| 【発明の名称】 |
抗菌性組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】上田 成子
【氏名】桑原 祥浩
【氏名】丸山 務
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| 【要約】 |
【課題】安価で、安全性、静菌ないし抗菌活性等の点で十分満足できる抗菌組成物はまた得られていないのが現状であり、特に安全性について十分確立されている食用植物に含まれる静菌ないし抗菌活性物質、静菌ないし抗菌活性を呈する化合物類の提供が切望されている。
【解決手段】分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類、並びに該化合物類と、担体とを含有する抗菌組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類と、担体とを含有する抗菌組成物。 【請求項2】 無菌化処理されたものである請求項1記載の抗菌組成物。 【請求項3】 分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類を有効成分として含有する抗菌剤。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来の化合物類と担体とからなる抗菌組成物、及び分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類を有効成分として含有する抗菌剤等に関する。 【背景技術】 【0002】 バラ科オランダイチゴ属に属するオランダイチゴ(学名:Fragaria × magna Thuill.やF. chiloensis. (L)Duch. Var ananasa Bailey等)は、偽果が、食用となり、甘く、芳香を放ち、形状も大きいことから、現在では広く一般に栽培されている食用植物である。オランダイチゴは、17ないし18世紀にヨーロッパで作出され、日本には江戸時代天保年間にオランダ人によってもたらされたといわれている。食用とされる偽果は、膨らんだ花床(花托)とその上についている果実の痩果とからなる、いわゆるイチゴ果である。 古来より、種々の植物材料に含まれる生理活性物質の探索研究は盛んに行われており、オランダイチゴも同様であり、オランダイチゴの薬用部分はその偽果、及び葉であり、葉にはタンニン フラボノイド、偽果には、糖、リンゴ酸、クエン酸等が含まれている。また、偽果にビタミンCであるアスコルビン酸が多く含まれていることもよく知られている。これらの偽果、葉を、収斂、抗利尿、抗壊血病、強壮、緩下薬に、また偽果を滋養、清涼薬とする。また、偽果は主として生で食用とされるほか、イチゴシロップ、イチゴジャム、ゼリーなどの原料とされる。更に、中国では結根草莓(F. filipendula Hemsl.の全草)を止血、子宮出血の止血に、F. nilgerrensis Schlecht.の全草をヘビに咬まれたときの解毒薬として用いられることは知られている(例えば、非特許文献1参照)。 【0003】 特許文献1には、ドーパミン含有の活性酸素消去種と、該消去種の作用を促進する活性酸素消去促進種を含む活性酸素消去材、フィルター、健康食品、食品、及び飲料であって、その活性酸素消去種の一つとしていちごが含まれることが記載されている。 また、特許文献2には、バラ科に属する果実の未熟果実より搾汁及び/又は抽出され、かつその画分が精製されて成る果実ポリフェノール、その製造方法、酸化防止剤、血圧降下剤、抗変異原性作用剤、アレルギー剤、抗う蝕剤及び消臭剤等の発明が記載されており、従来技術として茶のポリフェノール(カテキン類)においては抗菌、・・・・・・、抗う蝕、・・・・・・、消臭など広範な生理作用を有することが認知されつつあることが記載されているが、当該発明においてはリンゴ、ナシ、モモなどのバラ科木本の未熟果実を記載しているだけで、バラ科オランダイチゴについては実施例その他の具体的記載は一切ない。 同様に特許文献3には、バラ科に属する果実の未熟果実より搾汁及び/又は抽出されて成ることを特徴とする果実ポリフェノール含有果汁をその発明の要旨とする技術が記載されているが、リンゴ、ナシ、モモなどのバラ科木本の未熟果実を記載しているだけで、オランダイチゴ偽果の生理作用について具体的記載がないのは前記と同様である。 【0004】 一方、抗菌剤、消臭剤、抗う蝕剤、抗菌活性を利用する健康食品や食品添加物の分野においても、従来より安全性が高い生薬を使用する試みが種々行われているが、オランダイチゴに代表されるオランダイチゴ属植物の偽果、すなわちイチゴ果由来のエキスを抗菌活性成分として使用することについては、いずれの文献にも記載も示唆もされていない。 【0005】 【非特許文献1】原色牧野和漢薬草大図鑑、昭和63年10月31日 (株)北隆館発行 【特許文献1】特開2001−158742号公報 【特許文献2】特開平7−285876号公報 【特許文献3】特開平8−259453号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 従来より、飲食物の保存剤ないし日持向上剤、あるいはこの保存剤等としての食品添加物や抗菌剤などの静菌ないし抗菌性成分としては、安全性が高い天然物由来の静菌ないし抗菌性物質、例えばエゴノキ抽出物、カワラヨモギ抽出物、ヒノキチオール、ペクチン分解物、ホオノキ抽出物、レンギョウ抽出物、モウソウチク抽出物、わさび抽出物、茶抽出物、にんにく抽出物、ユッカ抽出物、マンゴー種子核抽出物等々を用いることなど種々検討されてきたが、安価で、安全性、静菌ないし抗菌活性等の点で十分満足できる抗菌組成物はまた得られていないのが現状であり、特に安全性について十分確立されている食用植物に含まれる静菌ないし抗菌活性物質、静菌ないし抗菌活性を呈する化合物類の提供が切望されている。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明者らは、生活習慣病などの予防のために摂取が奨励・推進されている栄養・生理学的に有効な機能を有する果実や野菜に関し、1996年以来問われているそれらの微生物学的安全性の問題について鋭意研究を継続してきたところであるが、今般市販の18種114検体の果実、カット果実、乾燥果実について、その細菌学的汚染実態の検査を行うとともに、滅菌処理、非滅菌処理と各種保存温度との関係で果実に接種の病原性細菌の増殖の程度について研究を行った結果、滅菌リンゴジュースと、滅菌・非滅菌オレンジ・ジュースで25℃、24時間保存で本菌の増殖が認められたにもかかわらず、全く予想外にも滅菌処理したオランダイチゴではその増殖を有意に抑制し、静菌ないし殺菌効果を発揮している事実を見出し、更にバラ科オランダイチゴ属イチゴ果の搾汁、極性溶媒抽出エキスが該静菌ないし殺菌作用を示すことを知見して、学会発表を行うとともに特許出願を行っている(特願2004−029893号参照)。 本発明者は更に、バラ科オランダイチゴ属イチゴ果の極性溶媒抽出エキスを大量に製造し、活性物質に関して更に鋭意検討したところ、バラ科オランダイチゴ属イチゴ果の極性溶媒抽出エキスを乾燥して得られた粉末はメタノールには溶解しがたい性質を有すること、該粉末の水あるいは含水アルコール溶液をゲルろ過に付しその活性画分につき確認したところ、分子量が2000以下、特に1000以下の物質として得られる分画のみが静菌ないし抗菌活性を示すことを知見し、該知見に基づき更に鋭意検討を加えて本発明を完成させるに至った。 【0008】 すなわち、本発明は、 (1)分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類と、担体とを含有する抗菌組成物、 (2)無菌化処理されたものである上記(1)記載の抗菌組成物、 (3)分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類を有効成分として含有する抗菌剤、 に関するものである。 【0009】 なお、本発明において、「抗菌」とは、静菌ないし抗菌、あるいは殺菌をも包括する概念をいい、抗菌組成物とは、静菌ないし抗菌、あるいは殺菌活性を有する化合物類を有効成分として含有する食品組成物、保存・日持ち向上組成物、医薬組成物、口腔衛生用組成物、消臭・脱臭用組成物、消毒・殺菌組成物そのほかの用途の組成物を意味する。以下、静菌ないし抗菌、あるいは殺菌作用を単に抗菌作用と、静菌ないし抗菌、あるいは殺菌作用を有する化合物類を有効成分とする組成物を単に抗菌組成物と、静菌ないし抗菌剤、あるいは殺菌剤を含めて抗菌剤と略記する場合がある。 【発明の効果】 【0010】 前記のように、バラ科オランダイチゴ属に属する植物のイチゴ果は、薬用としても使用されてはきたが、甘く、芳香を発し、ビタミンCやリンゴ酸、クエン酸なども豊富な園芸果実として永い間摂取され、安全性も確立されている。 後記する実験例からも明らかなように、本発明はバラ科オランダイチゴ属のイチゴ果極性溶媒抽出エキス乾燥物を用い、その水溶液あるいは含水アルコール溶液をゲルろ過して得られる分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類が、先に出願した無菌化処理したバラ科オランダイチゴ属のイチゴ果の搾汁又は極性溶媒抽出エキスと同様、各種の菌に対して優れた抗菌活性を有していたことを見出した点に特徴を有するものである。従って、本発明によれば、分子量が2000以下の抗菌活性を有するバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類と、担体とからなる抗菌組成物を提供することが可能となる。 【0011】 また、本発明によれば、抗菌活性を有する分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類を有効成分とする食品保存剤、食品添加物あるいはこれらの食品保存剤や食品添加物を配合させた飲食物を提供することが可能となる。 更に、本発明によれば、抗菌活性を有する分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類を有効成分とするにきび治療用などの化粧料、絆創膏などに添加する抗菌剤、抗う蝕剤や抗歯周病剤などの口中衛生料、消臭剤・脱臭剤、消毒・殺菌剤等種々の用途の製品の提供を可能とするものである。 【0012】 また本発明によれば、抗菌作用物質として有用な分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来の化合物類自体の提供をも可能にするものである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0013】 以下、本発明につき詳述する。 本発明に用いられる「バラ科オランダイチゴ属に属する植物」とは、そのイチゴ果(偽果)由来の分子量2000以下の化合物類が抗菌作用を有するオランダイチゴ科の植物であれば特に制限はない。入手の容易さにおいては交配種が優れるが、場合によっては原種を使用することもできる。原種としては、Fragaria chiloennsis、Fragaria daltoniana、Fragaria gracilis、Fragaria iinumae、Fragaria moschata、Fragaria nilgerrensis、Fragaria nipponica、Fragaria virginiana、Fragaria viridisなどが挙げられる。また、本発明の植物には、これらの原種の亜種や原種間交配種が含まれる。交配種としては日本では農業品種名が普通に用いられ、女峰、とよのか、麗紅、さちのか、とちおとめ、とよひめ等多くが知られている。また、本発明には、オランダイチゴ属植物のみならず、オランダイチゴの近縁属であるRubus属などの類縁植物であって、そのイチゴ果由来の分子量2,000以下の化合物類が同様に優れた抗菌活性を示すものも本発明の植物に包含される。 特に、工業生産性をも考慮するときは、本発明の植物としては、偽果が大きく、収穫量も多く、成長が早く、稔性のよいオランダイチゴ属植物が好ましい。 【0014】 また、本発明の「イチゴ果」は、前記の通り、膨らんだ花床と果実である痩果とからなる偽果を意味する。また、特に「イチゴ果」と特定せずに単にイチゴと特定した場合においても、イチゴ果を意味する場合がある。「イチゴ果」は特に無菌化処理した後抽出工程に付すことができる。 本発明で使用される「極性溶媒」とは、極性を有する溶媒であって、無極性の溶剤とは異なる溶媒を意味し、水と相溶性を有する有機溶媒も含まれる。本発明の目的を達成できる極性溶媒であれば特に限定はないが、特に水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール(C1−6アルコール);アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン(C1−6ケトン);又はこれらの混合溶媒が好ましく、更に好ましくは水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、又はこれらの混合溶媒であり、至適には水、あるいは水とメタノール、エタノール又はアセトンとの混合溶媒である。 【0015】 本発明にいう「バラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類」とは、前記「オランダイチゴ属に属する植物」の「イチゴ果」から得られる化学物質で構成される混合物を意味するものであり、分子量が2000以下の化合物類となっていれば、エキスであってもよく、エキスから分離されたものであってもよく、あるいは後記実施例で詳述するように、エキス乾燥物の水溶液あるいは含水アルコール溶液をゲルろ過して、分子量の大小で分離したものであってもよい。 【0016】 本発明の特に特徴とするところは、バラ科オランダイチゴ属に属する植物のイチゴ果の極性溶媒エキスを乾燥して得られる粉末を用いて、その水溶液あるいは含水アルコール溶液をゲルろ過に付して、その分子量の大小で活性の有無を確認した結果、分子量が2000を超える分画には活性がほとんど認められなかったのに対し、分子量2000以下の化合物類が優れた抗菌活性を有することを見出した点にある。従って、本発明に言う「分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類」とは、本発明にいう製法のいかんによらず、バラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果から得られるものであって、分子量が2000以下の化学物質を含む混合物形態の物質を意味する。 【0017】 本発明にいう「分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類」は、以下のように製造される。 すなわち、オランダイチゴ属植物のイチゴ果を水で洗浄して、水中でイチゴ果を破砕し(あるいは必要に応じて更に乾燥して得られた)破砕物を圧搾し、これを遠心分離やろ過などにより固液分離して搾汁とする。イチゴ果は、例えば加熱処理、照射などの物理的な処理、滅菌ガスやアルコール処理などの通常の無菌化処理手段を用いて予め無菌化処理を施しておくこともできる。 前記イチゴ果破砕物、搾汁、あるいは搾汁を凍結乾燥などの乾燥手段で乾燥した乾燥物を原料として用いて、これに水、メタノール、エタノール、アセトン等の極性溶媒あるいはこれらの混合溶媒を添加し、必要に応じて、加温、浸漬、圧搾して抗菌活性成分を含むエキスを抽出する。抽出溶媒が水の場合は、イチゴ果に含まれる水分が水であるから、搾汁から直接濃縮して製造することもできる。 得られた極性溶媒エキスをそのまま、あるいはその極性溶媒エキスを一旦乾燥して得られるエキス乾燥粉体を再び極性溶媒溶液に溶解した溶液を用いて、分子量の大小で分離する装置、例えばゲルろ過の分離カラム(具体的には、例えば東ソー株式会社製:分離カラムG1000PW)に付し分画することにより、分子量2000以下、特に1000以下の化合物類の分画が得られる。この分画を常法、例えば通風乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥等の一般的な乾燥手段で乾燥することにより、「分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類」を調製することができる。 なお、メタノールで抽出したオランダイチゴ属植物のイチゴ果エキスは、一旦乾燥すると、再び溶媒に溶解しようとする場合に、純粋なメタノールには容易には溶解しないので、このようなエキス乾燥物を用いるときは、水、あるいは含水アルコール等を使用して溶解するのが好ましい。 なお、ゲルろ過の性質上、分画される分子の形状(例えば線形形状の分子種)によっては、分離カラム充填剤として、上記のように分子量を1000で分画する充填剤を使用した場合であっても、分子量が1000を超える化合物が混じって分画されることが往々にしてあることは当該技術分野において周知であり、本発明にいう「分子量2000以下」はこのような技術背景を考慮して設定されたものであって、好ましくは分離カラムとして分子量を1000で分画する充填剤を用いてゲルろ過して分画される画分であり、換言すれば分子量が2000を超えることはないと推測される画分を意味する。 得られた「分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類」は、更に必要に応じて、無水硫酸ナトリウムなどで乾燥したり、必要ならば再度溶解しうる極性溶媒への溶解、ゲルろ過、乾燥等を反復することにより、「分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類」の精製度を高めることもできる。 更に、用途に応じては、分画溶媒を留去して、用途に適する別の有機溶媒系に移すこともできる。 【0018】 このようにして得られる「分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類」は、そのまま使用することもできるが、前記各種の組成物の組成成分である担体と配合されて、例えば食品保存剤、食品添加物、これらを配合した飲食物、医薬品など抗菌活性を利用する種々の製品とすることができる。 抗菌組成物の「担体」とは、その抗菌組成物が食品保存剤、食品添加物であれば、食品保存剤あるいは食品添加物として許容される担体であり、医薬組成物であれば製薬学的に許容される担体を意味する。以下抗菌組成物として、特に食品保存剤、食品添加物、飲食物、あるいは医薬としての組成物について詳述する。 【0019】 本発明において「分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類」を配合する食品材料は、本発明の目的を達成する限り、限定されるものではないが、本発明の「分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類」を添加することにより安全性が高い、食品保存効果を発揮できる種々の飲食物の食品材料であればよい。特に、本発明の食品組成物としてはイチゴ風味を有するジュース、ゼリー、ヨーグルト、ムース等のデザート類や、コロッケ、ハンバーグ等の加熱後に常温で保存する調理済み食品、パン、うどん、そば、ピザクラフツ等のボイル食品、ジャム類、クッキー類、菓子類、乳製品、ドリンク類、みそ等の調味製品等種々の飲食物とすることができるので、これらの食品に一般的に使用される食品材料を、本発明の食品組成物の食品材料とすることができる。また、「分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類」を食品保存剤、食品添加物の製品形態とし、種々の飲食物に配合するための製品とすることも可能である。 【0020】 これらの食品材料に添加される食品材料としては、その食品に必須の食品材料の他、蔗糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、ブドウ糖果糖液糖等の糖類、ゴマ油、トウモロコシ油、大豆油、綿実油、ナタネ油、オリーブ油、ヤシ油等の植物油、高級脂肪酸トリグリセリド、中鎖脂肪酸モノグリセリド、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の脂質、ゼラチン等の蛋白質、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル等の界面活性剤などが挙げられる。 また、食品保存剤、食品添加物、あるいはこれらを配合した飲食物には、抗菌活性について相加的、あるいは相乗的に日持ち向上効果を発揮させるために、更に一般に食品保存剤としてソルビン酸又はその塩類、ビタミンC(アスコルビン酸)、亜硫酸又はその塩類や、メチルパラベン、ブチルパラベン等の安息香酸系食品保存剤のほか、これまで天然物由来の抗菌性物質として検討されてきた、例えばエゴノキ抽出物、カワラヨモギ抽出物、ヒノキチオール、ペクチン分解物、ホオノキ抽出物、レンギョウ抽出物、モウソウチク抽出物、わさび抽出物、茶抽出物、にんにく抽出物、ユッカ抽出物、マンゴー種子核抽出物等を併用することもできる。 【0021】 本発明の「分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類」の配合量は、配合される食品保存剤、食品添加物、飲食物等摂取される製品の形態によっても異なり、一概に規定することはできないが、飲食物に添加される場合は、通常製品に対し0.01乃至10重量%、好ましくは0.1乃至5重量%の割合で配合され、食品保存剤、食品添加剤の抗菌組成物とする場合は、通常製品に対し0.1乃至99重量%、好ましくは1乃至80重量%の割合で配合される。 これらの食品保存剤、食品添加物は、飲食物に添加することにより、飲食品中の一般細菌数の増殖を有効に抑制することができ、飲食物の日持ち向上剤としての機能を発揮する。 【0022】 抗菌組成物が医薬組成物である場合において、「分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類」に配合される担体としては、賦形剤その他の添加剤が挙げられ、そのような賦形剤その他の添加剤としては、具体的には例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、コーンスターチ、微結晶セルロース等の賦形剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、メチルセルロース(MC)、アラビアゴム等の結合剤、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)、繊維素グリコール酸カルシウム等の崩壊剤、クエン酸、酒石酸等の酸味料、重炭酸ナトリウムと酸とからなる発泡剤、ステビア、アスパルテーム等の人工甘味料、ステアリン酸ナトリウム等の滑沢剤、酸化チタン、酸化亜鉛、赤色三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄等の着色剤、その他香料、防腐剤などが挙げられる。 なお、これらの医薬賦形剤やその他の添加剤としては、1種又は2種以上を組み合わせて転嫁することができる。また、これらの医薬賦形剤やその他の添加剤の配合量は、製造される医薬品製剤の剤形によって相違し一概に規定することはできないが、製剤全体に対しおよそ10乃至99.99重量%であり、好ましくは50乃至99.9重量%である。 【0023】 また、本発明抗菌組成物の有効成分となる「分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類」は、例えば救急用絆創膏のガーゼに含浸させて創傷部の細菌汚染の防止、創傷部の治癒促進とすることができるほか、マスクに含浸させてウィルス性疾患からの予防、あるいは細菌の増殖を抑制することができる。 【0024】 また、本発明の「分子量が2000以下のバラ科オランダイチゴ属植物イチゴ果由来化合物類」は、該成分が有する特異的な静菌ないし抗菌活性に基づき、食品由来の悪臭又は口臭等の悪臭等に対する消臭・脱臭を目的とする消臭剤・脱臭剤、にきび治療等を目的とする化粧料、う蝕菌、歯周病菌等の増殖を抑制する抗う蝕剤、抗歯周病菌剤等としての有用性も期待される。 【0025】 以下、実施例を掲記し、本発明を更に詳細に述べるが、本発明はこれらの実施例により限定されるべきでないことは勿論である。 【実施例】 【0026】 〔参考例1〕 (1)試料の作成 オランダイチゴ偽果(以下単にイチゴ果と称す)の果汁を用いてその抗菌効果を検討した。イチゴ果100gを精製水で良く洗浄し、家庭用ミキサーを用いて破砕した後、遠心分離器で固液を分離しイチゴジュースを作成した。作成したイチゴジュースに精製水を加え30%の希釈ジュースとした。この希釈ジュースは、滅菌処理したものと滅菌処理を施さないものに分けて実験試料とした。 (2)試験に供した菌株とその培地(表1) 【0027】 【表1】
【0028】 (3)実験方法 滅菌、非滅菌の実験試料に、表1に示した菌株をそれぞれ接種し、5、10、25、及び32℃の環境下に保持し、0、6、24、48、及び72時間後の菌数を測定した。結果を表2に示す。 【0029】 【表2】
【0030】 表2の結果からも明らかなように、イチゴ果搾汁の水希釈物は種々の細菌に対し て特に高温下においてその増殖を有効に抑制し、静菌ないし抗菌活性を示した。非滅菌処理でも、抗菌傾向は認められたが、滅菌処理を行って初めてイチゴジュースの抗菌活性が確認された。なお、非滅菌処理でデータにバラツキが見られるのは、最初から雑菌が存在し、これらが影響を与えていることと同時に、これらの雑菌も測定されるためである。 【0031】 〔比較例1〕 参考例1と全く同様に、実験をイチゴジュースに代えて、オレンジジュースとリンゴジュースについて実施した結果、これらの果実には殺菌効果は認められなかった。 Bacillus cereus菌の様に、菌自体が弱いため時間の経過により自然消滅したケースも認められた。結果を表3と表4に示す。 【0032】 【表3】
【0033】 【表4】
【0034】 表2、表3、および表4の結果から、非滅菌処理の場合は雑菌の影響もあり判断は困難であるが、滅菌イチゴジュースにはオレンジジュースやリンゴジュースに比べ項筋力で優位性が認められる。この現象を明確にするため、抽出物の実験を実施した。 結果を参考例2により詳細に説明する。 【0035】 〔参考例2〕 イチゴ果水抽出エキスの製造 イチゴ果100gを精製水で良く洗浄し、家庭用ミキサーで破砕した後、凍結乾燥機にて乾燥し、5gの乾燥固化物を得た。この乾燥固化物をナス型フラスコに移し、精製水100mlを添加し、80℃に加温しながら超音波振動装置で10分間超音波振動を加えて有効成分を抽出した。更に、遠心分離により固液を分離した後、80℃に加温して余分な水分を留去した。最終的に6mlの水抽出エキスを得た。 【0036】 〔参考例3〕 イチゴ果メタノール抽出エキスの製造 イチゴ果100gを精製水で良く洗浄し、家庭用ミキサーで破砕した後、凍結乾燥機にて乾燥し、5gの乾燥固化物を得た。この乾燥固化物をナス型フラスコに移し、メタノール100mlを添加し、60℃に加温しながら超音波振動装置で10分間超音波振動を加えて有効成分を抽出した。更に、遠心分離により固液を分離した後、70℃に加温して余分なメタノールを留去した。最終的に5mlのメタノール抽出エキスを得た。 【0037】 〔参考例4〕 参考例2、及び参考例3で製造した濃縮エキスについてディスク法を用いて37検体の細菌に対する作用を半定量的に調べた。結果を表5に示す。結果から明らかなように、これらのエキスは抗菌性を示し、水抽出エキスに比べ極性溶媒抽出エキスの方がより高い抗菌力を示した。 【0038】 【表5】
注 菌数(1):1=10の4乗個、2=10の6乗個 効果円(2):R1=完全阻止円径、R2=不完全阻止円径 単位:mm 【0039】 〔実施例1〕 イチゴ果メタノール抽出エキスの製造 イチゴ果100gを精製水で良く洗浄し、家庭用ミキサーで破砕した後、凍結乾燥機にて乾燥し、5gの乾燥固化物を得た。この乾燥固化物をナス型フラスコに移し、メタノール100mlを添加し、60℃に加温しながら超音波振動装置で10分間超音波振動を加えて有効成分を抽出した。更に、遠心分離により固体分を除去氏分離した液分を70℃に加温して余分なメタノールを留去し、乾固した後、10%メタノール水溶液に溶解した。 この溶液を適宜水で希釈して、東ソー株式会社製 分離カラム G1000PWにより分画した。得られた分子量1000以下の画分を凍結乾燥した後、2mlの10%メタノール水溶液に溶解し、評価試料とした。評価試料を参考例3と同様に評価した結果、分子量1000以下の物質に活性が認められ、表5中のメタノール抽出エキスで得られた結果と比較して同等以上の効果が確認された。 【0040】 表6 低分子量抽出物の抗微生物作用 【表6】
注 菌数(1):1=10の4乗個、2=10の6乗個 効果円(2):R1=完全阻止円径、R2=不完全阻止円径
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| 【出願人】 |
【識別番号】391003484 【氏名又は名称】阿蘇製薬株式会社
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| 【出願日】 |
平成16年9月24日(2004.9.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087251 【弁理士】 【氏名又は名称】門奈 清
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| 【公開番号】 |
特開2006−89410(P2006−89410A) |
| 【公開日】 |
平成18年4月6日(2006.4.6) |
| 【出願番号】 |
特願2004−276775(P2004−276775) |
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