにそして同じ投与水準で投与した場合に得られた血漿インスリン水準、及びインスリン及びカプリン酸ナトリウムの90:10の比率の治療用製剤を上述と同じようにそして同じ投与水準で投与した場合の血漿インスリン水準と比較した。この場合治療用製剤は次のように製造した。すなわちヒト半合成インスリンをゲル濾過してインスリン音量に対する亜鉛音量を0.52%から0.01%まで減らした。インスリン(4.5g)及びカプリン酸ナトリウム(0.5g)を水(232ml)に溶解した。溶液を透明になるまで撹拌し、pHを7.0に調節した。溶液を37℃で約2日間蒸発させて濃縮した。得られた固体ケーキを粉砕し、0.5mmのふるいでふるい、そして得られた粉末をジェットミルを使用して3.1mmの質量中央径の粉末に微粉砕した。 【0058】 これらの比較の結果を図3に示す(75:25及び100:0の間の差異についてはp=0.0147)。この結果はインスリン単独と比較した場合、カプリン酸ナトリウムを含有する90:10製剤についてはインスリンの生物学的利用能における若干の改善を、そして75:25製剤についてはインスリンの生物学的利用能における劇的な改善を示している。 【図面の簡単な説明】 【0059】 【図1】図1は培養上皮細胞の単層を通過する指標化合物(マンニトール)の移動に対する種々の濃度のカプリン酸ナトリウムエンハンサーの効果を示すグラフである。 【図2】図2はポリペプチドの存在下において、培養上皮細胞の単層を通過する指標化合物(マンニトール)の移動に対する種々の濃度のカプリン酸ナトリウムエンハンサー(カプリン酸ナトリウム:ポリペプチド1:3(重量比))の効果を示すグラフである。 【図3】図3はポリペプチド単独、90:10の比率でカプリン酸ナトリウムを併用するポリペプチド、及び75:25の比率でカプリン酸ナトリウムを併用するポリペプチドを吸入後の時間の関数として示す血漿中ポリペプチド濃度を示すグラフである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】391008951 【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ 【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
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| 【出願日】 |
平成17年11月9日(2005.11.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062144 【弁理士】 【氏名又は名称】青山 葆
【識別番号】100067035 【弁理士】 【氏名又は名称】岩崎 光隆
【識別番号】100064610 【弁理士】 【氏名又は名称】中嶋 正二
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| 【公開番号】 |
特開2006−89497(P2006−89497A) |
| 【公開日】 |
平成18年4月6日(2006.4.6) |
| 【出願番号】 |
特願2005−325089(P2005−325089) |
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