| 【発明の名称】 |
カプセル皮膜組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 建彦
【氏名】林 勝廣
【氏名】幸村 定昭
【氏名】大石 誠子
【氏名】渡辺 和彦
【氏名】井上 隆
【氏名】皆川 伸昌
【氏名】柴田 一郎
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| 【要約】 |
【課題】植物性原料を主原料としたカプセル皮膜組成物において、工業的生産における製造作業性が良く、また、製造されたカプセル剤が吸湿しにくくブロッキングが抑制された、カプセル皮膜組成物を提供すること。
【解決手段】高度分岐環状デキストリンをカプセル皮膜組成物の成分として含有するもの。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カプセル剤の皮膜成分として、高度分岐環状デキストリンを含有することを特徴とするカプセル皮膜組成物。 【請求項2】 カプセル剤が軟カプセル剤である請求項1に記載のカプセル皮膜組成物。 【請求項3】 軟カプセル剤がシームレスカプセル剤である請求項2に記載のカプセル皮膜組成物。 【請求項4】 カプセル剤が硬カプセル剤である請求項1に記載のカプセル皮膜組成物。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、カプセル皮膜組成物に関する。カプセル剤は食品、化粧品、医薬部外品、医薬品など幅広い分野で応用され、カプセル剤の形態として軟カプセル剤、及び硬カプセル剤がある。本発明は、カプセル剤の皮膜成分として、高度分岐環状デキストリンを用いたものである。 【背景技術】 【0002】 従来からカプセル皮膜組成物はゼラチンを主原料として製造されてきた。しかし、近年BSEや宗教上の理由から、動物由来原料であるゼラチンに代わり、植物性原料を主原料としたカプセル皮膜組成物の開発が行なわれ、例えば特許文献1に記載の如く、デンプン系素材を基剤とした軟カプセル皮膜組成物が開示されている。 【特許文献1】特開2003-299714 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 植物性原料であるデンプン系素材を基剤としてカプセル皮膜を製造する際の問題点として、室温でのカプセル皮膜組成物の混合時、及び加熱溶解時のデンプンの糊化状態における粘度が高いために、カプセル剤製造時の操作性(組成物を互いに均一に混合させる均一混合操作性)が非常に悪いと共に所望の濃度が得られにくいことが挙げられる。殊に軟カプセル剤製造時には、皮膜強度の点から固形分濃度を高くする必要があるが、濃度を高くすると粘度が高くなり、従って操作性が悪くなり、更には工業的規模での生産の際には機械設備の大掛かりな変更が必要となるなど容易に工業的生産が実施できないという課題を抱えている。 【0004】 一方、操作性を良くするためにデンプン糊液を希薄なものとした場合には、カプセル剤成型後の乾燥によって、固形分自体の濃度が低いために、皮膜が薄膜になって充分な強度が得られないことになり、軟カプセル剤の製造自体が不可能になる。 【0005】 また、デンプン系素材を基剤としたカプセル皮膜は吸湿性があるために、カプセル同士が癒着する現象いわゆるブロッキングが発生し易いことももう1つの課題となっている。尚ブロッキングは従来からのゼラチンを主原料としたカプセル皮膜でも度々見られる現象であり、この問題の解決も強く望まれている。 【0006】 本発明の課題は、植物性原料を主原料としたカプセル皮膜組成物において、工業的生産における製造作業性が良く、また、製造されたカプセル剤が吸湿しにくくブロッキングが抑制された、カプセル皮膜組成物を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 請求項1の発明は、カプセル剤の皮膜成分として、高度分岐環状デキストリンを含有するカプセル皮膜組成物である。 【0008】 請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、カプセル剤が軟カプセル剤であるようにしたものである。 【0009】 請求項3の発明は、請求項2の発明において更に、軟カプセル剤がシームレスカプセル剤であるようにしたものである。 【0010】 請求項4の発明は、請求項1の発明において更に、カプセル剤が硬カプセル剤であるようにしたものである。 【発明の効果】 【0011】 (a)高度分岐環状デキストリンをカプセル皮膜組成物の成分として使用することにより、固形分が高濃度でありながら、粘度を低く抑えることができ、これによりカプセル剤製造時の作業操作性が格段に向上し、また従来から問題となっていたブロッキングも抑制することができる。 【0012】 (b)高度分岐環状デキストリンは他のデキストリンに比べ、内分岐環状構造という特徴的な化学構造を有しているために通常のデキストリンからは類推できないような特質を持っていることに加え、分子量分布が狭く、低分子糖質が少ないため、乾燥後のカプセル皮膜の吸湿を抑えることができ、更に、カプセル皮膜の乾燥速度が他のデキストリンを用いたカプセルに比べ速いことにより、水分による影響を受け易い内容成分のカプセル化に適している。 【発明を実施するための最良の形態】 【0013】 本発明において、高度分岐環状デキストリンとはブランチングエンザイムをアミロペクチンに作用させて生産されるものであり、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する重合度50以上のグルカンを言う。ここにて、内分岐環状構造部分とはα−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、そして外分岐構造部分とは該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分である。高度分岐環状デキストリン及びその製造方法は、特許第3107358号に記載されており、該高度分岐環状デキストリンの1つとして、江崎グリコ株式会社からクラスターデキストリン(登録商標)として販売されているものを使用できる。 【0014】 高度分岐環状デキストリンの特徴として、1.分子量分布が狭く粘度が低い。2.更に特徴的な現象は、デンプンや増粘多糖類の溶液に添加すると、高度分岐環状デキストリンの添加により、固形分含量が上がっているにもかかわらず、粘度を低下させる効果を有する。3.水溶性が高く透明性にも優れ、その溶液の安定性も高い。4.水溶性が高い反面、乾燥し易く吸湿しにくい。5.皮膜形成能が高いなどの項目を挙げることができる。 【0015】 本発明者らは、これらの特徴に注目し、高度分岐環状デキストリンをカプセル剤の皮膜成分として初めて添加することにより、従来のデンプンを基剤としたカプセルにおける課題を解決した。 【0016】 即ち、高度分岐環状デキストリンは水溶性が高く、粘度が低く、更には粘度を低下させる効果をも有しているため、これを使用することにより、カプセル剤製造時に所望の固形分濃度を維持し、かつ製造工程上操作性の良い低粘度溶液を調製することができる。 【0017】 更に、高度分岐環状デキストリンにデンプンや増粘多糖類を混合して使用することにより目的に応じた所望の粘度、粘性を有したカプセル剤の皮膜組成物を自在に調製することができ、工業的生産においてもその操作性を向上することができる。 【0018】 また、製造したカプセル剤をガラス瓶中で保存したところ、ブロッキングは認められなかった。本発明のカプセル皮膜に高度分岐環状デキストリンを含有することによって得られる効果は、高度分岐環状デキストリンの有している特性が関与しているものと考えられる。即ち、高分子でありながら分子量分布が狭いこと、乾燥し易く、吸湿しにくいこと、皮膜形成能が高いことなどの特性が関わっている。 【0019】 尚、本発明による高度分岐環状デキストリンの特質を生かしたカプセル剤への皮膜成分としての利用方法は過去にも例を見ず、全く新規な利用方法である。 【0020】 本発明によるカプセル皮膜組成物は、高度分岐環状デキストリンを含有することを特徴とし、その配合量は特に制限は無く、カプセル形態及び所望の特性を得るために適宜調整することができる。その他の配合成分、調製方法等は特に限定されないが、カラギーナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、ペクチン、タマリンドシードガムなどから選択される1種又は2種以上のゲル化剤を混合して使用することができる。更に、デンプン、加工デンプン或いはプルランなどを増粘剤として添加することにより、粘度・粘性・接着性・皮膜強度を適宜調整することもでき、目的に応じた所望のカプセル皮膜組成物を得ることができる。また、更にその他の成分として、例えば、グリセリンなどの可塑剤、リン酸ナトリウムなどのpH調整剤、塩化カリウムなどのゲル化促進剤などを添加することができる。 【0021】 本発明による高度分岐環状デキストリンを含有するカプセル皮膜組成物によって形成されるカプセル形態は限定されることなく、即ち、軟カプセル剤、或いは硬カプセル剤に適用できる。 【0022】 軟カプセル剤の製法の1つにはロータリーダイ式があり、これは皮膜組成物の溶液をカプセル充填機の両側にある回転ドラムに展延することによりシート状とし、その皮膜シートを回転する円筒金型(ダイロール)の間に送り、これと連動するポンプのピストンで内容物を圧入し、両金型の圧切によってカプセル剤を形成する。もう1つの方法として、平板法がありこれは原理的にはロータリーダイ式と同等であり、上下平板金型の間に上下皮膜シート、その上下皮膜シート間に内容物を置き、両金型の圧切によってカプセル剤を形成する。 【0023】 一方、シームレスカプセル剤の製法は、外側がカプセル皮膜液、内側がカプセル内容物からなる二層性の液流を、一定間隔で切断しながら疎水性の油液等に導入することにより、球体となる皮膜液により内容物を包んで充填カプセル剤を作り、次いでその充填カプセル剤を乾燥して軟カプセル剤を得る。 【0024】 硬カプセルの製法としては、ディッピング法があり、これは皮膜組成物の溶液にカプセル形成用ピンを浸漬し、ピン上に溶液を付着させ、ついでピンを引き上げ、乾燥後、フィルムをピンから引き抜いて、硬カプセルを得ることができる。 【0025】 本発明による高度分岐環状デキストリンを含有するカプセル皮膜組成物はこれらカプセル剤の形態に対していずれも適用することができ、皮膜液からカプセル剤形成までの製造操作性も良く、また製造されたカプセル剤はいずれも吸湿しにくい特性を有し、ブロッキングが抑制される。 【実施例】 【0026】 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。 (比較例及び実施例1〜2) 表1に示した比較例及び実施例1〜2に示す処方に基づき、各成分をビーカーに量り取り、良く攪拌した後、沸騰水浴上で15分毎に良く攪拌しながら2時間加熱して溶解する。その後、2時間、90〜95℃で保温し、脱気操作を行なう。この溶液を厚さ0.6mmに調整した薄層クロマトグラフ用のアプリケータに入れ、予め約70℃に加熱しておいたステンレス板上に展延する。ゲル化後、適当な大きさに裁断し、内容物として植物油を用いて平板法により軟カプセル剤を成形し、各処方における、室温での混合組成物の粘度・操作性(均一混合操作性)、加熱溶解時での混合組成物の粘度・操作性(均一混合操作性)、及び作成した軟カプセル剤を乾燥後ガラス瓶に詰め、ブロッキングを評価した。 【0027】 比較例は従来のデンプン系素材を基剤としたカプセル剤であり、粘度が高く操作性が不良であり、またブロッキングも認められた。 【0028】 これに対し、実施例1〜2に示した如く本発明による高度分岐環状デキストリンを使用したカプセル剤では、粘度が低く操作性も良好であり、ブロッキングも抑えられていた。 【0029】 【表1】
【0030】 (実施例3) 表2に示した処方により、ロータリーダイ式にて軟カプセル剤を製造した。内容物には植物油を用いた。工業的製法として標準的なロータリーダイ式においても、混合組成物の粘度は低く、操作性(均一混合操作性)も良好であり、軟カプセル剤製造における問題点は特に認められず、またブロッキングも抑えられた良質の軟カプセル剤が得られた。 【0031】 【表2】
【0032】 (実施例4) 表3に示した処方により、シームレスカプセル剤を製造した。内容物として植物油を用いた。シームレスカプセル剤製造工程においても、操作性(均一混合操作性)は良好であり、ブロッキングも抑えられた良質のシームレスカプセル剤が得られた。 【0033】 【表3】
【0034】 (実施例5) 表4に示した処方に従い、常法(ディッピング法)により、硬カプセルを製造した。硬カプセル製造工程においても、操作性(均一混合操作性)は良好であり、ブロッキングも抑えられた良質の硬カプセルが得られた。 【0035】 【表4】
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| 【出願人】 |
【識別番号】591235603 【氏名又は名称】財団法人応用生化学研究所 【識別番号】391010976 【氏名又は名称】富士カプセル株式会社
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| 【出願日】 |
平成16年8月17日(2004.8.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081385 【弁理士】 【氏名又は名称】塩川 修治
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| 【公開番号】 |
特開2006−56789(P2006−56789A) |
| 【公開日】 |
平成18年3月2日(2006.3.2) |
| 【出願番号】 |
特願2004−237745(P2004−237745) |
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