| 【発明の名称】 |
抗腫瘍組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐久間 周治 【住所又は居所】東京都中央区築地3丁目11番6号 株式会社サンギ内
【氏名】渥美 公則 【住所又は居所】東京都中央区築地3丁目11番6号 株式会社サンギ内
【氏名】菊川 馨一朗 【住所又は居所】東京都中央区築地3丁目11番6号 株式会社サンギ内
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| 【要約】 |
【課題】抗腫瘍効果の高い抗腫瘍剤では副作用が強く、毒性が低くなると活性も低くなるなど、必ずしも満足のいく抗腫瘍効果が得られていない。その為、抗腫瘍効果が高く、且つ抗腫瘍剤の副作用、毒性が低い抗腫瘍剤の開発が望まれている。
【解決手段】塩化白金や、塩化白金酸類とハイドロキシアパタイトを配合した微粒子の抗腫瘍剤を提供する。塩化白金、及び塩化白金酸類が四塩化白金、四塩化白金酸、六塩化白金酸、四塩化白金二ナトリウム、六塩化白金二ナトリウム、四塩化白金二カリウム、六塩化白金二カリウムである。ハイドロキシアパタイトの最大粒子径が1μm以下である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハイドロキシアパタイトに、塩化白金及び/又は塩化白金酸類の内少なくとも1種以上を担持させたことを特徴とする抗腫瘍組成物。 【請求項2】 塩化白金、及び塩化白金酸類が四塩化白金、四塩化白金酸、六塩化白金酸、四塩化白金二ナトリウム、六塩化白金二ナトリウム、四塩化白金二カリウム、六塩化白金二カリウムであることを特徴とする請求項1に記載の抗腫瘍組成物。 【請求項3】 ハイドロキシアパタイトの最大粒子径が1μm以下である事を特徴とする請求項1又は2に記載の抗腫瘍組成物。 【請求項4】 ハイドロキシアパタイトの最大粒子径が0.1μm以下である事を特徴とする請求項1又は2に記載の抗腫瘍組成物。 【請求項5】 塩化白金、塩化白金類の担持量が、ハイドロキシアパタイトに対して0.1〜100%であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の抗腫瘍組成物。 【請求項6】 抗腫瘍剤とハイドロキシアパタイトの混合物を、粉砕処理することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の抗腫瘍組成物。 【請求項7】 分散剤としてクエン酸及び/又はクエン酸ナトリウムを用いることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の抗腫瘍組成物。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、塩化白金、塩化白金酸類を有効成分とし、副作用が少ない、特に肺癌に対して優れた抗癌作用を示す抗腫瘍組成物に関する。 【背景技術】 【0002】 白金は、白金錯体として既にシスプラチン、カルボプラチン、イブロプラチン等が用いられているが、抗腫瘍効果の高いシスプラチンでは副作用が強く、その副作用が患者にとって耐え難いものであり使用が制限されることが多く、さらに水に対する溶解性が低いために、低濃度でしか供給ができない。またシスプラチンに比べて副作用の低いカルボプラチン、イブロプラチンでは、毒性が低くなると活性も低くなるなど、必ずしも満足のいく抗腫瘍効果が得られていない。 その為、抗腫瘍効果が高く、且つ抗腫瘍剤の副作用、毒性が低い抗腫瘍剤の開発が望まれている。 【0003】 ところで、ハイドロキシアパタイトは、通常、Ca10(PO4)6(OH)2 なる化学量論組成で示される骨や歯の無機主成分で、生体親和性が良く、タンパク質などを吸着する作用があることから、人工骨、骨補填剤、歯磨剤等として製品化され、また薬剤の補助成分として各種考案、開示されている。 【0004】 抗腫瘍剤としては、制癌剤を吸着させたハイドロキシアパタイトを、腫瘍局部に通ずる動脈内に注入して、微小塞栓として腫瘍への栄養補給を絶つと共に、腫瘍の発育を抑制する方法(特開平1−51266号公報)、抗腫瘍剤を埋入したハイドロキシアパタイト体内に埋め込み、薬剤を徐放させる方法(特開平2−200628号公報)、リン酸カルシウム微結晶体に薬剤を添加して、薬剤の効果を促進または遅延させたり、ガン細胞などの各種細胞に選択的に吸着させ、薬剤を作用させる方法(特開平5−255095号公報)、白金を担持させたハイドロキシアパタイトを抗腫瘍剤として使用する方法(特開平4−112832号公報)、抗腫瘍剤を吸着させたハイドロキシアパタイトを腫瘍部に埋め込み、加温して、温熱化学療法に用いる方法(「癌と化学療法」19(10):1644−1647,1992)、徐放化剤として平均粒子径が36.1μmで表面積が2.5m2/gの多孔性ハイドロキシアパタイトを用い、徐放化カルボプラチンを制作調整して、カルボプラチンを徐放させる方法(「癌と化学療法」26(12):1791−1793,1999)が開示されている。 【0005】 【特許文献1】特開平1−51266号公報 【特許文献2】特開平2−200628号公報 【特許文献3】特開平5−255095号公報 【特許文献4】特開平4−112832号公報 【特許文献5】特開平4−112833号公報 【非特許文献1】「癌と化学療法」,19(10),P1644−1647,1992 【非特許文献2】「癌と化学療法」,26(12),P1791−1793,1999 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明は、優れた抗腫瘍効果を有し、毒性が低い抗腫瘍剤の提供を目的としたものである。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明は、毒性が低く、且つ抗腫瘍活性の高い抗腫瘍剤として、微小粒子のハイドロキシアパタイトに、塩化白金、塩化白金酸類を担持させたことを特徴とする。 塩化白金酸を原料として使用する抗腫瘍剤としては、前述の、白金を担持させたハイドロキシアパタイトを抗腫瘍剤として使用する方法の他に、白金を担持させた塩化アパタイトを抗腫瘍剤として使用する方法(特開平4−112833号公報)が開示されており、いずれのマウスを用いた試験においても、シスプラチンよりもマウスの延命率が高いものの、抗腫瘍効果が著しく優れているとはいえない。本発明は、毒性が強く抗腫瘍剤として使用できない塩化白金及び/又は塩化白金酸類と、ハイドロキシアパタイトを配合することにより、塩化白金の高い抗腫瘍効果を維持したまま、毒性が著しく低減させることを見出した。 【0008】 本願に用いる塩化白金、塩化白金酸類は、通常市販されている四塩化白金PtCl4、四塩化白金酸H2PtCl4、六塩化白金酸H2PtCl6、四塩化白金二ナトリウムNa2PtCl4、六塩化白金二ナトリウムNa2PtCl6、四塩化白金二カリウムK2PtCl4、六塩化白金二カリウムK2PtCl6等の塩化白金類や、これらの水和物、PtCl4・5H2O、H2PtCl6・6H2O、Na2PtCl4・4.5H2O、Na2PtCl6・4H2O等が使用できる。 【0009】 また、本願に用いるハイドロキシアパタイトは、通常、Ca10(PO4)6(OH)2 なる化学量論組成で示されるが、Ca/Pモル比が1.67にならない非化学量論的な場合であっても、ハイドロキシアパタイトの性質を示し、アパタイト構造を取りうるという特徴がある。本発明においては、化学量論組成及び非化学量論組成のハイドロキシアパタイトのいずれも使用することができ、Ca/Pモル比1.4〜1.8のものを使用することができる。 【0010】 ハイドロキシアパタイトのCa/Pモル比の制御は、原料の塩の調合比及び合成条件の制御にて行う。例えば、ハイドロキシアパタイトの湿式合成法において、合成時にアンモニア水等で水溶液を塩基性に調整すると、Ca/Pモル比が高くなり、水溶液を希酸で中性或いは弱酸性に調整するとCa/Pモル比を低くすることができる。 本発明で使用する前記ハイドロキシアパタイトとしては、結晶性及び低結晶性のいずれも使用することができるが、低結晶性或いは非晶質のものが好ましい。 【0011】 本発明でいう「低結晶性」とは、X線回折ピークが高結晶性の粉体に較べてブロードな結晶質粉体のことを言う。 「非晶質」とは、X線回折パターンが幅広いハローを示し、結晶の特徴を示す回折パターンが得られない微小な粒子からなる粉体をいう。以下、低結晶性のハイドロキシアパタイト、非晶質のハイドロキシアパタイトをそれぞれ、「低結晶性アパタイト」及び「非晶質アパタイト」と称する。 本発明で使用する低結晶性アパタイト或いは非晶質アパタイトとしては、例えば、前記したごとく湿式法により合成したアパタイトを凍結乾燥もしくは100℃以下の温度で乾燥したもの、或いは300℃程度以下の温度で焼成したものを使用する。 低結晶性アパタイト或いは非晶質アパタイトは、結晶性の高いハイドロキシアパタイト(以下、「結晶質アパタイト」と称する。)と比較して、粒径の小さい粒子からなる。 【0012】 本発明で使用するハイドロキシアパタイト粒子としては、血管内投与の点から最大粒径が1.0μm以下のものが好ましく、抗腫瘍効果の点から最大粒径0.1μm以下のものが更に好ましい。粒子径の下限は、ハイドロキシアパタイト粒子が小さいとカルシウムの溶出が起こるため、平均粒径で0.02μm以上が好ましい。 ハイドロキシアパタイト粒子の大きさを調整する方法は、粉砕により行なうことが可能である。この際、ハイドロキシアパタイトを最大粒径1.0μm以下、好ましくは最大粒径0.1μm以下で、平均粒子径の下限を0.02μmに粉砕した後に、塩化白金類と混合して抗腫瘍剤を得ることが可能であるが、塩化白金類とハイドロキシアパタイトを混合してから粉砕を行ない、上記粒子径に調整することが、塩化白金類の毒性を低減する効果の上から、より好ましい。 【0013】 ハイドロキシアパタイトに対する塩化白金、塩化白金酸類の配合量は、0.1〜100%が好ましく、更に充分な毒性低減効果を得るため、また抗腫瘍剤の投与量の点から1〜30%が好適である。 以下に本発明の実施例について説明するが、下記実施例は、毒性試験としてLD50測定用に使用した実施例を記したものであり、本発明の範囲がこれによって限定されるものではない。 【発明の効果】 【0014】 本発明によれば、副作用が少なく、特に肺癌に対して優れた抗癌作用を示す抗腫瘍剤が提供される。 【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 以下、本発明を実施例により詳細に説明する。 (四塩化白金・ハイドロキシアパタイト抗腫瘍剤) [実施例1]四塩化白金10%・ハイドロキシアパタイト90%抗腫瘍剤の調整 原材料 1.ハイドロキシアパタイト(HAP) 2.四塩化白金(PtCl4) 3.水酸化ナトリウム:pH調整剤 4.クエン酸:分散剤 【0016】 あらかじめ脱気した蒸留水中に、四塩化白金を1g秤量して添加、攪拌した後、水酸化ナトリウムを添加して、pHを中性域(pH6.8〜7.4)に調整した。この溶液中にハイドロキシアパタイトを9g秤量して添加し、減圧下で撹拌を行ない、この溶液中に蒸留水を添加して、全体量を500mlとし、50〜60℃の恒温、暗所、密封容器中で約1ヶ月間撹拌を行なった。 撹拌を停止し、エバポレータで濃縮後、凍結乾燥を行ない、粉末を得た。 この粉末に蒸留水を加えて、粉末濃度が約2%になるように調整を行ない、更に、クエン酸を水酸化ナトリウムによってpHを約7.0に調整した分散剤を、分散剤の濃度が20mM/lになるように添加した。 この溶液を、湿式分散・粉砕機であるダイノーミル(ウィリー・エ・バッコーフェン社(WAB社)製・スイス)で、冷却の為に循環ポンプを使用して、粉砕温度が3〜5℃程度になるよう粉砕を行ない、0.05〜0.1μmで、平均粒径約0.07μmの粒子の溶液を得た。 この溶液を、滅菌のために0.22μmの滅菌用フィルターで濾過を行い、四塩化白金・ハイドロキシアパタイト抗腫瘍剤(PtCl4・HAP)を得た。 得られた抗腫瘍剤について、X線分析及びE−MAXにより構造的な解析と各元素の分布を解析した。 【0017】 X線回折装置の管電圧は45KV、管電流は300mAとし、CuKα線にてニッケルフィルターを用い、発散スリット 1.0deg、散乱スリット 1.0deg、受光スリット 0.3mmの条件下で測定を行った。測定は5,000〜7,000deg、サンプリング間隔は0.0500deg、スキャン速度は4,000deg/minであった。 得られた回折結果は、装置附属のMatch Maker(株式会社マック・サイエンス社)を用いて解析を行った。 またE−MAXによる分析は、走査電子顕微鏡に付随したエネルギー分散形X線分析で行った。 走査型顕微鏡は株式会社日立製作所製のS-2380Nを用い、各イオンの分布の分析には堀場製作所製エネルギー分散形X線分析装置、EMAX-5770Wを用いた。走査電子顕微鏡による白金アパタイトの観察は加速電圧20kV、ワーキングディスタンス25mmの条件下で行った。電子顕微鏡下におけるエネルギー分散形X線分析装置による元素分析は、検出元素の積算時間として600sec、デットタイム(DT)20%の条件とした。更に、検出された各元素のマッピング条件として、測定時間20min/フレーム、積算回数227回、画素数512とした。 抗腫瘍剤を走査型電子顕微鏡に供するために、試料は試料台に乗せた後、カーボンコーティングした。 【0018】 X線回折の結果、抗腫瘍剤中の四塩化白金、及びハイドロキシアパタイトは、位相の変化等が認められず構造的な変化はなかった。 またE−MAXによる分析の結果、ハイドロキシアパタイトの主要な構成元素であるカルシウムとリンは、抗腫瘍剤の粒子全体に観察され、更に白金及び塩素が、ハイドロキシアパタイトの粒子上だけに、そして粒子状全体に分布していることが観察されたことから、四塩化白金の全てがハイドロキシアパタイトに担持した混合物であることがわかった。 また同様の調整方法により、四塩化白金とハイドロキシアパタイトの割合だけを変えて、ハイドロキシアパタイトに対する四塩化白金の割合が0.1%、1%、5%、20%、50%、100%の抗腫瘍剤を得た。 更に、最大粒度が1μm、平均粒径約が約0.4μmで、四塩化白金の割合が0.1%、1%、5%、10%、20%、50%、100%の抗腫瘍剤を得た。 これら抗腫瘍剤についても上記と同様にX線分析及びE−MAXにより構造的な解析と各元素の分布を解析し、同様の結果を得た。 【0019】 (六塩化白金酸・ハイドロキシアパタイト抗腫瘍剤) [実施例2]六塩化白金酸10%・ハイドロキシアパタイト90%抗腫瘍剤の調整 原材料 1.ハイドロキシアパタイト(HAP) 2.六塩化白金酸(H2PtCl6) 3.水酸化ナトリウム:pH調整剤 4.クエン酸ナトリウム:分散剤 【0020】 あらかじめ脱気した蒸留水中に、六塩化白金酸を1.005g秤量して添加、攪拌した後、水酸化ナトリウムを添加して、pHを中性域(pH6.8〜7.4)に調整した。この溶液中にハイドロキシアパタイトを9g秤量して添加し、減圧下で撹拌を行ない、この溶液中に蒸留水を添加して、全体量を200mlとし、暗所、密封容器中で約2ヶ月間撹拌を行なった。 撹拌を停止し、凍結乾燥を行ない六塩化白金酸とハイドロキシアパタイトの粉末を得た。 この粉末に蒸留水を加えて、粉末濃度が約1%になるように調整を行ない、更に、分散剤としてクエン酸ナトリウムの濃度が10mM/lになるように添加した。 この溶液を、湿式分散・粉砕機であるダイノーミル(ウィリー・エ・バッコーフェン社(WAB社)製・スイス)で、冷却の為に循環ポンプを使用して、粉砕温度が3〜5℃程度になるように粉砕を行ない、0.02〜0.07μmで、平均粒径約0.05μmの粒子の溶液を得た。 この溶液を、滅菌のために0.22μmの滅菌用フィルターで濾過を行い、六塩化白金酸・ハイドロキシアパタイト抗腫瘍剤(H2PtCl6・HAP)を得た。 【0021】 この抗腫瘍剤は、構造解析した結果、六塩化白金酸の全てがハイドロキシアパタイトに担持した混合物であった。 また同様の調整方法により、六塩化白金酸とハイドロキシアパタイトの割合だけを変えて、ハイドロキシアパタイトに対する六塩化白金酸の割合が、0.1%、1%、5%、20%、50%、100%の抗腫瘍剤を得た。 更に、最大粒度が1μm、平均粒径約が約0.3μmで、六塩化白金酸の割合が0.1%、1%、5%、10%、20%、50%、100%の抗腫瘍剤を得た。 これら抗腫瘍剤についても実施例1と同様にX線分析及びE−MAXにより構造的な解析と各元素の分布を解析し、六塩化白金酸全てがハイドロキシアパタイトに担持した混合物であった。 【0022】 (六塩化白金二ナトリウム・ハイドロキシアパタイト抗腫瘍剤) [実施例3]六塩化白金二ナトリウム10%・ハイドロキシアパタイト90%抗腫瘍剤の調整 原材料 1.ハイドロキシアパタイト(HAP) 2.六塩化白金二ナトリウム(Na2PtCl6) 3.水酸化ナトリウム:pH調整剤 4.クエン酸:分散剤 【0023】 あらかじめ脱気した蒸留水中に、六塩化白金二ナトリウムを1g秤量して添加、攪拌した後、水酸化ナトリウムを添加して、pHを中性域(pH6.8〜7.4)に調整した。この溶液中にハイドロキシアパタイトを9g秤量して添加し、減圧下で撹拌を行ない、この溶液中に蒸留水を添加して、全体量を500mlとし、50〜60℃の恒温、暗所、密封容器中で約1ヶ月間撹拌を行なった。 撹拌を停止し、エバポレータで濃縮後、凍結乾燥を行ない、粉末を得た。 この粉末に蒸留水を加えて、粉末濃度が約2%になるように調整を行ない、更に、クエン酸を水酸化ナトリウムによってpHを約7.0に調整した分散剤を、分散剤の濃度が20mM/lになるように添加した。 この溶液を、湿式分散・粉砕機であるダイノーミル(ウィリー・エ・バッコーフェン社(WAB社)製・スイス)で、冷却の為に循環ポンプを使用して、粉砕温度が3〜5℃程度になるよう粉砕を行ない、0.05〜0.1μmで、平均粒径約0.07μmの粒子の溶液を得た。 この溶液を、滅菌のために0.22μmの滅菌用フィルターで濾過を行い、六塩化白金二ナトリウム・ハイドロキシアパタイト抗腫瘍剤(Na2PtCl6・HAP)を得た。 【0024】 この抗腫瘍剤は、構造解析した結果、六塩化白金二ナトリウムの全てがハイドロキシアパタイトに担持した混合物であった。 また同様の調整方法により、六塩化白金二ナトリウムとハイドロキシアパタイトの割合だけを変えて、ハイドロキシアパタイトに対する六塩化白金二ナトリウムの割合が、0.1%、1%、5%、20%、50%、100%の抗腫瘍剤を得た。 更に、最大粒度が1μm、平均粒径約が約0.3μmで、六塩化白金二ナトリウムの割合が0.1%、1%、5%、10%、20%、50%、100%の抗腫瘍剤を得た。 これら抗腫瘍剤にについて実施例1と同様にX線分析及びE−MAXにより構造的な解析と各元素の分布を解析し、六塩化白金二ナトリウム全てがハイドロキシアパタイトに担持した混合物であった。 【0025】 (四塩化白金二カリウム・ハイドロキシアパタイト抗腫瘍剤) [実施例4]四塩化白金二カリウム10%・ハイドロキシアパタイト90%抗腫瘍剤の調整 原材料 1.ハイドロキシアパタイト(HAP) 2.四塩化白金二カリウム(K2PtCl4) 3.水酸化ナトリウム:pH調整剤 4.クエン酸:分散剤 【0026】 あらかじめ脱気した蒸留水中に、四塩化白金二カリウムを1g秤量して添加、攪拌した後、水酸化ナトリウムを添加して、pHを中性域(pH6.8〜7.4)に調整した。この溶液中にハイドロキシアパタイトを9g秤量して添加し、減圧下で撹拌を行ない、この溶液中に蒸留水を添加して、全体量を500mlとし、50〜60℃の恒温、暗所、密封容器中で約1ヶ月間撹拌を行なった。 撹拌を停止し、エバポレータで濃縮後、凍結乾燥を行ない、粉末を得た。 この粉末に蒸留水を加えて、粉末濃度が約2%になるように調整を行ない、更に、クエン酸を水酸化ナトリウムによってpHを約7.0に調整した分散剤を、分散剤の濃度が20mM/lになるように添加した。 この溶液を、湿式分散・粉砕機であるダイノーミル(ウィリー・エ・バッコーフェン社(WAB社)製・スイス)で、冷却の為に循環ポンプを使用して、粉砕温度が3〜5℃程度になるよう粉砕を行ない、0.05〜0.1μmで、平均粒径約0.07μmの粒子の溶液を得た。 この溶液を、滅菌のために0.22μmの滅菌用フィルターで濾過を行い、四塩化白金二カリウム・ハイドロキシアパタイト抗腫瘍剤(K2PtCl4・HAP)を得た。 【0027】 この抗腫瘍剤は、構造解析した結果、四塩化白金二カリウムの全てがハイドロキシアパタイトに担持した混合物であった。 また同様の調整方法により、四塩化白金二カリウムとハイドロキシアパタイトの割合だけを変えて、ハイドロキシアパタイトに対する四塩化白金二カリウムの割合が、0.1%、1%、5%、20%、50%、100%の抗腫瘍剤を得た。 更に、最大粒度が1μm、平均粒径約が約0.3μmで、四塩化白金二カリウムの割合が0.1%、1%、5%、10%、20%、50%、100%の抗腫瘍剤を得た。 これら抗腫瘍剤にについて実施例1と同様にX線分析及びE−MAXにより構造的な解析と各元素の分布を解析し、四塩化白金二カリウム全てがハイドロキシアパタイトに担持した混合物であった。 【0028】 更に四塩化白金酸、四塩化白金二ナトリウム、六塩化白金二カリウムと、ハイドロキシアパタイトを用いて、上記と同様の操作を行ない、最大粒度が0.1μmと、1μmで、白金組成物の割合が0.1%、1%、5%、10%、20%、50%、100%の、四塩化白金酸・ハイドロキシアパタイト抗腫瘍剤(H2PtCl4・HAP)、四塩化白金二ナトリウム・ハイドロキシアパタイト抗腫瘍剤(Na2PtCl4・HAP)、六塩化白金二カリウム・ハイドロキシアパタイト抗腫瘍剤(K2PtCl6・HAP)を得た。 これら抗腫瘍剤についても実施例1と同様にX線分析及びE−MAXにより構造的な解析と各元素の分布を解析した結果、それぞれの白金化合物の全てがハイドロキシアパタイトに担持した混合物であった。 【0029】 [実施例5]四塩化白金・ハイドロキシアパタイト(PtCl4・HAP)、及び六塩化白金酸・ハイドロキシアパタイト(H2PtCl6・HAP)のヒト癌細胞に対する効果(MTTアッセイ) 通常の試験方法である「MTTを用いたin vitro毒性試験法」に従って、19種類のヒト癌細胞を用いて、PtCl4・HAP(粒径0.1μm以下)、及びH2PtCl6・HAP(粒径0.1μm以下)のMTTアッセイを行なった。PtCl4・HAP、及びH2PtCl6・HAPは、それぞれ理論値10%の白金を含有する分散液で、最終分散濃度が1.0%に調整して使用した。比較として、PtCl4と、CDDPのMTTアッセイを行なった。PtCl4は、適量に溶解した後、PBS(-)で段階希釈して用いた。CDDPは、マルコ製の注射液を用いた。 MTTアッセイによるIC50を表1に示す。更に、IC50を白金の濃度に換算した数値を表2に示す。 【0030】 また粒径が0.1μm以下と、1.0μm以下の四塩化白金酸・ハイドロキシアパタイト抗腫瘍剤(H2PtCl4・HAP)、六塩化白金酸・ハイドロキシアパタイト(H2PtCl6・HAP)、四塩化白金二ナトリウム・ハイドロキシアパタイト抗腫瘍剤(Na2PtCl4・HAP)、六塩化白金二ナトリウム・ハイドロキシアパタイト抗腫瘍剤(Na2PtCl6・HAP)、四塩化白金二カリウム・ハイドロキシアパタイト抗腫瘍剤(K2PtCl4・HAP)、六塩化白金二カリウム・ハイドロキシアパタイト抗腫瘍剤(K2PtCl6・HAP)と、比較として四塩化白金酸(H2PtCl4)、六塩化白金酸(H2PtCl6)、四塩化白金二ナトリウム(Na2PtCl4)、六塩化白金二ナトリウム(Na2PtCl6)、四塩化白金二カリウム(K2PtCl4)、六塩化白金二カリウム(K2PtCl6)については、ヒト肺癌細胞Lu65を用いたIC50を表3に示す。更に、IC50を白金の濃度に換算した数値を表4に示す。 【0031】 【表1】
【0032】 【表2】
【0033】 【表3】
【0034】 【表4】
【0035】 (正常細胞に対する毒性及び殺細胞効果試験) 成熟した雄ラットをエーテルで深麻酔し、その尾をアルコールで丹念に拭うことで消毒した。その尾端部を数cm切断後、皮膚を尾骨から取り除いた。尾骨には健が付着しており、これを培養することにより、線維芽細胞を回収できる。尾骨部は、滅菌したはさみで更に細かく裁断され、これを滅菌プラスチックシャーレ上に切断面を底にして付着させる。しばらく静置した後、10%のFBSを添加したDMEMをシャーレ内に添加した。およそ一週間で尾骨部より線維芽細胞が萌芽し、シャーレ内に増殖する。このラットの尾端から採取した線維芽細胞を以下の実験に用いた。 【0036】 [実施例6]増殖期における四塩化白金・ハイドロキシアパタイト(PtCl4・HAP)と、六塩化白金酸・ハイドロキシアパタイト(H2PtCl6・HAP)の毒性試験 通常の試験方法である「MTTを用いたin vitro毒性試験法」に従って、PtCl4・HAP(粒径0.1μm以下)、及びH2PtCl6・HAP(粒径0.1μm以下)のMTTアッセイを行なった。PtCl4・HAP、及びH2PtCl6・HAPは、それぞれ理論値10%の白金を含有する分散液で、最終分散濃度が1.0%に調整して使用した。比較として、PtCl4と、CDDPのMTTアッセイを行なった。PtCl4は、適量に溶解した後、PBS(-)で段階希釈して用いた。CDDPは、マルコ製の注射液を用いた。 【0037】 シャーレ上に増殖期にある線維芽細胞を、トリプシン-EDTAにて剥がした後、培地で1×104個/mlに調整し、これを96穴プレートに100mlずつ分注した。 線維芽細胞を添加した96穴プレートを24時間培養後、PBS(-)で段階希釈したこれらの試料を10μlずつ添加した。試験試料を加えて48時間後、96穴プレートにPBS(-)を200μl添加し、およそ1分後に全ての液体を除去した。直ちにプレートにDMSOを160μl添加した。但し、PtCl4・HAP及びH2PtCl6・HAPを添加したプレートには、それぞれDMSOを200μl添加した。各プレートは、振とう器にて5分間振とうして、形成されたホルマザンを完全に溶解した。PtCl4・HAP及びH2PtCl6・HAPのプレートについては、PtCl4・HAP及びH2PtCl6・HAPの沈殿が発色を抑制すると思われるため、5分間静置し、その後上清の160μlを別の96穴プレートに移した。各細胞、各濃度の試験試料について、4ウエル以上試験を行い、マイクロプレートを用いて550nmで吸光度の測定を行った。 増殖期におけるPtCl4・HAP及びH2PtCl6・HAPの毒性試験によるIC50、及びIC50を白金の濃度に換算した白金量を表5に示す。 【0038】 【表5】
【0039】 増殖期における毒性試験の結果、CDDPでは、IC50が0.5ppmと強い毒性作用を示したが、PtCl4・HAPのIC50は29.8ppm、H2PtCl6・HAPのIC50は25.2ppmと高い値であり、PtCl4の4.0ppmに比べても高い値となっており、強い抑制作用がないこと示している。またこれらを白金量に換算して比較した場合においても、PtCl4・HAPの値は、PtCl4や、CDDPの値に比べて大変高い値、H2PtCl6・HAPの値もPtCl4や、CDDPの値に比べて高い値であり、強い抑制作用がないことを示している。 【0040】 [実施例7]静止期における四塩化白金・ハイドロキシアパタイト(PtCl4・HAP)と、及び六塩化白金酸・ハイドロキシアパタイト(H2PtCl6・HAP)の毒性試験 増殖期にあるラット線維芽細胞を96穴プレートに通常の二倍、即ち2×104個/mlの細胞浮遊液を100μl播種した。その後、72時間、培養を続け、細胞をコンフルエントの状態にした。各ウエルにおいて、細胞が完全なコンフルエント状態に達していることを倒立顕微鏡で確認した後、各ウエルの培地を一度交換した。その後、上記した方法で各段階希釈した試験試料をウエルに10μlずつ添加した。添加後、48時間、培養を続け、その後は、上記の「増殖期におけるPtCl4・HAP及びH2PtCl6・HAPの毒性試験」に記載した方法と同様な手順でPtCl4・HAP(粒径0.1μm以下)、及びH2PtCl6・HAP(粒径0.1μm以下)のMTTアッセイを行った。 静止期におけるPtCl4・HAP及びH2PtCl6・HAPの毒性試験によるIC50、及びIC50を白金の濃度に換算した白金量を表6に示す。 【0041】 【表6】
【0042】 静止期における細胞は、ほぼ細胞分裂はないため、白金が細胞内へ侵入し、DNAに何らかの作用を示して、その分裂を阻止している可能性は少なく、白金あるいは薬物そのものによる細胞毒性、即ち細胞を死に追いやる効果を示している。この場合、CDDPは他の二つの試験紙薬に比べて、その殺細胞効果は高く、正味の白金量で1.9ppmであった。 この毒性試験の結果においても、CDDPでは、IC50が2.9ppm、白金量に換算した場合においても、1.9ppmと大変強い毒性作用を示したが、PtCl4・HAPのIC50は202.6ppm、白金量に換算した場合においても、20.3ppm、H2PtCl6・HAPのIC50は160.0ppm、白金量に換算した場合においても、16.0ppmと、PtCl4や、CDDPの値に比べて大変高い値であり、細胞毒性が大変低いことを示している。 【0043】 [実施例8]静止期における毒性効果の顕微鏡観察 実施例7の結果より、CDDPが静止期において線維芽細胞を50%死滅させる白金量である2ppmを基準にして、コンフルエントに達した線維芽細胞に対して、白金量が2ppmに相当するCDDP、PtCl4・HAP、PtCl4及びHAP分散液を培地に添加して、48時間、培養を行った。培養した細胞の顕微鏡写真を図1〜図4として示した。 図1はCDDP分散液を添加した培養細胞像、図2はPtCl4・HAP分散液を添加した培養細胞像、図3はPtCl4分散液を添加した培養細胞像、図4はHAP分散液を添加した培養細胞像を示す。 【0044】 この結果、PtCl4・HAPの添加では、線維芽細胞の本来の形態を損なうことがなく、細胞のほとんどが紡錘形の形態をとって密接しており、典型的な紡錘形を示していた。PtCl4を添加したものでは、PtCl4・HAPの場合と同様に線維芽細胞の多くが紡錘形を示していたが、これらの細胞の中に丸い細胞や、紡錘形が変形した細胞が数多く観察された。CDDPを添加した場合には紡錘形の細胞はほとんど観察されず、その多くは丸い形態を示していた。HAP分散液を添加した場合には、線維芽細胞の本来の形態である典型的な紡錘形を示しており、異常はほとんど観察することはできなかった。 以上の結果より、塩化白金、塩化白金酸類とハイドロキシアパタイトを配合した微粒子を添加した抗腫瘍剤の血管内投与は、抗腫瘍効果が高く、且つ抗腫瘍剤の副作用、毒性が低い抗腫瘍剤であることがわかる。 【図面の簡単な説明】 【0045】 【図1】静止期の線維芽細胞にCDDPのIC50に含有される白金添加後のCDDP分散液を添加した培養細胞像を示す顕微鏡写真である(10倍)。 【図2】静止期の線維芽細胞にCDDPのIC50に含有される白金添加後のPtCl4・HAP分散液を添加した培養細胞像を示す顕微鏡写真である(10倍)。 【図3】静止期の線維芽細胞にCDDPのIC50に含有される白金添加後のPtCl4分散液を添加した培養細胞像を示す顕微鏡写真である(10倍)。 【図4】静止期の線維芽細胞にCDDPのIC50に含有される白金添加後のHAP分散液を添加した培養細胞像を示す顕微鏡写真である(10倍)。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000130776 【氏名又は名称】株式会社サンギ 【住所又は居所】東京都中央区築地3丁目11番6号
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| 【出願日】 |
平成16年9月27日(2004.9.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107984 【弁理士】 【氏名又は名称】廣田 雅紀
【識別番号】100102255 【弁理士】 【氏名又は名称】小澤 誠次
【識別番号】100070518 【弁理士】 【氏名又は名称】桑原 英明
【識別番号】230101177 【弁護士】 【氏名又は名称】木下 洋平
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| 【公開番号】 |
特開2006−89429(P2006−89429A) |
| 【公開日】 |
平成18年4月6日(2006.4.6) |
| 【出願番号】 |
特願2004−279106(P2004−279106) |
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