| 【発明の名称】 |
吸入用治療製剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】チエル・イヨーラン・エーリク・ベツクストリヨーム
【氏名】カール・マグヌス・ウーロヴ・ダールベツク
【氏名】ペーテル・エドマン
【氏名】アン・シヤーロツト・ビルイツト・ヨーハンソン
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| 【要約】 |
【課題】注射以外によるインスリンの投与剤型として、下方気道での吸入に適したインスリン製剤の提供。
【解決手段】インスリンおよび下方気道でインスリンの吸収を強化する物質、特にカプリン酸ナトリウムなどの炭素数10〜14の脂肪酸塩、からなる溶液を調製し、溶媒を除去して固形物を得、その固形物を粉砕および/または混合して、少なくとも50%が10μmまでの径を有する粒子からなる下方気道吸入用乾燥粉末製剤の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 インスリンおよび場合により製薬的に許容しうる担体および下方気道でインスリンの吸収を強化する物質からなる溶液を調製し、溶媒を蒸発またはその他の方法で除去して、固形物を得、次いで場合により、その固形物を粉砕および/または混合して、少なくとも50%が10μmまでの径を有する粒子からなる粉末を得ることからなる、治療用乾燥粉末製剤の製造方法。 【請求項2】 インスリンを下方気道でインスリンの吸収を強化する物質および場合により製薬的に許容しうる担体と一緒に乾燥混合し、次いで場合により、その固形物を粉砕および/または混合して、少なくとも50%が10μmまでの径を有する粒子からなる粉末を得ることからなる、治療乾燥粉末製剤の製造方法。 【請求項3】 製剤を微粉化するさらに別の工程を含む、請求項1または2に記載の方法。 【請求項4】 製薬的に許容しうる担体を用いて粉末の処方された混合物を調製するさらに別の工程を含む、請求項1または2に記載の方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は吸入に適したインスリンの治療製剤に関する。 【背景技術】 【0002】 インスリンは体中の炭水化物、脂肪および蛋白質代謝の調整に中心的な役割を果す。真性糖尿病(普通は簡単に糖尿病と称する)は代謝特にグルコース代謝の異常を特徴とする疾患である。正常な人では血中のグルコースレベルの上昇(例えば食後直ちに生起する)は、膵臓の島のβ細胞に作用してペプチドホルモンのインスリンを血流中に分泌させる。インスリンは、多数の細胞型、顕著には筋肉細胞に存在するインスリンレセプターに結合し、それにより細胞にシグナルが伝達されて、細胞中へのグルコース摂取の割合が増加する。血中ダルコースが正常な食前のレベルに戻るにつれ血液中のインスリンの量もまた下降する。インスリンが存在しない場合には血中グルコースレベルは危険な程高いレベル(高血糖症と云われる状態)まで上昇し、死に至ることもある。余りにも多過ぎるインスリンは異常に低い血中グルコースレベル(低血糖症)を惹起し、これもまた危険であって死に致ることがある。正常な人では、インスリン分泌および体循環からのインスリンのクレアランスを調整する内臓のフォードバックループが、高血糖症および低血糖症の双方が惹起するのを防止している。 【0003】 真性糖尿病はスウェーデンの人口の約3%が罹患している疾患である。これら3%のうち約20%はI型の糖尿病、そして残りはII型の糖尿病に患っている。 【0004】 I型の糖尿病すなわちインスリン依存性の真性糖尿病(IDDM)は通常、幼児期に始まる。それは膵臓のβ細胞の萎縮を特徴とし、それによりインスリン産生が減少または停止し、患者は生存のために体外からのインスリンに依存しなければならない。 【0005】 より普通のII型の糖尿病すなわち非インスリン依存性真性糖尿病(IDDM)は一般的には40才より上の患者に起こる。これらの患者は少なくとも最初は、血中に正常またはやや高いレベルのインスリンを有することができるが、しかしインスリンに応答する異常に低いグルコースの細胞取率を示す。II型の糖尿病は患者のダイエットを調整することにより治療されうることが多いが、患者のβ細胞により分泌されるインスリンを補うための体外からのインスリンの投与もまた必要であることが立証されうる。 【0006】 インスリンは血流に到達しないうちに胃腸管内の酵素および胃における低いpHによって迅速に分解してしまうので、有効な投与量で経口投与することができない。標準的な投与法は、通常は患者自身によってなされる等張インスリン溶液の皮下注射である。注射の必要性は多くの患者に非常に大きな不便および不快を感じさせ、しかも局所反応が注射部位に生じる可能性がある。さらに注射したインスリンのために異常な非生理学的血漿濃度プロフィールが存在する。この血漿濃度プロフィールは望ましくなく、糖尿病の長期治療に関連した副作用の危険を増大させる。 【0007】 これらの不利な点のために、注射以外の投与が可能な形態でのインスリンが必要とされている。このような種々の形態のインスリンを製造する試みにおいて種々の提案がなされた。例えば経鼻、直腸および口内投与用製剤が示唆されたが、経鼻投与用製剤に多くの努力が集中している。しかし、経鼻投与には問題があり、非常に低いバイオアベイラビリティーでのみ許容されうる。ここ数年間では肺での全身性活性薬物のデリバリーについて関心が増大しており、いくつかの研究にはインスリンの肺デリバリーが含まれている。これらの多くは例えばネブライザーおよび加圧計量吸入器によるような肺デリバリー用溶液または懸濁液に関するものであって、その成功はすべて限られたものにすぎなかった。 【発明の開示】 【0008】 本発明 本発明によれば、肺でインスリン吸収を強化する物質をさらに含む吸入用乾燥粉末製剤中にインスリンが包含され、その製剤からインスリンが治療上許容しうる割合および量で吸収されうることが見出された。”吸収を強化する”とは強化剤の存在下で体循環中に吸引されるインスリンの量が、強化剤の不在下で吸収される量よりも多いことを意味する。 【0009】 すなわち、本発明によれば活性化合物の(A)インスリンおよび(B)下方気道でインスリンの吸収を強化する物質を含有しており、そして活性化合物の全質量の少なくとも50%が(a)約10μより小さい径例えば0.01〜10μ好ましくは1〜6μの径を有する主要粒子または(b)該粒子の塊りからなる吸入用に適した乾燥粉末の形態である治療製剤が提供される。 【0010】 本発明の治療製剤は前記活性化合物のみを含有してもよいし、またはその他の物質例えば製薬的に許容しうる担体を含有してもよい。この担体は大部分的10μより小さい径を有する粒子からなることができ、そこで全体として得られる粉末の少なくとも50%は場合により凝集された約10μより小さい径を有する主要粒子からなる。あるいはまた、担体はより大きな粒子(”粗い粒子”)から大部分なっていて、活性化合物とその担体とで”処方された混合物(ordered mixture)”が生成されうる。あるいはまた、相互作用性または粘着性混合物として知られている処方された混合物中において微細な薬物粒子(本発明では活性化合物)は粗い賦形剤粒子(本発明では製薬的に許容しうる担体)の表面にかなり均一に分配される。このような場合には活性化合物は、処方された混合物が得られる前には塊りの形態でないのが好ましい。粗い粒子は20μ以上例えば60μ以上の径を有することができる。これらの下限以上であれば、粗い粒子の径は臨界的に重要ではないので個々の処方の実際的な要求に応じて、所望により粗い粒子の種々の径が使用されうる。処方された混合物中の粗い粒子が同一の大きさである必要はないが、しかし粗い粒子は処方された混合物内で類似の大きさからなるのが有利である。粗い粒子は60〜800μの径を有するのが好ましい。 【0011】 すなわち、特定の態様において本発明はインスリンおよび下方気道でインスリンの吸収を強化する物質からなる治療製剤であって、その製剤は質量基準で少なくとも50%が(a)約10μより小さい径を有する粒子または(b)該粒子の塊りからなる吸入用に適した乾燥粉末の形態で存在する製剤を提供する。さらになお特定の態様において本発明は活性化合物の(A)インスリンおよび(B)下方気道でインスリンの吸収を強化する物質(ここで活性化合物(A)および(B)の全質量の少なくとも50%は約10μより小さい径を有する粒子からなる)並びに製薬的に許容しうる担体を含有する治療製剤であって、その製剤は活性化合物と製薬的に許容しうる担体とで処方された混合物が生成されうる吸入用に適した乾燥粉末の形態で存在する製剤を提供する。 【0012】 活性化合物の(A)および(B)の全質量の好ましくは少なくとも60%例えば少なくとも70%または少なくとも80%およびさらに好ましくは少なくとも90%は、約10μより小さい径を有する粒子またはそのような粒子の塊りからなる。そして処方された混合物が望まれる場合以外に乾燥粉末製剤が担体を含む場合には全乾燥粉末の質量基準で好ましくは少なくとも60%例えば少なくとも70%または少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%は約10μより小さい径を有する粒子またはそのような粒子の塊りからなる。 【0013】 一方、製薬的に許容しうる担体を含有するかまたは含有しない場合のいずれにせよ、その吸入用乾燥粉末は前述のような粒子の塊りを含有することができ、吸入時にいずれかの塊りは実質的に脱凝集して少なくとも50%が10μまでの径を有する粒子からなる粉末を生成する。これらの塊りは制御された凝集過程の結果であるか、または単に粉末粒子の緊密な接触の結果でありうる。いずれの場合にもそれらの塊りは例えば吸入器中の機械的手段またはその他の方法によって脱凝集されて前記粒子になることが可能である。塊りは一般的には、前記の処方された混合物中には生成されないのが好ましい。処方された混合物の場合には活性化合物は好ましくは吸入と同時に、吸入器中の機械的手段もしくは簡単には吸入の作用またはその他の手段のいずれかによって大きな粒子から当然放出され、ついで活性化合物は下方気道中に沈積されそして担体粒子は口の中に沈積される。 【0014】 インスリンの任意の生物活性形態または誘導体が本発明において使用されうる。例えばウシインスリン、ブタインスリンまたは生合成もしくは半合成のヒトインスリンまたは例えばBrange et al. , "Diabetes Care" 13: 923, 1990に教示されているようなある種のアミノ酸置換を有するヒトインスリンの生物活性誘導体(”変性インスリン”)が使用されうる。変性インスリンは種々の性質の改善例えば安定性の改善または改善された薬物動力学的プロフィール(すなわち上皮膜を介する吸収の改善されたプロフィール)を得るために開発されている。インスリンは少量の亜鉛含量を有するべきである。なぜならば亜鉛はインスリンの溶解度を低下させ、おそらくはその吸収速度を減少させるからでありかつまた亜鉛は本発明で使用するある種の強化剤物質と一緒になって望ましくない不溶性沈殿を生成することがあるからである。さらにインスリンは水溶液中で迅速に溶解する乾燥粉末の形態で存在すべきである。 【0015】 肺中でインスリンの吸収を強化する物質(以下、強化剤と称する)は、下方気道で上皮細胞層を介しそして隣接する肺の脈管構造中への吸収を強化するように作用する多数の化合物のいずれかであることができる。強化剤がこれを成就しうるのは下記のいくつかの可能な機序: (1)上皮細胞間の強い接合における構造変化を生起させることによるインスリンの細胞周辺浸透性の強化; (2)膜の蛋白質成分または脂質成分と相互作用するかまたはそれらを抽出し、それにより膜の無欠状態をかき乱すことによるインスリンの細胞通過浸透性の強化; (3)水溶液中におけるインスリンの溶解性を増大させるところの強化剤とインスリンとの間の相互作用;これはインスリンの塊り(二量体、三量体、六量体)の形成を防止することによりまたは強化剤ミセル中にインスリン分子を溶解させることにより生起させうる; (4)肺胞に沿って並ぶ粘液障壁の粘度を減少させるかまたはその障壁を溶解し、肺を通過させ、それにより上皮表面をインスリンの直接吸収のために露出する; のいずれかによる。 【0016】 強化剤は前述のたった1つの機序または2以上のそれによって作用することができる。いくつかの機序による作用する強化剤は、たった1つまたは2つの機序を用いる強化剤よりも効率のよいインスリン吸収を促進するようである。例えば界面活性剤は、前述の全ての4つの機序により作用すると思われる強化剤の1種である。界面活性剤は親油性および親水性の両部分を有する両親媒性分子であって、これら2種の特性間のバランスは変化する。分子が非常に親油性である場合、水中における該物質の低溶解性はその有用性を制限しうる。しかし、親水性部分が圧倒的に優位を占める場合には分子の界面活性性質は最小でありうる。すなわち、有効であるためには界面活性剤は十分な溶解性と十分な界面活性との間に適切なバランスを保たなければならない。 【0017】 重要でありうる別の界面性質は肺中のpH値(約7.4)での界面活性剤の正味の荷電である。インスリンの等電pHは5.5である。pH7.4でインスリンは正味の負電荷を有する。これはインスリン分子間に静電反応を生成させ、次いでそれが凝集を防止し、それにより溶解性が増加される。また界面活性剤が負に荷電しており、しかも例えば疎水性相互作用によりインスリンと相互作用しうる場合には、インスリン分子間のさらに別の反発が生起する。すなわ、陰イオン界面活性剤は単量体状態でインスリンの安定化を促進するために吸収を強化するというさらに別の利点(生理学的pHで中性または正味の正電荷を有するものと比較して)を有する。 【0018】 本発明方法で強化剤として有用であると考えられる多数の種々の化合物を後記実施例5に記載のようにしてラットで試験した。知られた吸収強化性質を有するかまたは本発明方法で使用するのに有望な候補にさせる物理学的特性を有するその他の物質を、当業者ならばin vivoアッセイあるいはまた実施例6に記載のようなin vitroアッセイで容易に試験することができる。 【0019】 2個以上の強化剤物質の組合せもまた良好な結果を与えるということができる。本発明方法でのそのような組合せの使用は本発明内にあると考えられる。 【0020】 本発明方法で有用な強化剤はインスリン吸収の有効な強化性を(1)使用する各濃度での毒性の欠除および(2)良好な粉末性質すなわち固形状態における粘稠またはワックス性コンシスティシーの欠除と共に合わせ持っている。ある物質の毒性は、例えばInt. J. Pharm., 65(1990), 249-259に記載のような標準的な手法例えばMTTアッセイによって試験することができる。ある物質の粉末性質はそれらの物質について公開されたデータからまたは経験的に確かめることができる。 【0021】 非常に有望なタイプの強化剤の1種は脂肪酸の塩である。本発明によれば炭素鎖の長さが10(すなわちカプリン酸ナトリウム)、12(ラウリン酸ナトリウム)および14(ミリスチン酸ナトリウム)の飽和脂肪酸のナトリウム塩が本発明方法では十分に役立つことが見出された。カプリン酸のカリウム塩およびリジン塩もまた本発明方法で有効であることが見出された。炭素鎖の長さが約10よりも短い場合には、界面活性剤の界面活性は余りにも低く、そして炭素鎖が約14より長い場合には水中での脂肪酸塩の溶解性の減少のためにその有用性は制限される。 【0022】 本発明において下方気道でインスリンの吸収を強化する物質はカプリン酸ナトリウムであるのが最も好ましい。 【0023】 従って、特に好ましい態様において本発明は活性化合物の(A)インスリンおよび(B)カプリン酸ナトリウムを含有する治療製剤であって、前記活性化合物(A)および(B)の全重量の少なくとも50%が(a)約10μより小さい径例えば0.01〜10μ好ましくは1〜6μの径を有する主要粒子または(b)該粒子の塊りからなる吸入用に適した乾燥粉末の形態で存在する製剤を提供する。詳しく云えば、この特に好ましい態様において本発明は、 インスリンおよびカプリン酸ナトリウムを含有する治療製剤であって、その製剤は質量基準で少なくとも50%が(a)約10μより小さい径を有する粒子または(b)該粒子の塊りからなる吸入用に適した乾燥粉末の形態で存在する製剤; インスリン、カプリン酸ナトリウムおよび製薬的に許容しうる担体を含有する治療製剤であって、その製剤は質量基準で少なくとも50%が(a)約10μより小さい径を有する粒子または(b)該粒子の塊りからなる吸入用に適した乾燥粉末の形態で存在する製剤;および 活性化合物の(A)インスリンおよび(B)カプリン酸ナトリウム(ここで活性化合物(A)および(B)の全質量の少なくとも50%が約10μより小さい径を有する粒子からなる)並びに製薬的に許容しうる担体を含有する治療製剤であって、その製剤は活性化合物と製薬的に許容しうる担体とで処方された混合物が生成されうる吸入用に適した乾燥粉末製剤の形態で存在する製剤; を提供する。 【0024】 種々の対イオンは水中における飽和脂肪酸の溶解性を変えることができ、それで10〜14個以外の炭素の長さを有する強化剤が前記で具体的に述べた各強化剤よりも遥かに有利でさえあることが分かった。不飽和脂肪酸の塩もまた、飽和脂肪酸の塩よりも水溶性が大きくそしてそれ故に飽和脂肪酸の塩よりも長い鎖の長さを有しかつインスリン吸収の優れた強化剤に必要とされる溶解性を依然として維持することができるという理由で本発明において有用でありうる。 【0025】 胆汁酸塩およびその誘導体を本発明方法での強化剤としての有用性について試験した。試験したそれらの全て(ウルソデオキシコール酸、タウロコール酸、グリココール酸およびタウロジヒドロフシジン酸の各ナトリウム塩)は肺でのインスリンの吸収を有効に強化した。 【0026】 リン脂質もまた強化剤として試験した。単一鎖のリン脂質(リンホスファチジルコリン)は有効な強化剤であり、一方2つの二重鎖のリン脂質(ジオクタノイルホスファチジルコリンおよびジデカノイルホスファチジルコリン)はそうではないことが本発明により分かった。これは二重鎖リン脂質がそれらの単一鎖対応物よりも水中での溶解性が遥かに低いという事実によって説明されうる。しかし、より長い鎖を有する二重鎖リン脂質よりも大きな水溶解性を有するより短い鎖の長さを有する対応物が本発明での強化剤として有用であると予想することは理のあることであり、従って単一および二重鎖のリン脂質の双方を使用することができる。 【0027】 1種のグリコシド、オクチルグルコピラノシドを本発明での強化剤として試験したところ、若干の吸収を強化する性質を有することが分かった。その他のアルキルグリコシド例えばチオグルコピラノシドおよびマルトピラノシドもまた、本発明方法において吸収強化性質を示すことが予想されうる。 【0028】 シクロデキストリンおよびその誘導体はインスリンの経鼻吸収を強化し、肺の場合と同様に作用しうる。ジメチル−β−シクロデキス卜リンを本発明方法で試験したところ、吸収強化作用を有することが分かった。 【0029】 その他の考えられる有用な界面活性剤はサリチル酸ナトリウム、5−メトキシサリチル酸ナトリウムおよび天然産の界面活性剤例えばグリシルリジン酸の塩、サポニングリコシドおよびアシルカルニチンである。 【0030】 イオン性強化剤(例えば前記の陰イオン界面活性剤)の場合には対イオンの性質が重要であることがある。選択される個々の対イオンが強化剤またはそれを含有する任意処方物の粉末性質、溶解性、安定性、吸湿性および局所/全身毒性に影響を及ぼすことがある。また、その対イオンは強化剤が合一されているインスリンの安定性および/または溶解性にも影響しうる。一般に、1価の金属陽イオン例えばナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウムおよびセシウムが陰イオン性強化剤用の対イオンとして有用であることが予想される。アンモニアおよび有機アミンはカルボン酸部分を有する陰イオン性強化剤とともに使用するのに適切であると予想される別種の陽イオンを形成する。そのような有機アミノの例としてはエタノ−ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルエチルアミン、ベタイン類、エチレンジアミン、N,N−ジベンシルエチレンテレンテトラアミン、アルギニン、ヘキサメチレンテトラアミン、ヒスチジン、N−メチルピペリジン、リジン、ピペラジン、スペルミジン、スペルミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを挙げることができる。 【0031】 肺におけるインスリン吸収の有効な強化は試験した多くの強化剤で観察されたので、さらにこの方法で作用する多くのそれ以上の強化剤が見出されると予想される。デンプン微小球は鼻の膜を介して送達されるインスリンのバイオアベイラビリティーを強化し、本発明において強化剤として試験された。それらはここで使用した動物モデルでの肺経路を介するデリバリーについてはほとんど有用性のないことが分かったけれども、これは主として技術上の困難性によるのであって、それが克服されるならば肺経路を介する良好なデリバリーになりうるものと考えられる。キレート剤は、カルシウムイオンを結合させることにより作用すると思われる強化剤の1種である。カルシウムイオンは細胞間の空間の寸法を維持しそしてさらにインスリンの溶解性を減少させるのに役立つが、理論的にはこれらイオンの結合がインスリンの溶解性およびインスリンの細胞周辺浸透性の双方を増加させるのであろう。試験した1つのキレート剤、エチレンジアミンテトラ酢酸ナトリウム(EDTA)は試験したラットモデルでのインスリンの吸収強化において有効でないことが分かったが、他のカルシウムイオン結合のキレート剤はより有用であることが判明されうる。 【0032】 一般に、インスリン対強化剤の割合をできるだけ高く、インスリン吸収の速くてかつ効率のよい強化を可能ならしめる範囲内に保つことが望ましい。これは、強化剤に由来する局所および全身の双方における悪い作用の危険を最小にするために重要である。インスリン対強化剤の最適比は、本明細書中に記載のようなin vivoモデルで種々の割合を試験することによりいずれも一定の強化剤について確かめることができる。例えば、インスリンはカプリン酸ナトリウムとw/w比で、50/50、75/25、82.5/17.5および90/10で併用された。インスリン吸収の有意な改善は50%および25%のカプリン酸トナトリウムの場合に得られ、10%は吸収改善はよくなかったしそして17.5%の場合の結果は中間であった。これは本発明方法で使用するのに最小のカプリン酸ナトリウム有効濃度は約15〜25%、たぶん20〜25%であることを示している。その他の強化剤はインスリンに関してより高いかまたはより低い最適濃度を有することができ、従って個々の強化剤のそれぞれは別々に試験しなければならない。しかし、上記結果に基づくと界面活性タイプの強化剤の最適割合はインスリン/強化剤の混合物の一般的には10〜50%、例えば15〜50%、例えば25〜50%であると予想される。上記割合はインスリンだけに関する強化剤の割合を示すのであって、例えば処方物の粉末性質を改善するのに添加されうるいずれかの担体またはその他の添加剤を考慮してはいないことに注目すべきである。 【0033】 本発明により吸収されるインスリンの量は強化剤が存在しない場合に吸収される量よりも有意に高いことが可能である。実施例4に吸入された際の本発明の治療製剤がインスリン単独の吸入製剤の場合より、3倍以上も大きなバイオアベイラビリティーを示すことが開示されている。 【0034】 本発明により吸収されるインスリンの量は強化剤のない場合に吸収された量よりも有意に(p<0.05)多いのが好ましい。 【0035】 前述のように、治療製剤中に普通含まれる添加物質例えば製薬的に許容しうる担体は本発明の治療製剤中に包含されうる。添加物質は例えば、個々の指定された粉末吸入器からのデリバリーに適する量に粉末を希釈するために;製剤の加工を容易にするために;製剤の粉末性質を改善するために;性質の安定性を例えば抗酸化剤またはpH調整化合物を用いることにより改善するため;または製剤に味を付けるために包含されうる。いずれもの添加剤はインスリンまたは吸収強化剤の安定性に悪影響を与えるべきではないし、またはインスリン吸収と不利に相互作用すべきでもない。また、それは安定であり、非吸湿性であり、良好な粉末性質を有しかつ気道に悪影響を及ぼさないことが必要でもある。可能な添加剤の例としては単糖類、二糖類および多糖類、糖アルコールおよびその他のポリオール例えばラクトース、グルコース、ラフィノース、メレジトース、ラクチトール、マルチトール、トレハロース、スクロース、マンニトールおよびデンプンを挙げることができる。ラクトースおよびグルコースのような還元糖は蛋白質と錯体を形成する傾向があるので非還元糖例えばラフィノース、メレジトース、ラクチトール、マルチトール、トレハロース、スクロース、マンニトールおよびデンプンが本発明では使用するのに好ましい添加剤でありうる。使用する吸入器によるが、このような添加剤の全量は非常に広い範囲で変化しうる。ある状況では添加剤はほとんどまたは全く必要とされないが、一方例えば手術用に大きな粉末容量を必要とする吸入器の場合には治療製剤の極めて高い%が添加剤からなりうる。望ましい添加剤の量は当業者ならば個々の状況によって容易に決定することができる。 【0036】 患者の肺の中に粉末を送達するのに有用な機序は乾燥粉吸入に適した携帯用の吸入器具を介して発揮される。典型的には抗喘息剤または抗炎症剤を呼吸器系に送達するように設計された多くのこのような器具が市販されている。この器具は水分から粉末を保護しそして場合によっては起るかもしれない多投与量からの危険のない設計からなる乾燥粉末吸入器であるのが好ましい。さらに光からの粉末の保護;広範な流速間隔での呼吸可能な高フラクションおよび肺への高沈積;小さな投与量ずれおよび呼吸可能なフラクション;口内における少ない粉末保留;吸入器表面への少ない吸着;投与量サイズの可撓性および小さな吸入抵抗;のうちのできるだけ多くが所望される。吸収器は単一投与量吸入器であるのが好ましいが、多数回投与量吸入器好ましくは例えば多数回使用のための多数回投与用の呼吸始動型乾燥粉末吸入器もまた使用されうる。使用する吸入器は単一使用のための単一投与量用の呼吸始動型乾燥粉末吸入器であるのが好ましい。 【0037】 記載された粉末製剤は慣用技法を用いていくつかの方法で製造されうる。下方気道中の最大沈積に適切な粒径範囲(すなわち10μm未満)の主要粒子を製造するには、活性化合物および所望により(すなわち処方された混合物が意図されない場合)任意の担体を適当なミル例えばジェットミル中でその工程のある時点において微粉化することが必要である。例えばインスリンおよび強化剤の各粉末並びに適切な場合には担体を乾燥混合し、次にそれらの物質を一緒に微粉化することができる。あるいはまた、これらの物質を別々に微粉化し次いで混合することもできる。混合すべき化合物が例えば硬度およびもろさのような種々の物理学的性質を有する場合には、耐微粉化性は変化し、それら化合物は適当な粒径に粉砕されるのに種々の圧力を必要とする。すなわち、一緒に微粉化される場合には各成分の1つの得られた粒径が十分でないことがある。そのような場合は種々の成分を別々に微粉化し次いでそれらを混合するのが有利である。 【0038】 また最初には、処方された混合物が意図されない場合には任意の担体を含む各成分を適当な溶媒例えば水中に溶解して分子レベルで混合することも可能である。この操作はまたpH値を所望レベルに調整することも可能ならしめる。インスリンの経鼻吸収は製剤のpH値によって影響され、約5.5であるインスリンの等張点から上または下のいずれかで移動させると吸収が増加されることは知られている。しかし、インスリンは5.5より上または下でのpHにおいては有意に安定性が劣ることあり、さらにまた吸入製剤用のpH3.8〜8.5の製薬的に許容しうる範囲も考慮されなければならない。なぜならば上記範囲外のpHを有する製剤は気道の刺激および収縮を惹起させうるからである。粉末を得るために溶媒はインスリンの生物活性を保持する方法によって除去されなければならない。適当な乾燥方法としては真空濃縮、開放乾燥、噴霧乾燥および凍結乾燥がある。数分以上で40℃以上の温度はインスリンの分解が若干起こりうるので一般的には回避すべきである。乾燥工程に続いて、固形物質を必要により粉砕して粗い粉末を得、次いで必要により微粉化することができる。 【0039】 所望により、微粉化粉末を例えば乾燥顆粒化により流動性質を改善するよう処理すると優れた取扱い特性を有する小球の塊りが得られ、それを指定の吸収器具中に混入させることができる。このような場合にはその器具は塊りが器具から出る前に確かに実質的に脱凝集されるように形づくられ、それ故に患者の気道に入る粒子は大部分、所望の粒径範囲内にある。 【0040】 処方された混合物を所望する場合には、所望により特定の粒径範囲内の粒子を得るために活性化合物を例えば微粉化により加工することができる。担体もまた、所望の粒径および望ましい界面性質例えば特定の界面対重量の比またはある種のでこぼこを得るためにおよび処方された混合物内に最適な粘着力を保証するために加工されうる。処方された混合物のこのような物理学的要件は、該要件をみたす処方された混合物を得る種々の手法があるようによく知られておりそして当業者ならば個々の状況によって容易に決定することができる。 【0041】 以下に本発明を実施例により説明するが、それらは本発明を説明するためであって、本発明の範囲を限定するものではない。 【実施例】 【0042】 比較例 強化剤を含まないインスリンの治療製剤 半合成ヒトインスリン(Diosynth、0.8g)および水(150ml)をビーカーに加えた。pHを1M HClで下げてpH3.4にし次いで1M NaOHで上げてpH7.4にしてインスリンを溶解した。 ラクトース(商業的に入手しうる、9.2g)を加え、pHを再び調整してpH7.4にした。その溶液を透明または薄いオパールのような色になるまで撹拌し、次に37℃で約2日間蒸発により濃縮した。 得られた固形ケーキを粉砕し、0.5mm篩にかけて篩分けし、得られた粉末をジェットミルで微粉化して約2μの径を有する粒子にした。 【0043】 実施例 1 インスリンおよびカプリン酸ナトリウム(75:25)からなる治療製剤 半合成ヒトインスリン(9.75g)および水(250ml)をビーカーに加えた。pHを1M HClで下げてpH3.4にし、次に1M NaOHで上げてpH7.4にしてインスリンを溶解した。 カプリン酸ナトリウム(Sigma、3.25g)を加え、pHを再び調整してpH7.4にした。その溶液を透明または薄いオパールのような色になるまで撹拌し、次に37℃で約2日間蒸発により濃縮した。 得られた固形ケーキを粉砕し、0.5mm篩にかけて篩分けし、得られた粉末をジェットミルで微粉化して約2μの径を有する粒子にした。 【0044】 実施例 2 インスリンおよびカプリン酸ナトリウムをラクトースとともに、50:25:25の比率で含有する治療製剤 半合成ヒトインスリン(7.5g)を実施例1のように水(150ml)中に溶解した。カプリン酸ナトリウム(3.75g)およびラクトース(3.75g)を加え、実施例1の操作に従って、大部分が約2μの径を有する粒子からなる粉末を得た。 【0045】 実施例 3 インスリンおよびカプリン酸ナトリウムをラクトースとともに、4:4:92の比率で含有する治療製剤 半合成ヒトインスリン0.5g、水150ml、カプリン酸ナトリウム0.5gおよびラクトース11.5gを用いて実施例2の操作に従った。 【0046】 吸入についての検討 検討 1 2匹のイヌでの吸入についての検討において実施例1の製剤を使用した。製剤をライトダストフィード(Wright Dust Feed)吸入器に充填し、イヌに投与した。投与量は1U/kg(1U=ヒトリンスリン1単位=ヒトインスリン35μg、100%)である。血中グルコースおよび血漿インスリンの各値は種々の時間間隔で測定した。結果は下記の表IおよびIIに要約されている。 【表1】
【0047】 【表2】
【0048】 上記の各表は、インスリン/カプリン酸ナトリウムの製剤が、顕著にインスリンの血漿レベルを増加させ、血中グルコースを減少させることを説明している。血漿インスリンのピーク値および血中グルコースの最小値はそれぞれ約15分後および約60分後に得られた。 【0049】 検討 2 前記の比較例および実施例1の各製剤をそれぞれ、1U/kgの一定投与量でライトダストフィード吸入器を用いて4または5匹のイヌに投与した。血漿インスリンレベルおよび血中グルコースレベルに及ぼす各処方物の効果を種々の時点で測定した。結果は図の1および2に説明されている。強化剤を全く含有しない対照処方物は本質的には血漿インスリンレベルに全く変化がなかったが、インスリンと強化剤の両方を含有する処方物は0時での約20μU/mlから粉末吸入の15分後における約80μU/mlまで血漿インスリンレベルを上昇させたことが分かった。同様に、対照動物では強化剤を含まないインスリンの吸人後に血中グルコース約0.5ミリモル/lで最大滴量が記録されたが、インスリンおよび強化剤を吸入した動物で約4.0ミリモル/lから約2.3ミリモル/lまでの約1.7ミリモル/lの一過性滴量が記録された。すなわち、強化剤のカプリン酸ナトリウムと併用したインスリンは体循環中に急速に吸収されそしてそれより除去され、血中グルコースレベルが対応して一時的に減少された。逆に強化剤を含有しないが担体(ラクトース)を含むインスリンは極めて少量だけ(p=0.002,インスリン/ラクトースに関して)吸収されたことが検出された。 【0050】 検討 3 実施例1〜3の製剤をそれそれ種々の投与量で2匹のイヌを用いて試験した。製剤の投与は、ライトダストフィード吸入器を用いて実施した。血漿インスリンおよび血中ダルコースの各レベルは吸入後に種々の時間間隔て測定した。結果は図3〜6に示されており、そこには種々の割合でカプリン酸ナトリウムと併用されたインスリンが急速に吸収されることおよび20〜30分後にピーク値が得られ次いで血中グルコースレベルが対応して減少することが示されている。これらの結果はまた、インスリン粉末の吸入によりインスリンの皮下注射後に得られるよりも自然な生理学的プロフィールにより似ている血漿プロフィールが得られることを示している。 【0051】 実施例 4 インスリンおよびカプリン酸ナトリウム(75:25);微粉化粉末の混合 生合成ヒトインスリン(53g)をエアフィルコジェットミル(Airfilco Jet Mill)(商標、Airfilco Process Plant Limited)中で加圧窒素(供給圧7バール、室圧5バール)を用いて質量中央径2.4μmに微粉化した。 カプリン酸ナトリウム(170g)をエアフィルコジェットミル(TM)中で加圧窒素(供給圧5バール、室圧3バール)を用いて質量中央径1.6μlに微粉化した。 【0052】 これらの微粉化した生合成ヒトインスリン(45g)およびカプリン酸ナトリウム(14.26g)を次の操作すなわち4.4l容量の混合シリンダーからなっていて、幅1mmの篩によって2つの区画(それぞれの区画には混合および撹拌促進のために金属の環が具備されている)に分けられた混合装置にインスリンの半分を加える操作によって乾燥混合させた。カプリン酸ナトリウムおよび最後の残りのインスリンを加えた。混合シリンダーを閉じ、180°回転し次に電勧化された振とう装置中に入れた。モーターを始動させて約2分間振とうを続けた後に全てのインスリンおよびカプリン酸ナトリウムを飾にかけた。モーターを停止させて混合シリンダーを180°回転し、再び振とう装置に入れそして全ての粉末が飾を通過するまで再び振とした。この操作をさらに8回繰り返して全混合時間約20分がかかった。 【0053】 こうして得られた製剤を5匹のイヌに1U/kgの投与量レベルでライトダストフィート吸入器を用いて吸入投与し、次に投与後の種々の時点で血漿インスリンレベルを測定した。 【0054】 得られた結果は、前述のように質量中央径2.4μlに微粉化した生合成インスリンを同一の手法および同一の投与量レベルで5匹のイヌに投与した場合に得られた血漿インスリンレベルおよび90:10の比率のインスリンおよびカプリン酸ナトリウムからなる治療製剤を前記と同一の手法および同一の投与量レベルで5匹のイヌに投与した場合に得られた血漿インスリンレベルについて比較した。この場合、治療製剤は以下のようにして調製した。すなわち半合成ヒトインスリンをゲル濾過して、インスリン音量基準で亜鉛含量を0.52%から0.01%に減少させた。インスリン(4.5g)およびカプリン酸ナトリウム(0.5g)を水(232ml)中に溶解した。溶液を撹拌して清澄にし、pHを7.0に調整した。その溶液を37℃で約2日間蒸発させることにより濃縮した。得られた固形ケーキを粉砕し、0.5mm篩にかけ、得られた粉末をジェットミルで微粉化して質量中央径3.1μmを有する粒子にした。 【0055】 これらの比較の結果は図9に示されている。これらの結果はインスリン単独と比較した場合における90:10の処方物のインスリンのバイオアベイラビリティーにおける若干の改善および本発明による75:25製剤のインスリンのバイオアベイラビリティーにおける顕著な改善を示している(75:25と100:0との間の差についてp=0.0147)。 【0056】 実施例 5 強化剤の選択 表IIIに掲げた化合物のそれそれを、ラットモデルでインスリンの吸収を強化しそして血中クルコースレベルに影響を及ぼす該ラットの能力について試験した。種々の形態のインスリンすなわち組換えまたは半合成のヒトまたはウシのインスリンを用いた。各処方物を前記実施例1〜3のようにして調製し、インスリン/強化剤の溶液を乾燥し、加工して吸入用粉末を得た。 【0057】 この粉末を各ラットに吸入投与し、これらラットの血中グルコースレベルを引続き調べた。これらのレベルを、強化剤を含まないインスリン処方物を吸入したラットから得られた対応する値と比較した。 【0058】 【表3】
【0059】 実施例 6 強化剤の選択 上皮細胞系CaCO-2(アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC), Rockville, MD. USAより入手可能)を使用する標準in vitroアッセイは、上皮細胞単層を横切るインスリンおよびその他の標識物質の輸送を促進することができる種々の強化剤化合物の能力を評価するために、肺で行なう血液の供給から肺胞を分離するように肺中で作用する上皮細胞層のためのモデルとして開発された。このアッセイでは、強化剤およびインスリンまたは他の標識物質を種々の割合および/または濃度で水溶液中に溶解し、細胞単層の頂上側に適用する。37℃および95%RH(相対湿度)で60分インキュベーションした後に、細胞の外側基底側にある標識物質の量は例えば放射能標識付けした標識物質を使用することにより測定される。図5および6で示された実験で試験した特定の強化剤(カプリン酸ナトリウム)の場合には、外側基底側に現れる標識物質(マンニトール、MW 360)の量は使用する強化剤の濃度、ともかくカプリン酸ナトリウム16mMまでの濃度に左右される(図7参照)。これは、インスリンが強化剤/マンニトールの混合物に加えられる場合でさえ同様である(1:3のカプリン酸ナトリウム:インスリン、重量基準)(図8参照)。カプリン酸ナトリウムの濃度(16mM)はまた細胞単層を横切るインスリンの吸収を促進することが見出された。単層を横切るインスリンの量は16mMのカプリン酸ナトリウムの存在下では、強化剤の存在しない場合の量と比較して2倍であった。カプリン酸ナ卜リウムのより高い濃度では細胞の浸透性がさらに増加するが、しかしカプリン酸ナトリウムの潜在的な毒性のためにこの特定の強化剤の実質的により高い濃度での使用は妨げられることがあると考えられる。 【0060】 上皮細胞浸透性の上記in vitroモデルは、本発明方法の有用性について任意の所望される強化剤を迅速に試験するためのスクリーニングツールとして使用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0061】 【図1】比較例1および実施例1の製剤をそれぞれ1U/kgの一定投与量でライトダストフィード吸入器を用いてイヌに投与した場合のそれぞれの血中グルコースレベルのグラフ。 【図2】比較例1および実施例1の製剤をそれぞれ1U/kgの一定投与量でライトダストフィード吸入器を用いてイヌに投与した場合のそれぞれの血漿インスリンレベルのグラフ。 【図3】実施例1〜3の製剤を種々の投与量でイヌに投与した場合の血漿インスリンのグラフ。 【図4】実施例1〜3の製剤を種々の投与量でイヌに投与した場合の血漿インスリンのグラフ。 【図5】実施例1〜3の製剤を種々の投与量でイヌに投与した場合の血中グルコースのグラフ。 【図6】実施例1〜3の製剤を種々の投与量でイヌに投与した場合の血中グルコースのグラフ。 【図7】外側基底側に現れる標識物質の量とカプリン酸ナトリウム濃度の関係。 【図8】インスリンがカプリン酸ナトリウム/マンニトールの混合物に加えられる場合の標識物質の量とカプリン酸ナトリウムの濃度の関係。 【図9】生合成インスリン、またはインスリンおよびカプリン酸ナトリウムの混合物をイヌに投与した場合の血漿インスリンレベルの比較。
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| 【出願人】 |
【識別番号】391008951 【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ 【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
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| 【出願日】 |
平成17年11月9日(2005.11.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062144 【弁理士】 【氏名又は名称】青山 葆
【識別番号】100067035 【弁理士】 【氏名又は名称】岩崎 光隆
【識別番号】100064610 【弁理士】 【氏名又は名称】中嶋 正二
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| 【公開番号】 |
特開2006−89496(P2006−89496A) |
| 【公開日】 |
平成18年4月6日(2006.4.6) |
| 【出願番号】 |
特願2005−325056(P2005−325056) |
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