| 【発明の名称】 |
医療用複室容器 |
| 【発明者】 |
【氏名】▲濱▼崎 新
【氏名】山口 史郎
【氏名】加賀 順二
【氏名】庄司 英克
|
| 【要約】 |
【課題】本体容器内を容易に剥離開通可能な仕切り部で複数に仕切り、さらに仕切られた収容部内に小容器を収納した医療用複室容器において、本体容器側の収納部の開通と同時に小容器の開封が確実に行われるようにすることを課題とする。
【解決手段】複数の収納部9、11を有する容器本体5と、収納部11に接続された薬剤排出口7とを備えており、容器本体5を複数の収納部9、11に仕切るとともに収納部9、11内の圧力を高めることにより互いに開封連通される仕切り部13と、いずれかの収納部9、11内に仕切り部13の開封と共に開封される小容器15が設けられた医療用複室容器1であって、小容器15の容器本体5内面に対する接着部19が小容器15の弱シール部21より外縁の延出部23a、23bとされてなることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の収納部を有する容器本体と、前記収納部に接続された薬剤排出口とを備えており、前記容器本体を前記複数の収納部に仕切るとともに前記収納部内の圧力を高めることにより互いに開封連通される仕切り部と、前記いずれかの収納部内に前記仕切り部の開封連通と共に開封される小容器が設けられた医療用複室容器であって、前記小容器の前記容器本体内面に対する接着部が前記小容器の開封される縁より外側の延出部とされてなることを特徴とする医療用複室容器。 【請求項2】 前記小容器の前記容器本体内面に対する接着部が、前記容器本体の仕切り部に沿った近傍位置とされてなることを特徴とする請求項1記載の医療用複室容器。 【請求項3】 前記小容器の前記容器本体内面に対する接着部が、前記容器本体の仕切り部と重ねられた位置とされてなることを特徴とする請求項1記載の医療用複室容器。 【請求項4】 前記小容器の前記容器本体内面に対する接着部が、接着部の長さ方向に沿った連続線状とされた請求項1〜3のいずれかに記載の医療用複室容器。 【請求項5】 前記小容器の前記容器本体内面に対する接着部が、接着部の長さ方向に沿って断続状態に設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の医療用複室容器。 【請求項6】 前記容器本体がポリエチレンとポリプロピレンとの混合材料によるフィルムで形成され、前記仕切り部は、前記容器本体の両側のフィルム面を熱接着することにより形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の医療用複室容器。 【請求項7】 前記小容器が、多層フィルムの積層体より成るフィルムを重ね周囲を熱接着し、内部に薬剤を封入した密封体とさたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の医療用複室容器。 【請求項8】 前記小容器が、多層フィルムの積層体より成るフィルムを重ね周囲を熱接着し、内部に薬剤を封入した密封体とされたものであり、かつ少なくとも前記容器本体の仕切り部に沿う辺部分が弱シール部とされたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の医療用複室容器。 【請求項9】 前記小容器が、多層フィルムの積層体より成るフィルムの周囲を熱接着し、内部に薬剤を封入した密封体とされたものであり、かつ前記多層フィルムの層間剥離力が前記小容器の弱シール部の剥離力より同等以下とされ、前記多層フィルムの層間剥離によっても開封可能とされたものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の医療用複室容器。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、医療用複室容器、詳しくは同時に配合すると経時変化を起こすような不安定な各種薬剤(液剤、粉末若しくは固形剤)を個別に収納する複数の室を備え、各室間を仕切っている弱シール部を剥離開封することにより連通させて、各室内に収納されている薬剤を無菌状態で且つ異物を発生させることなしに混合できる医療用複室容器に関する。 【背景技術】 【0002】 静脈注射により患者に投与される薬剤の中には、予め配合すると望ましくない経時的変化を起こすような不安定な薬剤がある。例えばアミノ酸輸液とブドウ糖輸液を配合して保存しておくと、いわゆるメイラード反応によって混合液が褐変する。また、脂肪乳剤と電解質溶液とを配合して保存しておくと、脂肪分が凝集を生じ、リン酸含有液とカルシウム含有液を配合しておくと、リン酸カルシウムの沈殿を生じ、望ましくない変化を起こす。 【0003】 このような薬剤には、混合前の成分を個別に収納する医療用複室容器が用いられることが多い。この医療用複室容器は、個別に薬剤を収納する複数の収納部と、この収納部を仕切り、外部から圧力を加えることにより剥離し得る仕切り用弱シール部とを備えたものである(例えば特許文献1、特許文献2)。 【0004】 図9、図10はそのような従来の医療用複室容器の一例を示す説明図で、図9は平面図、図10は図9のX-X線矢視断面図である。 【0005】 医療用複室容器1は、周縁部3が接着され矩形状に形成された容器本体5の内部を、第1収納部9と第2収納部11とに仕切り部13で仕切ると共に、各収納部9、11には、予め混合或いは溶解しておくと望ましくない各種薬剤a,bをそれぞれ収納し、さらに各収納部9、11のいずれか、図示例では第1収納部9に小容器15を設け内部に薬剤cを収納しこの小容器15を、図10に断面を拡大して示すように容器本体5を構成するフィルム5a、5b内面に接着(図の符号19部分)して設けている。 【0006】 そして、容器本体5外部から力を加えて仕切り部13に圧力を与えて剥離力F、Fを与え、図11に示すように第1収納部9と第2収納部11とを開通させ薬剤aとbとを混合させた時、同時に小容器15の弱シール部分21も剥離させ、小容器15内の薬剤cをも各収納部9、11の薬剤a、bと混合するようにされている(特許文献2)。 【0007】 そして各収容部を開通後、混合された薬剤を患者に投与する際には、容器を図9に示す掛吊孔17で支柱等に吊り下げた後、容器の一端に設けられた薬剤排出口7のゴム栓に刺栓針を刺入しカテーテルの先端の注射針から患者に投与する。 【0008】 ところで、上記医療用複室容器1において、容器本体5と小容器15の接着部19の位置は図9に示したように、小容器15の弱シール部21部分か、図12に示すように小容器15の弱シール部21より小容器15の内側に入った部分とされていた(特許文献2)。 これは、図11の矢印F、Fで示した力により開かれるフィルム又はシート5a、5bに引かれて小容器15の弱シール部21が確実に剥離開通されるようにするためである。 【0009】 しかし、小容器15を本体容器5内部に熱接着する際、弱シール部21が熱影響を受け接着部19部分で弱シール部21が剥れにくくなり、第1収納部9と第2収納部11とが剥離開通したとき小容器15の弱シール部21が図13に示すように部分的にしか開通せず、薬剤cが速やかに流出しなくなる恐れがある。 【0010】 また、小容器15内に収納される薬剤が、熱の影響を受けやすいものである場合は図12に示したように小容器15の内側に接着部19を設けるといったことはことは出来ない。 【特許文献1】特開2002−136570号 【特許文献2】PCT国際公開公報 WO 03/092574 A1 第10頁第5行目〜第11頁第12行目の記載及びFig.1、Fig.2 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0011】 本発明は、前記従来技術の問題点を解消すべく、本体容器内に小容器を収納した医療用複室容器において、本体容器側の収納室の開通と同時に小容器の開封が確実に行われる医療用複室容器を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0012】 本発明の前記課題を解決する医療用複室容器は、複数の収納部を有する容器本体と、前記収納部に接続された薬剤排出口とを備えており、前記容器本体を前記複数の収納部に仕切るとともに前記収納部内の圧力を高めることにより互いに開封連通される仕切り部と、前記いずれかの収納部内に前記仕切り部の開封と共に開封される小容器が設けられた医療用複室容器であって、前記小容器の前記容器本体内面に対する接着部が前記小容器の弱シール部外縁の延出部とされてなることを特徴とするものである。 【0013】 上記において、小容器を容器本体内面に接着する位置は、容器本体の仕切り部に沿ったこの仕切り部近傍の位置とするほか、容器本体の仕切り部分に小容器の外縁延出部を重ねて接着する構成としてもよい。また、この接着部の形態は接着部の長さ方向に沿った連続線状とするほか、断続する鎖線、点線あるいは点状とすることもできる。 【0014】 前記容器本体は、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合材料によるフィルムで形成され、前記仕切り部は、前記容器本体の両側のフィルム面を熱接着することにより形成されたものとすることができる。 【0015】 また、前記小容器の構造を、多層フィルムの積層体より成るフィルムを重ね周囲を熱接着し、内部に薬剤を封入した密封体とすることもできる。この場合、小容器の弱シール部を容器本体の仕切り部に沿った辺部分のみとするほか、この辺部分を含む他の辺あるいは周囲全周を弱シール部とすることも出来る。また、弱シール部の構成として前記多層フィルムの層間剥離力を弱シール部の接着力より同等以下とし、前記多層フィルムの層間剥離によって開封可能とされたものとすることもできる。 【発明の効果】 【0016】 本体容器の外部から力を加え、本体容器内部を仕切る仕切り部を剥離開通させたとき、小容器の弱シール部には、容器本体の剥離開通する表裏フィルムに引かれてシール部外縁に力が加わる。このとき、小容器の弱シール部と小容器の容器本体に対する接着部とは異なる位置とされているので、小容器を容器本体に対し接着する時の熱による影響が小容器の弱シール部に及ばす、本体容器と共に小容器も確実に剥離開通させることができる。また、小容器の本体容器に対する接着部は小容器の外側縁とされているので、小容器内に収納される薬剤も接着時の熱影響を受けることがない。 【発明を実施するための最良の形態】 【0017】 以下、本発明に係る医療用複室容器の実施形態について図面を参照しつつ説明する。 【0018】 図1は、この発明の実施形態に係る医療用複室容器の平面図、図2は図1のA-A線矢視部分拡大断面図である。 【0019】 図1に示すように、医療用複室容器1は、周縁部3が接着され矩形状に形成された容器本体5と、この容器本体5に接続されゴム栓を有する薬剤排出口7とを備えている。容器本体3は、長手方向に並べて配置された第1収納部9及び第2収納部11を有しており、2つの収納部9、11は剥離可能な仕切り用仕切り部13で仕切られている。また、各収納部9、11には、予め混合或いは溶解しておくと望ましくない各種薬剤a,bがそれぞれ収納されている。ここでは、薬剤aが液状薬剤、薬剤bが粉末状薬剤とされている。 【0020】 医療用複室容器1は、2枚の平層又は複層のフィルムの周縁部を熱接着又は接着することにより形成される袋状の容器とすることができる。また医療用複室容器1の容器本体5を構成する材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂等、種々の樹脂よりなるフィルムを採用することができる。 【0021】 仕切り部13を剥離するために必要な圧力を調整するためには、例えば、熱可塑性樹脂よりなるフィルムを溶融接着する際、仕切り部13の加熱接着時間を、容器本体5の周縁部3の加熱接着時間より短くする。或いは、仕切り部13の接着圧力を、容器本体5の周縁部3の接着圧力より低い接着圧力で行うことにより、接着強度を調整することが可能である。 【0022】 また、仕切り部13を開封するために必要な圧力は、医療用複室容器を例えば約5kg〜約10kgの力で押圧したときに発生する内部圧力とされる。 【0023】 上記医療用複室容器1の内部薬液の第1収容部には薬剤cを収容する小容器15が設けられ、この小容器15の少なくとも仕切り部13に沿ったシール部が弱シール部21とされている。 【0024】 そして、この小容器15の容器本体5に対する接着部19は、図示のように小容器15を構成するフィルム15a、15bの弱シール部21より外側部分の延出部23a、23bとされている。そして延出部23a、23bで、その長さ方向ほぼ全長にわたり連続する線状に接着されている。この接着手段は、例えば熱融着などの手段が好適に用いられる。 【0025】 なお、この延出部分23a、23bの幅Bは、小容器15が本体容器5を構成するフィルム5a、5bに接着するに十分な幅とされていればよく、具体的には3〜20mm、より好適には5〜15mmとされる。 【0026】 上記小容器15は内層がポリエチレン、中間層がポリ環状オレフィン、外層がポリエチレンより成る3層構造とされたラミネートフィルムで、各層が剥離しやすい構造とされたラミネートフィルムなどのフィルム15a、15bが好適に使用され、重ね合わせた二枚のフィルム15a、15bの周囲を熱接着することにより袋状の容器とされる。なお、この小容器15の弱シール部21を剥離するために必要な圧力の調整は、容器本体5の仕切り部13と周縁3とのシールと同様、弱シール部21の加熱接着時間を小容器15の他の周縁部の加熱接着時間より短くする。或いは、弱シール部21の接着圧力を、小容器15の周縁部の接着圧力より低い接着圧力で行うことにより調整される。 【0027】 そして、医療用複室容器1の使用に際し本体容器5に力を加え、図2に示すように矢印F、F方向の力を発生させて仕切り部13を剥離させ、第1収容部9と第2収容部11を開通させると、図3に示すように小容器15の開口部は、延出部分23a、23bから容器本体5のフィルム5a、5bに引かれ、弱シール部21に剥離力が伝わって図3に示すように弱シール部21が剥離開通し内部の薬剤cが流出するのである。 【0028】 このとき、接着部19は弱シール部21以外の位置とされているので、例えば熱による溶融接着の場合は熱によって弱シール部21の易剥離性に影響が及ぶことがなく、図3に示すように確実に開封することが出来るのである。 【0029】 また、接着部19は小容器15の外部とされているので、溶融接着時の熱によって内部の薬剤cが影響されることもなく、内部薬剤cの品質を良好に維持することができるのである。 【0030】 図4は上記実施の形態の他の構成例を示す平面図で、小容器15の本体容器5内面に対する接着部19を、断続的な線状に形成したものである。この断続する線状の形態として図示のように線を連ねたものとするほか、図示は省略するがさらに接着部の長さとその間隔幅を短くした点線状、さらには点を連ねたような形態とすることも出来る。要するに、小容器15の本体容器5内面に対する接着が確実であればよい。 【0031】 そして、この場合も、図1、図2に示した構成と同様、本体容器5が仕切り部13で剥離開通したとき、図3で示した力Fによって小容器15の弱シール部21が確実に剥離開通する。なお、図4に示す他の各部の構成は図1、図2に示したものと同じであるので図中同一部分には同一符号を付すことで詳細な説明は省略する。 【0032】 図5は、更に他の構成例を示すもので、本体容器5の仕切り部13に小容器15の延出部23a、23bを重ねて接着したものである。この場合、小容器15を形成するフィルム15a、15bの延出部23a、23b同士が溶着しないよう、延出部23a、23b間に、たとえば薄い紙や高温で溶融する耐熱性フイルムなどのセパレータ(図示せず)が介挿される。 【0033】 他の部分は図1に示した実施の形態と同じであるので同一部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。 【0034】 この図5に示した医療用複室容器1は、内部圧力により本体容器5内の仕切り部13が剥離開通したとき、図6、図7に示すように同時に小容器15の延長部23a、23bが矢印F方向へ引かれ、これに連動して小容器15の弱シール部21が剥離開通し、内部の薬剤cが確実に流出するのである。 【0035】 このときも、接着部19は弱シール部21以外の位置とされているので、加熱接着する場合などは、熱によって弱シール部21が易剥離性に影響されることがない。また、接着部19は小容器15の外部とされているので、接着時の熱によって内部の薬剤cが影響されることがなく、内部薬剤cの品質を良好に維持することができるのである。 【0036】 上記各実施の形態の構成例では、小容器15が弱シール部21部分の易剥離性の作用のみで開封される場合について示したが、小容器15を構成する多層フィルムとして、例えば、内層がポリエチレン、中間層がポリ環状オレフィン、外層がポリエチレンより成るラミネートフィルムで各層が剥離しやすい構造とされたフィルム15a、15bとし、かつラミネートフィルム15a、15bの剥離力を弱シール部21の接着力と同等以下としておけば、小容器15を開封させるとき、図8に示すように、接着部21部分で剥離するだけではなくフィルム15a、15b自体の層間剥離を伴って小容器15が開封されるので更に開封が確実に行えるのである。 【図面の簡単な説明】 【0037】 【図1】この発明の医療用複室容器の平面図である。 【図2】図1のA-A線矢視部分拡大断面図である。 【図3】この発明の医療用複室容器の剥離開通状態を示す拡大断面図である。 【図4】この発明の医療用複室容器の他の構成例を示す平面図である。 【図5】この発明の医療用複室容器のさらに他の構成例を示す平面図である。 【図6】図5のB-B線矢視部分拡大断面図である。 【図7】図6に示した医療用複室容器の剥離開通状態を示す断面図である。 【図8】層間剥離しやすいラミネートフィルムで小容器を形成した場合の開封状態を示す断面図である。 【図9】従来の医療用複室容器の平面図である。 【図10】図9のX-X線矢視部分拡大断面図である。 【図11】図9に示した医療用複室容器の剥離開通状態を示す断面図である。 【図12】従来の他の医療用複室容器の平面図である。 【図13】図11のY-Y線矢視拡大断面図である。 【符号の説明】 【0038】 1…医療用複室容器 3…周縁部 5…容器本体 5a、5b…容器本体を構成するフィルム 7…薬剤排出孔 9…第1収容部 11…第2収容部 13…仕切り部 15…小容器 15a、15b…小容器を構成するフィルム 17…吊掛孔 19…接着部 21…弱シール部 23a、23b…延出部
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000149435 【氏名又は名称】株式会社大塚製薬工場
|
| 【出願日】 |
平成16年8月24日(2004.8.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065215 【弁理士】 【氏名又は名称】三枝 英二
【識別番号】100076510 【弁理士】 【氏名又は名称】掛樋 悠路
【識別番号】100129540 【弁理士】 【氏名又は名称】谷田 龍一
|
| 【公開番号】 |
特開2006−55549(P2006−55549A) |
| 【公開日】 |
平成18年3月2日(2006.3.2) |
| 【出願番号】 |
特願2004−243206(P2004−243206) |
|