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【発明の名称】 肝線維化抑制剤
【発明者】 【氏名】河野 透

【氏名】綾部 時芳

【要約】 【課題】慢性肝炎における肝線維化を抑制する医薬の提供。

【解決手段】ポラプレジンクを有効成分とする肝線維化抑制剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポラプレジンクを有効成分とする肝線維化抑制剤。
【請求項2】
ポラプレジンクを有効成分とする慢性肝炎における肝線維化抑制剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性肝炎の進行に伴って生じる肝線維化を抑制する医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性肝炎は、主に肝炎ウイルスによる慢性的な肝障害であり、急性ウイルス肝炎や一定期間経過しても治癒しないものや、同じような症状のものをいう。ウイルス性の慢性肝炎にはB型慢性肝炎、C型慢性肝炎等がある。ウイルス以外の原因としてはアルコール、薬物、中毒、脂肪肝、ウイルソン病、自己免疫性肝炎などがある。
【0003】
これらの慢性肝炎が進行すると肝硬変となる。肝硬変の病理学的所見は、肝細胞の持続的な崩壊が起こり、通常では肝細胞の再生によって修復されるのが、肝細胞の障害が強くそれに続いて起こる炎症反応が長時間持続、反復することで線維が多くなって硬くなり、残存した肝細胞の強い再生とあわさって肝臓内に結節を形成する。この結節が肝臓内部の静脈を中心とする血管系を圧迫して、肝臓の内外の血行を大きく障害する。これによって門脈圧の亢進、肝血流の減少などが起こり、これらのことが更に肝細胞の障害を増悪させるという悪循環が起こる。
【0004】
このように慢性肝炎から肝硬変に至る際に、肝の線維化が生じ、これにより可逆的な状態である慢性肝炎から不可逆的な状態である肝硬変になる。従って、慢性肝炎の進行に伴なって生じる肝線維化を抑制する薬剤は、慢性肝炎の治療薬として極めて重要である。
【0005】
従来の慢性肝炎治療薬としては、インターフェロン、ラミブジン及び肝庇護剤等が知られているが、インターフェロン及びラミブジンは抗ウイルス剤であり、肝庇護剤は主に肝細胞障害に対する効果が期待される薬剤であり、肝線維化抑制効果はない。
【0006】
一方、ポラプレジンク(L−カルノシン亜鉛塩)は、消化性潰瘍治療薬(特許文献1)として有用であることが知られており、広く使用されている。またポラプレジンクは、急性肝炎モデルである四塩化炭素肝障害に有効であることが知られている(特許文献2)。しかし、ポラプレジンクが慢性肝炎に対してどのような作用をするかは全く知られていない。
【特許文献1】特開昭59−88270号公報
【特許文献2】特開昭63−14728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、慢性肝炎における肝線維化を抑制する医薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者は、慢性肝炎モデルであり、四塩化炭素肝障害とは全く異なる機序で肝障害が生じることが知られているチオアセタミドモデルを用いて肝線維化抑制薬を探索したところ、ポラプレジンクが優れた肝線維化抑制作用を有することを見出し本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、ポラプレジンクを有効成分とする肝線維化抑制剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、慢性肝炎に伴なって生じる肝線維化を顕著に抑制することができ、慢性肝炎から肝硬変への進行を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明医薬の有効成分であるポラプレジンク、すなわち、L−カルノシン亜鉛塩は、例えば前記特許文献1、2、特公平7−116160号公報、特公平3−5367号公報等に記載の製法により得ることができる。
後記実施例に示すように、ポラプレジンクは慢性肝炎モデルであるチオアセタミドモデルに対し、優れた治療効果、特に肝線維化マーカーである、組織中のヒドロキシプロリン量、ヒアルロン酸を顕著に低下させ、かつ組織学的にも肝線維化を顕著に抑制し、またTGF−β1量も顕著に低下させる作用を有する。ポラプレジンクのこのような効果が、チオアセタミドの前投与でなく、チオアセタミドを投与している途中の投与、すなわち慢性肝炎発症後の投与でも得られたことは極めて重要である。従って、ポラプレジンクは、肝線維化抑制剤、特に慢性肝炎における肝線維化抑制剤として有用である。
【0012】
本発明の医薬としては、経口投与用製剤が好ましく、特に錠剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、カプセル剤等が好ましい。
【0013】
これらの製剤を製造するには、適当な添加剤、例えば注射用蒸留水、精製水、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、乳糖、ソルビット、マンニット、白糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、ラクチトール、セルロース誘導体、アラビアゴム、トラガントゴム、ゼラチン、ポリソルベート80、タルク、ステアリン酸マグネシウム、水、エタノール、白色ワセリン、グリセリン、脂肪、脂肪油、グリコール類、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類、プラスチベース、パラフィン、ミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、サッカリン、パインシロップ等を適宜選択、組合わせて使用することができる。
【0014】
ポラプレジンクの投与量は年齢、体重、病態症状、治療効果、投与方法、投与時期、投与回数、投与期間により異なるが、好ましくは成人1回あたり0.01〜10gであり、これは1日1〜4回に分けて投与してもよい。
【実施例】
【0015】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は何ら実施例に限定されるものではない。
【0016】
実施例1
ラットを1群15匹ずつに分けた。対照群には、チオアセタミド水溶液(300mg/L)を飲料水として、10週間又は20週間にわたって連続的に投与した。また試験群には、チオアセタミド水溶液(300mg/L)を飲料水として、20週間にわたって連続的に投与し、かつ10週後から20週までポラプレジンク200mg/day/kg又は500mg/day/kgを経口投与した。
【0017】
対照群及び試験群のラットは、所定の投与終了後に殺し、肝臓を摘出した。肝線維化の血清中マーカーであるヒアルロン酸はラテックス凝集免疫比濁法で測定、肝組織の線維化のマーカーであるヒドロキシプロリンは塩酸処理しクロラミンとエルリッヒ液を使用し吸光度で測定した。肝線維化促進に特異的に作用し、肝組織内で増加するTGF−β1はELISA法で測定し。肝組織を染色する目的でシリウスレッド染色を行い、線維化の主役となる活性化した星細胞をα−SMA免疫染色で特異的に同定した。また、肝障害のマーカーである血清中トランスフェレース、アルカリカリフォスファターゼを生化学的手法にて測定した。
それらの結果を、図1、図2、図3、図4及び表1に示す。
【0018】
【表1】


【0019】
図1、図2、図3及び図4から明らかなように、ポラプレジンクは、チオアセタミド投与開始から10週後から投与を開始したにもかかわらず、肝線維化マーカーであるヒドロキシプロリン量、ヒアルロン酸及びTGF−β1量を有意に低下させ、組織的にも肝線維化を明確に抑制しており、肝線維化抑制剤として有用であることがわかる。また表1より、肝障害のマーカーであるアルカリホスファターゼ値を有意に改善しており、慢性肝炎の症状も改善していることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ポラプレジンク投与の組織ヒドロキシプロリン量に及ぼす作用を示す図である。
【図2】ポラプレジンク投与の組織ヒアルロン酸量に及ぼす作用を示す図である。
【図3】ポラプレジンク投与の組織TGF−β1量に及ぼす作用を示す図である。
【図4】ポラプレジンク投与の肝線維化に及ぼす作用を示す肝組織図である。上がHE染色であり、右はチオアセタミド+ポラプレジンク500mg/kg投与群、左はチオアセタミド20週群。下がシリウス−レッド染色であり、右はチオアセタミド+ポラプレジンク500mg/kg投与群、左はチオアセタミド20週群。
【出願人】 【識別番号】000108339
【氏名又は名称】ゼリア新薬工業株式会社
【出願日】 平成16年9月27日(2004.9.27)
【代理人】 【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所

【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸

【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄

【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫

【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹

【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人

【識別番号】100089048
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 康隆

【識別番号】100101317
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 ひろみ

【公開番号】 特開2006−89439(P2006−89439A)
【公開日】 平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願番号】 特願2004−279950(P2004−279950)