| 【発明の名称】 |
コンタクトレンズ取り外し用眼科組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】藤田 博紀
【氏名】中村 律子
【氏名】安藝 博
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| 【要約】 |
【課題】コンタクトレンズが眼に粘着している場合でも、過度に力を加えることなく、また、吸盤やスポイド等の器具を用いることなしに、容易にコンタクトレンズを取り外せるようにするための眼科組成物を提供すること。
【解決手段】イオン強度が0.01〜0.12又は0.29〜0.56の水性組成物であり、好ましくは角膜保護剤、ビタミン類、アミノ酸からなる群から選択される少なくとも1種の医薬成分を更に含有してなる、コンタクトレンズ取り外し用眼科組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 イオン強度が0.01〜0.12又は0.29〜0.56の水性組成物である、コンタクトレンズ取り外し用眼科組成物。 【請求項2】 角膜保護剤、ビタミン類、アミノ酸からなる群から選択される少なくとも1種の医薬成分を更に含有してなる、請求項1記載の組成物。 【請求項3】 点眼剤である請求項1又は2記載の組成物。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、コンタクトレンズ取り外し用眼科組成物に関する。 【背景技術】 【0002】 コンタクトレンズを目から取り外すには、通常、ソフトコンタクトレンズの場合には指でつまんで外し、ハードコンタクトレンズの場合には指で目尻を引っ張って上下の眼瞼でコンタクトレンズをはさみ、まばたきをすることで外す方法が一般的である。また、スポイト先端部にコンタクトレンズ吸着部を備えたコンタクト吸引脱着器(特許文献1参照)や吸盤部を設けたコンタクトレンズ取り外し具(特許文献2参照)等の器具を用いてコンタクトレンズを吸着させて取り外す方法も提案されている。しかし、長時間の装用あるいは涙液の分泌不足等によってコンタクトレンズが角膜に粘着し、コンタクトレンズを取り外しにくくなる場合がある。このような状況下で上記のような通常の取り外し方法を用いると、指や器具によって過度に力を加えてコンタクトレンズを外すことになり易く、コンタクトレンズを損傷する虞があるほか、角膜、結膜や眼瞼を傷つける虞がある。 【0003】 コンタクトレンズ装着液(特許文献3参照)や、コンタクトレンズ装用眼の安全および装用感を向上させる点眼液(特許文献4参照)は知られているが、コンタクトレンズの取り外しを容易にするための眼科組成物は知られていない。 【0004】 【特許文献1】特開2003−255276号公報 【特許文献2】特開平10−197832号公報 【特許文献3】特開2003−66383号公報 【特許文献4】特開昭61−246119号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 上記背景において、本発明は、コンタクトレンズが眼に粘着している場合でも、過度に力を加えることなく、また、吸盤やスポイド等の器具を用いることなしに、容易にコンタクトレンズを取り外せるようにするための眼科組成物を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者は、上記目的の達成に向けた検討の結果、イオン強度が0.01〜0.12または0.29〜0.56である水性組成物(水溶液)をコンタクトレンズ装着眼に適用することにより、コンタクトレンズを容易に取り外すことが可能となることを見出し、さらに研究を進めて本発明を完成させた。 【0007】 すなわち本発明は、以下を提供するものである。 (1)イオン強度が0.01〜0.12又は0.29〜0.56の水性組成物である、コンタクトレンズ取り外し用眼科組成物、 (2)角膜保護剤、ビタミン類、アミノ酸からなる群から選択される少なくとも1種の医薬成分を更に含有してなる、上記(1)記載の眼科組成物、及び (3)点眼剤である上記(1)又は(2)記載の眼科組成物。 【発明の効果】 【0008】 本発明によれば、表面に角膜に粘着して従来の方法では取り外し難くなったコンタクトレンズの取り外しが容易となるため、角膜、結膜や眼瞼を傷つけたり、コンタクトレンズを損傷する虞を実質的になくすことができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 本発明において、「コンタクトレンズ取り外し用眼科組成物」とは、眼に装着されているコンタクトレンズを取り外す際に、取り外しを容易にする目的で眼に適用される組成物をいう。 【0010】 本発明の眼科組成物の形態は、コンタクトレンズ装用眼に適用し易いものであればよく、好ましくは点眼剤である。点眼剤としては点眼液、洗眼液等が挙げられるが、とりわけ点眼液が好ましい。 【0011】 本発明の眼科組成物は、レンズのタイプを特に限定することなく、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズおよび酸素透過性ハードコンタクトレンズのいずれにも適用できる。ソフトコンタクトレンズとしては、FDA(米連邦食品医薬品局)の分類による、非イオン性素材で含水率50%未満(低含水率)のグループI、非イオン性素材で含水率50%以上(高含水率)のグループII、イオン性素材で低含水率のグループIII、およびイオン性素材で高含水率のグループIVの各ソフトコンタクトレンズが挙げられるが、これらのうちでも本発明の眼科組成物は、グループIVのソフトコンタクトレンズに取り分け好適に使用される。 【0012】 本明細書中におけるイオン強度は、下記式で定義される。 イオン強度=1/2ΣCiZi22 (ここで、Ciは溶液中で解離しているイオン種iのモル濃度、Ziはイオン種iの電荷数である。) 【0013】 本発明の眼科組成物のイオン強度の範囲は、0.01〜0.12または0.29〜0.56である。 【0014】 本発明の眼科組成物において、イオン強度を上記範囲に調整するために好ましく用いられる化合物の例としては、水溶性の無機塩類が挙げられ、具体的には例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられるが、これらに限定されない。 【0015】 本発明の眼科組成物は、緩衝剤およびpH調整剤によりpH4〜9、好ましくは5〜8となるよう調整される。使用される緩衝剤の例としては、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸、ε−アミノカプロン酸等とそれらの塩とからなるものが挙げられるが、これらに限定されない。pH調整剤としては、塩酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。 【0016】 本発明の眼科組成物において、水溶性無機塩類、緩衝剤およびpH調整剤は、イオン強度が前記範囲内となるような量で用いればよく、その限りにおいて、それらの組合せや割合は、特に制限されない。 【0017】 また、本発明の眼科組成物には、本発明の目的に反しない限り、保存剤(例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸またはその塩等)、安定化剤(例えば亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン等)、水溶性高分子(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等)、清涼化剤(例えばメントール、カンフル、ボルネオール等)、界面活性剤(例えばポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、チロキサポール等)等の添加剤を適宜含有させてもよい。 【0018】 さらに、本発明の眼科組成物には、本発明の目的に反しない限り、従来の眼科組成物に配合できる医薬成分、例えば、グリチルリチン酸二カリウム,アラントイン等の抗炎症薬、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン薬、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等の角膜保護薬、α−トコフェロール、ピリドキシン等のビタミン類、アミノエチルスルホン酸、アスパラギン酸またはその塩等のアミノ酸、塩酸エピネフリン、塩酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン等の充血除去薬、メチル硫酸ネオスチグミン等の副交感神経作用薬を含有させてもよい。これらのうち、含有させるのが特に好ましい医薬成分は、角膜保護薬、ビタミン類およびアミノ酸類である。 【0019】 これらの医薬成分は、従来の眼科組成物に慣用されている濃度で含有させればよく、そのような濃度は当業者に周知である。具体的には医薬成分の種類によって異なるが、それぞれの医薬成分の薬理効果を達成し得る濃度で含有させればよく、一般的には、例えば角膜保護薬は約0.01〜約1w/v%程度、ビタミン類は約0.001〜約0.5w/v%程度、アミノ酸は約0.01〜約1w/v%程度とすればよい。 【0020】 本発明の眼科組成物は、通常の点眼剤の慣用的な製造方法に従って製造すればよく、例えば第14改正日本薬局方、製剤総則の点眼剤に記載された方法で製造することができる。 【0021】 角膜表面に粘着したコンタクトレンズに対して、本発明の眼科組成物を、例えば点眼液として使用する場合、コンタクトレンズ装着眼に2〜3滴点眼すれば、その後、器具等を用いない通常の方法により、また、過度に力をかけることなく、コンタクトレンズを容易に取り外すことができる。 【実施例】 【0022】 以下に、実施例および試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは単なる例示であり、本発明がこれらにより限定されることは意図しない。 【0023】 [試験例1]ソフトコンタクトレンズの直径に及ぼす影響 (試験方法) FDA分類によるグループIVのソフトコンタクトレンズであるワンデーアキュビュー(ジョンソン・エンド・ジョンソン社製,ベースカーブ:9.0mm,度数:−3.00,レンズ径14.2mm)を用いた。コンタクトレンズを、室温にてpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に5分間浸漬した後、直径を測定した。次いで、コンタクトレンズを、表1及び表2の何れかの試験液が入ったシャーレに室温にて5分間浸漬した後、再び直径を測定した。この操作を順次繰り返し行い、下記式により、コンタクトレンズ直径の変化量および変化率を算出した。 【0024】 コンタクトレンズ直径の変化量(mm)=〔各試験液浸漬後のコンタクトレンズ直径〕−〔PBS浸漬後のコンタクトレンズ直径〕 コンタクトレンズ直径の変化率(%)=〔各試験液浸漬後のコンタクトレンズ直径〕/〔PBS浸漬後のコンタクトレンズ直径〕×100 【0025】 【表1】
【0026】 【表2】
【0027】 (試験結果) 試験結果を表3および表4に示す。 【0028】 【表3】
【0029】 【表4】
【0030】 表3および表4に示したように、実施例1〜5の試験液に浸漬したコンタクトレンズは直径が大きくなり、膨潤した。これは、コンタクトレンズのベースカーブの値が大きくなった(すなわち、カーブが緩くなった)ことを示唆するものである。また、実施例6〜12の試験液に浸漬したコンタクトレンズは直径が小さくなり、収縮した。これは、コンタクトレンズのベースカーブの値が小さくなった(すなわち、カーブが鋭くなった)ことを示すものである。これらの結果から、低イオン強度あるいは高イオン強度の溶液である本発明のコンタクトレンズ取り外し用眼科組成物との接触によってコンタクトレンズのベースカーブが可逆的に顕著に変化し、角膜表面のカーブと合わなくなってコンタクトレンズが角膜表面から部分的に浮き上がる形となり、角膜表面とコンタクトレンズとの接触面積が小さくなることにより、コンタクトレンズが外し易くなると考えられる。 【0031】 [試験例2]角膜の重量変化 (試験方法) ウサギ(ダッチ種)を用いた。安楽死させた後、眼球を摘出し、直ちに角膜を取り出した。取り出した角膜の表面の水分をふき取り、重量を測定し、初期値とした。この角膜を次の各試験液10mLが入ったビーカーに浸漬し、5分後に角膜を取り出し、表面の水分をふき取った後、角膜重量を測定した(n=3)。初期値を100とし、各試験液に浸漬した後の角膜の重量比を求めた。 (試験液) 対照液:精製水 試験液A:0.9%塩化ナトリウム水溶液(イオン強度:0.154) 試験液B:3.0%塩化ナトリウム水溶液(イオン強度:0.513) 【0032】 (試験結果) 試験結果を図1に示す。 【0033】 図1に示したように、高イオン強度の試験液Bでは角膜重量は有意に減少した。これは、角膜中から水分が減少したことを示す。この結果から、高イオン強度の溶液によってコンタクトレンズと角膜との間に角膜から水分が滲出し、これによってもコンタクトレンズが外し易くなるものと考えられる。 【0034】 [製剤実施例1] コンタクトレンズ取り外し用点眼液 次の処方に従い、常法により点眼液を調製した。 塩化ナトリウム・・・・・・・・・0.1g 塩酸または水酸化ナトリウム・・・適量 精製水・・・・・・・・・・・・・全量100mL pH・・・・・・・・・・・・・・7.4 【0035】 [製剤実施例2] コンタクトレンズ取り外し用点眼液 次の処方に従い、常法により点眼液を調製した。 塩化ナトリウム・・・・・・・・・3g 塩酸または水酸化ナトリウム・・・適量 精製水・・・・・・・・・・・・・全量100mL pH・・・・・・・・・・・・・・7.2 【0036】 [製剤実施例3] コンタクトレンズ取り外し用点眼液 次の処方に従い、常法により点眼液を調製した。 塩化ナトリウム・・・・・・・・・0.1g クエン酸ナトリウム・・・・・・・0.2g 塩酸または水酸化ナトリウム・・・適量 精製水・・・・・・・・・・・・・全量100mL pH・・・・・・・・・・・・・・7.0 【0037】 [製剤実施例4] コンタクトレンズ取り外し用点眼液 次の処方に従い、常法により点眼液を調製した。 塩化ナトリウム・・・・・・・・・3g クエン酸ナトリウム・・・・・・・0.2g 塩酸または水酸化ナトリウム・・・適量 精製水・・・・・・・・・・・・・全量100mL pH・・・・・・・・・・・・・・7.0 【0038】 [製剤実施例5] コンタクトレンズ取り外し用点眼液 次の処方に従い、常法により点眼液を調製した。 塩化ナトリウム・・・・・・・・・0.1g クエン酸ナトリウム・・・・・・・0.2g 塩酸または水酸化ナトリウム・・・適量 精製水・・・・・・・・・・・・・全量100mL pH・・・・・・・・・・・・・・5.0 【0039】 [製剤実施例6] コンタクトレンズ取り外し用点眼液 次の処方に従い、常法により点眼液を調製した。 塩化ナトリウム・・・・・・・・・3g クエン酸ナトリウム・・・・・・・0.2g 塩酸または水酸化ナトリウム・・・適量 精製水・・・・・・・・・・・・・全量100mL pH・・・・・・・・・・・・・・5.0 【0040】 [製剤実施例7] コンタクトレンズ取り外し用点眼液 次の処方に従い、常法により点眼液を調製する。 塩化ナトリウム・・・・・・・・・0.1g クエン酸ナトリウム・・・・・・・0.2g コンドロイチン硫酸ナトリウム・・0.1g 酢酸d−α−トコフェロール・・・0.025g 塩酸ピリドキシン・・・・・・・・0.05g L−アスパラギン酸カリウム・・・0.5g エデト酸ナトリウム・・・・・・・0.01g 塩酸または水酸化ナトリウム・・・適量 精製水・・・・・・・・・・・・・全量100mL pH・・・・・・・・・・・・・・7.0 【0041】 [製剤実施例8] コンタクトレンズ取り外し用点眼液 次の処方に従い、常法により点眼液を調製する。 塩化ナトリウム・・・・・・・・・0.1g クエン酸ナトリウム・・・・・・・0.2g ヒアルロン酸ナトリウム・・・・・0.1g 酢酸d−α−トコフェロール・・・0.025g 塩酸ピリドキシン・・・・・・・・0.05g アミノエチルスルホン酸・・・・・0.5g クロロブタノール・・・・・・・・0.2g ソルビン酸・・・・・・・・・・・0.1g 塩酸または水酸化ナトリウム・・・適量 精製水・・・・・・・・・・・・・全量100mL pH・・・・・・・・・・・・・・5.5 【産業上の利用可能性】 【0042】 本発明によれば、角膜表面に粘着して取り外し難くなったコンタクトレンズの取り外しを容易にする眼科組成物を提供することができる。 【図面の簡単な説明】 【0043】 【図1】試験例2におけるウサギ角膜重量変化を示すグラフである。各値は平均+標準偏差を示す(n=3)。*はステューデントのT検定による試験液Aに対する有意差p<0.0005を表す。
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| 【出願人】 |
【識別番号】504357945 【氏名又は名称】藤田 博紀 【識別番号】000199175 【氏名又は名称】千寿製薬株式会社
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| 【出願日】 |
平成16年9月22日(2004.9.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100104639 【弁理士】 【氏名又は名称】早坂 巧
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| 【公開番号】 |
特開2006−89403(P2006−89403A) |
| 【公開日】 |
平成18年4月6日(2006.4.6) |
| 【出願番号】 |
特願2004−276179(P2004−276179) |
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