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【発明の名称】 3次元作業療法支援ロボットシステム
【発明者】 【氏名】松井 信行

【氏名】鵜飼 裕之

【氏名】森田 良文

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部から2本のリンクが伸びておりさらにそれらと平行なリンク平行四辺形をなしたパラレルリンクと、これらのリンクを駆動するためベース部に配置したアクチュエータと、アクチュエータから最も遠い前記平行四辺形の角から伸びたリンクと該リンクに屈曲させて接合されたリンクとを備えたことを特徴とする3次元作業療法支援ロボットシステム。
【請求項2】
請求項1の屈曲させて接合されたリンクにグリップを取り付けたことを特徴とする請求項1の3次元作業療法支援ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元作業療法支援ロボットシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、脳血管障害や脊椎損傷等により上肢、下肢の運動機能が損なわれた人はリハビリテーションをすることにより運動機能の回復に努めることが一般的である。運動機能を回復するためのリハビリテーション装置は、主に歩行訓練装置や下肢機能回復支援機など、下肢のリハビリ訓練を対象とした支援システムが多く、上肢をリハビリの対象にしたものは非常に少なく、また、上肢の訓練においても2次元平面運動に限定された支援システムが多かった。
しかしながら、高齢化社会の到来にともなって上肢麻痺を伴った脳血管疾患患者の増加傾向から,上肢を対象としたリハビリ支援システムの需要がますます高まりつつあり、3次元動作の作業療法を効果的に支援するための装置の開発が望まれている.
【特許文献1】特開2002−272795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、実際の作業療法現場で実施されている「サンディング器具」を用いた訓練など,3次元的な身体運動を仮想的に模擬できるリンク機構系を考案して、実際の作業療法の利用環境や被訓練者の身体状態などを考慮しながら親和性の高い機器を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、特許請求の範囲の欄に記載した3次元作業療法支援ロボットシステムにより解決することができる。
請求項1記載の3次元作業療法支援ロボットシステムによれば、次のようにして上記課題を解決する。パラレルリンクは、ベース部から2本のリンクが伸びておりさらにそれらと平行なリンク平行四辺形をなし、これらのリンクを駆動するためのアクチュエータがベース部に配置されているため、それらの重量によりアクチュエータがそれぞれの関節に配置されている機構(平行リンクを持たない関節座標形)に比べ重心がベース部に近くなり、先端にある程度大きな力を加えても比較的安定する。また,平行リンクを持たない関節座標系でリンクの耐荷重性を高めるために,リンクをより太く設計する,より強い材質を用いる,といった方法が考えられるが,これらの方法では必要以上にコストがかかる場合があり,安価なシステムを構築するのには望ましい方法と言えない。パラレルリンクは,アームの材質・太さを変えずに耐荷重性を高めることが可能である。さらに,アクチュエータがベース部に配置されるため,多少重量があっても定格出力の大きいものが使用可能となる。
次に、リンク系の形状であるが、患者がグリップを持って訓練動作を行う際,不自然な姿勢となってしまっては,不自由のない訓練動作とは言えない。リンク系の考案にあたっては,市販の塩化ビニル製パイプなどを材料にリンク系を試作し,どのような形状が最適かを検討した。その上で考案に至ったリンク系の概形は図1のようになる。先端に最も近いリンク(リンク6)が屈曲した形状をとっているが,これは,リンクが屈曲していない場合に,リンクの回転角によっては先端が地面に向く格好となり,グリップを握って訓練する姿勢としては不自然であると考えたからである。また,このような屈曲形状にすることにより,装置ベースの地面からの位置を必要以上に高くしなくても,比較的高い位置に可動域を設けることが可能となる。
ベース部から2本のリンクが伸びておりさらにそれらと平行なリンク平行四辺形をなしたパラレルリンクと、これらのリンクを駆動するためベース部に配置したアクチュエータと、アクチュエータから最も遠い前記平行四辺形の角から伸びたリンクと該リンクに屈曲させて接合されたリンクとを備えたことを特徴とする3次元作業療法支援ロボットシステム。
請求項2記載の3次元作業療法支援ロボットシステムによれば、被訓練者が、図1に示すようなグリップ部を握りサンデイング訓練を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0006】
図2は、現在の作業療法訓練で広く用いられるサンデイング訓練器具である。本発明では,この訓練器具をそのまま模擬できる訓練装置であり,上腕に負荷を与えて行う訓練(抵抗運動) を模擬対象とする。このサンディング訓練の目的は,肩関節の可動域訓練,上腕二頭筋・上腕三頭筋の筋力強化,屈筋群と伸筋群の協調性の向上,全身の持久力向上などである。
本発明の3次元作業療法支援ロボットシステムは、次のような特徴を持つ。
・ 省スペース・低コストである。
・ 持ち運びが可能である。
・ 構造的に安定している。
・ 安全面が配慮されている。
・ 反力提示による力覚フィードバックが可能である。
このことを念頭においた本システムに要求される仕様を以下に挙げる。
使用対象:上肢機能に軽度障害をもつ障害者に対する身体機能維持・障害回復訓
練を想定する。
訓練内容: 現場に受け入れられるためには,実際に行われている訓練を模擬したものが望ましい。現場で幅広く利用されている訓練器具(サンディング等)や,あるいは迷路やエアホッケーといった運動を再現したものを訓練内容として想定する。
可動範囲: サンディングによるリハビリ訓練を参考にすると,50W×50D×50H[cm]の作業領域が必要である。この作業領域が確保できるだけの可動範囲が得られるものとする.
リンク機構:リンク機構設計の際には,訓練者の下肢との干渉,駆動系に負担となるような特異点姿勢を排除する必要がある。さらに,訓練者の加える力を計測するためにグリップ部にはフォース/トルクセンサを備える。
駆動系: 駆動系としては,DDサーボモータを用いるが,リハビリ訓練を再現するために必要最小限な速度・提示力をリンク系先端に発生させることができるものとする。なお,実際のサンディング訓練に必要な,グリップ先端速度は0.40〜0.50[m/s],グリップにおける提示力は30[N]である。また,駆動部には,グリップの位置を計測するために各リンクにエンコーダを備える。
前記の要求仕様を満足させる機構として,リンク同士を平行に配置をした,パラレルリンク機構を採用する。実際に設計した図面は図3のようになる。また、製作した装置の写真を図4に示す。図5〜図9はその試作機を用いた訓練風景で,50×50[cm]の作業領域内での訓練の様子である。図5は,装置を前面に配置したときの訓練の様子を表す。 図6〜図9は, 装置を右側に配置したときの訓練の様子を表し、それぞれ訓練作業範囲の端点におけるリンクの姿勢と訓練者の上肢の姿勢を表す。パラメータ選定にあたっては,順運動学に基づいて可動領域をシミュレーションしながら,要求条件を満足するパラメータを選んだ。この装置における特徴を以下に示す。
・自由関節は,水平回転1軸,垂直回転2軸である。リンク同士で平行四辺形をなす形とすることで,軽量なφ25[mm]のアルミニウムパイプをリンクに用いることができる。シリアルリンク構造と比べて重構造とはならず,細いアルミニウムパイプのリンクなので訓練者との親和性が高い。
・パラレルリンク機構は,駆動系をベース部に全て配置することが可能で,構造的な安定性を実現する。
・設置面積は400×560[mm]で高さは660[mm](アームを取り外した状態.アーム収納時は750[mm])である.狭い廊下でも運搬可能なサイズであり,ベッドサイドにも配置が可能である。また,リンク部を取り外し可能とすることで,更に可搬性を高めた。
・リンク5とリンク6の接合部を屈曲させることで,下肢との干渉を回避することができると同時に,グリップの操作性を高めることができる。グリップについては,図5〜図9では片手によるサンディング訓練のための球状グリップが取り付けられている。ここでは,テニスボールを使用した。また,図2の両腕によるサンディング訓練のためには,被験者が握っているグリップと同じものが取り付けられるようになっている。
・低コスト,省スペースの観点から,駆動系として定格トルク10[Nm],定格回転数200[rpm]の仕様を持つDDモータ(安川電機製サーボモータSGMCS-10C)とベルト駆動による減速機構(減速比1:3)を組み合わせることで,作業領域における先端速度・提示力両方を満足する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】リハビリ訓練装置のリンク系の概形を示した図である。
【図2】サンデイング訓練器具を示した図である。
【図3】リハビリ訓練装置を実際に設計した図である。
【図4】製作したリハビリ訓練装置の写真である。
【図5】装置を前面に配置したときの訓練の様子を示す図である。
【図6】〜
【図9】図6〜図9は,訓練作業範囲の端点におけるリンクの姿勢と訓練者の上肢の姿勢を表す。
【出願人】 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
【出願日】 平成17年6月2日(2005.6.2)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−334137(P2006−334137A)
【公開日】 平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願番号】 特願2005−162352(P2005−162352)