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【発明の名称】 温灸器
【発明者】 【氏名】藤井 公雄

【氏名】藤井 明美

【氏名】藤井 康夫

【氏名】山口 美佐子

【要約】 【課題】灸材が不用意に消火することなく、灸材から発生する熱を肌に当てる押圧部へ十分に伝達され、しかも手で持つ部分が過熱状態になってしまうことがなく、さらに灸材が飛散するおそれがない温灸器及び温灸器用の灸材を提供する。

【解決手段】押圧部材17が暖まったところで外側筒状体3を持って交換キャップ35が嵌められている押圧部材17を肌に押し当てて灸治療を行う。外側筒状対3と内側筒状体5との間には隙間が設けられているので、外側筒状体3が手で持てない程の過熱状態になるのを防止することができる。モグサスティックMは温灸器1に収容された状態で燃焼するので、燃焼部が露出することなく、安全に温灸治療を行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側筒状体と、前記外側筒状体に収容された内側筒状体と、前記外側筒状体に収容され内側筒状体の内周面との間に隙間を開けて備えられ、先端部、後端部及び内側筒状体内周面に対向する部分に開口を有する収容体と、前記収容体の先端に設けられて外側筒状体の先端側開口から突出し、通気口を有する先端支持部材と、前記内側筒状体の先端部に取り付けられ、先端支持部材を囲む位置に配置され、且つ外側筒状体の先端側開口から突出する熱伝達部材と、前記熱伝達部材の先端に取り付けられた押圧部材と、前記外側筒状体の後端側開口に取り付けられる通気口を備えた蓋体とを具備することを特徴とする温灸器。
【請求項2】
請求項1に記載した温灸器において、収容体はコイルバネによって構成されていることを特徴とする温灸器。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載した温灸器において、熱伝達部材はコイルバネによって構成されていることを特徴とする温灸器。
【請求項4】
押圧部材の熱伝達部材に接触する部分には熱伝導性材料によって構成される接触部材が設けられていることを特徴とする温灸器。
【請求項5】
請求項1〜4に記載した温灸器において、押圧部材には通気口が形成されていることを特徴とする温灸器。
【請求項6】
請求項1〜5に記載した温灸器において、押圧部材に被せる交換キャップを備えたことを特徴とする温灸器。
【請求項7】
請求項1〜6に記載した温灸器に使用する灸材であって、モグサ等の燃焼物と、前記燃焼物に糊剤を添加して、棒状に成形固化させたことを特徴とする温灸器用の灸材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はモグサ等の灸材を燃焼させて熱源とする灸治療用の温灸器及び当該温灸器用の灸材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
灸治療は古くからモグサ等の灸材を肌に直接載せて着火する方法が採られていたが、この方法は患者が相当に熱く感じるため敬遠されることが多い。このため、灸材を熱源として加温される押圧部を備えた温灸器が用いられている。この種の温灸器は筒状体に灸材を収容して、この灸材を燃焼させる構造となっているものが殆どある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、筒状体に灸材を収容するため、酸欠状態となって不用意に消火してしまったり、灸材から発生する熱が押圧部へ十分に伝達されなかったりしてしまう問題がある。
また、この種の温灸器は手で持って使用するが、長時間使用すると手で持つ部分が過熱状態になってしまい、素手で持つことができなくなるものもある。
さらに、従来の温灸器は扱い方によっては灸材が飛散したりするおそれがあり、灸治療業に従事する者が安全に使用できないおそれがある。また、灸材に着火してから温灸器の押圧部が暖まるまでに相当の時間を要し、使い勝手が悪いものもある。
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、灸材が不用意に消火することなく、灸材から発生する熱を肌に当てる押圧部へ十分に伝達され、しかも手で持つ部分が過熱状態になってしまうことがなく、さらに灸材が飛散するおそれがなくて、しかも短時間で押圧部が暖まる温灸器及び温灸器用の灸材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、外側筒状体と、前記外側筒状体に収容された内側筒状体と、前記外側筒状体に収容され内側筒状体の内周面との間に隙間を開けて備えられ、先端部、後端部及び内側筒状体内周面に対向する部分に開口を有する収容体と、前記収容体の先端に設けられて外側筒状体の先端側開口から突出し、通気口を有する先端支持部材と、前記内側筒状体の先端部に取り付けられ、先端支持部材を囲む位置に配置され、且つ外側筒状体の先端側開口から突出する熱伝達部材と、前記熱伝達部材の先端に取り付けられた押圧部材と、前記外側筒状体の後端側開口に取り付けられる通気口を備えた蓋体とを具備することを特徴とする温灸器である。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載した温灸器において、収容体はコイルバネによって構成されていることを特徴とする温灸器である。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1または2のいずれかに記載した温灸器において、熱伝達部材はコイルバネによって構成されていることを特徴とする温灸器である。
【0007】
請求項4の発明は、押圧部材の熱伝達部材に接触する部分には熱伝導性材料によって構成される接触部材が設けられていることを特徴とする温灸器である。
【0008】
請求項5の発明は、請求項1〜4に記載した温灸器において、押圧部材には通気口が形成されていることを特徴とする温灸器である。
【0009】
請求項6の発明は、請求項1〜5に記載した温灸器において、押圧部材に被せる交換キャップを備えたことを特徴とする温灸器である。
【0010】
請求項7の発明は、請求項1〜6に記載した温灸器に使用する灸材であって、モグサ等の燃焼物と、前記燃焼物に糊剤を添加して、棒状に成形固化させたことを特徴とする温灸器用の灸材である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の温灸器、及び温灸器用の灸材によれば、灸材が不用意に消火するのを防止できる。また、灸材から発生する熱を肌に当てる押圧部へ十分に伝達することが可能となる。さらに、手で持つ部分が過熱状態になってしまうのを防止することができる。また、灸材が飛散するおそれがなく、だれにでも安全に使用することが可能である。しかも短時間で押圧部が暖まり、使い勝手が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係る温灸器1を図1〜図5にしたがって説明する。
符号3は円筒形の外側筒状体を示し、この外側筒状体3は不燃性のプラスチックによって構成されている。外側筒状体3にはアルミニウム合金製の内側筒状体5が収容されており、この内側筒状体5は支持ビス7を介して外側筒状体3に支持されている。内側筒状体5は円筒形で、その外径寸法は外側筒状体3の内径寸法より一回り小さく形成され、内側筒状体5の外周面と外側筒状体3の内周面との間には隙間が開いている。
【0013】
内側筒状体5には収容体としてのコイルバネ9が収容されており、このコイルバネ9は支持ビス11を介して内側筒状体5に支持されている。コイルバネ9の外径寸法は、内側筒状体5の内径寸法より一回り小さく形成され、コイルバネ9の外周面と内側筒状体5の内周面との間には隙間が開いている。
符号13は先端支持部材としての金網容器を示し、この金網容器13の開口側がコイルバネ9に取り付けられている。金網容器13は前記のように金網によって形成されているので、多数の通気口を有している。
【0014】
内側筒状体5の先端部には熱伝達部材としてのコイルバネ15が取り付けられており、このコイルバネ15は金網容器13を囲む位置に備えられている。
符号17は押圧部材を示し、この押圧部材17は底部19を有する円筒形で、コイルバネ15に嵌合する内径寸法に形成されている。押圧部材17の底部19の中心には通気口としての丸穴21が形成されている。また押圧部材17の内面には銅板製の接触部材23が貼られている。
【0015】
符号25は蓋を示し、この蓋25は外側筒状体3の後端部に取り付けられるものである。蓋25の構造について説明する。長さ寸法の短い円筒状の蓋本体27は外側筒状体3と同じ外径寸法に形成され、丸穴29には金網31が張られている。丸穴29には嵌合筒部33が挿入され、この嵌合筒部33の先端部は丸穴29の中程まで入り込み固定されている。嵌合筒部33は内側筒状体5内へピッタリ嵌り込む外形寸法となっている。
【0016】
符号35は薄手の不燃性の合成紙により成る交換キャップを示し、この交換キャップは押圧部材17に被せるものである。交換キャップ35の構造について説明する。交換キャップ35は底部37を有し、この底部37には丸穴39が形成されている。丸穴39は押圧部材17の丸穴21に対向する大きさに形成されている。
符号41は金属製の消火筒を示し、この消火筒41は底部を有する円筒によって構成されている。消火筒41の長さ寸法は温灸器1のそれより若干大きく、且つその内径寸法は温灸器1のそれより僅かに大きく設定されている。
【0017】
符号Mは温灸用灸材としてのモグサスティックを示し、このモグサスティックMは温灸器1用に開発されたもので、バラモグサをデンプン系の糊料を用いて棒状に成形したものである。このモグサスティックMの製造方法については後述する。
【0018】
次に、この温灸器1の使用方法について説明する。
蓋25の嵌合筒部33を内側筒状体5から抜き、蓋25を外して、モグサスティックMの先端部にライター等を用いて着火し、モグサスティックMを内側筒状体5へ挿入する。モグサスティックMの火が付いている先端部は金網容器13内に位置するので、モグサスティックMの熱はコイルバネ15に伝達される。コイルバネ15は金網容器13の先端部を囲むように備えられているので、モグサスティックMの熱は効率よくコイルバネ15に伝達され、さらに熱はコイルバネ15から接触部材23を介して押圧部材17に伝えられて、押圧部材17が短時間で暖められる。押圧部材17が灸治療に適した50℃に到達するまでの時間は、火の付いたモグサスティックMを内側筒状体5へ入れてからおよそ1分である。
【0019】
押圧部材17が暖まったところで外側筒状体3を持って、図3に示すように交換キャップ35が嵌められている押圧部材17を肌に押し当てて灸治療を行う。
外側筒状対3と内側筒状体5との間には隙間が設けられているので、モグサスティックMの熱が外側筒状体3へは伝わり難く、外側筒状体3が手で持てない程の過熱状態になるのを防止することができる。
なお、交換キャップ35は治療を受ける者が変わる度に交換するので、衛生的である、また、この交換キャップ35は薄手の合成紙によって構成されているので、押圧部材17の熱が患部へ伝達されるのを妨げることはない。
【0020】
また、コイルバネ15は押圧部材17を肌に押し当てると、圧縮方向へ弾性変形する。従って、交換キャップ35は肌に対して適度な圧力で密着することになり、熱が患部にむらなく確実に伝えられる。従って、高い温灸効果を得ることができる。
また、モグサスティックMは温灸器1に収容された状態で燃焼するので、燃焼部が露出せず、また火の着いたモグサスティックMが不用意に飛散するようなことはなく、安全に温灸治療を行うことができる。
【0021】
なお、モグサスティックMに付いている火を消す場合には、図4に示すように、温灸器1を、押圧部材17側を下にして消火筒41へ入れ、消火筒41を立てておく。このような状態にするとモグサスティックMの先端部への空気の供給が絶たれて、二、三分で完全に消火される。またモグサスティックMに水をかけることなく消火できるので、モグサスティックMに再度火を付ければ使用することが可能である。
また、図5に示すように、温灸器1の先端部と基端部にそれぞれ消火キャップ43、45を嵌めることによって消火するようにしてもよい。
【0022】
次に、モグサスティックMの製造方法について説明する。
(材料の配合比)
バラモグサ 60重量部
デンプン糊 100重量部
水 200重量部
【0023】
上記のデンプン糊に水を加え混合し、さらにバラモグサを加えて練るようにして混合し、原料ペーストを得る。
上記原料ペーストは木製の形を作るための成形型に入れて成形する。この成形型は、長方形の2枚の板を蝶番によって開閉自在に連結したもので、2枚の板の対向面に凹部が形成されている。この板は厚さ寸法15mm、幅寸法50mm、長さ寸法120mmであり、原料ペーストを入れる凹部は円柱を縦方向に二分割した形状で、2つの凹部を合わせると直径7.0mm、長さ寸法が100mmの円柱状の空洞が形成される。
【0024】
上記原料ペーストを10g取り、これを手で棒状に成形した後、成形型の一方側の凹部へ入れる。そして、型を閉じて2つの凹部を合わせることによって、円柱形の空洞部を形成して原料ペーストを円柱状に成形する。この際、棒状にした原料ペーストが空洞部から はみ出さないように注意する。
次いで、型が開かないように万力等を用いて、2枚の板を閉じた状態に固定する。そして、約40℃の温風を型に3時間程度吹き付けて、型内の原料ペーストを乾燥し、モグサスティックMの半製品を得る。この半製品の長さ寸法はほぼ100mmで、直径は7.5〜8.0mmとなり、直径が乾燥前のものより20〜25%減少する。
【0025】
次に、半製品の形を整えるための整形型へ入れる。この整形型は形をつくるための成形型とほぼ同じ構造であるが、2枚の板に形成された凹部を合わせて形成される円柱状の空洞部のサイズが直径7.5mm、長さ100mmである点が異なる。
前記半製品を整形型の空洞部へ収容して、万力等で締め付けて整形する。この整形作業を2〜3回繰り返した後、半製品を整形型から取り出して、30〜40℃の温風を吹きかけてよく乾燥し、完成品としてのモグサスティックMを得る。
【0026】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、内側筒状体5の外周面と外側筒状体3の内周面との間に隙間を開ける構成としたが、本発明はこれに限定されず、この隙間に断熱材を備える構成としてもよい。
【0027】
また、収容体をコイルバネ9によって構成する他、外周に多数の穴のある筒状体等によって構成してもよい。
上記実施の形態においては、外側筒状体3を不燃性のプラスチックによって構成したが、アルミニウム合金等の金属、不燃処理或いは難燃処理を施した木材等によって構成してもよい。また、内側筒状体5をアルミニウム合金によって構成したが、これ以外の金属、その他セラミック等によって構成してもよい。
なお、モグサスティックMの材料の配合比は上記したものには限定されず、例えば糊料の量を少なくし成形時の加熱温度を高くする等して成形してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る温灸器の分解斜視図である。
【図2】図1の温灸器の断面図である。
【図3】図1の温灸器の使用方法を説明するための図である。
【図4】図1の温灸器に収容されているモグサスティックの火を消火筒を用いて消す方法を説明するための斜視図である。
【図5】図1の温灸器に収容されているモグサスティックの火を消火キャップを用いて消す方法を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 温灸器 3 外側筒状体 5 内側筒状体
7 支持ビス 9 収容体としてのコイルバネ
11 支持ビス 13 先端部支持部材としての金網容器
15 熱伝達部材としてのコイルバネ 17 押圧部材
19 底部 21 丸穴 23 接触部材
25 蓋 27 蓋本体 29 丸穴
31 金網 33 嵌合筒部 35 交換キャップ
37 底部 39 丸穴 41 消火筒
43、45 消火キャップ
M 温灸用灸材としてのモグサスティック
【出願人】 【識別番号】305012821
【氏名又は名称】藤井 公雄
【出願日】 平成17年5月31日(2005.5.31)
【代理人】 【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司

【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子

【公開番号】 特開2006−333881(P2006−333881A)
【公開日】 平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願番号】 特願2005−158341(P2005−158341)