| 【発明の名称】 |
インジェクタおよびこれを備えた薬液調合装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】鬼鞍 宏猷
【氏名】佐藤 ▲隆▼
【氏名】近藤 乾
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| 【要約】 |
【課題】薬液を吸い込んだり吐き出したりする場合において、薬液への汚染物質の混入を防止するインジェクタを提供する。
【解決手段】インジェクタ1は、薬液を貯留可能なシリンダ2と、このシリンダ2内に保持されるピストン3と、ピストン3の端部に設けられたボールネジ4と、ボールネジ4を回転させる駆動手段としての駆動モータ5とを備えるインジェクタ本体11と、このインジェクタ本体11を包囲するダクト6とを備える。ダクト6内には、汚染物質を吸い上げる吸引手段としての軸流ファン7が設けられており、軸流ファン7を駆動させると、ダクト6内には上昇気流が発生し、ダクト6内に存在する、空気中の塵埃、ボールネジ4から発生する鋼球4cの摩耗粉、および飛沫した潤滑油などの汚染物質が、ダクト6の上部へと吸い上げられる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 薬液を貯留可能なシリンダと、 前記シリンダ内を摺動するピストンと、 前記ピストンの端部に設けられたボールネジと、 前記ボールネジを回転させる駆動手段と、 前記ボールネジと、前記ピストンと、前記シリンダの少なくとも上部開口とを囲むダクトとを備え、 前記ダクトには、汚染物質を吸い上げる吸引手段が設けられたことを特徴とするインジェクタ。 【請求項2】 前記ダクトは、内周面の断面積が前記シリンダの先端側に向けて徐々に小さくなるように形成された先端部を有し、 前記先端部は、前記ピストンの軸方向に対して円周方向に傾斜させた穴を有することを特徴とする請求項1記載のインジェクタ。 【請求項3】 前記ダクトはさらに、前記先端部以外の壁にも、前記ピストンの軸方向に対して円周方向に傾斜させた穴を有することを特徴とする請求項2記載のインジェクタ。 【請求項4】 請求項1から3のいずれかの項に記載のインジェクタと、該インジェクタを移動させる移動手段とを備えた薬液調合装置。 【請求項5】 前記インジェクタは、薬液が貯留された薬液容器に設けられた薬液情報を読み取る読取手段を備えたことを特徴とする請求項4記載の薬液調合装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ボールネジの回転によりピストンを移動させて薬液をシリンダ内に吸い込んだり吐き出したりするインジェクタ(注射器)と、このインジェクタを備えた薬液調合装置に関する。 【背景技術】 【0002】 入院患者などに用いられる輸液療法では、投与される薬液の成分が患者一人一人に対して異なるので、それぞれ、医師の処方箋に基づき、複数の薬液から必要な量だけ調合されている。成人に対し、新生児や乳幼児の患者に投与される薬液は極めて少量であり、調合の際に必要とされるそれぞれの薬液の量も極微量となる。従って、このような極微量の薬液量を精度よく吸い込んだり吐き出したりすることが可能なインジェクタが必要とされている。 【0003】 極微量の薬液量を精度よく抜き取るためには、インジェクタのシリンダ内に設けられるピストンの移動量を精度よく制御することが求められる。そこで、ピストンの前進後退を、ボールネジを用いて精度よく制御するインジェクタヘッドが特許文献1に記載されている。特許文献1のインジェクタヘッドのボールネジは、シリンダ内のピストンに連結されたプランジャの後端部分に取り付けられている。 【0004】 ボールネジは、ネジ軸とナットが鋼球を介して作動する一体形の機械部品であり、この鋼球が転がり運動することによって、シリンダ内のピストンを前進後退させることが可能となる。ボールネジは、他の送りネジや歯車機構などに比べて位置決め精度が高いので、必要なボールネジのリードやモータの回転角分解能を選択することで、極微量の薬液の吸い込みや吐き出しが可能となる。 【特許文献1】特開平10−244002号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、ボールネジを使用すると、鋼球の転がり運動による摩耗粉が発生したり、鋼球の転がりをよくするために使用されている潤滑油が飛沫したりして、周囲の空気中が汚染されてしまう。摩耗粉や油沫、空気中に存在する塵埃などの汚染物質が薬液を貯留しているシリンダ内に落下して混入し、この汚染物質が混入した薬液が患者に投与されると、患者の命に関わるような重大な影響を及ぼすこともある。従って、汚染物質の薬液への混入は絶対に避けなければならない。 そこで、本発明は、薬液を吸い込んだり吐き出したりする場合において、薬液への汚染物質の混入を防止するインジェクタおよびこれを備えた薬液調合装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明のインジェクタは、薬液を貯留可能なシリンダと、シリンダ内を摺動するピストンと、ピストンの端部に設けられたボールネジと、ボールネジを回転させる駆動手段と、ボールネジと、ピストンと、シリンダの少なくとも上部開口とを囲むダクトとを備え、ダクトには、汚染物質を吸い上げる吸引手段が設けられたことを特徴とする。 【0007】 本発明のインジェクタは、駆動手段によってピストンの端部に設けられたボールネジが回転することにより、ピストンの前進および後退が精度よく制御される。つまり、所定の角度だけボールネジを正転させてピストンを後退させるとシリンダ内には薬液が吸引され、所定の角度ボールネジを逆転させてピストンを前進させるとシリンダから薬液が吐出される。本発明のインジェクタは、ボールネジと、ピストンと、シリンダの少なくとも上部開口とを囲むように形成されたダクトに吸引手段が設けられたことによって、ダクト内の空気は吸引手段によって吸い上げられる。この空気の流れにより、ボールネジの回転により発生する摩耗粉や油沫、ダクト内の空気中の塵埃などの汚染物質が空気と同時に吸い上げられる。 【0008】 ダクトは、内周面の断面積がシリンダの先端側に向けて徐々に小さくなるように形成された先端部を有し、先端部は、ピストンの軸方向に対して円周方向に傾斜させた穴を有する方が望ましい。 【0009】 ピストンの軸方向に対して円周方向に傾斜させて設けられた穴と、吸引手段の吸引力とにより、ダクト内には一定方向に回転する旋回流が発生する。この旋回流の遠心力により、空気よりも密度の大きい汚染物質はダクトの壁面に押しつけられ、壁面に沿いながらダクト内の上部へと吸い上げられる。このようにして、汚染物質は、シリンダの上部開口付近や、開口の上方を避けるようにダクトの壁面に沿って旋回しながら上昇していく。 【0010】 また、内周面の断面積がシリンダの先端側に向けて徐々に径が小さくなるようにダクトの先端部が、形成されたことにより、シリンダとダクトの先端部との隙間は、シリンダの上部とダクトとの隙間に比べると狭くなっているので、汚染物質がダクトとシリンダとの隙間からダクトの外へと落下することを防ぐことができる。 【0011】 ダクトはさらに、先端部以外の壁にも、ピストンの軸方向に対して円周方向に傾斜させた穴を有する方が望ましい。これにより、ダクト内に発生した旋回流をさらに強力なものとすることができる。 【0012】 薬液を調合する際には、人為的なミスを可能な限り抑えるために、できるだけ自動化されたシステムを構築することが望ましい。そこで、本発明のインジェクタと、該インジェクタを移動させる移動手段とを備えた薬液調合装置を構成するとよい。 【0013】 複数種類の薬液容器と調合容器とをそれぞれ所定の位置に配置し、所望する薬液が貯留された薬液容器の開口部にインジェクタの先端が位置するように移動手段によって移動させる。そして所定量だけ薬液をシリンダ内に吸い込むとともに、この状態で調合容器の開口部にインジェクタを移動させて調合容器内に吐き出す。この作業を繰り返すことによって、個々の患者に対応した薬液の調合を自動化して行うことができる。 【0014】 なお、前記薬液調合装置のインジェクタは、薬液が貯留された薬液容器に設けられた薬液情報を読み取る読取手段を備える方が望ましい。 【0015】 本発明の薬液調合装置のインジェクタは、薬液が貯留された薬液容器に設けられた薬液情報を読み取る読取手段を備えることにより、インジェクタが指定された薬液容器の開口部へ移動すると、このインジェクタに備えられた読取手段が、薬液容器に設けられた薬液情報を読み取る。あらかじめ設定されていた薬液情報と、読取装置により読み取られた薬液情報とが異なっていれば、配置されている薬液は指定された薬液とは異なるため、その時点で、インジェクタは薬液を吸い込むことを中止することができる。 【発明の効果】 【0016】 本発明によれば、以下の効果を奏する。 (1)本発明のインジェクタが、ダクトに吸引手段を備えたことにより、ボールネジから発生する摩耗粉や油沫、また、ダクト内の空気中の塵埃などの汚染物質は、吸い上げられてダクト外へ排出されるので、汚染物質が、シリンダや、インジェクタの下方に配置された薬液容器内に落下することが防止され、調合される薬液への汚染物質の混入を防ぐことができる。 (2)本発明のダクトが、内周面の断面積がシリンダの先端側に向けて徐々に径が小さくなるように形成された先端部を有し、先端部には、ピストンの軸方向に対して円周方向に傾斜させた穴が設けられたことにより、汚染物質は、シリンダの上部開口付近や、この上部開口の上方を避けるようにダクトの壁面に沿って旋回しながら上昇するので、汚染物質がシリンダや、インジェクタの下方に配置された薬液容器内に汚染物質が落下して薬液が汚染されることをより防止することができる。また、汚染物質が、ダクトとシリンダとの間からダクトの外へと落下することが防止され、薬液が貯留されている薬液容器内に混入することをさらに防止することができる。 (3)本発明のインジェクタのダクトはさらに、先端部以外の壁にも、ピストンの軸方向に対して円周方向に傾斜させた穴が設けられたことにより、ダクト内に発生した旋回流をさらに強くすることができ、汚染物質がシリンダや、インジェクタの下方に配置された薬液容器内に汚染物質が落下して薬液が汚染されることをさらに防止することができる。 (4)薬液調合装置が、インジェクタと、該インジェクタを移動させる移動手段とを備えたことにより、極微量の薬液の調合を自動化することができ、人為的ミスの少ない薬液調合装置とすることができる。 (5)インジェクタが、薬液が貯留された薬液容器に設けられた薬液情報を読み取る読取手段を備えることにより、インジェクタが人的ミスにより間違って配置された薬液を吸い込むことを未然に防ぐことができ、薬液の調合ミスをなくすことができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0017】 (実施の形態) 以下、図面を用いて本発明の実施の形態における薬液調合装置を説明する。図1は、本実施の形態における薬液調合装置の構成を示す概略図である。図2は、本実施の形態におけるインジェクタの断面図である。図3は、図2のA−A線断面図である。図4は、図3のB−B線断面図である。図5は、ダクトの先端部を示す図であり、(a)は図2のC−C線断面図、(b)は同図(a)のD−D線断面図である。図6は、本実施の形態におけるトレーを示す図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。 【0018】 図1に示すように、本実施の形態における薬液調合装置は、ピストンを移動させて極微量の薬液をシリンダ内に吸い込んだりシリンダ内から吐き出したりするインジェクタ1と、このインジェクタ1を移動させる移動手段としてのインジェクタ移動装置10と、薬液容器や調合容器をそれぞれ収容する収容部を複数備えるトレー20と、インジェクタ移動装置10の自動制御を行う制御装置30とにより構成される。 【0019】 図2に示すように、インジェクタ1は、薬液を貯留可能なシリンダ2と、このシリンダ2内に保持されるピストン3と、ピストン3の端部に設けられたボールネジ4と、ボールネジ4を回転させる駆動手段としての駆動モータ5とを備えるインジェクタ本体11と、このインジェクタ本体11を取り囲むダクト6とを備える。また、ダクト6内には、汚染物質を吸い上げる吸引手段としての軸流ファン7が設けられている。 【0020】 シリンダ2は、ガラスやプラスチックで形成された円筒状の容器であり、使い捨て用の注射器に使用されるシリンダを用いることができる。また、シリンダ2は、先端部に薬針2aを有しており、この薬針2aを薬液容器の開口部から挿入して薬液を吸い込んだり、吐き出したりする。シリンダ2は、インジェクタ1から取り外すことが可能となっている。 【0021】 ピストン3は、シリンダ2内に保持されており、その端部には、後述するボールネジ4のネジ軸が接続されている。また、ピストン3の先端には、シリンダ2の内周面に密着するように、シリンダ2の内径と略同じ径を持つ拡径部3aが形成されている。拡径部3aは、ピストン3とシリンダ2との間の空気漏れを防ぐためにゴムで形成されており、これによりピストン3の内周面との密着性をより高めている。 【0022】 図2から図4に示すように、ボールネジ4は、ネジ軸4aとナット4bとにより構成されている。ネジ軸4aの表面とナット4bに形成された溝を鋼球4cが転がり運動することにより、ネジ軸4aとナット4bとは回転する。 【0023】 ネジ軸4aの、ピストン3が接続された端部とは逆側の端部には、ボールネジを回転駆動してピストン3をe軸方向に前進および後退させる駆動モータ5が設けられている。この駆動モータ5を駆動させることにより、所定の角度だけボールネジ4が回転する。なお、駆動モータ5の駆動量は、患者の処方箋に応じて所定量の薬液をシリンダ2内に吸い込んだり吐き出したりすることができるよう、あらかじめ制御装置30に設定されている。ナット4bは、その外径がダクト6の内径と略同じとなるように形成され、ダクト6の内周面に固定されている。また、図3および図4に示すように、ナット4bには、ネジ軸4aの軸方向に対して円周方向に傾斜した穴4dが60度間隔で6箇所形成されている。 【0024】 ダクト6は、インジェクタ本体11を囲むように円筒状に形成されている。また、一端は外気に連通しており、後述する軸流ファン7により吸い上げられたダクト6内の空気は外部へと排気される。ダクト6の壁には、ピストン3の軸方向に対して円周方向に傾斜した穴6aが複数形成されている。 【0025】 また、図5に示すように、ダクト6の先端部6bは、その内周面の断面積が、シリンダ2の薬針2a側に向けて徐々に径が小さくなるように、また、壁厚が徐々に厚くなるようにテーパ状に形成されている。本実施の形態では、ダクト6の先端がシリンダ2の中央部付近に位置するように形成されている。ダクト6の先端部6bは、少なくともシリンダ2の開口2bがダクト6内に配置されるようにシリンダ2の外周面を包囲していればよいので、その先端位置はシリンダ2の中央部よりも下方であっても上方であってもよい。しかし、シリンダ2の開口2bに汚染物質が落下することを避けるとともに、シリンダ2の交換を容易にするためには、シリンダ2の中央部付近まで先端部6bを形成するのが望ましい。また、先端部6bにも、ピストン3の軸方向に対して、ダクト6の壁に形成された穴6aと同じ円周方向に傾斜させた穴6cが形成されている。 【0026】 また、ダクト6には、薬液が貯留された薬液容器に設けられた無線ICタグに記憶された薬液情報を読み取る読取手段としての無線ICタグリーダ9が設けられている。 【0027】 軸流ファン7は、ダクト6内であって、ボールネジ4を駆動する駆動モータ5の上部に固定されている。また、軸流ファン7の軸部7aの端部は、この軸流ファン7を駆動するためのファン駆動モータ8が接続されている。このファン駆動モータ8は、制御装置30に接続されており、薬液の調合が行われる際には、制御装置30からの指示により動作する。 【0028】 ここで、軸流ファン7を駆動させることによってダクト6内に発生する旋回流について説明する。軸流ファン7を回転させると、ダクト6内には上昇気流が発生する。内周面の断面積がシリンダ2の先端側に向けて徐々に小さくなるように形成されたダクト6の先端部6bには穴6cが形成されており、軸流ファン7の回転により発生した上昇気流に伴い、穴6c内から空気が吸い上げられる。穴6cは、ピストン3の軸方向に対して円周方向に同じように傾斜しており、また、先端部6bの内周面が傾斜しているので、この穴6cから吸い上げられた空気は、ダクト6の壁面に沿うように、ピストン3の軸方向に対して角度を持ってダクト6内に進入する。それぞれの穴6cから吸い上げられ、ほぼ同じ方向に傾斜した流れを持つ空気がダクト6内で合流することによって、ダクト6内には強力な旋回流が発生する。そして、この旋回流は、先端部6bの内周面が傾斜していることにより、この内周面に沿って徐々にその渦の径を広げながらダクト6内を上昇する。また、この上昇気流に伴い、ダクト6の壁に形成された穴6aからも同様に空気が吸い上げられていく。よって、ダクト6内で発生した旋回流は、さらに強力な渦を作りながら、ダクト6内を上昇していく。なお、ボールネジ4のナット4bにも、ピストン3の軸方向に対して円周方向に同じように傾斜した穴4dが設けられているので、ダクト6内で発生した旋回流は、その流れを妨げられることなく、ダクト6内を上昇していく。 【0029】 この旋回流により、ダクト6内に存在する、空気中の塵埃、ボールネジ4から発生する鋼球4cの摩耗粉、および飛沫した潤滑油などの汚染物質が、ダクト6の上部へと吸い上げられる。空気よりも密度の大きいこれらの汚染物質は、旋回流の遠心力により、ダクト6の壁面に押しつけられ、ダクト6の壁面に沿いながらダクト6内を上昇する。このようにして、汚染物質はダクト6の中心に位置するシリンダ2の開口2bの上方を避けるようにダクトの壁面に沿って旋回しながら吸い上げられていくので、汚染物質がシリンダ2の開口2bや、インジェクタ1の下方に配置された薬液容器内に落下することにより、調合される薬液が汚染されることを防ぐことができる。 【0030】 また、ダクト6の先端部6bは、シリンダ2の薬針2a側に向けて徐々に径が小さくなるようにテーパ状に形成されているので、シリンダ2とダクト6の先端部6bとの隙間は、シリンダ2の上部とダクト6との隙間に比べると狭くなっており、たとえ旋回流によっても吸い上げることができないような大きな汚染物質がある場合でも、汚染物質が、ダクト6とシリンダ2との間からダクト6の外へと落下し、薬液が貯留されている薬液容器や調合容器内に混入することを防止する。 【0031】 図6に示すように、トレー20は、薬液容器Aや調合容器Bを収容するための収容部21を縦横に列状に複数備えたものである。トレー20の収容部21は、平面視正方形の底壁21aとこの底壁21aの周囲を取り囲むように立設された側壁21bとにより枡状に形成されたものである。薬液容器は、上部に開口を有する円筒状の瓶型の容器であっても、外形や大きさの異なる複数種類のものが存在する。本実施の形態では、特に極微量の薬液を調合する薬液調合装置に用いられるトレー20であり、収容部21は、調合に用いる微量の薬液が貯留される、数十ml入りの薬液容器が収容可能な程度に形成されている。また、底壁21aは、その中心が最下端となるように四角錐形のテーパ状に形成されている。 【0032】 収容部21は、下側に向かって四角錐形のテーパ状に形成されたくぼみを複数有する矩形状の板材上に、くぼみをそれぞれ取り囲むように長尺状の薄板を縦横に配置して接着することによって形成される。つまり、薄板によってそれぞれ仕切られた一つの区画が収容部21となる。 【0033】 各収容部21を構成する4辺の側壁21bの上端部には、ねじりコイルバネ23を介して平板22の基端部が取り付けられている。平板22は、側壁21bと同じ長さの斜辺を有する直角三角形状の薄板であり、先端部22aが円筒状の容器の外周面に沿いやすくなるように、円弧状に切り欠かれている。平板22は、先端部22aを収容部21の中心に向けた状態で、かつ、側壁21bと略直角となるように、ねじりコイルバネ23を介して取り付けられている。 【0034】 インジェクタ移動装置10は、インジェクタ1をX−Y−Zの三軸方向へ移動させることが可能な公知の移動手段である。インジェクタ移動装置10は制御装置30に接続されており、制御装置30により自動制御される。インジェクタ移動装置10は、トレー20の各収容部21の中心に移動するように、制御装置30にあらかじめその移動量が設定されている。また、制御装置30には、多数の薬液情報が記憶された薬液情報データベースが備えられている。 【0035】 次に、本実施の形態における薬液調合装置を用いて薬液を調合する手順について図を参照して説明する。図7は、本実施の形態における薬液調合装置で薬液が調合される様子を示す図である。 【0036】 まず、作業者は、薬液容器が陳列された薬液棚から調合に必要とする複数種類の薬液容器を選び、トレーのそれぞれ所定の位置に並べる。また、同時に、これらの薬液を調合するための容器である調合容器Bもトレー20に配置する。薬液容器や調合容器Bをトレー20の収容部21に載置すると、それぞれの容器の大きさに応じて、容器の底面が収容部21底壁21aに当接し、また、同時に平板22の先端部22aが容器の外周面を押圧するので、それぞれの容器は、精度よく収容部21の中心位置に配置されるとともに、収容部21にしっかりと保持される。 【0037】 薬液容器および調合容器Bの配置が終わると、インジェクタ移動装置10は、制御装置30にあらかじめ設定された移動量だけX−Y平面内を移動し、薬液容器Aが収容された収容部21の中心位置上方へとインジェクタ1を移動させる。このとき、シリンダ2の先端部にある薬針2aは薬液容器Aの上部開口に位置した状態となる。ここで、ダクト6に設けられた無線ICタグリーダ9が、薬液容器Aに付されたICタグを読み取る。制御装置30には、あらかじめ収容部21に収容される薬液容器が設定されているため、収容部21に収容されている薬液容器が指定された薬液容器Aでない場合は、図示しない公知の警報手段などにより警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりして、薬液容器が誤って配置されていることを報知する。 【0038】 トレー20の収容部21に指定された薬液容器Aが収容されている場合には、インジェクタ移動装置10はインジェクタ1をZ方向最下位まで下げることによって、薬液容器Aの上部開口から薬針2aを挿入し、その先端を薬液容器A内に貯留された薬液内に進入させる。ここで、シリンダ2内のピストン3は、あらかじめe軸の最下位まで下げられているので、駆動モータ5が制御装置30に設定された所定量だけ作動し、ボールネジ4を回転させてピストン3をe軸上方に後退させると、シリンダ2内には、調合に必要な微量の薬液が吸い込まれる。薬液の吸い込みが終わると、インジェクタ移動装置10は、インジェクタ1をZ方向最上位まで上げて、薬針2aを薬液容器Aの上部開口から引き出す。 【0039】 次に、インジェクタ移動装置10は、制御装置30にあらかじめ設定された移動量だけX−Y平面内を移動し、調合容器Bが収容された収容部21の中心位置上方へとインジェクタ1を移動させる。そして、インジェクタ移動装置10はインジェクタ1をZ方向最下位まで下げ、調合容器Bの上部開口から薬針2aを挿入する。そして、駆動モータ5が作動し、ボールネジ4を回転させてピストン3がe軸方向下方に前進することにより、シリンダ2から調合容器Bに、吸い込んだ微量の薬液が吐き出される。薬液の吐き出しが終わると、インジェクタ移動装置10は、インジェクタ1をZ方向最上位まで上げて、薬針2aを調合容器Bの上部開口から引き出す。このような作業を複数回繰り返すことによって、患者の処方箋に応じた薬液が複数の薬液から自動的に調合される。このように、患者ごとの処方箋に応じた1回の薬液調合作業が終われば、使用されたシリンダ2はインジェクタ1から取り外されて廃棄され、新しいシリンダ2に交換される。 【0040】 上記のような薬液の調合作業の間、ダクト6内の軸流ファン7は駆動し続けており、ダクト6内には、上述した旋回流を伴う上昇気流が発生している。薬液の調合作業中は、ピストン3を前進させたり後進させたりするために、駆動モータ5を駆動させてボールネジ4を繰り返し回転させている。よって、ダクト6内にはボールネジ4から発生する鋼球4cの摩耗粉、および飛沫した潤滑油などの汚染物質が発生しやすい状況となるが、ダクト6内には旋回流を伴う上昇気流が発生しているために、このような汚染物質は、ダクト6の上部へと吸い上げられる。従って、シリンダ2内に汚染物質が落下することはなく、また、ダクト6の先端部6bとシリンダ2との間にある隙間から落下して、薬液容器Aや調合容器Bの中に混入することがない。よって、調合される薬液が汚染されることがなく、薬液を投与される患者に対して安全な薬液を提供することができる。 【0041】 なお、本実施の形態においては、薬液容器に無線ICタグが設けられ、この無線ICタグに記憶された薬液情報を読み取るために、インジェクタ1のダクト6に無線ICタグリーダ9を設ける構成としたが、これに限らず、例えば、薬液容器に二次元バーコードが設けられていれば、読取手段をバーコードリーダにするなど、従来公知のものを用いてもよい。 【産業上の利用可能性】 【0042】 本発明のインジェクタによれば、薬液を吸い込んだり吐き出したりするシリンダ内に汚染物質が落下することを防ぐことができるので、薬液への汚染物質の混入が防止されたインジェクタとして有用である。 【図面の簡単な説明】 【0043】 【図1】本実施の形態における薬液調合装置の構成を示す概略図である。 【図2】本実施の形態におけるインジェクタの断面図である。 【図3】図2のA−A線断面図である。 【図4】図3のB−B線断面図である。 【図5】ダクトの先端部を示す図であり、(a)は図2のC−C線断面図、(b)は同図(a)のD−D線断面図である。 【図6】本実施の形態におけるトレーを示す図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。 【図7】本実施の形態における薬液調合装置で薬液が調合される様子を示す図である。 【符号の説明】 【0044】 1 インジェクタ 2 シリンダ 2a 薬針 2b 開口 3 ピストン 3a 拡径部 4 ボールネジ 4a ネジ軸 4b ナット 4c 鋼球 4d 穴 5 駆動モータ 6 ダクト 6a,6c 穴 6b 先端部 7 軸流ファン 7a 軸部 8 ファン駆動モータ 9 無線ICタグリーダ 10 インジェクタ移動装置 11 インジェクタ本体 20 トレー 21 収容部 21a 底壁 21b 側壁 22 平板 22a 先端部 23 ねじりコイルバネ 30 制御装置 A 薬液容器 B 調合容器
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| 【出願人】 |
【識別番号】398054340 【氏名又は名称】株式会社日本コンピュータ・アソシエーツ
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| 【出願日】 |
平成17年6月10日(2005.6.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099508 【弁理士】 【氏名又は名称】加藤 久
【識別番号】100116296 【弁理士】 【氏名又は名称】堀田 幹生
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| 【公開番号】 |
特開2006−340999(P2006−340999A) |
| 【公開日】 |
平成18年12月21日(2006.12.21) |
| 【出願番号】 |
特願2005−171304(P2005−171304) |
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