| 【発明の名称】 |
ポリイソプレンを含有する消臭剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】奥野 友紀子 【住所又は居所】大阪府茨木市豊川一丁目30番3号 小林製薬株式会社中央研究所内
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| 【要約】 |
【課題】本発明の課題は、安全で消臭効果の高い消臭剤を提供することである。
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリイソプレンを含有する消臭剤。 【請求項2】 ポリイソプレンが天然物から得られたものである、請求項1に記載の消臭剤。 【請求項3】 ポリイソプレンがトランス型ポリイソプレンである、請求項1または2に記載の消臭剤。 【請求項4】 グッタペルカを含有する消臭剤。 【請求項5】 ポリイソプレンまたはグッタペルカが、Eucommia属植物から得られたものである、請求項1から4のいずれか1項に記載の消臭剤。 【請求項6】 ポリイソプレンまたはグッタペルカが、杜仲の葉から得られたものである、請求項1から5のいずれか1項に記載の消臭剤。 【請求項7】 ポリイソプレンまたはグッタペルカが、グッタペルカノキから得られたものである、請求項1から4のいずれか1項に記載の消臭剤。 【請求項8】 ポリイソプレンまたはグッタペルカが繊維状である、請求項1から7のいずれか1項に記載の消臭剤。 【請求項9】 ポリイソプレンまたはグッタペルカが、有機溶媒による抽出によって得られたものである、請求項1から8のいずれか1項に記載の消臭剤。 【請求項10】 液体の形態である、請求項1から9のいずれか1項に記載の消臭剤。 【請求項11】 固体の形態である、請求項1から9のいずれか1項に記載の消臭剤。 【請求項12】 ポリイソプレンまたはグッタペルカが、担体に担持されている、請求項1から11のいずれか1項に記載の消臭剤。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は消臭剤に関する。より詳細には、本発明は、ポリイソプレンを含有する消臭剤に関する。 【背景技術】 【0002】 アロマテラピーの流行に代表されるように、近年、香りや臭いに対する人々の関心が高まっている。このような状況の中、芳香剤や消臭剤に対する需要が拡大しており、中でも、人々の健康志向の高まりにともない、安全性の観点等から、天然物を原料とする消臭剤を好む消費者が増加している。 【0003】 植物由来の材料を消臭剤として利用することについては、以下の報告を挙げることができる。 すなわち、健康飲料として知られるルイボスティーの原料である南アフリカの一部に自生する針葉樹「Aspalathus Linearis」に関して、その葉から得られる水性抽出物が消臭作用を有することが報告されている(特許文献1参照)。また、マッシュルーム(シャンピニオンおよびマンネンタケとも称される)子実体を消臭剤として利用することも報告されている(特許文献2および特許文献3参照)。その他、柿エキス(特許文献4)、米ぬか(特許文献5)、シソ(特許文献6)、レッドビート等(特許文献7)、海藻(特許文献8)、コナラ等(特許文献9)、サルノコシカケ(特許文献10)、イネ科植物抽出物(特許文献11)、セージ、ローズマリー(特許文献12)、緑茶(非特許文献1)等の消臭効果が報告されている。 【特許文献1】特開平7−313580号公報 【特許文献2】特開平2−277456号公報 【特許文献3】特開平5−38358号公報 【特許文献4】特開昭61−87562号公報 【特許文献5】特開昭57−180959号公報 【特許文献6】特開昭60−214726号公報 【特許文献7】特開昭60−207664号公報 【特許文献8】特開昭62−152463号公報 【特許文献9】特開昭61−206448号公報 【特許文献10】特開昭62−181048号公報 【特許文献11】特開平2−167168号公報 【特許文献12】特開昭57−203445号公報 【非特許文献1】Biosci. Biotech. Biochem., 59(7), 1232-1236, 1995 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明の課題は、安全性が高く、より優れた消臭効果を有する消臭剤を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究し、杜仲が優れた消臭効果を有することを見出した(特願2004−130482)。しかし、杜仲の消臭メカニズムの詳細については未だ知られていなかった。 【0006】 このような状況の中、本発明者らは、さらなる研究を進め、杜仲等に含まれる成分であるポリイソプレンに優れた消臭効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、以下の事項に関する。 (1)ポリイソプレンを消臭成分として含有する消臭剤。 (2)ポリイソプレンが天然物から得られたものである、上記(1)に記載の消臭剤。 (3)ポリイソプレンがシス型ポリイソプレンである、上記(1)または(2)に記載の消臭剤。 (4)天然ゴムを消臭成分として含有する消臭剤。 (5)ポリイソプレンがトウダイグサ科の植物から得られたものである、上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の消臭剤。 (6)天然ゴムがトウダイグサ科の植物から得られたものである、上記(4)に記載の消臭剤。 (7)ポリイソプレンがパラゴムノキから得られたものである、上記(1)から(3)、および(5)のいずれか1項に記載の消臭剤。 (8)天然ゴムがパラゴムノキから得られたものである、上記(4)または(6)に記載の消臭剤。 (9)ポリイソプレンがトランス型ポリイソプレンである、上記(1)または(2)に記載の消臭剤。 (10)グッタペルカを消臭成分として含有する消臭剤。 (11)ポリイソプレンがEucommia属植物から得られたものである、上記(1)、(2)または(9)に記載の消臭剤。 (12)グッタペルカがEucommia属植物から得られたものである、上記(10)に記載の消臭剤。 (13)ポリイソプレンが、杜仲の葉から得られたものである、上記(1)、(2)、(9)または(11)に記載の消臭剤。 (14)グッタペルカが、杜仲の葉から得られたものである、上記(10)または(12)に記載の消臭剤。 (15)ポリイソプレンがPalaquium属植物から得られたものである、上記(1)、(2)または(9)に記載の消臭剤。 (16)グッタペルカがPalaquium属植物から得られたものである、上記(10)に記載の消臭剤。 (17)ポリイソプレンがグッタペルカノキから得られたものである、上記(1)、(2)、(9)または(15)に記載の消臭剤。 (18)グッタペルカがグッタペルカノキから得られたものである、上記(10)または(16)に記載の消臭剤。 (19)ポリイソプレンがPayena属植物から得られたものである、上記(1)、(2)または(9)に記載の消臭剤。 (20)グッタペルカがPayena属植物から得られたものである、上記(10)に記載の消臭剤。 (21)ポリイソプレンがMimusops属植物から得られたものである、上記(1)、(2)または(9)に記載の消臭剤。 (22)グッタペルカがMimusops属植物から得られたものである、上記(10)に記載の消臭剤。 (23)ポリイソプレンがバラタゴムノキから得られたものである、上記(1)、(2)、(9)または(21)に記載の消臭剤。 (24)グッタペルカがバラタゴムノキから得られたものである、上記(10)または(22)に記載の消臭剤。 (25)ポリイソプレンがAchras属植物から得られたものである、上記(1)、(2)または(9)に記載の消臭剤。 (26)グッタペルカがAchras属植物から得られたものである、上記(10)に記載の消臭剤。 (27)ポリイソプレンが、サポジラから得られたものである、上記(1)、(2)、(9)または(25)に記載の消臭剤。 (28)天然ゴムが、サポジラから得られたものである、上記(4)に記載の消臭剤。 (29)グッタペルカが、サポジラから得られたものである、上記(10)または(26)に記載の消臭剤。 (30)チクルを消臭成分として含有する消臭剤。 (31)ポリイソプレン、天然ゴム、グッタペルカまたはチクルが、繊維状である、上記(1)から(30)のいずれか1項に記載の消臭剤。 (32)ポリイソプレン、天然ゴム、グッタペルカまたはチクルが、有機溶媒による抽出によって得られたものである、上記(1)から(31)のいずれか1項に記載の消臭剤。 (33)液体の形態である、上記(1)から(32)のいずれか1項に記載の消臭剤。 (34)固体の形態である、上記(1)から(32)のいずれか1項に記載の消臭剤。 (35)ポリイソプレン、天然ゴム、グッタペルカまたはチクルが、担体に担持されている、上記(1)から(34)のいずれか1項に記載の消臭剤。 【発明の効果】 【0007】 本発明によれば、安全性が高く、優れた消臭効果を有する消臭剤が提供される。 【発明の実施の形態】 【0008】 以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。 本発明は、ポリイソプレンを含有する消臭剤である。本発明においては、種々の種類のポリイソプレンを使用することができるが、特に、トランス型のポリイソプレンが極めて優れた消臭効果を有しており、好ましい。 【0009】 ポリイソプレン 一般に、ポリイソプレンとはイソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)の重合体をいい、天然ポリイソプレンと合成ポリイソプレンとが存在する。天然ポリイソプレンには、化1に示すように、1,4結合がシス型のポリイソプレンと、1,4結合がトランス型のポリイソプレン(一般に、グッタと呼ばれる)がある。また、イソプレノイドとは、天然ポリイソプレンと同様に、イソプレンを構成単位とする一群の天然有機化合物を意味する。一方、合成ポリイソプレンには、上記2種の他にも、1,2結合または3,4結合によって結合したポリイソプレンも存在する。 【0010】 【化1】
【0011】 本発明において使用するトランス型ポリイソプレンとは、主にトランス型1,4結合によって、イソプレンが結合している化合物であり、天然から得られたものでも、合成により得られたものでもよい。しかし、安全性の観点から、天然から得られたトランス型ポリイソプレンであることが好ましい。 【0012】 また、本発明のポリイソプレンの分子量や重合度は、特に限定されないが、用途に応じて、重合度の大きいポリイソプレンや重合度の小さいポリイソプレンを使用することができる。取り扱いの容易さ等から、本発明のポリイソプレンの数平均分子量は、好ましくは500〜10,000,000、より好ましくは500〜5,000,000、より一層好ましくは1,000〜5,000,000、さらに好ましくは5,000〜1,000,000、よりさらに好ましくは5,000〜500,000、最も好ましくは5,000〜200,000である。 【0013】 本発明に使用することのできるトランス型ポリイソプレンは、以前は、海底ケーブルの絶縁体やゴルフボールの外皮材料として利用され、年間数百万トンほど利用されたこともあったが、現在では、生産量は少なく、天然品は歯科材料として少量が使用されているのみで、ほとんどが合成品である。 【0014】 本発明のポリイソプレンを化学合成によって得る場合、いかなる試薬、触媒および反応をも利用することができる。したがって、例えば、イソプレンを原料として、過酸化物、フリーデルクラフツ化合物、アルカリ金属、アルフィンを触媒として合成することができる。トランス型ポリイソプレンを選択的に合成できる点で、リチウムまたはチーグラー触媒を利用して合成することが好ましい。 【0015】 本発明のポリイソプレンを天然物から得ることもできる。この場合、天然物としては、ポリイソプレンを産生する植物であれば、いかなる植物をも使用することができる。 一般に、植物が産生するポリイソプレンは、その構造上、3種類に分類することができる。すなわち、シス型ポリイソプレン、トランス型ポリイソプレン、および、シス型とトランス型が混合したポリイソプレンである。天然ポリイソプレン(イソプレノイド)の中でも、シス型ポリイソプレンを産生する植物は数多く、その数は2000種以上にのぼることが知られている。具体的には、シス型ポリイソプレンを産生する植物として、例えば、クワ科、キク科、ガガイモ科の植物が知られており、トウダイグサ科のパラゴムノキ(Para rubber tree: Hevea brasiliensis)が特に有名である。 【0016】 一方、トランス型ポリイソプレンを産生する植物は非常に少なくEucommia、PalaquiumおよびPayena属の植物を始めとして、数種類しか知られていない。具体的には、トランス型ポリイソプレンを産生する植物として、杜仲(トチュウ:Eucommia ulmoides Oliver)、グッタペルカノキ(Palaquim gutta)、およびバラタゴムノキ(Mimusops balata)が知られている。また、シス型ポリイソプレンとトランス型ポリイソプレンの混合物を産生する植物としては、サポジラ(Achras zapota)が知られている。 【0017】 したがって、本発明のポリイソプレンを上述の天然物から得ることが可能である。例えば、トランス型ポリイソプレンを得る場合は、トランス型ポリイソプレン産生植物として公知の杜仲、グッタペルカノキ、バラタゴムノキ、サポジラを使用することができるほか、トランス型ポリイソプレンを産生することが未だ知られていない植物であってもトランス型ポリイソプレンを産生する植物であれば、本発明に使用することができる。栽培数が多いことから、本発明に用いるトランス型ポリイソプレン産生植物としては、杜仲、グッタペルカノキ、バラタゴムノキが好ましい。 【0018】 また、本発明においては、種々の植物から得たポリイソプレンを、用途に応じて使用することができる。すなわち、天然物から得られるポリイソプレンは、植物によってその性質が異なるため、本発明においては、用途に応じて植物を選択することができる。 【0019】 また、本発明においては、植物のあらゆる部位から得られたポリイソプレンを、用途に応じて使用することができる。すなわち、植物から得られるポリイソプレンは、抽出する植物の部位によって得られるポリイソプレンの構造や性質が異なるため、本発明においては、用途に応じて植物の部位を選択することができる。したがって、本発明において、消臭剤として利用できるポリイソプレン産生植物の部位は特に限定されず、例えば、葉、樹皮、果実、種子、葉柄、木部、根を挙げることができる。また、本発明において使用することができるポリイソプレン産生植物は、人為的に栽培されたものであっても、天然に自生するものであってもよい。 【0020】 一般に、杜仲は、葉、樹皮等に繊維状のトランス型のイソプレンゴムを含有し、形成層に近い部分からは低分子のポリイソプレン、表皮に近い部分では繊維状の高分子量のポリイソプレンが多いことが知られている(中澤ら、「ハイドロカーボン産生植物の生合成機構の解明と分子育種への応用」、第19回バイオテクノロジーシンポジウム予稿集、2001年)。さらに、トランス型イソプレノイドの含有量は、杜仲の部位によって異なり、乾燥重量あたり、葉1.7%、樹皮5.3%、種皮8.5%、根2.8%であったこと、また、杜仲の各部位から得られたイソプレンの分子量分布が異なり、葉由来のものは分子量が小さく、樹皮、根、および種皮由来のものは分子量が大きいことが報告されている(表1、「トチュウ(Eucommia ulmoides Oliver)の産出するポリイソプレノイドに関する化学的研究」馬場健史著、大阪大学博士論文、2001年)。 【0021】 【表1】
【0022】 また、本発明においては、ポリイソプレンの表面積が大きい方が悪臭を含む気体とより接触することができ、消臭効果が良好になることが期待できる。したがって、本発明のポリイソプレンとしては、繊維状のポリイソプレンが好ましい。 【0023】 また、本発明のポリイソプレンは、用途に応じて、化学的または物理的に修飾することができる。したがって、本発明のトランス型ポリイソプレンに対して、公知のあらゆる修飾、改質等の操作を行うことができる。具体的には、架橋処理や表面処理を行うことができ、物理的性質や表面特性等を向上させることが可能である。 【0024】 用語の説明 本発明に関して使用される用語について、以下、説明する。 本発明において「ポリイソプレン」とは、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)の重合体を意味する。一般に、ポリイソプレンには、天然物由来のポリイソプレンと化学的に合成されたポリイソプレンとが存在する。ポリイソプレンの重合度については一般に明確な規定はないが、本発明におけるポリイソプレンは、重合度が9以上のイソプレン重合体を意味する。 【0025】 本発明において、「天然ポリイソプレン」とは、天然物が産生したポリイソプレンを意味し、イソプレノイドとも呼ばれる。一般に、天然ポリイソプレンには、1,4結合がシス型のポリイソプレンと1,4結合がトランス型のポリイソプレンとがあることが知られており、天然トランス型ポリイソプレンはグッタとも呼ばれる。 【0026】 本発明において「天然ゴム」とは、植物の乳液から得られるシス型ポリイソプレンを主成分とする熱可塑性物質をいう。天然ゴムには、シス型ポリイソプレンの他にタンパク質が含まれることが知られている。ここでいう天然ゴムには、例えば、トウダイグサ科、クワ科、キク科、ガガイモ科の植物から得られる熱可塑性物質が含まれる。トウダイグサ科のパラゴムノキ(Hevea brasiliensis)が特に有名である。 【0027】 本発明において「グッタペルカ」とは、ガッタパーチャとも呼ばれ、植物の乳液から得られるトランス型ポリイソプレン(グッタ)を主成分とする熱可塑性物質をいう。グッタペルカには、トランス型ポリイソプレンの他に樹脂状のエステル類が含まれることが知られている。ここでいうグッタペルカには、例えば、Eucommia、Palaquium、Payena、MimusopsおよびAchras属植物の乳液から得られる熱可塑性物質が含まれる。Eucommia属植物としては杜仲、Palaquium属植物としてはグッタペルカノキ、Mimusops属としてはバラタゴムノキ、Achras属植物としてはサポジラが挙げられるが、これらに限定されるものではない。 【0028】 バラタゴムノキ由来のグッタペルカは、グッタペルカノキ由来のものと比較して、常温で結晶化せず、グッタペルカノキより柔軟で可とう性に富むことが知られている。また、本発明において「チクル」とは、アカテツ科Achras属サポジラ(Achras zapota)の幹枝より得られた乳液を、脱水して得られたものである。ポリイソプレンの組成は、シス型とトランス型が約3:7である。 【0029】 トランス型ポリイソプレン産生植物 上述のように、トランス型ポリイソプレンを産生する植物として、杜仲科Eucommia属、アカテツ科Palaquium属、Payena属、およびMimusops属の植物が知られている。具体的には、杜仲(トチュウ:Eucommia ulmoides Oliver)、グッタペルカノキ(Palaquim gutta)およびバラタゴムノキ(Mimusops balata)が知られている。また、サポジラ(Achras zapota)は、シス型とトランス型ポリイソプレンの混合物(シス型:約30%、トランス型:約70%)を産生するため、本発明のトランス型ポリイソプレン産生植物に含まれる。 【0030】 トランス型ポリイソプレン産生植物の中でも、杜仲は、温帯域で生育する数少ない植物であり、日本においても数多く栽培されているため、本発明の消臭剤に使用することができる植物として好ましい。 【0031】 トランス型ポリイソプレン産生植物として杜仲を使用する場合には、成長が早く、取り扱いが容易なことから、杜仲葉を使用することが好ましい。すなわち、杜仲葉は、2年目から収穫することができ、毎年、何回でも収穫することが可能で、収穫しやすい一方、杜仲の樹皮は、杜仲を植えてから収穫するまでに約17〜18年かかり、一度収穫すると再生するまでに6〜7年を要する。また、杜仲の種子はメスの木からしか採取できず、種皮の収穫量も多くない。さらに、上述のように、杜仲葉由来のポリイソプレンは、杜仲の種皮や樹皮から得られるポリイソプレンと比較して、分子量が小さいため、単位重量当たりに、比較的反応性の高い末端アシル基が多く含まれていると考えられる。本発明において「杜仲葉」とは、杜仲の葉を意味する。本発明で使用できる杜仲葉に特に限定はなく、いかなる杜仲葉をも使用することができるが、好ましくは4月〜10月、より好ましくは5月〜8月、さらに好ましくは7〜8月にかけて採取された生葉もしくは焙煎葉、または当年枝の生葉もしくは焙煎葉を使用することができる。ここで、本発明における「生葉」とは、収穫後乾燥前の葉を意味する。 【0032】 ポリイソプレンの抽出 本発明においては、ポリイソプレン産生植物から抽出により得られたポリイソプレンを使用することができる。 【0033】 ポリイソプレンの抽出は、当業者に公知のあらゆる方法によって行うことができる。したがって、本発明においては、抽出溶媒を始めとする抽出条件は限定されず、ポリイソプレンを抽出できる条件であれば、いかなる条件で抽出してもよい。 【0034】 一般に、ポリイソプレンは、有機溶媒に可溶性であるので、有機溶媒を使用して抽出を行うことが好ましい。抽出に使用することができる溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、クロロホルム、エーテル、エタノール、アセトンなどを挙げることができる。溶解性が大きいことから、トルエン、ベンゼン、クロロホルムおよび石油エーテルからなる群より選択される1種または2種以上の溶媒の混合物を利用してトランス型ポリイソプレンを抽出することが好ましい。また、抽出効率の観点から、加熱した溶媒で抽出を行うことが好ましい。 【0035】 さらに、抽出においては、抽出効率の向上などの理由で、他の成分を添加することができる。例えば、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、アスコルビン酸などの有機酸、果糖、蔗糖、マルトース、グルコースなどの糖、セルラーゼ、アミラーゼなどの酵素を挙げることができる。 【0036】 また、抽出後の抽出液から抽出溶媒を除去することができ、粉末状や顆粒状にすることもできる。例えば、蒸発および乾固させてから粉砕したり、スプレードライやフリーズドライ等により乾燥させることができる。また、本発明においては、溶媒沈殿または分別沈殿により、ポリイソプレンを得ることもできる。例えば、ベンゼン/メタノール、トルエン/メタノール、ベンゼン/酢酸エチルの混合溶媒による溶媒沈殿を行うことができる。 【0037】 さらに、本発明においては、不純物等を除去するため、種々の処理を行うことができる。例えば、低分子化合物等を除去するために、メタノールやエタノールなどのアルコール類、アセトン、または水性溶媒による予備的な抽出を行ってもよい。 【0038】 その他、本発明においては、不純物の除去等、種々の目的のために、抽出後の抽出物を公知のあらゆる方法によって精製することが可能である。したがって、例えば、遠心分離、ろ過、溶媒沈殿や再結晶などの方法により、抽出物を精製することができる。 【0039】 本発明において、ポリイソプレン産生植物から抽出を行う場合、採取した植物から直接抽出しても、採取した植物に前処理を施した後に抽出してもよい。前処理としては、例えば、蒸熱、揉捻、乾燥、焙煎、切断、破砕、粉砕などを挙げることができる。また、各工程の順序や回数は、特に限定されず、2つ以上の工程を同時に行うこともできる。本発明においては、抽出効率の観点から、ポリイソプレン産生植物を適当な大きさまで細かくしてから、抽出することが好ましい。 【0040】 消臭剤の使用態様 本発明の消臭剤の消臭対象物は、特に限定されないが、例えば、メルカプタンなどの硫黄化合物、インドール、スカトール、アンモニア、尿素、アミンなどの窒素含有化合物を挙げることができる。特に、本発明の消臭剤は、ニンニク臭(アリルスルフィドなど)および/または生臭さ(アンモニアやトリメチルアミンなど)に対して優れた消臭効果を有する。したがって、本発明の消臭剤は、チオールやメルカプト系のいわゆるS系臭気、アンモニアやアミン系のいわゆるN系臭気にも利用することができる。 【0041】 したがって、本発明の消臭剤は、消臭目的であれば、あらゆる対象に対して使用することができる。例えば、体臭、腋臭、口臭、ペットの臭い、トイレの臭い、台所の臭い、冷蔵庫の臭い、魚や野菜など食品の臭い、タバコの臭い、衣服の臭い、靴の臭い、川や海に由来する悪臭、各種工場からの悪臭などに対して、本発明の消臭剤を使用することができる。すなわち、本発明の消臭剤は、例えば、口臭用消臭剤、体臭用消臭剤、ペット用消臭剤、家畜用消臭剤、キッチン用消臭剤、トイレ用消臭剤、室内用消臭剤、生活用消臭剤、車内用消臭剤、工業用消臭剤として使用することができる。 【0042】 本発明の消臭剤においては、ポリイソプレンを、溶媒と混合した状態や担体に担持させた状態で使用してもよいし、そのままの状態で使用してもよく、その使用態様は特に限定されない。例えば、ポリイソプレンを含む液体をそのまま消臭剤として使用してもよく、また、ポリイソプレンを粉末の状態で消臭剤として使用してもよい。さらに、本発明の消臭剤においては、消臭効果をより高めるため、ポリイソプレンの表面積を大きくすることが好ましい。 【0043】 本発明の消臭剤を担体に担持させた状態で使用する場合、担体としては、公知のあらゆる材料を使用することができる。例えば、寒天、ゼラチン、カラギーナン、アラビアガム等のガム類、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどのゲルや、各種セルロースなどの繊維、ゼオライト、多孔質ガラス、セラミックス、活性炭、シリカ、シリケートなどの多孔性材料などを挙げることができる。その他にも、デンプンや乳糖を挙げることができる。 【0044】 また、本発明においては、ポリイソプレンに対し、目的に応じて表面処理を施してもよい。したがって、例えば、水への溶解性を向上させるため、ポリイソプレンにコーティング等の修飾を施すことができる。 【0045】 本発明の消臭剤は、どのような形態で使用してもよい。すなわち、粉体や液体の他、粒状、顆粒状、ブロック状、散剤状、懸濁液、ゲル状、ペースト状、スプレー状にして使用することもできる。この場合、各種賦形剤を使用してもよく、賦形剤としては、例えば、ゼオライト、乳糖、デンプン、デキストリン、各種デキストリン誘導体、結晶セルロース、キチン、キトサン等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。 【0046】 本発明の消臭剤は、あらゆる材料に配合することができる。例えば、布地、紙、不織布、木材、無機多孔質、各種繊維、各種樹脂、各種液体、フィルム、シートに配合することができる。 【0047】 本発明の消臭剤は、安全性が高いため、人間や動物に対して使用することもできる。例えば、ガム、キャンディー、フィルム状キャンディー、グミ、糖衣グミ、タブレットなどの菓子、錠剤、顆粒、カプセルなどの健康食品、飲料水やドリンク剤などの各種飲料、各種調味料に配合することができる。また、歯みがき、口臭防止剤、入れ歯洗浄剤などの口腔用品、胃腸薬などの医薬品や医薬部外品、入浴剤、貼布、湿布に配合することもできる。さらに、動物用の飼料等にも配合することができる。 【0048】 本発明の消臭剤は、単独で使用することもできるし、他の消臭剤や消臭成分と組み合わせて使用することもできる。併用することのできる消臭剤に特に限定はなく、例えば、活性炭、シリカゲル、アルミナ、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、クラスターデキストリンなどの吸着剤や多孔質材料と併用することができる。 【0049】 本発明の消臭剤は、どのように使用してもよいが、例えば、臭気を含んだ気体や液体と本発明の消臭剤とを接触させて使用することができる。 【実施例】 【0050】 以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。 [製造例1]杜仲由来のトランス型ポリイソプレンの抽出 杜仲葉を採取後、電子レンジにより乾燥し(600W、2450MHz、10分)、ブレンダーにより破砕した(2500rpm、30秒)。次いで、低分子化合物を除去するため、破砕した杜仲葉2gを、円筒ろ紙に入れ、エタノール(一級、信和アルコール産業製)によるソックスレー抽出を窒素下で24時間おこなった。次いで、トルエン(特級、和光純薬製)によるソックスレー抽出を窒素下で24時間おこない、トランス型ポリイソプレン抽出液を得た。この抽出液をポリイソプレン濃度が0.1〜1%のトルエン溶液にし、20倍量以上のメタノールに滴下することにより、溶媒沈殿させ、夾雑物を除去した。溶媒沈殿を3回繰り返した後、ヘキサンによる再結晶により沈殿させて、杜仲由来のトランス型ポリイソプレンを得た。 【0051】 [実施例1]アリルスルフィドに対する消臭実験 ニンニク臭の主成分であるアリルスルフィドに対し、各種サンプルの消臭効果を評価した。 【0052】 (1)評価サンプル 評価サンプルは、杜仲葉から抽出したトランス型ポリイソプレン、グッタペルカノキ由来のグッタペルカ、パラゴムノキ由来の天然ゴム、ルイボスエキス粉末、シャンピニオンエキス粉末(シャンピニオンエキス21%含有)の5種類とし、消臭剤を加えていない系をブランク(コントロール)とした。各サンプルの詳細は以下の通りである。 トランス型ポリイソプレン(杜仲葉):製造例1の方法によって製造した、杜仲葉より抽出したトランス型ポリイソプレンである。 グッタペルカ(グッタペルカノキ):グッタペルカノキから抽出したグッタペルカである。グッタペルカノキから採取した樹液を、ミルミキサー(IWATANI製)で粉砕し、サンプルとした。 天然ゴム:パラゴムノキから採取した樹液を、1mm角まで断片化し、試料とした。 ルイボスエキス粉末:ルイボスのアルカリ抽出物をトレハロースでスプレードライして濃縮した粉末を使用した。 シャンピニオンエキス粉末:マッシュルーム(シャンピニオン)抽出物21重量%、DLリンゴ酸9重量%、デキストリン70重量%配合の粉末を使用した。 【0053】 (2)評価方法 1.ストックソリューションの調製 10mlメスフラスコにアリルスルフィド(東京化成工業製)100μlを添加し、メタノールにてメスアップした後によく振盪し、1%アリルスルフィド溶液を調製した。得られた1%アリルスルフィド溶液30μlを100mlメスフラスコに添加し、水でメスアップした後によく振盪し、3ppmアリルスルフィド溶液を調製した。 2.消臭実験 3ppmアリルスルフィド溶液を20mlのバイアル瓶に2mlずつ分注した。さらに、薬包紙に各種サンプルを24mg秤量し、秤量した各種消臭剤を上記バイアル瓶に添加した。その後、バイアル瓶を密栓した後に、撹拌し、1時間常温にて静置した。なお、サンプルを添加しないものをブランクとした。 3.アリルスルフィドの分析 上記のバイアル瓶をヘッドスペースオートサンプラー(Hewlett Packard製7694)にセットし、Hewlett Packard製6890を用いてガスクロマトグラフィー分析を行った。 【0054】 ここで、ヘッドスペースオートサンプラーの条件は、オーブン温度50℃、サンプルループ温度55℃、トランスファーライン温度55℃、サンプル加熱時間10分、インジェクション時間0.2分とした。また、ガスクロマトグラフの条件は、He:15ml/min、H2:50ml/min、Air:80ml/min、カラム温度は、初期温度を60℃とし、15℃/minで250℃まで昇温した。また、注入口温度は250℃、検出器温度250℃とし、検出器はFPD、カラムはキャピラリーカラム(GLサイエンス製TC−1、内径0.53mm、長さ30m)を使用した。 4.消臭率の算出 検出されたアリルスルフィドのピーク面積値(積分値)から、以下の式に従って、消臭率を算出した。 消臭率(%)=100×(ブランクの積分値−サンプルの積分値)/ブランクの積分値) (3)評価結果 表2に評価結果を示す。表2から理解できるように、本発明の消臭剤であるトランス型ポリイソプレン、グッタペルカおよび天然ゴムは、消臭剤を添加していないブランクと比較して、ニンニク臭が少なく、優れた消臭効果を有することが明らかになった。さらに、従来から知られている天然物由来の消臭剤であるルイボスエキス粉末やシャンピニオンエキス粉末と比較しても、本発明の消臭剤は極めて高い消臭効果を示した。 【0055】 【表2】
【0056】 [実施例2]アンモニアおよびトリメチルアミンに対する消臭実験 いわゆるN系臭気に対して、各種サンプルの消臭効果を評価した。具体的には、生臭さの原因となるアンモニアおよびトリメチルアミンに対し、消臭効果を評価した。 【0057】 (1)評価サンプル 実施例1と同じサンプルを用いた。ただし、グッタペルカノキ由来のグッタペルカについては、粉砕前の塊状のものと、粉砕後のものをサンプルとして評価した。塊状のグッタペルカの大きさは1cm以上3cm以下であり、粉砕したグッタペルカはステンレスふるいにかけ、その大きさが300μm角以下のものを分取して使用した。本実施例においては、粉砕前の塊状のグッタペルカをグッタペルカ(大)、粉砕後のグッタペルカをグッタペルカ(小)とした。 【0058】 (2)評価方法 1.消臭実験 各サンプル粉末0.2gをガラス製10mlビーカー(外径30mm、高さ40mm)に入れ、ブランクとして何も入れていない10mlビーカーも用意した。これらのビーカーを、300mlコニカルビーカー(外径84mm、高さ135mm)に入れた。 【0059】 悪臭源としてアンモニアまたはトリメチルアミンを、上記の10mlビーカー内に注入し、直ちにパラフィルム(登録商標)とアルミ箔で密封し、25℃、湿度60%の条件下で1時間静置した。 2.ガスの検出 容器内のガス100mlをガラスシリンジで吸入し、アンモニアとトリメチルアミンの濃度をガステック製検知管で測定した。 3.消臭率の算出 以下の式により、ブランクに対する消臭率を測定した。なお、ブランクのガス濃度は、評価サンプルを入れずに、悪臭源のみを入れたビーカーを、密栓し、1時間静置した後に測定したガス濃度である。 消臭率(%)=100×(ブランクのガス濃度−評価サンプルのガス濃度)/(ブランクのガス濃度) (3)評価結果 表3に評価結果を示す。 【0060】 【表3】
【0061】 表3から理解できるように、ポリイソプレンを含有する本発明の消臭剤が、従来知られている消臭素材と比較して、優れた消臭効果を有していることが明らかになった。さらに、トランス型ポリイソプレンの方が、シス型ポリイソプレンを含有する天然ゴムと比較して、優れた消臭効果を有していることが確認された。また、グッタペルカノキ由来のグッタペルカのデータから、表面積が大きくなると消臭効果も高くなることが明らかになった。表面積の小さいグッタペルカ(グッタペルカノキ)大を試料とした場合でも、その消臭率は天然ゴムより高く、トランス型ポリイソプレンがシス型ポリイソプレンと比べて有意に優れた消臭効果を有することが示された。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000186588 【氏名又は名称】小林製薬株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区道修町四丁目3番6号
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| 【出願日】 |
平成16年8月24日(2004.8.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089705 【弁理士】 【氏名又は名称】社本 一夫
【識別番号】100076691 【弁理士】 【氏名又は名称】増井 忠弐
【識別番号】100075270 【弁理士】 【氏名又は名称】小林 泰
【識別番号】100080137 【弁理士】 【氏名又は名称】千葉 昭男
【識別番号】100096013 【弁理士】 【氏名又は名称】富田 博行
【識別番号】100091638 【弁理士】 【氏名又は名称】江尻 ひろ子
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| 【公開番号】 |
特開2006−56862(P2006−56862A) |
| 【公開日】 |
平成18年3月2日(2006.3.2) |
| 【出願番号】 |
特願2004−243399(P2004−243399) |
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