| 【発明の名称】 |
う蝕抑制組成物、う蝕抑制食品、およびう蝕抑制組成物の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】奥 恒行
|
| 【要約】 |
【課題】ショ糖(砂糖)を摂取した場合であっても、う蝕を抑制することが可能な、う蝕抑制組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明にかかるう蝕抑制組成物は、SUN53菌(受託番号:NITE P−14)によるアルギン酸分解物を含有したことを特徴としている。より具体的には、前記アルギン酸分解物が、エタノール75%で沈殿しない比較的小分子のアルギン酸分解物であることを特徴としている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 SUN53菌(受託番号:NITE P−14)によるアルギン酸分解物を含有したことを特徴とするう蝕抑制組成物。 【請求項2】 前記アルギン酸分解物が、エタノール75%で沈殿しない比較的小分子のアルギン酸分解物である請求項1に記載のう蝕抑制組成物。 【請求項3】 口腔衛生剤である請求項1または2に記載のう蝕抑制組成物。 【請求項4】 前記口腔衛生剤が、歯磨き粉、洗口剤、トローチ、うがい薬のいずれかである請求項3に記載のう蝕抑制組成物。 【請求項5】 SUN53菌(受託番号:NITE P−14)によるアルギン酸分解物を含有したことを特徴とするう蝕抑制食品。 【請求項6】 前記アルギン酸分解物が、エタノール75%で沈殿しない比較的小分子のアルギン酸分解物である請求項5に記載のう蝕抑制食品。 【請求項7】 ケーキ、クッキー、チョコレート、ガム、カステラ、パン、アイスクリーム、プディング、ゼリー、ババロア、クリーム、キャラメル、ジャム、餡、飴、羊羹、最中、および菓子のいずれかである請求項5または6に記載のう蝕抑制食品。 【請求項8】 炭酸飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、およびジュースのいずれかである請求項5または6に記載のう蝕抑制食品。 【請求項9】 SUN53菌(受託番号:NITE P−14)をアルギン酸存在下で培養してアルギン酸分解物を生成させる生成工程と、前記生成工程で得られた前記アルギン酸分解物をエタノール75%で沈殿させる沈殿工程と、前記沈殿工程において沈殿しない上清を濃縮して比較的小分子のアルギン酸分解物を得る取得工程とを備えたことを特徴とするう蝕抑制組成物の製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、う蝕抑制組成物、う蝕抑制食品、およびう蝕抑制組成物の製造方法に関し、詳しくは、海洋微生物SUN53菌(受託番号:NITE P−14)によるアルギン酸分解物を含有したう蝕抑制組成物、う蝕抑制食品、およびこの海洋微生物SUN53菌(受託番号:NITE P−14)を用いて得られる蝕抑制剤の製造方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 う蝕(虫歯)とは、口腔内の虫歯菌(細菌)がショ糖を栄養源として酸を発生させ、この酸によって歯が溶ける現象である。歯の表面においては、脱灰(酸によって歯のエナメル質の内側からミネラル成分のリン酸やカルシウムが溶け出すこと)という現象と、再石灰化(リン酸やカルシウムが歯のエナメル質に補われエナメル質が復元すること)という現象とが起こっており、これらの現象がバランスよく起これば歯は現状を保つことができる。う蝕は、この再石灰化現象よりも脱灰現象の方が多く発生する状態である。 【0003】 上記う蝕の詳細な原因については種々の説があげられているが、現在では、う蝕は、虫歯菌(例えば、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus Mutans))によって生成される粘着性、不溶性の多糖(以下、「不溶性グルカン」という。)が、歯表面に結合することによって始まると考えられている。 より具体的には、ストレプトコッカス・ミュータンス等の虫歯菌とショ糖とから、不溶性グルカンが生成され、この不溶性グルカンが歯表面に付着して歯垢を形成する。そして、この歯垢中では、ストレプトコッカス・ミュータンスをはじめ種々の微生物が共生、繁殖し、これらの微生物の代謝によって有機酸が産生され、この有機酸の作用で歯表面のpHが低下し、エナメル質に脱灰が生じて、う蝕が発生・進行すると考えられている。 【0004】 う蝕は、以上のような原因で発生するため、う蝕を防止するための好ましい手段の一つは「砂糖(ショ糖)」を摂取しないことである。しかしながら、砂糖は、調味料として日本人の食生活には欠かせないものとなっており、この砂糖の甘さには幼い頃から慣れ親しんでいるため、これを摂取せずに過ごすことは困難である。 【0005】 このような状況において、近年では、様々な「代用糖」が開発されている。 この代用糖としては、例えば、人口甘味料(サッカリン等)、糖アルコール(キシリトール等)、スクロース構造異性体(パラチノール等)、オリゴ糖(カップリングシュガー等)があげられる。 【0006】 【特許文献1】特開平8−217号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 さて、代用糖の必要条件としては、(1)安全で無害であること、(2)十分な甘さを有すること、(3)安価であること、(4)熱的安定性が高いこと、(5)摂取後エネルギーとなること等があげられる。しかしながら、上記例示した4種類の代用糖を含めても、この必要条件を完全に満たす代用糖は、未だ開発されていない。 【0008】 また、例えば、キシリトールは、スクロースと同様の甘みを有し熱的安定性も高いが、大量に摂取すると下痢を誘発し、価格もスクロースの略10倍程度であるため、調味料として砂糖の代わりに使用することは困難である。 【0009】 さらに、単に「味」という観点からも、上記例示した代用糖は、「砂糖」に遠く及ばない。 【0010】 つまり、現在において、砂糖と同様の味や風味を有し、かつ調味料として利用可能な代用糖は開発されていないため、砂糖を摂取しつつ、う蝕を抑制することが望ましい。 【0011】 そこで、本発明は、上記従来技術にかかる問題を解決するためになされたものであって、ショ糖(砂糖)を摂取した場合であっても、う蝕を抑制することが可能な、う蝕抑制組成物、およびう蝕抑制食品を提供することを課題とする。 また、本発明は、う蝕抑制組成物の製造方法を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0012】 本発明にかかるう蝕抑制組成物は、上記課題を解決するためになされたものであって、SUN53菌(受託番号:NITE P−14)によるアルギン酸分解物を含有したことを特徴としている。 【0013】 また、本発明にかかるう蝕抑制組成物においては、前記アルギン酸分解物が、エタノール75%で沈殿しない比較的小分子のアルギン酸分解物であることが好ましい。 【0014】 また、本発明においては、う蝕抑制組成物を口腔衛生剤として用いることが好ましい。この際、う蝕抑制組成剤そのものを口腔衛生剤として用いても、う蝕抑制組成剤含有物を口腔衛生剤として用いてもよい。さらに、この口腔衛生剤としては、例えば、歯磨き粉、洗口剤、トローチ、うがい薬のいずれかである構成が好ましい。 【0015】 本発明にかかるう蝕抑制食品は、上記課題を解決するためになされたものであって、SUN53菌(受託番号:NITE P−14)によるアルギン酸分解物を含有したことを特徴としている。 【0016】 また、本発明にかかるう蝕抑制食品においては、前記アルギン酸分解物が、エタノール75%で沈殿しない比較的小分子のアルギン酸分解物であることが好ましい。 【0017】 さらに、本発明にかかるう蝕抑制食品としては、例えば、ケーキ、クッキー、チョコレート、ガム、カステラ、パン、アイスクリーム、プディング、ゼリー、ババロア、クリーム、キャラメル、ジャム、餡、飴、羊羹、最中、および菓子のいずれかである構成が好ましい。また、本発明にかかるう蝕抑制食品としては、例えば、炭酸飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、およびジュースのいずれかである構成が好ましい。 【0018】 本発明にかかるう蝕抑制組成物の製造方法は、SUN53菌(受託番号:NITE P−14)をアルギン酸存在下で培養してアルギン酸分解物を生成させる生成工程と、前記生成工程で得られた前記アルギン酸分解物をエタノール75%で沈殿させる沈殿工程と、前記沈殿工程において沈殿しない上清を濃縮して比較的小分子のアルギン酸分解物を得る取得工程とを備えたことを特徴としている。 【発明の効果】 【0019】 本発明によれば、SUN53菌(受託番号:NITE P−14)によるアルギン酸分解物を用いることによって、ショ糖を摂取した場合であってもう蝕を抑制することが可能な、う蝕抑制組成物、およびう蝕抑制食品を得ることができる。 また、本発明によれば、SUN53菌(受託番号:NITE P−14)によるアルギン酸分解物を用いた、う蝕抑制組成物の製造方法を得ることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 以下、本発明の実施形態について説明する。 【0021】 本実施形態においては、長崎周辺海域から分離したアルギン酸分解微生物SUN53菌(受託番号:NITE P−14)によるアルギン酸分解物を用いて、う蝕抑制組成物、およびう蝕抑制食品を構成する。 【0022】 まず、本実施形態においては、アルギン酸分解酵素を産生する微生物の探索を行った。その探索方法および微生物の分離方法等の具体的な方法は、ここでは省略するが、本実施形態においては、長崎県海環境から分離した微生物のうち、アルギン酸分解能が高い微生物SUN53菌(受託番号:NITE P−14)を用いることとした。 【0023】 長崎周辺海域から分離したアルギン酸分解微生物であるSUN53菌(受託番号:NITE P−14)は、アルギン酸を添加した特定の培地で好気的条件化にて振とう培養すると、高分子アルギン酸を分解する。そこで、本実施形態においては、微生物SUN53菌(受託番号:NITE P−14)をアルギン酸存在下(アルギン酸−Na0.5%存在下)で大量培養して、アルギン酸分解物の分画・調製に用いた。また、Sephadex G-25カラムで分析した結果、分子量は約1000程度であった。 【0024】 次いで、このアルギン酸分解物をエタノール75%濃度において分画し、高分子アルギン酸分解物を除去して、小分子アルギン酸分解物を調製した。つまり、アルギン酸分解物をエタノール75%で沈殿させ、この上清に含まれる分子量数万以下の小分子物質を濃縮して、小分子アルギン酸分解物(本発明の「比較的小分子のアルギン酸分解物」に相当)を調製した。 【0025】 上記のようにして得られた上清濃縮物である小分子アルギン酸分解物を、ゲルろ過カラムを用いた高速液クロマト(HPLC)によって分析したところ、分子量10000以下のものが含まれることが確認された。 【0026】 本実施形態においては、以上のようにして得られた小分子アルギン酸分解物を用いて、う蝕抑制組成物を構成している。ここで「う蝕抑制組成物」とは、小分子アルギン酸分解物を含有した組成物は勿論のこと、小分子アルギン酸分解物そのものをも含む概念である。 【0027】 発明者は、このう蝕抑制組成物のう蝕抑制効果を確認するために、以下の実験を行った。 【0028】 まず、虫歯菌(ヒト型のミュータンスレンサ球菌)である、Streptococcus Mutans MT8148(以下、「SM(MT8148)」という。)およびStreptococcus Sobrinus SB6715(以下、「SS(SB6715)」という。)を用意し、これらによる不溶性グルカン生成に対して、う蝕抑制組成物である小分子アルギン酸分解物がどのような阻害効果を発揮するのかを観察した。 【0029】 図1は、SM(MT8148)のGTase(ショ糖からグルカンを作る酵素)による不溶性グルカン形成に及ぼす小分子アルギン酸分解物(う蝕抑制組成物)の抑制効果を示したグラフである。 本実施形態においては、SM(MT8148)から調製したGTase(0.01Mリン酸緩衝液(pH6.8)へ溶解したもの)1mL、10%ショ糖0.1mL、小分子アルギン酸分解物(0μL、10μL、50μL、あるいは100μL)を加えた反応液を、30度の仰角で37℃、24時間反応させた。そして、試験管に付着した不溶性グルカンと付着しない不溶性グルカンの生成量を測定した。また、反応液のpHについても観察した。 【0030】 この図1における棒グラフ1,2,3,4は、小分子アルギン酸分解物の添加量(0μL、10μL、50μL、100μL)に応じた不溶性グルカンの生成量(μg/mL)を示している。また、各棒グラフの上部(白色部)(1a〜4a)は、付着性不溶性グルカンの生成量を示し、各棒グラフの下部(灰色部)(1b〜4b)は、非付着性不溶性グルカンの生成量を示している。 さらに、この図1における折れ線グラフP1は、小分子アルギン酸分解物の添加量(0μL、10μL、50μL、100μL)に応じたpHの値(P11〜P14)を示している。 【0031】 具体的なデータは、次の通りである。 小分子アルギン酸分解物添加量(μL) 0 10 50 100 不溶性グルカンの総生成量(μg/mL) 680 630 550 410 <付着性> (μg/mL) 110 80 70 30 <非付着性> (μg/mL) 570 550 480 380 pH 4 4.1 6.4 9.1 【0032】 図2は、SS(SB6715)のGTase(ショ糖からグルカンを作る酵素)による不溶性グルカン形成に及ぼす小分子アルギン酸分解物(う蝕抑制組成物)の抑制効果を示したグラフである。 本実施形態においては、SS(SB6715)から調製したGTase(0.01Mリン酸緩衝液(pH6.8)へ溶解したもの)1mL、10%ショ糖0.1mL、小分子アルギン酸分解物(0μL、10μL、50μL、あるいは100μL)を加えた反応液を、30度の仰角で37℃、24時間反応させた。そして、試験管に付着した不溶性グルカンと付着しない不溶性グルカンの生成量を測定した。また、反応液のpHについても観察した。 【0033】 この図2における棒グラフ5,6,7,8は、小分子アルギン酸分解物の添加量(0μL、10μL、50μL、100μL)に応じた不溶性グルカンの生成量(μg/mL)を示している。また、各棒グラフの上部(白色部)(5a〜8a)は、付着性不溶性グルカンの生成量を示し、各棒グラフの下部(灰色部)(5b〜8b)は、非付着性不溶性グルカンの生成量を示している。 さらに、この図1における折れ線グラフP2は、小分子アルギン酸分解物の添加量(0μL、10μL、50μL、100μL)に応じたpHの値(P21〜P24)を示している。 【0034】 具体的なデータは、次の通りである。 小分子アルギン酸分解物添加量(μL) 0 10 50 100 不溶性グルカンの総生成量(μg/mL) 1630 1650 940 670 <付着性> (μg/mL) 710 900 630 480 <非付着性> (μg/mL) 920 750 310 190 pH 3.7 3.9 6.7 8.2 【0035】 これらの図1および図2から明らかなように、本実施形態にかかるう蝕抑制組成物(小分子アルギン酸分解物)を添加すれば、いずれの虫歯菌の場合であっても、不溶性グルカンの生成量は大きく抑制されることが確認された。この抑制効果は、付着性不溶性グルカンにも非付着性不溶性グルカンにも見受けられる。 また、これらの図1および図2から、本実施形態にかかるう蝕抑制組成物(小分子アルギン酸分解物)を添加すれば、培養液のpH低下を抑制することも確認された。 【0036】 本実施形態にかかるう蝕抑制組成物(小分子アルギン酸分解物)によれば、上述したように、不溶性グルカンの生成を抑制することができる。このように不溶性グルカンの生成を抑制(阻害)するということは、歯面に粘着性の糖被膜を形成しないということを意味する。したがって、本実施形態にかかるう蝕抑制組成物(小分子アルギン酸分解物)を添加すれば、唾液による緩衝作用が阻害されなくなり、酸性物質によるエナメル質の脱灰を効果的に阻止することができる。 【0037】 また、本実施形態にかかるう蝕抑制組成物(小分子アルギン酸分解物)を添加すれば、pH低下も抑制することができる。このpH低下の抑制は、虫歯菌による酸性物質生成を抑制することを示している。したがって、本実施形態によれば、このpH低下抑制作用からも、う蝕(虫歯)の発生を抑制することができる。 【0038】 さらに、本実施形態によれば、虫歯菌による糖質からの乳酸等の酸性物質の生成も抑制するので、虫歯の発生は軽減される。 【0039】 上述したように、本実施形態にかかるう蝕抑制組成物(小分子アルギン酸分解物)は、高いう蝕抑制効果を有するため、口腔衛生剤として用いることが可能である。 この口腔衛生剤としては、例えば、歯磨き粉、洗口剤、トローチ、うがい薬等があげられる。このように口腔衛生剤として使用する場合には、例えば、小分子アルギン酸分解物濃縮液または粉末という形態で、う蝕抑制組成物を添加すればよい。添加すべき量は、用途によって変化する。 【0040】 また、本実施形態にかかる小分子アルギン酸分解物は、上述したように、不溶性グルカンの生成を阻害するので、虫歯を誘発するショ糖含有食品と一緒に摂取すれば、不溶性グルカンの生成を抑制して、エナメル質の脱灰を阻止することができる。すなわち、この小分子アルギン酸分解物を用いて、う蝕抑制食品を構成することも可能である。 具体的には、ショ糖を甘味料として添加する食品(クッキーや菓子類等)の作成段階で、小分子アルギン酸分解物を適当量(ショ糖使用量によって添加すべき量は変化する)添加することによって、う蝕抑制効果を有する食品(う蝕抑制食品)を構成することができる。効率よく効果(う蝕抑制効果)を引き出すためには、ショ糖と小分子アルギン酸分解物の比率がポイントになる。 【0041】 このようにして構成されたう蝕抑制食品としては、例えば、ケーキ、クッキー、チョコレート、ガム、カステラ、パン、アイスクリーム、プディング、ゼリー、ババロア、クリーム、キャラメル、ジャム、餡、飴、羊羹、最中、および菓子等のいずれかがあげられる。また、飲料物たるう蝕抑制食品としては、炭酸飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、およびジュース等のいずれかがあげられる。 【0042】 なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。 【0043】 例えば、上記実施形態においては、アルギン酸分解物をエタノール75%濃度において分画し、高分子アルギン酸分解物を除去して、小分子アルギン酸分解物を調製した場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。すなわち、SUN53菌(受託番号:NITE P−14)によるアルギン酸分解物にはう蝕抑制物質が含有されているが、この物質の取り出し方法は上述の方法に限定されず、例えば、アルギン酸分解物をゲルろ過法や限外ろ過装置等によって処理し、小分子アルギン酸分解物を調整することも可能である。 【0044】 また、上記実施形態においては、アルギン酸の複合分解物の場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、精製された単離物質でもよい。 【産業上の利用可能性】 【0045】 厚生労働省の健康調査によると、我が国における5〜15歳の子供の虫歯保有率は、78%以上と極めて高く、虫歯治療に要する医療費は相当額にのぼっている。 【0046】 これに対し、本発明にかかるう蝕抑制組成物(小分子アルギン酸分解物)によれば、虫歯菌による不溶性グルカン生成に対して阻害効果を示すので、口腔衛生剤として用いたり、またはショ糖添加食品に一緒に加えることにより(う蝕抑制食品として構成することにより)、虫歯発生を軽減することが可能となる。 【0047】 虫歯発生の軽減は、青少年の成長・発育を正常に行わせ、また高齢期における義歯装着者を低減させることを可能とするため、医療費削減に大きく寄与することとなる。 【0048】 また、アルギン酸は、昆布やわかめ等の藻類に含まれているので、本発明にかかるアルギン酸分解物が口腔衛生剤や食品(あるいは食品素材)として利用されるようになると、商品として価値が低い傷物の昆布やわかめ等もこれ(う蝕抑制組成物(小分子アルギン酸分解物))の原料として用いることが可能となる。したがって、本発明は、資源の有効利用にも大きく寄与する。 【図面の簡単な説明】 【0049】 【図1】本実施形態にかかる小分子アルギン酸分解物(う蝕抑制組成物)の効果を示すグラフであって、SM(MT8148)のGTaseによる不溶性グルカン形成に及ぼす小分子アルギン酸分解物(う蝕抑制組成物)の抑制効果を示したグラフである。 【図2】本実施形態にかかる小分子アルギン酸分解物(う蝕抑制組成物)の効果を示すグラフであって、SS(SB6715)のGTaseによる不溶性グルカン形成に及ぼす小分子アルギン酸分解物(う蝕抑制組成物)の抑制効果を示したグラフである。 【符号の説明】 【0050】 1 小分子アルギン酸分解物を0μL添加した場合の不溶性グルカンの生成量を示す棒グラフ(SM(MT8148)の場合) 2 小分子アルギン酸分解物を10μL添加した場合の不溶性グルカンの生成量を示す棒グラフ(SM(MT8148)の場合) 3 小分子アルギン酸分解物を50μL添加した場合の不溶性グルカンの生成量を示す棒グラフ(SM(MT8148)の場合) 4 小分子アルギン酸分解物を100μL添加した場合の不溶性グルカンの生成量を示す棒グラフ(SM(MT8148)の場合) 5 小分子アルギン酸分解物を0μL添加した場合の不溶性グルカンの生成量を示す棒グラフ(SS(SB6715)」の場合) 6 小分子アルギン酸分解物を10μL添加した場合の不溶性グルカンの生成量を示す棒グラフ(SS(SB6715)」の場合) 7 小分子アルギン酸分解物を50μL添加した場合の不溶性グルカンの生成量を示す棒グラフ(SS(SB6715)」の場合) 8 小分子アルギン酸分解物を100μL添加した場合の不溶性グルカンの生成量を示す棒グラフ(SS(SB6715)」の場合) P1 小分子アルギン酸分解物の添加量(0μL、10μL、50μL、100μL)に応じたpHの値を示した折れ線グラフ(SM(MT8148)の場合) P2 小分子アルギン酸分解物の添加量(0μL、10μL、50μL、100μL)に応じたpHの値を示した折れ線グラフ(SS(SB6715)」の場合)
|
| 【出願人】 |
【識別番号】505225197 【氏名又は名称】長崎県公立大学法人
|
| 【出願日】 |
平成16年9月27日(2004.9.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100131897 【弁理士】 【氏名又は名称】荒木 憲一
|
| 【公開番号】 |
特開2006−89425(P2006−89425A) |
| 【公開日】 |
平成18年4月6日(2006.4.6) |
| 【出願番号】 |
特願2004−278815(P2004−278815) |
|