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【発明の名称】 錠剤計数監査装置
【発明者】 【氏名】大村 義人
【住所又は居所】東京都大田区東糀谷3丁目13番7号 株式会社トーショー内

【要約】 【課題】包み11の端部の検出確度向上のため、分包紙10にマークが無くても撮像データ50中に包み端部の像が明瞭に発現するよう錠剤計数監査装置を改良する。

【解決手段】照明装置42および撮像装置41を移送機構31,33の移送路上の撮像範囲40の両側に離して対向配置し、照明装置42に散乱性の面照明部43を具備させ、撮像範囲40に何も置かないで撮った撮像データ50において面照明部から区別可能な背景像を生じる背景像形成手段45を設け、画像処理手段20にて撮像データ50から剤像領域52を抽出する際、包み11のヒートシール部14に発現する背景像形成手段45の透視像51に基づいて剤像領域52を画定させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシールにて形成された包みを連ねた分包紙を順送りする移送機構と、その移送路上の撮像範囲の両側に離れて対向配置された照明装置および撮像装置を有しその撮像装置にて前記包みを撮って撮像データを得る撮像機構と、その撮像データから剤像領域を抽出してその中の剤像を計数することにより前記包みの中の剤数を自動確認する画像処理手段とを備えた錠剤計数監査装置において、前記照明装置が散乱性の面照明部を具備したものであり、前記撮像範囲に何も置かないで撮った前記撮像装置のデータにおいて前記面照明部から区別可能な背景像を生じる背景像形成手段が設けられ、前記画像処理手段が前記包みのヒートシール部に発現する前記背景像形成手段の透視像に基づいて前記剤像領域を画定するようになっていることを特徴とする錠剤計数監査装置。
【請求項2】
前記背景像形成手段が、前記面照明部の一部を覆う遮光部材であることを特徴とする請求項1記載の錠剤計数監査装置。
【請求項3】
前記背景像形成手段が、前記移送路と前記照明装置との間に置かれた部材であることを特徴とする請求項1記載の錠剤計数監査装置。
【請求項4】
前記背景像形成手段が、前記面照明部の外縁部材であることを特徴とする請求項1記載の錠剤計数監査装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、分包された錠剤を包みから出すことなく撮像して数え上げる錠剤計数監査装置に関し、詳しくは、包みの連なった帯状の分包紙を移送して連続処理する錠剤計数監査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処方箋情報等に基づいて錠剤を次々と分包紙に投入すると共にヒートシールにて区分封止することにより錠剤の包み(分包体)を連続形成する錠剤分包機に隣接して設置され、その調剤済み分包紙(分包帯)を受け取って順送りしながら各々の包みを撮像装置にて撮像してその中の剤数を自動確認する錠剤計数監査装置が知られている(例えば特許文献1参照)。包みの中の剤数を自動計測するとともに、その計数結果を処方箋情報等と突き合わせて過不足の有無など正否を自動判別するのである。
【0003】
このような自動錠剤計数では、判別能力向上のため、撮像に先だって包みを破ることなく包中の錠剤収容状態を分別可能な散開状態にする散開機構を改良したり(例えば特許文献2参照)、移送能力向上のため、撮像データからミシン目を抽出して移送機構に分包紙の捻れを解消させる改良が案出されている(例えば特許文献3図4参照)。
また、明瞭な撮像データを得るため、移送機構の分包紙移送路上の撮像範囲を照らす照明装置も設けられているが、これには、撮像装置と照明装置を移送路の同じ側に配置したものと(例えば特許文献1,3参照)、撮像装置と照明装置を移送路上の撮像範囲の両側に離して対向配置したものがある(例えば特許文献2参照)。
【0004】
いずれにしても、撮像範囲に来た包みの中の剤数をその包みの撮像データに基づいて自動確認する画像処理手段は、撮像範囲を撮った撮像データからそれより狭い剤像領域を抽出し、それから、その剤像領域中の剤像を計数するようになっている(例えば、特許文献1図7S2,特許文献3図5(d)参照)。
そして、その計数値が処方剤数に等しいときには、該当する包みが正しく分包されたものとされ、次々に処理がなされる。一方、処方剤数と計数結果とが異なるときには、動作モード設定にも依るが、ディスプレイ等に画像表示を行うとともに、監査作業者にアラームを発して表示画像の目視確認を促すようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−206855号公報 (第1頁,図7)
【特許文献2】特開2004−238066号公報 (第1頁)
【特許文献3】特願2004−255100号 (図1,図4,図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、撮像データから剤像領域を抽出するには、その領域を画定することが必要であり、その画定には撮像データ中で包みの端部を検出することが重要である。
上述した従来の錠剤計数監査装置では、包み端部の検出が、錠剤分包機で予め包み端部にラインがマーキングされている場合にはそのマーキングラインを検出することで遂行され、そのようなマーキングラインの無い場合には包みの区切りをなすミシン目の像を検出すること等で行われている。
【0007】
しかしながら、マーク検出は、マーキング機能付き錠剤分包機での錠剤分包が前提であるため、使用が限定される。また、ミシン目検出は、ミシン目が小さいうえ変形したり潰れたりしやすく、その像が明瞭でないため、確度・精度の向上が難しい。さらに、ミシン目の近傍のヒートシール部はミシン目と平行になっている包み端部であるが、その色や濃淡は非シール部のそれと大差ないので、ヒートシールにて生じた色や濃淡等の異なる領域境界を検出するのも、難しい。
そこで、分包紙にマークが無くても撮像データ中に包み端部の像が明瞭に発現するよう錠剤計数監査装置の撮像機構等を改良することが技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の錠剤計数監査装置は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、ヒートシールにて形成された包みを連ねた分包紙を順送りする移送機構と、その移送路上の撮像範囲の両側に離れて対向配置された照明装置および撮像装置を有しその撮像装置にて前記包みを撮って撮像データを得る撮像機構と、その撮像データから剤像領域を抽出してその中の剤像を計数することにより前記包みの中の剤数を自動確認する画像処理手段とを備えた錠剤計数監査装置において、前記照明装置が散乱性の面照明部を具備したものであり、前記撮像範囲に何も置かないで撮った前記撮像装置のデータにおいて前記面照明部から区別可能な背景像を生じる背景像形成手段が設けられ、前記画像処理手段が前記包みのヒートシール部に発現する前記背景像形成手段の透視像に基づいて前記剤像領域を画定するようになっていることを特徴とする。
ここで、上記の「散乱性」は、撮像範囲の照度をほぼ一様にする程度に光散乱の機能が発揮されれば良い、という意味である。
【0009】
また、本発明の錠剤計数監査装置は(解決手段2)、上記解決手段1の錠剤計数監査装置であって、前記背景像形成手段が、前記面照明部の一部を覆う遮光部材であることを特徴とする。
さらに、本発明の錠剤計数監査装置は(解決手段3)、上記解決手段1の錠剤計数監査装置であって、前記背景像形成手段が、前記移送路と前記照明装置との間に置かれた部材であることを特徴とする。
また、本発明の錠剤計数監査装置は(解決手段4)、上記解決手段1の錠剤計数監査装置であって、前記背景像形成手段が、前記面照明部の外縁部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このような本発明の錠剤計数監査装置にあっては(解決手段1)、光を散乱する性質を付与した分包紙が用いられる。現在多用されている分包紙は、下地・基層が透明であるが、片面がマットと呼ばれる光散乱面になっていて、すりガラスのように白く見える。このような光散乱性の分包紙の包みを裏側から照明して表側から撮ることにより、包中の錠剤の色や刻印などの影響を排した陰画像が得られる。もっとも、分包紙のうち錠剤収容部分などの非シール部は磨りガラス状のままであるが、分包紙のうちヒートシール部は、包み形成時の熱融圧着によって光散乱性を喪失し、透明ガラスのようになっている。本発明は、ヒートシール部と非シール部とにおける透光時の散乱性の相違に基づいて、照明側の背景像を包み端部にだけハッキリ浮かび上がらそうとするものである。
【0011】
そのため、撮像範囲の両側に対向配置される照明装置および撮像装置を何れも撮像範囲から離しておくとともに、照明装置の面照明部には光散乱性を持たせておく。この面照明の散乱性と撮像範囲からの離隔距離とは、照明装置の光散乱性と分包紙の光散乱性とが相まって、撮像範囲に包み形成前の分包紙を置いて撮ったときに陰の無い撮像データが得られるように、設計され設定される。また、撮像範囲に何も置かないで撮った撮像装置のデータにおいて面照明部から区別可能な背景像を生じる背景像形成手段が設けられるが、その背景像形成手段や撮像装置の撮像範囲からの離隔距離は、包みを撮ったとき包中の錠剤の陰画像が最も明瞭に得られるとともに、撮像範囲に何も置かないで撮ったときに背景像形成手段の背景像が多少ぼけても識別容易な塊の像になるよう、設計され設定される。
【0012】
そのような状況下で分包紙の包みを撮った撮像データ中では、背景像形成手段の背景像が、錠剤を収容する包み中央部の非シール部の剤像領域には発現しないのに対し、包み端部のヒートシール部の画像領域には透視像となって明瞭に発現する。
そして、そのような透視像に基づいて撮像データ中で包みの端部を検出することにより、剤像領域画定の確度・精度が向上する。
したがって、この発明によれば、分包紙にマークが無くても撮像データ中に包み端部の像が明瞭に発現するような錠剤計数監査装置を実現することができる。
【0013】
また、本発明の錠剤計数監査装置にあっては(解決手段2)、面照明部の一部を覆う遮光部材にて背景像形成手段を具現化したことにより、既存装置の撮像機構における照明装置の改造をテープ状遮光部材の貼付などで簡便に行うことができる。
【0014】
さらに、本発明の錠剤計数監査装置にあっては(解決手段3)、移送路と照明装置との間の部材にて背景像形成手段を具現化したことにより、既存装置の撮像機構への背景像形成手段の追加を棒状部材の架設などで簡便に行うことができる。例えば、背景像形成手段を面照明部のところに設けたのでは背景像形成手段の透視像が明瞭にならないが、面照明部から離すと背景像形成手段の透視像が明瞭になるようなとき等に、有用である。
【0015】
また、本発明の錠剤計数監査装置にあっては(解決手段4)、面照明部の外縁部材にて背景像形成手段を具現化したことにより、一体化によるコンパクト実装が叶うとともに、照明光の無駄が少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
このような本発明の錠剤計数監査装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1〜3により説明する。
図1〜2に示した実施例1は、上述した解決手段1〜2(出願当初の請求項1〜2)を具現化したものであり、図3に示した実施例2は、上述した解決手段3(出願当初の請求項3)を具現化したものであり、図4に示した実施例3は、上述した解決手段4(出願当初の請求項4)を具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、フレーム等の支持部材,ボルト等の締結具,ヒンジ等の連結具,電動モータ等の駆動源,カム等の伝動部材,モータドライバ等の電気回路,コントローラ等の電子回路の細部などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
【実施例1】
【0017】
本発明の錠剤計数監査装置の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、(a)が全体の正面図、(b)が主要な内装部材である移送散開撮像機構30の正面図、(c)が撮像機構40〜45の斜視図、(d)が照明装置42の平面図、(e)が分包紙をセットしない空時の撮像データ50、(f)が包み11の底面図、(g)が包み11の平面図、(h)が分包紙10をセットしたときの撮像データ50である。また、図2(a)は、多数の包み11を区画列設した分包紙10の外観図である。
【0018】
この錠剤計数監査装置は、分包紙10の長手方向に連なって区画形成された各々の包み11(分包体)を対象として計数監査を行うためのものであり(図2(a)参照)、大別して(図1(a)参照)、分包紙10を引き込んで包み11を撮像するための散開撮像機構30と、その動作制御に加えて包中剤数の自動確認を行うための電子回路部(20〜22)とを具えている。
【0019】
図示の場合(図1(a),(b)参照)、散開撮像機構30は、筐体内に格納されていて、分包紙10を左側面の開口から引き込んで右側面の開口から排出するようになっている。また、電子回路部(20〜22)には(図1(a)参照)、パーソナルコンピュータ等のプログラマブルな演算制御装置が採用され、その本体部であるメインコントローラ20や、キーボード等の操作部21、ディスプレイ等の表示部22などが、使い易いよう筐体上に載置されている。図示は割愛したが、筐体の一部たとえば上段部分を電装部に割り当てて、そこに電子回路部(20〜22)を電源ユニット等と共に格納しても良い(例えば特許文献3参照)。
【0020】
なお、包み11は(図1(f),(g),図2(a)参照)、ミシン目等の区切り12で前後(図では左右)の隣接包み11と仕切られており、区切り12の近傍の二辺(すなわち包み11の両端部)ともう一辺とがヒートシールされ、残りの一辺が折り曲げられている。その二つ折りで重なるように向かい合っても融着してはいない非シール部13は、磨りガラス状のままで、光りを通すが、散乱するので透けては見えない。これに対し、二つ折りされて重なった二枚が加圧加熱されて融着したヒートシール部14は、透明ガラスのように透けて背景が見えるようになっている。錠剤9は、ヒートシール部14には収容されず、ヒートシール部14で囲まれた非シール部13の中に収容されている。また、多くの場合、分包紙10の下面側には(図1(f)参照)、光の透過率に大きな影響を及ぼさない程度に予め印刷下地部15が印刷されており、更に処方箋情報から得られた剤数が分包時に上書き印刷される。
【0021】
移送散開撮像機構30について詳述すると、これは(図1(b)参照)、移送機構の前段部をなす移送ローラ31と、印刷情報読取部35〜36と、散開機構32と、撮像機構40〜45と、移送機構の後段部をなす移送ローラ33と、マーカー34とを具えており、これらは、左右の開口に亘って水平に延びている分包紙移送路に臨んで上流から下流へ(図では左から右へ)その順序で配置されている。なお、それらは図示しない適宜な支柱や枠板等で所定位置に支持されている(特許文献3参照)。
【0022】
移送機構31+33は、図示しないモータや駆動機構にて移送ローラ31,33をそれぞれ軸回転させることにより、分包紙10をローラ対に挟んで移送するようになっている。移送ローラ31,33は、何れも、分包紙10の厚み変化の影響を受けないよう、変形しやすいスポンジ等でできている(特許文献2,3参照)。
分包紙移送路のうち移送ローラ31と散開機構32との間で印刷情報読取部35〜36の臨むところは文字読取ステージになっており、分包紙10の印刷下地部15に既定フォントのOCR(光学式文字読取)文字などで印刷されている処方剤数などの情報をOCR35で読み取るようになっている(特許文献3参照)。
【0023】
散開機構32は、包み11に機械的作用を加えてその中の錠剤9を散開させる即ち錠剤9の積重や凝集を解消するようになっていれば、図示のようにブラシ群を運動させるものでも良く(例えば特許文献3参照)、図示は割愛したがクランプ機構と加振機構とを組み合わせたものでも良い(例えば特許文献2参照)。
分包紙移送路のうち散開機構32と移送ローラ33との間で撮像機構40〜45の臨むところは剤像計数のための撮像ステージになっており、その撮像ステージにおける撮像範囲40を照明装置42で照らしながら撮像装置41で撮るようになっている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0024】
撮像範囲40は(図1(b),(c)参照)、照明光を通過させるために、開口が形成されている。開口には透明部材を填め込んでも良い(例えば特許文献2参照)。CCDカメラ等の撮像装置41とハロゲンランプ等の照明装置42は、撮像範囲40から離れて撮像範囲40の両側に配置され、例えば撮像装置41は上方に照明装置42は下方に配されて、何れも撮像方向・照明方向を撮像範囲40に向けている(例えば特許文献2参照)。
以上は従来と同様でも良いが(例えば特許文献1〜3参照)、照明装置42の面照明部43が明示的に散乱性を具備している点と、その面照明部43のところに背景像形成手段45が設けられている点で、撮像機構40〜45は従来の撮像機構と異なる。
【0025】
照明装置42の面照明部43は(図1(b)〜(d)参照)、ハロゲンランプ等の光源だけでは点照明になって撮像範囲40に照度ムラが生じるので、それを防止する等のために、例えば点光源に拡散板を前置して光拡散性を付与している。その拡散性の程度は、面照明部43のどの点から発した散乱光も撮像範囲40の全域をカバーするようになっているのが望ましい(図1(b)の一点鎖線を参照)。包み11が分包紙10を区切った矩形なので、撮像範囲40も背景範囲44も面照明部43も矩形になっている。面照明部43のサイズは、この例では従来のそれを踏襲していて、撮像範囲40を射影した背景範囲44よりも一回り大きい(図1(c),(d)参照)。
【0026】
背景像形成手段45は、面照明部43上に付設されてその一部を覆う遮光部材であり、例えば黒塗りツヤ消しのプラスチックテープやステンレスベルトを接着剤で貼り付けたり両端ねじ止めで固定するといったことで具現されて(図1(c),(d)参照)、撮像範囲40に何も置かない状態で撮像範囲40ひいては背景範囲44を撮像装置41にて撮った撮像データ50において面照明部43から区別可能な背景像を生じるものとなっている(図1(e)参照)。背景像形成手段45は、包み11の両端部検出に貢献するため面照明部43の一辺に沿って分包紙移送方向に延びており、その幅は、背景像をハッキリさせる観点からは広い方が良いが、面照明部43の光量低下を少なくする観点からは狭い方が良いので、背景像が明確に発現する最小幅から僅かに広くなっている。
【0027】
撮像データ50に背景像形成手段45の背景像を発現させるには、撮像装置41と撮像範囲40との距離L1と、面照明部43及び背景像形成手段45と撮像範囲40との距離L2も、適切に設定されていることが必要である(図1(b),(c)参照)。
これらの距離L1,L2は撮像装置41に焦点深度の深いものを採択すると設計が容易になるが、具体的には、先ず、距離L1が撮像装置41の焦点距離にされる。すなわち、包み11を撮ったとき包中の錠剤9の陰画像が最も明瞭に得られよう、撮像装置41の焦点が撮像範囲40に合わせられる。
【0028】
また、その設定状態で更に撮像範囲40には何も置かない状態で撮ったとき撮像データ50における背景像形成手段45の背景像が多少はぼやけたとしても識別容易な塊の像になるよう(図1(e)参照)、背景像形成手段45に係る距離L2が決められる。この例では(図1(b),(c)参照)、距離L2が面照明部43に係るものともなっており、その光散乱性等に起因する制約も受けるので、上述したように面照明部43のどの点から発した散乱光も撮像範囲40の全域をカバーするよう距離L2が決められるとともに、撮像範囲40に包み11形成前の分包紙10を置いて撮像装置41で撮ったときに陰の無い撮像データが得られるようにも距離L2が決められる。
【0029】
このような設計条件を満たした撮像機構40〜45は、錠剤9を収容した包み11(図1(f),(g)参照)が撮像範囲40に移送されて来たとき、その包み11を下から照明装置42で照らしながら(図1(f)参照)、上から撮像装置41で撮ると(図1(g)参照)、その撮像データ50において(図1(h)参照)、磨りガラス状態を維持している非シール部13や印刷下地部15に該当する画像領域に、錠剤9の陰画像である剤像53は明瞭に発現させるが背景像形成手段45の背景像は発現させないものとなっている。また、透明ガラス状態になったヒートシール部14であって印刷下地部15を外れた部分に該当する画像領域には、背景像形成手段45の透視像51(背景像を透視した部分画像)を発現させるものとなっている。
【0030】
次に、電子回路部およびそれで制御される駆動部について詳述する(図1(a)参照)。コントローラ20は上述したようにマイクロプロセッサシステム等からなり、これには、上述した操作部21や表示部22の他、OCR35や照明装置36も信号ケーブル等にて接続されていて、コントローラ20は、照明や読取のタイミングを制御するとともに、分包紙10から読み取った処方剤数などの印刷情報を入力するようになっている。また、撮像装置41や面照明部43も信号ケーブル等にてコントローラ20に接続されており、コントローラ20は、照明や撮像のタイミングを制御するとともに、撮像データ50を取り込むようになっている。分包紙10に不良印等を書くマーカー34もコントローラ20に接続されその制御下にある。
【0031】
さらに、コントローラ20には、各種センサの検出結果たとえば包み11の有無情報等を入力するセンサ入力回路や、移送ローラ31,33を回転させる移送モータの制御駆動回路、散開機構32に設けられたブラシ群を散開運動させる散開モータの制御駆動回路などが、付設されている。
コントローラ20には、撮像装置41から取り込んだ撮像データ50を一時記憶しておくために画像メモリが設けられ、それと上述したような周辺回路等を用いて錠剤計数監査処理を遂行するために、移送制御や,散開制御,文字読取制御,撮像制御などを行うプログラムがインストールされている(特許文献1〜3参照)。
【0032】
また、コントローラ20は、画像処理手段としての演算も行うものであり、包み11の撮像データ50から剤像領域52を抽出して(図1(h)参照)その中の剤像53を計数することにより包み11の中の剤数を自動確認するようになっている点は従来同様であるが(例えば特許文献1〜3参照)、剤像領域52の画定手法が改造されて従来と異なっている。すなわち、包み11の撮像データ50においてヒートシール部14の画像領域に発現する背景像形成手段45の透視像51を検出し、これに基づいて剤像領域52を画定するようになっている。その具体的な手順等は次の動作説明で詳述する。
【0033】
この実施例1の錠剤計数監査装置について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図2(a)は、多数の包み11を区画列設した分包紙10の外観図、図1(f)は包み11の底面図、図1(g)は包み11の平面図、図2(b)〜(h)は、分包紙移送時の撮像データ50であり、時系列になっている。
【0034】
計数監査対象の分包紙10は(図2(a)参照)、包み11の連なりであり、それぞれの包み11は区切り12で仕切られ一個以上の錠剤9を収容している。包み11の典型的なサイズは(図1(f),(g)参照)、幅(図では上下)が約70mmで、長さ(図では左右)が約80mmである。端部の幅(図では左右に隣接する包み11の間)は、約10mmであり、そこには区切り12をなす直線状・破線状のミシン目が形成され、区切り12の両側にヒートシール部14が並走している。錠剤9の典型例は、直径数mmの玉剤や、それより長いカプセル剤などであり、それらが混在することも多い。
【0035】
このような分包紙10は、散開撮像機構30にセットされると、移送機構31+33によって包み11単位で間欠移送され、その度に、上流の読取段では印刷情報読取部35〜36によって処方剤数等の読取が行われ、中間の散開段では散開機構32によって包中の錠剤9に散開処理が施され、下流の撮像段では撮像機構40〜45によって包み11の撮像が行われる。電子回路部では、それらの動作制御がプログラムに従って行われるとともに、メインコントローラ20によって計数処理等が行われる。分包紙10の移送や,処方剤数の読取,錠剤9の散開などは従来と同様なので詳細な説明は割愛して(特許文献1〜3参照)、以下、撮像範囲40によって撮った包み11の撮像データ50とコントローラ20による剤像領域52の画定とを詳述する。
【0036】
撮像範囲40に分包紙10がセットされていないと(図2(b)参照)背景像形成手段45の背景像が欠けることなく撮像データ50の一辺(図では下辺)寄りに発現するので、コントローラ20の画像処理プログラムは、その背景像の両端部に割り振った監視領域54を撮像データ50取込の度にチェックして、そこに透視像51の特定パターンが現われるのを待つ。すなわち、撮像範囲40に分包紙10がセットされていない状態では(図2(b)参照)、監視領域54が全域に亘って背景像形成手段45の背景像で占められるので、剤像領域52は画定されない。
【0037】
また、分包紙10がセットされても、移送の途中であるため透視像51が監視領域54から外れているようなときにも(図2(c)参照)、剤像領域52は画定されない。そして、計数対象の包み11の両端のヒートシール部14の透視像51に両隣の包み11のヒートシール部14の透視像51を加えた四個の透視像51が二個ずつ分かれて監視領域54に収まったとき(図2(d)参照)、剤像領域52の画定が試みられる。もっとも、移送開始直後の空送り状態では剤像53が全くないので、剤像領域52の画定はパスされ行われない。
【0038】
更なる移送に伴って、透視像51ばかりか剤像53も含んだ撮像データ50が得られ(図2(e)参照)、その剤像53が撮像データ50の中央に寄って来るが(図2(f)参照)、透視像51の上述パターンが現われるまでは、やはり剤像領域52が画定されない。そして、そのパターンが発現すると、即ち左右の監視領域54に二個ずつ透視像51が収まると(図2(g)参照)、内側の透視像51に挟まれた矩形領域が剤像領域52として画定される。
【0039】
こうして、錠剤9の画像である剤像53を確実に含む剤像領域52が切り出され、それにノイズ除去処理や剤像分割処理などが施され、さらにパターンマッチングや特徴抽出などの画像処理・演算によって剤像領域52から剤像53の塊数が数え上げられ、それが包み11の中の剤数とされる。
それから、その計数結果の正否が判定され、その判定結果や操作部21での指示事項などが表示部22に表示される。
【0040】
なお、ここでは、透視像51に基づいて包み11の両端部を検出したら直ちに剤像領域52を画定したが、端部検出後にそこのミシン目(12)を検出し、その傾きに応じて剤像領域52を調整したり分包紙10の移送方向を変えるようにしても良い(例えば特許文献3参照)。ミシン目の在るべき画像領域が判明しているので、例えばミシン目(12)の明度と印刷下地部(15)の明度との中間の閾値を用いて該当領域の二値化を遣り直す等のことで、ミシン目検出の確度・精度も向上させることができる。
【実施例2】
【0041】
本発明の錠剤計数監査装置の実施例2について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図3は、(a)が撮像機構40〜45の正面図、(b)が撮像機構40〜45の斜視図、(c)が照明装置42の平面図、(d)が空時の撮像データ50、(e)が分包紙10セット時の撮像データ50である。
【0042】
この錠剤計数監査装置が上述した実施例1のものと相違するのは、背景像形成手段45が分包紙移送路上の撮像範囲40と照明装置42の面照明部43との間に置かれている点である(図3(a)〜(c)参照)。
背景像形成手段45は、照明装置42から離れているので、黒塗りツヤ消しの棒状部材が使い易く、例えば両端の支承や掛け止め等にて架設される。それに伴い、背景像形成手段45と撮像範囲40との距離L2は、面照明部43と撮像範囲40との距離L3より短くなっている。
【0043】
これらの距離L2,L3が、距離L1と共に、撮像データ50に背景像形成手段45の背景像を明瞭に発現させるよう、設計され設定される。具体的には、上例に準じて、距離L1が撮像装置41の焦点距離に採られ、背景像形成手段45に係る距離L2が、撮像データ50における背景像形成手段45の背景像が多少はぼやけたとしても識別容易な塊の像になるよう決められ(図3(d)参照)、面照明部43に係る距離L3が、面照明部43のどの点から発した散乱光も撮像範囲40の全域をカバーするよう、且つ、ヒートシール前の分包紙10を撮ったときに陰の無い撮像データが得られるよう、決められる。
【0044】
この場合は、距離L2を短くすることで容易に背景像形成手段45の背景像を明瞭化できるが、距離L2が短すぎると距離L3の調整が困難になるので、妥協を要する。
このような設計条件を撮像機構40〜45に課すことにより、この場合も、錠剤9を収容して撮像範囲40に移送されて来た包み11を撮像装置41で撮ると、上例のときと同様の撮像データ50が得られる(図3(e)参照)。そして、その撮像データ50では包み11端部のヒートシール部14に明瞭な透視像51が発現するため、分包紙10にマークが無くても剤像領域52を的確に画定することができる。
【実施例3】
【0045】
本発明の錠剤計数監査装置の実施例3について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図4は、(a)が照明装置42の平面図、(b)が空時の撮像データ50、(c)が分包紙10セット時の撮像データ50である。
【0046】
この錠剤計数監査装置が上述した実施例1のものと相違するのは、背景像形成手段45が面照明部43の外縁部材を兼ねている点である。
この場合(図4(a)参照)、面照明部43の一辺部(図では下辺部)が背景範囲44よりも狭められるとともに、そこを確実に占めるよう背景像形成手段45兼用の外縁部材が広げられている。面照明部43の外縁部材に対する黒塗りツヤ消し処理は、全体に施しても良く、背景像形成手段45兼用部分にだけ施しても良い。
【0047】
この場合も、面照明部43の光拡散性や距離L1,L2等に課される上述の設計条件が満たされることにより、撮像範囲40に何も置かないで撮った撮像データ50には面照明部43から区別可能な背景像形成手段45の背景像が発現し(図4(b)参照)、錠剤9を収容して撮像範囲40に移送されて来た包み11を撮った撮像データ50には剤像53に加えて包み11端部のヒートシール部14からの透視像51も発現するので(図4(c)参照)、分包紙10にマークが無くても剤像領域52の画定が的確に行える。
【0048】
[その他]
なお、上記の各実施例では、左が上流で右が下流の場合を図示したが、包み11の流れ即ち分包紙移送路は、これに限られるものでなく、散開が撮像より先に行えるようになってさえいれば、右を上流にし左を下流にしても良く、Uターンするようにしても良い。
また、背景像形成手段45は、撮像データ50に明瞭な背景像を発現させることができれば良いので、上述した黒塗りツヤ消し品に限らず、例えば撮像装置41が赤外線カメラの場合、赤外光吸収性のものであれば足り、可視光領域では着色されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例1について、錠剤計数監査装置の構造を示し、(a)が全体の正面図、(b)が主要な内装部材の正面図、(c)が撮像機構の斜視図、(d)が照明装置の平面図、(e)が空時の撮像データ、(f)が包みの底面図、(g)が包みの平面図、(h)が分包紙セット時の撮像データである。
【図2】その錠剤計数監査装置の動作を示し、(a)が多数の包みを区画列設した分包紙の外観図、(b)〜(h)が分包紙移送時の撮像データである。
【図3】本発明の実施例2について、錠剤計数監査装置の構造を示し、(a)が撮像機構の正面図、(b)が撮像機構の斜視図、(c)が照明装置の平面図、(d)が空時の撮像データ、(e)が分包紙セット時の撮像データである。
【図4】本発明の実施例3について、錠剤計数監査装置の構造を示し、(a)が照明装置の平面図、(b)が空時の撮像データ、(c)が分包紙セット時の撮像データである。
【符号の説明】
【0050】
9…錠剤、10…分包紙、11…包み(計数対象分包体)、
12…区切り(ミシン目)、13…非シール部(光散乱部)、
14…ヒートシール部(透視可能部)、15…印刷下地部、
20…コントローラ(制御部、画像処理部)、21…操作部、22…表示部、
30…移送散開撮像機構、31…移送ローラ、32…散開機構、33…移送ローラ、
34…マーカー、35…OCR(文字読取装置)、36…照明装置、
40…撮像範囲(撮像ステージ)、41…撮像装置、42…照明装置、
43…面照明部、44…背景範囲、45…背景像形成手段、
50…撮像データ、51…透視像、52…剤像領域、53…剤像、54…監視領域
【出願人】 【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
【住所又は居所】東京都大田区東糀谷3丁目13番7号
【出願日】 平成17年6月1日(2005.6.1)
【代理人】 【識別番号】100106345
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 香

【公開番号】 特開2006−334062(P2006−334062A)
【公開日】 平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願番号】 特願2005−161074(P2005−161074)