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【発明の名称】 空気袋付きバンドの締結機構、それを含むエアマッサージ装置および血圧計
【発明者】 【氏名】加藤 淳一
【住所又は居所】群馬県北群馬郡子持村中郷2508−13 日本精密測器株式会社内

【要約】 【課題】慣れていない人でもやさしく取り扱うことができ、例えばストッキングの上からでも容易に装着することのできる空気袋付きバンドの締結機構と、それを含むエアマッサージ装置を提供する。

【解決手段】巻き付けバンド11に空気袋40を配し、バンドを巻き付けた状態で空気袋に加圧エアを導入することで身体組織に圧迫を加えるエアマッサージ装置であって、バンドの先端部にフック31、32付きの留め具30を設けると共に、バンドの外周の樹脂カバー20に、フックを選択的に係合可能な複数のスリット21を、バンドの長手方向に一定ピッチで間隔的に設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体のいずれかの部位に巻き付けるバンドに空気袋を配し、前記バンドを巻き付けた状態で前記空気袋に加圧エアを導入することで、加圧エアの力により身体組織に圧迫を加える空気袋付きバンドの締結機構であって、
前記バンドの先端部に係止部を設けると共に、前記バンドの先端部を外側から被せるバンドの外周面に、前記係止部を選択的に係合可能な複数の被係止部を、前記バンドの長手方向に沿って間隔的に設けたことを特徴とする空気袋付きバンドの締結機構。
【請求項2】
請求項1に記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、
前記被係止部として、前記バンドの幅方向に延びるスリットを設けると共に、前記係止部として、前記スリットに差し込み係合可能なフックを設けたことを特徴とする空気袋付きバンドの締結機構。
【請求項3】
請求項2に記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、
前記バンドの外周部に、前記空気袋よりも硬質の樹脂シート材よりなり前記空気袋の外周方向への膨らみを防止する樹脂カバーを設け、その樹脂カバーに前記スリットを形成したことを特徴とする空気袋付きバンドの締結機構。
【請求項4】
請求項3に記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、
前記スリットを、前記樹脂カバーの本体部をなすフラットなシート基板と、該フラットなシート基板から斜めに切り起こした傾斜壁の先端縁との間に形成したことを特徴とする空気袋付きバンドの締結機構。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれかに記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、
前記フックをバンドの長手方向に沿って2段に設け、これら2段のフックを、同時に2つの前記スリットに係合可能としたことを特徴とする空気袋付きバンドの締結機構。
【請求項6】
請求項5に記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、
前記2段のフックを1つの留め具に一体に形成すると共に、前記2段のフックの前記スリットに対する差込方向の突出長を互いに異ならせたことを特徴とする空気袋付きバンドの締結機構。
【請求項7】
請求項6に記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、
前記留め具の前端部上面に、指で摘むための取っ手を設けると共に、前記留め具の下面に、該留め具の前後方向に間隔をあけて前記2段のフックを斜め後方へ向けて突設し、前記取っ手に近い前側のフックの前記スリットに対する差込方向の突出長を、前記取っ手から遠い後側のフックの前記スリットに対する差込方向の突出長よりも長く設定したことを特徴とする空気袋付きバンドの締結機構。
【請求項8】
請求項7に記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、
前記取っ手に近い前側のフックの傾斜角度を、前記取っ手から遠い後側のフックの傾斜角度よりも大きく設定したことを特徴とする空気袋付きバンドの締結機構。
【請求項9】
請求項7または8に記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、
前記フックが、前記スリットの長さに応じた幅広のフックとして形成され、該フックの突出端縁が、フックの幅方向両端に向かうほど下側に向けて湾曲するように形成されていることを特徴とする空気袋付きバンドの締結機構。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれかに記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、
前記留め具の後端下面に、前記取っ手を持って前記フックをスリットから外すときに、てこの支点となる支点部を、前記後側のフックより離間させて設けたことを特徴とする空気袋付きバンドの締結機構。
【請求項11】
身体のいずれかの部位にバンドを巻き付け、そのバンドに配した空気袋に加圧エアを導入したりその加圧エアを排出したりすることで身体にマッサージ作用を与えるエアマッサージ装置において、
前記バンドの締結機構として、請求項1〜10のいずれかに記載の空気袋付きバンドの締結機構を具備したことを特徴とするエアマッサージ装置。
【請求項12】
身体のいずれかの部位にカフ帯を巻き付け、そのカフ帯に配した空気袋に加圧エアを導入することで血圧測定を行う血圧計において、
前記カフ帯の締結機構として、請求項1〜10のいずれかに記載の空気袋付きバンドの締結機構を具備したことを特徴とする血圧計。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、空気袋付きバンドの締結機構、それを含むエアマッサージ装置および血圧計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、エアマッサージ装置として、足や腕などの身体上のいずれかの部位に巻き付けるバンドに空気袋を配し、バンドを巻き付けた状態で空気袋に加圧エアを導入することで、加圧エアの力により身体組織に圧迫を加える空気袋付きバンドを使用したものがある。この種のエアマッサージ装置では、空気袋付きバンドを足や腕などに巻き付けた状態で締結するための手段として、広い面積で面係合する面ファスナを使用しているのが一般的である(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−237344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、面ファスナは、取り扱いに慣れていないと、関係ないところで無用にくっついてしまうので、取り付け取り外しが面倒である上、加圧と除圧を繰り返すエアマッサージ装置に適用した場合、繰り返しの加圧による強い張りのために端部から剥がれることがある。また、ストッキングの上からバンドを足に巻き付けるような場合には、面ファスナがストッキングにくっついてしまうおそれがあり、特にエアマッサージ装置のように足に頻繁に着脱することが多い器具の場合、取り扱いに注意が必要である。また、面ファスナを剥がす際には、「ばりばり」という異様な音が発生することがあるため、静かな環境で使用する場合には、周囲に耳障りにならないように注意する必要もある。
【0004】
本発明は、上記事情を考慮し、慣れていない人でもやさしく取り扱うことができ、また、例えばストッキングの上からでも容易に装着することができ、しかも、いったん装着した場合には、強固な締結状態を保つことができて外れにくく、更に、取り外す場合にも静かに取り外すことのできる空気袋付きバンドの締結機構、それを含むエアマッサージ装置および血圧計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、身体のいずれかの部位に巻き付けるバンドに空気袋を配し、前記バンドを巻き付けた状態で前記空気袋に加圧エアを導入することで、加圧エアの力により身体組織に圧迫を加える空気袋付きバンドの締結機構であって、前記バンドの先端部に係止部を設けると共に、前記バンドの先端部を外側から被せるバンドの外周面に、前記係止部を選択的に係合可能な複数の被係止部を、前記バンドの長手方向に沿って間隔的に設けたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、前記被係止部として、前記バンドの幅方向に延びるスリットを設けると共に、前記係止部として、前記スリットに差し込み係合可能なフックを設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2に記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、前記バンドの外周部に、前記空気袋よりも硬質の樹脂シート材よりなり前記空気袋の外周方向への膨らみを防止する樹脂カバーを設け、その樹脂カバーに前記スリットを形成したことを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3に記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、前記スリットを、前記樹脂カバーの本体部をなすフラットなシート基板と、該フラットなシート基板から斜めに切り起こした傾斜壁の先端縁との間に形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項2〜4のいずれかに記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、前記フックをバンドの長手方向に沿って2段に設け、これら2段のフックを、同時に2つの前記スリットに係合可能としたことを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項5に記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、前記2段のフックを1つの留め具に一体に形成すると共に、前記2段のフックの前記スリットに対する差込方向の突出長を互いに異ならせたことを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項6に記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、前記留め具の前端部上面に、指で摘むための取っ手を設けると共に、前記留め具の下面に、該留め具の前後方向に間隔をあけて前記2段のフックを斜め後方へ向けて突設し、前記取っ手に近い前側のフックの前記スリットに対する差込方向の突出長を、前記取っ手から遠い後側のフックの前記スリットに対する差込方向の突出長よりも長く設定したことを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項7に記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、前記取っ手に近い前側のフックの傾斜角度を、前記取っ手から遠い後側のフックの傾斜角度よりも大きく設定したことを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、請求項7または8に記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、前記フックが、前記スリットの長さに応じた幅広のフックとして形成され、該フックの突出端縁が、フックの幅方向両端に向かうほど下側に向けて湾曲するように形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明は、請求項7〜9のいずれかに記載の空気袋付きバンドの締結機構であって、前記留め具の後端下面に、前記取っ手を持って前記フックをスリットから外すときに、てこの支点となる支点部を、前記後側のフックより離間させて設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項11の発明のエアマッサージ装置は、身体のいずれかの部位にバンドを巻き付け、そのバンドに配した空気袋に加圧エアを導入したりその加圧エアを排出したりすることで身体にマッサージ作用を与えるエアマッサージ装置において、前記バンドの締結機構として、請求項1〜10のいずれかに記載の空気袋付きバンドの締結機構を具備したことを特徴とする。
【0016】
請求項12の血圧計は、身体のいずれかの部位にカフ帯を巻き付け、そのカフ帯に配した空気袋に加圧エアを導入することで血圧測定を行う血圧計において、前記カフ帯の締結機構として、請求項1〜10のいずれかに記載の空気袋付きバンドの締結機構を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、バンドの外周面に設けたいずれかの被係止部に、バンドの先端部に設けた係止部を選択的に係合させることによって、最適な周長で身体上の部位にバンドを巻き付けることができる。この場合、被係止部がバンドの長手方向に沿って間隔的に存在することによって、段階的に係止部を止める位置を変えることができるので、面ファスナのように広い面積で係合させるのと違い、慣れていない人にとっても、着脱が容易にできる。また、面ファスナのように関係ない場所に無用にくっつくおそれを無くすことができるので、やさしく取り扱うことができるし、ストッキングの上からでも容易に装着することができる。また、いったん装着した場合には、強固な締結状態を保つことができ、外れにくくすることができる。更に、面ファスナと違って、取り外し時の剥がれ音も発生しないようにすることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、バンドの先端部に係止部としてのフックを設け、バンドの外周面に、フックを差し込み係合させることのできる被係止部としてのスリットを設けたので、差し込んだり抜いたりすることで、簡単に着脱を行うことができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、バンドの外周部に硬質の樹脂シートよりなる樹脂カバーを設け、その樹脂カバーにより空気袋の外周方向への膨らみを防止するので、少ない加圧エアの導入により効率よく身体組織に圧迫を加えることができる。また、その樹脂カバーにスリットを形成するので、変形しにくいスリットを簡単に成形することができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、樹脂カバーの本体部をなすフラットなシート基板と、該フラットなシート基板から斜めに切り起こした傾斜壁の先端縁との間に前記スリットを形成したので、各スリットにフックを容易に差し込み係合させることができる。また、傾斜壁とフックの噛み合いにより、フックが不用意に抜けにくくなり、締結強度が増す。
【0021】
請求項5の発明によれば、2段のフックを同時に2つのスリットに係合させるようにしたので、強固にバンドを締結することができ、エアマッサージ装置のように加圧と除圧を繰り返す使い方をする場合にも、バンドに弛みが発生しにくくなる。なお、フックを3段以上設けて、同時に3段以上のスリットに係合するようにすることも可能であるが、3段以上設けると、係合が却ってしにくくなる可能性がある。
【0022】
請求項6の発明によれば、2段のフックを1つの留め具に一体に形成すると共に、両フックの突出長を異ならせたので、長い方のフックを先にスリットに入れ、それをガイドにしながら、短い方のフックをスリットに差し込むことができる。従って、フックの差し込み係合が容易にできるようになる。
【0023】
請求項7の発明によれば、取っ手に近い前側のフックを先にスリットに差し込むことができる。従って、指先の感覚を頼りに、まず、前側のフックをスリットに差し込み、次に、後側のフックをスリットに差し込むことができ、手先の感覚を頼りに簡単にフックを係合させることができる。
【0024】
請求項8の発明によれば、取っ手に近い方の前側のフック(突出長の大きいフック)の傾斜角度を大きくしたので、フックの先端でスリットの位置を探りやすく、容易にスリットに差し込みやすくなる。また、後側のフックの傾斜角度を小さくしたので、ガタつきのない抜けにくい係合状態を作ることができる。
【0025】
請求項9の発明によれば、フックの突出端縁を、フックの幅方向両端に向かうほど下側に向けて湾曲させたので、長期の使用によってスリットの周縁が変形してきた場合にも、フックをスリットに差し込みやすくすることができる。
【0026】
請求項10の発明によれば、留め具の後端下面に、取っ手を持ってフックをスリットから外すときに、てこの支点となる支点部を設けたので、てこの作用を利用しながら、容易にフックをスリットから外すことができる。
【0027】
請求項11、12の発明によれば、請求項1〜10のいずれかの空気袋付きバンドの締結機構をエアマッサージ装置または血圧計に適用したので、上記の作用効果を最大限に発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
図1〜図10は本発明を適用したエアマッサージ装置の第1実施形態の説明図で、図1はエアマッサージ装置の全体概要を示す斜視図、図2は例えば使用者の下肢にエアマッサージ装置を装着した状態を概略的に示す断面図、図3はエアマッサージ装置の展開状態を示す斜視図、図4はバンドを構成する樹脂カバーのみの斜視図、図5(a)、(b)はバンドの先端部に取り付けた留め具(バックル)のフックと樹脂カバーのスリットをそれぞれ拡大して示す断面図、図6は留め具(バックル)のみの構成を示す斜視図、図7は図6のVII矢視図、図8(a)〜(c)は留め具のフックを樹脂カバーのスリットに係合させていく過程を順を追って示す断面図、図9はバンドの一部の断面構成を概略的に示す図、図10はエアマッサージ装置本体の概略構成を示すブロック図である。
【0029】
図1、図2に示すように、このエアマッサージ装置10は、例えば、使用者の下肢Maにバンド11を巻き付けて、そのバンド11に配した空気袋40に、エアマッサージ装置本体50から加圧エアを導入したり、その加圧エアを排出したりすることで、筋肉に圧迫と解放を繰り返し与えて、マッサージ効果を得るものである。ここでは、下肢Maにエアマッサージ装置10を装着する場合を例にとって説明する。下肢Maに装着する場合は、主にふくらはぎ部分の筋肉がマッサージの対象部位であるので、下肢Maの裏側からバンド11を装着することになる。
【0030】
エアマッサージ装置10のバンド11は、図1〜図3および図9に示すように、丈夫な合成布などで形成された長尺帯状の基布11Aと、基布11Aの基端側の一部の領域の外周面に配された樹脂カバー20と、樹脂カバー20を配した領域における基布11Aの内周面に配された偏平な空気袋(ブラダー)40と、空気袋40を収容する袋状の空間を基布11Aとの間に形成する内布13とからなる。
【0031】
樹脂カバー20は、柔軟材料(例えばEVA)よりなる空気袋40よりも硬質の樹脂シート材の成形品よりなるもので、空気袋40の外周方向への膨らみを防止する機能を果たす。樹脂カバー20と基布11Aは、後述する樹脂カバー20上の薄肉部20bの位置で縫製糸8により縫い合わされて一体化されている。空気袋40は、樹脂カバー20のちょうど内側の位置で、基布11Aの内面に配されており、基布11Aに対して内布13の周縁部を縫い付けることで、基布11Aと内布13との間に形成された空間に収容されている。
【0032】
基布11Aは、図3に示すように、樹脂カバー20や空気袋40と重なり合う部分よりも先端側が幅の狭い帯状に形成されており、その先端側に、樹脂成形品よりなる留め具30が取り付けられている。留め具30は、基布11Aの長手方向に移動可能に取り付けられており、固定する位置を変えることで、バンド11の有効長(実際に足等に巻き付ける際に必要な長さ)を無段階に調節できるようになっている。
【0033】
この留め具30は、図5、図6、図7に示すように、矩形状の基板30aの前端上面に指で摘むための取っ手33を一体に設けると共に、基板30aの前側下面に前後方向に間隔をあけて2段のフック(係止部)31、32を一体的に突設し、更に、基板30aの後部にバンド長さ調整機構35を設けたものであり、バンド長さ調整機構35の長孔35a、35b(後述)に基布11Aの先端11aを通すことで、バンド11の先端側に取り付けられている。
【0034】
係止部としてのフック31、32は、バンド11を巻き付け状態で固定するためのもので、バンド11の先端側の部分を外側から被せるバンド11の外周面の樹脂カバー20上には、前記フック31、32を選択的に係合するための複数のスリット21が被係止部として設けられている。
【0035】
樹脂カバー20上に設けられたスリット21は、図3に示すように、それぞれバンド11の幅方向に長く延びたものであり、バンド11の長手方向に沿って一定のピッチ(全て等しいピッチ)で間隔的に配置されている。
【0036】
各スリット21は、図4、図5の(b)に示すように、樹脂カバー20の本体部をなすフラットなシート基板20aと、該フラットなシート基板20aから斜めに切り起こした傾斜壁21aの先端縁との間に形成されており、樹脂カバー20の長手方向の一方側(バンド11の先端側)に向かって開口している。なお、詳しくは図示しないが、傾斜壁21aのバンド幅方向の両端部21c(図4参照)は、シート基板20a側に一体に連結されており、これにより、傾斜壁21aが無用に撓まないように補強されている。
【0037】
樹脂カバー20のシート基板20a上には、長手方向に適当な間隔をおいて、樹脂カバー20の全幅にわたって延びる線状の薄肉部20bが設けられている。また、周辺部や基布11Aとの縫製の必要のある箇所にも、適当な幅の線状の薄肉部20bが設けられている。樹脂カバー20の長手方向に間隔をおいて形成された薄肉部20bは、その部分で樹脂カバー20を折れ曲がりやすくする役目を果たす。従って、バンド11を丸めるときに、樹脂カバー20を抵抗なく柔軟に湾曲させることができる。
【0038】
この樹脂カバー20の長手方向の一端部には、図3に示すエアマッサージ装置本体50を取り付けるための本体取付部25が設けられており、その本体取付部25には、空気袋40とエアマッサージ装置本体50を接続するための2つの開口26と、エアマッサージ装置本体50を簡単に装着できるようにするための固定フック27aと固定ピン27bとが設けられている。
【0039】
エアマッサージ装置本体50を取り付ける場合には、固定フック27aにエアマッサージ装置本体50側の係合孔(図示略)を引っかけ、その状態で、固定ピン27bにエアマッサージ装置本体50側の係合孔(図示略)を無理嵌めすることにより、簡単に取り付けることができる。
【0040】
このようにエアマッサージ装置本体50をバンド11を構成する樹脂カバー20に取り付けることにより、図10に示すエアマッサージ装置本体50側の接続口56、57と、バンド11に内装した空気袋40側の接続口41、42とが互いに嵌合する。
【0041】
ここで、図10を用いてエアマッサージ装置本体50の構成について簡単に述べると、エアマッサージ装置本体50は、図示しないバッテリと、空気袋40に加圧エアを供給する加圧ポンプ51と、空気袋40のエアを排気する電気排気弁52と、空気袋40内のエア圧力を検出する圧力センサ53と、主として圧力センサ53の測定値に応じて加圧ポンプ51や電磁排気弁52などを制御してマッサージ動作を作り出すコントローラ55と、コントローラ55に繋がる図示しないスイッチやディスプレイなどを有している。
【0042】
次に留め具30について詳しく述べる。
図5に示すように、前述した2段のフック31、32は、留め具30の下面に斜め後方へ向けて突設されており、その間隔をスリット21の配置ピッチに合わせることで、2段のフック31、32が、同時に2つのスリット21に係合できるようになっている。これら2段のフック31、32は、スリット21に対する差込方向の突出長S1、S2を互いに異ならせた形状に形成されている。
【0043】
ここでは、取っ手33に近い前側のフック32のスリット21に対する差込方向の突出長S2が、取っ手33から遠い後側のフック31のスリット21に対する差込方向の突出長S1よりも長く設定されている。また、取っ手33に近い前側のフック32の傾斜角度α2が、取っ手33から遠い後側のフック31の傾斜角度α1よりも大きく設定されている。
【0044】
具体的な例を挙げると、シート基板20aとの間にスリット21を形成している傾斜壁21aの傾斜角度を10°とした場合、α1は傾斜壁21aと同じ10°、α2は傾斜壁21aより大きい15°に設定している。
【0045】
また、図7に示すように、フック31、32は、スリット21の長さに合わせて幅広に形成されており、それらの突出端縁が、フック31、32の幅方向両端に向かうほど下側に向けて湾曲するように形成されている(図7中のR1は湾曲の曲率半径を示している)。しかも、図5(a)に示すように、フック31、32の先端部は、下側に向けて僅かに反っている。
【0046】
また、留め具30の後端下部には、取っ手33を持ってフック31、32をスリット21から外すときに、てこの支点となる支点部30bが、後側のフック31より離間させて設けられている。
【0047】
これらフック31、32と複数のスリット21は、身体のいずれかの部位にバンド11を巻き付けた状態で固定する主締結機構を構成している。この主締結機構によって締結する場合、係止位置はスリット21の配置ピッチ(間隔)によって決まってしまうので、段階的な周長(巻き付け径)でしかバンド11を固定することができない。スリット21の配置ピッチを小さくすれば、係止位置を細かく変えることができるが、スリット21をあまり細かいピッチで形成すると、樹脂カバー20の強度を落とすことにもなるため、あまり細かいピッチでスリット21を形成することは好ましくない。また、スリット21のピッチに関係なく、段階的な係止状態を補いたいという要請にも応える必要がある。
【0048】
そこで、補助的な締結手段として、前述の連続的にバンド11の有効長を調節することのできるバンド長さ調節機構35が設けられている。このバンド長さ調節機構35は、バンド11の長さを無段階に調節するためのものであって、少なくとも複数のスリット21の配置間隔に相当する長さ分だけバンド11の長さ調節が可能なものとして構成されている。
【0049】
ここでは、バンド長さ調節機構35は、図5(a)、図6に示すように、バンド11の基布11Aの先端11aを順番に通す互いに平行な2つの長孔35a、35bと、これら2つの長孔35a、35bの間に位置して2つの長孔35a、35bに順番に通された基布11Aの折り返し部が巻き付けられる第1の横棒35cと、折り返し前の基布11Aと折り返し後の基布11Aが重なり合った部分に押し当たる第2の横棒35d(前述の支点部30bに相当する部分)と、により構成されている。そして、第1の横棒35cおよび第2の横棒35dと基布11Aとの間の摩擦、ならびに、折り返し前の基布11Aと折り返し後の基布11Aの重なり部における基布11A同士の間の摩擦により、バンド11(基布11A)に締結力を与えるようになっている。また、摩擦力を高めるために、第1の横棒35cの上面と第2の横棒35dの下面には、滑り止め35e、35fが設けられている。なお、留め具30には、フック31、32を成形するための型抜き孔31n、32nが設けられており、後側のフック31の抜き孔31nが、前側の長孔35aに相当している。
【0050】
次に作用を説明する。
このエアマッサージ装置10で、例えば、使用者の下肢Maをマッサージする場合は、図1、図2に示すように、ふくらはぎの裏側からバンド11を巻き付ける。即ち、空気袋40のある方を内側にしてバンド11をふくらはぎにあてがい、バンド11の先端側をバンド11の基端側の樹脂カバー20の上に被せるように巻き付け、その状態で、留め具30のフック31、32を樹脂カバー21上の適当な位置のスリット21に嵌める。
【0051】
フック31、32をスリット21に嵌める場合は、例えば、取っ手33を指で摘んで、図8(a)に示すように、留め具30を樹脂カバー20の上に重ねながら、フック31、32の先端でスリット21を探す。そうすると、傾斜壁21aの上をフック31、32が滑ることで、容易にフック31、32の先端がスリット21の入口に向かい合う。従って(b)、(c)に示すように、そのまま2段のフック31、32を、隣接する任意の2つのスリット21に対して容易に差し込み係合させることができる。
【0052】
この場合、2段のフック31、32を1つの留め具30に一体に形成しているものの、両フック31、32の突出長S1、S2を異ならせているので、長い方のフック32を先にスリット21に入れ、それをガイドにしながら、短い方のフック31をスリット21に差し込むことができる。
【0053】
つまり、取っ手33に近い前側のフック31の突出長S2を後側のフック31の突出長S1よりも長く設定しているので、留め具30を摘んだ指先の感覚を頼りに、まず前側のフック32をスリット21に差し込み、次に後側のフック31をスリット21に差し込むことができ、手先の感覚を頼りに簡単に2段のフック31、32を隣接する2つのスリット21に同時に係合させることができる。
【0054】
しかも、取っ手33に近い方の前側のフック32(突出長S2の大きいフック)の傾斜角度α2を大きめ(傾斜壁21aの傾斜角度より大きめ)に設定しているので、フック32の先端でスリット21の位置を探りやすくなり、容易にスリット21に差し込むことができる。また、後側のフック31の傾斜角度α1を小さく設定(傾斜壁21aの傾斜角度と同じ角度)しているので、いったん差し込みを完了すると、ガタつきのない、抜けにくい係合状態を作ることができる。
【0055】
また、フック31、32の突出端縁を、フック31、32の幅方向両端に向かうほど下側に向けて湾曲させているので、長期の使用によって、たとえスリット21の周縁が変形してしまった場合にも、フック31、32をスリット21に容易に差し込むことができる。
【0056】
なお、図8(c)においては、留め具30の後端部と傾斜壁21aとが干渉している状態が図示されているが、実際にバンド11を身体に装着したときには、樹脂カバー20が湾曲した状態となるので、干渉したとしても障害になる程度ではなくなる。そのため、全く問題はない。
【0057】
以上のように2段のフック31、32を同時に2つのスリット21に係合させることができるので、強固にバンド11を下肢Maに巻き付けて締結することができ、加圧と除圧を繰り返した場合にも、バンド11に弛みが発生しにくくなる。また、傾斜壁21aとフック31、32が噛み合うことになるため、フック31、32が不用意に抜けにくくなり、締結強度が増す。
【0058】
このように主締結機構であるフック31、32とスリット21の係合によって、バンド11をある程度適正な状態で下肢Maなどに巻き付けることができるが、更に微調整を行いたい場合には、バンド長さ調整機構35で基布11Aを滑らすことによって、より適正な巻き付け状態を得ることができる。
【0059】
そして、適正にバンド11を巻き付けたら、エアマッサージ装置本体50のスイッチによりマッサージ動作をスタートさせる。動作がスタートすると、空気袋40に加圧エアが送り込まれて、加圧エアの力でバンド11を巻き付けた部分の筋肉が圧迫される。また、加圧エアが排気されることで除圧が行われ、加圧と除圧が繰り返し行われることで、筋肉が揉みほぐされて、血行が促進され、筋肉痛や疲労感が取り除かれる。
【0060】
この場合、バンド11の外周部に硬質の樹脂シートよりなる樹脂カバー20を配置し、その樹脂カバー20によって空気袋40の外周方向への膨らみを防止するようにしているので、少ない加圧エアの導入によって、効率よく身体組織に圧迫を加えることができる。
【0061】
マッサージが終わったら、バンド11を取り外す。その場合は、図8(c)中の矢印Pで示すように、取っ手33を摘んで留め具30を上に持ち上げる。そうすると、留め具30の後端下面に支点部30bを設けているので、この部分が傾斜壁21aに当たることにより、ここが支点となって、てこの作用により、容易にフック31、32をスリット21から外すことができる。
【0062】
以上説明したように、本エアマッサージ装置10によれば、バンド11の外周面に設けたいずれかのスリット21(被係止部)に、バンド11の先端部に設けた留め具30のフック31、32(係止部)を選択的に係合させることによって、最適な周長で身体上の部位にバンド11を巻き付けることができる。
【0063】
この場合、スリット21がバンド11の長手方向に沿って一定ピッチで存在するので、ピッチ相当の間隔で段階的にフック31、32を止める位置を変えることができる。従って、面ファスナのように広い面積で係合させるのと違って、慣れていない人にとっても、着脱が容易にできる。
【0064】
また、面ファスナのように関係ない場所に無用にくっつくおそれを無くすことができるので、やさしく取り扱うことができるし、ストッキングの上からでも容易に装着することができる。また、いったん装着した場合には、強固な締結状態を保つことができるので、外れにくい。
【0065】
更に、面ファスナと違って、取り外し時の剥がれ音も発生しないので、静かな環境で使用する場合にも周囲に無用な気兼ねを払う必要がない。
【0066】
また、主締結機構をフック31、32とスリット21で構成しているので、フック31、32を差し込んだり抜いたりすることで、簡単にバンド11の着脱を行うことができる。
【0067】
また、主締結機構の他にバンド長さ調節機構35も設けているので、バンド11の有効長を微調整することにより、マッサージ中に弛みを生じたりしない最適な締め付け状態を作り出すことができる。
【0068】
<第2実施形態>
図11は本発明の第2実施形態のエアマッサージ装置10Bの全体構成を示し、図12は同装置における樹脂カバー20Bの構成を示している。
前述のように主締結機構(フック31、32とスリット21の組み合わせ)の他にバンド長さ調節機構35を設けた場合、バンド長さ調節機構35の調整機能をより活用すれば、スリット21の配設ピッチを広げることもできる。
【0069】
本実施形態は、そのようにスリット21の配設間隔を広げたものである。即ち、図11、図12に示すように、樹脂カバー20B上のスリット21は、2段のフック31、32に対応する2つのスリット21を1組として、各組のピッチ間隔を広めにして配設されている。そして、任意の組の2つのスリット21にフック31、32を係合させた状態で、バンド長さ調整機構35を操作することによって、適正な巻き付け強度を確保できるようにしている。
【0070】
従って、大まかな締結位置決めを主締結機構(フック31、32とスリット21の組み合わせ)で行って、そのあとにバンド長さ調整機構35で締め付け位置を微調整することにより、適正な巻き付け状態を得ることができる。
【0071】
なお、以上の各実施形態では、係止部としてフック31、32を設け、被係止部としてスリット21を設けた場合を例として示したが、逆の組み合わせとしてもよいし、また、互いに簡単に係合し合う組み合わせであれば、フックとスリット以外の係止手段を用いてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、使用者の下肢Maに装着する場合を例示したが、下肢以外に上肢、上腕や肘と手首の間などの他の部位に装着してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、本発明の空気袋付きバンドの締結機構を、エアマッサージ装置に適用した場合を説明したが、血圧計に対しても適用できる。即ち、血圧計は、身体のいずれかの部位にカフ帯を巻き付け、そのカフ帯に配した空気袋に加圧エアを導入することで血圧測定を行うものであるので、そのカフ帯の締結機構として、本発明の空気袋付きバンドの締結機構を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明を適用したエアマッサージ装置の第1実施形態の説明図であって、エアマッサージ装置の全体概要を示す斜視図である。
【図2】同エアマッサージ装置を、例えば使用者の下肢に装着した状態を概略的に示す断面図である。
【図3】同エアマッサージ装置の展開状態を示す斜視図である。
【図4】同エアマッサージ装置のバンドを構成する樹脂カバーのみの斜視図である。
【図5】(a)、(b)は前記バンドの先端部に取り付けた留め具(バックル)のフックと樹脂カバーのスリットをそれぞれ拡大して示す断面図である。
【図6】前記留め具(バックル)のみの構成を示す斜視図である。
【図7】図6のVII矢視図である。
【図8】(a)〜(c)は前記留め具のフックを樹脂カバーのスリットに係合させていく過程を順を追って示す断面図である。
【図9】前記バンドの一部の断面構成を概略的に示す図である。
【図10】前記エアマッサージ装置の本体の概略構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第2実施形態のエアマッサージ装置の展開状態を示す斜視図である。
【図12】同エアマッサージ装置のバンドを構成する樹脂カバーのみの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
Ma 下肢
8 縫製糸
10,10B エアマッサージ装置
11 バンド
11A 基布
11a 基布の先端
13 内布
20,20B 樹脂カバー
20a シート基板
20b 薄肉部
21 スリット
21a 傾斜壁
25 本体取付部
26 孔
27a 固定フック
27b 固定突起
30 留め具
30a 基板
30b 支点部
31 フック
31n 型抜き孔
32 フック
32n 型抜き孔
33 取っ手
35 バンド長さ調節機構
35a 長孔
35b 長孔
35c 第1の横棒
35d 第2の横棒
35e 滑り止め
35f 滑り止め
40 空気袋
50 エアマッサージ装置本体
51 加圧ポンプ
52 電磁排気弁
53 圧力センサ
α1、α2 傾斜角度
S1、S2 突出長
R1 曲率半径
【出願人】 【識別番号】000231590
【氏名又は名称】日本精密測器株式会社
【住所又は居所】群馬県渋川市中郷2508−13
【出願日】 平成17年5月31日(2005.5.31)
【代理人】 【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄

【識別番号】100090136
【弁理士】
【氏名又は名称】油井 透

【識別番号】100105256
【弁理士】
【氏名又は名称】清野 仁

【公開番号】 特開2006−333978(P2006−333978A)
【公開日】 平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願番号】 特願2005−159890(P2005−159890)