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【発明の名称】 手術後の悪心および嘔吐の治療のためのグラニセトロンの使用
【発明者】 【氏名】ガレス・ジョン・サンガー

【氏名】フィリップ・ティモシー・デイビー

【氏名】クリストファー・スチュアート・ドット

【要約】 【課題】手術後の悪心および嘔吐(PONV)を治療するための、安全で有効な抗嘔吐剤を開発する。

【解決手段】手術後の悪心および嘔吐(PONV)治療用医薬の製造におけるグラニセトロンの使用、ならびにPONVを治療するための、グラニセトロンを含む医薬組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術後の悪心および嘔吐(PONV)を予防または治療するための医薬の製造のためのグラニセトロンの使用。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、手術後の悪心および嘔吐(PONV)を治療するための医薬の製造のためのグラニセトロンの使用に関する。また本発明は、手術後の悪心および嘔吐(PONV)を治療するための、グラニセトロンを含む医薬組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
PONVは、重要な患者の問題であり、痛みを上回ることさえある患者に課される手術の経過の最も苦しい態様である。したがって、患者から見れば、この態様に対する有効な抗嘔吐剤の必要性が重要である。臨床的な問題として、PONVはやっかいであり、嘔吐物が逆流噴出しないようにするスタッフを必要とし、そのことが重大な臨床的結果を有し得る。患者が嘔吐しないことが臨床的に重要となる、ある種の手術の経過が存在する。例えば、縫合が破裂し、手術の経過が手術の成功に関して大幅に遅れる程度にまで頭骸内/眼圧が増大する可能性のある眼球の外科手術においてである。
よって、患者および臨床医の見地から、PONVの抑制は必須である。
【0003】
経済的にも、PONVの抑制は重要である。アメリカ合衆国のような国においては、多くの外科処置が半日で行われ、さらに、患者を一晩中滞在させることなく家に送り返すことができるという重要性は、経済上魅力的である。他の国においても、半日の外科処理が増加しつつあり、5〜10年のうちには50%以上に達するであろう。
【0004】
西側諸国および日本において1年間に行われる手術の数は、6500万件である。現在、多くの麻酔医は、予防的な低用量のメトクロプラミド(metoclopramide)(10mg)のごとき抗嘔吐剤を、手術前または手術中に使用するが、多くの医師は、現在の薬剤は効果が小さく、失調性反応および傾眠のごときやっかいな副作用があるため、抗嘔吐剤を全く使用しない。よって、PONVにおけるより安全で有効な抗嘔吐剤が存在することに対する必要性がある。
【0005】
EP−A−200444(ビーチャム・グループ・ピーエルシー(Beecham Group p.l.c.)の実施例6には、英国でキトリル(KYTRIL)として市販されている、細胞毒により誘発される悪心嘔吐を治療するための化合物グラニセトロン(granisetron)の製造が記載されている。
スミスクライン・ビーチャム・ピーエルシー(SmithKline Beecham p.l.c.)の登録商標
【特許文献1】欧州特許出願公開EP−A−200444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決課題は、PONVを治療するための、安全で有効な抗嘔吐剤を開発することであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
我々は、グラニセトロンが、PONVの予防および治療に有用であり、これを含有する抗嘔吐剤が安全で有効なものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
したがって、本発明は、手術後の悪心および嘔吐(PONV)を治療(予防も包含)するための医薬の製造のためのグラニセトロンの使用に関する。さらに本発明は、手術後の悪心および嘔吐(PONV)を治療(予防も包含)するための、グラニセトロンを含む医薬組成物に関する。
【発明の効果】
【0009】
グラニセトロンは、従来からの抗PONV薬オンダンセトロンよりもはるかに少量で所望の効果を発揮するので、これを含有する抗嘔吐剤が安全で有効なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
グラニセトロンの投与を、経口または非経口投与のごとき知られた経路により行ってよい。
【0011】
上記疾患を治療するに有効な量は、疾患の性質および重さ、ならびに哺乳動物の体重のごとき通常の因子に左右される。しかしながら、通常は、1剤型は0.5ないし10mg、例えば1ないし3mgのグラニセトロンを含有する。通常は、剤型を、麻酔導入前のごとき手術前または手術中;および/または手術後に投与する。
【0012】
経口または非経口的投与については、グラニセトロンを、剤型にされた経口用または非経口用組成物のごとき、剤型にされた組成物の形態で投与するのが大いに好ましい。
【0013】
かかる組成物は、混合により製造され、経口または非経口投与に適合させされ、錠剤、カプセル、経口用液剤、粉末、顆粒、トローチ、再構成可能な粉末、注射可能および輸液可能な溶液または懸濁液もしくは坐薬の形態であってよい。
【0014】
通常は、経口投与用の錠剤およびカプセルは剤型にして提供され、それらは、結合剤、充填剤、希釈剤、錠剤化剤、潤滑剤、崩壊剤、着色料、および湿潤剤のごとき慣用的な賦形剤を含有する。当該分野において知られた方法により錠剤をコーティングしてもよい。
【0015】
使用に適する充填剤は、セルロース、マンニトール、ラクトースおよび他の同様の薬剤を包含する。適当な崩壊剤は、でんぷん、ポリビニルピロリドンおよびソジウムスターチグリコレートのごときでんぷん誘導体を包含する。適当な潤滑剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウムを包含する。適当な医薬上許容される湿潤剤はラウリル硫酸ナトリウムを包含する。
【0016】
これらの固形経口用組成物を、混合、充填または錠剤化といった慣用的方法により製造してもよい。大量の充填剤を用い、繰り返し結合操作を用いて活性成分をそれらの組成物中に分散させてもよい。もちろん、かかる操作は当該分野において慣用的である。
【0017】
経口用液体標品は、例えば、水性もしくは油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップ、またはエリキシルの形態であってよく、あるいは、使用前に水または適当な担体で復元する乾燥製品として提供してもよい。かかる液体標品は、懸濁化剤、例えばソルビトール、糖蜜、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは水素化された食用油のごとき懸濁化剤、例えばレシチン、ソルビタンモノオレエートまたはアラビアゴムのような乳化剤;例えばアーモンド油、分別ココナッツ油、グリセリン、プロピレングリコールのような油性エステル、またはエチルアルコールのごとき非水性担体(食用油を包含);例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸のごとき保存料、そして、所望ならば慣用的な香料または着色料を含有していてもよい。
【0018】
経口用処方はさらに、腸溶コーティングを有する錠剤または顆粒のごとき慣用的な除放処方を包含する。
【0019】
非経口投与用には、グラニセトロンおよび滅菌担体を含有する液体剤型を製造する。担体および濃度によっては、該化合物は懸濁または溶解されうる。通常は、担体中に化合物を溶解し、適当なバイアルまたはアンプルに充填し密封する前に滅菌濾過することにより、非経口用溶液を製造する。有利には、局所麻酔剤のごときアジュバント、保存料および緩衝剤も、担体に溶解する。安定性を増大させるために、バイアルに充填後、組成物を凍結し、真空下で水を除去することができる。
【0020】
化合物を担体に溶解するかわりに懸濁すること、および滅菌担体に懸濁する前にエチレンオキシドにより滅菌することを除いては、実質的に同じやり方で経口用懸濁液を製造する。有利には、界面活性剤または湿潤剤を組成物中に含有させて本発明化合物の均一な分配を容易にする。
【0021】
通例ではあるが、普通には、治療に使用するための手書きまたは印刷された使用説明書を組成物に添付する。
【0022】
さらに本発明は、グラニセトロンおよび医薬上許容される担体からなる、PONVの治療(予防を包含)に使用する医薬組成物を提供する。かかる組成物を、上記方法で製造してもよい。
【0023】
以下の臨床的研究結果は本発明を説明するが、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0024】
臨床的研究の概略
【表1】


【0025】
結果
【表2】


【0026】
信頼区間
対数尤度(log-likelihood)に対する2次近似に基づき、嘔吐を示した患者の割合の相違に関する概算の対信頼区間(pairwise confidence interval)を、ボンフェローニ補正(Bonferroni correction)を用いて各処理群について計算した(ツー・テイルの(Two-tailed)有意レベル5%を維持するために)。
【0027】
【表3】


*ボンフェローニ補正の変法を用いた有意さ
【0028】
【表4】


【0029】
信頼区間
対数尤度に対する2次近似に基づき、嘔吐を示した患者の割合の相違に関する概算の対信頼区間を、ボンフェローニ補正を用いて各処理群について計算した(ツー・テイルの有意レベル5%を維持するために)。
【0030】
【表5】


*ボンフェローニ補正の変法を用いた有意さ
【0031】
【表6】


【0032】
信頼区間
対数尤度に対する2次近似に基づき、嘔吐を示した患者の割合の相違に関する概算の対信頼区間を、ボンフェローニ補正を用いて各処理群について計算した(ツー・テイルの有意レベル5%を維持するために)。
【0033】
【表7】


*ボンフェローニ補正の変法を用いた有意さ
【0034】
最初の嘔吐までの時間(24時間までの期間)
プラシーボ群の45人の患者(33.83%)、0.1mg群の59人(44.70%)、1.0mg群の85人(63.43%)および3.0mg群の79人(61.72%)は、24時間の期間中、嘔吐を示さなかった。最初の嘔吐までの時間に対する生存率の分散における差を示唆する証拠が存在した。
(χ=36.1544,df=3,p<0.001)
【0035】
3種の対比較に関してボンフェローニ補正の変法を用いると、最初の嘔吐の発生までの時間に対する生存率の分散において、プラシーボと0.1mgとの間 (χ=3.0313,df=1,p=0.082)には有意差を示唆する不十分な証拠が存在したが、プラシーボと1.0mgとの間(χ=25.9298,df=1,p<0.001)およびプラシーボと3.0mgとの間(χ=21.9885,df=1,p<0.001)には有意差が存在した。
【0036】
最初の悪心までの時間(24時間までの期間)
プラシーボ群の29人の患者(21.80%)、0.1mg群の37人の患者(28.03%)、1.0mg群の67人(50.00%)および3.0mg群の54人(42.19%)は、24時間の期間中、悪心を示さなかった。最初の悪心までの時間に対する生存率の分散における差を示唆する証拠が存在した。
(χ=30.1666,df=3,p<0.001)
【0037】
3種の対比較に関してボンフェローニ補正の変法を用いると、最初の悪心の発生までの時間に対する生存率の分散において、プラシーボと0.1mgとの間(χ=1.5899,df=1,p=0.2073)には有意差を示唆する不十分な証拠が存在したが、プラシーボと1.0mgとの間(χ=23.3685,df=1,p<0.001)およびプラシーボと3.0mgとの間(χ=13.9814,df=1,p<0.001)には有意差が存在した。
【0038】
完全抑制を下回る抑制に至るまでの時間(24時間までの期間)
プラシーボ群の24人の患者(18.05%)、0.1mg群の35人の患者(26.52%)、1.0mg群の66人(49.25%)および3.0mg群の54人(42.19%)は、24時間の期間中、完全抑制を維持した。完全抑制を下回るまでの時間に対する生存率の分散における有意差を示唆する証拠が存在した。
(χ=37.0051,df=3,p<0.001)
【0039】
3種の対比較に関してボンフェローニ補正の変法を用いると、完全抑制を下回るまでの時間に対する生存率の分散において、プラシーボと0.1mgとの間(χ=2.7620,df=1,p=0.097)には有意差を示唆する不十分な証拠が存在したが、プラシーボと1.0mgとの間(χ=29.5533,df=1,p<0.001)およびプラシーボと3.0mgとの間(χ=18.2882,df=1,p<0.001)には有意差が存在した。
【0040】
最初の救援の使用までの時間(24時間までの期間)
プラシーボ群の80人の患者(60.15%)、0.1mg群の89人の患者(67.42%)、1.0mg群の101人(75.37%)および3.0mg群の99人(77.34%)は、24時間の期間中、救援投薬を必要としなかった。抗嘔吐剤の使用までの時間に対する生存率の分散における有意差を示唆する証拠が存在した。(χ=12.1904,df=3,p<0.007)
【0041】
3種の対になった比較に関してボンフェローニ補正の変法を用いると、最初の救援治療の使用までの時間に対する生存率の分散において、プラシーボと0.1mgとの間(χ=1.4836,df=1,p=0.223)には有意差を示唆する不十分な証拠が存在したが、プラシーボと1.0mgとの間(χ=7.3467,df=1,p<0.007)およびプラシーボと3.0mgとの間(χ=9.0949,df=1,p<0.003)には有意差が存在した。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、特に、抗悪心・嘔吐薬の製造の分野において利用可能である。
【出願人】 【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【出願日】 平成17年12月13日(2005.12.13)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆

【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄

【識別番号】100116311
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 忠行

【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史

【公開番号】 特開2006−83190(P2006−83190A)
【公開日】 平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願番号】 特願2005−359022(P2005−359022)