| 【発明の名称】 |
生体コラーゲン合成促進剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】岩田 尚人 【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区上品濃12番13号 株式会社ファンケル中央研究所内
【氏名】金子 いづる 【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区上品濃12番13号 株式会社ファンケル中央研究所内
【氏名】石渡 健一 【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区上品濃12番13号 株式会社ファンケル中央研究所内
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| 【要約】 |
【課題】生体内コラーゲンタンパク合成活性を飛躍的に高めることができる生体コラーゲン合成促進剤を提供すること
【解決手段】分子量が400以下のものコラーゲンまたはゼラチンの分解物を含有する生体コラーゲン合成促進剤。特にアミノ酸配列Gly−Pro−Hypのトリペプチドを含むもの。本発明の、分子量400以下のコラーゲン又はゼラチン分解物又はアミノ酸配列がGly−X−Y(X,Yはアミノ酸)トリペプチド、特にGly−Pro−Hypは、生体コラーゲンの合成促進剤として極めて有効である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コラーゲンまたはゼラチンの分解物であって分子量が400以下のものを含有することを特徴とする生体コラーゲン合成促進剤。 【請求項2】 アミノ酸配列がGly−X−Y(X,Yはアミノ酸)であるペプタイドを含有することを特徴とする生体コラーゲン合成促進剤。 【請求項3】 アミノ酸配列Gly−Pro−Hypのトリペプチドを含むことを特徴とする生体コラーゲン合成促進剤。 【請求項4】 コラーゲンまたはゼラチン分解物のアミノ酸配列がGly−X−Y(X,Yはアミノ酸)であることを特徴とする請求項1の生体コラーゲン合成促進剤。 【請求項5】 コラーゲンまたはゼラチン分解物のアミノ酸配列がGly−Pro−Hypであることを特徴とする請求項1の生体コラーゲン合成促進剤。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は生体内でのコラーゲン合成の促進活性を高める剤に関する。 【背景技術】 【0002】 コラーゲンは生体内のタンパク質の約1/3を占めるタンパク質で、血管や皮膚、骨に多く存在する。コラーゲンは消化酵素でほとんど分解されないため栄養価の低いタンパク質と考えられたことがあったが、コラーゲンを摂取することによる新陳代謝促進(特許文献1)、頭髪の直径が太くなる(非特許文献1)ことや、関節症治療用薬剤としての利用(特許文献2)が報告され、有用性が見直されている。更にこのコラーゲンタンパクは加齢とともに減少することから血管の脆弱化や皮膚の弾力性・柔軟性の減少などの一因と考えられている。近年、コラーゲンタンパクもしくはその加水分解物の経口摂取による皮膚の新陳代謝促進に関する特許(特許文献3)も開示され、主に美容向けの健康食品が多数販売されている。 【0003】 コラーゲンの熱変性体であるゼラチンは、その高い粘性、凝固性、保水性および保湿性を利用して、食品の食感改良剤や化粧品(特許文献4)として使用されている。しかし、未処理のコラーゲンおよびゼラチンは粘性が高く凝固し易い性質を持つため、部分加水分解処理されたものを使用することが多い。また、タンパク質であるため抗原性を有し、アレルギー体質のヒトの摂取には問題がある。そのため、コラーゲンをコラゲナーゼによって、低分子化することにより抗原性をなくしアレルギー患者向けのタンパク質源あるいは輸液製剤成分としての利用が開示されている(特許文献5)。 【0004】 コラゲナーゼによるコラーゲンの分解物の生理活性については、フィブリン凝集阻害活性(特許文献6)、麻酔作用(非特許文献2)が知られている。また、Clostridium histolyticum由来のコラゲナーゼによるコラーゲンの分解産物に関しては、Nagai,Y.が、生成するトリペプタイドの36%がGly−Pro−Hypでもっとも多いと報告している(非特許文献3)。 【0005】 コラーゲンタンパクもしくはその加水分解物の経口摂取により生体のコラーゲンタンパク生合成を促進させ、生体コラーゲンの新陳代謝を高める場合、0.5〜40gの摂取が必要とされており(特開平7−278012)、イタリアにおいては1日あたり2〜6gの摂取を推奨している。しかしながら、数gのコラーゲンタンパク摂取は、臭いや凝固性の点から通常の食品に添加することは現実的でない。 【0006】 【特許文献1】特開平7−278012公報 【非特許文献1】Nutrition Reports International,13,579,1976 【特許文献2】特開昭63−39821公報 【特許文献3】特開平7−278012公報 【特許文献4】特開昭52−111600 【特許文献5】特開平7−82299公報 【特許文献6】特開平6−46875公報 【非特許文献2】Br.J.Pharmacol.,69,551,1980 【非特許文献3】J.Biochem.,50,486,1961 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明の目的は、生体内コラーゲンタンパク合成活性を飛躍的に高めることができる生体コラーゲン合成促進剤を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明者らは、前記のような問題点を解決するためにコラーゲンタンパクの経口摂取の薬理作用について鋭意研究を重ねた結果、コラーゲンタンパクを特定の分子量以下まで加水分解することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。 即ち、本発明は、コラーゲンまたはゼラチンの分解物であって分子量が400以下のものを含有することを特徴とする生体コラーゲン合成促進剤である。コラーゲンまたはゼラチンの分解物としては、アミノ酸配列がGly−X−Y(X,Yはアミノ酸)であるペプタイドが好ましく、特に好ましくはアミノ酸配列がGly−Pro−Hypのものである。 また、本発明はアミノ酸配列がGly−X−Y(X,Yはアミノ酸)であるペプタイドを含有することを特徴とする生体コラーゲン合成促進剤であり、好ましくはアミノ酸配列がGly−Pro−Hypのものである。 【発明の効果】 【0009】 本発明の、分子量400以下のコラーゲン又はゼラチン分解物又はアミノ酸配列がGly−X−Y(X,Yはアミノ酸)トリペプチド、特にGly−Pro−Hypは、生体コラーゲンの合成促進剤として極めて有効である。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 本発明に用いられるコラーゲンタンパクは、例えば牛や豚などの動物の皮膚、骨および腱などの結合組織から抽出したもの、もしくはコラーゲンタンパクの熱変性物であるゼラチンがある。 【0011】 本発明におけるコラーゲンまたはゼラチンの分解物とは分子量が400以下のものである。コラーゲン又はゼラチンの加水分解は加水分解酵素による方法でもよく、酸あるいはアルカリによる加水分解であっても問題ない。酵素分解に用いる加水分解酵素としては、例えばコラゲナーゼ酵素においては、Clostridium histoticum,Streptomyces parvulusなどの細菌、放線菌あるいは真菌など由来のものを使用できる。また遺伝子組み替え技術により他の菌体に産生させたもので、類似の基質特異性を有する酵素であっても問題はなく、これらの微生物により発酵させることも有効である。さらに、その他のタンパク質加水分解酵素の混合物であってもよい。好ましくはGly−X−Y(X,Yはアミノ酸)であらわされるペプタイドを生成するものである。 【0012】 分子量が400以下のコラーゲンまたはゼラチンの分解物は精製したものでもよいが、精製しなくても差し支えない。例えば他のコラーゲンまたはゼラチンの分解生成物等の混合物でもよい。 【0013】 コラーゲンの加水分解物は、既に市販されている。これらの酵素的に加水分解されたコラーゲンの多くは、分子量の分布範囲が二千から八万である。これらの加水分解物は水に対する分散性の向上を目的とするものであって、生体内でのコラーゲン合成促進活性の向上を目的としたものではない。これに対して本発明のコラーゲン加水分解物は、特定の有効成分として分子量で約400以下のペプタイドを含むことを特徴とし、その加水分解処理により、生体内でのコラーゲン合成促進活性を飛躍的に向上させることができる。 【0014】 本発明におけるコラーゲンまたはゼラチンの分解物は、好ましくは、アミノ酸配列がGly−X−Yのペプタイドであり、特に好ましくはアミノ酸配列がGly−Pro−Hypのものである。 また、アミノ酸配列がGly−X−Yのペプタイドの場合は、コラーゲンまたはゼラチンの分解物でなくとも差し支えなく、液相法、固相法に代表されるペプタイドの化学合成法により合成されたペプタイドであっても問題ない。好ましくは、アミノ酸配列がGly−Pro−Hypのものである。 【0015】 分子量が400以下のコラーゲンまたはゼラチンの分解物またはアミノ酸配列がGly−X−Yのペプタイドの量は全剤中1質量%以上が好ましく、特に好ましくは15質量%以上である。分解物はゲルろ過などにより、分子量400以下のペプタイド部分を高度に精製することもできる。 本発明の生体コラーゲン合成促進剤は、経口摂取可能な形態、例えば粉末、散剤、顆粒、錠剤、カプセルなどの剤型にすることができ、また飲料などの食品に配合することもできる。摂取量は特に制限はないが、通常分子量が400以下のコラーゲンまたはゼラチンの分解物またはアミノ酸配列がGly−X−Yのペプタイドの量が0.03〜3g/日となるような量である。さらに外用剤として軟膏や化粧品に配合しても問題ない。 【実施例】 【0016】 以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 調製例1 コラーゲンタンパクとして、ウシ真皮より調製したゼラチン30gを蒸留水300mlに加温溶解し、0.45μmのフィルターで滅菌ろ過した。 【0017】 調製例2 コラーゲンタンパクとして、ウシ真皮より調製したゼラチン30gを蒸留水300mlに加温溶解した。コラゲナーゼタイプI(Worthington Biochemical Corp.)300mgを加え、アンモニア水にてpHを7.5に調整した後37℃で1時間放置した。反応終了後、反応液を100℃で3分間加熱しコラゲナーゼを失活させ、次いで0.45μmのフィルターで滅菌ろ過した。このろ液をCDP−0とする。 このろ液CDP−0を蒸留水で平衡化したSephadex LH-20(Pharmacia)によるゲルろ過を行い2つの画分(CDP−1,CDP−2)に分け、それぞれを凍結乾燥した。ゲルろ過のクロマトを図1に示す。それぞれのピークをSuperdex Peptide HR10/30(Pharmacia)を用いて、0.3M NaClを含む0.1Mリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH7.2)を溶出液に用いて分子量を求めたところ、CDP−1が約12000〜500に分布し、CDP−2が約350だった。CDP−2の約50%がGly−Pro−Hypであった。 【0018】 調製例3 コラーゲンタンパクとして、ウシ真皮より調製したゼラチン30gを蒸留水300mlに加温溶解した。ペプシン(Biozyme Lab.,LTD.)300mgを加え、希塩酸にてpHを2.0に調整した後37℃で1時間放置した。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整した後100℃で3分間加熱しペプシンを失活させ、次いで0.45μmのフィルターで滅菌ろ過した。このものの分子量を測定したところ、12000付近をピークに20000〜60に広く分布していた。図2にLH-20によるゲルろ過のクロマトを示す。 【0019】 調製例4 表−1に示すアミノ酸組成物を蒸留水300mlに溶解し、0.45μmのフィルターで滅菌ろ過した。この組成はコラーゲンを構成するアミノ酸の組成に等しい。 【0020】 【表1】
【0021】 調製例5 tert.BOCアミノ酸誘導体を用いる液相法により、Gly−Pro−Hypを合成した。合成品は6N塩酸中、110℃で22時間加水分解し、アミノ酸分析を行った。アミノ酸分析値と元素分析値を以下に示す。 アミノ酸分析:Gly 1.00(1),Pro 1.05(1),Hyp 1.05(1)、元素分析:C 43.22(43.11),H 6.43(6.45),N 12.37(12.57) C12H19N3O5・HCl・0.7H2Oとして、括弧内は理論値。 【0022】 実施例1 6週齢のWistar系雄性ラット(日本クレア(株))を1週間予備飼育した後、1〜5の5群、一群5匹に分けた。ラットの飼育は温度23℃、湿度55%環境下で行い、飼料はCE−2(日本クレア(株))を用い、飲料水とともに自由摂取させた。各群にはクエン酸でpHを3.8〜4.0に調整した試料液を1日1回、13日間連続で胃ゾンデを用いて投与した。ペントバルビタール麻酔下、右腹側部を採取し可溶性コラーゲン量をハドロキシプロリン(Hyp)を指標に測定した。結果を表−2に示す。 CDP−2が含まれているCDP−0を与えた群3は、蒸留水を与えた群1に比較して可溶性コラーゲン量の量が著しく多かった。これに対してゼラチン自体である調製例1とペプシンで分解し分子量が大きい調製例3の物質を与えた群2,4は可溶性コラーゲン量の増加量が少なく、アミノ酸の混合物である調製例4を与えた群5は群1とほとんど変わらなかった。 【0023】 【表2】
【0024】 実施例2 TIG103ヒト皮膚正常細胞(財団法人ヒューマンサイエンス振興財団)を10%の非動化したウシ胎児血清を含むEMEM中37℃、5%炭酸ガス雰囲気下で培養した。コンフルエントになった後、血清濃度を0.5%に下げ24時間培養し、100μg/mlのアスコルビン酸とCDP−1あるいはCDP−2を添加しさらに12時間培養した。細胞を生理食塩水で洗浄した後RNAをIsogenTM(ニッポンジーン)を用いて抽出し、32Pで標識したヒトタイプIコラーゲンおよびβアクチンのcDNAプローブにてノーザンブロットを行った。結果を表−3に示す。 アスコルビン酸とCDP−2および合成ペプチド(Gly−Pro−Hyp)の併用群にのみコラーゲン遺伝子の増加が見られる。活性ペプチドは分子量で約400以下ペプチドであり、その活性本体のひとつとしてGly−Pro−Hypであることがわかる。 【0025】 【表3】
【産業上の利用可能性】 【0026】 本発明は、生体内コラーゲンタンパク合成活性を飛躍的に高めることができる生体コラーゲン合成促進剤として有用である。 【図面の簡単な説明】 【0027】 【図1】図1はコラゲナーゼで分解したゼラチンのLH−20のクロマトグラフである。先に溶出される大きな分子量画分をCDP−1とし、後の小さな分子量画分をCDP−2とした。 【図2】図2はペプシンで分解したゼラチンのLH−20のクロマトグラフである。全体をひとつの画分とした。
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| 【出願人】 |
【識別番号】593106918 【氏名又は名称】株式会社ファンケル 【住所又は居所】神奈川県横浜市中区山下町89番地1
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| 【出願日】 |
平成17年10月28日(2005.10.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100098556 【弁理士】 【氏名又は名称】佐々 紘造
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| 【公開番号】 |
特開2006−56904(P2006−56904A) |
| 【公開日】 |
平成18年3月2日(2006.3.2) |
| 【出願番号】 |
特願2005−314259(P2005−314259) |
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