| 【発明の名称】 |
鏡面光沢美爪料 |
| 【発明者】 |
【氏名】高田 浩孝 【住所又は居所】神奈川県横浜市都筑区早渕2−2−1 株式会社資生堂リサーチセンター(新横浜)内
【氏名】大野 和久 【住所又は居所】神奈川県横浜市都筑区早渕2−2−1 株式会社資生堂リサーチセンター(新横浜)内
【氏名】隅田 如光 【住所又は居所】神奈川県横浜市都筑区早渕2−2−1 株式会社資生堂リサーチセンター(新横浜)内
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| 【要約】 |
【課題】実用に供することが可能であって、塗布後の仕上がりが鏡面光沢を有する美爪料を開発すること。
【解決手段】(a)平均粒子径が10〜100nmである貴金属コロイド粒子を、美爪料全量中の濃度が5〜50質量%の範囲で含有することを特徴とする美爪料である。また、この美爪料(第2剤)と、(b)皮膜形成剤と(c)水及び/又は有機溶剤とを含有するベースコート(第1剤)とを組み合わせた2剤型美爪料である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)平均粒子径が10〜100nmである貴金属コロイド粒子を、美爪料全量中の濃度が5〜50質量%の範囲で含有することを特徴とする美爪料。 【請求項2】 前記貴金属コロイド粒子が、高分子顔料分散剤の存在下で金属化合物を還元して貴金属コロイド粒子溶液を得る製造工程と、該製造工程で得られた貴金属コロイド粒子溶液を限外濾過処理する又は溶剤を揮発させる濃縮工程を含む製造方法によって得られたものであることを特徴とする請求項1記載の美爪料。 【請求項3】 下記A剤とB剤とからなる2剤型美爪料。 A剤:請求項1又は2記載の美爪料 B剤:(b)皮膜形成剤と、(c)水及び/又は有機溶剤とを含有するベースコート 【請求項4】 前記A剤が、さらに(d)エタノールを含有する請求項3記載の2剤型美爪料。 【請求項5】 前記B剤に、(e)IOB値が0.3〜1.0かつ分子量が500以下である可塑剤を含有することを特徴とする請求項3又は4記載の2剤型美爪料。 【請求項6】 前記(b)皮膜形成剤が、(b1)ニトロセルロースと、(b2)ショ糖安息香酸エステル、トリメリト酸系アルキッド樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂から選ばれる1種又は2種以上との組み合わせであることを特徴とする請求項3、4又は5記載の2剤型美爪料。 【請求項7】 前記A剤の貴金属が銀であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の美爪料。 【請求項8】 前記B剤を爪に塗布するステップ、次に前記A剤を爪に塗布するステップを有することを特徴とする美爪方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は美爪料に関する。さらに詳しくは、耐久性が高く、塗布後の仕上がりが鏡面光沢を有する美爪料に関する。 【背景技術】 【0002】 美爪料の機能には、外観を美しく見せる等の機能、爪を健康に保つ、物理的な衝撃や化学物質から爪を保護することが挙げられる。 【0003】 このうち、外観の美しさは、最も重要な項目の一つであり、最近は外観の色調及び質感の新規性並びにバリエーションに対するニーズが高く、従来から使用されていた顔料等に加えて多種多様の色材や粉末が、美爪料に配合されている。 【0004】 これらの色材や粉末の素材は多岐にわたっており、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚燐箔、アルミニウム粉末などに加え、金属蒸着樹脂フィルム、エンボス加工された金属蒸着樹脂フィルム、樹脂積層フィルム類、金属又は金属酸化物被覆ガラスフレーク、薄片状のアルミニウム粉末等の光輝性粉末が開発されている。これらは数種類が併用されることも多い。 【0005】 また、化粧料への金属類の配合については、前述の金属または金属酸化物を原料とした光輝性粉末として配合する技術があるが、一方で、金や銀などの貴金属微粒子が有するプラズモン吸収を利用し、着色剤として化粧料に配合する技術があった。 【0006】 この技術には、特許文献1〜2に代表されるように、貴金属微粒子のヒドロゾルを調整後に直接化粧料に配合する方法や、特許文献3に開示されているように、単体となる素材上に金微粒子を固定化して、化粧料に配合する方法がある。 【0007】 【特許文献1】特開平4−89416 【特許文献2】特開平4−173724 【特許文献3】特開平1−215865 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 以上のように、美爪料や化粧料の色調及び質感に関する既存技術は非常に多く、多種多様のネールエナメル製品が市場には存在している。 【0009】 しかしながら、仕上がりに鏡面光沢を付与する美爪料はなく、前述の粉末類を配合したネールエナメルは、光輝感は有するものの、仕上がりが鏡面のようにはならず、全く別の技術が必要であった。さらに、単に貴金属コロイド微粒子を美爪料に配合した場合、光沢が出ることもあるが、耐水性や耐摩耗性が十分ではなく、実用にはならない。 【0010】 本発明は上記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は耐久性が高く仕上がりが鏡面光沢を有する新規な美爪料を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0011】 すなわち、本発明は、(a)平均粒子径が10〜100nmである貴金属コロイド粒子を、美爪料全量中の濃度が5〜50質量%の範囲で含有することを特徴とする美爪料を提供するものである。 【0012】 また、本発明は、前記貴金属コロイド粒子が、高分子顔料分散剤の存在下で金属化合物を還元して貴金属コロイド粒子溶液を得る製造工程と、該製造工程で得られた貴金属コロイド粒子溶液を限外濾過処理する又は溶剤を揮発させる濃縮工程を含む製造方法によって得られたものであることを特徴とする上記請の美爪料を提供するものである。 【0013】 さらに、本発明は、下記A剤とB剤とからなる2剤型美爪料を提供するものである。 A剤:請求項1又は2記載の美爪料 B剤:(b)皮膜形成剤と、(c)水及び/又は有機溶剤とを含有するベースコート 【0014】 また、本発明は、前記A剤が、さらに(d)エタノールを含有する上記の2剤型美爪料を提供するものである。 【0015】 さらに、本発明は、前記B剤に、(e)IOB値が0.3〜1.0かつ分子量が500以下である可塑剤を含有することを特徴とする上記の2剤型美爪料を提供するものである。 【0016】 また、本発明は、(b)皮膜形成剤が、(b1)ニトロセルロースと、(b2)ショ糖安息香酸エステル、トリメリト酸系アルキッド樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂から選ばれる1種又は2種以上との組み合わせであることを特徴とする上記の2剤型美爪料を提供するものである。 【0017】 また、本発明は、前記A剤の貴金属が銀であることを特徴とする上記の美爪料を提供するものである。 【0018】 さらに、本発明は、前記B剤を爪に塗布するステップ、次に前記A剤を爪に塗布するステップを有することを特徴とする美爪方法を提供するものである。 【発明の効果】 【0019】 (1)本発明によれば、高価な輝きを有する貴金属の鏡面光沢の美爪料が提供できる。 (2)本発明の美爪料は、特にB剤のベースコートを併用し、ベースコート上に美爪料を塗布することにより、耐水性及び耐磨耗性が著しく向上する。 また、このベースコートの併用により、鏡面光沢が向上し、経時による色調変化も少ない鏡面光沢を得ることができる。ベースコートを併用する場合には、金属光沢を好ましく発揮するのは、A剤の分散媒が水またはエタノールの場合であり、酢酸ブチルの場合は金属光沢を発揮しない。したがって、A剤はエタノール溶剤であって、酢酸ブチルを含有しないことが好ましい。なお、A剤の分散媒が水の場合は(A剤が水を主成分とする水系の場合)、耐水性と耐磨耗性に劣る。 (3)本発明の美爪料は、B剤をベースコートとしてではなくて、トップコートとして併用する場合に、B剤に有機溶剤を含有する場合は、鏡面皮膜を再溶解することがあり、鏡面光沢が消失する場合がある。また、B剤に有機溶剤を配合しない場合は、経時による色調変化が少ない鏡面光沢が得られるが、耐水性及び耐磨耗性が劣る。 一方、B剤をベースコート及びトップコートの両方として併用すると、鏡面光沢及び経時による色調変化の点で好ましくない。 【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 本発明の美爪料は、耐久性が高く、鏡面光沢を有し、像を写す効果を有する美爪料である。 【0021】 本発明において、使用される貴金属は特に限定されるものではないが、例えば、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等を挙げることができる。なかでも、金、銀、白金、パラジウムが好ましく、色調及び価格などの点から特に銀が好ましい。 【0022】 本発明は平均粒子径が10〜100nmである貴金属コロイド粒子を、美爪料全量中の濃度が5〜50質量%の範囲で含有することを特徴とする。そして、溶剤が揮発し爪上に形成された塗膜になった美爪料中に含まれる金属粒子の含有量は(ベースコートは含まない)、90質量%以上が好ましく、さらには93質量%以上が好ましい。90質量%未満では、形成する塗膜に美しい鏡面光沢を得ることができない。 【0023】 使用する貴金属はコロイドの微粒子として配合することが好ましい。さらには、分散媒中に分散した貴金属コロイド液として配合するほうが好ましい。これにより、美爪料として塗布する際に、筆等での塗布が容易になる。分散媒には、常温で塗膜を形成することが必要なため、常温で揮発性を有するものが好ましい。具体的にはエタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエンなどの有機溶剤類、水などを使用することができるがエタノールを主成分とするエタノール系溶剤の美爪料が好ましい。エタノール系溶剤には酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエンなどの他の有機溶剤は含まない方が好ましい。 上記貴金属コロイド粒子は、高分子顔料分散剤の存在下で金属化合物を還元して貴金属コロイド粒子溶液を得る製造工程と、該製造工程で得られた貴金属コロイド粒子溶液を限外濾過処理する又は溶剤を揮発させる濃縮工程とを含む製造方法によって得られたものであることが好ましい。 例えば、特開2003−103158号公報記載の貴金属コロイド粒子溶液を好ましく使用できる。また、市販品としては、日本ペイント社製のファインスフェア シリーズ等を使用することができる。 【0024】 上記貴金属コロイドの平均粒子径は10〜100nmである。10nm未満では金属光沢塗膜を形成することが難しくなる場合がある。また、100nmを超えると形成する塗膜の平滑性が損なわれ鏡面光沢を得にくくなり、分散媒中での保存安定性が低下することがある。さらに10nm未満だと反射率が低くなり、鏡面光沢感を得にくくなる場合がある。 【0025】 上記貴金属コロイド液は、高分子量顔料分散剤で分散安定化されているものがさらに好ましい。本発明における高分子量顔料分散剤としては以下のものを好適に使用することができる。すなわち; (1)顔料親和性基を主鎖及び/又は複数の側鎖に有し、かつ、溶媒和部分を構成する複数の側鎖を有する櫛形構造の高分子 (2)主鎖中に顔料親和性基からなる複数の顔料親和部分を有する高分子 (3)主鎖の片末端に顔料親和性基からなる顔料親和部分を有する直鎖状の高分子 ここで、上記顔料親和性基とは、顔料の表面に対して強い吸着力を有する官能基をいい、例えば、オルガノゾルにおいては、第3級アミノ基、第4級アンモニウム、塩基性窒素原子を有する複素環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基;ヒドロゾルにおいては、フェニル基、ラウリル基、ステアリル基、ドデシル基、オレイル基等を挙げることができる。本発明において、上記顔料親和性基は、貴金属に対して強い親和力を示す。上記高分子量顔料分散剤は、上記顔料親和性基を有することにより、貴金属の保護コロイドとして充分な性能を発揮することができる。 【0026】 上記櫛形構造の高分子(1)は、上記顔料親和性基を有する複数の側鎖とともに、溶媒和部分を構成する複数の側鎖を主鎖に結合した構造のものであり、これらの側鎖があたかも櫛の歯のように主鎖に結合されているものである。本明細書中、上述の構造を櫛形構造と称する。上記櫛形構造の高分子(1)において、上記顔料親和性基は、側鎖末端に限らず、側鎖の途中や主鎖中に複数存在していてもよい。なお、上記溶媒和部分は、溶媒に親和性を有する部分であって、親水性又は疎水性の構造をいう。上記溶媒和部分は、例えば、水溶性の重合鎖、親油性の重合鎖等から構成されている。 【0027】 上記櫛形構造の高分子(1)としては特に限定されず、例えば、特開平5−177123号公報に開示されている1個以上のポリ(カルボニル−C3 〜C6 −アルキレンオキシ)鎖を有し、これらの各鎖が3〜80個のカルボニル−C3 〜C6 −アルキレンオキシ基を有しかつアミド又は塩架橋基によってポリ(エチレンイミン)に結合されている構造のポリ(エチレンイミン)又はその酸塩からなるもの;特開昭54−37082号公報に開示されているポリ(低級アルキレン)イミンと、遊離のカルボン酸基を有するポリエステルとの反応生成物よりなり、各ポリ(低級アルキレン)イミン連鎖に少なくとも2つのポリエステル連鎖が結合されたもの;特公平7−24746号公報に開示されている末端にエポキシ基を有する高分子量のエポキシ化合物に、アミン化合物と数平均分子量300〜7000のカルボキシル基含有プレポリマーとを同時に又は任意順に反応させて得られる顔料分散剤等を挙げることができる。 【0028】 上記高分子量顔料分散剤としては、市販されているものを使用することもできる。上記市販品としては、例えば、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース41090(以上、アビシア社製)、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック181、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック190、ディスパービック191、ディスパービック192、ディスパービック2000、ディスパービック2001(以上、ビックケミー社製)、ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453、EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49、EFKA−1501、EFKA−1502、EFKA−4540、EFKA−4550(以上、EFKAケミカル社製)、フローレンDOPA−158、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−17、フローレンG−700、フローレンTG−720W、フローレン−730W、フローレン−740W、フローレン−745W、(以上、共栄社化学社製)、アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB811、アジスパーPB821、アジスパーPW911(以上、味の素社製)、ジョンクリル678、ジョンクリル679、ジョンクリル62(以上、ジョンソンポリマー社製)等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。 【0029】 上記高分子量顔料分散剤は、顔料親和性基が側鎖に存在し、溶媒和部分を構成する側鎖を有するグラフト構造のもの〔上記櫛形構造の高分子(1)〕; また、主鎖に顔料親和性基を有するもの〔上記共重合体(2)及び上記直鎖状の高分子(3)〕であるので、コロイド粒子の分散性が良好であり、貴金属のコロイド粒子に対する保護コロイドとして好適である。上記高分子量顔料分散剤を使用することにより、貴金属のコロイド粒子を高い濃度で含有する貴金属のコロイド粒子分散体を安定に存在させることができる。 【0030】 本発明の美爪料は、皮膜形成剤を水またはアルコールまたは溶剤に溶解もしくは分散したベースコート(B剤)を第1剤として爪に塗布した後に、その上から、本発明の美爪料(A剤)を第2剤として塗布すると、仕上がりの鏡面光沢感が更に向上し、鏡面光沢皮膜の耐久性を高めることができる。 【0031】 本発明の美爪料(A剤)を第2剤として使用する場合、その分散媒は水またはアルコールであることが好ましい。特にエタノールが好ましい。エタノールを用いる場合、A剤中のエタノールの含有量は、20〜95質量%が好ましい。20質量%未満では耐磨耗性が劣り、95質量%を超えると貴金属含有量が減少するため鏡面光沢が得られず好ましくない。 【0032】 B剤のベースコートは、(b)皮膜形成剤と(c)水及び/又は有機溶剤とを含有するベースコートである。通常の溶剤系のベースコートや、分散媒に主に水を使用した水系ベースコートを使用することができる。 【0033】 溶剤系ベースコートの(b)皮膜形成剤には、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸酪酸セルロース等のセルロース系皮膜剤、アクリル系樹脂、スルホンアミド樹脂、ショ糖安息香酸エステル、ショ糖酢酸酪酸エステル、フタル酸系アルキッド樹脂、トリメリト酸系アルキッド樹脂等が使用可能である。特に(b1)ニトロセルロースと、(b2)ショ糖安息香酸エステル、トリメリト酸系アルキッド樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂から選ばれる1種又は2種以上との組み合わせが好ましい。 【0034】 水系ベースコートの(b)皮膜形成剤には、アクリル系樹脂、アクリル系ポリマーエマルション、酢酸ビニルエマルション、ポリビニルアルコール等が挙げられる。 【0035】 これらの皮膜形成剤(b)の配合量は、ベースコート全量に対し、通常5〜40質量%程度である。 【0036】 本発明の美爪料のベースコートには、皮膜形成剤(b)の可塑剤を配合することがより好ましい。可塑剤の配合により、ベースコート上に塗布される鏡面光沢を有する美爪料の皮膜の耐磨耗性及び耐水性を向上させることができる。可塑剤としては、カンファー、クエン酸エステル類、フタル酸エステル類、セバシン酸エステル類、アジピン酸エステル類等を使用することができる。配合量は、ベースコートに配合される皮膜形成剤(b)に対して5〜60質量%であり、特に好ましくは10〜50質量%である。5質量%未満では十分な耐磨耗性向上効果が得られず、60質量%を超えるとベースコートの皮膜が柔軟となり、耐磨耗性がかえって低下する。 【0037】 上記可塑剤としては、特に(e)IOB値が0.3〜1.0かつ分子量が500以下である可塑剤が好ましい。 また、皮膜形成剤(b)に水系ポリマーエマルションを使用する場合は、IOB値は0.4〜0.9の間が好ましい。0.4以下では、皮膜との相溶性が低下して均一な皮膜を得られないことがあり、0.9以上ではポリマーエマルションの経時での安定性が損なわれることがある。 なお、本発明でいうIOB(inorganic organic balance)値とは、「化学の領域」第11巻、第10号、第 719頁〜第 725頁、1957年に示されている、藤田による計算方法に従い算出した、無機性及び有機性の値の比、すなわち、次式によって表される数値である。 IOB値=Σ無機性/Σ有機性 例えば、本発明において最も好ましい可塑剤であるクエン酸アセチルトリエチルは、IOB=0.86、分子量=346である。 【0038】 本発明の美爪料は、更にトップコートを塗布することにより、鏡面光沢皮膜の耐久性を更に向上させることができる。より美しい鏡面光沢を持続するためには、トップコートの溶剤は水であることが好ましい。さらに、塗布のしやすさ及びトップコートの耐久性を考慮した場合、使用される皮膜剤は、ポリマーエマルションであることが好ましい。 【0039】 本発明の美爪料には、本発明の効果を損なわない程度に上記構成成分の他に必要に応じて一般に美爪料に配合される原料を配合することができる。 【0040】 例えば、アルキッド樹脂、スルホンアミド樹脂、ショ糖安息香酸エステル、ショ糖酢酸酪酸エステル、セルロース誘導体、アクリル酸アルキル共重合体液、酢酸ビニルエマルション、アクリル系ポリマーエマルション、ポリビニルアルコール、可塑剤、香料、染料、薬剤、保湿剤、紫外線吸収剤、艶消剤、充填剤、界面活性剤、金属石鹸等が挙げられる。 【実施例】 【0041】 次に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。配合量は特に断りのない限り質量%である。まず始めに各実施例及び比較例で採用した試験法、評価法を説明する。 【0042】 「評価(1):鏡面光沢感」 美爪料をパネラー10名の爪に塗布し、塗布10分後の鏡面光沢感を各自官能で評価してもらった。評価基準は以下の通りである。 ◎:パネラー8名以上が、鏡面光沢があると感じた。 ○:パネラー5名以上8名未満が、鏡面光沢があると感じた。 △:パネラー3名以上5名未満が、鏡面光沢があると感じた。 ×:パネラー3名未満が、鏡面光沢があると感じた。 【0043】 「評価(2):耐磨耗性」 厚さ1mmのガラス板にサンプルを筆にて塗布し、常温にて十分に乾燥させた後、YSSテスター(安田精機製作所社製)を用い、250gf/平方cm荷重、塗膜との接面に人工皮革をとりつけ、調整した塗膜表面を10往復させ、状態変化を目視観察した。ベースコート上に塗布した塗膜の光沢度を測定する場合は、まずガラス板上に厚さ0.1mmのアプリケーターにてベースコートを塗布したのち、常温にて十分乾燥後にその上にサンプルを筆にて塗布し、同様の方法で測定した。試験した塗膜は、以下のような基準で評価した。 ○:試験前後で鏡面光沢の変化なし △:表面に細かい傷がつき、光沢が少し低下した ×:塗膜が削り取られ、鏡面光沢が消失した 【0044】 「評価(3):耐水性」 評価2と同様に塗膜を調整した後、ガラス板に水滴を1滴たらし、10分間常温にて放置した。10分後の塗膜及び塗膜上の水滴の状態を目視で観察し、以下のような基準で評価した。 ◎:水滴を垂らした直後も10分後も同様に、塗膜は鏡面光沢を保ったままで、水滴は塗膜上で完全にはじかれている ○:水滴を垂らした直後も10分後も同様に、塗膜は鏡面光沢を保ったままだが、水滴は10分後には塗膜上で若干広がった。 △:水滴を垂らした直後は、塗膜は鏡面光沢が有ったが、10分後には鏡面光沢が低下した。水滴は垂らした直後より塗膜上で若干広がった。 ×:水滴を垂らした直後から、塗膜は鏡面光沢を失い、水滴は垂らした直後より塗膜上で若干広がった。 【0045】 「評価(4):実使用での化粧もち」 サンプルをパネラー10名の爪に筆にて塗布し、1日間連用後の鏡面光沢感を各自官能で評価してもらった。ベースコート上にサンプルを塗布する場合を測定する場合は、まず筆にてベースコートを塗布したのち、常温にて5分間十分乾燥後にその上にサンプルをさらに筆にて塗布した。評価基準は以下の通りである。 ◎:パネラー8名以上が、鏡面光沢を維持していると感じた。 ○:パネラー5名以上8名未満が、鏡面光沢を維持していると感じた。 △:パネラー3名以上5名未満が、鏡面光沢を維持していると感じた。 ×:パネラー3名未満が、鏡面光沢を維持していると感じた。 【0046】 「評価(5):安定性」 サンプル液を20mLのスクリュー管に8分目まで充填し、50℃で1週間放置後の外観の状態変化を評価し、さらに中味を筆で塗布して塗膜の状態を評価した。評価基準は以下のとおりである。 ◎:中味はほぼ均一であり、形成する塗膜も鏡面光沢を維持していた。 ○:若干の沈殿が認められたが、振とうによりほぼ均一となり、塗膜も鏡面光沢を有していた。 △:沈殿が生じ、攪拌してある程度沈殿物を混合できたが、塗膜の鏡面光沢が低下した。 ×:沈殿が生じ、沈殿物の再攪拌はできず、塗膜の鏡面光沢も失われた。 【0047】 「実施例1〜4、比較例1〜3」 表1に記載した配合組成よりなる実施例1〜4及び比較例1〜3の美爪料を製造し、上記の評価試験を行なった。その結果についても表1に示した。 【0048】 【表1】
1)田中貴金属製 AY-6080(平均粒径200〜1000nm) 2)真空冶金株式会社製 Agナノメタルインク(銀配合量30%トルエン分散液、コロイド平均粒径7nm) 3)日本ペイント社製 ファインスフェア シリーズ(銀配合量30%エタノール分散液コロイド平均粒径30nm、高分子顔料分散剤2%) 4)日本ペイント社製 ファインスフェア シリーズ(銀配合量30%水分散液コロイド平均粒径30nm、高分子顔料分散剤2%) 5)日本ペイント社製 ファインスフェア シリーズ(銀配合量30%エタノール分散液平均粒径30nm、高分子顔料分散剤2%のエタノールを留去後、固形分を酢酸ブチルに溶解して銀の配合量を30%に調整した) (製法) 各成分を秤量後、ディスパーにて2分間攪拌し、試験に使用した。 【0049】 表1の結果より、実施例1〜3に示すように塗膜中の金属濃度が90%以上で、美爪料中の貴金属濃度が5%以上であれば、鏡面光沢を得ることが可能である。更に、分散剤に高分子顔料分散剤を使用すれば、安定性を向上させることができる。 一方、比較例1のように、貴金属コロイドの粒子径が大きすぎたり、比較例2のように、金属の粒子径が10nmを下回る場合は、鏡面光沢が失われてしまうことがわかる。 【0050】 次に、B剤のベースコート(以下、第1剤と略す)を塗布したあとに、貴金属コロイド液を塗布する検討を行った。表2に第1剤の実施例5〜8の組成を示す。表3に、実施例5〜8の上から実施例1〜3の貴金属コロイド液を塗布したときの評価結果を示した。 【0051】 第1剤の組成 【表2】
1)Tg40℃、固形分40%のアクリル系ポリマーエマルション (製法) 通常の製法に従って、上記成分を混合等することにより第1剤を得た。 【0052】 実施例5〜8の上から実施例1〜3の貴金属コロイド液を塗布したときの評価結果 【表3】
【0053】 表3の結果より、実施例5〜8に示す第1剤を使用後に、実施例1の貴金属コロイドのエタノール液を塗布すると、鏡面光沢感は高まり、耐磨耗性及び耐水性が向上する。また、実施例2の貴金属コロイド水分散液を塗布した場合は、耐水性と耐磨耗性の向上効果は低いが、鏡面光沢感は高まり、併用効果が認められる。一方、実施例3の貴金属コロイド酢酸ブチル液を塗布した場合、鏡面光沢感はかえって低下する。第1剤を使用する場合の貴金属コロイドの分散媒は、水またはアルコールを使用することが望ましい。 【0054】 引き続いて、第1剤に可塑剤としてクエン酸アセチルトリエチル及びアジピン酸ジイソブチルを配合し、効果を確かめた。表4に第1剤の実施例9〜12の組成を示す。表5及び表6に、実施例7〜13の上から実施例3の貴金属コロイド液を塗布したときの評価結果を示した。 【0055】 【表4】
1)Tg40℃、固形分40%のアクリル系ポリマーエマルション (製法) 常法に従って、上記成分を混合等することにより第1剤を得た。 【0056】 実施例6、7、9〜11の第1剤に、実施例3の貴金属コロイド液を上に塗ったときの評価結果 【表5】
【0057】 実施例8、12の第1剤に、実施例3の貴金属コロイド液を上に塗ったときの評価結果 【表6】
【0058】 表5の実施例9,10の結果より、第1剤への可塑剤の併用により、実施例3の貴金属コロイドの形成する塗膜の耐磨耗性、耐水性及び実使用での化粧持ちが向上することがわかる。一方、実施例11に示すように、可塑剤の配合量が被膜成分に対して60%以上になると、耐水性は良好なものの、鏡面光沢感が若干低下し、耐磨耗性や実使用の化粧持ちもかえって低下する。また、表6に示したように、水系エナメル処方においても同様に、可塑剤の添加により耐磨耗性及び耐水性の向上効果が認められる。 【0059】 以下に本発明のその他の実施例を挙げる。 【0060】 実施例13 金色鏡面光沢美爪料 [A剤:貴金属コロイド液] 質量% エタノール 2.0 ファインスフェアゴールドシリーズ 98.0 (日本ペイント社製。金配合量10%、平均粒子系 20nm、高分子顔料分散剤1%) [B剤:ベースコート] 質量% ニトロセルロース HIG1/2 13.0 トリメリト酸系アルキッド樹脂 10.0 イソプロピルアルコール 5.0 クエン酸アセチルトリブチル 3.5 酢酸エチル 15.0 ブタノール 0.5 有機粘性粘土鉱物 1.2 酸化防止剤 適 量 酢酸ブチル 残 余 (製法及び評価) 常法に従って、上記成分を混合することにより美爪料を得た。得られた美爪料は、金色の鏡面光沢を有していた。さらに、B剤の併用により鏡面光沢及び化粧もちは良好なものとなった。 【0061】 実施例15 銀色鏡面光沢美爪料 [A剤:貴金属コロイド液] 質量% エタノール 10.0 ファインスフェアシリーズ 90.0 (日本ペイント社製。銀配合量30% エタノール分散液。コロイド平均粒径50nm、高分子顔料分散剤2%) [B剤:ベースコート] 質量% ニトロセルロース HIG1/2 13.0 シュークロースベンゾエート 10.0 イソプロピルアルコール 5.0 クエン酸アセチルトリブチル 6.0 酢酸エチル 15.0 ブタノール 0.5 有機粘性粘土鉱物 1.0 酸化防止剤 適 量 酢酸ブチル 残 余 (製法及び評価) 常法に従って、上記成分を混合等することにより美爪料を得た。得られた美爪料は、銀色の鏡面光沢を有し、化粧持ちも良好であった。さらに、B剤の併用により鏡面光沢及び化粧もちは良好なものとなった。 【0062】 実施例16 銀色鏡面光沢美爪料 [A剤:貴金属コロイド液] 質量% エタノール 5.0 ファインスフェアシリーズ 95.0 (日本ペイント社製。銀配合量30% エタノール分散液。コロイド平均粒径50nm、高分子顔料分散剤2%) [B剤:ベースコート] 質量% ニトロセルロース HIG1/2 13.0 シュークロースベンゾエート 7.0 トリメリト酸系アルキッド樹脂 5.0 イソプロピルアルコール 4.0 クエン酸アセチルトリブチル 6.0 酢酸エチル 20.0 ブタノール 1.0 酸化防止剤 適 量 酢酸ブチル 残 余 (製法及び評価) 通常の製法に従って、上記成分を混合等することにより美爪料を得た。得られた美爪料は、銀色の鏡面光沢を有し、化粧持ちも良好であった。さらに、第1剤の併用により鏡面光沢及び化粧もちは良好なものとなった。 【産業上の利用可能性】 【0063】 本発明によれば、塗布後の仕上がりが鏡面に近い金属光沢を有する美爪料が得られる。 また、特にベースコートを併用することによって、耐久性(耐水性及び耐磨耗性)が著しく向上した美爪料が得られる。さらには、鏡面光沢が向上し、経時による色調変化も少ない鏡面光沢を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001959 【氏名又は名称】株式会社資生堂 【住所又は居所】東京都中央区銀座7丁目5番5号
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| 【出願日】 |
平成16年9月21日(2004.9.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094570 【弁理士】 【氏名又は名称】▲高▼野 俊彦
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| 【公開番号】 |
特開2006−89389(P2006−89389A) |
| 【公開日】 |
平成18年4月6日(2006.4.6) |
| 【出願番号】 |
特願2004−273674(P2004−273674) |
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